説明

車両のランプ装置

【課題】車体側へのランプの取付作業が容易にでき、かつ、ランプの表面に傷付きが生じないようにする。
【解決手段】車両のランプ装置における支持装置18が、ランプ17から突出する係止突起22、および嵌合突起24と、車体2端部に形成され、一方向Aに向かうに従い外板部16から離反するよう係止突起22を摺動させる案内溝27と、案内溝27に形成される係止孔28と、車体2端部に形成され、嵌合突起24を嵌入させる嵌入孔31と、ランプ17を車体2側に固着する固着具34,35とを備える。一方向Aに向かう案内溝27への係止突起22の摺動に伴い嵌合突起24が嵌入孔31の孔縁部に摺接して、幅方向でランプ17が外板部16から離反することが規制されるようにする。係止突起22の更なる摺動により、係止突起22と案内溝27とが互いに弾性的に圧接した後、圧接力により係止突起22が係止孔28に係止されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の長手方向端部の外面の一部を形成するフロントフェンダなどの外板部と、ヘッドランプなどのランプとが車体の幅方向で互いに近接配置される車両のランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両のランプ装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車両のランプ装置は、車体の長手方向前端部に設けられるヘッドランプと、上記車体端部の外方域から上記長手方向に沿うと共に車体側に向かう一方向へのランプの移動を経てこのランプを車体に支持可能にさせる支持装置とを備えている。具体的には、上記支持装置は、ランプから上記一方向に向かって突出する突出部と、車体側に形成され、上記一方向に向かってランプと共に移動する上記突出部を嵌入させる係合孔とを備えている。
【0003】
上記ランプを車体側に取り付ける取付作業をする場合には、まず、車体側の外方域からランプを上記突出部と共に上記一方向に向かって移動させる。この移動により、上記突出部を上記係合孔に嵌入させれば、ランプが車体側に位置決めされる。そして、この位置決め状態で、車体側にランプを締結具により締結すれば、上記ランプの取付作業が終了することとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−290603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通常、上記ランプは、車体の幅方向で車体前端部の外面の一部を構成するフロントフェンダに近接するよう並設される。そして、この構成において、前記したように車体側に対しランプを取り付けようとする場合には、次のような問題点がある。
【0006】
即ち、上記ランプの取付作業をしようとして、このランプを上記一方向に移動させる場合に、このランプと共に移動する上記突出部が係合孔に嵌入させられる手前の状態では、つまり、車体側に対するランプの位置決めができていない状態では、上記一方向に移動するランプの上記フロントフェンダ側の一側部が、このフロントフェンダに接触するおそれがある。
【0007】
そして、上記ランプの取付作業時における上記のような接触は、この取付作業を煩雑にさせるものであって好ましくない。また、上記接触により、上記ランプの表面に傷付きが生じるおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車体の幅方向で、車体の外面の一部を形成する外板部と、ランプとが互いに近接して配置される車両のランプ装置において、車体側へのランプの取付作業が容易にできるようにし、かつ、この取付作業時に、上記ランプの表面に傷付きが生じないようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、車体2の長手方向端部の外面の一部を形成する外板部16と、車体2の幅方向で上記外板部16に近接するよう並設されるランプ17と、上記車体2端部の外方域から上記長手方向に沿うと共に車体2側に向かう一方向Aへのランプ17の移動を経てこのランプ17を車体2に支持可能にさせる支持装置18とを備えた車両のランプ装置において、
上記支持装置18が、ランプ17の上記外板部16がわの一側部がわから外側方に向かって突出する係止突起22と、ランプ17の他側部がわから上記一方向Aに向かって突出する嵌合突起24と、上記車体2端部に形成され、上記一方向Aに向かってランプ17と共に移動する上記係止突起22を嵌入させ、かつ、上記一方向Aに向かうに従い上記幅方向で上記外板部16から離反するよう上記係止突起22を摺動させる案内溝27と、この案内溝27の上記一方向Aでの端部に形成され、上記係止突起22を嵌入させて係止させる係止孔28と、上記車体2端部に形成され、上記一方向Aに向かってランプ17と共に移動する上記嵌合突起24を嵌入させる嵌入孔31と、上記係止突起22が上記係止孔28に係止され、かつ、上記嵌合突起24が上記嵌入孔31に嵌入された状態で、ランプ17を車体2側に固着する固着具34,35とを備え、上記一方向Aに向かう上記案内溝27への上記係止突起22の摺動に伴い上記嵌入孔31に嵌入された嵌合突起24が上記嵌入孔31の孔縁部に摺接して、上記幅方向でランプ17が上記外板部16から離反することが規制される(図1中、二点鎖線)ようにし、この状態での上記係止突起22の更なる摺動(図1中、二点鎖線から一点鎖線への変位部)により、この係止突起22と案内溝27とが互いに弾性的に圧接した後、この圧接力により上記係止突起22が上記係止孔28に係止される(図1中、実線)ようにしたことを特徴とする車両のランプ装置である。
【0010】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、次の如くである。
【0012】
請求項1の発明は、車体の長手方向端部の外面の一部を形成する外板部と、車体の幅方向で上記外板部に近接するよう並設されるランプと、上記車体端部の外方域から上記長手方向に沿うと共に車体側に向かう一方向へのランプの移動を経てこのランプを車体に支持可能にさせる支持装置とを備えた車両のランプ装置において、
上記支持装置が、ランプの上記外板部がわの一側部がわから外側方に向かって突出する係止突起と、ランプの他側部がわから上記一方向に向かって突出する嵌合突起と、上記車体端部に形成され、上記一方向に向かってランプと共に移動する上記係止突起を嵌入させ、かつ、上記一方向に向かうに従い上記幅方向で上記外板部から離反するよう上記係止突起を摺動させる案内溝と、この案内溝の上記一方向での端部に形成され、上記係止突起を嵌入させて係止させる係止孔と、上記車体端部に形成され、上記一方向に向かってランプと共に移動する上記嵌合突起を嵌入させる嵌入孔と、上記係止突起が上記係止孔に係止され、かつ、上記嵌合突起が上記嵌入孔に嵌入された状態で、ランプを車体側に固着する固着具とを備え、上記一方向に向かう上記案内溝への上記係止突起の摺動に伴い上記嵌入孔に嵌入された嵌合突起が上記嵌入孔の孔縁部に摺接して、上記幅方向でランプが上記外板部から離反することが規制されるようにし、この状態での上記係止突起の更なる摺動により、この係止突起と案内溝とが互いに弾性的に圧接した後、この圧接力により上記係止突起が上記係止孔に係止されるようにしてあり、このため、次の作用効果が生じる。
【0013】
即ち、ランプを車体側に取り付ける取付作業をする場合には、まず、車体の前端部の外方域にランプを位置させる。次に、このランプを上記一方向に向かって移動させ、このランプと共に移動した係止突起を上記案内溝に嵌入させ、かつ、この案内溝を摺動させる。すると、上記したように、一方向に向かうに従い、上記係止突起は車体の幅方向で上記外板部から離反するよう上記案内溝を摺動させられる。
【0014】
このため、ランプの取付作業時に、上記係止突起と共に上記一方向に向かって移動するランプも上記外板部から離反することから、上記一方向への移動時にランプが上記外板部に接触することは防止される。よって、上記取付作業時に、上記のような無用な接触が防止されることから、この取付作業は容易にできる。また、上記したように外板部へのランプの接触が防止されることから、この接触によりランプの表面に傷付きが生じる、ということは防止されて、このランプの見栄えが良好に保たれる。
【0015】
また、上記案内溝に対し上記係止突起が摺動する状態でのランプの上記一方向への移動に伴い、このランプと共に移動した上記嵌合突起の突出端部が上記嵌入孔に嵌入させられる。ここで、前記したように、一方向へ向かっての上記案内溝に対する上記係止突起の摺動に伴い、ランプは車体の幅方向で上記外板部から離反しようとするが、この離反動作により、上記嵌入孔の孔縁部に上記嵌合突起が摺接して、上記幅方向でランプが上記外板部からそれ以上に離反することが規制される。
【0016】
また、上記状態のままで、上記案内溝に対する上記係止突起の更なる摺動により、この係止突起と案内溝とが互いに弾性的に圧接させられ、この摺動後、上記圧接力により、上記係止突起が上記係止孔に自動的に嵌入されて係止される。そして、この係止孔に対する係止突起の嵌入により、この係止突起と共にランプが車体の幅方向で上記外板部側に移動し、この移動により、車体の幅方向で上記外板部に近接した所定位置に上記ランプが位置決めされる。
【0017】
つまり、上記したように、車体側に対しランプを上記一方向に向かって移動させれば、車体の幅方向で、上記外板部に近接した所定位置にランプを位置決めできることから、この位置決め作業は容易にできる。
【0018】
また、前記したように、係止突起が上記係止孔に係止され、かつ、上記嵌合突起が上記嵌入孔に嵌入された状態で、つまり、上記した外板部に対するランプの所定位置への位置決め状態で、ランプを車体側に固着する固着具が設けられている。このため、上記位置決め後においての上記固着具による車体側へのランプの固着作業も容易にできる。
【0019】
よって、上記位置決め作業と固着作業とが容易にできることから、この点でも、上記ランプの取付作業が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図2を図式化した平面図である。
【図2】平面図である。
【図3】側面図である。
【図4】正面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】車両前部の斜視展開図である。
【図7】車両前部の他の斜視展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の車両のランプ装置に関し、車体の幅方向で、車体の外面の一部を形成する外板部と、ランプとが互いに近接して配置される車両のランプ装置において、車体側へのランプの取付作業が容易にできるようにし、かつ、この取付作業時に、上記ランプの表面に傷付きが生じないようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0022】
即ち、車両のランプ装置は、車体の長手方向端部の外面の一部を形成する外板部と、車体の幅方向で上記外板部に近接するよう並設されるランプと、上記車体端部の外方域から上記長手方向に沿うと共に車体側に向かう一方向へのランプの移動を経てこのランプを車体に支持可能にさせる支持装置とを備える。
【0023】
上記支持装置が、ランプの上記外板部がわの一側部がわから外側方に向かって突出する係止突起と、ランプの他側部がわから上記一方向に向かって突出する嵌合突起と、上記車体端部に形成され、上記一方向に向かってランプと共に移動する上記係止突起を嵌入させ、かつ、上記一方向に向かうに従い上記幅方向で上記外板部から離反するよう上記係止突起を摺動させる案内溝と、この案内溝の上記一方向での端部に形成され、上記係止突起を嵌入させて係止させる係止孔と、上記車体端部に形成され、上記一方向に向かってランプと共に移動する上記嵌合突起を嵌入させる嵌入孔と、上記係止突起が上記係止孔に係止され、かつ、上記嵌合突起が上記嵌入孔に嵌入された状態で、ランプを車体側に固着する固着具とを備える。
【0024】
上記一方向に向かう上記案内溝への上記係止突起の摺動に伴い上記嵌入孔に嵌入された嵌合突起が上記嵌入孔の孔縁部に摺接して、上記幅方向でランプが上記外板部から離反することが規制されるようにし、この状態での上記係止突起の更なる摺動により、この係止突起と案内溝とが互いに弾性的に圧接した後、この圧接力により上記係止突起が上記係止孔に係止されるようにしている。
【実施例】
【0025】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0026】
図において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
【0027】
特に、図6において、上記車両1の車体2は全体的に板金製で、この車体2は、この車体2の前後方向に延びる左右サイドメンバ3と、これらサイドメンバ3の各前端部に架設されてラジエータ4を支持するラジエータサポート5と、上記サイドメンバ3の各前端部に架設されてフロントバンパ6を補強するバンパ補強パネル7とを備えている。
【0028】
また、上記車体2は、上記各サイドメンバ3の長手方向の中途部側から上方に突出する不図示のフロントピラーと、このフロントピラーの長手方向の中途部から前方に突出するエプロンメンバ10と、車体2の各側部において上記サイドメンバ3とエプロンメンバ10とに架設されるサスペンションタワー11と、これらサイドメンバ3、エプロンメンバ10、およびサスペンションタワー11をそれぞれ車体2の外側方から覆うフロントフェンダ12と、このフロントフェンダ12を上記エプロンメンバ10に支持させるブラケット13,13とを備えている。
【0029】
全図において、車体2の長手方向端部(前端部)に配置され、車体2の前方を照射するヘッドランプ装置15が設けられている。以下、このランプ装置15につき説明する。
【0030】
車体2の長手方向端部(前端部)の外面の一部は、上記フロントフェンダ12の前上端部である外板部16により形成されている。車体2の幅方向で上記外板部16に近接するようヘッドランプ17が並設され、このランプ17は車体2側に対し支持装置18により支持されている。上記ランプ17の外殻を構成するハウジングは、樹脂製とされている。
【0031】
上記支持装置18は、車体2の前端部の前方外方域から上記車体2の長手方向に沿うと共に車体2側に向かう一方向Aへのランプ17の移動を経て、このランプ17を車体2側に支持可能にさせるものである。
【0032】
上記支持装置18は、上記ランプ17の上記外板部16がわの一側部から外側下方に向かって一体的に突出する第1支持脚21と、この第1支持脚21の外側面の一部から更に外側方に向かって一体的に突出する軸形状の係止突起22と、上記ランプ17の他側部から外側下方に向かって一体的に突出する第2支持脚23と、この第2支持脚23の後面の一部から上記一方向Aに向かって一体的に突出する先端先細の軸形状の嵌合突起24とを備えている。
【0033】
つまり、上記係止突起22は、上記第1支持脚21を介しランプ17の一側部がわから外側方に向かって突出し、上記嵌合突起24は上記第2支持脚23を介しランプ17の他側部がわから上記一方向Aに向かって突出している。なお、上記係止突起22と嵌合突起24とはランプ17の各側部から直接突出させてもよい。
【0034】
車体2の前端部における上記フロントフェンダ12の前下端部には、車体2の幅方向でランプ17側に向かって開口し、車体2の長手方向に延びる案内溝27が形成されている。この案内溝27の前端は、車体2の前方に向かって開放され、上記案内溝27は、上記一方向Aに向かうに従い、車体2の幅方向で、上記外板部16から離反するよう形成されている。
【0035】
上記案内溝27には、その前方域から上記一方向Aに向かってランプ17と共に移動する上記係止突起22が嵌入させられる。また、この嵌入の後、上記案内溝27の内面に対し上記係止突起22が摺動させられる。具体的には、ランプ17が上記一方向Aに向かって移動するに従い、車体2の幅方向で、上記ランプ17と係止突起22とが共に上記外板部16から離反するよう上記案内溝27の内面に対し上記係止突起22が摺動させられる。
【0036】
上記案内溝27の上記一方向Aでの端部底面に係止孔28が形成されている。上記したように係止突起22が一方向Aに向かって案内溝27の内面を摺動し、この案内溝27の端部に達したとき、上記係止突起22は上記係止孔28に密に嵌入されて係止可能とされる。
【0037】
車体2の前端部における上記ラジエータサポート5の上部側端部には、上記一方向Aに向かってランプ17と共に移動する上記嵌合突起24を嵌入させる嵌入孔31が形成されている。この嵌入孔31は、車体2の正面視(図5)で、車体2の幅方向に長い長円形状とされている。具体的には、上記嵌合突起24は、上記嵌入孔31に対し上下方向で密に嵌入させられ、車体2の幅方向で遊嵌状に嵌入させられている。
【0038】
上記係止突起22が上記係止孔28に嵌入されて係止され、かつ、上記嵌合突起24が上記嵌入孔31に嵌入されて上記第2支持脚23が上記ラジエータサポート5の前面に当接し、ランプ17がこれ以上に一方向Aに移動できない状態で、つまり、車体2側に対しランプ17が所定位置に位置決めされた状態で、ランプ17を車体2側に固着する第1、第2固着具34,35が設けられている。
【0039】
上記第1固着具34は締結具であって、上記第2支持脚23に形成されるボルト挿通孔37と、上記ラジエータサポート5の上側端部に固着されるナット38と、上記ボルト挿通孔37に挿通されて上記ナット38に螺合させられ、上記第2支持脚23をラジエータサポート5に締結させるボルト39とを備えている。
【0040】
上記第2固着具35は係止具であって、上記ランプ17の後上端部から上記一方向Aに向かって一体的に突出する固着アーム41と、この固着アーム41に形成されるクリップ挿通孔42と、上記フロントフェンダ12の前上端部に形成されるクリップ係止孔43と、上記クリップ挿通孔42に挿通されて上記クリップ係止孔43に係止され、上記固着アーム41を上記フロントフェンダ12に係止させる樹脂製のクリップ44とを備えている。
【0041】
その他、図7の符号47はバンパサポートで、このバンパサポート47は上記フロントフェンダ12の前下端部をその外側方から覆うよう設けられる。このフロントフェンダ12の前下端部と上記バンパサポート47とは互いに係止され、このバンパサポート47は上記第1支持脚21に締結具48により固着される。また、上記バンパサポート47によって車体2側に前記フロントバンパ6が支持される。
【0042】
図1において、上記ランプ17を車体2側に取り付ける取付作業をする場合には、まず、車体2の前端部の外方域にランプ17を位置させる(図1中、破線)。次に、このランプ17を上記一方向Aに向かって移動させ、このランプ17と共に移動した係止突起22を上記案内溝27に嵌入させ、かつ、この案内溝27の内面を摺動させる(図1中、二点鎖線)。すると、上記したように、一方向Aに向かうに従い、上記係止突起22は車体2の幅方向で上記外板部16から離反するよう上記案内溝27を摺動させられる。
【0043】
このため、ランプ17の取付作業時に、上記係止突起22と共に上記一方向Aに向かって移動するランプ17も上記外板部16から離反することから、上記一方向Aへの移動時にランプ17が上記外板部16に接触することは防止される。よって、上記取付作業時に、上記のような無用な接触が防止されることから、この取付作業は容易にできる。また、上記したように外板部16へのランプ17の接触が防止されることから、この接触によりランプ17の表面に傷付きが生じる、ということは防止されて、このランプ17の見栄えが良好に保たれる。
【0044】
また、上記案内溝27に対し上記係止突起22が摺動する状態でのランプ17の上記一方向Aへの移動に伴い、このランプ17と共に移動した上記嵌合突起24の突出端部が上記嵌入孔31に嵌入させられる(図1中、二点鎖線)。
【0045】
ここで、前記したように、一方向Aへ向かっての上記案内溝27に対する上記係止突起22の摺動に伴い、ランプ17は車体2の幅方向で上記外板部16から離反しようとするが、この離反動作により、上記嵌入孔31の孔縁部のうち、車体2の幅方向で上記外板部16から遠い側の孔縁部に上記嵌合突起24が摺接することとされている。そして、この摺接により、上記幅方向でランプ17が上記外板部16から所定寸法以上に離反することが規制される(図1中、二点鎖線)。
【0046】
また、上記状態のままで、上記案内溝27に対する上記係止突起22の更なる摺動(図1中、二点鎖線から一点鎖線に至る変位部)により、この係止突起22と案内溝27とが互いに弾性的に圧接させられる。この摺動後、上記圧接力により、上記係止突起22が上記係止孔28に自動的に嵌入されて係止されると共に、上記第2支持脚23がラジエータサポート5の前面に当接して、それ以上のランプ17の上記一方向Aへの移動が阻止され、車体2の長手方向で、上記外板部16に対する所定位置に上記ランプ17が位置決めされる(図1中、実線)。
【0047】
そして、上記係止孔28に対する係止突起22の嵌入により、この係止突起22と共にランプ17が車体2の幅方向で上記外板部16側に移動し、この移動により、車体2の幅方向で上記外板部16に近接した所定位置に上記ランプ17が位置決めされる。この場合、車体2の幅方向で、フロントフェンダ12からランプ17が少し離反可能となるよう上記嵌入孔31に嵌合突起24が遊嵌状に嵌入されている。このため、上記外板部16に対するランプ17の車体2の幅方向での上記所定位置には、上記幅方向で多少の範囲があり、つまり、この幅方向における上記ラジエータサポート5とフロントフェンダ12との間で、ランプ17は上記所定位置の範囲にて自由な移動が可能とされている。
【0048】
また、上記した係止突起22と案内溝27の内面との互いの弾性的な圧接は、この案内溝27が形成された上記フロントフェンダ12の前端部が上記係止突起22に押されて車体2の外側方に向かって弾性変形することにより得られる。
【0049】
なお、上記弾性的な圧接は、上記第1支持脚21や係止突起22が弾性変形することによって、得られるようにしてもよい。また、上記したように、圧接力により、上記係止突起22が上記係止孔28に自動的に係止させられたとき、上記第1支持脚21の外側面が、上記案内溝27が形成された上記フロントフェンダ12の前端部に上記圧接力により圧接して、車体2の幅方向で上記所定位置のうちの一点にランプ17が位置決めされるようにしてもよい。
【0050】
そして、上記したように、車体2側に対しランプ17を上記一方向Aに向かって移動させれば、車体2の幅方向で、上記外板部16に近接した所定位置にランプ17を位置決めできることから、この位置決め作業は容易にできる。
【0051】
また、前記したように、係止突起22が上記係止孔28に係止され、かつ、上記嵌合突起24が上記嵌入孔31に嵌入された状態で、つまり、上記した外板部16に対するランプ17の所定位置への位置決め状態で、ランプ17を車体2側に固着する第1、第2固着具34,35が設けられている。このため、上記位置決め後においての上記第1、第2固着具34,35による車体2側へのランプ17の固着作業も容易にできる。
【0052】
よって、上記位置決め作業と固着作業とが容易にできることから、この点でも、上記ランプ17の取付作業が容易にできる。
【0053】
より具体的には、前記したように、外板部16に対するランプ17の車体2の幅方向での所定位置には、この幅方向で多少の範囲がある。しかし、このように外板部16に対しランプ17を所定位置に位置決めした後に、前記締結具48により、フロントフェンダ12に対しバンパサポート47および第1支持脚21を介しランプ17を締結してやれば、このランプ17は上記所定位置のうちの前記した一点に位置決めされる。そして、このように、外板部16を上記一点に位置決めすると、上記ボルト挿通孔37がナット38に合致すると共にクリップ挿通孔42がクリップ係止孔43に合致することとされている。よって、このようにすれば、上記第1、第2固着具34,35による車体2側へのランプ17の固着作業が、より容易にできる。
【0054】
なお、以上は図示の例によるが、上記ランプ装置15は車体2の後端部に設けられるリヤコンビランプに係るものであってもよい。また、上記第1固着具34は係止具であってもよく、上記第2固着具35は締結具であってもよく、これら第1、第2固着具34,35は、いずれか一方のみを設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車両
2 車体
3 サイドメンバ
5 ラジエータサポート
10 エプロンメンバ
11 サスペンションタワー
12 フロントフェンダ
13 ブラケット
15 ランプ装置
16 外板部
17 ランプ
18 支持装置
21 第1支持脚
22 係止突起
23 第2支持脚
24 嵌合突起
27 案内溝
28 係止孔
31 嵌入孔
34 固着具
35 固着具
A 一方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の長手方向端部の外面の一部を形成する外板部と、車体の幅方向で上記外板部に近接するよう並設されるランプと、上記車体端部の外方域から上記長手方向に沿うと共に車体側に向かう一方向へのランプの移動を経てこのランプを車体に支持可能にさせる支持装置とを備えた車両のランプ装置において、
上記支持装置が、ランプの上記外板部がわの一側部がわから外側方に向かって突出する係止突起と、ランプの他側部がわから上記一方向に向かって突出する嵌合突起と、上記車体端部に形成され、上記一方向に向かってランプと共に移動する上記係止突起を嵌入させ、かつ、上記一方向に向かうに従い上記幅方向で上記外板部から離反するよう上記係止突起を摺動させる案内溝と、この案内溝の上記一方向での端部に形成され、上記係止突起を嵌入させて係止させる係止孔と、上記車体端部に形成され、上記一方向に向かってランプと共に移動する上記嵌合突起を嵌入させる嵌入孔と、上記係止突起が上記係止孔に係止され、かつ、上記嵌合突起が上記嵌入孔に嵌入された状態で、ランプを車体側に固着する固着具とを備え、上記一方向に向かう上記案内溝への上記係止突起の摺動に伴い上記嵌入孔に嵌入された嵌合突起が上記嵌入孔の孔縁部に摺接して、上記幅方向でランプが上記外板部から離反することが規制されるようにし、この状態での上記係止突起の更なる摺動により、この係止突起と案内溝とが互いに弾性的に圧接した後、この圧接力により上記係止突起が上記係止孔に係止されるようにしたことを特徴とする車両のランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−84199(P2011−84199A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239494(P2009−239494)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】