説明

車両のワイパ装置

【課題】乗員操作用の操作レバーに連動するウォッシャスイッチと、ウォッシャスイッチのオン/オフ情報を受けて、ワイパモータを駆動するためのHレベル信号(動作信号)を出力するCPUと、該CPUからのHレベル信号を受けて、ワイパモータの通電路を確保するべく作動するトランジスタと、オートストップスイッチとを備えた車両のワイパ装置において、操作レバーの操作時間に拘わらず、ワイパブレードを確実に停止位置にて停止させる。
【解決手段】ワイパブレードの最後の往復動作の1つ前の往復動作の復動作中において、オートストップスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった時(時刻t=t4の時)から所定時間Ta経過するまでの間は、上記CPUからHレベル信号を継続して出力させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバー等の乗員操作によりウォッシャスイッチがオン状態に切り換わるのに連動して、ワイパ本体をウィンド面上にて往復動作させるようにした車両のワイパ装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乗員操作用の操作レバーの所定操作に連動して、車両のウィンド面上にウォッシャ液を噴射するとともに、ワイパブレードを該ウィンド面上にて往復動作させるようにしたワイパ装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このワイパ装置は、乗員により操作レバー等を介して操作可能なウォッシャ液噴射用のウォッシャスイッチと、該ウォッシャスイッチのオン/オフ情報を基にワイパモータの駆動制御を行う制御装置とを備えており、該制御装置は、ウォッシャスイッチのオン情報を検知したときには、該ウォッシャスイッチのオン状態の持続時間(つまり乗員がウォッシャスイッチを操作する時間)に応じた時間中、ウォッシャモータ及びワイパモータを駆動(通電)させるべく、該装置内部のウォッシャリレー及びワイパリレーに対してそれぞれ駆動信号(ウォッシャモータ及びワイパモータの動作信号)を出力するようになっている。
【0004】
ここで、上記制御装置には一般的に、ワイパブレードがその停止位置から所定作動角位置に達するまでの領域の外に位置しているときに、ワイパリレーが駆動されなくともワイパモータの通電路を確保するべく作動するオートストップスイッチが設けられており、これによって、操作レバーの所定操作を持続的に行うことなく例えばワンタッチで完了したとしても、該操作完了後にワイパブレードが上記所定作動角位置に達していれば(ワイパブレードの作動角が所定作動角以上であれば)、オートストップスイッチの作動によりワイパモータの通電路を確保してワイパブレードが上記停止位置に戻るようになっている。
【0005】
また、上記制御装置には通常、上記ワイパリレーのリレーコイルにリレー駆動信号を出力するためのリレー制御回路が設けられているが、このリレー制御回路としては、コンデンサや抵抗を組合わせたアナログ回路からなるものが使用される。
【特許文献1】特開2004−243937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の車両のワイパ装置では、ワイパブレードが停止位置にある場合において、例えば操作レバーの所定操作の操作時間が設定時間よりも短い所謂チョイ押し操作が実行された場合に、ワイパブレードが所定作動角位置に達する前に、つまりオートストップスイッチが作動する前に、該所定操作が完了することにより制御装置(モータ制御手段)からのリレー駆動信号の出力が停止してワイパモータが停止する結果、ワイパブレードがウィンド面上の停止位置以外の位置で停止して、ウィンド面上の見栄えを損ねたり乗員の視界が遮られたりするという問題がある。特に、大型車においては、ワイパアームの長さが普通車に比べて長いため、この問題が顕著になる。
【0007】
また、近年、デジタル機器の小型化や低コスト化が進む中で、従来アナログ回路によって構成されていた上記リレー制御回路を、デジタル機器であるCPUに置き換えた構成のワイパ装置が開発されつつあり、このようなリレー制御回路では、操作レバーの所定操作に対する応答性が向上し、このために、例えば乗員が操作レバーをチョイ押しする癖がある場合に、アナログ方式の制御回路に比べてその癖が該所定操作の度にリレー駆動信号の出力タイミングに正確に反映されてリレーの駆動時間が毎回設定時間未満になってしまうという問題がある。このため、当該乗員が操作レバーを所定操作する度に上記ワイパ本体の途中停止問題が発生することとなり、上記ウィンド面の見栄の確保及び乗員の視界確保といった観点からも改良の必要性が高い。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、乗員操作用のスイッチ操作手段に連動するウォッシャ液噴射用のウォッシャスイッチと、該ウォッシャスイッチのオン状態を検知したときに、ワイパモータの動作信号を出力するモータ制御手段と、該モータ制御手段からの動作信号を受けて、ワイパモータの通電路を確保するべく作動するスイッチング手段と、ワイパブレードの作動角が所定作動角度以上のときに、該スイッチング手段が非作動であってもワイパモータの通電路を確保するオートストップスイッチとを備えた車両のワイパ装置に対して、その制御方法に工夫を凝らすことで、上記スイッチ操作手段の操作時間(つまりウォッシャスイッチのオン状態の持続時間)に拘わらず、ワイパブレードを確実に往復動作させて停止位置にて停止させようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、スイッチ操作手段の所定操作が完了しても、ワイパ本体を所定回数往復動作させるべくワイパモータの動作信号を出力するようモータ制御手段を構成するとともに、ワイパ本体の最後の往復動作の1つ前の往復動作の復動作中において、上記オートストップスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった時から所定時間経過するまでの間は継続して該モータ制御手段から上記動作信号を出力させるようにした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明では、車両のウィンド面を払拭するワイパブレードと該ワイパブレードを支持するワイパアームとからなるワイパ本体と、該ワイパ本体を該ワイパブレードが停止位置と反転位置との間で往復動作するように往復駆動するワイパモータと、乗員により操作されるスイッチ操作手段と、該スイッチ操作手段の所定操作実行中はオン状態とされてウォッシャ液噴射用のウォッシャモータの通電路を形成する一方、非実行中はオフ状態とされて当該通電路を遮断するウォッシャスイッチと、該ウォッシャスイッチのオン状態を検知したときに、上記ワイパモータの動作信号を出力するモータ制御手段と、該モータ制御手段から出力される動作信号を受けて該ワイパモータの通電路を形成するべく作動するスイッチング手段と、上記ワイパ本体のワイパブレードがその停止位置から所定作動角位置に達するまでの停止近傍領域の外に位置しているときに、オン状態とされて該スイッチング手段が非作動であっても該ワイパモータの通電路を確保する一方、該停止近傍領域内に位置しているときには、オフ状態とされて当該通電路を遮断するオートストップスイッチとを備えた車両のワイパ装置を対象とする。
【0011】
そして、上記モータ制御手段は、上記スイッチ操作手段の所定操作が完了して上記ウォッシャスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった場合に、上記ワイパ本体を該切り換わったときから所定回数往復動作させるべく上記スイッチング手段に対して上記動作信号を出力するようになっていて、該ワイパ本体の最後の往復動作の1つ前の往復動作の復動作中に上記オートストップスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった時から、所定時間経過するまでの間、上記動作信号を継続して出力した後に該出力を停止するように構成されているものとする。
【0012】
この構成によれば、スイッチ操作手段が乗員により所定操作されると、ウォッシャスイッチがオン状態となってウォッシャモータの通電路が形成されることによりウィンド面上にウォッシャ液が噴射されるとともに、上記モータ制御手段により、該ウォッシャスイッチのオン状態が検知されて、ワイパモータの動作信号(ワイパモータを動作させるための信号)が出力され、この動作信号を受けたスイッチング手段により、該動作信号受信中、ワイパモータの通電路が形成されてワイパモータが駆動される。
【0013】
そして、本発明では、モータ制御手段により、スイッチ操作手段の所定操作の完了に伴うウォッシャスイッチのオフ状態への切り換わりが検知された場合には、該所定操作の操作時間(ウォッシャスイッチのオン状態の持続時間)に拘わらず上記スイッチング手段に対して、ワイパ本体を該切り換わりのときから所定回数往復動作させるようにワイパモータの動作信号が出力される。
【0014】
そして、ワイパ本体の最後の往復動作を行うためにモータ制御手段から出力される動作信号は、該最後の往復動作よりも1つ前の往復動作の復動作中において上記オートストップスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった時、つまりワイパ本体が上記所定作動角位置を通過した時を起点として所定時間経過するまでの間継続して出力される。ここで、この所定時間を、ワイパ本体のワイパブレードがその往復動作により所定作動角位置から停止位置に達した後に再度、該所定作動角位置に戻るまでの時間以上とすることで、ワイパ本体の最後の往復動作の往動作時において、ワイパブレードを上記所定作動角位置に確実に到達させることができる。そして、該到達後は、オートストップスイッチが作動してワイパモータが駆動されることにより、ワイパブレードは、反転位置(最大作動角に対応する位置)まで達した後に該所定作動角位置に再度戻って来るまで確実に駆動され、その後は慣性力でもって駆動されて元の停止位置にて確実に停止することとなる。
【0015】
従って、スイッチ操作手段の所定操作の操作時間に拘わらず、該操作完了のときからワイパブレード(ワイパ本体)を確実に所定回数往復動作させて停止位置にて停止させることができる。よって、ワイパブレード(ワイパ本体)が、停止位置以外の位置で停止してしまうことにより、該ウィンド面上の見栄えが損なわれたり乗員の視界が遮られたりするのを確実に防止することが可能となる。
【0016】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記所定時間は、上記ワイパ本体の往復動作により上記ワイパブレードが上記所定作動角位置から上記停止位置に達した後に該所定作動角位置に戻って来るまでの時間以上に設定されているものとする。
【0017】
このことにより、請求項1の発明と同様の作用効果をより一層確実に得ることが可能となる。
【0018】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記所定回数は3回であることを特徴とする車両のワイパ装置。
【0019】
このことにより、上記スイッチ操作手段の所定操作が完了して上記ウォッシャスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった場合に、上記ワイパ本体(ワイパブレード)を該切り換わりのときから3回往復動作させるべくモータ制御手段から上記動作信号が出力される。従って、ワイパ本体は、乗員が上記スイッチ操作手段の所定操作を完了したときから更に3回往復動作して停止することとなる。ここで、この往復動作回数が3回よりも少ないと、上記スイッチ操作手段の所定操作によりウィンド面上に噴射されたウォッシャ液をワイパブレードによって十分に払拭できず、また3回よりも多いとウォッシャ液を拭き取り過ぎてウィンド面を傷つけることとなるが、本発明によれば、ウィンド面上に噴射されたウォッシャ液を、拭き取り過ぎずに乗員の視界が確保できる程度に適切に払拭することできる。
【0020】
請求項4の発明では、請求項1乃至3のいずれかの発明において、上記スイッチ操作手段は、上記車両のステアリングコラムの側面から延びるレバー部材とされ、上記レバー部材は、その基端部を支点として少なくとも上記ステアリングコラムの軸方向の乗員側に引き操作可能に構成されており、上記スイッチ操作手段の所定操作は、上記レバー部材の上記乗員側への引き操作であり、上記ウォッシャスイッチは、上記レバー部材が上記乗員側に引き操作されたときにオン状態とされるように構成されているものとする。
【0021】
このことにより、乗員は、レバー部材をステアリングコラムの軸方向の乗員側(手前側)に引き操作するという簡単な操作(所定操作)を行うだけで、ウォッシャスイッチをオン状態としてウィンド面上にウォッシャ液を噴射するとともに、ワイパ本体を往復動作させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の車両のワイパ装置によると、スイッチ操作手段の所定操作が完了しても、ワイパ本体を所定回数往復動作させるべくワイパモータの動作信号を出力するようモータ制御手段を構成するとともに、ワイパ本体の最後の往復動作の1つ前の往復動作の復動作中において、オートストップスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった時から所定時間経過するまでの間は継続して該モータ制御手段から上記動作信号を出力させるようにしたことで、該スイッチ操作手段の所定操作の操作時間に拘わらず、ワイパブレード(ワイパ本体)を該所定操作完了後に確実に所定回数往復動作させてその停止位置にて停止させることができる。従って、ワイパ本体がウィンド面上の停止位置以外の場所で停止してしまうことにより、乗員の視界が遮られたり該ウィンド面上の見栄えが損なわれたりするのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1乃至図3は、本発明の実施形態に係る車両のワイパ装置1を示し、このワイパ装置1は、車両のウィンド面を払拭するためのワイパブレード2と該ワイパブレード2を支持するワイパアーム3とからなるワイパ本体4(図1参照)と、該ワイパ本体4をワイパブレード2が停止位置と反転位置との間で往復動作するように往復駆動するべく、ワイパアーム3の基端部にウォームギヤ及びウォームホイール(図示省略)を介して動力伝達可能に連結されたワイパモータ5(図3参照)と、ウィンド面上に洗浄用のウォッシャ液を吹きかけるためのウォッシャノズル(図示省略)と、ウォッシャタンク(図示省略)内のウォッシャ液を該ウォッシャノズルに導くためのウォッシャモータ8と、ワイパモータ5及びウォッシャモータ8の駆動制御を行うモータ制御回路10と、ステアリングコラム6(図2参照)の車両左側側面6aから車幅方向の車両左側に延びる、後述の乗員操作用の操作レバー7(スイッチ操作手段)とを備えていて、該操作レバー7の操作位置に応じて、モータ制御回路10によりウォッシャモータ8やワイパモータ5の駆動状態を切り換えることで複数の動作モードで作動可能に構成されている。
【0025】
具体的には、本実施形態では、操作レバー7は、図2に示すように、運転席の車両前方から車両後方に向かって斜め上方に延びるステアリングコラム6回りに揺動操作可能になっていて、ワイパ本体4の往復動作を停止するOFF位置(停止モード)と、該OFF位置から反時計回り方向(図のU方向であって、上下方向の下側とも言える)に揺動操作することで、ワイパ本体4を間欠駆動させるINT位置(間欠駆動モード)と、ワイパ本体4を低速で連続的に往復駆動させるLO位置(LO駆動モード)と、ワイパ本体4を高速で連続的に往復駆動させるHI位置(HI駆動モード)とに切り換え可能になっている。また、操作レバー7は、上記OFF位置から時計回り方向(図のW方向であって上下方向の上側とも言える)に操作することで、ワイパ本体4を該操作時間に応じて往復動作させるMIST位置(MISTモード)に切り換え可能になっている。ここで、操作レバー7は、MIST位置以外の位置にあるときには該レバー7から手を離してもその状態を維持する一方、MIST位置にあるときには該MIST位置への切り換え操作を終了して該レバー7から手を離すと、その基端部を支点としてOFF位置に自動的に戻るように付勢されている。尚、図3は操作レバー7がINT位置にある状態を示している。
【0026】
また、操作レバー7は、上記各位置において、ステアリングコラム6の軸方向の乗員側に向かって(図2のZ方向に)引き操作が可能になっている。そして、操作レバー7は、常時はウィンド面へのウォッシャ液噴射を行わないウォッシャOFF位置にある一方、該引き操作により該ウィンド面上へのウォッシャ液噴射が可能なウォッシャON位置に切り換え可能になっている。また、操作レバー7を上記OFF位置(停止モード)から乗員側に引き操作してウォッシャON位置に切り換えた場合には、ウィンド面上へのウォッシャ液噴射に連動してワイパ本体4を往復駆動させるウォッシャ連動モードを設定可能になっている。尚、操作レバー7は、ウォッシャON位置への切り換え操作後に手を離すと自動的にウォッシャOFF位置に戻るように付勢されている。
【0027】
上記モータ制御回路10は、図3に示すように、ワイパ本体4の動作モードを切り換えるためのワイパスイッチ15とウォッシャスイッチ16とを有するコンビスイッチ17と、ワイパモータ5の駆動制御を行うCPU18を有するボディコントロールモジュール19と、ワイパモータ5の回転に連動して作動するオートストップスイッチ20とを備えている。
【0028】
上記ワイパスイッチ15は、操作レバー7の各位置に対応する接点a1乃至a5と、共通端子c1と、操作レバー7の揺動操作に連動するスイッチ本体15aとからなる。そして、ワイパスイッチ15は、該操作レバー7がMIST位置、OFF位置、INT位置、LO位置、及びHI位置にあるときにはそれぞれ、各接点a1乃至a5をスイッチ本体15aを介して共通端子c1に橋絡するように構成されている。また、ワイパスイッチ15のINT接点a3、LO接点a4、及びHI接点a5はそれぞれ、CPU18の入力端子b3乃至b5に接続されており、MIST接点a1は、LO接点a4とCPU18の入力端子b4とを接続する接続ラインL4上の接続点p1を介して、該入力端子b3に接続されている。一方、OFF接点a2はCPU18やその他のユニットと完全に遮断されている。尚、図3乃至図6において、各接続ラインの交差点のうち黒点を付した点以外は、図面上交差していても実際には非接続とされている。
【0029】
ウォッシャスイッチ16は、電源ラインS1に接続されたウォッシャ接点a6と、ウォッシャモータ8のプラス端子に接続された端子c6と、操作レバー7の引き操作に連動するスイッチ本体16aとからなる。そして、ウォッシャスイッチ16は、操作レバー7が上記ウォッシャON位置にあるときには、ウォッシャ接点a6をスイッチ本体16aを介して端子c6に橋絡する一方、操作レバー7がウォッシャOFF位置にあるときには、該端子c6とウォッシャ接点a6とを遮断するように構成されている。尚、ウォッシャ接点a6は、CPU18の入力端子b8に接続されており、ウォッシャモータ8のマイナス端子は接地されている。
【0030】
上記ボディコントロールモジュール19は、上記CPU18の他に、操作レバー7がMIST位置にあるときにワイパモータ5の通電路を形成する第1リレー25と、操作レバー7がLO位置又はHI位置にあるときにワイパモータ5の通電路を形成する第2リレー26と、第1リレー25の作動を制御するためのトランジスタ41とを備えている。
【0031】
第1リレー25の第1リレーコイル25aは、一端側が電源ラインS1及びイグニッションスイッチ40を介してバッテリ電源(図示省略)に接続される一方、他端側が、上記トランジスタ41を介してCPU18の制御出力端子b1に接続されるとともに、ワイパスイッチ15のLO接点a4とCPU18の入力端子b4との接続ラインL4に接続点p2を介して接続されている。
【0032】
また、第1リレー25の第1リレースイッチ25bは、常開接点27及び常閉接点28を有するトランスファ形のものであって、常開接点27は電源ラインS1を介してバッテリ電源に接続され、常閉接点28はオートストップスイッチ20(後述する)の共通端子35に接続されている。また、第1リレースイッチ25bの共通端子29は、第2リレースイッチ26bの共通端子30と接続されている。
【0033】
そして、第1リレースイッチ25bは、リレーコイル25aが非通電状態にあるときには、常閉接点28と共通端子29とを橋絡させる状態、つまりリレー25のオフ状態に相当する状態となる一方、上記リレーコイル25aが通電状態にあるときには、常開接点27と共通端子29とを橋絡させる状態、つまり第1リレー25のオン状態に相当する状態となる。
【0034】
第2リレー26の第2リレーコイル26aは、一端側が電源ラインS1を介してバッテリ電源に接続される一方、他端側が、ワイパスイッチ15のHI接点a5とCPU18の入力端子b5との接続ラインL5に接続点p3を介して接続されている。
【0035】
第2リレー26の第2リレースイッチ26bは、上記第1リレースイッチ25bと同様に常開接点31及び常閉接点32を有するトランスファ形のものであって、常開接点31はワイパモータ5の高速回転端子Hに接続され、常閉接点32はワイパモータ5の低速回転端子Lに接続されている。尚、ワイパモータ5の共通端子34は接地されている。
【0036】
そして、第2リレースイッチ26bは、リレーコイル26aが非通電状態にあるときには、常閉接点32と共通端子30とを橋絡させて第2リレー26をオフ状態とする一方、通電状態にあるときには、常開接点31と共通端子30とを橋絡させて第2リレー26をオン状態とする。
【0037】
上記トランジスタ41は、NPN型トランジスタとされ、該トランジスタ41のベースがCPU18の制御出力端子b1に接続され、コレクタが第1リレーコイル25aに接続され、エミッタが接地(グラウンド)されている。
【0038】
オートストップスイッチ20は、周知のように、ワイパモータ5に連動する摺動式スイッチからなるものであって、その共通端子35を第1リレースイッチ25bの常閉接点28及びCPU18の入力端子b7に接続してなる。
【0039】
そして、オートストップスイッチ20は、図1に示すように、ワイパブレード2がその停止位置から所定作動角位置までの間の停止近傍領域J内に位置しているとき、つまりワイパブレード2の作動角が0°以上で所定作動角θ1未満のときには、その共通端子35を、ワイパモータ5の共通端子34に接続された端子36に橋絡してオフ状態となる一方、上記停止近傍領域J外に位置しているとき(ワイパブレード2の作動角が所定作動角θ1以上で最大作動角θ2以下のとき)には、その共通端子35を、電源ラインS1に接続された端子37に橋絡してオン状態に切り換わるように構成されている。
【0040】
上記CPU18は、各入力端子b2乃至b8に入力される電位信号を基に、操作レバー7の現在のポジション(位置)を判定するとともに、該判定結果を基に、制御出力端子b1からトランジスタ41に対してHレベル信号(ワイパモータ2の動作信号)を後述のタイミングと時間とで出力する信号出力処理を実行する。
【0041】
具体的には、CPU18は、ワイパスイッチ15がOFF位置にある場合において、その入力端子b8にてウォッシャ接点a6からのオン信号を検出することにより操作レバー7が上記ウォッシャON位置に引き操作(以下、ウォッシャON操作と呼ぶ)されたと判定したときには、図7及び図8に示すように、該ウォッシャ接点a6のオン信号の立ち上がり時(時刻t=t1の時)から遅延時間Tr(例えば0.3秒)経過後にトランジスタ41に対してHレベル信号を出力し始める。
【0042】
そして、該CPU18は、入力端子b8にてウォッシャ接点a6のオン信号が非検出となる(オフ信号を検出する)ことにより操作レバー7のウォッシャON操作が完了したと判定した場合において、該ウォッシャ接点a6のオン信号からオフ信号への切り換わり時(時刻t=t2の時)に入力端子b7にてオートストップスイッチ20のオフ信号を検出したときには(図7参照)、Hレベル信号の出力を、該切り換わり時(時刻t=t2)から更に所定時間Ta(後述する)延長した後に一旦停止する。そして、CPU18は、該停止後に、オートストップスイッチ20のオン信号からオフ信号への切り換わりを検知した時に時間幅が所定時間Taのステップ状のHレベル信号を出力する処理を、2回繰り返して信号出力を停止する。
【0043】
また、CPU18は、入力端子b8にてウォッシャ接点a6のオン信号が非検出となる(オフ信号を検出する)ことにより操作レバー7のウォッシャON操作が完了したと判定した場合において、該ウォッシャ接点a6のオン信号からオフ信号への切り換わり検出時(時刻t=t2の時)に入力端子b7にてオートストップスイッチ20のオン信号を検出したときには(図8参照)、該切り換わり検出と略同時にHレベル信号の出力を一旦停止する。そして、CPU18は、該停止後に、オートストップスイッチ20のオン信号からオフ信号への切り換わりを検知した時に時間幅が所定時間Taのステップ状のHレベル信号を出力する処理を、2回繰り返して信号出力を停止する。
【0044】
また、CPU18は、その入力端子b3にてINT接点a3からのオン信号を検出することにより操作レバー7がINT位置にあると判定したときには、ワイパ本体4を間欠駆動させるべくトランジスタ41に対して間欠的にステップ状のHレベル信号(図示省略)を出力する。
【0045】
以上のように構成された車両のワイパ装置1において、上記ワイパブレード2(ワイパ本体4)が停止位置にある場合において、操作レバー7が乗員によりウォッシャON操作されたときには、ウォッシャスイッチ16によりウォッシャ接点a6と端子c6とが橋絡されて、バッテリ電源から電源ラインS1→ウォッシャ接点a6→共通端子a6→ウォッシャモータ8→グラウンド(接地)の経路で電流が流れることとなる(図4参照)。そうしてウォッシャモータ8が回転駆動されてウィンド面上にウォッシャ液が噴射される。
【0046】
また、操作レバー7のウォッシャON操作に伴い、CPU18によりその入力端子b8にてウォッシャ接点a6のオン信号の立ち上がり検知されたときには、該検知時から遅延時間Tr経過後にCPU18からトランジスタ41に対してHレベル信号の出力が開始されて該ウォッシャON操作中持続される。
【0047】
この結果、操作レバー7のウォッシャON操作中は、バッテリ電源から電源ラインS1→第1リレーコイル25a→トランジスタ41→グラウンド(接地)の経路(図5参照)で電流が流れて、該第1リレーコイル25aが通電状態となることにより、第1リレースイッチ25bが駆動して(オフ状態からオン状態に切り替わって)常開接点27と共通端子29とが橋絡されることとなる。これにより、バッテリ電源から電源ラインS1→第1リレースイッチ25b→第2リレースイッチ26b→ワイパモータ5の低速回転端子L→グラウンド(接地)の経路(図5参照、以下第1通電路と呼ぶ)で電流が流れて、ワイパモータ5が低速で回転駆動され、これに伴って、ワイパブレード2(ワイパ本体4)が順方向(図1のT方向)に低速で駆動される。
【0048】
そして、操作レバー7のウォッシャON操作完了時(CPU18にてウォッシャ接点a6のオン信号からオフ信号への切り換わりが検知された時であって、図8の時刻t=t2の時)に、ワイパブレード2が所定作動角位置(図1参照)を通過して停止近傍領域J外に達していれば、つまりオートストップスイッチ20がオン状態になっていれば、図8に示すように、該ウォッシャON操作完了と略同時にCPU18からトランジスタ41への信号出力は一旦停止されて上記第1通電路を介したワイパモータ5の通電が遮断されるものの、バッテリ電源から電源ラインS1→オートストップスイッチ20→第1リレースイッチ25b→第2リレースイッチ26b→ワイパモータ5の低速回転端子L→グラウンド(接地)の経路(図6参照、以下第2通電路と呼ぶ)で電流が流れて、ワイパモータ5が引き続き回転駆動され、これに伴ってワイパブレード2も駆動し続ける。尚、ワイパモータ5は、ワイパブレード2が反転位置に達すると図示しない逆転スイッチの作動により逆回転して、ワイパブレード2を逆方向(図1のR方向)に駆動する。
【0049】
そして、ワイパモータ5が駆動し続ける結果、ワイパブレード2が上記所定作動角位置を通過して停止近傍領域J外から該領域J内に入ると、オートストップスイッチ20がオン状態からオフ状態に切り換わって上記第2通電路(図6参照)を介したワイパモータ5の通電が遮断されるものの、該切り換わり時(図8の時刻t=t3の時)から所定時間Taを経過するまでの間、CPU18からトランジスタ41に対してHレベル信号が出力され、これによって、上記第1通電路を介してワイパモータ5に電流が供給されてワイパモータ5が駆動し続けることとなる。
【0050】
ここで、所定時間Taは、本実施形態では、ワイパモータ5を所定速度(上記ウォッシャ連動モード用に予め設定された回転速度であり、本実施形態ではワイパモータ5の低速回転端子Lが通電したときのその回転速度であって、ワイパブレード2の摩耗状態等に起因する負荷変動よってこの回転速度が増減する場合には、考えられる最小回転速度)で駆動した場合において、ワイパブレード2が所定作動角位置から逆方向(R方向)に駆動されて上記停止位置を通過した後に、反転して順方向(T方向)に駆動されて該所定作動角位置に戻って来るまでの時間に等しく設定されており、従って、ワイパブレード2が上記所定作動角位置を通過後に再度、該所定作動角位置に戻って来るまでの間は、上記第1通電路を介してワイパモータ5が通電されて駆動し続けることとなる。
【0051】
そして、ワイパブレード2が上記所定作動角位置に戻って来た後は(停止近傍領域J外に出た後は)、オートストップスイッチ20がオフ状態からオン状態に切り換わって、上記第2通電路を介してワイパモータ5に電流が供給され、これに伴いワイパブレード2が順方向(T方向)に駆動し続ける。
【0052】
そうして、ワイパブレード2が順方向(T方向)に駆動し続けて反転位置まで達した後に反転して逆方向(R方向)に駆動されて所定作動角位置を通って停止近傍領域J内に入ると、オートストップスイッチ20はオン状態からオフ状態に切り換わるものの、CPU18からトランジスタ41に対して再度、該切り換わり時(図8の時刻t=t4)から所定時間Ta経過するまでの間Hレベル信号が出力される。
【0053】
これにより、オートストップスイッチ20がオフ状態に切り換わった後も、該切り換わり時から所定時間Ta経過するまでの間は上記第1通電路を介してワイパモータ5に電流が供給される。この結果、ワイパブレード2が逆方向(R方向)に駆動されて停止位置まで達した後に反転して順方向(T方向)に駆動されて所定作動角位置に戻って来るまでの間は、第1通電路を介してワイパモータ5が通電されて駆動し続けることとなる。
【0054】
そして、ワイパブレード2が上記所定作動角位置に戻って来た後は(停止近傍領域J外に出た後は)、上述の如く、オートストップスイッチ20がオフ状態からオン状態に切り換わって、上記第2通電路を介してワイパモータ5が通電されて駆動し続け、これに伴いワイパブレード2が順方向(T方向)に駆動し続ける。
【0055】
そうして、ワイパブレード2が順方向(T方向)に駆動されて反転位置に達した後に逆方向(R方向)に駆動されて所定作動角位置に達した後は、オートストップスイッチ20がオフ状態に切り換わって上記第2通電路を介したワイパモータ5の通電は遮断されるものの、ワイパモータ5は、ワイパブレード2を含むワイパ本体4の慣性力でもって回転し続けて、ワイパブレード2が停止位置に達すると停止する。
【0056】
このようにして、ワイパブレード2(ワイパ本体4)は、操作レバー7のウォッシャON操作が実行されると、該実行時から遅延時間Trだけ遅れて動作し始めるとともに、該ウォッシャON操作が完了したときから、該完了時に継続中の往復動作を含めて3回往復動作を繰り返して上記停止位置にて停止することとなる。
【0057】
一方、図7に示すように、操作レバー7のウォッシャON操作が完了した時(CPU18にてウォッシャ接点a6のオン信号からオフ信号への切り換わりが検知された時であって、時刻t=t2の時)に、ワイパブレード2が所定作動角位置(図1参照)に達しておうらず停止近傍領域J内に位置している、つまりオートストップスイッチ20がオフ状態になっている場合には、該ウォッシャON操作完了後も所定時間Taが経過するまでの間、CPU18からトランジスタ41への信号出力が継続される。この結果、ワイパモータ5は、上記第2通電路(図6参照)を介した通電が遮断されていても、上記第1通電路(図5参照)を介して通電されて駆動し続けることとなる。
【0058】
ここで、上記所定時間Taは、上述の如く、ワイパブレード2が所定作動角位置から上記停止位置を通過した後に再度、所定作動角位置に戻って来るまでの時間に等しい。従って、操作レバー7のウォッシャON操作の完了時に、ワイパブレード2が上記停止近傍領域J内のどこに位置していたとしても、ワイパモータ5は、該ワイパブレード2が所定作動角位置を通って停止近傍領域J外に出るまで、つまりオートストップスイッチ20がオン状態に切り換わるまで第1通電路を介して通電されて駆動し続けることとなる。
【0059】
そうして、オートストップスイッチ20が一旦オン状態に切り換わった後は、上述のウォッシャON操作完了時にオートストップスイッチ20がオン状態になっている場合(図8の場合)と同様に、ワイパブレード2の往復動作の復動作中(R方向の動作中)にオートストップスイッチ20がオン状態からオフ状態に切り換わった時にCPU18からトランジスタ41に対してHレベル信号を所定時間Ta出力する処理が2回繰り返される(図7参照)。この結果、ワイパブレード2は、操作レバー7のウォッシャON操作が完了したときから3回(ウォッシャON操作完了時にワイパブレード2が停止近傍領域J内で復動作(R方向に動作)中の場合には、該復動作が完了してから3回であり、ウォッシャON操作完了時にワイパブレード2が停止近傍領域J内で往動作(T方向に動作)中の場合には、該往動作を含む往復動作も含めて3回)往復動作を繰り返して上記停止位置にて停止することとなる。
【0060】
尚、操作レバー7がINT位置にあるときには、CPU18からトランジスタ41に対してHレベル信号が間欠的に出力される。この結果、トランジスタ41の作動により第1通電路を介してワイパモータ5が通電される状態(図5参照)と、該通電状態が遮断された非通電状態とが交互に切り換わって、ワイパモータ5が間欠駆動される。これによって、ワイパ本体4がウィンド面上にて間欠的に往復動作を繰り返すこととなる。
【0061】
また、操作レバー7がLO位置にあるときには、バッテリ電源から電源ラインS1→第1リレーコイル25a→LO接点a4→共通端子c1→グラウンド(接地)の経路で電流が流れることとなる。この結果、第1リレーコイル25aが常時通電状態となるので、バッテリ電源から第1及び第2リレースイッチ25b,26bを通ってワイパモータ5の低速回転端子Lに常時電流が流れて、ワイパモータ5が低速で連続的に回転駆動される。この結果、ワイパ本体4は、ウィンド面上にて低速で連続的に往復動作を繰り返すこととなる。
【0062】
また、操作レバー7が操作されてHI位置にあるときには、バッテリ電源から電源ラインS1→第2リレーコイル26a→HI接点a5→共通端子c1→グラウンド(接地)の経路で電流が流れることとなる。この結果、第2リレーコイル26aが常時通電状態となるので、バッテリ電源から第1及び第2リレースイッチ25b,26bを通ってワイパモータ5の高速回転端子Hに常時電流が流れて、ワイパモータ5が高速で連続的に回転駆動される。この結果、ワイパ本体4は、ウィンド面上にて高速で連続的に往復動作されることとなる。
【0063】
また、操作レバー7がMIST操作(OFF位置からMIST位置への操作)されたときには、バッテリ電源から電源ラインS1→第1リレーコイル25a→MIST接点a1→共通端子c1→グラウンド(接地)の経路で電流が流れる。そうして、第1リレーコイル25aが通電されると、第1リレースイッチ25bが駆動して常開接点27と共通端子29とが橋絡されることとなる。この結果、操作レバー7のMIST操作中は、バッテリ電源から電源ラインS1→第1リレースイッチ25b→第2リレースイッチ26b→ワイパモータ5の低速回転端子L→グラウンド(接地)の経路で電流が流れて、ワイパモータ5が低速で回転駆動され、これに伴ってワイパブレード2(ワイパ本体4)が停止近傍領域J外に達するとオートストップスイッチ20がオン状態となり、この結果、MIST操作完了後も、ワイパブレード2が停止位置に戻ってくるまでワイパモータ5が駆動される。
【0064】
以上の如く上記実施形態では、上記CPU18は、操作レバー7のウォッシャON操作が完了してウォッシャスイッチ16がオン状態からオフ状態に切り換わった場合に、ワイパブレード2(ワイパ本体4)を該切り換わったときから3回往復動作させるべく、上記トランジスタ41に対してHレベル信号(動作信号)を出力するようになっていて、ワイパブレード2(ワイパ本体4)の最後の往復動作の1つ前の往復動作の復動作中(図1のR方向の動作中)に上記オートストップスイッチ20がオン状態からオフ状態に切り換わった時から、所定時間Ta経過するまでの間、Hレベル信号を継続して出力した後に該出力を停止するように構成されている(図7及び図8参照)。
【0065】
これにより、ワイパブレード2は、上述の如く、操作レバー7のウォッシャON操作の操作時間に拘わらず、該ウォッシャON操作完了のときから3回往復動作するとともに、最後の往復動作の往動作(図1のT方向の動作)時に、停止近傍領域J内で停止することなく上記所定作動角位置まで確実に駆動されることとなる。そうして、ワイパブレード2は、所定作動角位置に達した後は、オートストップスイッチ20の作動により一往復して停止位置にて停止する。よって、操作レバー7のウォッシャON操作の操作時間に拘わらず、ワイパブレード2を確実に停止位置にて停止させることができて、該ワイパブレード2がウィンド面上で途中停止することにより、乗員の視界が邪魔されたりウィンド面上の外観が損なわれたりするのを確実に防止することができる。
【0066】
また、操作レバー7のウォッシャON操作完了後の往復動作を3回としたことで、該ウォッシャON操作によりウィンド面上に噴射されたウォッシャ液を、拭き取り過ぎてウィンド面を痛めることなく乗員の視界が低下しない程度に適度に払拭することができる。
【0067】
また、上記実施形態では、操作レバー7は、上記車両のステアリングコラム6の左側側面6aから車幅方向左側に延びていて、その基端部を支点として、ステアリングコラム6の軸方向の乗員側に引き操作可能に構成されており、上記ウォッシャスイッチ16は、操作レバー7が引き操作されたときにはオン状態とされるように構成されている。
【0068】
これにより、乗員は、操作レバー7を手前側に引くという簡単な操作(所定操作)を行うだけで、ウォッシャスイッチ16をオン状態としてウィンド面上にウォッシャ液を噴射するとともに、ワイパブレード2(ワイパ本体4)を往復動作させることができる。
【0069】
また、上記実施形態では、CPU18は、操作レバー7のウォッシャON操作に伴いウォッシャスイッチ16のオン状態への立ち上がりを検知したときには、該検知時から遅延時間Tr経過後に、トランジスタ41へのHレベル信号の出力を開始するようになっている。これにより、ウォッシャ液をウィンド面上に噴射してから遅延時間Trだけ遅れて、ワイパモータ5の駆動が開始してワイパブレード2が往復動作し始める。従って、ウィンド面上にウォッシャ液が十分に噴射される前にワイパブレード2が作動することで、ウィンド面が該ワイパブレード2により乾拭きされて傷つくのを防止することができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、CPU18は、操作レバー7のウォッシャON操作の完了によりウォッシャスイッチ16のオン状態からオフ状態への切り換わりを検知した後に、時間幅がTaのパルス状のHレベル信号を2回出力することで、該操作完了のときからワイパブレード2(ワイパ本体4)を合計3回往復動作させるようになっているが、これに限ったものではなく、例えば図9に示すように、ウォッシャスイッチ16のオフ状態への切り換わり後(時刻t=t2以降)も継続してHレベル信号を出力するようにしてもよい。この場合、ウォッシャスイッチ16のオフ状態への切り換わりを検知した後に、上記実施形態と同様にワイパブレード2の最後の往復動作の1つ前の往復動作の復動作中にオートストップスイッチ20がオン状態からオフ状態に切り換わり時(時刻t=t4の時)から所定時間Ta経過後に信号出力を停止するようにすればよい。
【0070】
また、上記実施形態では、所定時間Taは、ワイパブレード2が所定作動角位置から上記停止位置を通過して再度、該所定作動角位置に戻って来るまでの時間に等しいものとされているがそれ以上であってもよい。この場合、この所定時間Taは、ワイパブレード2が所定作動角位置から上記停止位置を通過して該所定作動角位置に戻って来た後に、反転位置にて反転して再度該所定作動角位置に達するまでの時間以下であることが好ましい。
【0071】
上記実施形態では、操作レバー7を乗員が操作することによりウォッシャスイッチ16のオン/オフ状態の切り換えが可能になっているが、これに限ったものではなく、例えば操作レバー7に代えてプッシュ式ボタンを採用するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、CPU18は、操作レバー7のウォッシャON操作に伴いウォッシャスイッチ16のオン状態への立ち上がりを検知したときには、該検知時から遅延時間Tr経過後に、トランジスタ41へのHレベル信号の出力を開始するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば該検知と略同時にHレベル信号の出力を開始させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、乗員操作用のスイッチ操作手段の所定操作に連動する、ウォッシャ液噴射用のウォッシャスイッチと、該ウォッシャスイッチのオン/オフ状態を検知してワイパモータの動作信号を出力するモータ制御手段とを備えた車両のワイパ装置に有用であり、特にオートストップスイッチを備えた車両のワイパ装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態に係る車両のワイパ装置のワイパ本体の作動領域とオートストップスイッチのオン/オフ領域との関係を示す模式図である。
【図2】車両のワイパ装置を示す、車室内の乗員左側から見た斜視図である。
【図3】車両のワイパ装置の制御回路図である。
【図4】操作レバーが引き操作されてウォッシャスイッチがオン状態にある場合において、バッテリ電源からウォッシャスイッチを介してグラウンドに流れる電流経路を示す図である。
【図5】CPUからトランジスタに対してHレベル信号が出力され且つオートストップスイッチがオフ状態にある場合において、バッテリ電源から流れる電流経路を示す図である。
【図6】オートストップスイッチがオン状態に切り換わることにより形成される電流経路を示す図である。
【図7】ウォッシャスイッチ(ウォッシャ接点)のオン/オフ、CPUからトランジスタへの出力信号のオン/オフ、オートストップスイッチのオン/オフ及びリレーのオン/オフの関係を示し、ウォッシャスイッチのオン状態からオフ状態への切り換わり時にオートストップスイッチがオフ状態となっている場合におけるタイムチャートである。
【図8】ウォッシャスイッチのオン状態からオフ状態への切り換わり時にオートストップスイッチがオン状態となっている場合の図7相当図である。
【図9】他の実施形態を示す図7相当図である。
【符号の説明】
【0075】
Ta 所定時間
2 ワイパブレード
3 ワイパアーム
4 ワイパ本体
5 ワイパモータ
6 ステアリングコラム
7 操作レバー(スイッチ操作手段)(レバー部材)
16 ウォッシャスイッチ
18 CPU(モータ制御手段)
20 オートストップスイッチ
25 第1リレー(スイッチング手段)
41 トランジスタ(スイッチング手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンド面を払拭するワイパブレードと該ワイパブレードを支持するワイパアームとからなるワイパ本体と、該ワイパ本体を該ワイパブレードが停止位置と反転位置との間で往復動作するように往復駆動するワイパモータと、乗員により操作されるスイッチ操作手段と、該スイッチ操作手段の所定操作実行中はオン状態とされてウォッシャ液噴射用のウォッシャモータの通電路を形成する一方、非実行中はオフ状態とされて当該通電路を遮断するウォッシャスイッチと、該ウォッシャスイッチのオン状態を検知したときに、上記ワイパモータの動作信号を出力するモータ制御手段と、該モータ制御手段から出力される動作信号を受けて該ワイパモータの通電路を形成するべく作動するスイッチング手段と、上記ワイパ本体のワイパブレードが上記停止位置から所定作動角位置に達するまでの停止近傍領域の外に位置しているときに、オン状態とされて該スイッチング手段が非作動であっても該ワイパモータの通電路を確保する一方、該停止近傍領域内に位置しているときには、オフ状態とされて当該通電路を遮断するオートストップスイッチとを備えた車両のワイパ装置であって、
上記モータ制御手段は、上記スイッチ操作手段の所定操作が完了して上記ウォッシャスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった場合に、上記ワイパ本体を該切り換わったときから所定回数往復動作させるべく上記スイッチング手段に対して上記動作信号を出力するようになっていて、該ワイパ本体の最後の往復動作の1つ前の往復動作の復動作中に上記オートストップスイッチがオン状態からオフ状態に切り換わった時から、所定時間経過するまでの間、上記動作信号を継続して出力した後に該出力を停止するように構成されていることを特徴とする車両のワイパ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両のワイパ装置において、
上記所定時間は、上記ワイパ本体の往復動作により上記ワイパブレードが上記所定作動角位置から上記停止位置に達した後に該所定作動角位置に戻って来るまでの時間以上に設定されていることを特徴とする車両のワイパ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両のワイパ装置において、
上記所定回数は3回であることを特徴とする車両のワイパ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両のワイパ装置において、
上記スイッチ操作手段は、上記車両のステアリングコラムの側面から延びるレバー部材とされ、
上記レバー部材は、その基端部を支点として、少なくとも上記ステアリングコラムの軸方向の乗員側に引き操作可能に構成されており、
上記スイッチ操作手段の所定操作は、上記レバー部材の上記乗員側への引き操作であり、
上記ウォッシャスイッチは、上記レバー部材が上記乗員側に引き操作されたときにオン状態とされるように構成されていることを特徴とする車両のワイパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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