説明

車両の充電器接続構造

【課題】取り付けスペースの確保やコスト増を押さえることが容易な上に、充電器接続部が外部から不正操作されることを防止できる車両の充電器接続構造を提供する。
【解決手段】車体外壁1の充電器接続室4と、該充電器接続室に収容され,充電器2に接続された給電コネクタ3が差し込まれることで電池BTを充電する車体側コネクタ12と、充電器接続室の充電リッド5と、を備え、リッド本体6を充電器接続室の開口401を開放する開位置P1と閉鎖する閉位置P2とに枢支するヒンジ20と、該リッド本体が閉位置に保持される際に、差し込まれている給電コネクタ3を離脱阻止の状態で嵌合する切欠部7と、給電コネクタ3との干渉を避けると共に差し込まれていないと切欠部を閉鎖する補助蓋8とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載の電池を充電する際に車体側コネクタに対し車外の充電器側の給電コネクタを差し込み接続するようにした車両の充電器接続構造、特に、充電器接続構造に対する不正操作を防止することができるようにした車両の充電器接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を駆動源とする自動車以外の車種として、エンジン及びモータの両方を駆動源として動くハイブリッド車や、モータで動く電気自動車がある。この種の電動自動車においては、電池の電圧が低下した場合、電池に充電を行う必要がある。この充電方法としては、例えば給電コネクタ等の外部充電器の入力側を家庭用コンセント(交流100V)に接続するとともに、出力側を車両の車体側コネクタに接続することにより行う方法や、或いは電動自動車を電気スタンドに接続して充電を行う方法などがある。
【0003】
電気自動車の電池に充電を行う場合、車体外壁に開閉蓋を設け、その内部に車体側コネクタを配備し、適時に開閉蓋を開放して、車体側コネクタに充電器の充電用コネクタを差し込むことで充電回路を接続し、車載された電池を充電している。
ところで車体側充電器に対し充電器の充電用コネクタ(給電コネクタ)が差し込まれる充電器接続部は車両の外壁に設けられ、このため、不正操作に対する防御機能を発揮できる構成を付加する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、車体の前部に充電リッドに開閉される収容空間を設け、そこに充電ポート(車体側コネクタ)を設置し、該充電ポートのコネクタ部に充電器のパドル(充電用コネクタ)を挿入して、電池を充電している。この場合、充電ポートのコネクタ部に充電器のパドル(充電用コネクタ)を差し込んだ際に、この差込変位を受けて、てこ部材、スライド部材、充電リッドがこの順に連動し、特に、充電リッドが横スライド変位から縦スライド変位に切り換わり、その充電リッドの先端片部がパドルの内側貫通穴に差し込まれ、ロックされるという構成を採る。
これにより、正規の操作により充電リッドのロックが解かれ、充電リッドの先端片部が上方に回動してパドルより離脱しない限り、充電ポートからパドルが抜かれたり、充電器ごと盗まれるといった不正操作に対して、防御機能を発揮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−332024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、車外の充電器により車載された電池を充電するための充電回路はその途中に車両の外壁に設けられた充電器接続部を備え、その充電器接続部には不正操作に対する防御機能を発揮できる構成を付加する必要がある。
しかし、特許文献1のような構成を採った場合、充電ポートのコネクタ部へのパドルの差し込みによる差込変位に連動し、てこ部材、スライド部材、充電リッドを連動させ、充電リッドのスライド方向を横スライド変位から縦スライド変位に切り換える等の複雑な構成を必要とし、これが、取り付けスペースの確保や、コスト増という問題を生じており、これらの点を解決する必要がある。
【0007】
本発明は以上のような課題に基づきなされたもので、目的とするところは、取り付けスペースの確保やコスト増を押さえることが容易な上に、充電器接続部が外部から不正操作されることを防止できる車両の充電器接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1の発明は、車体外壁に凹接される充電器接続室と、該充電器接続室に収容されると共に車外の充電器に接続された給電コネクタが差し込まれることで車載の電池を充電する車体側コネクタと、前記充電器接続室を開放可能に閉鎖する充電リッドと、を備えた車両の充電器接続構造において、前記充電リッドは、前記充電リッドが閉位置に保持される際に、前記車体側コネクタに差し込まれた給電コネクタを離脱阻止の状態で嵌合する切欠部と、車体側コネクタに差し込まれた給電コネクタとの干渉を避けると共に前記給電コネクタが差し込まれていないと前記切欠部を閉鎖する補助蓋と、を有することを特徴とする。
【0009】
本願請求項2の発明は、請求項1記載の車両の充電器接続構造において、前記給電コネクタは前記車体側コネクタに差し込まれた状態よりその離脱方向への変位が阻止されるよう前記切欠部に係止される係止突部が形成された、ことを特徴とする。
【0010】
本願請求項3の発明は請求項1または2記載の車両の充電器接続構造において、前記補助蓋は退避位置と前記切欠部を閉鎖する閉鎖位置とに回動可能なように前記充電リッドに枢支された、ことを特徴とする。
【0011】
本願請求項4の発明は、請求項3記載の車両の充電器接続構造において、前記補助蓋は該補助蓋の本体より該本体の枢支線に対して本体とは回転方向で反対側に延びる延出片を一体形成し、該延出片は前記補助蓋が閉鎖位置に達した際に前記充電器接続室内の固定突部と前記充電リッドとにより回動不可に挟持される、ことを特徴とする。
【0012】
本願請求項5の発明は請求項1または2記載の車両の充電器接続構造において、前記補助蓋は退避位置と前記切欠部を閉鎖する閉鎖位置とにスライド移動可能に前記充電リッドに支持された、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5記載の車両の充電器接続構造において、前記スライド移動可能な補助蓋は前記切欠部を閉鎖する閉鎖位置に達した際に、該補助蓋の突起部が前記充電器接続室内の固定係止部にスライド不可に係止される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一つの車両の充電器接続構造において、前記充電リッドが閉位置に保持される際に、前記切欠部は前記車体側コネクタに差し込まれた給電コネクタのコネクタ主部より車外側に突き出す突部を離脱阻止の状態で嵌合する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明は、充電リッドが閉位置に保持される際に、車体側コネクタに差し込まれる給電コネクタが不正に車外へ離脱操作されようとしても、閉位置に保持される充電リッドの切欠部に車体側コネクタが係止され、給電コネクタの不正な離脱操作を防止できる。一方、車体側コネクタに給電コネクタが差し込まれていない場合には、充電リッドに支持された補助蓋が切欠部を閉鎖するので、充電器接続室への不正操作が行われることを防止できる。
【0016】
請求項2の発明は、充電リッドが閉位置に保持される際に、車体側コネクタに差し込まれている給電コネクタが不正に車外へ離脱操作されようとしても、閉位置に保持される充電リッドの切欠部に車体側コネクタの係止突部が確実に係止され、給電コネクタの不正な離脱操作を確実に防止できる。
【0017】
請求項3の発明は、車体側コネクタに給電コネクタが差し込まれている際に、充電リッドが開位置から閉位置に切換られると、充電リッドに枢支される補助蓋が閉鎖位置より退避位置に容易に回動変位でき、スムーズに充電リッドを閉位置に切換保持でき、そこで、充電リッドの切欠部に車体側コネクタの膨出部が確実に係止され、給電コネクタの不正な離脱操作を防止できる。
【0018】
請求項4の発明は、車体側コネクタに給電コネクタが差し込まれてない状態で充電リッドが閉位置に保持される際に、充電リッドと充電器接続室内の固定突部とが延出片を回動不可に挟持するので、延出片と一体の補助蓋が切欠部を確実に閉鎖保持でき、切欠部からの充電器接続室への不正操作を確実に防止できる。
【0019】
請求項5の発明は、車体側コネクタに給電コネクタが差し込まれている場合に、充電リッドが開位置から閉位置に切換られると、充電リッドにスライド移動可能に支持された補助蓋が閉鎖位置より退避位置に容易に摺動変位でき、スムーズに充電リッドを閉位置に切換保持でき、そこで、充電リッドの切欠部に車体側コネクタの膨出部が確実に係止され、給電コネクタの不正な離脱操作を防止できる。
【0020】
請求項6の発明は、スライド移動可能な補助蓋が切欠部を閉鎖する閉鎖位置に達した際に、該補助蓋の突起部が充電器接続室内の固定係止部にスライド不可に係止されるので、補助蓋が切欠部を確実に閉鎖保持でき、切欠部からの充電器接続室への不正操作を確実に防止できる。
【0021】
請求項7の発明は、前記充電リッドが閉位置に保持される際に、車体側コネクタに差し込まれた給電コネクタのコネクタ主部より車外側に突き出す突部との干渉を切欠部が防止でき、しかも、コネクタ主部側を車体側コネクタに差し込んだままの状態で、離脱阻止の状態に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態としての車両の充電器接続構造を適用した車両の全体図である。
【図2】図1の充電器接続構造の非充電時の側断面図である。
【図3】図1の充電器接続構造の平断面図である。
【図4】図1の充電器接続構造の充電時の側断面図である。
【図5】図1の充電器接続構造の非充電時の部分斜視図である。
【図6】図1の充電器接続構造の給電コネクタの接続時の部分斜視図である。
【図7】図1の充電器接続構造の給電コネクタの接続後の充電時の部分斜視図である。
【図8】図1の充電器接続構造で用いる変形例としての充電リッドの概略断面図である。
【図9】本発明の充電器接続構造の第2実施形態で用いる充電リッドの概略断面図である。
【図10】図9の充電器接続構造で用いる充電リッドを示し、(a)はコネクタカバー閉時を、(b)開時を、(c)分解時を示す斜視図である。
【図11】本発明の充電器接続構造の第3実施形態で用いる充電リッドの概略斜視図で、(a)はコネクタカバー閉時、(b)は開時を示す斜視図、(c)は給電コネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1の実施の形態である車両の充電器接続構造について説明する。
図1は、本発明の車両の充電器接続構造と同車両の充電器接続構造を取り付けた電気自動車(以後単に車両と記す)Cの全体構成図である。
車両Cは、不図示のモータジェネレータを備え、これが車載のバッテリ(電池)BTからの電力供給を適時に受けることで駆動し、これに連動して車輪1が回転して走行する。 このため、車両のバッテリ(電池)BTの充電量は車両Cの走行量が増加するのに応じて、低下するため、充電残量が所定値を下回るとバッテリBTには外部電力の供給を可能とする充電器2が接続され、外部電力により充電される。
【0024】
充電器2接続のため、車両Cには車両の充電器接続構造が採用され、これが車体後部の外側壁13に装備されている。
図2、3に示すように、車体後部の外側壁13には充電器接続室4が凹接される。
充電器接続室4の内部の最深部側の低壁11には車体側コネクタ12が取り付け支持されている。車体側コネクタ12は配線を延出してバッテリBTに接続され、これにより、車体側コネクタ12に充電器2側の給電コネクタ3が差し込まれることでバッテリBTに電力供給する車体側の充電器接続回路が形成されている。
充電器2の給電コネクタ3は車体側コネクタ12に差し込まれたコネクタ主部301と、その車体側コネクタに差し込まれた状態においてコネクタ主部301より車外側に突き出す突部302とからなる。
【0025】
コネクタ主部301は膨出形状の接合端に車体側コネクタ12の複数の受け側端子(不図示)と差し込み嵌合する差込側端子(不図示)を保持し、突部302は充電器2側の給電ケーブル201の延出端を導入保持し、その給電ケーブル201内の各配線を各差込側端子に接続している。
このような給電コネクタ3の外殻部は図3に示すように、コネクタ主部301と突部302との接続部が段状を成し、係止突部303が形成される。この係止突部303が後述する切欠部7に対し離脱阻止機能を発揮するが、この点は後述する。
図2に示すように、充電器接続室4の開口401は充電リッド5により開放可能に閉鎖される。
【0026】
図5に示すように、充電リッド5は正面視で円形のリッド本体6とその下端側に形成された切欠部7を開閉可能に閉鎖する補助蓋としてのコネクタカバー8と、リッド本体6の下端側に取り付けられたストライカ10(図3参照)とで形成される。
図2に示すように、リッド本体6はその上端近傍を充電器接続室4内の内壁にリッドヒンジ20を介して枢支され、このリッドヒンジ20が設定する横向き回転中心線L1(図5参照)回りにリッド本体6がその下方端側を回動端601として上方に回動して開錠位置P1に保持され、下方に回動して閉鎖位置P2に保持される。
【0027】
図3、4に示すように、閉鎖位置P2ではリッド本体6の下端側に取り付けられたストライカ10が充電器接続室4の内壁下部に取り付けられた可動係止爪20に係合することで、閉鎖位置P2が保持される。可動係止爪20は突き出し方向にばね21で突き出し付勢されており、ストライカ10を係止した閉鎖状態において、ソレノイドからなる開錠アクチュエーター31が制御手段32からの開錠出力を受けた際に、ばね力に抗して開錠作動して、ストライカ10を開放し、リッド本体6の開放作動を許容できる。
【0028】
図3、5に示すように、充電リッド5の回動端601側の切欠部7は略矩形を成し、補助蓋であるコネクタカバー8により開放可能に閉鎖される。切欠部7の上端側周縁部の近傍にカバーヒンジ9の枢支部901が膨出状に形成され、そのカバーヒンジ9のピン902が設定する横向き回転中心線L2(図5参照)回りにコネクタカバー8がその下方端側を回動端801として開放回動可能に枢支される。
図2に示すように、コネクタカバー8は切欠部7を覆う略矩形の本体802と、本体802の横向き回転中心線L2に対して本体802とは回転方向で反対側に延びる延出片803とを備え、これらが一体形成されている。
【0029】
図2に示すように、コネクタカバー8は、充電リッド5が閉鎖位置P2に保持された状態において、切欠部7を覆う閉位置D1にあると、その延出片803がリッド本体6の内壁に当接すると共にこのリッド本体6と充電器接続室4内の固定突部15とにより回動不可に挟持されるよう形成されている。
即ち、充電リッド5が閉鎖位置P2に保持された状態において、リッド本体6の内側突部601と固定突部15が延出片803を挟持することで、コネクタカバー8を開閉不可に保持するロック機能を発揮することができる。これにより、コネクタカバー8が例え開放方向に操作力(図2中の符号Fp)を受けても、回動変位せず、閉位置D1を保持し、切欠部7を確実に覆ったロック状態を保持できる。
【0030】
更に、充電リッド5は閉鎖位置P2より、図6に示すように、開放位置P1に保持されることで、車体側コネクタ12に充電器2側の給電コネクタ3が差し込まれる。この状態より図7に示すように、充電リッド5が閉鎖位置P2に閉操作されることで、図4に示すように、ストライカ10が可動係止爪20に係止され、閉鎖位置P2に保持される。
閉鎖位置P2への閉鎖変位時において、図3、4に示すように、切欠部7に給電コネクタ3の突部302が突入し、これがコネクタカバー8の本体802を開作動する。この場合、本体802の反対側に延びる延出片803がコネクタ主部301に重なるように当接する。この状態において、ストライカ10が可動係止爪20に係止され、充電リッド5が閉鎖位置P2に達することで、充電状態として保持される。なお、この状態は開放指令を制御手段32が受けた場合に、制御手段32の開出力で開錠アクチュエーター31がばね力に抗して開錠作動することで、リッド本体6の開放作動を許容できる。
【0031】
給電コネクタ3のコネクタ主部301と突部302との接続部には段状の係止突部303が左右に形成されており、両係止突部303が切欠部7の内側縁部に当接し、給電コネクタ3の外部への移動が阻止された状態を保持できる。即ち、給電コネクタ3の外殻部の係止突部303が切欠部7に係止されることで離脱阻止機能を発揮できる。
このように、図1の車両の充電器接続構造を適用した車両Cは、非充電時である通常時には、充電リッド5が閉鎖位置P2(図5参照)に保持され、その状態はストライカ10が可動係止爪20に係止されることで保持される。更に、充電リッド5のリッド本体6に横向き回転中心線L2を介して枢支されるコネクタカバー8は、リッド本体6と固定突部15が延出片803を挟持するというコネクタカバー8のロック機能により切欠部7を覆ったロック状態を保持できる。このため、非充電時である定常時に外部からの不当な開放方向への操作力Fp(図2参照)を受けても、回動変位せず、閉位置D1を保持でき、充電器接続室4内の車体側コネクタ12が不正にいたずらされることを防止できる。
【0032】
一方、車両Cが走行を止めて、充電器2に対向配備され、充電リッド開指示が制御手段32に入力されると、開錠アクチュエーター31が可動係止爪20によるストライカ10の係止を解除し、充電リッド5が開放作動される(図6参照)。次いで、充電器接続室4内の車体側コネクタ12に給電コネクタ3を差し込み、バッテリBTに充電器の電力を供給する充電器接続回路を開通させる。
その上で充電リッド5が閉鎖位置P2に回動操作されると(図7参照)、給電コネクタ3の突部302が切欠部7に突入し、コネクタカバー8が開く。この際、図4に示すように、延出片803は給電コネクタ3に当接するのみで、充電リッド5の閉鎖作動はスムーズになされ、ストライカ10が可動係止爪20を乗り越えた上で係止され、離脱阻止機能が発揮される。即ち、リッド本体6が閉鎖位置P2に保持されることで、給電コネクタ3の係止突部303が切欠部7の両側縁に係止され(図3参照)、たとえ、充電中に、車体側コネクタ12と嵌合する給電コネクタ3が不正操作により、引き抜き方向に引っ張り力F1(図4参照)を受けても、係止突部303が切欠部7に確実に係止され、給電コネクタ3の不正な離脱操作を確実に防止できる。
【0033】
上述のところで、充電リッド5は、リッド本体6にカバーヒンジ9を介してコネクタカバー8が枢支され、リッド本体6と固定突部15が延出片803を挟持することでコネクタカバー8のロック機能が働く。これに対し、図8に示した充電リッド5aのコネクタカバー8aは、リッド本体6aにカバーヒンジ9を介してコネクタカバー8aが枢支されるが、コネクタカバー8aの回動端は、長さa1の主部801aに対し、回動端が鍵状に屈曲し、長さb1の爪部802が形成される。
このようなコネクタカバー8aは、充電リッド5が開放位置P1から閉鎖位置P2に回動される場合、回動端となるコネクタカバー8aの下端e1,爪部802の先端e2の回動半径は共にr1であり、充電器接続室4の開口401に干渉せずに開閉可能である。一方、リッド本体6aが開口401を覆う閉鎖位置P2にストライカ10と可動係止爪20の働きでロックされた状態(図2参照)において、リッド本体6にカバーヒンジ9を介して枢支されたコネクタカバー801aのみが外方に引っ張り力Fpaを受けても、カバーヒンジ9と爪部802の先端e2の回動半径はr2であり、コネクタカバー8aの長さa1より大きく、先端e2が充電器接続室4の開口周縁部nに当接し、回動不可となり、不正な開放操作は阻止される。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態を図9、10に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態に記載の充電リッド5を変更したのみの構成であることから、同様の構成部分は同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
図9,10(a)に示す、充電リッド5bは正面視で矩形のリッド本体6bとその下端側に形成された切欠部7bをスライド移動可能に閉鎖するコネクタカバー8bと、リッド本体6bの内側下端側に取り付けられたストライカ10b(図9参照)とで形成される。リッド本体6bはその上端近傍を充電器接続室4内の内壁nにリッドヒンジ20bを介して枢支され、リッドヒンジ20bが設定する横向き回転中心線L1回りに矩形のリッド本体6bがその下方端側を回動端601bとして上方に回動して開錠位置P1に保持され、下方に回動して閉鎖位置P2に保持される。
【0035】
図9に示すように、閉鎖位置P2ではリッド本体6bの下端側に取り付けられたストライカ10bが充電器接続室4の内壁下部に取り付けられた可動係止爪20に係合することで、閉鎖位置P2が保持されるものであり、同部は第1実施形態と同様の構成を採る。
図10に示すように、充電リッド5bの回動端601b側の切欠部7bは略矩形を成し、摺動するコネクタカバー8bにより開放可能に閉鎖される。図9に示すように、切欠部7bの左右周縁部には上ガイド溝m1と、下ガイド溝m2が形成され、左右の上ガイド溝m1にはコネクタカバー8bの左右の上スライドピンg1が、左右の下ガイド溝m2には左右の下スライドピンg2が摺動可能に嵌合する。ここで、上ガイド溝m1と下ガイド溝m2の各下部側に対し、各上部側は内外方向(図9で左側)で段差kを保ち、これによりコネクタカバー8bが切欠部7bを閉鎖する閉鎖載置Db1より、切欠部7bを開放してリッド本体6bの裏側に達する開放位置Db2とに移動することを可能としている。
【0036】
このような図9の車両の充電器接続構造を適用した車両Cが非充電時である通常時にあると、充電リッド5bが閉鎖位置P2(図9、10(a)参照)に保持され、その状態はストライカ10が可動係止爪20に係止されることで横向き回転中心線L2回りの回動を阻止されて保持される。図9に示すように、コネクタカバー8bは、その本体の裏側上端に突設される係止片8b1が充電器接続室4内の固定突片15bに係止され、ロック状態を保持できる。このため、通常時に外部からの不当な上向きの操作力Fpbを受けても、切欠部7bを覆ったまま変位せず、閉位置D1を保持でき、充電器接続室4内の車体側コネクタ12が不正にいたずらされることを防止できる。
【0037】
一方、車両の充電時において、充電リッド開指示に応じて制御手段32が開錠アクチュエーター31を駆動し、充電リッド5bが開放作動され、充電リッド5bが開位置P1に作動され、充電器接続室4内の車体側コネクタ12に給電コネクタ3を差し込まれる。
その上で充電リッド5bが閉鎖位置P2に回動操作されると共にコネクタカバー8bが開放位置Db2にスライドされる。この操作で係止片8b1が充電器接続室4内の固定突片15bに対し非係止状態を保てる。次いで、その状態で給電コネクタ3の突部302が切欠部7bに相対的に突入し、充電リッド5の閉鎖作動がなされ、ストライカ10が可動係止爪20を乗り越えた上で係止され、離脱阻止機能が発揮される。
【0038】
即ち、リッド本体6bが閉鎖位置P2に保持されることで、給電コネクタ3の係止突部303が切欠部7の両側縁に係止され、たとえ、引き抜き方向に引っ張り力Fb1(図9参照)を受けても、係止突部303が切欠部7に確実に係止され、給電コネクタ3の不正な離脱操作を確実に防止できる。
上述のところで、充電リッド5、5a、5bは閉鎖位置P2より上方側に回動して開放位置P1に達する構成を採っていたが、これに限定されるものではなく、例えば、図11(a),(b)に示すように、矩形の充電リッド5cが縦向きの回転中心線L1回り横開きし、その充電リッド5cの切欠部7cをコネクタカバー8cが横向きの回転中心線L2回りに上下に開閉するという構成を採っても良く、この場合も、図11(c)に示すように、車体側コネクタ12に結合された給電コネクタ3cのコネクタ主部301cと突部302cとの接続部には一方側にのみ係止突部303cが形成され、係止突部303cが切欠部7cの一方の側縁部に当接し、給電コネクタ3cの外部への移動Qを阻止しても良く、この場合も、給電コネクタ3の一つの係止突部303cが切欠部7cに係止されることで離脱阻止機能を発揮できる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 車体外壁
2 充電器
3 給電コネクタ
301 コネクタ主部
302 突部
303 係止突部
4 充電器接続室
401 電器接続室の開口
5、5a、5b、5c 充電リッド
6 リッド本体
601 充電リッドの回動端
7 切欠部
8 コネクタカバー(補助蓋)
801 下方端側を回動端
9 カバーヒンジ
12 車体側コネクタ
20 リッドヒンジ
BT 電池
L1 横向き回転中心線(リッドヒンジ側)
L2 横向き回転中心線(カバーヒンジ側)
P1 開位置
P2 閉位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外壁に凹接される充電器接続室と、該充電器接続室に収容されると共に車外の充電器に接続された給電コネクタが差し込まれることで車載の電池を充電する車体側コネクタと、前記充電器接続室を開放可能に閉鎖する充電リッドと、を備えた車両の充電器接続構造において、
前記充電リッドは、前記充電リッドが閉位置に保持される際に、前記車体側コネクタに差し込まれた給電コネクタを離脱阻止の状態で嵌合する切欠部と、車体側コネクタに差し込まれた給電コネクタとの干渉を避けると共に前記給電コネクタが差し込まれていないと前記切欠部を閉鎖する補助蓋と、を有することを特徴とする車両の充電器接続構造。
【請求項2】
前記給電コネクタは前記車体側コネクタに差し込まれた状態よりその離脱方向への変位が阻止されるよう前記切欠部に係止される係止突部が形成された、ことを特徴とする請求項1記載の車両の充電器接続構造。
【請求項3】
前記補助蓋は退避位置と前記切欠部を閉鎖する閉鎖位置とに回動可能なように前記充電リッドに枢支された、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両の充電器接続構造。
【請求項4】
前記補助蓋は該補助蓋の本体より該本体の枢支線に対して本体とは回転方向で反対側に延びる延出片を一体形成し、該延出片は前記補助蓋が閉鎖位置に達した際に前記充電器接続室内の固定突部と前記充電リッドとにより回動不可に挟持される、ことを特徴とする請求項3記載の車両の充電器接続構造。
【請求項5】
前記補助蓋は退避位置と前記切欠部を閉鎖する閉鎖位置とにスライド移動可能に前記充電リッドに支持された、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両の充電器接続構造。
【請求項6】
前記スライド移動可能な補助蓋は前記切欠部を閉鎖する閉鎖位置に達した際に、該補助蓋の突起部が前記充電器接続室内の固定係止部にスライド不可に係止される、ことを特徴とする請求項5記載の車両の充電器接続構造。
【請求項7】
前記充電リッドが閉位置に保持される際に、前記切欠部は前記車体側コネクタに差し込まれた給電コネクタのコネクタ主部より車外側に突き出す突部を離脱阻止の状態で嵌合する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つの車両の充電器接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−218530(P2012−218530A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84832(P2011−84832)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】