車両の後部車体構造
【課題】限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、しかも後方視界の確保と、車両補器使用時において該車両補器を積載荷物に影響されることなく迅速に取出すことができる車両の後部車体構造を提供する。
【解決手段】リフトゲート30は、該リフトゲート30の上部にヒンジ部20を有して上下方向に開閉可能に支持され、リフトゲート30の上部には、車幅方向にわたって閉断面35を成したリフトゲートメンバ36が配設され、リフトゲートメンバ36の内部に位置する収納部40が配設され、収納部40には、少なくともその一部がリフトゲートメンバ36による閉断面35とオーバラップするように車両補器41が配設されたことを特徴とする。
【解決手段】リフトゲート30は、該リフトゲート30の上部にヒンジ部20を有して上下方向に開閉可能に支持され、リフトゲート30の上部には、車幅方向にわたって閉断面35を成したリフトゲートメンバ36が配設され、リフトゲートメンバ36の内部に位置する収納部40が配設され、収納部40には、少なくともその一部がリフトゲートメンバ36による閉断面35とオーバラップするように車両補器41が配設されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車室内に乗員着座スペースと、荷物を積載する荷室スペースとが配設され、この荷室スペースの後部にリフトゲートが開閉可能に配設されたハッチバックタイプの車両の後部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路走行中において自車両が故障すると、三角表示板を用いてその旨を他車両に報知する必要があるので、上述の三角表示板をその内部に収納した車両補器が搭載されている。
【0003】
従来、このような車両補器は、荷室側壁部に位置するリヤサイドフレームの内部側つまり車外側や、荷室フロアマットの下部等の荷室側部または荷室床下部に配設されていた。
【0004】
車両の故障時に、荷室内に荷物が積載されていない場合には、上記車両補器を容易に取出すことができるが、一般に荷室には荷物が積載されるものであって、このように荷物が積載された状態下においてはリヤサイドトリム内または荷室フロアマット下部から、上述の車両補器を容易かつ迅速に取出すことができない問題点があった。
【0005】
ところで、特許文献1には、セダンタイプの車両において、トランクリッドの裏面に、三角表示板を収納した車両補器を設けたものが開示されている。
このようにトランクリッド裏面に車両補器を設けると、トランクリッドの厚みが大となるうえ、車両補器の取付け位置がヒンジ部から離れている場合には、トランクリッド開閉時の開閉力が重くなる。
【0006】
仮に、特許文献1に開示されたセダンタイプの車両補器取付け構造をハッチバックタイプの車両に適用する場合、リフトゲートの裏面に車両補器を取付けることが考えられるが、この場合には、車両補器の厚みにより後方視界が阻害され、また車両補器がそのヒンジ部から大きく離間した場合には、リフトゲートの開閉力が重くなり、しかも、セダンタイプの車両と比較して車高が高いハッチバックタイプの車両において、上記リフトゲートはループパネルの位置以上の高位置まで開放するので、車両補器に対して乗員の手が届かなくなる問題点がある。
【0007】
また、セダンタイプの車両においてはトランクリッドの前部には乗員着座用のシートのシートバックが位置するので、車両衝突時における車両補器の飛出し防止構造は何等考慮する必要がないが、ハッチバックタイプの車両においては、車両補器の飛出し防止構造を考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭59−23446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、リフトゲートが該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持され、該リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成すリフトゲートメンバが配設され、リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる閉断面とオーバラップするように車両補器を配設することで、限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、しかも上述のオーバラップ配設により後方視界の確保と、車両補器使用時において該車両補器を積載荷物に影響されることなく容易に、かつ迅速に取出すことができる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による車両の後部車体構造は、車室内に乗員着座スペースと、荷物を積載する荷室スペースとが配設され、上記荷室スペースの後部にリフトゲートが開閉可能に配設された車両の後部車体構造であって、上記リフトゲートは、該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持されており、上記リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成したリフトゲートメンバが配設されると共に、上記リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる上記閉断面とオーバラップするように車両補器が配設されたものである。
上述の車両補器としては、その内部に三角表示板を折畳んで収納した三角表示板収納ケースを、車両補器に設定してもよい。
【0011】
上記構成によれば、収納部はリフトゲートメンバの内部に配設され、かつ上記車両補器の少なくとも一部がリフトゲートメンバによる閉断面とオーバラップするように配設されたので、限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、しかも、上述のオーバラップ配設(車両補器が閉断面とオーバラップする配設)により、リフトゲート閉時において車両補器がリフトゲートメンバより下方へ突出する量を、非オーバラップ構造のものと比較して小さくすることができ、よって後方視界を確保することができる。
【0012】
また、リフトゲートメンバの内部に位置する収納部に車両補器を配設したので、該車両補器使用時において、荷室スペースに積載した荷物に影響されることなく、車両補器を容易に、かつ迅速に取出すことができる。
【0013】
さらに、リフトゲートの上部にヒンジ部を有し、リフトゲートの上部にはリフトゲートメンバが配設され、上記収納部はリフトゲートメンバの内部に位置するので、該収納部および車両補器はヒンジ部に近接して位置することになる。よって、車両補器の配設によりリフトゲート開閉力が重くなることを抑制することができると共に、リフトゲート開放時においてヒンジ部に近い位置に車両補器が存在するので、乗員の手が充分届き、車両補器に対してアクセスしやすくなる。
つまり、後方視界の確保と車両補器取出し性の確保との両立を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記リフトゲートの車幅方向略中央部位には、該リフトゲートを開閉する操作部が設けられ、上記収納部は、上記操作部に対応して車幅方向の略中央部に配設されたものである。
上述の操作部は、リフトゲート開放時に操作する操作ボタンに設定してもよい。
【0015】
上記構成によれば、上記収納部が操作部に対応して車幅方向の略中央部に配設されているので、乗員は上記操作部を操作した車両背面の車幅方向略中央部位から収納部内の車両補器にアクセスすることができる。よって、使い勝手がよく、利便性の向上を図ることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記収納部には、上記車両補器の取出し時に開閉する蓋部材が配設されたものである。
上記構成によれば、収納部は車両補器の不使用時に上記蓋部材で覆われているので、車両補器不使用時の見栄えを確保することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記収納部には、上記リフトゲートの閉時に上記車両補器の車室内への飛出しを規制する規制手段が設けられたものである。
上記構成によれば、車両の衝突時に車両補器が前方へ飛出すのを規制手段で規制するので、斯る飛出しを防止することができ、乗員の安全性を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、リフトゲートが該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持され、該リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成すリフトゲートメンバが配設され、リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる閉断面とオーバラップするように車両補器を配設したので、限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、しかも上述のオーバラップ配設により後方視界の確保と、車両補器使用時において該車両補器を積載荷物に影響されることなく、容易かつ、迅速に取出すことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の車両の後部車体構造を示すリフトゲート閉時の側面図
【図2】車両の後部車体構造を示すリフトゲート開放時の側面図
【図3】リフトゲート開放時の車両の背面図
【図4】図1の要部拡大側面図
【図5】図2の要部拡大側面図
【図6】車両補器取出し時の説明図
【図7】後部車体構造の他の実施例を示すリフトゲート開放時の要部拡大側面図
【図8】後部車体構造のさらに他の実施例を示すリフトゲート開放時の要部拡大側面図
【図9】車両補器取出し時の説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、かつ、後方視界の確保と、車両補器使用時において該車両補器を積載荷物に影響されることなく容易に、かつ迅速に取出すことができるという目的を、車室内に乗員着座スペースと、荷物を積載する荷室スペースとが配設され、上記荷室スペースの後部にリフトゲートが開閉可能に配設された車両の後部車体構造において、上記リフトゲートは、該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持されており、上記リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成したリフトゲートメンバが配設されると共に、上記リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる上記閉断面とオーバラップするように車両補器を配設するという構成にて実現した。
【実施例】
【0021】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はハッチバックタイプの車両の後部車体構造を示し、図1はリフトゲート閉時の側面図、図2はリフトゲート開放時の側面図、図3は図2の背面図である。
図1、図2において、フロアパネル1の後部にはスペアタイヤパン2を連設し、このスペアタイヤパン2後端に一体形成されたリヤエンド部3(リヤエンドパネル)の上端を前低後高状に屈曲形成し、この屈曲部には後述するリフトゲートをロックするためのストライカ4を取付けている。
【0022】
また、上述のフロアパネル1とスペアタイヤパン2との間には側面視ハット断面形状のキックアップ部5を一体形成し、このキックアップ部5の下部にはリヤクロスメンバ6を接合固定して、該リヤクロスメンバ6と上述のキックアップ部5との間には、車幅方向に延びる閉断面7を形成して、下部車体剛性の向上を図っている。
さらに、上述のリヤエンド部3にはその後方からリヤエンドメンバ8を接合固定して、リヤエンド部3とリヤエンドメンバ8との間には、車幅方向に延びるリヤエンド閉断面9を形成して、後部車体剛性の向上を図っている。ここで、上述のリヤエンドメンバ8の後方部には、リヤバンパ10が設けられている。
【0023】
一方、車室11内には乗員着座スペース12と、荷物を積載する荷室スペース13とが配設されるが、概ねフロアパネル1上方が乗員着座スペース12に設定され、スペアタイヤパン2上方が荷室スペース13に設定されると共に、該スペアタイヤパン2上部には荷室ボード14を略水平に配設している。
上述のフロアパネル1上には、乗員の着座面を形成するシートクッション15と、乗員の背もたれ面を形成するシートバック16と、乗員の頭部を保持するヘッドレスト17と、を備えたリヤシート18が配置されている。
【0024】
また、車室11の天井部を形成するルーフパネル19を設け、このルーフパネル19の後端段下げ部にはヒンジ部20を介してリフトゲート30を配設して、ハッチバックタイプの車両を構成している。
上述のルーフパネル19における後端段下げ部の直前には、ヘッダアウタ21とヘッダインナ22とを接合して、車幅方向に延びるヘッダ閉断面23を備えたリヤヘッダ24が設けられている。
【0025】
上述のリフトゲート30は荷室スペース13の後部における後部荷室開口31を開閉可能に覆うものであって、このリフトゲート30はその上部に位置する上述のヒンジ部20を有して上下方向に開閉可能に車体に支持されている。
また、上述のリフトゲート30は、リフトゲートアウタパネル32と、リフトゲートインナパネル33と、バックウィンドガラス34とを備えている。
さらに、上述のリフトゲート30の上部には、車幅方向にわたって閉断面35を成すリフトゲートメンバ36が配設されている。
【0026】
ところで、車体側のストライカ4と対応するように、リフトゲート30の下部における車幅方向の中央には、図3に示すように、ラッチ37が設けられており、リフトゲート30の車幅方向略中央部位において上述のリフトゲートアウタパネル32には、該ラッチ37を解除してリフトゲート30を開閉する操作部としての操作ボタン38が設けられている。
また、図3に示すように、車体後端部両サイドとリフトゲート30の両サイド部との間には、リフトゲート開放力をアシストする左右一対のダンパ39,39が設けられている。
【0027】
図4は図1の要部拡大側面図、図5は図2の要部拡大側面図である。
図4、図5において、上述のリフトゲートメンバ36の内部に位置する収納部40が配設されている。この収納部40は合成樹脂で下面が開放された横長の箱形状に形成されており、リフトゲートメンバ36の開口部36aからその一部分が閉断面35内に位置するように配設されている。
【0028】
上述の収納部40は、図3に点線で示すように、操作ボタン38(図1、図2参照)に対応して車幅方向の略中央部に配設されている。
また、上述の収納部40の内部には、少なくともその一部がリフトゲートメンバ36による閉断面35とオーバラップするように車両補器41(具体的には、内部に三角表示板を折り畳んだ状態で収納したケース)が配設されている。
【0029】
図4はリフトゲート30を閉成した状態の拡大図であって、同図に示すように、ルーフパネル19の後端に設けたらエゲストリップ42と、各要素32,36の接合フランジ部による後端接合部との間において、リフトゲートメンバ36の下方部は、収納部40の下面側開口および車両補器41を下方から覆うようにリフトゲートトリム43が設けられている。
【0030】
このリフトゲートトリム43は、車幅方向に長い横長の箱形状の収納部40の下側外壁部周縁に対応して、蓋部材44の取付け座部43aと、立設片43bとを一体形成したもので、取付け座部43aには、爪状の係止部45を備えた蓋部材44が着脱可能に取付けられている。
ここで、リフトゲートトリム43の立設片43bと収納部40の下側外壁部とは強固に接着固定されている。
【0031】
また、リフトゲート30を図2、図3、図5に示すように開放した状態下において、上述の蓋部材44を強制的に後方に引っ張ると、爪状の係止部45による係止力に抗して該蓋部材44を取外すことができるものであり、この場合、図6に示す開口部46が開口する。
つまり、上述の収納部40には、車両補器41の取出し時に開閉する蓋部材44が配設されたものである。
【0032】
図4に示すように、収納部40内の車両補器41はスプリング47で付勢される押圧部材48により図4の後方(図5の上方)に押圧されると共に、収納部40の開放端側に一体形成された規制手段としての規制片49で、その下部後側のコーナ部が保持されている。
この規制片49は、収納部40の後壁下端から車両前方に向けて一体に突設されたもので、車両の衝突時に車両補器41が前方へ飛出すのを規制する規制手段である。
【0033】
また、上述の押圧部材48の下端部には車両補器41の下部前側のコーナ部を保持する保持片50が一体形成されている。この保持片50は収納部40内に収納された車両補器41の下部前側のコーナ部を保持して、該車両補器41の落下を防止し、収納状態を確保するための保持手段である。
さらに、上述のスプリング47は押圧部材48を付勢すると共に、車両補器41のサイズの差異を吸収する付勢手段である。
【0034】
加えて、図4に示すように、上述の収納部40と、その内部に収納された車両補器41との両者は、リフトゲート30を閉成した状態において、前側が高く、後側が低くなるように傾斜状に配設(いわゆる、スラント配置)されている。これは、リフトゲート30開放時において車両補器41の取出し性の向上を図ると共に、車両補器41が存在することを目視確認する視認性の向上を図るためである。
【0035】
なお、図3において、51はリヤコンビネーションランプ、図4、図5において、52はバックウィンドガラス34と連続するリフトゲートアウタパネル32の所定部に設けられたハイマウントストップランプである。また、図中、矢印Fは車両の前方を示す。
【0036】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
まず、図1、図4に示すリフトゲート30の閉成時において、上述の車両補器41はその一部が閉断面35とオーバラップし、かつ前高後低状にスラント配置されているので、非オーバラップ構造のものと比較して車両補器41のリフトゲートメンバ36から下方への突出量が小さくなり、これにより、後方視界を確保することができる。
【0037】
また、車両補器41はバネ付勢された押圧部材48で収納部40の内壁に押圧されると共に、該車両補器41の下部前後の各コーナ部が規制片49と保持片50とで保持されているので、車両走行時においても、該車両補器41を安定して支持することができる。
【0038】
図1に示す閉成状態のリフトゲート30を図2に示すように開放する場合には、該リフトゲート30後面の車幅方向略中央部位に設けた操作部としての操作ボタン38を操作すると、ラッチ37によるストライカ4のロックが解除されるので、リフトゲート30を、その上部のヒンジ部20を支点として開放することができる。
【0039】
上述の収納部40および車両補器41は、リフトゲート30におけるヒンジ部20に最も近い位置に存在するので、車両補器41の配設によりリフトゲート30の開放力(開閉力)が重くなることを抑制することができ、また、リフトゲート30の開放時においても車両補器41はヒンジ部20に近接した位置に存在するので、乗員の手が充分届き、車両補器41に対してアクセスしやすいものである。
【0040】
また、リフトゲート30の開放時には、車両補器41は図4の状態から図5に示すように上方へ変位するが、該車両補器41はスプリング47の付勢力で押圧される押圧部材48により、収納部40の内壁面に押圧されると共に、該車両補器41の2つのコーナ部が規制片49と保持片50とで位置保持されているので、該車両補器41が収納部40内で位置ずれすることがなく、車両補器41の位置保持が安定するものである。
【0041】
道路走行時の自車両の故障等により、上述の車両補器41(三角表示板参照)を取出して使用する場合には、まず、蓋部材44を取外す。
つまり、図5に示す状態から該蓋部材44を強制的に後方に引っ張ると、爪状の係止部45による係止力に抗して蓋部材44を取外すことができ、この時、図6に示す開口部46が開口する。
【0042】
蓋部材44の取外し後、車両補器41を図6に矢印aで示すように下動させる。この場合、スプリング47の付勢力に抗して押圧部材48を同時に押し下げると、車両補器41の図示後側上部のコーナ部が規制片49から下方へ離間する。
車両補器41の上記コーナ部を規制片49から離間させた後に、図6に矢印bで示すように該車両補器41を後方かつ下方へ回動させると、車両補器41を収納部40から取出すことができる。
【0043】
ところで、上述の収納部40には、図4に示すように、リフトゲート30の閉時に車両補器41の車室内への飛出しを規制する規制手段としての規制片49を設けているので、車両の衝突時に上記車両補器41が前方へ飛出すのを規制することができる。
【0044】
このように、図1〜図6で示した実施例の車両の後部車体構造は、車室11内に乗員着座スペース12と、荷物を積載する荷室スペース13とが配設され、上記荷室スペース13の後部にリフトゲート30が開閉可能に配設された車両の後部車体構造であって、上記リフトゲート30は、該リフトゲート30の上部にヒンジ部20を有して上下方向に開閉可能に支持されており、上記リフトゲート30の上部には、車幅方向にわたって閉断面35を成したリフトゲートメンバ36が配設されると共に、上記リフトゲートメンバ36の内部に位置する収納部40が配設され、該収納部40には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバ36による上記閉断面35とオーバラップするように車両補器41が配設されたものである(図1、図4参照)。
【0045】
この実施例では車両補器41としては、その内部に三角表示板を収納した車両補器に設定している。
この構成によれば、収納部40はリフトゲートメンバ36の内部に配設され、かつ上記車両補器41の少なくとも一部がリフトゲートメンバ36による閉断面35とオーバラップするように配設されたので、限られた車室内スペースに車両補器41をレイアウトすることができ、しかも、上述のオーバラップ配設(車両補器41が閉断面35とオーバラップする配設)により、リフトゲート30閉時において車両補器41がリフトゲートメンバ36より下方へ突出する量を、非オーバラップ構造のものと比較して小さくすることができ、よって後方視界を確保することができる。また、リフトゲートメンバ36の内部に位置する収納部40に車両補器41を配設したので、該車両補器41使用時において、荷室スペース13に積載した荷物に影響されることなく、車両補器41を容易に、かつ迅速に取出すことができる。さらに、リフトゲート30の上部にヒンジ部20を有し、リフトゲート30の上部にはリフトゲートメンバ36が配設され、上記収納部40はリフトゲートメンバ36の内部に位置するので、該収納部40および車両補器41はヒンジ部20に近接して位置することになる。よって、車両補器41の配設によりリフトゲー30開閉力が重くなることを抑制することができると共に、リフトゲート30開放時においてヒンジ部20に近い位置に車両補器41が存在するので、乗員の手が充分届き、車両補器41に対してアクセスしやすくなる。つまり、後方視界の確保と車両補器取出し性の確保との両立を図ることができる。
【0046】
また、上記リフトゲート30の車幅方向略中央部位には、該リフトゲート30を開閉する操作部(操作ボタン38参照)が設けられ、上記収納部40は、上記操作部(操作ボタン38参照)に対応して車幅方向の略中央部に配設されたものである(図1、図3参照)。
この構成によれば、上記収納部40が操作部(操作ボタン38)に対応して車幅方向の略中央部に配設されているので、乗員は上記操作部(操作ボタン38)を操作した車両背面の車幅方向略中央部位から収納部40内の車両補器41にアクセスすることができる。よって、使い勝手がよく、利便性の向上を図ることができる。
【0047】
さらに、上記収納部40には、上記車両補器41の取出し時に開閉する蓋部材44が配設されたものである(図4参照)。
この構成によれば、収納部40は車両補器41の不使用時に上記蓋部材44で覆われているので、車両補器不使用時の見栄えを確保することができる。
【0048】
加えて、上記収納部40には、上記リフトゲート30の閉時に上記車両補器41の車室11内への飛出しを規制する規制手段(規制片49参照)が設けられたものである(図4参照)。
この構成によれば、車両の衝突時に車両補器41が前方へ飛出すのを規制手段(規制片49参照)で規制するので、斯る飛出しを防止することができ、乗員の安全性を図ることができる。
【0049】
図7は車両の後部車体構造の他の実施例を、リフトゲート開放状態で示す要部の拡大側面図である。
【0050】
図1〜図6で示した先の実施例においては、蓋部材44を取外した時、この蓋部材44がリフトゲートトリム43から完全に分離するように構成したが、図7に示すこの実施例では、蓋部材44の前端部にヒンジ53を形成すると共に、該ヒンジ53に対応してリフトゲートトリム43側にもヒンジ54を形成し、これら両者44,43をヒンジ53,54連結したものである。
【0051】
また、蓋部材44の後端部には、爪状の係止部45を一体形成し、蓋部材44による開口部46(図6参照)の閉成時に、該係止部45をリフトゲートトリム43に係止すべく構成したものである。
【0052】
このように構成すると、図7に仮想線で示すように、蓋部材44を開成した場合にあっても、該蓋部材44はリフトゲートトリム43にヒンジ連結されているので、蓋部材44の紛失を防止することができる。
図7の実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図7において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0053】
図8、図9は、車両の後部車体構造のさらに他の実施例を、リフトゲート開放状態で示す要部の拡大側面図である。
【0054】
この実施例においては、規制手段としての規制片49を可動構造と成したものである。
すなわち、箱形状の収納部40の後壁内側に、ヒンジピン60を介して可動部材61を揺動可能に連結し、この可動部材61の箱開放側に、車両の前方側へ延びる規制片49を一体形成したものである。ここで、可動部材61はヒンジピン60に巻回した図示しないスプリング(または、他の付勢手段)により常時図示の反時計方向(規制片49で車両補器41のコーナ部を規制解除する方向)にバネ付勢されている。
【0055】
車両補器41を収納部40に取付け格納する時には、該車両補器41の後面で可動部材61の一方側の辺部61a(奥側の辺部)を押圧するので、ヒンジピン60を支点として可動部材61の他方側の規制片49は車両前方側へ移動して、車両補器41のコーナ部を保持および規制する。
【0056】
車両補器41の使用に際して、収納部40から車両補器41を取出す場合には、図9に矢印aで示すように、該車両補器41を下動させる。この場合、スプリング47の付勢力に抗して押圧部材48を同時に押し下げると、車両補器41の図示後側上部のコーナ部が規制片49から下方へ離間すると共に、可動部材61はヒンジピン60を支点として規制片49が規制解除する方向へ揺動する。
【0057】
車両補器41の上記コーナ部を規制片49から離間させた後に、図9に矢印bで示すように該車両補器41を後方かつ下方へ回動させると、車両補器41を収納部40から取出すことができる。
【0058】
このように、図8、図9で示した実施例においては、車両補器41の収納時には、規制片49が該車両補器41を保持および規制する方向へ可動し、車両補器41の取出し時には、規制片49が車両補器41の保持および規制を解除する方向へ可動するので、規制片49の車両前方側への長さを比較的長く設定することができ、不使用時における車両補器41の安定した保持、規制と、使用時における車両補器41の取出し性という相反する効果の両立を図ることができる。
【0059】
なお、規制手段としては固定構造の規制片49(図4〜図7参照)および可動構造の規制片49(図8、図9参照)に代えて、マグネットによる磁気吸引力を利用した規制手段であってもよく、または面ファスナによる規制手段であってもよく、あるいは、これらを組合せて用いてもよい。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の操作部は、実施例の操作ボタン38に対応し、
以下同様に、
規制手段は、規制片49に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0061】
例えば、上記車両補器41はその長手方向に相当する車幅方向一端または車幅方向他端から押圧付勢する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
11…車室
12…乗員着座スペース
13…荷室スペース
20…ヒンジ部
30…リフトゲート
35…閉断面
36…リフトゲートメンバ
38…操作ボタン(操作部)
40…収納部
41…車両補器
44…蓋部材
49…規制片(規制手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、車室内に乗員着座スペースと、荷物を積載する荷室スペースとが配設され、この荷室スペースの後部にリフトゲートが開閉可能に配設されたハッチバックタイプの車両の後部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路走行中において自車両が故障すると、三角表示板を用いてその旨を他車両に報知する必要があるので、上述の三角表示板をその内部に収納した車両補器が搭載されている。
【0003】
従来、このような車両補器は、荷室側壁部に位置するリヤサイドフレームの内部側つまり車外側や、荷室フロアマットの下部等の荷室側部または荷室床下部に配設されていた。
【0004】
車両の故障時に、荷室内に荷物が積載されていない場合には、上記車両補器を容易に取出すことができるが、一般に荷室には荷物が積載されるものであって、このように荷物が積載された状態下においてはリヤサイドトリム内または荷室フロアマット下部から、上述の車両補器を容易かつ迅速に取出すことができない問題点があった。
【0005】
ところで、特許文献1には、セダンタイプの車両において、トランクリッドの裏面に、三角表示板を収納した車両補器を設けたものが開示されている。
このようにトランクリッド裏面に車両補器を設けると、トランクリッドの厚みが大となるうえ、車両補器の取付け位置がヒンジ部から離れている場合には、トランクリッド開閉時の開閉力が重くなる。
【0006】
仮に、特許文献1に開示されたセダンタイプの車両補器取付け構造をハッチバックタイプの車両に適用する場合、リフトゲートの裏面に車両補器を取付けることが考えられるが、この場合には、車両補器の厚みにより後方視界が阻害され、また車両補器がそのヒンジ部から大きく離間した場合には、リフトゲートの開閉力が重くなり、しかも、セダンタイプの車両と比較して車高が高いハッチバックタイプの車両において、上記リフトゲートはループパネルの位置以上の高位置まで開放するので、車両補器に対して乗員の手が届かなくなる問題点がある。
【0007】
また、セダンタイプの車両においてはトランクリッドの前部には乗員着座用のシートのシートバックが位置するので、車両衝突時における車両補器の飛出し防止構造は何等考慮する必要がないが、ハッチバックタイプの車両においては、車両補器の飛出し防止構造を考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭59−23446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、リフトゲートが該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持され、該リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成すリフトゲートメンバが配設され、リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる閉断面とオーバラップするように車両補器を配設することで、限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、しかも上述のオーバラップ配設により後方視界の確保と、車両補器使用時において該車両補器を積載荷物に影響されることなく容易に、かつ迅速に取出すことができる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による車両の後部車体構造は、車室内に乗員着座スペースと、荷物を積載する荷室スペースとが配設され、上記荷室スペースの後部にリフトゲートが開閉可能に配設された車両の後部車体構造であって、上記リフトゲートは、該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持されており、上記リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成したリフトゲートメンバが配設されると共に、上記リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる上記閉断面とオーバラップするように車両補器が配設されたものである。
上述の車両補器としては、その内部に三角表示板を折畳んで収納した三角表示板収納ケースを、車両補器に設定してもよい。
【0011】
上記構成によれば、収納部はリフトゲートメンバの内部に配設され、かつ上記車両補器の少なくとも一部がリフトゲートメンバによる閉断面とオーバラップするように配設されたので、限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、しかも、上述のオーバラップ配設(車両補器が閉断面とオーバラップする配設)により、リフトゲート閉時において車両補器がリフトゲートメンバより下方へ突出する量を、非オーバラップ構造のものと比較して小さくすることができ、よって後方視界を確保することができる。
【0012】
また、リフトゲートメンバの内部に位置する収納部に車両補器を配設したので、該車両補器使用時において、荷室スペースに積載した荷物に影響されることなく、車両補器を容易に、かつ迅速に取出すことができる。
【0013】
さらに、リフトゲートの上部にヒンジ部を有し、リフトゲートの上部にはリフトゲートメンバが配設され、上記収納部はリフトゲートメンバの内部に位置するので、該収納部および車両補器はヒンジ部に近接して位置することになる。よって、車両補器の配設によりリフトゲート開閉力が重くなることを抑制することができると共に、リフトゲート開放時においてヒンジ部に近い位置に車両補器が存在するので、乗員の手が充分届き、車両補器に対してアクセスしやすくなる。
つまり、後方視界の確保と車両補器取出し性の確保との両立を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記リフトゲートの車幅方向略中央部位には、該リフトゲートを開閉する操作部が設けられ、上記収納部は、上記操作部に対応して車幅方向の略中央部に配設されたものである。
上述の操作部は、リフトゲート開放時に操作する操作ボタンに設定してもよい。
【0015】
上記構成によれば、上記収納部が操作部に対応して車幅方向の略中央部に配設されているので、乗員は上記操作部を操作した車両背面の車幅方向略中央部位から収納部内の車両補器にアクセスすることができる。よって、使い勝手がよく、利便性の向上を図ることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記収納部には、上記車両補器の取出し時に開閉する蓋部材が配設されたものである。
上記構成によれば、収納部は車両補器の不使用時に上記蓋部材で覆われているので、車両補器不使用時の見栄えを確保することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記収納部には、上記リフトゲートの閉時に上記車両補器の車室内への飛出しを規制する規制手段が設けられたものである。
上記構成によれば、車両の衝突時に車両補器が前方へ飛出すのを規制手段で規制するので、斯る飛出しを防止することができ、乗員の安全性を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、リフトゲートが該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持され、該リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成すリフトゲートメンバが配設され、リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる閉断面とオーバラップするように車両補器を配設したので、限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、しかも上述のオーバラップ配設により後方視界の確保と、車両補器使用時において該車両補器を積載荷物に影響されることなく、容易かつ、迅速に取出すことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の車両の後部車体構造を示すリフトゲート閉時の側面図
【図2】車両の後部車体構造を示すリフトゲート開放時の側面図
【図3】リフトゲート開放時の車両の背面図
【図4】図1の要部拡大側面図
【図5】図2の要部拡大側面図
【図6】車両補器取出し時の説明図
【図7】後部車体構造の他の実施例を示すリフトゲート開放時の要部拡大側面図
【図8】後部車体構造のさらに他の実施例を示すリフトゲート開放時の要部拡大側面図
【図9】車両補器取出し時の説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
限られた車室内スペースに車両補器をレイアウトすることができ、かつ、後方視界の確保と、車両補器使用時において該車両補器を積載荷物に影響されることなく容易に、かつ迅速に取出すことができるという目的を、車室内に乗員着座スペースと、荷物を積載する荷室スペースとが配設され、上記荷室スペースの後部にリフトゲートが開閉可能に配設された車両の後部車体構造において、上記リフトゲートは、該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持されており、上記リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成したリフトゲートメンバが配設されると共に、上記リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる上記閉断面とオーバラップするように車両補器を配設するという構成にて実現した。
【実施例】
【0021】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はハッチバックタイプの車両の後部車体構造を示し、図1はリフトゲート閉時の側面図、図2はリフトゲート開放時の側面図、図3は図2の背面図である。
図1、図2において、フロアパネル1の後部にはスペアタイヤパン2を連設し、このスペアタイヤパン2後端に一体形成されたリヤエンド部3(リヤエンドパネル)の上端を前低後高状に屈曲形成し、この屈曲部には後述するリフトゲートをロックするためのストライカ4を取付けている。
【0022】
また、上述のフロアパネル1とスペアタイヤパン2との間には側面視ハット断面形状のキックアップ部5を一体形成し、このキックアップ部5の下部にはリヤクロスメンバ6を接合固定して、該リヤクロスメンバ6と上述のキックアップ部5との間には、車幅方向に延びる閉断面7を形成して、下部車体剛性の向上を図っている。
さらに、上述のリヤエンド部3にはその後方からリヤエンドメンバ8を接合固定して、リヤエンド部3とリヤエンドメンバ8との間には、車幅方向に延びるリヤエンド閉断面9を形成して、後部車体剛性の向上を図っている。ここで、上述のリヤエンドメンバ8の後方部には、リヤバンパ10が設けられている。
【0023】
一方、車室11内には乗員着座スペース12と、荷物を積載する荷室スペース13とが配設されるが、概ねフロアパネル1上方が乗員着座スペース12に設定され、スペアタイヤパン2上方が荷室スペース13に設定されると共に、該スペアタイヤパン2上部には荷室ボード14を略水平に配設している。
上述のフロアパネル1上には、乗員の着座面を形成するシートクッション15と、乗員の背もたれ面を形成するシートバック16と、乗員の頭部を保持するヘッドレスト17と、を備えたリヤシート18が配置されている。
【0024】
また、車室11の天井部を形成するルーフパネル19を設け、このルーフパネル19の後端段下げ部にはヒンジ部20を介してリフトゲート30を配設して、ハッチバックタイプの車両を構成している。
上述のルーフパネル19における後端段下げ部の直前には、ヘッダアウタ21とヘッダインナ22とを接合して、車幅方向に延びるヘッダ閉断面23を備えたリヤヘッダ24が設けられている。
【0025】
上述のリフトゲート30は荷室スペース13の後部における後部荷室開口31を開閉可能に覆うものであって、このリフトゲート30はその上部に位置する上述のヒンジ部20を有して上下方向に開閉可能に車体に支持されている。
また、上述のリフトゲート30は、リフトゲートアウタパネル32と、リフトゲートインナパネル33と、バックウィンドガラス34とを備えている。
さらに、上述のリフトゲート30の上部には、車幅方向にわたって閉断面35を成すリフトゲートメンバ36が配設されている。
【0026】
ところで、車体側のストライカ4と対応するように、リフトゲート30の下部における車幅方向の中央には、図3に示すように、ラッチ37が設けられており、リフトゲート30の車幅方向略中央部位において上述のリフトゲートアウタパネル32には、該ラッチ37を解除してリフトゲート30を開閉する操作部としての操作ボタン38が設けられている。
また、図3に示すように、車体後端部両サイドとリフトゲート30の両サイド部との間には、リフトゲート開放力をアシストする左右一対のダンパ39,39が設けられている。
【0027】
図4は図1の要部拡大側面図、図5は図2の要部拡大側面図である。
図4、図5において、上述のリフトゲートメンバ36の内部に位置する収納部40が配設されている。この収納部40は合成樹脂で下面が開放された横長の箱形状に形成されており、リフトゲートメンバ36の開口部36aからその一部分が閉断面35内に位置するように配設されている。
【0028】
上述の収納部40は、図3に点線で示すように、操作ボタン38(図1、図2参照)に対応して車幅方向の略中央部に配設されている。
また、上述の収納部40の内部には、少なくともその一部がリフトゲートメンバ36による閉断面35とオーバラップするように車両補器41(具体的には、内部に三角表示板を折り畳んだ状態で収納したケース)が配設されている。
【0029】
図4はリフトゲート30を閉成した状態の拡大図であって、同図に示すように、ルーフパネル19の後端に設けたらエゲストリップ42と、各要素32,36の接合フランジ部による後端接合部との間において、リフトゲートメンバ36の下方部は、収納部40の下面側開口および車両補器41を下方から覆うようにリフトゲートトリム43が設けられている。
【0030】
このリフトゲートトリム43は、車幅方向に長い横長の箱形状の収納部40の下側外壁部周縁に対応して、蓋部材44の取付け座部43aと、立設片43bとを一体形成したもので、取付け座部43aには、爪状の係止部45を備えた蓋部材44が着脱可能に取付けられている。
ここで、リフトゲートトリム43の立設片43bと収納部40の下側外壁部とは強固に接着固定されている。
【0031】
また、リフトゲート30を図2、図3、図5に示すように開放した状態下において、上述の蓋部材44を強制的に後方に引っ張ると、爪状の係止部45による係止力に抗して該蓋部材44を取外すことができるものであり、この場合、図6に示す開口部46が開口する。
つまり、上述の収納部40には、車両補器41の取出し時に開閉する蓋部材44が配設されたものである。
【0032】
図4に示すように、収納部40内の車両補器41はスプリング47で付勢される押圧部材48により図4の後方(図5の上方)に押圧されると共に、収納部40の開放端側に一体形成された規制手段としての規制片49で、その下部後側のコーナ部が保持されている。
この規制片49は、収納部40の後壁下端から車両前方に向けて一体に突設されたもので、車両の衝突時に車両補器41が前方へ飛出すのを規制する規制手段である。
【0033】
また、上述の押圧部材48の下端部には車両補器41の下部前側のコーナ部を保持する保持片50が一体形成されている。この保持片50は収納部40内に収納された車両補器41の下部前側のコーナ部を保持して、該車両補器41の落下を防止し、収納状態を確保するための保持手段である。
さらに、上述のスプリング47は押圧部材48を付勢すると共に、車両補器41のサイズの差異を吸収する付勢手段である。
【0034】
加えて、図4に示すように、上述の収納部40と、その内部に収納された車両補器41との両者は、リフトゲート30を閉成した状態において、前側が高く、後側が低くなるように傾斜状に配設(いわゆる、スラント配置)されている。これは、リフトゲート30開放時において車両補器41の取出し性の向上を図ると共に、車両補器41が存在することを目視確認する視認性の向上を図るためである。
【0035】
なお、図3において、51はリヤコンビネーションランプ、図4、図5において、52はバックウィンドガラス34と連続するリフトゲートアウタパネル32の所定部に設けられたハイマウントストップランプである。また、図中、矢印Fは車両の前方を示す。
【0036】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用を説明する。
まず、図1、図4に示すリフトゲート30の閉成時において、上述の車両補器41はその一部が閉断面35とオーバラップし、かつ前高後低状にスラント配置されているので、非オーバラップ構造のものと比較して車両補器41のリフトゲートメンバ36から下方への突出量が小さくなり、これにより、後方視界を確保することができる。
【0037】
また、車両補器41はバネ付勢された押圧部材48で収納部40の内壁に押圧されると共に、該車両補器41の下部前後の各コーナ部が規制片49と保持片50とで保持されているので、車両走行時においても、該車両補器41を安定して支持することができる。
【0038】
図1に示す閉成状態のリフトゲート30を図2に示すように開放する場合には、該リフトゲート30後面の車幅方向略中央部位に設けた操作部としての操作ボタン38を操作すると、ラッチ37によるストライカ4のロックが解除されるので、リフトゲート30を、その上部のヒンジ部20を支点として開放することができる。
【0039】
上述の収納部40および車両補器41は、リフトゲート30におけるヒンジ部20に最も近い位置に存在するので、車両補器41の配設によりリフトゲート30の開放力(開閉力)が重くなることを抑制することができ、また、リフトゲート30の開放時においても車両補器41はヒンジ部20に近接した位置に存在するので、乗員の手が充分届き、車両補器41に対してアクセスしやすいものである。
【0040】
また、リフトゲート30の開放時には、車両補器41は図4の状態から図5に示すように上方へ変位するが、該車両補器41はスプリング47の付勢力で押圧される押圧部材48により、収納部40の内壁面に押圧されると共に、該車両補器41の2つのコーナ部が規制片49と保持片50とで位置保持されているので、該車両補器41が収納部40内で位置ずれすることがなく、車両補器41の位置保持が安定するものである。
【0041】
道路走行時の自車両の故障等により、上述の車両補器41(三角表示板参照)を取出して使用する場合には、まず、蓋部材44を取外す。
つまり、図5に示す状態から該蓋部材44を強制的に後方に引っ張ると、爪状の係止部45による係止力に抗して蓋部材44を取外すことができ、この時、図6に示す開口部46が開口する。
【0042】
蓋部材44の取外し後、車両補器41を図6に矢印aで示すように下動させる。この場合、スプリング47の付勢力に抗して押圧部材48を同時に押し下げると、車両補器41の図示後側上部のコーナ部が規制片49から下方へ離間する。
車両補器41の上記コーナ部を規制片49から離間させた後に、図6に矢印bで示すように該車両補器41を後方かつ下方へ回動させると、車両補器41を収納部40から取出すことができる。
【0043】
ところで、上述の収納部40には、図4に示すように、リフトゲート30の閉時に車両補器41の車室内への飛出しを規制する規制手段としての規制片49を設けているので、車両の衝突時に上記車両補器41が前方へ飛出すのを規制することができる。
【0044】
このように、図1〜図6で示した実施例の車両の後部車体構造は、車室11内に乗員着座スペース12と、荷物を積載する荷室スペース13とが配設され、上記荷室スペース13の後部にリフトゲート30が開閉可能に配設された車両の後部車体構造であって、上記リフトゲート30は、該リフトゲート30の上部にヒンジ部20を有して上下方向に開閉可能に支持されており、上記リフトゲート30の上部には、車幅方向にわたって閉断面35を成したリフトゲートメンバ36が配設されると共に、上記リフトゲートメンバ36の内部に位置する収納部40が配設され、該収納部40には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバ36による上記閉断面35とオーバラップするように車両補器41が配設されたものである(図1、図4参照)。
【0045】
この実施例では車両補器41としては、その内部に三角表示板を収納した車両補器に設定している。
この構成によれば、収納部40はリフトゲートメンバ36の内部に配設され、かつ上記車両補器41の少なくとも一部がリフトゲートメンバ36による閉断面35とオーバラップするように配設されたので、限られた車室内スペースに車両補器41をレイアウトすることができ、しかも、上述のオーバラップ配設(車両補器41が閉断面35とオーバラップする配設)により、リフトゲート30閉時において車両補器41がリフトゲートメンバ36より下方へ突出する量を、非オーバラップ構造のものと比較して小さくすることができ、よって後方視界を確保することができる。また、リフトゲートメンバ36の内部に位置する収納部40に車両補器41を配設したので、該車両補器41使用時において、荷室スペース13に積載した荷物に影響されることなく、車両補器41を容易に、かつ迅速に取出すことができる。さらに、リフトゲート30の上部にヒンジ部20を有し、リフトゲート30の上部にはリフトゲートメンバ36が配設され、上記収納部40はリフトゲートメンバ36の内部に位置するので、該収納部40および車両補器41はヒンジ部20に近接して位置することになる。よって、車両補器41の配設によりリフトゲー30開閉力が重くなることを抑制することができると共に、リフトゲート30開放時においてヒンジ部20に近い位置に車両補器41が存在するので、乗員の手が充分届き、車両補器41に対してアクセスしやすくなる。つまり、後方視界の確保と車両補器取出し性の確保との両立を図ることができる。
【0046】
また、上記リフトゲート30の車幅方向略中央部位には、該リフトゲート30を開閉する操作部(操作ボタン38参照)が設けられ、上記収納部40は、上記操作部(操作ボタン38参照)に対応して車幅方向の略中央部に配設されたものである(図1、図3参照)。
この構成によれば、上記収納部40が操作部(操作ボタン38)に対応して車幅方向の略中央部に配設されているので、乗員は上記操作部(操作ボタン38)を操作した車両背面の車幅方向略中央部位から収納部40内の車両補器41にアクセスすることができる。よって、使い勝手がよく、利便性の向上を図ることができる。
【0047】
さらに、上記収納部40には、上記車両補器41の取出し時に開閉する蓋部材44が配設されたものである(図4参照)。
この構成によれば、収納部40は車両補器41の不使用時に上記蓋部材44で覆われているので、車両補器不使用時の見栄えを確保することができる。
【0048】
加えて、上記収納部40には、上記リフトゲート30の閉時に上記車両補器41の車室11内への飛出しを規制する規制手段(規制片49参照)が設けられたものである(図4参照)。
この構成によれば、車両の衝突時に車両補器41が前方へ飛出すのを規制手段(規制片49参照)で規制するので、斯る飛出しを防止することができ、乗員の安全性を図ることができる。
【0049】
図7は車両の後部車体構造の他の実施例を、リフトゲート開放状態で示す要部の拡大側面図である。
【0050】
図1〜図6で示した先の実施例においては、蓋部材44を取外した時、この蓋部材44がリフトゲートトリム43から完全に分離するように構成したが、図7に示すこの実施例では、蓋部材44の前端部にヒンジ53を形成すると共に、該ヒンジ53に対応してリフトゲートトリム43側にもヒンジ54を形成し、これら両者44,43をヒンジ53,54連結したものである。
【0051】
また、蓋部材44の後端部には、爪状の係止部45を一体形成し、蓋部材44による開口部46(図6参照)の閉成時に、該係止部45をリフトゲートトリム43に係止すべく構成したものである。
【0052】
このように構成すると、図7に仮想線で示すように、蓋部材44を開成した場合にあっても、該蓋部材44はリフトゲートトリム43にヒンジ連結されているので、蓋部材44の紛失を防止することができる。
図7の実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図7において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0053】
図8、図9は、車両の後部車体構造のさらに他の実施例を、リフトゲート開放状態で示す要部の拡大側面図である。
【0054】
この実施例においては、規制手段としての規制片49を可動構造と成したものである。
すなわち、箱形状の収納部40の後壁内側に、ヒンジピン60を介して可動部材61を揺動可能に連結し、この可動部材61の箱開放側に、車両の前方側へ延びる規制片49を一体形成したものである。ここで、可動部材61はヒンジピン60に巻回した図示しないスプリング(または、他の付勢手段)により常時図示の反時計方向(規制片49で車両補器41のコーナ部を規制解除する方向)にバネ付勢されている。
【0055】
車両補器41を収納部40に取付け格納する時には、該車両補器41の後面で可動部材61の一方側の辺部61a(奥側の辺部)を押圧するので、ヒンジピン60を支点として可動部材61の他方側の規制片49は車両前方側へ移動して、車両補器41のコーナ部を保持および規制する。
【0056】
車両補器41の使用に際して、収納部40から車両補器41を取出す場合には、図9に矢印aで示すように、該車両補器41を下動させる。この場合、スプリング47の付勢力に抗して押圧部材48を同時に押し下げると、車両補器41の図示後側上部のコーナ部が規制片49から下方へ離間すると共に、可動部材61はヒンジピン60を支点として規制片49が規制解除する方向へ揺動する。
【0057】
車両補器41の上記コーナ部を規制片49から離間させた後に、図9に矢印bで示すように該車両補器41を後方かつ下方へ回動させると、車両補器41を収納部40から取出すことができる。
【0058】
このように、図8、図9で示した実施例においては、車両補器41の収納時には、規制片49が該車両補器41を保持および規制する方向へ可動し、車両補器41の取出し時には、規制片49が車両補器41の保持および規制を解除する方向へ可動するので、規制片49の車両前方側への長さを比較的長く設定することができ、不使用時における車両補器41の安定した保持、規制と、使用時における車両補器41の取出し性という相反する効果の両立を図ることができる。
【0059】
なお、規制手段としては固定構造の規制片49(図4〜図7参照)および可動構造の規制片49(図8、図9参照)に代えて、マグネットによる磁気吸引力を利用した規制手段であってもよく、または面ファスナによる規制手段であってもよく、あるいは、これらを組合せて用いてもよい。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の操作部は、実施例の操作ボタン38に対応し、
以下同様に、
規制手段は、規制片49に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0061】
例えば、上記車両補器41はその長手方向に相当する車幅方向一端または車幅方向他端から押圧付勢する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
11…車室
12…乗員着座スペース
13…荷室スペース
20…ヒンジ部
30…リフトゲート
35…閉断面
36…リフトゲートメンバ
38…操作ボタン(操作部)
40…収納部
41…車両補器
44…蓋部材
49…規制片(規制手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に乗員着座スペースと、荷物を積載する荷室スペースとが配設され、
上記荷室スペースの後部にリフトゲートが開閉可能に配設された車両の後部車体構造であって、
上記リフトゲートは、該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持されており、
上記リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成したリフトゲートメンバが配設されると共に、
上記リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、
該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる上記閉断面とオーバラップするように車両補器が配設されたことを特徴とする
車両の後部車体構造。
【請求項2】
上記リフトゲートの車幅方向略中央部位には、該リフトゲートを開閉する操作部が設けられ、
上記収納部は、上記操作部に対応して車幅方向の略中央部に配設された
請求項1記載の車両の後部車体構造。
【請求項3】
上記収納部には、上記車両補器の取出し時に開閉する蓋部材が配設された
請求項1または2記載の車両の後部車体構造。
【請求項4】
上記収納部には、上記リフトゲートの閉時に上記車両補器の車室内への飛出しを規制する規制手段が設けられた
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の後部車体構造。
【請求項1】
車室内に乗員着座スペースと、荷物を積載する荷室スペースとが配設され、
上記荷室スペースの後部にリフトゲートが開閉可能に配設された車両の後部車体構造であって、
上記リフトゲートは、該リフトゲートの上部にヒンジ部を有して上下方向に開閉可能に支持されており、
上記リフトゲートの上部には、車幅方向にわたって閉断面を成したリフトゲートメンバが配設されると共に、
上記リフトゲートメンバの内部に位置する収納部が配設され、
該収納部には、少なくともその一部が上記リフトゲートメンバによる上記閉断面とオーバラップするように車両補器が配設されたことを特徴とする
車両の後部車体構造。
【請求項2】
上記リフトゲートの車幅方向略中央部位には、該リフトゲートを開閉する操作部が設けられ、
上記収納部は、上記操作部に対応して車幅方向の略中央部に配設された
請求項1記載の車両の後部車体構造。
【請求項3】
上記収納部には、上記車両補器の取出し時に開閉する蓋部材が配設された
請求項1または2記載の車両の後部車体構造。
【請求項4】
上記収納部には、上記リフトゲートの閉時に上記車両補器の車室内への飛出しを規制する規制手段が設けられた
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の後部車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−228929(P2012−228929A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97910(P2011−97910)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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