説明

車両の盗難防止システム、及び、盗難防止システムを搭載した車両

【課題】施錠制御装置を交換した時のID情報の登録作業を簡素化することができる盗難防止システムを提供する。
【解決手段】盗難防止システムは、固有のID情報を保有する携帯機と、当該携帯機の認証結果に応じて、車両に搭載され制御対象となる装置を施錠又は解錠する施錠制御装置と、前記施錠制御装置との間でデータを送受信し、前記携帯機のID情報をバックアップデータとして記憶する補助制御装置とを備える。前記施錠制御装置は、前記補助制御装置から前記ID情報を受信し、受信したID情報を保有する前記携帯機であって、所定の検知範囲内にある前記携帯機を検索する応答要求信号を送信する。そして、当該応答要求信号に対する応答信号を送信した前記携帯機のID情報を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難防止システム及び該盗難防止システムを搭載した車両において、搭乗者が携帯する携帯機のID情報を登録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の盗難をより確実に防止するシステムとして、キーシリンダに差し込まれたキーを、キーが電子的に保持するID情報に基づいて認証するイモビライザーシステムや、搭乗者が携帯する携帯機から無線で受信したID情報によって、携帯機を認証する、いわゆるスマートキーシステムが普及してきている。
【0003】
このような盗難防止システムにおいて、携帯機やキーの認証処理を実行する施錠制御装置には、携帯機やキーのID情報が予め格納されている。ところが、故障などが原因で施錠制御装置を交換する場合には、新しい施錠制御装置にID情報を改めて登録する必要がある。従来、ID情報の登録は、一般的に、専用の登録装置を施錠制御装置に接続し、該登録装置から施錠制御装置にID情報を入力することで行っていた。そのため、盗難防止システムの利用者は、施錠制御装置の交換時には、登録装置を保有する専門の業者に登録を依頼する必要があり、利便性が低かった。
【0004】
この点、特許文献1には、施錠制御装置とは異なるエンジン制御装置にもID情報を格納しておく盗難防止システムが開示されている。これによれば、施錠制御装置の交換時には、エンジン制御装置から施錠制御装置にID情報を送信し、施錠制御装置に登録するので、専用の登録装置を用いる必要がなくなる。
【特許文献1】特開平8−150898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示の盗難防止システムにおいても、十分な利便性を備えているとは言えなかった。つまり、特許文献1に開示の盗難防止システムでは、施錠制御装置を交換した後、キーをキーシリンダに差し込んだ時に、該キーのID情報と同一のID情報が、エンジン制御装置から交換後の施錠制御装置に送信されて格納される。そのため、ID情報の登録のためには、キーをキーシリンダに差し込む必要があり、作業が煩雑になっていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、施錠制御装置を交換した時のID情報の登録作業を簡素化できる盗難防止システム、及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る盗難防止システムは、固有のID情報を保有する携帯機と、前記ID情報を記憶する記憶手段を有し、当該記憶手段に格納される前記ID情報と前記携帯機から受信した前記ID情報とに基づいて前記携帯機を認証し、その認証結果に応じて、制御対象となる装置を施錠又は解錠する施錠制御装置と、前記施錠制御装置との間でデータを送受信し、前記携帯機のID情報をバックアップデータとして記憶する補助制御装置とを備える。そして、前記施錠制御装置は、前記補助制御装置から前記ID情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって前記補助制御装置から受信したID情報を保有する前記携帯機であって所定の検知範囲内にある前記携帯機を検索する応答要求信号を送信し、当該応答要求信号に対する応答信号を送信した前記携帯機のID情報を前記記憶手段に格納する検索格納手段とを備える。本発明によれば、検索格納手段は応答要求信号を送信して携帯機を検索するので、施錠制御装置を交換した時に必要となる携帯機の登録作業が簡便化する。なお、本発明の一態様では、前記ID情報は、予め前記携帯機に個別に割り当てられた情報である。また、本発明の一態様では、前記施錠制御装置の制御対象となる前記装置によって、作動を規制可能に設けられた作動装置をさらに備え、前記施錠制御装置の制御対象となる前記装置の施錠は、当該装置によって前記作動装置の作動を規制することであり、制御対象となる前記装置の解錠は、当該装置による規制を解除して、前記作動装置の作動を許容することである。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記施錠制御装置は、前記施錠制御装置の交換時を検知する検知手段をさらに備え、前記検索格納手段は、前記施錠制御装置の交換時に、前記応答要求信号に対する応答信号を送信した前記携帯機のID情報を前記記憶手段に格納する。これにより、施錠制御装置を交換した時に必要となる携帯機の登録作業がさらに簡便化する。この態様では、前記検知手段は、前記施錠制御装置の前記記憶手段が未だ前記ID情報を保持していない場合に、前記施錠制御装置の交換時であると判断してもよい。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記施錠制御装置の前記検索格納手段は、予め定める数の前記ID情報を前記記憶手段に格納する。この態様によれば、携帯機を登録する場合のセキュリティーが向上する。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記補助制御装置は、当該補助制御装置の前記記憶手段にバックアップデータとして格納された前記ID情報を所定のタイミングで更新するバックアップ更新手段をさらに備える。この態様によれば、施錠制御装置を交換した時に、新しいID情報を施錠制御装置に登録できる。
【0011】
また、上記課題を解決するための車両は、上記盗難防止システムを搭載したことを特徴とする。本発明によれば、施錠制御装置を交換した時に必要となる携帯機の登録作業が簡便化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施の形態である盗難防止システム1を搭載した自動二輪車100の側面図であり、図2は、盗難防止システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、自動二輪車100は、盗難防止システム1と、アクチュエータ60と、エンジン2と、ステアリングシャフト3と、を含んでいる。
【0013】
ステアリングシャフト3は斜め下方に延伸し、その上端部にはハンドル5が取り付けられ、その下端部には前車輪7aが接続されている。ステアリングシャフト3は、車両の駐車時には、ロック機構3aによって、その回転が規制される。エンジン2は、車体の中央下部に配置され、その駆動力は、駆動力伝達機構6を介して、後車輪7bに伝達される。エンジン2の上方には、開閉可能なシート8が配置され、シート8の下には収納スペース(不図示)が設けられている。シート8は、閉位置にある時に、ロック機構8aによって、その開閉が規制される。アクチュエータ60は、ロック機構8aを作動させて、シート8の開閉を規制又は許容する。なお、アクチュエータとして、例えば、コンソールボックスなどのロック機構を施錠又は解錠するソレノイドバルブを備えるようにしてもよい。
【0014】
図2に示すように、盗難防止システム1は、施錠制御装置10と、ロックユニット(補助制御装置)30と、エンジンコントロールユニット(ECU)40と、複数のスイッチからなるスイッチ群50と、携帯機70A,70Bと、インジケータランプ90とを含んでいる。
【0015】
インジケータランプ90は、例えば、インスツルメントパネルに設置されるLED(Light Emitting Diode)であり、施錠制御装置10から電力が供給されて点灯し、搭乗者に施錠制御装置10が実行する処理におけるエラーなどを通知する。
【0016】
スイッチ群50は、例えば、スタータスイッチ50aや、搭乗者がコンソールボックスの開閉を指示するためのセンサ式のスイッチ50b、シート8のロックの解除を指示するためのセンサ式のスイッチ50nなど、複数のスイッチを含む。これらのスイッチは、ユーザのスイッチ操作に応じた信号を施錠制御装置10に入力する。
【0017】
施錠制御装置10は、携帯機70A,70Bに固有のID(identification)情報(以下、携帯機IDとする)を保持し、当該携帯機IDと、所定の検知範囲内に存在する携帯機から受信した携帯機IDとに基づいて、当該検知範囲内の携帯機を認証する。その結果、正規の携帯機と認められた場合には、車両に搭載される制御対象装置(この例では、ロック機構8a、ロック機構3a、ECU40)を施錠又は解錠する。自動二輪車100には、制御対象装置によって、作動を規制可能に設けられた作動装置(この例では、ステアリングシャフト3や、シート8、ECU40)が備えられる。施錠制御装置10による制御対象装置の施錠は、制御対象装置によって作動装置の作動を規制することであり、制御対象装置を解錠する制御は、制御対象装置による規制を解除して、作動装置の作動を許容する制御である。例えば、施錠制御装置10は、ロック機構8a又はロック機構3aを施錠して、シート8の開閉又はステアリングシャフト3の回転を規制し、ロック機構8a又はロック機構3aを解錠して、シート8の開閉又はステアリングシャフト3の回転を許容する。また、施錠制御装置10は、ECU40への電力供給を止めておくことで当該ECU40を施錠し、エンジン2の始動を規制する。また、ECU40へ電力を供給することで、エンジン2の始動を許容する。なお、携帯機70A、70Bの携帯機IDは、各携帯機を識別するために、予め各携帯機に対して個別に割り当てられた情報である。携帯機IDは、例えば、その製造段階などで各携帯機に設定される。
【0018】
本実施の形態において、施錠制御装置10は、施錠制御装置の交換によって新たに車体に搭載されたものであり、初期状態では携帯機70A,70Bの携帯機IDを保持していないものとして説明する。施錠制御装置10は、後述する処理によって携帯機IDを取得する。
【0019】
ロックユニット30は、施錠制御装置10による認証処理の結果、携帯機70A又は70Bが正規のものと認められる場合に、ロック機構3aを施錠して、ステアリングシャフト3の回転を規制したり、ロック機構3aを解錠して、ステアリングシャフト3の回転を許容する。また、本実施の形態において、ロックユニット30は、施錠制御装置10が保持している携帯機ID、及び施錠制御装置10に固有のID情報(以下、施錠制御装置IDとする)のバックアップデータを保持している。なお、施錠制御装置IDは、施錠制御装置10を他の車体に搭載された施錠制御装置と識別するために割り当てられた情報であり、例えば、車体の製造段階などで各施錠制御装置に設定されている。また、ここではロックユニット30が、バックアップデータを保持する補助制御装置であるとして説明するが、例えば、ECU40が補助制御装置であってもよい。
【0020】
ECU40は、インジェクタに印加する電力を制御することで、エンジン2に供給する燃料の噴射量や、噴射時期を制御する。また、ECU40は、スタートスイッチ50aが搭乗者によってオンされ、施錠制御装置10による認証処理の結果、携帯機70A又は70Bが正規のものと認められた場合には、リレー回路92を介して、バッテリ91から電力が供給される。これにより、エンジン2の始動が許容される。
【0021】
ここで、施錠制御装置10、ロックユニット30、及び携帯機70A、70Bの各構成について詳細に説明する。まず、施錠制御装置10の構成について説明する。図3は施錠制御装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、施錠制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、アクチュエータ駆動回路14と、入力回路15と、表示回路16と、電源供給回路17と、インターフェース部18,19と、リレー駆動回路20と、電源回路21と、を含んでいる。
【0022】
電源回路21はバッテリ91から供給される電力を、施錠制御装置10を構成する各部に供給する。なお、図3において、電源回路21と各部を結ぶ接続線は省略されている。リレー駆動回路20は、制御部11から入力される信号に基づいて、リレー回路92に供給する電力をオン/オフする。
【0023】
電源供給回路17は、バッテリ91から電源回路21を介して供給される電力をロックユニット30に供給する。表示回路16は、制御部11から入力される信号に基づいて、インジケータランプ90に電力を供給する。入力回路15は、スイッチ群50を構成する各スイッチから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部11に出力する。アクチュエータ駆動回路14は、制御部11から入力される信号に基づいて、アクチュエータ60に電力を供給する。通信部13は、無線通信アンテナを含み、制御部11から入力されるデジタル信号を変換・増幅して電波信号として送信するとともに、携帯機70A,70Bから受信した電波信号を変換・増幅しデジタル信号にして制御部11に出力する。
【0024】
インターフェース部19は、制御部11の指示に基づいてECU40に信号を出力する。また、インターフェース部18は、制御部11の指示に基づいてロックユニット30に信号を出力する。例えば、インターフェース部18、19は、携帯機の認証処理の結果、この携帯機が正規のものと認められた場合に、その旨を示す信号を出力する。
【0025】
制御部11は、CPUを含み、記憶部12に格納されるプログラムを実行して、施錠制御装置10の全体を制御する。本実施の形態では、特に、施錠制御装置の交換によって、施錠制御装置10が新しく車体に搭載された時に、ロックユニット30にバックアップデータとして格納されている携帯機IDを取得し、記憶部12に格納する処理を実行する。制御部11が実行する処理については、後において詳細に説明する。
【0026】
記憶部12は、読み込み及び書き込み可能な不揮発性メモリを含み、制御部11が実行するプログラムを保持している。また、本実施の形態では、後述する制御部11の処理によって、施錠制御装置IDと、携帯機IDと、登録される携帯機の数を示す情報(以下、登録数情報とする)とが記憶部12に格納される。
【0027】
次に、ロックユニット30の構成について説明する。図4は、ロックユニット30の構成を示すブロック図である。同図に示すように、ロックユニット30は、制御部31と、記憶部32と、ロック機構駆動回路33と、電源回路34と、インターフェース部35とを含んでいる。
【0028】
インターフェース部35は、施錠制御装置10のインターフェース部18から受信した信号を制御部31に出力したり、制御部31の指示に基づいてインターフェース部18に信号を送信したりする。電源回路34は、施錠制御装置10の電源供給回路17から供給された電力を、ロックユニット30の各部に供給する。なお、図4において、電源回路34と各部を結ぶ接続線は省略されている。ロック機構駆動回路33は、ステアリングシャフト3のロック機構3aのアクチュエータに、制御部31から入力される信号に基づいて電力を供給する。
【0029】
記憶部32は、読み込み及び書き込み可能な不揮発性メモリを含み、制御部31が実行するプログラムを保持している。また、記憶部32は、バックアップデータとして、施錠制御装置IDと携帯機IDと登録数情報とを保持している。なお、本実施の形態における記憶部32の初期状態では、交換前に車体に搭載されていた施錠制御装置が保持していた携帯機ID等を、バックアップデータとして保持している。
【0030】
制御部31は、CPUを含み、記憶部32に格納されているプログラムを実行して、ロックユニット30の全体を制御する。例えば、制御部31は、施錠制御装置10から送信される施錠制御装置IDに基づいて、施錠制御装置10を認証したり、記憶部32のバックアップデータを更新する処理を行う。本実施の形態では、特に、制御部31は、施錠制御装置10への携帯機IDの登録時に、施錠制御装置10の要求に応じて、記憶部32に格納されているバックアップデータを施錠制御装置10に送信する。制御部31が実行する処理については、後において詳細に説明する。
【0031】
次に、携帯機70A、70Bの構成について詳細に説明する。図5は、携帯機70Aの構成を示すブロック図である。同図に示すように、携帯機70Aは、制御部71と、記憶部72と、通信部73と、表示部74と、操作部75,76とを備えている。なお、携帯機70Bの構成は、携帯機70Aと同様であり、詳細な説明を省略する。
【0032】
操作部75,76はスイッチであり、搭乗者によって操作され、その操作に応じた信号を制御部71に出力する。表示部74は、例えば、LEDであり、制御部71から出力される信号に基づいて点灯する。通信部73は、無線通信アンテナを含み、制御部71から入力されるデジタル信号を変換・増幅して電波信号として送信するとともに、施錠制御装置10から受信した電波信号を変換・増幅しデジタル信号にして制御部71に出力する。
【0033】
記憶部72は、読み取り及び書き込み可能な不揮発性メモリを含み、制御部71が実行するプログラムを保持している。また、記憶部72は、各携帯機に固有の携帯機IDを予め保持している。
【0034】
制御部71は、CPUを含み、記憶部72に格納されているプログラムを実行し、携帯機70の全体を制御する。制御部71が実行する処理については、後において詳細に説明する。
【0035】
ここで、施錠制御装置10の制御部11が実行する処理について詳細に説明する。図6は、制御部11の機能ブロック図である。同図に示すように、制御部11は、交換時検知部11aと、ID登録処理部11bと、ID更新処理部11fと、バックアップ更新処理部11gと、認証処理部11hと、認証処理応答部11iと、を含んでいる。なお、ID登録処理部11bは、施錠制御装置の交換によって施錠制御装置10が新しく車体に搭載された時に機能し、ID更新処理部11fと、バックアップ更新処理部11gと、認証処理部11hと、認証処理応答部11iは、ID登録処理部11bの処理が終了した後の通常時に機能する。以下、各部が実行する処理について詳細に説明する。
【0036】
交換時検知部11aは、施錠制御装置10が交換された時を検知する。交換時検知部11bは、例えば、次のようにして、施錠制御装置の交換時を検知する。
【0037】
交換時検知部11aは、記憶部12の記憶領域において携帯機IDを検索し、携帯機IDを検出しない場合に、施錠制御装置の交換によって施錠制御装置10が新しく車体に搭載されたと判断する。
【0038】
また、施錠制御装置10の製造段階において、施錠制御装置10が初期状態にあること、すなわち、未だ記憶部12に携帯機IDが格納されていないことを示す情報(未登録通知情報)を予め記憶部12に格納しておいてもよい。そして、交換時検知部11aは、記憶部12の記憶領域において未登録通知情報を検索し、当該未登録通知情報を検出すれば、施錠制御装置10が新しく車体に搭載された判断してもよい。また、交換時検知部11aは、作業者の所定のスイッチ操作による信号が、スイッチ群50から入力された時に、施錠制御装置10が新しく車体に搭載された判断してもよい。
【0039】
ID登録処理部11bは、施錠制御装置10の交換時が検知されると、携帯機IDをロックユニット30から取得して記憶部12に格納する再格納処理を行う。ID登録処理部11bは、ID取得処理部11cと、携帯機検索格納部11dと、施錠制御装置ID格納部11eとを含んでいる。
【0040】
ID取得処理部11cは携帯機ID及び施錠制御装置IDを取得する処理を行う。具体的には、ID取得処理部11cは、ロックユニット30がバックアップデータとして保持している携帯機ID及び施錠制御装置IDの送信を要求する要求信号を、該ロックユニット30に送信する。そして、ID取得処理部11cは、ロックユニット30が該要求信号に応えて送信した携帯機ID及び施錠制御装置IDを受信する。
【0041】
携帯機検索格納部11dは、ロックユニット30から受信した携帯機IDを保有する携帯機(ここでは、携帯機70A,70B)であって、所定の検知範囲内(施錠制御装置10の検知範囲内、例えば数メートル)に存在する携帯機を検索する応答要求信号を送信する。そして、応答要求信号に対する応答信号を携帯機70A、70Bから受信した場合に、当該応答信号を送信した携帯機の携帯機IDを記憶部12に格納する。なお、携帯機検索格納部11dは、ロックユニット30に格納されている携帯機IDを保有する携帯機であって、応答信号を送信した全ての携帯機を登録してもよいし、予め定める数だけ登録してもよい。
【0042】
施錠制御装置ID格納部11eは、ID取得処理部11cがロックユニット30から取得した施錠制御装置IDを記憶部12に格納する。これによって、施錠制御装置10は、その交換前に車体に設置されていた施錠制御装置の施錠制御装置IDを引き継ぐこととなる。
【0043】
ID更新処理部11fは、新規に携帯機を登録する場合に、当該携帯機の携帯機IDを記憶部12に格納する処理を行う。具体的には、ID更新処理部11fは、まず、作業者により所定のスイッチ操作(以下、第1の操作とする)がなされると、所定の検知範囲内に存在する未登録の携帯機に、その携帯機IDを要求する要求信号を送信する。そして、当該要求信号に応えて携帯機が送信した携帯機IDを受信する。次に、第1の操作とは異なる所定のスイッチ操作(以下、第2の操作とする)がなされると、記憶部12に既に格納されている携帯機IDを消去し、未登録の携帯機の携帯機IDを記憶部12に格納する。また、第2の操作とは異なる所定のスイッチ操作がなされると、登録済みの携帯機IDに未登録の携帯機IDを追加して、記憶部12に格納する。なお、ID更新処理部11fは、携帯機IDの更新によって記憶部12に格納される携帯機IDの数が変わる場合には、登録数情報をも更新する。
【0044】
バックアップ更新処理部11gは、所定のタイミングで、ロックユニット30が保持しているバックアップデータを更新する処理を行う。ここで、所定のタイミングは、例えば、搭乗者によりスタートスイッチ50aがオンされた時や、ID更新処理部11fの処理によって新規に携帯機IDが登録された時、前回バックアップデータを更新した時から予め定める時間が経過した時などである。ここで更新されたバックアップデータは、その後に実行される携帯機IDの再格納処理に供される。バックアップデータの更新処理は、例えば、次のように実行される。
【0045】
バックアップ更新処理部11gは、バックアップデータとして格納されている携帯機ID及び登録数情報(以下、纏めて携帯機情報とする)をロックユニット30から取得する。そして、取得した携帯機情報と、記憶部12に格納されている携帯機情報とを照合し、それらが一致しない場合(例えば、ID更新処理部11fの処理によって携帯機IDが追加されている場合)には、記憶部12の携帯機情報をロックユニット30に送信し、ロックユニット30は受信した携帯機情報をバックアップデータとして保持する。ロックユニット30が実行する処理については後において詳細に説明する。
【0046】
認証処理部11hは、スイッチ群50に含まれる所定のスイッチ(例えば、スタートスイッチ50a)がオンされると、検知範囲内にある携帯機を認証する。その結果、この携帯機が正規の携帯機(ここでは、携帯機70A又は70B)であると判定した場合には、制御対象装置を解錠したり施錠したりする。例えば、その判定結果を通知する信号をロックユニット30に送信し、ロック機構3aのロックを解除して、ステアリングシャフト3の回転を許容する。また、リレー回路92をオンしてECU40に電力を供給することでECU40のロックを解除し、エンジン2を始動可能な状態にしたり、アクチュエータ60を駆動させてロック機構8aのロックを解除して、シート8の開閉を許容したりする。
【0047】
認証処理部11hによる認証処理の方式は、例えば、チャレンジ・レスポンス方式である。すなわち、認証処理部11hは、施錠制御装置10の施錠制御装置IDと、チャレンジデータとを送信する。また、認証処理部11hは、チャレンジデータと、記憶部12に格納されている携帯機IDとに基づいて、レスポンスデータを算出する。チャレンジデータを受信した携帯機70A又は70Bが、チャレンジデータと携帯機IDとに基づいてレスポンスデータを算出し施錠制御装置10に送信すると、認証処理部11hは、受信したレスポンスデータと、先に算出してあるレスポンスデータとを照合する。それらが一致する場合には、レスポンスデータを送信した携帯機は、既に登録されたものであり、正規な携帯機であると判断する。なお、認証処理の方式は、チャレンジ・レスポンス方式に限られず、例えば、平文認証であってもよい。
【0048】
認証処理応答部11iは、ロックユニット30が施錠制御装置10を認証する認証処理において、ロックユニット30から送信される信号に応答する。例えば、ロックユニット30が施錠制御装置IDを要求する信号を送信した場合には、認証処理応答部11iは、当該信号に応えて、記憶部12から施錠制御装置IDを読み出しロックユニット30に送信する。また、ロックユニット30による認証処理が、例えば、上述したチャレンジ・レスポンス方式である場合、認証処理応答部11iは、ロックユニット30から受信するチャレンジデータと施錠制御装置IDとに基づいて、レスポンスデータを生成しロックユニット30に送信する。なお、ロックユニット30による認証処理については、後において詳説する。
【0049】
ここで、ロックユニット30の制御部31が実行する処理について説明する。図7は、制御部31の機能ブロック図である。同図に示すように、制御部31は、機能的には、ID登録処理応答部31aと、バックアップ更新処理応答部31bと、認証処理部31cとを含んでいる。
【0050】
ID登録処理応答部31aは、上述した携帯機IDの再格納処理において施錠制御装置10から送信される信号に対して応答する処理を行う。具体的には、施錠制御装置10から携帯機ID及び施錠制御装置IDを要求する要求信号を受信すると、ID登録処理応答部31aは、該要求信号に応えて、記憶部32から携帯機ID及び施錠制御装置IDを読み出し施錠制御装置10に送信する。
【0051】
なお、ID登録処理応答部31aは、携帯機ID及び施錠制御装置IDを送信する際に、これらのID情報を暗号化して送信してもよい。ここで暗号化の方式は、例えば、公開鍵暗号方式である。この場合、施錠制御装置10は予め秘密鍵データを保有している。ID登録処理応答部31aは、施錠制御装置10から公開鍵データを取得し、該公開鍵データを用いて携帯機ID及び施錠制御装置IDを暗号化して施錠制御装置10に送信する。施錠制御装置10は、秘密鍵データに基づいて、ID登録処理応答部31aから送信された信号を復号化して、携帯機ID等を取得する。なお、暗号化の方式は、秘密鍵暗号方式であってもよい。
【0052】
バックアップ更新処理応答部31bは、上述したバックアップ更新処理部11gによる更新処理において、施錠制御装置10から送信される信号に対して応答する処理を行う。例えば、バックアップ更新処理応答部31bは、施錠制御装置10からバックアップデータが要求されると、該要求に応えて記憶部32に格納されている携帯機情報を送信する。その後、施錠制御装置10から携帯機情報を受信すると、記憶部32の携帯機情報に、新しく受信した携帯機情報を上書きして、新たなバックアップデータとする。
【0053】
認証処理部31cは、施錠制御装置IDに基づいて、施錠制御装置10を認証する処理を行う。この認証処理は、例えば、スタートスイッチ50aがオンされた時や、スタートスイッチ50bがオンされた後、施錠制御装置10による携帯機の認証処理の結果、携帯機が正規のものと認証された時などに実行される。
【0054】
認証処理部31cによる認証処理は、例えば、上述したチャレンジ・レスポンス方式で行われる。すなわち、認証処理部31cは、チャレンジデータを生成し施錠制御装置10に送信するとともに、当該チャレンジデータと予め記憶部32に格納されている施錠制御装置IDとに基づいてレスポンスデータを算出する。一方、施錠制御装置10の認証処理応答部11iは、上述したように、受信したチャレンジデータと、記憶部12に格納されている施錠制御装置IDとに基づいてレスポンスデータを生成しロックユニット30に送信する。認証処理部31cは、施錠制御装置10から受信したレスポンスデータと、先に算出したレスポンスデータとを照合して、これらが一致する場合に、施錠制御装置10が正規のものであると判断する。
【0055】
ここで、携帯機70A,70Bの制御部71が実行する処理について説明する。図8は、制御部71の機能ブロック図である。同図に示すように、制御部71は、機能的には、ID登録処理応答部71aと、認証処理応答部71bとを含んでいる。
【0056】
ID登録処理応答部71aは、施錠制御装置10が実行する携帯機IDの再格納処理において、施錠制御装置10から受信した信号に対して応答する処理を行う。具体的には、施錠制御装置10から応答要求信号を受信すると、これに応えて施錠制御装置10に応答信号を送信する。ここで、ID登録処理応答部71aは、応答要求信号を受信した時に応答信号を送信してもよいし、応答要求信号を受信した後、作業者が所定のスイッチ操作をしたことによって、操作部75,76から所定の信号が入力された時に応答信号を送信してもよい。
【0057】
認証処理応答部71bは、施錠制御装置10が実行する認証処理において、施錠制御装置10から受信した信号に対して応答する処理を行う。例えば、認証処理の方式が上述したチャレンジ・レスポンス方式である場合には、施錠制御装置10から受信したチャレンジデータと、記憶部72に格納されている携帯機IDとに基づいて、レスポンスデータを生成し施錠制御装置10に送信する。
【0058】
ここで、盗難防止システム1において実行される処理について図9及び図10に示すシーケンス図に基づいて説明する。図9は、携帯機IDの再格納処理の例を示す図であり、図10は、バックアップデータの更新処理の例を示す図である。まず、再格納処理について説明する。なお、ここでは、携帯機70Bのみが施錠制御装置10の検知範囲内にあり、携帯機70Aは検知範囲内には存在しないものとして説明する。
【0059】
交換時検知部11aが、施錠制御装置10が新しく車体に取り付けられた判断すると、ID取得処理部11cは、ロックユニット30に携帯機ID及び施錠制御装置IDを要求する要求信号を送信する(S101)。該要求信号を受信したロックユニット30のID登録処理応答部31aは、記憶部32にバックアップデータとして格納されている携帯機70A,70Bの携帯機ID及び施錠制御装置IDを読み出し、施錠制御装置10に送信する(S102)。
【0060】
施錠制御装置10において、施錠制御装置ID格納部11eは、ロックユニット30から取得した施錠制御装置IDを記憶部12に格納する(S103)。また、携帯機検索格納部11dは、ロックユニット30から受信した複数の携帯機IDのうちいずれか一つ(ここでは、携帯機70A)を選択し、該携帯機IDと応答要求信号とを送信する(S104)。ここでは、携帯機70Aは、上述したように検知範囲内に存在しないため、応答要求信号を受信できず、施錠制御装置10は携帯機70Aから応答信号を受信しない。
【0061】
次に、携帯機検索格納部11dは、ロックユニット30から受信した複数の携帯機IDのうち、前回選択した携帯機ID(ここでは、携帯機70Aの携帯機ID)とは異なる携帯機ID(ここでは、携帯機70Bの携帯機ID)を選択し、当該携帯機IDと応答要求信号とを送信する(S105)。この例では、携帯機70Bは検知範囲内にあるので、携帯機IDと応答要求信号とを受信する。携帯機70BのID登録処理応答部71aは、受信した携帯機IDと、記憶部72に格納されている携帯機70Bの携帯機IDとを照合し、応答要求信号が自らに宛てて送信されたものであることを確認した後、応答信号を施錠制御装置10に送信する(S106)。
【0062】
応答信号を受信した施錠制御装置10の携帯機検索格納部11dは、記憶部12から施錠制御装置IDを読み出し、携帯機70Bに送信する(S107)。なお、この時、携帯機検索格納部11aは、施錠制御装置IDとともに、携帯機70Bの携帯機IDを送信してもよい。そして、携帯機70BのID登録処理応答部71aは、該携帯機IDに基づいて、自らに宛てて送信された施錠制御装置IDであるか否かを判断してもよい。
【0063】
携帯機70Bにおいて、ID登録処理応答部71aは、受信した施錠制御装置IDを記憶部72に格納し(S108)、その旨を示す完了通知信号を施錠制御装置10に送信する(S109)。携帯機検索格納部11dは、完了通知信号を受信すると、携帯機70Bの携帯機IDを記憶部12に格納する(S110)。このとき、携帯機検索格納部11dは、格納した携帯機IDの数(この例では「1」)を示す登録数情報を記憶部12に格納してもよい。
【0064】
なお、施錠制御装置10の製造段階で、記憶部12に施錠制御装置10が正規のものであることを示す製造元情報を格納しておき、S101に先だって、ロックユニット30は、製造元情報に基づいて施錠制御装置10を認証してもよい。そして、施錠制御装置10が正規のものであると認められた場合に、ロックユニット30はその旨を示す信号を施錠制御装置10に送信し、施錠制御装置10はS101において要求信号を送信してもよい。
【0065】
次に、バックアップデータの更新処理について図10に基づいて説明する。なお、ここでは、更新処理が開始される前に、施錠制御装置10のID更新処理部11fの処理によって、記憶部12に格納されている携帯機IDが変更されているものとして説明する。
【0066】
施錠制御装置10のバックアップ更新処理部11gは、例えば、搭乗者によりスタートスイッチ50aがオンされると、バックアップデータとして格納されている携帯機情報の送信を要求する要求信号をロックユニット30に送信する(S201)。ロックユニット30のバックアップ更新処理応答部31bは、要求信号を受信すると、記憶部32にバックアップデータとして格納されている携帯機情報を施錠制御装置10に送信する(S202)。バックアップ更新処理部11gは、受信した携帯機情報と、記憶部12に格納されている携帯機情報とを照合する(S203)。ここでは、更新処理の前に記憶部12の携帯機IDが変更されているので、これらの情報は一致しない。従って、バックアップ更新処理部11gは、記憶部12の携帯機情報をロックユニット30に送信する(S204)。バックアップ更新処理応答部31bは、施錠制御装置10から携帯機情報を受信すると、記憶部32に格納されている携帯機情報に、新しく受信した携帯機情報を上書きして、新たなバックアップデータとする(S205)。この時、バックアップ更新処理応答部31bは、バックアップデータの更新処理の完了を示す信号を施錠制御装置10に送信してもよい。
【0067】
また、記憶部32が保持している更新前のバックアップデータと、施錠制御装置10が保持している携帯機情報との照合は、ロックユニット30が行ってもよい。この場合、バックアップ更新処理部11gは、所定のタイミングで、記憶部12に格納されている携帯機情報をロックユニット30に送信する。バックアップ更新処理応答部31bは、施錠制御装置10から受信した携帯機情報と、記憶部32にバックアップデータとして格納されている携帯機情報と照合する。そして、それらが一致しない場合に、格納されている携帯機情報に新たに受信した携帯機情報を上書きする。
【0068】
ここで、交換時検知部11a及びID登録処理部11bが実行する再格納処理について、さらに詳細に説明する。図11は、交換時検知部11a及びID登録処理部11bが実行する処理の例の流れを示すフローチャートである。なお、この例では、携帯機IDの再格納時に記憶部12に格納される携帯機IDは1つと定められているものとして説明する。また、ロックユニット30の記憶部32は、複数の携帯機IDが順番に格納されるIDテーブルを保持しているものとして説明する。
【0069】
まず、交換時検知部11aは、記憶部12の記憶領域を検索し、携帯機IDが既に格納されているか否かを判定する(S301)。ここで、既に携帯機IDが格納されている場合には処理を終了する。
【0070】
一方、携帯機IDが格納されていない場合には、ID取得処理部11cは、ロックユニット30に携帯機ID及び施錠制御装置IDの送信を要求する要求信号を送信し(S302)、ロックユニット30から返信された複数の携帯機ID及び施錠制御装置IDを取得する(S303)。なお、ここでは、携帯機IDは上述したIDテーブルに格納されて送信される。
【0071】
次に、施錠制御装置ID格納部11eは、施錠制御装置IDを記憶部12に格納する(S304)。また、携帯機検索格納部11dは、パラメータiを初期値1とし(S305)、IDテーブルにおいてi番目に格納されている携帯機IDと、応答要求信号とを送信する(S306)。その後、携帯機検索格納部11dは、S306で送信した携帯機IDを保有する携帯機から、応答信号を受信したか否かを判定する(S307)。ここで、未だ応答信号を受信していない場合には、応答要求信号を送信した時点から予め定める制限時間が経過したか否かを判定する(S308)。ここで、未だ制限時間が経過していない場合には、S107に戻り、再び応答信号の受信の有無を判定する。
【0072】
一方、S308において、制限時間を経過している場合には、携帯機検索格納部11dは、IDテーブルに格納されている携帯機IDを保有する全ての携帯機(ここでは携帯機70A及び70B)に応答要求信号を送信したか否かを判定する(S309)。ここで、既に全ての携帯機に応答要求信号を送信している場合には、検知範囲内に携帯機70A及び70Bが存在しないと判断して、携帯機IDの再格納処理を終了する。なお、この時、携帯機検索格納部11dは、作業者に携帯機IDの再格納が完了しなかったことを通知するために、例えば、インジケータランプ90を点灯させてもよい。
【0073】
一方、S309において、未だ全ての携帯機IDに応答要求信号を送信していない場合には、携帯機検索格納部11dは、パラメータiを1だけインクリメントして(S310)、S306に戻り、再びIDテーブルにおいてi番目に格納される携帯機IDと応答要求信号とを送信する。
【0074】
S307において、携帯機70A又は70Bから応答信号を受信した場合には、携帯機検索格納部11dは、該応答信号を送信した携帯機70A又は70Bの携帯機IDと、施錠制御装置IDの記憶部72への格納を要求する格納要求信号とを送信する(S311)。そして、携帯機検索格納部11dは、携帯機70A又は70Bから、格納要求信号に従って施錠制御装置IDを記憶部72に格納した旨を示す完了通知信号を受信する(S312)。また、携帯機検索格納部11dは、応答信号を送信した携帯機70A又は70Bの携帯機IDを記憶部12に格納する(S313)。その後、その旨を作業者に通知するため、所定の態様でインジケータランプ90を点灯させる(S314)。
【0075】
以上説明した盗難防止システムでは、制御部11の交換時検知部11aは、施錠制御装置10が新しく交換された時を検知する。この時、ID登録処理部11bは、所定の検知範囲内に存在する携帯機を検索して、当該携帯機の携帯機IDを記憶部12に格納する。これにより、施錠制御装置を交換した時に必要となる携帯機IDの再登録作業が簡便化する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係る盗難防止システムを搭載した自動二輪車の側面図である。
【図2】盗難防止システムの構成を示すブロック図である。
【図3】上記盗難防止システムに含まれる施錠制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】上記盗難防止システムに含まれるロックユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】上記盗難防止システムに含まれる携帯機の構成を示すブロック図である。
【図6】上記施錠制御装置の制御部が実行する処理を示す機能ブロック図である。
【図7】上記ロックユニットの制御部が実行する処理を示す機能ブロック図である。
【図8】上記携帯機の制御部が実行する処理を示す機能ブロック図である。
【図9】上記施錠制御装置を新しく交換した時に実行される再格納処理の例を示すシーケンス図である。
【図10】上記ロックユニットが保持するバックアップデータを更新する処理の例を示すシーケンス図である。
【図11】上記施錠制御装置を新しく交換した時に、施錠制御装置の制御部が実行する再格納処理の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 盗難防止システム、2 エンジン(作動装置)、3 ステアリングシャフト(作動装置)、3a ロック機構(制御対象装置)、5 ハンドル、6 駆動力伝達機構、7a 前車輪、7b 後車輪、8 シート(作動装置)、8a ロック機構(制御対象装置)、10 施錠制御装置、11 制御部、11a 交換時検知部(検知手段)、11b ID登録処理部、11c ID取得処理部(受信手段)、11d 携帯機検索格納部(検索格納手段)、11e 施錠制御装置ID格納部、11f ID更新処理部、11g バックアップ更新処理部(バックアップ更新手段)、11h 認証処理部、11i 認証処理応答部、12 記憶部、13 通信部、14 アクチュエータ駆動回路、15 入力回路、16 表示回路、17 電源供給回路、18,19 インターフェース部、20 リレー駆動回路、21 電源回路、30 ロックユニット(補助制御装置)、31 制御部、31a ID登録処理応答部、31b バックアップ更新処理応答部、31c 認証処理部、32 記憶部、33 ロック機構駆動回路、34 電源回路、35 インターフェース部、40 エンジンコントロールユニット(ECU,制御対象装置)、50 スイッチ群、60 アクチュエータ、70A,70B 携帯機、71 制御部、71a ID登録処理応答部、71b 認証処理応答部、72 記憶部、73 通信部、74 表示部、75,76 操作部、90 インジケータランプ、91 バッテリ、92 リレー回路、100 自動二輪車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有のID情報を保有する携帯機と、
前記ID情報を記憶する記憶手段を有し、当該記憶手段に格納される前記ID情報と前記携帯機から受信した前記ID情報とに基づいて前記携帯機を認証し、その認証結果に応じて、制御対象となる装置を施錠又は解錠する施錠制御装置と、
前記施錠制御装置との間でデータを送受信し、前記携帯機のID情報をバックアップデータとして記憶する補助制御装置と、を備え、
前記施錠制御装置は、
前記補助制御装置から前記ID情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記補助制御装置から受信したID情報を保有する前記携帯機であって、所定の検知範囲内にある前記携帯機を検索する応答要求信号を送信し、当該応答要求信号に対する応答信号を送信した前記携帯機のID情報を前記記憶手段に格納する検索格納手段と、を備える、
ことを特徴とする盗難防止システム。
【請求項2】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記ID情報は、予め前記携帯機に個別に割り当てられた情報である、
ことを特徴とする盗難防止システム。
【請求項3】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記施錠制御装置の制御対象となる前記装置によって、作動を規制可能に設けられた作動装置をさらに備え、
前記施錠制御装置の制御対象となる前記装置の施錠は、当該装置によって前記作動装置の作動を規制することであり、制御対象となる前記装置の解錠は、当該装置による規制を解除して、前記作動装置の作動を許容することである、
ことを特徴とする盗難防止システム。
【請求項4】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記施錠制御装置は、前記施錠制御装置の交換時を検知する検知手段をさらに備え、
前記検索格納手段は、前記施錠制御装置の交換時に、前記応答要求信号に対する応答信号を送信した前記携帯機のID情報を前記記憶手段に格納する、
ことを特徴とする盗難防止システム。
【請求項5】
請求項4に記載の盗難防止システムにおいて、
前記検知手段は、前記施錠制御装置の前記記憶手段が未だ前記ID情報を保持していない場合に、前記施錠制御装置の交換時であると判断する、
ことを特徴とする盗難防止システム。
【請求項6】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記施錠制御装置の前記検索格納手段は、予め定める数の前記ID情報を前記記憶手段に格納する、
ことを特徴とする盗難防止システム。
【請求項7】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記補助制御装置は、当該補助制御装置の前記記憶手段にバックアップデータとして格納された前記ID情報を所定のタイミングで更新するバックアップ更新手段をさらに備える、
ことを特徴とする盗難防止システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の盗難防止システムを搭載した車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−106590(P2008−106590A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73484(P2007−73484)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】