説明

車両ドア制御システム

【課題】運転者が両手で荷物を運んでいるときでも、面倒な作業を行なうことなく、荷物の車両への積み込みを行なうことが可能な車両ドア制御システムを提供する。
【解決手段】携帯機1は、登録処理操作が行なわれたとき、車両側ユニットに対して車両ドアの自動開扉を指示することを登録する。そして、車両ドアの自動開扉指示が登録されているとき、携帯機1は、車両側ユニットからのリクエスト信号に応答して、車両ドアの自動開扉を指示する指示信号を含むレスポンス信号を返送する。車両側ユニットは、IDコードの照合が成立し、かつ携帯機1からのレスポンス信号に自動開扉指示信号が含まれている場合、携帯機1の保持者のアンロック操作によらず、車両ドアをアンロックさせるとともに、車両ドアを自動的に開扉させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機と車両側ユニットとが相互通信を行うことにより、車両ドアの状態を制御する車両ドア制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ドア制御システムとして、携帯型電子キー(携帯機)と車両側ユニットとの双方向通信によるIDコードの照合結果をもとに、各ドアのロック・アンロック状態を制御するシステムが知られている。このシステムにおいては、車両の周囲に所定の通信エリアを設定し、この通信エリアにおいて、車両側ユニットにおける送信機から例えば所定間隔毎に、リクエスト信号を発信する。このようにして、携帯機の保持者の車両への接近、車両への乗車や車両からの降車を監視している。
【0003】
例えば、携帯機の保持者が車両への乗車のために車両に接近し、通信エリアに進入すると、リクエスト信号に応答して携帯機がIDコードを含むレスポンス信号を車両側ユニットに返送する。車両側ユニットは、携帯機から取得したIDコードが登録IDコードに一致する等、所定の関係を満足すると判定される場合に、車両側ユニットのドアロック制御装置に対して、各ドアをアンロックスタンバイ状態にするように制御信号を与える。この状態となった時に、携帯機の保持者がドアハンドルに触れると、ドアロック制御装置は、それをタッチセンサ等で検出し、ドアをアンロックする。
【0004】
また、本出願人が出願した特許文献1に記載された装置では、さらに、ドアのアンロックと同期して、自動開閉機能を有するドアを自動的に開扉させるようにしている。このようにして、携帯機の保持者の車両への乗車時の利便性の一層の向上を図っている。
【特許文献1】特開2006−266023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の装置でも、携帯機の保持者が、ドアハンドルに触れたり、ドアハンドルに設けられたスイッチを操作するなど、ドアハンドルに対して何らかの操作(以下、アンロック操作)を行なわない限り、ドアのアンロック及びドアの自動開扉動作は実行されない。なお、ドアハンドルに対するアンロック操作が行なわれたときにドアのアンロック等を行なうようにしている理由は、例えば、携帯機の保持者が車両に接近しただけでドアがアンロックされてしまうと、乗車する意思がない場合でも誤ってドアのアンロック等が行なわれてしまう可能性が生じるためである。
【0006】
その一方で、例えば、携帯機の保持者が両手で荷物を運んでいる場合などは、ドアハンドルに対してアンロック操作を行なうことが困難になる。このため、携帯機の保持者は、例えば一旦荷物を地面に置いて、ドアハンドルに対してアンロック操作を実行し、その後、荷物を持ち上げて車両に積み込まねばならないなどの面倒な作業を行なう必要が生じる。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、運転者が両手で荷物を運んでいるときでも、面倒な作業を行なうことなく、荷物の車両への積み込みを行なうことが可能な車両ドア制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両ドア制御システムは、
車両側ユニットから送信されるリクエスト信号に応答して、携帯機がIDコードを含むレスポンス信号を返送する双方向通信を行なうことにより、車両側ユニットは、携帯機からIDコードを取得し、その取得したIDコードを予め登録してある登録コードと照合し、その照合結果に応じて、車両ドアの状態を制御する車両ドア制御システムにおいて、
車両側ユニットは、
車両ドアのロック・アンロック状態を制御するロック状態制御部と、
車両ドアの開扉動作を自動的に実行する自動開扉部と、を有し、
携帯機は、
所定の登録処理がなされたときに、車両側ユニットに対して車両ドアの自動開扉を指示することを登録しておく登録記憶部を有し、当該登録記憶部に車両ドアの自動開扉を指示することが登録されているときには、双方向通信において、車両ドアの自動開扉を指示する指示信号を車両側ユニットに送信し、
車両ドアがロックされた状態で車両が駐車されているときに、IDコードの照合が成立し、かつ携帯機から指示信号を受信すると、車両側ユニットは、ロック状態制御部によって車両ドアをアンロックさせるとともに、自動開扉部によって車両ドアを自動的に開扉させることを特徴とする。
【0009】
上述したように、請求項1に記載の車両ドア制御システムにおいては、携帯機が登録記憶部を有し、所定の登録処理がなされたとき、車両側ユニットに対して車両ドアの自動開扉を指示することが登録記憶部に登録される。そして、登録記憶部に車両ドアの自動開扉指示が登録されているときには、携帯機が、車両ドアの自動開扉を指示する指示信号を車両側ユニットに送信する。車両側ユニットは、IDコードの照合が成立し、かつ携帯機から指示信号を受信すると、車両ドアをアンロックさせるとともに、車両ドアを自動的に開扉させる。従って、車両へ積み込むべき荷物が多く、車両に近づくときには両手が荷物で塞がることが予想されるときなどに、事前に携帯機に登録処理を施しておくことで、携帯機の保持者が車両に接近するだけで、車両ドアのアンロック後に、車両ドアを自動的に開扉させることができる。このため、運転者が両手で荷物を運んでいるときでも、面倒な作業を行なうことなく、荷物の車両への積み込みを容易に行なうことが可能になる。
【0010】
なお、上述したように、携帯機の保持者が車両に接近しただけで、車両ドアのアンロック及び自動開扉が行なわれるのは、携帯機に対して所定の登録処理を実施した場合のみである。このため、携帯機の保持者が意図しないにも係らず、車両ドアがアンロックされ、かつ自動開扉される事態の発生は、ほぼ防止可能である。また、自動開扉される車両ドアには、車両の室内に乗車するための車両ドアの他、車室内後部に設けられた荷室を開閉するための後部ドアやトランクを開閉するためのトランクドアが含まれる。
【0011】
請求項2に記載したように、所定の登録処理は、携帯機に設けられたスイッチを操作することによって実施されても良い。携帯機に設けられたスイッチの操作によって登録処理が行なわれる場合、その登録処理は携帯機の保持者本人によって行なわれる。このため、携帯機の保持者が意図したときに限定して、車両ドアのアンロック及び自動開扉を行なわせることが可能になる。
【0012】
また、請求項3に記載したように、所定の登録処理は、外部のデータ送信機から送信されるデータの携帯機による受信によって実施されても良い。例えば、携帯機の保持者が店舗で買い物をした場合、その支払処理時に店舗に設置された送信機を用いて登録処理を行なえば、携帯機の保持者が荷物を持って車両に接近する場合に、予め自動的に登録処理を行なうことができる。なお、このように外部のデータ送信機を用いて登録処理を行なう場合には、音声や表示などで登録処理を行なった旨を報知することにより、携帯機の保持者は登録処理が行なわれたことを認識することができる。
【0013】
請求項4に記載したように、携帯機は、登録記憶部に車両ドアの自動開扉を指示することが登録されてから、車両側ユニットとの双方向通信を行なうことなく所定時間が経過したとき、その登録を無効にするようにしても良い。登録処理が行なわれた時点と、その登録処理に基づいて車両ドアのアンロック及び自動開扉が行なわれる時点との間には時間差があることが通常であるが、その時間差が過度に長くなった場合、携帯機の保持者は登録処理が行なわれたことを失念している可能性も生じるためである。
【0014】
請求項5に記載したように、車両側ユニットは、車両の複数の車両ドアの開扉動作を自動的に実行できるように、自動開扉部を複数有し、さらに、複数の自動開扉部により自動的に開扉される複数の車両ドアの内、携帯機の保持者が最も接近している車両ドアを特定する特定手段を備え、
IDコードの照合が成立し、かつ携帯機から指示信号を受信したとき、車両側ユニットは、ロック状態制御部によって車両ドアをアンロックさせるとともに、特定手段によって特定された車両ドアを自動開扉部によって自動的に開扉させることが好ましい。携帯機の保持者が両手で荷物を持っている場合、まず、その荷物を車両に(車両の後部座席付近、荷室などに)積み込こもうとする。そのため、携帯機の保持者が最も接近している自動開扉可能な車両ドアを対象として、車両ドアのアンロック及び自動開扉を実行することが好ましい。
【0015】
携帯機の保持者が最も接近している車両ドアを特定するために、請求項6の構成を採用することができる。すなわち、車両には、携帯機との双方向通信を行なうための複数の送信機が異なる位置に設けられており、特定手段は、複数の送信機のうち、携帯機との双方向通信に用いられた送信機の位置に基づいて、携帯機の保持者が最も接近している車両ドアを特定する。このような複数の送信機は、従来の車両ドア制御システムに含まれているので、何ら構成を追加することなく、携帯機の保持者が最も接近している車両ドアを特定することができる。
【0016】
請求項7に記載したように、自動開扉部は、車両ドアの閉扉動作も自動的に実行するものであって、車両側ユニットは、携帯機の保持者が車両に乗車したことを検知する検知手段を備え、当該検知手段により携帯機の保持者の車両への乗車が検知されると、自動開扉部によって自動的に開扉させた車両ドアを自動的に閉扉させても良い。これにより、さらに携帯機の保持者の利便性を向上することができる。
【0017】
携帯機の保持者が車両へ乗車したことを検知するには、例えば、車両ドア制御システムにおいて、通常、車両側ユニットの一部として設けられる車室内送信機との双方向通信が行なわれ、かつ車室外送信機との双方向通信が途絶えたことや、車室内のシートへ着座したことなどを検出すれば良い。さらに、請求項8に記載したように、検知手段は、自動開扉部により自動的に開扉させた車両ドア以外の、車室内に設けられたシートへ着座するための車両ドアが、携帯機の保持者によって開閉されたことに基づいて、携帯機の保持者が車両に乗車したことを検知するようにしても良い。携帯機の保持者が多くの荷物を持っている場合、まず、その荷物を自動的に開扉された車両ドアの開口部から車両に積み込み、その後、自身は、他の車両ドアから車室内のシートに座ることが多いためである。
【0018】
また、請求項9に記載したように、車両側ユニットは、
携帯機の保持者が車両に乗車したことを検知する検知手段と、
検知手段により、携帯機の保持者が、自動開扉部により自動的に開扉させた車両ドア以外の、車室内に設けられたシートへ着座するための車両ドアから乗車したことを検知した場合、自動開扉部により自動的に開扉させた車両ドアを記憶する記憶手段とを備え、
携帯機の保持者が降車して、携帯機との間で双方向通信が行なわれ、IDコードの照合が成立したときに、記憶手段に記憶された車両ドアを自動開扉部により自動的に開扉させることが好ましい。
【0019】
携帯機の保持者が、自動開扉された車両ドア以外の車両ドアから乗車した場合、自動開扉された車両ドアは、荷物の積み込みのために開扉されたものと推測できる。このような場合、携帯機の保持者は、車両から降車したとき、再びその車両ドアを開いて荷物の取出しを行なう可能性が高い。そのため、携帯機の保持者が降車して、車室外にある携帯機と車両側ユニットとの間で双方向通信が行なわれ、IDコードの照合が成立したとき、記憶手段に記憶された車両ドアを自動的に開扉させる。これにより、携帯機の保持者は荷物の取出しを容易に行うことが可能になる。なお、記憶された車両ドアに対応する送信機を用いた双方向通信によりIDコードの照合が行なわれたことを条件として、記憶された車両ドアを自動的に開扉させるようにしても良い。この場合、携帯機の保持者が記憶された車両ドアに接近していることが確認された時点で車両ドアが自動開扉されるので、携帯機の保持者が荷物の取出しを行なう可能性が高いと判断される時点で、車両ドアを自動開扉させることができる。
【0020】
請求項10に記載したように、自動開扉部は、車両ドアの閉扉動作も自動的に実行するものであって、車両側ユニットは、携帯機との双方向通信が途絶えたことに基づいて、自動開扉部により自動的に開扉させた車両ドアを、当該自動開扉部により自動的に閉扉させるとともに、ロック状態制御部により車両ドアをロックさせることが好ましい。これにより、荷物を取出した携帯機の保持者は、自ら車両ドアを閉扉させなくとも、携帯機と車両側ユニットとの双方向通信エリアを越えて車両から遠ざかるだけで、車両ドアの閉扉動作及びロックが行われるようになる。従って、携帯機の保持者は、車両からの荷物の取出し後に、何ら操作を行なわなくても良いので、車両からの荷物の搬送も容易に行うことができるようになる。
【0021】
請求項11に記載したように、車両側ユニットは、携帯機との双方向通信が途絶えてから所定時間経過後に、自動的に開扉させた車両ドアを自動的に閉扉させることが好ましい。例えば、一度では全ての荷物を取出すことができない場合など、双方向通信が途絶えても所定時間は車両ドアが開扉していると、残りの荷物の取出しもスムーズに行なうことができる場合があるためである。なお、所定時間は、携帯機の保持者が設定可能であっても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る車両ドア制御システムを、図に基づいて説明する。図1は、本実施形態による車両ドア制御システムの全体の構成を示す構成図である。
【0023】
本実施形態における車両ドア制御システムは、携帯機(電子キー)1と車両側ユニットとの双方向通信によるIDコードの照合結果を基に、電子キーECU4が各ドアのロック・アンロック状態を制御する。
【0024】
図1に示すように、携帯機1は、車室外送信機2a〜2eあるいは車室内送信機2fからのリクエスト信号を受信する受信機1a、このリクエスト信号の受信に応答して、IDコード等を含むレスポンス信号を送信する送信機1bを備えている。携帯機ECU1cは、上述した受信機1a及び送信機1bと接続され、各種の制御処理を実行する。具体的には、携帯機ECU1cは、受信機1aの受信信号に基づいてリクエスト信号の受信の有無を判定したり、そのリクエスト信号に応答して、IDコード等を含むレスポンス信号を生成して、送信機1bから送信させたりする。さらに、携帯機ECU1cは、携帯機1に設けられたスイッチの操作に基づいて、登録処理操作が行なわれたと判定した場合、車両ドアの自動開扉を指示する指示信号を含むレスポンス信号を生成する。なお、登録処理操作を行なうためのスイッチは、専用のスイッチであっても良いし、例えば携帯機1の既存のスイッチを長押ししたときや複数のスイッチを組み合わせて操作したときに登録処理操作が行なわれたとみなすなど、既存のスイッチと兼用しても良い。
【0025】
車両側ユニットは、車両10の各ドア11〜15に設けられた車室外送信機2a〜2e、及び車室内に設けられた車室内送信機2fを有する。これらの車室外送信機2a〜2e及び車室内送信機2fは、車両側ユニットの主要部をなす電子キーECU4からの送信指示信号に基づいてリクエスト信号を発信する。
【0026】
なお、車両10には、前席に対応して、ヒンジ式の車両ドア11,12が設けられており、後席に対応して、スライド式の車両ドア13,14が設けられている。これらのスライド式の車両ドア13,14には、モータを駆動源とするスライドドア駆動部7c、7dが設けられており、電子キーECU4からの開閉信号に従って、自動的にスライド式の車両ドア13,14を開閉することが可能である。また、車両10は、跳ね上げ式の後部ドア15を備えている。この後部ドア15にも、スライドドア駆動部7c、7dと同様に、モータを駆動源とする後部ドア駆動部8が設けられており、後部ドア15も電子キーECU4からの開閉信号に従って、自動的に開閉することができる。スライド式の車両ドア13,14や、後部ドア15は、ドアが比較的重い場合が多いので、自動開閉機能を付与することにより、車両乗員の乗降時の負担を軽減できる。なお、車両10が後部に独立した荷室であるトランクを備える場合、後部ドア15は、トランクを開閉するトランクドアに置き換えられる。
【0027】
車室外送信機2a〜2eのリクエスト信号の到達距離は、例えば0.7〜1.0m程度に設定されている。車両10の駐車時には、そのリクエスト信号の到達距離に応じた検知エリアが車両10の各ドア11〜15の周囲に形成され、携帯機1の保持者が車両10の各ドア11〜15に接近したことを検知できるようにしている。また、車室内送信機2fによる検知エリアは、車室内をカバーするように設定され、携帯機1が車室内にあるか否かを検知する。
【0028】
車両側ユニットは、車両10の車室内に設けられ、送信機2a〜2fに対する送信指示信号の出力と同期してレスポンス信号受信可能状態にされて、携帯機1から送信されるレスポンス信号を受信する受信機3を有する。受信機3が受信したレスポンス信号は、電子キーECU4に出力される。電子キーECU4は、この受信したレスポンス信号に含まれるIDコードに基づいて、ドアのロック・アンロック状態の制御等を実行すべきか否かの判定を行う。さらに、自動開扉指示信号がレスポンス信号に含まれているか否かに応じて、スライド式の車両ドア13,14や後部ドア15を自動開扉制御の実行の要否を判別する。
【0029】
車両側ユニットは、さらに、車両10の各ドア11〜15に設けられ、その各ドア11〜15をロック、アンロックしたり、ロックされているが、携帯機1の保持者がドアアウトサイドハンドル(以下、ドアハンドル)に触れることによってアンロック可能なアンロックスタンバイ状態に設定したりするドアロック制御部5a〜5eを有する。このドアロック制御部5a〜5eは、電子キーECU4からの指示信号に応じて動作する。
【0030】
車両10の各ドア11〜15のドアハンドル6a〜6eには、タッチセンサ6a1〜6e1が設けられており、携帯機1の保持者が、ドアハンドル6a〜6eに触れて、ドアハンドル6a〜6eに対して操作を行ったことを検出することが可能である。また、ドアハンドル6a〜6eには、プッシュスイッチとして構成されたドアロックスイッチ6a2〜6e2も設けられている。このドアロックスイッチ6a2〜6e2を操作すると、各ドア11〜15をロックすることができる。また、ドアハンドル6a〜6eは、上述した車室外送信機2a〜2eのアンテナとしての役割も果たしている。
【0031】
次に、上述した車両側ユニットと携帯機1との双方向通信によるIDコードの照合結果を基に、電子キーECU4が各ドア11〜15をアンロックしたりロックしたりするドアロック制御及び自動開扉指示信号に応じて、スライド式の車両ドア13,14あるいは後部ドア15を自動開閉する自動開閉制御等を実行するための処理に関して、図2〜図4のフローチャートに基づいて詳細に説明する。なお、図2は、携帯機1において実行される処理を示すフローチャートであり、図3及び図4は、車両側ユニットにおいて、主に電気キーECU4によって実行される処理を示すフローチャートである。
【0032】
まず、図2のフローチャートに示す処理について説明する。図2において、ステップS10の処理では、携帯機1に設けられたスイッチにより、登録処理操作が行なわれたか否かを判定する。このとき、登録処理のためのスイッチ操作が行なわれたと判定されると、ステップS20に進んで、登録処理を実行する。ここで、登録処理とは、車両側ユニットに対して車両ドアの自動開扉を指示することを、携帯機ECU1c内のメモリに登録することを言う。例えば、車両へ積み込むべき荷物が多く、車両に近づくときには両手が荷物で塞がることが予想されるときなどに、事前に携帯機1に登録処理を施しておく。これにより、詳しくは後述するが、携帯機1の保持者が車両に接近するだけで、車両ドア11〜15のアンロック後に、スライド式の車両ドア13,14や後部ドア15を自動的に開扉させることができるようになる。
【0033】
次にステップS30では、登録処理が実施されてから所定時間が経過したか否かを判定する。このステップS30において、所定時間が経過したと判定されると、ステップS40に進み、携帯機ECU1cのメモリに登録された自動開扉指示をキャンセル(無効に)する。登録処理操作が行なわれた時点と、その登録処理に基づいて車両ドアのアンロック及び自動開扉が行なわれる時点との間には時間差があることが通常である。その時間差が過度に長くなった場合、携帯機1の保持者は登録処理を実施したことを失念している可能性もある。このような場合、携帯機1の保持者の意図に反して、車両ドアのアンロック及び自動開扉が実施されてしまう虞が生じる。このため、登録処理が実施されたにも係らず、車両側ユニットとの双方向通信が行なわれることなく、所定時間が経過した場合、登録処理をキャンセルする。
【0034】
ステップS50では、車両側ユニットの送信機2a〜2eからのリクエスト信号を受信したか否かを判定する。リクエスト信号が未受信の場合、ステップS10の処理に戻り、リクエスト信号を受信した場合には、ステップS60の処理に進む。なお、携帯機1内の受信機1a,送信機1b、及び携帯機ECU1cは電池を電源として動作することが多い。このため、通常は、登録処理操作の入力の受付、及びリクエスト信号の受信のみを定期的に行い、他の機能を休止しているスリープモードにて動作させ、登録処理操作が合った場合、あるいはリクエスト信号を受信した場合に、それらをトリガとして、ノーマルモードにて動作するようにしても良い。
【0035】
リクエスト信号を受信した場合に実行されるステップS60では、登録処理が実施され、自動開扉指示すべきことが登録されているか否かを判定する。登録処理が実施されていると判定した場合には、ステップS70において、IDコード及び自動開扉指示信号を含むレスポンス信号を返送する。一方、登録処理が実施されていないと判定した場合には、ステップS80において、IDコードを含み、自動開扉指示信号は含まないレスポンス信号を返送する。
【0036】
次に、図3のフローチャートに基づいて、携帯機1の保持者が車両に乗車する際に、車両側ユニットにおいて実行される制御処理について説明する。なお、図3のフローチャートに示す処理は、車両が駐車しているとき、所定時間(例えば数秒)ごとに起動されて実施されるものである。すなわち、車両10のエンジンが停止され、かつ各ドア11〜15がロックされた状態で駐車されている場合、所定時間経過毎に車室外送信機2a〜2eに対してリクエスト信号の送信を指示して、携帯機1の保持者が車両10に接近したか否か確認する。
【0037】
まず、ステップS110では、車室外送信機2a〜2eに対して送信指示信号を出力して、車室外送信機2a〜2eからリクエスト信号を送信させる。そして、ステップS120では、このリクエスト信号に応答する、携帯機1からのレスポンス信号を受信したか否かを判定する。レスポンス信号が受信されていない場合には、携帯機1が検知エリア内に存在しないとみなして、図3に示す処理を終了する。一方、携帯機1からレスポンス信号を受信した場合には、ステップS130の処理に進む。
【0038】
なお、車室外送信機2a〜2eから、車室外送信機2a〜2eごとに固有の識別コードを含むリクエスト信号が送信され、携帯機1は、その識別コードを含むレスポンス信号を返送するように構成される。あるいは、電子キーECU4は、各送信機2a〜2eに、順番にリクエスト信号を送信するように指示する。このようにすれば、電子キーECU4は、携帯機1がいずれの送信機2a〜2eからのリクエスト信号に応答してレスポンス信号を返送したかを識別できる。すなわち、携帯機1の保持者が、いずれの車両ドア11〜15に対して接近しているのかを識別できるのである。
【0039】
ステップS130では、レスポンス信号に含まれるIDコードが、予め登録されているIDコードと一致する等、所定の関係を満足するか否かが判定される(IDコードの照合成立・不成立判定)。この判定処理において、IDコードの照合が成立したと判定すると、ステップS140に進み、IDコードの照合不成立と判定すると、処理を終了する。
【0040】
ステップS140では、受信したレスポンス信号に自動開扉指示信号が含まれているか否かを判定する。自動開扉信号が含まれていると判定した場合には、ステップS150に進み、自動開扉信号が含まれていないと判定した場合には、ステップS180の処理に進む。
【0041】
ステップS180では、従来の車両ドア制御システムと同様に、携帯機1の保持者がドアハンドル6a〜6eに触れるなどのアンロック操作を行なったか否かが判断される。ここで、IDコードの照合が成立した場合には、電子キーECU4は、レスポンス信号に含まれる識別コードあるいはレスポンス信号の受信タイミングから、携帯機1が反応した送信機2a〜2eの位置を把握する。そして、その位置に該当するドアのロックをアンロックスタンバイ状態にするように、対応するドアロック制御部5a〜5eに指示信号を与える。この指示信号に基づいて、指示信号を受けた何れか1つのドアロック制御部5a〜5eは、対応するドア11〜15をアンロックスタンバイ状態に設定する。具体的には、タッチセンサをアクティブにして、携帯機1の保持者がドアハンドル6a〜6eに触れたことを検知可能にする。
【0042】
電子キーECU4からの指示信号に基づいて、ドアロック制御部5a〜5eの何れか1つが、対応するドア11〜15をアンロックスタンバイ状態に設定した時、タッチセンサ6a1〜6e1によって携帯機1の保持者がドアハンドル6a〜6eに触れたことを検知すると、その検知情報を電子キーECU4に送信する。すると、電子キーECU4は、ステップS180にて、携帯機1の保持者によるアンロック操作を検知したと判定し、ステップS190に処理を進める。一方、携帯機1の保持者によるアンロック操作が検知されない場合、図3に示す処理を一旦終了する。
【0043】
ステップS190では、全てのドア11〜15をアンロックするように各ドアロック制御部5a〜5eに指示する。従って、携帯機1の保持者が、単にドアハンドル6a〜6eに触れるアンロック操作を行なうだけで、全ての車両ドア11〜15がアンロックされる。
【0044】
なお、携帯機1の保持者による車両ドア11〜15に対する操作の検出は、タッチセンサ6a1〜6e1によらず、例えば、ドアハンドル6a〜6eが手前に引かれたことを機械的に検出する検出機構等を用いても良い。また、ドアハンドル6a〜6eに、アンロックボタンを設置し、このアンロックボタンの操作により、車両ドア11〜15に対するアンロック操作を検出しても良い。また、タッチセンサ6a1〜6e1とドアロックスイッチ6a2〜6e2の一方のみを車両ドア11〜15に設けて、アンロックのための操作部、及びロックのための操作部として兼用しても良い。さらに、IDコードの照合が成立したとき、すべての車両ドア11〜15において、アンロックスタンバイ状態に設定しても良い。
【0045】
一方、レスポンス信号に自動開扉指示信号が含まれている場合に実行されるステップS150では、上述した携帯機1の保持者によるアンロック操作によらず、車両ドア11〜15をアンロックする。さらに、続くステップS160において、自動開閉機能を備えた車両ドア13〜15のうち、運転者が最も接近している車両ドアを、スライドドア駆動部7c、7d又は後部ドア駆動部8により自動開扉させる。そして、ステップS170では、自動開扉指示があったこと、及び自動開扉指示に基づいて自動開扉した車両ドアを記憶しておく。
【0046】
上述したように、本実施形態では、携帯機1は、登録処理操作が行なわれたとき、車両側ユニットに対して車両ドアの自動開扉を指示することを登録する。そして、車両ドアの自動開扉指示が登録されているとき、携帯機1は、車両側ユニットからのリクエスト信号に応答して、車両ドアの自動開扉を指示する指示信号を含むレスポンス信号を返送する。車両側ユニットは、IDコードの照合が成立し、かつ携帯機1からのレスポンス信号に自動開扉指示信号が含まれている場合、車両ドアをアンロックさせるとともに、車両ドアを自動的に開扉させる。従って、車両へ積み込むべき荷物が多く、車両に近づくときには両手が荷物で塞がることが予想されるときなどに、事前に携帯機1に登録処理を施しておくことで、携帯機1の保持者が車両に接近するだけで、車両ドアをアンロックさせるとともに、車両ドアを自動的に開扉させることができる。このため、携帯機1の保持者が両手で荷物を運んでいるときでも、面倒な作業を行なうことなく、荷物の車両への積み込みを容易に行なうことが可能になる。
【0047】
ただし、このように、携帯機1の保持者が車両に接近しただけで、車両ドアのアンロック及び自動開扉が行なわれるのは、携帯機1に対して所定の登録処理を実施した場合のみである。このため、携帯機1の保持者が意図しないにも係らず、車両ドアがアンロックされ、かつ自動開扉される事態の発生は、ほぼ防止可能である。
【0048】
特に、本実施形態では、所定の登録処理が、携帯機1に設けられたスイッチを操作することによって実施されるように構成されている。従って、登録処理は、携帯機1の保持者本人によって行なわれるので、携帯機1の保持者が意図したときに限定して、車両ドアのアンロック及び自動開扉を行なわせることが可能になる。ただし、所定の登録処理は、外部のデータ送信機から送信されるデータの携帯機1による受信によって実施されても良い。例えば、携帯機1の保持者が店舗で買い物をした場合、その支払処理時に店舗に設置された送信機を用いて登録処理を行なえば、携帯機1の保持者が荷物を持って車両に接近する場合に、予め自動的に登録処理を行なうことができる。なお、このように外部のデータ送信機を用いて登録処理を行なう場合には、音声や表示などで登録処理を行なった旨を報知することにより、携帯機の保持者は登録処理が行なわれたことを認識することができる。
【0049】
上述した実施形態では、IDコードの照合が成立し、かつ自動開扉信号を受信した場合、車両側ユニットは、全ての車両ドア11〜15をアンロックするとともに、携帯機1の保持者が最も接近している自動開扉機能を備えた車両ドアを自動開扉させる。携帯機1の保持者が両手で荷物を持っている場合、まず、その荷物を車両に(車両の後部座席付近、荷室などに)積み込こもうとするためである。ただし、この例に限らず、アンロックに関しても、携帯機1の保持者が最も接近している車両ドアのみに限定して行なうようにしても良いし、自動開扉の対象となる車両ドアを、携帯機1の保持者が最も接近している車両ドア以外に拡大しても良い。
【0050】
また、上述した実施形態において、スライド式ドア13,14、及び後部ドア15は、自動開閉機能を備えているので、自動開扉のみでなく、携帯機1の保持者が車両に乗車したことを検知した後に、自動閉扉させても良い。これにより、さらに携帯機1の保持者の乗車時の利便性を向上することができる。
【0051】
携帯機1の保持者が車両へ乗車したことを検知するには、例えば、車両側ユニットの一部として設けられた車室内送信機2fとの双方向通信が行なわれ、かつ車室外送信機2a〜2eとの双方向通信が途絶えたことをもって、携帯機1の保持者は、車両に乗車したと判断することができる。また、着座センサを設け、着座センサによって携帯機1の保持者が車室内のシートへ着座したことを検知しても良い。さらには、自動開扉された車両ドア以外の、車室内に設けられたシートへ着座するための車両ドアが、携帯機1の保持者によって開閉されたことに基づいて、携帯機1の保持者が車両に乗車したことを検知するようにしても良い。自動開扉された車両ドア以外の車両ドアが、携帯機1の保持者によって開閉されたことは、携帯機1との双方向通信に用いられる車室外送信機2a〜2eの位置と、車両ドアの開閉スイッチからの信号によって検知できる。また、これらの条件のうち、複数の条件を組み合わせて、携帯機1の保持者が車両へ乗車したことを検知しても良い。
【0052】
次に、図4のフローチャートに基づいて、携帯機1の保持者が車両から降車する際に、車両側ユニットにおいて実行される制御処理について説明する。
【0053】
まず、ステップS210では、車両10のエンジンスイッチがオフされたことや、車両ドア11〜14が開閉されたことなどに基づいて、携帯機1の保持者が車両10から降車したか否かを判定する。携帯機1の保持者が車両10から降車したと判定されると、ステップS220において、乗車時に自動開扉指示があったか否かを判定する。自動開扉指示があった場合、上述した図3のフローチャートのステップS170にて、自動開扉指示があった旨が記憶されるので、ステップS220では、その記憶の有無に基づいて自動開扉指示があったか否か判定できる。
【0054】
自動開扉指示が無かった場合には、ステップS340に進む。この場合、従来の車両ドア制御システムと同様に、携帯機1の保持者によるロック操作に基づいて、すべての車両ドア11〜15のロックを行なう。すなわち、まず、ステップS340において、携帯機1の保持者による、ドアハンドル6a〜6eに設けられたロックスイッチ6a2〜6e2が操作されたか否かを判定する。ロックスイッチ6a2〜6e2が操作されたと判定された場合、それが携帯機1の保持者による操作であるかを確認すべく、ステップS350にて車室外送信機2a〜2eからリクエスト信号を送信させ、ステップS360にて、そのリクエスト信号に応答するレスポンス信号を受信したか否かを判定する。さらにステップS370にて、レスポンス信号に含まれるIDコードの照合が成立するか否かを判定する。これらの判定がすべて“Yes”である場合、携帯機1の保持者によるロック操作であるとみなすことができるので、ステップS380において、全車両ドア11〜15をロックする。
【0055】
なお、この場合、車室内送信機2fからもリクエスト信号を送信させ、そのリクエスト信号に対してはレスポンス信号が受信されないことを確認しても良い。これにより、携帯機1を車室内へ置き忘れたまま、車両ドア11〜15をロックしてしまうことを確実に防止できる。
【0056】
一方、乗車時に自動開扉指示があった場合には、ステップS230に進み、携帯機1の保持者によるロック操作によらず、車室外送信機2a〜2eからのリクエスト信号の送信を開始させる。そして、ステップS240において、レスポンス信号が受信されたと判定され、かつステップS250において、IDコードの照合が成立したと判定されると、ステップS260において、乗車時に自動開扉した車両ドアを、再び自動開扉させる。
【0057】
携帯機1の保持者が、まず荷物を車両に積み込むため、後部ドア15を自動開扉させた場合、又はスライド式車両ドア13,14を自動開扉させて荷物を積み込んだ後に、車両10の運転席もしくは助手席に乗車した場合、携帯機1の保持者が車両10から降車したとき、荷物の取出しを行なうため、乗車時に自動開扉させた車両ドアを開くことが予想される。そのため、携帯機1の保持者が降車して、車室外送信機2a〜2eを用いて携帯機1との間で双方向通信が行なわれ、IDコードの照合が成立したとき、乗車時に自動開扉した車両ドアとして記憶されている車両ドアを自動的に開扉させるのである。これにより、携帯機1の保持者は荷物の取出しを容易に行うことが可能になる。
【0058】
なお、記憶されている車両ドアに対応する送信機を用いた双方向通信によりIDコードの照合が行なわれたことを条件として、記憶された車両ドアを自動的に開扉させるようにしても良い。この場合、携帯機1の保持者が記憶された車両ドアに接近していることが確認された時点で車両ドアが自動開扉されるので、携帯機1の保持者が荷物の取出しを行なう可能性がより高いと判断される時点で、車両ドアを自動開扉させることができる。
【0059】
また、乗車時に後部ドア15を自動開扉させた場合には、携帯機1の保持者は、必ず、後部ドア15以外の車両ドアから車両に乗車するが、スライド式ドア13,14を自動開扉させた場合、荷物の積み込み後に、そのドア13,14から車両に乗車することも考えられる。このため、例えば、図3のフローチャートのステップS170において、自動開扉したドアと携帯機1の保持者が乗車のために利用した車両ドアとの両方を記憶し、ステップS220において、乗車時に自動開扉指示があったことに加え、自動開扉した車両ドアと乗車時に乗車した車両ドアとが異なることを判定しても良い。あるいは、図3のフローチャートのステップS170において、自動開扉した車両ドアと乗車のために利用した車両ドアとが異なる場合のみ、自動開扉指示及び自動開扉した車両ドアを記憶するようにしても良い。
【0060】
続くステップS270では、車室外送信機2a〜2eを利用した携帯機1との双方向通信が途絶えたか否かを判定する。双方向通信が途絶えていないと判定された場合には、ステップS280に進み、双方向通信が途絶えたと判定された場合には、ステップS290に進む。
【0061】
ステップS280では、携帯機1の保持者がまだ車両ドア11〜15の近傍にいるので、その携帯機1の保持者が、自動開扉した車両ドアを閉じる操作を行い、その車両ドアが閉じられたか否かを判定する。車両ドアが閉じられていない場合には、ステップS270の処理に戻り、車両ドアが閉じられた場合には、ステップS300の処理に進む。
【0062】
一方、双方向通信が途絶えたと判定された場合に実施されるステップS290では、双方向通信が途絶えてから所定時間経過したか否かを判定し、まだ所定時間経過していない場合には、ステップS270の処理に戻り、所定時間経過した場合には、ステップS300の処理に進む。
【0063】
ステップS300では、自動開扉した車両ドア以外の全ての車両ドアが閉じられているか否かを判定する。自動開扉した車両ドア以外の全ての車両ドアが閉じられている場合には、ステップS310に進んで、自動開扉した車両ドアがまだ閉じられていなければ、その車両ドアを自動閉扉するとともに、全ての車両ドア11〜15をロックする。その後、ステップS320において、自動開扉指示に関する記憶内容を消去する。なお、ステップS300にて自動開扉した車両ドア以外の全ての車両ドアが閉じられていないと判定した場合には、そのままではドアロックを行なうことができないため、ステップS330において、ブザー等によって警告を発する。
【0064】
このように、車両側ユニットは、携帯機1との双方向通信が途絶えたことに基づいて、自動開扉した車両ドアを、自動的に閉扉させるとともに、すべての車両ドア11〜15のロックを行なう。これにより、荷物を取出した携帯機1の保持者は、自ら車両ドアを閉扉させ、かつロック操作を行なわなくとも、携帯機1と車両側ユニットとの双方向通信エリアを越えて車両10から遠ざかるだけで、車両ドアの自動閉扉動作及び全ての車両ドア11〜15のロックが行われるようになる。従って、携帯機1の保持者は、車両からの荷物の取出し及びその搬送も容易に行うことができるようになる。
【0065】
また、本実施形態では、車両側ユニットと携帯機1との双方向通信が途絶えると、即座に車両ドアの自動閉扉及び全ての車両ドアのロックを実施するのではなく、双方向通信が途絶えてから所定時間経過後に、車両ドアの自動閉扉及び全車両ドアのロックを行なうようにしている。このため、例えば、一度では全ての荷物を取出すことができない場合などに、取出した荷物を持って一時的に車両から離れても、車両ドアは自動開扉した状態を維持するので、残りの荷物の取出しもスムーズに行なうことができる。なお、ステップS290における所定時間は、携帯機1の保持者が任意の時間に設定可能であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態における車両ドア制御システムの全体の構成を示す構成図である。
【図2】携帯機において実行される処理を示すフローチャートである。
【図3】携帯機1の保持者が車両に乗車する際に、車両側ユニットにおいて実行される処理を示すフローチャートである。
【図4】携帯機1の保持者が車両から降車する際に、車両側ユニットにおいて実行される処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 携帯機
1a 受信機
1b 送信機
1c 携帯機ECU
2a〜2e 車室外送信機
2f 車室内送信機
3 受信機
4 電子キーECU
7c、7d スライドドア駆動部
8 後部ドア駆動部
10 車両
11〜15 車両ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側ユニットから送信されるリクエスト信号に応答して、携帯機がIDコードを含むレスポンス信号を返送する双方向通信を行なうことにより、前記車両側ユニットは、前記携帯機からIDコードを取得し、その取得したIDコードを予め登録してある登録コードと照合し、その照合結果に応じて、車両ドアの状態を制御する車両ドア制御システムにおいて、
前記車両側ユニットは、
前記車両ドアのロック・アンロック状態を制御するロック状態制御部と、
前記車両ドアの開扉動作を自動的に実行する自動開扉部と、を有し、
前記携帯機は、
所定の登録処理がなされたときに、前記車両側ユニットに対して前記車両ドアの自動開扉を指示することを登録しておく登録記憶部を有し、当該登録記憶部に前記車両ドアの自動開扉を指示することが登録されているときには、前記双方向通信において、前記車両ドアの自動開扉を指示する指示信号を前記車両側ユニットに送信し、
前記車両ドアがロックされた状態で車両が駐車されているときに、前記IDコードの照合が成立し、かつ前記携帯機から前記指示信号を受信すると、前記車両側ユニットは、前記ロック状態制御部によって前記車両ドアをアンロックさせるとともに、前記自動開扉部によって前記車両ドアを自動的に開扉させることを特徴とする車両ドア制御システム。
【請求項2】
前記所定の登録処理は、前記携帯機に設けられたスイッチを操作することによって実施されることを特徴とする請求項1に記載の車両ドア制御システム。
【請求項3】
前記所定の登録処理は、外部のデータ送信機から送信されるデータの前記携帯機による受信によって実施されることを特徴とする請求項1に記載の車両ドア制御システム。
【請求項4】
前記携帯機は、前記登録記憶部に前記車両ドアの自動開扉を指示することが登録されてから、前記車両側ユニットとの双方向通信を行なうことなく所定時間が経過したとき、その登録を無効にすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両ドア制御システム。
【請求項5】
前記車両側ユニットは、車両の複数の車両ドアの開扉動作を自動的に実行できるように、前記自動開扉部を複数有し、さらに、複数の前記自動開扉部により自動的に開扉される複数の車両ドアの内、前記携帯機の保持者が最も接近している車両ドアを特定する特定手段を備え、
前記IDコードの照合が成立し、かつ前記携帯機から前記指示信号を受信したとき、前記車両側ユニットは、前記ロック状態制御部によって前記車両ドアをアンロックさせるとともに、前記特定手段によって特定された車両ドアを前記自動開扉部によって自動的に開扉させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両ドア制御システム。
【請求項6】
前記車両には、前記携帯機との双方向通信を行なうための複数の送信機が異なる位置に設けられており、前記特定手段は、前記複数の送信機のうち、前記携帯機との双方向通信に用いられた送信機の位置に基づいて、前記携帯機の保持者が最も接近している車両ドアを特定することを特徴とする請求項5に記載の車両ドア制御システム。
【請求項7】
前記自動開扉部は、前記車両ドアの閉扉動作も自動的に実行するものであって、
前記車両側ユニットは、前記携帯機の保持者が車両に乗車したことを検知する検知手段を備え、当該検知手段により前記携帯機の保持者の車両への乗車が検知されると、前記自動開扉部によって自動的に開扉させた前記車両ドアを自動的に閉扉させることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車両ドア制御システム。
【請求項8】
前記検知手段は、前記自動開扉部により自動的に開扉させた車両ドア以外の、前記車室内に設けられたシートへ着座するための車両ドアが、前記携帯機の保持者によって開閉されたことに基づいて、前記携帯機の保持者が前記車両に乗車したことを検知することを特徴とする請求項7に記載の車両ドア制御システム。
【請求項9】
前記車両側ユニットは、
前記携帯機の保持者が車両に乗車したことを検知する検知手段と、
前記検知手段により、前記携帯機の保持者が、前記自動開扉部により自動的に開扉させた車両ドア以外の、前記車室内に設けられたシートへ着座するための車両ドアから乗車したことを検知した場合、前記自動開扉部により自動的に開扉させた車両ドアを記憶する記憶手段とを備え、
前記携帯機の保持者が降車して、前記携帯機との間で双方向通信が行なわれ、前記IDコードの照合が成立したときに、前記記憶手段に記憶された車両ドアを前記自動開扉部により自動的に開扉させることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車両ドア制御システム。
【請求項10】
前記自動開扉部は、前記車両ドアの閉扉動作も自動的に実行するものであって、
前記車両側ユニットは、前記携帯機との双方向通信が途絶えたことに基づいて、前記自動開扉部により自動的に開扉させた車両ドアを、当該自動開扉部により自動的に閉扉させるとともに、前記ロック状態制御部により前記車両ドアをロックさせることを特徴とする請求項9に記載の車両ドア制御システム。
【請求項11】
前記車両側ユニットは、前記携帯機との双方向通信が途絶えてから所定時間経過後に、自動的に開扉させた前記車両ドアを自動的に閉扉させることを特徴とする請求項10に記載の車両ドア制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−209659(P2009−209659A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56832(P2008−56832)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】