説明

車両ドア操作装置

【課題】回動レバーの厚さ方向におけるガタを従来より抑えることが可能な車両ドア操作装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のリモコン装置100は、第1及び第2のスリーブ小径部201,202を両端部に備えかつスリーブ大径部203を中間部に備えたスリーブ200が、支持シャフト111のシャフト側フランジ111Fとインサイド入力レバー140との間に挟み付けられて軸方向で固定されている。第1のスリーブ小径部201に軸支された全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170は、シャフト側フランジ111Fとスリーブ大径部203とで軸方向の移動が規制され、第2のスリーブ小径部202に軸支された中継回動レバー120は、インサイド入力レバー140とスリーブ大径部203とで軸方向の移動が規制されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通の支持シャフトに回動可能に支持された複数の回動レバーを介して操作力をラッチ装置に付与することが可能な車両ドア操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前の車両ドア操作装置では、例えば、図20(A)に示すように、支持シャフト1が、先端寄り位置に段差部2を有し、段差部2より先端側が小径部3をなす一方、段差部2より基端側が小径部3より大径のレバー軸支部4をなし、さらに、レバー軸支部4の基端部からフランジ部5を張り出した構造になっていた。そして、小径部3に固定された抜止板6とフランジ部5との間で、所定複数であるn個の回動レバーR1,R2,・・Rnを回動可能に支持していた。
【0003】
ところで、各回動レバーR1,R2,・・・,Rnをスムースに回動させるには、例えば、レバー軸支部4の軸長L0を各回動レバーR1,R2,・・・用に割り当てた分割区間の寸法L1,L2,・・・より、各回動レバーR1,R2,・・・Rnの板厚を所定の差分(クリアランス分)だけ小さくする必要がある。このため、従来の車両ドア操作装置では、全ての回動レバーR1,R2,・・・の前記差分が累積されて、大きなガタになるという問題が生じていた。
【0004】
これに対し、図20(B)に示すように、レバー軸支部4を小径部3に向かって段階的に縮径させて複数段の嵌合支持部4A1,4A2,・・・,4Anを形成し、各嵌合支持部4A1,4A2,・・・,4Anで各回動レバーR1,R2,・・・Rnを支持した構造の車両ドア操作装置が開発されている(例えば、特許文献1参照。なお、特許文献1のレバー軸支部は2段構造)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−308942号公報(第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の段付き構造のレバー軸支部4を有した車両ドア操作装置では、例えば、レバー軸支部4のうち最も小径の第1の嵌合支持部4A1に嵌合した第1の回動レバーR1に関しては、その第1の回動レバーR1の板厚と第1の嵌合支持部4A1の軸長との差分のみがガタになり、従前の均一径のレバー軸支部4を有した車両ドア操作装置に比べてガタの改善が図られる。
【0007】
しかしながら、レバー軸支部4のうち最も大径の第nの嵌合支持部4Anに嵌合した第nの回動レバーRnに関しては、各回動レバーR1,R2,・・・Rnの板厚と、それらに対応した各嵌合支持部4A1,4A2,・・・,4Anの軸長との差分の全てが累積されて、結局、ガタの大きさは、従前の均一径のレバー軸支部4を有した車両ドア操作装置と変わらない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、回動レバーの厚さ方向におけるガタを従来より抑えることが可能な車両ドア操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る車両ドア操作装置は、スライドドアのドアハンドルに対する操作力を伝達するために回動する第1及び第2の回動レバーを、ベースプレートから起立した共通の支持シャフトに回動可能に支持し、スライドドアを全開状態又は全閉状態にラッチするラッチ装置に対し、第1及び第2の回動レバーを介して操作力を付与して、ラッチ装置によるラッチを解除可能な車両ドア操作装置において、支持シャフトに先端側からスリーブを挿入して、支持シャフトに一体形成又は固定されたシャフト大径部に突き当てると共に、スリーブから突出した支持シャフトの先端部を、抜止プレートの貫通孔に挿通させて固定することで、抜止プレートとシャフト大径部とでスリーブを挟み付け、スリーブの両端部に段付き状に径が小さくなった第1及び第2のスリーブ小径部を設けてスリーブの中間部をスリーブ大径部とし、第1の回動レバーを、第1のスリーブ小径部で回動可能に支持すると共にシャフト大径部とスリーブ大径部とで軸方向の移動を規制するように支持し、第2の回動レバーを、第2のスリーブ小径部で回動可能に支持すると共に抜止プレートとスリーブ大径部とで軸方向の移動を規制するように支持したところに特徴を有する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両ドア操作装置において、抜止プレートは、ドアハンドルに対する操作力を伝達するために回動する第3の回動レバーであるところに特徴を有する。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の車両ドア操作装置において、ベースプレートの貫通孔に第2のスリーブ小径部を回動可能に挿通し、第3の回動レバーとスリーブ大径部とで第2の回動レバー及びベースプレートの軸方向の移動を規制するところに特徴を有する。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の車両ドア操作装置において、スリーブ大径部のうち第1のスリーブ小径部との境界部位を段付き状に拡径させたスリーブ側フランジをスリーブに設け、支持シャフトに支持された第1及び第2の回動レバーを含む複数の回動レバーのうち回動半径が最も大きい回動レバーを、スリーブ側フランジとシャフト大径部との間に配置したところに特徴を有する。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の車両ドア操作装置において、ドアハンドルに対する操作力を受けて回動する入力レバーと、スライドドアを全開状態でラッチする第1のラッチ装置に接続され、入力レバーから操作力を受けて回動し、受けた操作力を第1ラッチ装置に付与する第1出力レバーと、スライドドアを全閉状態でラッチする第2のラッチ装置に接続され、入力レバーから操作力を受けて回動し、受けた操作力を第2ラッチ装置に付与する第2出力レバーと、ドアハンドルに対する操作力を第2出力レバーに伝達可能な連結状態と伝達不可能な連結解除状態とに切り替え可能な中継回動レバーとが、複数の回動レバーとして支持シャフトに軸支され、第1のスリーブ小径部が、第1出力レバー及び第2出力レバーを回動可能に軸支し、第2のスリーブ小径部が、中継回動レバーを回動可能に軸支しかつ、ベースプレートの貫通孔に回動可能に挿通され、さらに、抜止プレートとして、入力レバーが支持シャフトに固定されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
[請求項1及び5の発明]
請求項1の発明に係る車両ドア操作装置は、第1及び第2のスリーブ小径部を両端部に備えかつスリーブ大径部を中間部に備えたスリーブが、支持シャフトのシャフト大径部と支持シャフトの先端に固定された抜止プレートとの間に挟み付けられて軸方向で固定されている。第1のスリーブ小径部には、第1の回動レバーが回動可能に支持されており、第2のスリーブ小径部には、第2の回動レバーが回動可能に支持されている。そして、第1の回動レバーは、シャフト大径部とスリーブ大径部とで軸方向への移動が規制されており、第2の回動レバーは、抜止プレートとスリーブ大径部とで軸方向への移動が規制されている。
【0015】
つまり、本発明の車両ドア操作装置は、回動レバーを回動可能に軸支しかつ軸方向への移動を規制する2つのレバー軸支部(第1及び第2のスリーブ小径部)を支持シャフトの軸方向に離して備え、それら2つのレバー軸支部によって、第1の回動レバーと第2の回動レバーとを含む複数の回動レバーを分担して軸支するようにしたから、各レバー軸支部における第1及び第2の回動レバーの厚さ方向のガタを、それぞれ従来よりも抑えることが可能になる。
【0016】
ここで、特に、複数の回動レバーを含む4つ以上の部材を、従来の共通のレバー軸支部に挿通した場合には、累積したガタが比較的大きくなり、車両走行時の振動音、さらには、車両ドア操作装置の操作時の異音の原因になり得る。
【0017】
これに対し、請求項5の車両ドア操作装置によれば、複数の回動レバーを含む4つの部材(第1出力レバー、第2出力レバー、中継回動レバー及びベースプレート)を、2つずつ2組(具体的には、第1出力レバーと第2出力レバーとの組み合わせ、中継回動レバーとベースプレートとの組み合わせ)に分けて、第1のスリーブ小径部と第2のスリーブ小径部とに挿通させたから、車両走行時の振動音及び車両ドア操作装置の操作時の異音を防止することができる。
【0018】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、ドアハンドルに対する操作力を伝達するための第3の回動レバーを抜止プレートに兼用することができる。
【0019】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、支持シャフトに対する第3の回動レバーの固定作業と、ベースプレートに対する支持シャフトの固定作業とを一度に行うことができる。
【0020】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、安定支持することが比較的難しい回動半径最大の回動レバーを、スリーブ側フランジとシャフト大径部との間に配置したことで、安定支持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るリモートコントロール装置を備えた車両の概念図
【図2】全閉ドアラッチ装置、全開ドアラッチ装置、リモートコントロール装置等を備えたスライドドアの概念図
【図3】ラッチとストライカが噛み合う前のラッチ・ラチェット機構の側面図
【図4】ラッチとストライカが噛み合った状態のラッチ・ラチェット機構の側面図
【図5】リモートコントロール装置の正面図
【図6】リモートコントロール装置の背面図
【図7】図5におけるA−A切断面における断面図
【図8】図7における支持シャフト周辺の拡大断面図
【図9】リモートコントロール装置の分解斜視図
【図10】共通の支持シャフトが挿通されたレバー等の斜視図
【図11】リモートコントロール装置の支持シャフト周辺の拡大正面図
【図12】ドアロック及びチャイルドロックに係る各種部品の斜視図
【図13】変形例に係るレバー支持構造を示す側断面図
【図14】変形例に係るレバー支持構造を示す側断面図
【図15】変形例に係るレバー支持構造を示す側断面図
【図16】変形例に係るレバー支持構造を示す側断面図
【図17】変形例に係るレバー支持構造を示す側断面図
【図18】変形例に係るレバー支持構造を示す側断面図
【図19】変形例に係るレバー支持構造を示す側断面図
【図20】(A)均一径のレバー軸支部を有する従前の車両ドア操作装置の断面図、(B)段付き構造のレバー軸支部を有する従来の車両ドア操作装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1には、スライドドア90を有する車両300が示されている。このスライドドア90は、車両本体99の昇降口を閉止した状態から斜め後方に後退しかつ、途中から真っ直ぐ後退して全開状態になる。スライドドア90を開閉操作するために、スライドドア90の室外面には車外ドアハンドル17(図2参照)が配置され、室内面には車内ドアハンドル18(図5参照)が配置されている。車外ドアハンドル17は、例えば、横方向に延びたアーチ状のグリップ式ハンドルであって、手前側に引く操作のみが可能となっている。また、スライドドア90の室内面には、車外ドアハンドル17及び車内ドアハンドル18の操作でスライドドア90が開かないように施錠するためのドアロックノブ16(図5参照)が備えられている。車内ドアハンドル18及びドアロックノブ16については後述する。
【0023】
図2に示すように、スライドドア90の内部には、スライドドア90を全閉状態にラッチするための全閉ドアラッチ装置10A,10B(本発明に係る「第2ラッチ装置」に相当する)と、全開状態にラッチするための全開ドアラッチ装置10C(本発明に係る「第1ラッチ装置」に相当する)と、それらドアラッチ装置10A,10B,10Cと連結したリモートコントロール装置100(本発明の「車両ドア操作装置」に相当する)とが備えられている。なお、以下の説明では、リモートコントロール装置100を「リモコン装置100」という。
【0024】
各ドアラッチ装置10A,10B,10Cは、スライドドア90における所定各所に配置されており、これらに対応して、ドア枠99W(昇降口の枠)の内側面における三箇所にはストライカ40が設けられている(図1には、二箇所のストライカ40のみが示されている)。
【0025】
図2に示すように、全閉ドアラッチ装置10A,10Bは、スライドドア90の前端部と後端部とに配置されている。そのうち前端部に配置された全閉ドアラッチ装置10Aは、図3に示すように、ベース盤11に、ラッチ20、ラチェット30、ストライカ受容溝12等を有するラッチ・ラチェット機構20Kを設けた構成となっている。
【0026】
ストライカ受容溝12は水平方向に延びかつ、その一端部が車内側に向かって開放しており、他端部は閉じている。スライドドア90を閉じるとストライカ受容溝12の一端部からストライカ受容溝12内にストライカ40が進入する。
【0027】
ベース盤11のうちストライカ受容溝12より下方には、ラチェット30が回動可能に軸支されている。ラチェット30は、回動軸30Jからラッチ20に向かって突出している。ラチェット30とベース盤11との間にはトーションコイルばね30Sが備えられ、このトーションコイルばね30Sによってラチェット30が図3における反時計回り方向に付勢されている。また、ラチェット30は、ベース盤11を隔てて反対側にラチェット駆動レバー30Rを一体に備えており、そのラチェット駆動レバー30Rとリモコン装置100とがオープンケーブル91Wによって連結されている。オープンケーブル91Wは、トーションコイルばね30Sによってラチェット30側に引っ張られており、トーションコイルばね30Sの付勢力に抗してオープンケーブル91Wがリモコン装置100側に引っ張られると、ラチェット30が図3における時計回り方向に回動する。
【0028】
ベース盤11のうちストライカ受容溝12より上方にはラッチ20が回動可能に軸支されている。ラッチ20には、1対の係止爪21,22が備えられ、それら係止爪21,22の間がストライカ受容部23になっている。また、ラッチ20は、ベース盤11との間に設けたトーションコイルばね20Sによりラッチ解除方向(図3における時計回り方向)に付勢されている。そして、スライドドア90を開けた状態では、図3に示すように、ラッチ20がラッチ解除方向の一端に位置決めされる。
【0029】
この状態でスライドドア90を閉止方向にスライドさせると、ストライカ受容溝12に進入したストライカ40が図3に示すように、ラッチ20のストライカ受容部23内に受容されると共に、ストライカ40が後側の係止爪22を押してラッチ20がラッチ解除方向とは逆のラッチ方向(図3における反時計回り方向)に回動する。これにより、図4に示すようにラッチ20がストライカ40と噛み合った状態になる。
【0030】
このとき、ラチェット30とラッチ20の前側の係止爪21とが当接して、ラッチ20のラッチ解除方向(図4における時計回り方向)への回動が禁止される。即ち、ラッチ20とストライカ40とが噛み合った状態に保持される。
【0031】
また、ラッチ20とストライカ40が噛み合った(スライドドア90が全閉ラッチされた)状態で車外ドアハンドル17を操作又は車内ドアハンドル18を開操作すると、オープンケーブル91Wがリモコン装置100側に引っ張られる。すると、図4において二点鎖線で示したように、ラチェット30が図4における時計回り方向に回動して、ラッチ20の回動領域の外側に退避し、ラチェット30によるラッチ20の回動規制が解除され、ラッチ20のラッチ解除方向への回動が許容される。
【0032】
以上がスライドドア90の前端部に配置された全閉ドアラッチ装置10Aの説明であるが、スライドドア90の後端部に配置された全閉ドアラッチ装置10Bにも、前記全閉ドアラッチ装置10Aと同様に動作するラッチ・ラチェット機構(図示せず)が備えられている。全閉ドアラッチ装置10Bのラチェットとリモコン装置100との間はオープンケーブル92W(図2参照)によって連結されており、車外ドアハンドル17を操作又は車内ドアハンドル18を開操作すると、オープケーブル92Wがリモコン装置100側に引っ張られて、全閉ドアラッチ装置10Bにおいてもラチェットによるラッチの回動規制が解除される。
【0033】
そして、全閉ドアラッチ装置10A,10Bの両方のラッチ・ラチェット機構20Kにおいて、ラッチ20がストライカ40と噛み合った状態(図4に示す状態)に保持されたとき、スライドドア90が全閉状態にラッチされる。また、全閉ドアラッチ装置10A,10Bの両方のラッチ・ラチェット機構20Kにおいて、ラチェット30によるラッチ20の回動規制が解除されると、スライドドア90の全閉ラッチが解除されて、スライドドア90を開ける(開放方向にスライドさせる)ことが可能になる。
【0034】
ここで、車両300には、スライドドア90を電動スライドさせる図示しないパワースライド装置が備えられており、全閉ドアラッチ装置10A,10Bによる全閉ラッチの解除と連動してパワースライド装置を作動させることが可能になっている。
【0035】
全開ドアラッチ装置10Cにも全閉ドアラッチ装置10A,10Bと同様にラッチ・ラチェット機構が備えられている。このラッチ・ラチェット機構は、スライドドア90を全開にしたときに、ドア枠99Wのストライカ40にラッチが噛み合うと共に、そのラッチにラチェットが当接してラッチ解除方向への回動を規制する。つまり、スライドドア90を全開状態にラッチする。そして、全開ドアラッチ装置10Cのラチェットとリモコン装置100との間はオープンケーブル93W(図2参照)によって連結されている。
【0036】
スライドドア90が全開ラッチされた状態でに、車外ドアハンドル17を操作又は車内ドアハンドル18を閉操作すると、オープンケーブル93Wがリモコン装置100側に引っ張られる。すると、全開ドアラッチ装置10Cにおいてラチェットによるラッチの回動規制が解除され、スライドドア90の全開ラッチが解除されて、スライドドア90を閉める(閉止方向にスライドさせる)ことが可能になる。なお、全開ドアラッチ装置10Cによる全開ラッチの解除に連動して前記パワースライド装置を作動させることが可能となっている。
【0037】
以上が、全閉ドアラッチ装置10A,10B及び全開ドアラッチ装置10Cに関する説明であり、次に本発明に係るリモコン装置100の説明を行う。
【0038】
リモコン装置100は、図2に示すようにスライドドア90の前端寄り位置に内蔵されている。リモコン装置100は、図5〜図12に詳細に示されているように、スライドドア90の内部に固定される板金製のベースプレート101に各種部品を組み付けた構成となっている。
【0039】
ベースプレート101は、スライドドア90のドア厚さ方向と略平行に配置されておりスライドドア90の室内側パネルに重ねて取り付けられている。ベースプレート101のうち室内側パネルとの対向面(図5の紙面手前側の面)には、車内ドアハンドル18及びドアロックノブ16が設けられている。以下、ベースプレート101の表裏を区別するために、室内側ドアパネルとの対向面を「正面」といい、その反対側の面(図6の紙面手前側の面)を「背面」という。
【0040】
車内ドアハンドル18は、例えば、上下方向に延びかつ下端部を回動中心にしてスライドドア90と平行に前後に回動可能なスイング式のレバーハンドルである。車内ドアハンドル18は、トーションコイルばね19(図9参照)の付勢力によって、常には、直立した原点位置で停止しており(図5参照)、その原点位置から相反する二方向、即ち、スライドドア90の前端側に傾ける「閉操作」と、原点位置からスライドドア90の後端側に傾ける「開操作」とが可能となっている。
【0041】
ドアロックノブ16は、車内ドアハンドル18よりもスライドドア90の後端側に隣接配置されており、例えば、上下方向へのスライド操作が可能となっている。即ち、ドアロックノブ16を、図5に示した位置から下に移動操作(施錠操作)すると、スライドドア90が施錠されて、車内ドアハンドル18又は車外ドアハンドル17を操作してもスライドドア90は開かなくなる。逆に、ドアロックノブ16を上に移動操作(解錠操作)して図5に示した位置にすると、スライドドア90が解錠されて、車内ドアハンドル18又は車外ドアハンドル17の操作によりスライドドア90を開けることが可能になる。
【0042】
図5に示すように、ベースプレート101のうちスライドドア90の前端寄り位置には、支持シャフト111が設けられている。支持シャフト111は、図7に示すように、ベースプレート101からスライドドア90の室内側ドアパネル(図5の紙面手前側)に向かって起立している。支持シャフト111は円柱状をなしてスライドドア90の室内面から突出しており、その突出端部に車内ドアハンドル18(本発明に係る「ドアハンドル」に相当する)の下端部が一体回転可能に固定されている。そして、支持シャフト111は、後述するインサイド入力レバー140、中継回動レバー120、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170を回動可能に軸支している(図7及び図10参照)。ここで、全開ラッチ解除レバー170は、本発明の「第1出力レバー」に相当し、全閉ラッチ解除レバー130は、本発明の「第2出力レバー」に相当する。
【0043】
図5に示すように、ベースプレート101のうち支持シャフト111の下方には、支持シャフト111と平行な支持ピン112が配置されている。支持ピン112は、後述するアウトサイド入力レバー150及びモータ動力中継レバー160を回動可能に軸支している(図9参照)。
【0044】
さらに、図11に示すように、ベースプレート101のうち、支持シャフト111をスライドドア90の前後方向から挟んだ二位置には、ロッキングレバー180とチャイルドロック操作レバー190とが設けられ、これらが支持シャフト111及び支持ピン112と平行な軸回りで回動可能となっている。
【0045】
上記8つのレバー120〜190のうち、インサイド入力レバー140を除く他の7つのレバー120,130,150〜190は、ベースプレート101の正面側に取り付けられており、インサイド入力レバー140のみがベースプレート101の背面側に取り付けられている(図5及び図6参照)。
【0046】
また、例えば、ロッキングレバー180及びチャイルドロック操作レバー190は樹脂製であり、その他のレバー120〜170は金属製となっている。ロッキングレバー180にはレバー軸113が一体形成され、チャイルドロック操作レバー190にはレバー軸114が一体形成されている(図11参照)。これらレバー軸113及びレバー軸114は、例えば、弾性リベットで構成されており、ベースプレート101に貫通形成されたベース軸孔101C,101D(図12参照)に押し込まれて係止している。即ち、ロッキングレバー180はレバー軸113を中心にして回動し、チャイルドロック操作レバー190はレバー軸114を中心にして回動するようになっている。
【0047】
以下、支持シャフト111、支持ピン112、各レバー軸113,114に対する各レバー120〜190の回動方向を区別するために、図5における時計回り方向(図6における反時計回り方向)を「第1回動方向」といい、図5における反時計回り方向(図6における時計回り方向)を「第2回動方向」という。
【0048】
次に、リモコン装置100の各構成部品について詳説する。図6に示すように、ベースプレート101の背面に重ねて取り付けられたインサイド入力レバー140は、支持シャフト111からベースプレート101と平行な3方向にレバーアーム141,142,143が突出した略Y字形状をなしている。詳細には、第1レバーアーム141は、支持シャフト111からスライドドア90の前端側斜め上方に向かって延びており、第2レバーアーム142及び第3レバーアーム143は、第1レバーアーム141とは略反対側に延びている。図10に示すように、第1レバーアーム141の先端部はベースプレート101側に屈曲した端曲げ部141Kとなっている。その端曲げ部141Kに対応して、ベースプレート101には連絡窓102が貫通形成されており、その連絡窓102を貫通して端曲げ部141Kがベースプレート101の正面側に突出している。また、連絡窓102の縁部からベースプレート101の正面側に切起し部102Kが起立しており、その切起し部102Kと端曲げ部141Kとが、インサイド入力レバー140の回動半径方向で対向配置されている(図5参照)。そして、これら切起し部102Kと端曲げ部141Kとに、トーションコイルばね19の巻回部から側方に突出した両端末部19T,19Tが係止可能となっている。
【0049】
トーションコイルばね19の両端末部19T,19Tは、切起し部102K及び端曲げ部141Kを間に挟んだ状態でそれらに押し付けられており、これにより、インサイド入力レバー140及び車内ドアハンドル18は、図6に示す原点位置で停止している。
【0050】
車内ドアハンドル18の操作によりインサイド入力レバー140が原点位置から一方向に回動すると、トーションコイルばね19の両端末部19T,19Tのうち、回動方向後側の端末部19Tが切起し部102Kに係止した状態で、回動方向前側の端末部19Tが端曲げ部141Kに押されて切起し部102Kから離間し、トーションコイルばね19の巻回部がねじれる。その状態で、車内ドアハンドル18から手を離すと、トーションコイルばね19のねじれによって生じた弾発力により、インサイド入力レバー140が原点位置に向けて戻され、図6に示すように車内ドアハンドル18と共に原点位置で停止する。
【0051】
図6に示すようにインサイド入力レバー140のうち、第2レバーアーム142及び第3レバーアーム143は、ベースプレート101の背面に設置された開操作検出用のスイッチSW1及び閉操作検出用のスイッチSW2とそれぞれ接触可能となっている。即ち、インサイド入力レバー140が図6に示す原点位置のとき、第2レバーアーム142及び第3レバーアーム143はスイッチSW1,SW2から離間していてスイッチSW1,SW2は共にオフとなっている。車内ドアハンドル18の開操作によってインサイド入力レバー140が第1回動方向(図6における反時計回り方向)に回動した場合、第2レバーアーム142がスイッチSW1に接触してこれをオンする。また、車内ドアハンドル18の閉操作によってインサイド入力レバー140が第2回動方向(図5における時計回り方向)に回動した場合、第3レバーアーム143がスイッチSW2と接触してこれをオンする。
【0052】
図7及び図10に示すように、ベースプレート101の正面側で支持シャフト111に軸支された複数のレバー120,130,170のうち、最もベースプレート101から離れた位置で支持された全開ラッチ解除レバー170は、支持シャフト111から上方に向かって突出した第1レバーアーム171と、支持シャフト111からスライドドア90の前端側に向かって突出した第2レバーアーム172とを有した略V字形をなしている。また、第1レバーアーム171は、インサイド入力レバー140の第1レバーアーム141に対して第1回動方向にずれた位置に配置され、第2レバーアーム172はインサイド入力レバー140の第1レバーアーム141に対して第2回動方向にずれた位置に配置されている。
【0053】
全開ラッチ解除レバー170のうち、第1レバーアーム171の先端部には、ケーブル連結部材177を介してオープンケーブル93Wが連結している。つまり、オープンケーブル93Wによって全開ラッチ解除レバー170と全開ドアラッチ装置10Cのラチェットとが連結している。オープンケーブル93Wは、ケーブル連結部材177からスライドドア90の後方に向かって延びている。
【0054】
全開ラッチ解除レバー170は、第1レバーアーム171とベースプレート101との間を連結したコイルばね176によって、支持シャフト111回りの第1回動方向に付勢されている。また、第1レバーアーム171の先端部には、第1回動方向に突出しかつ先端がベースプレート101に向かって屈曲したストッパ当接片173(図10参照)が形成されており、通常は、そのストッパ当接片173がベースプレート101から正面側に切り起こされたストッパ107に当接することで、全開ラッチ解除レバー170が図5に示す原点位置に位置決めされている。
【0055】
全開ラッチ解除レバー170のうち、第2レバーアーム172の先端部には、支持シャフト111を中心とした円弧状の長孔175が貫通形成されている。その円弧状長孔175内にはスライドブシュ175Bが摺動可能に保持されている。そのスライドブシュ175Bには第1ロッド115の端部が連結しており、第1ロッド115によって、全開ラッチ解除レバー170と後述するモータ動力中継レバー160とが連結している。
【0056】
全開ラッチ解除レバー170の第2レバーアーム172には、第1回動方向に向かって突出しかつ先端がベースプレート101側に屈曲した連動当接片174が形成されている(図10参照)。全開ラッチ解除レバー170及びインサイド入力レバー140が共に原点位置のとき、連動当接片174は、インサイド入力レバー140の端曲げ部141Kに当接又は近接している。車内ドアハンドル18を閉操作すると、その操作力を受けてインサイド入力レバー140が原点位置から第2回動方向に回動し、端曲げ部141Kが連動当接片174を押す。即ち、全開ラッチ解除レバー170がインサイド入力レバー140に押されて原点位置から第2回動方向に一体回動する。すると、全開ラッチ解除レバー170の第1レバーアーム171に連結されたオープンケーブル93Wがリモコン装置100側に引っ張られて、全開ドアラッチ装置10Cによるスライドドア90の全開ラッチが解除される。
【0057】
図10に示すように、ベースプレート101の正面側で支持シャフト111に軸支された複数のレバー120,130,170のうち、最もベースプレート101に近い位置に軸支された中継回動レバー120は、支持シャフト111から3方向にレバーアーム121,122,123が突出した構造をなしている。詳細には、図11に示すように、支持シャフト111からスライドドア90の後端側に突出した第1レバーアーム121と、支持シャフト111から上方に向かって突出した第2レバーアーム122と、支持シャフト111から下方に向かって突出した第3レバーアーム123とを備えている。
【0058】
第1レバーアーム121における第1回動方向の前端位置からは、回動半径方向の外側に向かってバネ係止突片121Tが延設されており、そのバネ係止突片121Tとベースプレート101との間を連結したコイルばね129によって、中継回動レバー120が第2回動方向に付勢されている。
【0059】
第1レバーアーム121の先端寄り部分には、支持シャフト111を中心とした円弧状の長孔124が貫通形成されており、その円弧状長孔124内にスライドブシュ124Bが摺動可能に保持されている。スライドブシュ124Bには第2ロッド116の端部が連結しており、その第2ロッド116によって、中継回動レバー120と後述するモータ動力中継レバー160とが連結している。
【0060】
中継回動レバー120の第1レバーアーム121のうち、円弧状長孔124と支持シャフト111との中間位置からは、ベースプレート101に向かってスイッチ接触片121K(図10参照)が切り起こされている。そのスイッチ接触片121Kに対応して、ベースプレート101には連絡窓103が貫通形成されており、その連絡窓103からスイッチ接触片121Kがベースプレート101の背面側に突出している。そして、中継回動レバー120が図5に示す原点位置から第1回動方向に回動したときに、スイッチ接触片121Kが、ベースプレート101の背面に備えた開操作検出用のスイッチSW1(図6参照)と接触してこれをオンする。
【0061】
中継回動レバー120のうち、支持シャフト111から上方に突出した第2レバーアーム122は、後述する全閉ラッチ解除レバー130の背面に重なっている。第2レバーアーム122には、L型長孔125が貫通形成されている。図12に示すように、L型長孔125は、回動半径方向に延びたL型第1辺経路125Aと、そのL型第1辺経路125Aのうち支持シャフト111から離れた端部から第2回動方向に延びたL型第2辺経路125Bとからなる。そして、L型長孔125をロックピン134が貫通している。また、第2レバーアーム122には、第1回動方向に突出しかつ先端が全閉ラッチ解除レバー130側(ベースプレート101から離れる側)に向かって屈曲した連動当接片128が形成されている。
【0062】
中継回動レバー120のうち、支持シャフト111から下方に突出した第3レバーアーム123には、回動半径方向に延びたチャイルドロック長孔126が貫通形成され、そのチャイルドロック長孔126をチャイルドロックピン127が貫通している。チャイルドロックピン127は、チャイルドロック長孔126に対して抜け止めされており、チャイルドロック長孔126の長手方向に延びた1対の側辺をガイドにして往復動可能となっている。また、チャイルドロックピン127に対応して、ベースプレート101には連絡窓104が貫通形成されており、その連絡窓104からチャイルドロックピン127の一端部がベースプレート101の背面側に突出している。
【0063】
このチャイルドロックピン127をチャイルドロック長孔126内で往復動させるために、ベースプレート101の正面にはチャイルドロック操作レバー190が備えられている。図11に示すように、チャイルドロック操作レバー190はレバー軸114を中心にして回動可能となっている。レバー軸114は、支持シャフト111よりもスライドドア90の前端寄り位置に配置されている。
【0064】
図11及び図12に示すように、チャイルドロック操作レバー190は、レバー軸114からスライドドア90の前端側に向かって突出した操作アーム191と、スライドドア90の後端側に向かって突出したピン連結アーム192とを備えている。操作アーム191はT字形をなしており、その先端部がスライドドア90の前端面から露出している。一方、ピン連結アーム192は円弧状をなしており、中継回動レバー120における第3レバーアーム123の正面に重ねられている。ピン連結アーム192には、支持シャフト111を中心とした円弧状の長孔193が貫通形成されており、その円弧状長孔193をチャイルドロックピン127が往復動可能に貫通している。
【0065】
チャイルドロック操作レバー190の操作アーム191を下に移動操作して図11に示す「解錠位置」にすると、ピン連結アーム192が上昇することで、チャイルドロックピン127は、チャイルドロック長孔126における支持シャフト111寄りの端部に配置される。このとき、チャイルドロックピン127は、図6に示すように、インサイド入力レバー140(詳細には、第3レバーアーム143)の回動領域内に配置されるので、そのチャイルドロックピン127を介してインサイド入力レバー140と中継回動レバー120とが第1回動方向(図6における反時計回り方向)に一体回転可能に連結される。即ち、車内ドアハンドル18の開操作による操作力を、インサイド入力レバー140から中継回動レバー120に伝達することが可能となる。この状態がチャイルドロックの「解錠状態」である。
【0066】
これに対し、チャイルドロック操作レバー190の操作アーム191を図11に示す位置から上に移動操作して「施錠位置」にすると、ピン連結アーム192が降下することで、チャイルドロックピン127はチャイルドロック長孔126における支持シャフト111から離れた側の端部に配置される。このとき、チャイルドロックピン127はインサイド入力レバー140(詳細には、第3レバーアーム143)の回動領域の外側に配置されるので、インサイド入力レバー140と中継回動レバー120とが連動不可能に切り離される。即ち、車内ドアハンドル18の開操作による操作力が、インサイド入力レバー140と中継回動レバー120との間で遮断される。この状態がチャイルドロックの「施錠状態」である。
【0067】
図6に示すように、ベースプレート101にはレバー軸114を中心とした円弧状の位置決め窓105Aが貫通形成されており、操作アーム191の背面から突出した位置決め突起194が位置決め窓105Aに突入している。そして、位置決め窓105Aの長手方向の両端部に位置決め突起194が当接することで、チャイルドロック操作レバー190の回動範囲が規制されている。
【0068】
図10に示すように、支持シャフト111の軸方向において全開ラッチ解除レバー170と中継回動レバー120との間には、全閉ラッチ解除レバー130が軸支されている。全閉ラッチ解除レバー130は、支持シャフト111から略相反する方向に突出した第1レバーアーム131と第2レバーアーム132とを備えている。第1レバーアーム131は、支持シャフト111から下方に向かって延びかつ中間部でクランク状に屈曲している。第1レバーアーム131の先端部には、ケーブル連結フック137,137が形成され、それらケーブル連結フック137,137にオープンケーブル91W,92Wが連結している。つまり、オープンケーブル91Wを介して全閉ラッチ解除レバー130と全閉ドアラッチ装置10Aとが連結され、オープンケーブル92Wを介して全閉ラッチ解除レバー130と全閉ドアラッチ装置10Bとが連結されている。オープンケーブル91W,92Wはケーブル連結フック137,137からスライドドア90の後方に向かって延びており、全開ラッチ解除レバー170に連結されたオープンケーブル93Wと略平行に配置されている。
【0069】
全閉ラッチ解除レバー130のうち、第2レバーアーム132は、支持シャフト111から、スライドドア90の後端側斜め上方に向かって延びている。第2レバーアーム132は、前記した中継回動レバー120の第2レバーアーム122の正面に重ねて配置されており(図12参照)、回動半径方向に延びたI型長孔133が貫通形成されている。I型長孔133は、全閉ラッチ解除レバー130及び中継回動レバー120が共に原点位置のときに、中継回動レバー120のL型第1辺経路125Aと重ね合わせ可能となっており、I型長孔133とL型長孔125とを共通のロックピン134が貫通している。ロックピン134は、I型長孔133に抜け止めされており、そのI型長孔133の長手方向に延びた1対の側辺をガイドにしてI型長孔133内を往復動可能となっている。
【0070】
ここで、全閉ラッチ解除レバー130の第2レバーアーム132には、第1回動方向に突出した連動当接片135が形成されており、その連動当接片135が、中継回動レバー120の第2レバーアーム122に形成された連動当接片128と当接可能となっている。従って、全閉ラッチ解除レバー130は、中継回動レバー120を介してコイルばね129(図11参照)の付勢力を受けることになり、中継回動レバー120と共に第2回動方向に付勢されている。そして、常には、全閉ラッチ解除レバー130の第1レバーアーム131が、ベースプレート101から切り起こされたストッパ108に当接することで、全閉ラッチ解除レバー130及び中継回動レバー120が図5に示す原点位置に位置決めされている。
【0071】
図5に示すように、ベースプレート101の正面のうち、ドアロックノブ16を間に挟んで支持シャフト111とは反対側には、ロックピン134をI型長孔133内で移動させるためのロッキングアクチュエータ187が備えられている。また、ベースプレート101の正面には、ロッキングアクチュエータ187の動力をロックピン134に付与するためのロッキングレバー180が備えられている(図11及び図12参照)。
【0072】
図6に示すように、ロッキングレバー180の回動中心であるレバー軸113は、支持シャフト111を挟んでレバー軸114とは反対側の位置に配置されている。図11に示すように、ロッキングレバー180は、レバー軸113からロッキングアクチュエータ187に向かって延びた第1レバーアーム181と、レバー軸113からロックピン134に向かって延びた第2レバーアーム182とを有している。第2レバーアーム182は、前記した中継回動レバー120の第2レバーアーム122の背面側に重ねられており、支持シャフト111を中心とした円弧状の長孔183が貫通形成されている。この円弧状長孔183はI型長孔133及びL型長孔125と重ね合わせ可能となっており、I型長孔133及びL型長孔125を貫通したロックピン134が、さらに、円弧状長孔183を貫通している。
【0073】
ロッキングアクチュエータ187は、ドアロックモータ187Mとそのドアロックモータ187Mの動力を受けて回動する出力レバー187Rとを有している。図11に示すように、出力レバー187Rの先端部は、ロッキングレバー180の第1レバーアーム181の先端部に正面側から重ねられており、出力レバー187Rから第1レバーアーム181に向けて突出したピン188Aと、第1レバーアーム181に貫通形成された長孔185とによって連結している(図6参照)。また、出力レバー187Rの先端部からは、ピン188Aとは反対側にピン188Bが突出しており、そのピン188Bによって出力レバー187Rとドアロックノブ16とが連結している(図12参照)。即ち、ドアロックモータ187Mの動力とドアロックノブ16の手動操作(上下方向の移動操作)との両方で、出力レバー187Rが回動するようになっている。
【0074】
そして、出力レバー187Rの回動に伴ってロッキングレバー180がレバー軸113を中心に回動して、ロックピン134が、全閉ラッチ解除レバー130のI型長孔133のうち支持シャフト111側の結合位置と、I型長孔133のうちL型第2辺経路125B側の結合解除位置との間を移動する。
【0075】
例えば、図11に示すようにドアロックが「解除状態」のときにドアロックの施錠操作が行われると、ロッキングレバー180がレバー軸113を中心に第1回動方向に回動して、ロックピン134がI型長孔133のうち支持シャフト111から離れた側の結合解除位置になる。この結合解除位置では、ロックピン134はL型第2辺経路125B内を移動可能となるため、中継回動レバー120が第1回動方向に回動しても、全閉ラッチ解除レバー130は原点位置(図5参照)に停止したままとなる。即ち、中継回動レバー120から全閉ラッチ解除レバー130への力の伝達が遮断され、全閉ドアラッチ装置10A,10Bによる全閉ラッチを解除することが不可能になる。この状態がドアロックの「施錠状態」である。
【0076】
一方、施錠状態からドアロックの解錠操作が行われると、ロッキングレバー180がレバー軸113を中心に第2回動方向に回動して、ロックピン134がI型長孔133のうち支持シャフト111に近い側の結合位置に移動する(図11に示す状態)。この結合位置では、ロックピン134がL型第1辺経路125A内に配置されるので、そのロックピン134によって全閉ラッチ解除レバー130と中継回動レバー120とが一体回動可能に結合される。即ち、中継回動レバー120から全閉ラッチ解除レバー130への力の伝達が可能となる。
【0077】
ここで、図6及び図12に示すように、ベースプレート101にはレバー軸113を中心とした円弧状の位置決め窓105Bが貫通形成されており、ロッキングレバー180からベースプレート101側に突出した位置決め突起186が、位置決め窓105Bに突入している。これによりロッキングレバー180の回動範囲が規制されている。
【0078】
図11及び図12に示すように、ロッキングレバー180における第1レバーアーム181の先端部には、第1回動方向に向かって突出しかつ側縁部がベースプレート101側に突出したスイッチ接触片184が形成されている。そのスイッチ接触片184に対応してベースプレート101には連絡窓106が貫通形成され、その連絡窓106からスイッチ接触片184がベースプレート101の背面側に突出している。そして、ドアロックノブ16又はロッキングアクチュエータ187によってドアロックの施錠が行われたときに、ロッキングレバー180がレバー軸113を中心に第1回動方向(図6の反時計回り方向)に回動することにより、スイッチ接触片184がベースプレート101の背面に備えたポジションスイッチSW3をオンする。このポジションスイッチSW3のオンオフによって、ドアロックの施解錠状態が検出される。
【0079】
なお、図6に示すように、スイッチSW1〜SW3が取り付けられたベースプレート101の背面には、ハーネスHNが敷設されており、ハーネスHNの先端部から分岐した3本のケーブルCA,CA,CAがそれぞれスイッチSW1〜SW3に接続されている。また、ハーネスHNの末端に設けられたコネクタCN1は、次述するリリースモータ60とモータ動力中継レバー160との間に配置されて、リモコン装置100の下方に開口している。
【0080】
図5に示すように、ベースプレート101の正面のうち、ロッキングアクチュエータ187の下方には、ブラケット61を介してリリースモータ60が取り付けられている。リリースモータ60は、例えば、スイッチSW1,SW2の何れかがオンされ(車内ドアハンドル18又は車外ドアハンドル17が操作され)かつ全開ドアラッチ装置10C又は全閉ドアラッチ装置10A,10Bによるドアラッチが解除されたことをことを第1の作動条件として作動し、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が電動スライドを開始)するまでの間、各ドアラッチ装置10A,10B,10Cによる全閉ラッチ又は全開ラッチを解除状態に維持する。
【0081】
また、リリースモータ60は、スライドドア90のドアロックが解錠状態(ポジションスイッチSW3がオフ)でかつ遠隔操作(リモコンキーや車内のドア開閉ボタンの操作)が行われたことを第2の作動条件として作動し、モータ動力中継レバー160を回転駆動して各ドアラッチ装置10A,10B,10Cによる全閉ラッチ又は全開ラッチをモータ動力によって解除する。
【0082】
ここで、図5に示すように、リリースモータ60とドアロックモータ187Mは、共にベースプレート101の正面に配設されると共に、ベースプレート101におけるスライドドア90の後端側位置で上下に並べて配置されている。また、リリースモータ60に備えたコネクタCN2と、ドアロックモータ187Mに備えたコネクタCN3は、同じ方向(具体的には、スライドドア90の後斜め下方)に向かって開口している。即ち、両コネクタCN2,CN3の接続相手(例えば、コネクタ付きケーブル)との嵌合方向が同じ方向になるように揃っている。
【0083】
ベースプレート101のうち、支持シャフト111に軸支された各レバー120,130,140,170の回動領域の外側、具体的には、リリースモータ60よりもスライドドア90の前端側位置でかつ支持シャフト111の下方位置には支持ピン112が備えられている。図9に示すように、支持ピン112は、アウトサイド入力レバー150及びモータ動力中継レバー160の各レバー軸孔160A,150Bを貫通して、ベースプレート101に貫通形成されたベース軸孔101Bに抜け止め状態にかしめられている。
【0084】
アウトサイド入力レバー150は、モータ動力中継レバー160の背面に重ねられており、支持ピン112(レバー軸孔150A)から相反する方向(具体的には、スライドドア90の前後方向)に突出した1対のレバーアーム151,152を備えている。それら1対のレバーアーム151,152のうち、スライドドア90の前端側に向かって突出した第1レバーアーム151には、ブシュ154が取り付けられており、そのブシュ154に車外ドアハンドル17から延びた第3ロッド117が連結されている。また、第2レバーアーム152の先端部には、モータ動力中継レバー160側(ベースプレート101から離れる側)に向かって屈曲した連動当接片153が形成されている(図5参照)。
【0085】
図5に示すように、モータ動力中継レバー160は、支持ピン112(レバー軸孔160A)から互いに異なる方向に突出した第1レバーアーム161、第2レバーアーム162、第1及び第2のロッド連結突片163,164を有している。第1レバーアーム161は、支持ピン112から斜め下方に向かって延びかつ先端部が屈曲して第1回動方向に延びており、その第1回動方向に延びた部分に支持ピン112を中心とした円弧状の長孔165が貫通形成されている。
【0086】
第2レバーアーム162は、支持ピン112からスライドドア90の後端側に突出してアウトサイド入力レバー150における第2レバーアーム152の正面に重なるように配置されている。第1と第2のロッド連結突片163,164は、支持ピン112からスライドドア90の前端側に突出してアウトサイド入力レバー150における第1レバーアーム151の正面に重なるように配置されている。そして、モータ動力中継レバー160は、トーションコイルばね167によって支持ピン112を中心にして第1回動方向に付勢されている。
【0087】
また、モータ動力中継レバー160の第2レバーアーム162の側面には、アウトサイド入力レバー150に形成された連動当接片153が当接可能となっている。これにより、アウトサイド入力レバー150は、モータ動力中継レバー160を介してトーションコイルばね167の付勢力を受けることになり、モータ動力中継レバー160と共に第1回動方向に付勢されている。そして、常には、連動当接片153がベースプレート101の縁部から曲げ起こされたストッパ109に当接することで、モータ動力中継レバー160及びアウトサイド入力レバー150が図5に示す原点位置に位置決めされている。なお、アウトサイド入力レバー150及びモータ動力中継レバー160は、ベースプレート101から切り起こされたストッパ110に当接することで、原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置に位置決めされる。
【0088】
モータ動力中継レバー160に備えられた第1及び第2のロッド連結突片163,164のうち、第1レバーアーム161に近い第1のロッド連結突片163には、ブシュ168を介して第1ロッド115が連結している。また、モータ動力中継レバー160のうち、第2レバーアーム162に近い第2のロッド連結突片164には、ブシュ169を介して第2ロッド116が連結している。つまり、モータ動力中継レバー160と全開ラッチ解除レバー170とが第1ロッド115によって連結し、モータ動力中継レバー160と中継回動レバー120とが第2ロッド116によって連結している。
【0089】
モータ動力中継レバー160の第1レバーアーム161に貫通形成された円弧状長孔165には、スライドブシュ165Bが摺動可能に支持され、そのスライドブシュ165Bにリリースモータ60から延びた第4ロッド118が連結している。リリースモータ60の動力は第4ロッド118を介してモータ動力中継レバー160に付与され、アウトサイド入力レバー150が原点位置に停止した状態で、モータ動力中継レバー160だけが第2回動方向に回転駆動される。
【0090】
ここまでの構成に基づいてリモコン装置100の動作について説明する。なお、以下の動作説明では、チャイルドロック及びドアロックが共に「解錠状態」であると仮定する。
【0091】
[車外ドアハンドルに対する操作]
スライドドア90が全開ドアラッチ装置10Cによって全開ラッチされているときに車外ドアハンドル17を操作すると、アウトサイド入力レバー150が第3ロッド117に押されて支持ピン112を中心として原点位置から第2回動方向に回動し、そのアウトサイド入力レバー150に押されてモータ動力中継レバー160も第2回動方向に一体回動する。すると、第1ロッド115がアウトサイド入力レバー150側に引かれて、全開ラッチ解除レバー170が支持シャフト111を中心として原点位置から第2回動方向に回動する。これにより、オープンケーブル93Wがリモコン装置100側に引っ張られて、全開ドアラッチ装置10Cによるスライドドア90の全開ラッチが解除され、スライドドア90を閉めることが可能になる。
【0092】
ここで、モータ動力中継レバー160が第2回動方向に回動すると、第2ロッド116もモータ動力中継レバー160側に引かれて、中継回動レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130が支持シャフト111を中心として原点位置から第1回動方向に回動する。そして、中継回動レバー120に備えたスイッチ接触片121K(図10参照)がスイッチSW1をオンして、リリースモータ60の第1の作動条件が成立し、リリースモータ60が作動する。すると、第4ロッド118がリリースモータ60側に引かれて、モータ動力中継レバー160が原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置で保持される。これにより、車外ドアハンドル17から手が離れて操作力が失われ、アウトサイド入力レバー150が原点位置(図5及び図6に示す位置)に戻ったとしても、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が閉止方向に電動スライドを開始)するまでは、リリースモータ60の動力によって全開ロック解除レバー170が原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置に保持して、全開ラッチの解除状態を維持することができる。
【0093】
スライドドア90が全閉ドアラッチ装置10A,10Bによって全閉ラッチされているときに、車外ドアハンドル17を操作すると、アウトサイド入力レバー150及びモータ動力中継レバー160が原点位置から第2回動方向に回動し、第2ロッド116がアウトサイド入力レバー150側に引かれる。すると、中継回動レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130が原点位置から第1回動方向に回動して、全閉ドアラッチ装置10A,10Bによる全閉ラッチが解除される。また、このとき、中継回動レバー120のスイッチ接触片121K(図10参照)がスイッチSW1をオンして第1の作動条件が成立し、リリースモータ60が作動する。
【0094】
すると、リリースモータ60の動力によってモータ動力中継レバー160が原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置で保持され、中継回動レバー120及び全閉ラッチ解除レバー130が原点位置から第1回動方向に離れた回動終端位置で保持される。これにより、車外ドアハンドル17から手が離れて操作力が失われ、アウトサイド入力レバー150が原点位置に戻ったとしても、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が開放方向に電動スライドを開始)するまでは、リリースモータ60の動力によって全閉ラッチの解除状態を維持することができる。
【0095】
[遠隔操作(リモコンキー又は車内のドア開閉ボタンに対する操作)]
遠隔操作を行うと、第2の作動条件が成立してリリースモータ60が作動し、第4ロッド118がリリースモータ60側に引かれる。すると、アウトサイド入力レバー150を原点位置に残したまま、モータ動力中継レバー160が原点位置から第2回動方向に回動する。すると、全閉ラッチ解除レバー130が原点位置から第1回動方向に回動すると共に、全開ラッチ解除レバー170が原点位置から第2回動方向に回動する。これにより、全閉ドアラッチ装置10A,10B及び全開ドアラッチ装置10Cの両方がラッチ解除動作を行う。
【0096】
[車内ドアハンドルに対する閉操作]
スライドドア90が全開ドアラッチ装置10Cによって全開ラッチされている場合に、車内ドアハンドル18を閉操作すると、インサイド入力レバー140の端曲げ部141Kが全開ラッチ解除レバー170の連動当接片174Kを押して、それら両レバー140,170が支持シャフト111を中心として原点位置から第2回動方向に一体回動する。すると、全開ラッチ解除レバー170に連結されたオープンケーブル93Wがリモコン装置100側に引っ張られて、全開ドアラッチ装置10Cによるスライドドア90の全開ラッチが解除され、スライドドア90を閉めることが可能になる。
【0097】
車内ドアハンドル18に対する閉操作の場合、インサイド入力レバー140の第3レバーアーム143はチャイルドロックピン127から離れる方向(図6における時計回り方向)に移動するから、インサイド入力レバー140の回動による中継回動レバー120の従動が防がれる。また、インサイド入力レバー140から操作力を受けて全開ラッチ解除レバー170が第2回動方向に回動したときに、第1ロッド115と連結したスライドブシュ175Bが円弧状長孔175内で移動して操作力の伝達を遮断するから、全開ラッチ解除レバー170の回動によるモータ動力中継レバー160の従動が防がれる。つまり、車内ドアハンドル18の閉操作による操作力は、全開ラッチ解除レバー170と全閉ラッチ解除レバー130とのうち、全開ラッチ解除レバー170に対して選択的に付与される。よって、車内ドアハンドル18に対する閉操作では、その操作力によって全開ドアラッチ装置10Cをラッチ解除動作させるだけであり、全閉ドアラッチ装置10A,10Bをラッチ解除動作させることはない。
【0098】
なお、インサイド入力レバー140が原点位置から第2回動方向へと回動すると、第3レバーアーム143がスイッチSW2(図6参照)をオンして第1の作動条件が成立し、リリースモータ60が作動する。すると、第4ロッド118がリリースモータ60側に引っ張られて、モータ動力中継レバー160が原点位置から第2回動方向に回転駆動される。モータ動力中継レバー160の回動によって第1ロッド115がモータ動力中継レバー160側に引かれ、全開ラッチ解除レバー170が原点位置から第2回動方向に離れた回動終端位置で保持される。これにより、車内ドアハンドル18から手が離れて操作力が失われ、インサイド入力レバー140が原点位置(図5及び図6に示す位置)に戻ったとしても、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が閉止方向に電動スライドを開始)するまでは、リリースモータ60の動力によって全開ラッチの解除状態を維持することができる。
【0099】
[車内ドアハンドルに対する開操作]
スライドドア90が全閉ドアラッチ装置10A,10Bによって全閉ラッチされているときに、車内ドアハンドル18を開操作すると、その操作力を受けてインサイド入力レバー140が原点位置から第1回動方向に回動し、インサイド入力レバー140の第3レバーアーム143がチャイルドロックピン127を押すことで、中継回動レバー120が原点位置から第1回動方向に回動する。中継回動レバー120と全閉ラッチ解除レバー130はロックピン134によって一体回動可能に結合しているので、全閉ラッチ解除レバー130も原点位置から第1回動方向に回動し、オープンケーブル91W,92Wがリモコン装置100側に引っ張られる。これにより、全閉ドアラッチ装置10A,10Bによるスライドドア90の全閉ラッチが解除され、スライドドア90を開けることが可能になる。
【0100】
車内ドアハンドル18に対する開操作の場合、インサイド入力レバー140の第1レバーアーム141は、全開ラッチ解除レバー170の第2レバーアーム172(連動当接片174)から離れる方向(図5における時計回り方向)に回動するから、インサイド入力レバー140の回動による全開ラッチ解除レバー170の従動が防がれる。また、インサイド入力レバー140の回動に伴って中継回動レバー120(及び全閉ラッチ解除レバー130)が第1回動方向に回動したとき、第2ロッド116と連結したスライドブシュ124Bが円弧状長孔124内で移動して操作力の伝達を遮断するから、中継回動レバー120(及び全閉ラッチ解除レバー130)の回動によるモータ動力中継レバー160の従動が防がれる。つまり、車内ドアハンドル18の開操作による操作力は、全開ラッチ解除レバー170と全閉ラッチ解除レバー130とのうち、全閉ラッチ解除レバー130に対して選択的に付与される。よって、車内ドアハンドル18に対する開操作では、その操作力によって全閉ドアラッチ装置10A,10Bをラッチ解除動作させるだけであり、全開ドアラッチ装置10Cをラッチ解除動作させることはない。
【0101】
なお、インサイド入力レバー140の第1回動方向への回動に伴い、インサイド入力レバー140の第2レバーアーム142がスイッチSW1をオンして第1の作動条件が成立し、リリースモータ60が作動する。すると、そのモータ動力によってモータ動力中継レバー160が支持ピン112を中心として第2回動方向に回転駆動され、第2ロッド116で連結された中継回動レバー120さらには、全閉ラッチ解除レバー130が原点位置から第1回動方向に離れた回動終端位置で保持される。これにより、車内ドアハンドル18から手が離れて操作力が失われ、インサイド入力レバー140が原点位置に戻ったとしても、パワースライド装置が作動開始(スライドドア90が開放方向に電動スライドを開始)するまでは、リリースモータ60のモータ動力によって全閉ラッチを解除状態に維持することができる。
【0102】
[施錠状態におけるスライドドア開放操作]
スライドドア90が全閉ラッチされかつドアロックが「施錠状態」(ロックピン134が結合解除位置)である場合に、上記した車内ドアハンドル18の開操作又は車外ドアハンドル17の操作を行っても、中継回動レバー120と全閉ラッチ解除レバー130との間で力の伝達が遮断される。また、遠隔操作を行っても、リリースモータ60の第2の作動条件が成立しない。よって、何れの操作でも、スライドドア90を開けることは不可能である。
【0103】
また、スライドドア90が全閉ラッチされかつチャイルドロックが「施錠状態」である場合に、車内ドアハンドル18を開操作しても、インサイド入力レバー140から中継回動レバー120への力の伝達が遮断されるので、スライドドア90を開けることは不可能である。但し、チャイルドロックが施錠状態であっても、ドアロックが「解錠状態」であれば、上記した車外ドアハンドル17の操作又は遠隔操作により、スライドドア90を開けることが可能である。
【0104】
以上がリモコン装置100の動作説明である。次に、リモコン装置100の支持シャフト111による回動レバーの支持構造について説明する。図8及び図10に示すように、支持シャフト111は、ベースプレート101に貫通形成された円形のベース軸孔101Aにベースプレート101の正面側から挿通されている。支持シャフト111の先端部はベースプレート101の背面側に突出しており、その先端部にインサイド入力レバー140が一体回転可能に固定されている。図10に示すようにインサイド入力レバー140には、非円形(例えば、二面幅部を有する形状)のレバー軸孔140Aが貫通形成されており、支持シャフト111の先端部の断面形状は、レバー軸孔140Aと同一非円形状となっている。そして、支持シャフト111の先端部とインサイド入力レバー140のレバー軸孔140Aとが一体回転可能に嵌合した状態で、支持シャフト111の先端部が抜け止め状態にかしめられている(図8参照)。即ち、インサイド入力レバー140は、車内ドアハンドル18に対する操作力を、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170に伝達すると共に、共通の支持シャフト111に軸支された他のレバー120,130,170及び後述するスリーブ200の抜け止め、さらには、ベースプレート101に対する支持シャフト111の抜け止めを行っている。なお、インサイド入力レバー140は、本発明の「入力レバー」、「第3の回動レバー」及び「抜止プレート」に相当する。
【0105】
支持シャフト111の軸方向の中間部には、円板状に張り出したシャフト側フランジ111F(本発明の「シャフト大径部」に相当する)が一体形成されている。支持シャフト111のうちシャフト側フランジ111Fよりベースプレート101から離れた基端側には、車内ドアハンドル18の下端部が一体回転可能に固定されている(図7参照)。なお、ベースプレート101の正面には、支持シャフト111が貫通すると共にその貫通孔の周縁部がシャフト側フランジ111Fと重なって、ベースプレート101の正面側から支持シャフト111抜け止めした抜け止めカバー119が固定されている(図9参照)。
【0106】
支持シャフト111のうち、シャフト側フランジ111Fより先端側(ベースプレート101側)には、円筒形のスリーブ200(図10参照)が嵌合している。スリーブ200は、支持シャフト111の先端側から挿入されてシャフト側フランジ111Fに突き当てられており、そのシャフト側フランジ111Fとインサイド入力レバー140との間で挟み付けられている。図8に示すように、スリーブ200の両端部外側には中継回動レバー120、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170が回動可能に支持されており、スリーブ200の中間部外側にはトーションコイルばね19の巻回部が遊嵌している。なお、スリーブ200は、例えば、樹脂製(具体的には、フッ素樹脂製)であって、支持シャフト111に対して相対回転可能となっている。
【0107】
図8に示すように、スリーブ200の軸方向の両端部には、段付き状に外径が小さくなった第1のスリーブ小径部201と第2のスリーブ小径部202とが形成されている。支持シャフト111の先端側に設けられた第2のスリーブ小径部202は、ベースプレート101に形成されたベース軸孔101Aに回動可能に挿通されており、支持シャフト111の先端部に抜け止め状態で固定されたインサイド入力レバー140(詳細には、レバー軸孔140Aの周縁部)に突き当てられている。
【0108】
スリーブ200の軸方向の中間部は、両端部(第1及び第2のスリーブ小径部201,202)に対して段付き状に拡径したスリーブ大径部203となっており、そのスリーブ大径部203と第1及び第2の各スリーブ小径部201,202との間には、スリーブ200の軸方向に対して直角な段差部204,205が形成されている。さらに、スリーブ200には、スリーブ大径部203における第1のスリーブ小径部201との境界部位を段付き状に拡径させて円板状のスリーブ側フランジ203Fが一体形成されている。スリーブ側フランジ203Fと、シャフト側フランジ111Fとは、略同一径となっている。
【0109】
スリーブ200のうち第2のスリーブ小径部202は、中継回動レバー120に貫通形成された円形のレバー軸孔120A(図10参照)に挿通されて、その中継回動レバー120を回動可能に支持している。ここで、上記の如くスリーブ200は、インサイド入力レバー140とシャフト側フランジ部111Fとに両端部を突き当てた状態で挟まれているので、そのスリーブ200のスリーブ大径部203(段差部205)とインサイド入力レバー140との間には、第2のスリーブ小径部202の軸長を溝幅とする挟持用溝が形成される。第2のスリーブ小径部202の軸長は、ベースプレート101(詳細には、ベース軸孔101A周縁部)の設計板厚と、中継回動レバー120(詳細には、レバー軸孔120A周縁部)の設計板厚と、中継回動レバー120をスムースに回動させるために設定した軸方向クリアランスとを合算した寸法になっており、ベースプレート101のベース軸孔101A周縁部と、中継回動レバー120のレバー軸孔120A周縁部とが、インサイド入力レバー140とスリーブ大径部203(段差部205)とで軸方向から挟まれている。これにより、支持シャフト111に対する中継回動レバー120及びベースプレート101の軸方向への移動が規制されている。なお、中継回動レバー120は、本発明の「第2の回動レバー」に相当する。
【0110】
図8に示すように、スリーブ200のうち第1のスリーブ小径部201は、全閉ラッチ解除レバー130に貫通形成された円形のレバー軸孔130A及び、全開ラッチ解除レバー170に貫通形成された円形のレバー軸孔170A(図10参照)に回動可能に挿通されて、これら全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170とを支持している。全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170とのうちの一方が、本発明の「第1の回動レバー」に相当する。
【0111】
スリーブ大径部203(スリーブ側フランジ203F)とシャフト側フランジ111Fとの間には、第1のスリーブ小径部201の軸長を溝幅とする挟持用溝が形成されている。第1のスリーブ小径部201の軸長は、全閉ラッチ解除レバー130(詳細には、レバー軸孔130A周縁部)の設計板厚と、全開ラッチ解除レバー170(詳細には、レバー軸孔170A周縁部)の設計板厚と、それら両回動レバー130,170をスムースに回動させるために設定した軸方向クリアランスとを合算した寸法になっており、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170におけるレバー軸孔130A,170Aの周縁部がシャフト側フランジ111Fとスリーブ側フランジ203Fとで軸方向から挟まれている。これにより、全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170の支持シャフト111に対する軸方向への移動が規制されている。
【0112】
ここで、ベースプレート101に対する支持シャフト111の固定及び支持シャフト111に対する回動レバー等の組み付けは、以下のようにして行われる。即ち、図10に示すように、支持シャフト111の先端側から、全開ラッチ解除レバー170、全閉ラッチ解除レバー130、スリーブ200、トーションコイルばね19、中継回動レバー120の順に挿入する。このとき、第1のスリーブ小径部201に全開ラッチ解除レバー170と全閉ラッチ解除レバー130とを軸支させ、第2のスリーブ小径部202に中継回動レバー120を軸支させておく。次いで、上記回動レバー120,130,170等を支持した支持シャフト111の先端を、ベースプレート101の正面側からベース軸孔101Aに挿入する。このとき、第2のスリーブ小径部202をベース軸孔101Aに挿通させておく。最後に、スリーブ200を貫通してベースプレート101の背面側に突出した支持シャフト111の先端にインサイド入力レバー140を挿入して、支持シャフト111の先端をかしめる。これにより、複数のレバー120,130,170等を支持した支持シャフト111が、ベースプレート101に対して固定される。即ち、支持シャフト111に対するインサイド入力レバー140の固定作業と、ベースプレート101に対する支持シャフト111の固定作業とが一度に行われる。
【0113】
このように、本実施形態によれば、第1及び第2のスリーブ小径部201,202を両端部に備えかつスリーブ大径部203を中間部に備えたスリーブ200が、支持シャフト111のシャフト側フランジ111Fとインサイド入力レバー140との間に挟み付けられて軸方向で固定され、第1のスリーブ小径部201には、全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170とが回動可能に軸支されると共に、第2のスリーブ小径部202には、中継回動レバー120が回動可能に軸支されている。そして、全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170は、シャフト側フランジ111Fとスリーブ大径部203とで軸方向への移動が規制されており、中継回動レバー120は、インサイド入力レバー140とスリーブ大径部203とで軸方向への移動が規制されている。
【0114】
つまり、回動レバーを回動可能に軸支しかつ軸方向への移動を規制する2つのレバー軸支部(第1及び第2のスリーブ小径部201,202)を支持シャフト111の軸方向に離して備え、それら2つのレバー軸支部によって、上記3つの回動レバー120,130,170を分担して軸支するようにしたから、各レバー軸支部における軸方向クリアランスを、それぞれ従来よりも小さくすることができる。これにより、第1のスリーブ小径部201における全閉ラッチ解除レバー130及び全開ラッチ解除レバー170の厚さ方向のガタ及び、第2のスリーブ小径部202における中継回動レバー120の厚さ方向のガタを、それぞれ従来よりも抑えることが可能になる。
【0115】
また、上記3つの回動レバー120,130,170にベースプレート101を加えた4つの部材を、2つずつ2組(具体的には、全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170との組み合わせ、中継回動レバー120とベースプレート101との組み合わせ)に分けて、第1のスリーブ小径部201と第2のスリーブ小径部202とに挿通させたから、車両走行時の振動音、さらには、リモコン装置100の操作時の異音を防止することができる。
【0116】
さらに、第1のスリーブ小径部201に支持された全閉ラッチ解除レバー130は、支持シャフト111に支持された4つの回動レバー120,130,140,170のうちで回動半径が最も大きいレバーであり(図5参照)、他のレバー120,140,170に比べて、安定支持することが難しいが、本実施形態では、全閉ラッチ解除レバーを130をシャフト側フランジ111Fとスリーブ側フランジ203Fとで挟んだことで、安定支持することが可能になる。
【0117】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0118】
(1)前記実施形態では、中継回動レバー120、全閉ラッチ解除レバー130、全開ラッチ解除レバー170を共通の支持シャフト111に支持して、第1のスリーブ小径部201に全閉ラッチ解除レバー130と全開ラッチ解除レバー170とを回動可能に支持し、第2のスリーブ小径部202に中継回動レバー120を回動可能に支持していたが、共通の支持シャフト111に支持する回動レバーの数や種類、さらには、第1及び第2の各スリーブ小径部201,202に支持する回動レバーの数や種類は、任意に設定すればよい。
【0119】
(2)前記実施形態では、操作力を伝達するためのインサイド入力レバー140を、本発明の「抜止プレート」に兼用していたが、操作力を伝達しないベースプレート101を「抜止プレート」に兼用してもよい。また、回動レバーやベースプレートではなく、図13に示すように、専用の抜止プレート220に支持シャフト111の先端を貫通させて固定した構成としてもよい。支持シャフト111に対する抜止プレート220の固定は、支持シャフト111の先端部のかしめ又はナット221によって行えばよい。
【0120】
(3)前記実施形態では、スリーブ大径部203のうち第1のスリーブ小径部201との境界部位にスリーブ側フランジ203Fを形成していたが、図14に示すように、スリーブ大径部203における第2のスリーブ小径部202との境界部位にスリーブ側フランジ203Fを追加形成してもよい。なお、スリーブ200からスリーブ側フランジ203Fを無くした構成(第1及び第2のスリーブ小径部201,202とスリーブ大径部203だけを備えた構成)にしてもよい。
【0121】
(4)また、第1のスリーブ小径部201との境界部位にスリーブ側フランジ203Fを設ける替わりに、スリーブ大径部203を第2のスリーブ小径部202から第1のスリーブ小径部201に向かうに従って徐々に拡径させてもよい。
【0122】
(5)前記実施形態では、支持シャフト111にシャフト側フランジ111Fを一体形成していたが、シャフト側フランジ111Fを支持シャフト111とは別部品で構成してもよい。具体的には、図15に示すように、支持シャフト111の外周面に環状溝111Mを形成しておき、その環状溝111Mに支持シャフト111の側方から割りリング状(例えば、Cリング、Eリング等)のシャフト側フランジ111Fを組み付けてもよい。
【0123】
(6)または、図16に示すように、支持シャフト111の軸方向の先端側を小径軸部としかつ基端側を大径軸部として軸方向の中間部に段差部111Dを形成しておき、支持シャフト111の先端側から挿入したリング状のシャフト側フランジ111Fを、段差部111Dとスリーブ200とで挟む構成としてもよい。
【0124】
(7)前記実施形態では、第1のスリーブ小径部201が軸方向で均一径であったが、図17に示すように、第1のスリーブ小径部201を、スリーブ大径部203から離れるに従って段階的に径が小さくなるように複数の小径支持部201A,201Bを形成し、小径支持部201Aが全閉ラッチ解除レバー130を回動可能に支持しかつ、小径支持部201Bが全開ラッチ解除レバー170を回動可能に支持するように構成してもよい。これにより、両レバー130,170を誤って逆に取り付けるというミスを防止することができる。
【0125】
(8)また、図18に示すように、第2のスリーブ小径部202を、スリーブ大径部203から離れるに従って段階的に径が小さくなるように複数の小径支持部202A,202Bを設け、小径支持部202Aが中継回動レバー120を支持すると共に、小径支持部202Bがベースプレート101のベース軸孔101Aに挿通されるように構成してもよい。これにより、ベースプレート101と中継回動レバー120とを誤って逆に取り付けるというミスを防止することができる。なお、図17及び図18では、第1と第2のスリーブ小径部201,202の何れか一方だけを上記した段付き構造としていたが、第1と第2のスリーブ小径部201,202の両方を上記段付き構造にしてもよい。
【0126】
(9)さらに、図19に示すように、第1又は第2のスリーブ小径部201,202を、スリーブ大径部203から離れるに従って縮径した円錐台形状にしてもよい。
【0127】
(10)前記実施形態では、支持シャフト111から円板状に張り出したシャフト側フランジ111Fを本発明に係る「シャフト大径部」として例示したが、支持シャフト111に一体形成又は固定されて、操作力を伝達する回動レバーが「シャフト大径部」を兼用していてもよい。また、シャフト側フランジ111Fは、円板状でなくてもよく、例えば、矩形板状でもよい。さらに、「シャフト大径部」は、支持シャフト111からフランジ状(鍔状)に張り出した形状に限定するものではなく、例えば、支持シャフト111の中間部を先端側(スリーブ200側)に向かって円錐状に拡径させた形状でもよい。
【0128】
(11)前記実施形態では、第1及び第2のスリーブ小径部201,202及びスリーブ大径部203がスリーブ200に一体形成されていたが、スリーブ200を、これらの部位毎に別部品で構成してもよい。なお、前記実施形態のように一体形成した方が、部品点数や組み付けの手間を抑えることができる。
【符号の説明】
【0129】
10A,10B 全閉ドアラッチ装置(第2ラッチ装置)
10C 全開ドアラッチ装置(第1ラッチ装置)
18 車内ドアハンドル(ドアハンドル)
90 スライドドア
100 リモートコントロール装置(車両ドア操作装置)
101 ベースプレート
111 支持シャフト
111F シャフト側フランジ(シャフト大径部)
120 中継回動レバー(第2の回動レバー)
130 全閉ラッチ解除レバー(第2出力レバー)
140 インサイド入力レバー(入力レバー、第3の回動レバー、抜止プレート)
170 全開ラッチ解除レバー(第1出力レバー)
200 スリーブ
201 第1のスリーブ小径部
202 第2のスリーブ小径部
203 スリーブ大径部
203F スリーブ側フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドドアのドアハンドルに対する操作力を伝達するために回動する第1及び第2の回動レバーを、ベースプレートから起立した共通の支持シャフトに回動可能に支持し、前記スライドドアを全開状態又は全閉状態にラッチするラッチ装置に対し、前記第1及び第2の回動レバーを介して前記操作力を付与して、前記ラッチ装置によるラッチを解除可能な車両ドア操作装置において、
前記支持シャフトに先端側からスリーブを挿入して、前記支持シャフトに一体形成又は固定されたシャフト大径部に突き当てると共に、前記スリーブから突出した前記支持シャフトの先端部を、抜止プレートの貫通孔に挿通させて固定することで、前記抜止プレートと前記シャフト大径部とで前記スリーブを挟み付け、
前記スリーブの両端部に段付き状に径が小さくなった第1及び第2のスリーブ小径部を設けて前記スリーブの中間部をスリーブ大径部とし、
前記第1の回動レバーを、前記第1のスリーブ小径部で回動可能に支持すると共に前記シャフト大径部と前記スリーブ大径部とで軸方向の移動を規制するように支持し、
前記第2の回動レバーを、前記第2のスリーブ小径部で回動可能に支持すると共に前記抜止プレートと前記スリーブ大径部とで軸方向の移動を規制するように支持したことを特徴とする車両ドア操作装置。
【請求項2】
前記抜止プレートは、前記ドアハンドルに対する操作力を伝達するために回動する第3の回動レバーであることを特徴とする請求項1に記載の車両ドア操作装置。
【請求項3】
前記ベースプレートの貫通孔に前記第2のスリーブ小径部を回動可能に挿通し、
前記第3の回動レバーと前記スリーブ大径部とで前記第2の回動レバー及び前記ベースプレートの軸方向の移動を規制することを特徴とする請求項2に記載の車両ドア操作装置。
【請求項4】
前記スリーブ大径部のうち前記第1のスリーブ小径部との境界部位を段付き状に拡径させたスリーブ側フランジを前記スリーブに設け、
前記支持シャフトに支持された前記第1及び第2の回動レバーを含む複数の回動レバーのうち回動半径が最も大きい前記回動レバーを、前記スリーブ側フランジと前記シャフト大径部との間に配置したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の車両ドア操作装置。
【請求項5】
前記ドアハンドルに対する操作力を受けて回動する入力レバーと、前記スライドドアを全開状態でラッチする第1の前記ラッチ装置に接続され、前記入力レバーから操作力を受けて回動し、受けた前記操作力を前記第1ラッチ装置に付与する第1出力レバーと、前記スライドドアを全閉状態でラッチする第2の前記ラッチ装置に接続され、前記入力レバーから操作力を受けて回動し、受けた前記操作力を前記第2ラッチ装置に付与する第2出力レバーと、前記ドアハンドルに対する操作力を前記第2出力レバーに伝達可能な連結状態と伝達不可能な連結解除状態とに切り替え可能な中継回動レバーとが、前記複数の回動レバーとして前記支持シャフトに軸支され、
前記第1のスリーブ小径部が、前記第1出力レバー及び前記第2出力レバーを回動可能に軸支し、
前記第2のスリーブ小径部が、前記中継回動レバーを回動可能に軸支しかつ、前記ベースプレートの貫通孔に回動可能に挿通され、
さらに、前記抜止プレートとして、前記入力レバーが前記支持シャフトに固定されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の車両ドア操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2013−2234(P2013−2234A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137254(P2011−137254)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】