説明

車両ナンバープレート偽造・付け替え防止装置

【課題】車両のナンバープレートの取外し、あるいは当該車両用ではないナンバープレートに付け替えた場合にエンジン始動が出来ない装置を提供する。
【解決手段】本発明の装置は、ナンバープレート封印部に固有のIDを持つ電子素子1(例えば、RFID、μチップ等)を搭載し、車体にナンバープレート判定部10として、ナンバープレート封印部の電子素子のID情報を取り込むための読取装置2とナンバープレート封印部100に登録しているID情報と同一情報を予め記憶しておく記憶装置4と、双方の情報を比較し合致するかを判断する始動可否判断手段3と判断結果を記録する記録蓄積装置5と異常を検出した場合にエンジンの始動信号をカットする装置5を有し、正規のナンバープレート以外での車両としての機能を果たさないようにする。これによりナンバープレート偽造・付け替え防止装置として活用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子的に自動車を含む車両のナンバープレート偽造・付け替えの防止を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を含む車両の盗難が多発し、盗難と共にナンバープレートの偽造や違法な取り替えが行われる。ナンバープレートの偽造や違法な取り替えの、正確で迅速な検証手段が必要とされる。
自動車を含む車両自体の監視に関する公知例として特許文献1がある。かかる文献1は、車両各部(エンジン、サスペンション、タイヤ、車体本体、マフラー等)にセンサを取り付け、その物理量や状態漁を測定監視する従来例として、特許文献1がある。
【特許文献1】特開2005−326380。
【0003】
この従来例での監視目的は、車両部品の状態監視及び車両の使用状態の監視であり、後者の使用状態の監視では、違反車両(手配車両)のIDに基づく車両追跡を一例とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然るに、上記従来例には、車両のナンバープレートの封印の監視についての記載はない。ナンバープレートの封印は、陸運局の専権事項であり、陸運局自体又はその許可を受けた者のみが行える。封印は、例えば車両の後部のプレートに対して行う。権限のない者による封印の解除は、法律上禁止である。
【0005】
封印の解除を権限なく行う例には、車の窃盗によるナンバープレートの付け替えや偽造等の犯罪行為がある。また、違法な車両の改造に伴う例もある。
【0006】
ナンバープレートの偽造や不法な付け替えの監視は、その都度、車検証で確認したり、封印が解除されていることを目視で判断したりして行う例が多い。正確・確実・迅速に監視を行うことが難しい。
更に、ナンバープレートの付け替えが複数回にわたって行われることがあり、それらの履歴を知ることができれば、車両管理に便利である。
更に、ナンバープレート偽造や不法な付け替えが行われた場合、車両の始動を自動的に禁止できれば、そうした違法行為の抑止にもつながる。
【0007】
本発明の目的は、車両のナンバープレート偽造や不法な付け替えの防止に役立つ防止装置を提供するにある。
更に本発明の目的は、偽造や不法な付け替え時に車両の始動を自動的に禁止可能にする防止装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両ナンバープレートの封印部に固有のIDを持つ電子素子を搭載し、車両のエンジン始動時にナンバープレートのID情報と車両内の記憶装置に予め登録した情報との比較を行い、双方のID情報が一致した場合のみエンジン始動可能とし、不一致の場合始動不可とするナンバープレート偽造・付け替え防止装置を開示する。
【0009】
更に本発明は、エンジン始動あるいは始動不可となった際の結果を蓄積する記録蓄積装置と、その記録を後日読み出す機能を有する記録読込装置を具備したナンバープレート偽造・付け替え防止装置を開示する。
【0010】
更に本発明は、同一IDを有する複数個の電子素子を封印部の異なる個所に取り付けたものとするナンバープレート偽造・付け替え防止装置を開示する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両ナンバープレートの偽造や不法な付け替えがあれば、そのことを電子データ的に自動確認でき、更に車両の始動の自動禁止がなされ、事実上の偽造等の防止がはかれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の防止装置の構成例図であり、図1(a)がナンバープレート封印部100の一部に電子素子1を取り付け例を示す。電子素子1は、素子固有のIDを持ち、例えばRFID、Mチップ、ICタグ等より成り、いずれも微細なサイズの素子を使用する。
【0013】
電子素子1のプレート封印部100への取り付けは、例えば接着剤により行う。取り付け個所は、プレートの封印部位であり、封緘する側が好ましい。プレートの封緘はナンバープレートをボルトで締結し、このボルトに対して封緘部材によってする、この封緘部材側に電子素子1を接着する。
【0014】
図1(b)は、本発明の防止装置としての構成例を示す。車両には、読取装置2、ナンバープレート判定部10、自動車制御装置6を備える。車両の外部、例えば自動車メーカや販売店、或いは陸運側や捜査側に情報登録装置7、記録読取装置8を備える。
読取装置2は、電子素子1のデータを読み取る装置であり、この読取りは、無線、有線いずれもありうる。
【0015】
電子素子1は、各車両毎の固有のID(コード)を持ち、例えば数10桁のコードである。IDの付加の時期は、メーカでの車両製造時点、出荷時点、販売店への納入又は販売時点、陸運局での登録時点のいずれかである。かかるIDを初期設定データと定義すれば、電子素子1には、その後の履歴データも登録する。履歴データには、ナンバープレートの修理や取りはずし作業の履歴、エンジン始動履歴を含む。
【0016】
ナンバープレート判定部10は、始動可否判定手段3、記憶装置4、記録蓄積装置5、始動信号カット装置9を備える。
記憶装置4は、上記電子素子1に初期設定されたIDと同一コードを記憶する。このコードは、外部の情報記録装置7から与えられる。
【0017】
記憶蓄積装置5は、始動履歴データを取得すると共に、判断手段3に過去の履歴データを渡す。記憶蓄積装置5は、外部の記録読込装置8へそのデータを送る。
【0018】
始動可否判定手段3は、始動すべきか否かの判定をし、始動信号カット装置9は、始動キーが操作されたときでも、始動可否判定手段3の始動不可の判定結果を受けて始動信号の送出をやめ又は始動禁止信号を発生する。
自動車制御用装置6は、エンジンの始動制御を行う装置である。
【0019】
図2は、図1(b)の装置の処理フローを示す。先ず、始動可否判定手段2が、エンジン稼動中か否かをチェックしエンジンが稼動中で無いことを確認する(ステップS21)。ナンバープレート封印部に搭載した電子素子1のデータを、エンジン始動操作時(ステップS22)に自動車車体に設置した読取装置2で読み込む(ステップS23)。始動可否判定手段2が、読み込んだデータと予めデータ登録装置7にて記憶装置4に記憶させたデータとを比較し合致するかを検出する(ステップS24)。ナンバープレートの偽造等による違法な取替えがなければ、両データは合致する。違法な取替えがあれば、電子素子1が接着されていなかったり、接着されていてもIDが変わっていたことになり、不一致となる。双方のデータが一致した場合は比較したデータを記録蓄積装置5に記録(ステップS25)した後に自動車制御用装置6にてエンジンを始動させる(ステップS27)。不一致の場合には、比較したデータを記録蓄積装置5に記録(ステップS26)し始動信号カット装置9にてエンジンを始動させずに処理を終了する(ステップ28)。自動車制御用装置6とは自動車に一般的に搭載されている制御用コンピュータである。記録蓄積装置5は記録保持を必要としない場合には無くても構わない。また、始動可否判断手段3と記憶装置4と記録蓄積装置5と始動信号カット装置9を自動車制御用装置6内に含まれても構わない。なお、記録蓄積装置5に蓄積した記録(ステップS25、S26)は、記録読取装置8を用いて読み取ることができる。記録読取装置8とは汎用
のパーソナルコンピュータあるいは専用読取装置かにはこだわらない。
【0020】
ここで、ステップS25、S26における蓄積すべきデータとは、一致、不一致のいずれの結果であれ、その時の一致又は不一致の結果、及びそのID、並びに日付である。尚、エンジン始動は、通常では1日に何回も行われるため、その都度のデータ蓄積はデータの増大を招きかねない。従って、この対策としては、エンジン始動あった場合には、一致の結果及びそのID並びに日付はすて去り記憶させないやり方、又は1日に1回のみ始動ありを蓄積させるやり方等をとればよい。
【0021】
尚、自動車メーカエ場および販売店内等でナンバープレート装着前の状態におけるエンジン始動には、可搬式の電子素子を取り付けたカード等を用いることとする。そのカード等のIDはメーカ、工場、販売店等で固有のものとし、ナンバープレート封印部に登録している情報と同一情報を予め記憶しておく記憶装置に予め翌録してあるものとす私これにより、ナンバープレート未装着状態でのエンジン始動は特定のカードを有する人間のみが可能となる。
【0022】
電子素子1は、封印部の異なった位置に2個以上取り付ける例もある。これは、衝突等によるナンバープレートの封印部の破損による電子素子の損傷や破壊からIDを守るためである。異なる位置に設けることで、IDの保護を確実に可能になる。また素子の故障対策にもなりうる。この場合、それぞれで同一ID番号にすれば、いわゆる多重化となり、どれか1つで一致があれば正常と判断できる利点を持つ。また異なるID番号を与える例もある。
【0023】
本実施例により、ナンバープレート封印部の電子素子のID情報と自動車内に予め記憶しているID情報が合致しない場合にはエンジンを始動不可とすることで、ナンバープレートの偽造・付け替えを防止できる。これによりナンバープレートの偽造・付け替えが自動車の機能を奪うことに繋がり偽造・付け替えを直接的に無力化する力、すなわち抑止力を持つ。また、データ照合の履歴を蓄積することで、当該自動車に対して行った過去のナンバープレート付替え情報を読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実現するシステム構成を示すものである。
【図2】本発明を実現する処理フローを示すものである。
【符号の説明】
【0025】
1 電子素子
2 読取装置
3 始動可否判定手段
4 記憶装置
5 記録蓄積装置
6 自動車制御用装置
7 情報登録装置
8 記録読込装置
9 始動信号カット装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ナンバープレートの封印部に固有のIDを持つ電子素子を搭載し、車両のエンジン始動時にナンバープレートのID情報と車両内の記憶装置に予め登録した情報との比較を行い、双方のID情報が一致した場合のみエンジン始動可能とし、不一致の場合始動不可とするナンバープレート偽造・付け替え防止装置。
【請求項2】
請求項1において、エンジン始動あるいは始動不可となった際の結果を蓄積する記録蓄積装置と、その記録を後日読み出す機能を有する記録読込装置を具備したナンバープレート偽造・付け替え防止装置。
【請求項3】
請求項1において、同一IDを有する複数個の電子素子を封印部の異なる個所に取り付けたものとするナンバープレート偽造・付け替え防止装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−245985(P2007−245985A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73878(P2006−73878)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】