説明

車両付き駐車場システム及び駐車装置

【課題】特に車両を所有しない者に対して日常的な移動手段としての利用が可能な車両(電動式車両)を提供することのできる車両付き駐車場システムを提供する。
【解決手段】システムは、施設に隣接する駐車場と、あらかじめ駐車場の利用契約を締結した駐車場利用者に対して提供される提供車両と、駐車場に設置されて提供車両を駐車させる少なくとも一つの駐車装置4と、を含む。駐車装置4は、車両の進入を阻止する移動阻止機構44、充電装置45及び制御装置46を備える。制御装置46は、駐車を許可する提供車両の識別情報を許可識別情報として記憶しており、記憶された許可識別情報と識別情報入力装置43に入力された識別情報とが一致する場合に、移動阻止機構44による阻止を解除して提供車両の駐車装置4への進入を可能とするとともに充電装置15を充電可能な状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両を所有しない者に対して日常的な移動手段としての利用が可能な車両を提供することのできる車両付き駐車場システム及びこれに用いる駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を所有することなく利用する形態として、必要なときにレンタカーを借りる形態がある。レンタカーは、その貸出・返却手続きが煩雑であるため、これらの手続きを容易にするためのレンタカーシステムが従来から提案されている。
例えば、特許文献1には、レンタカーの貸出と返却とを異なる営業所で行うことのできるレンタカーシステムが開示されている。また、特許文献2には、貸し出されたレンタカーを任意の駐車場所に乗り捨てることができるレンタカーシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−259066号公報
【特許文献2】特開2003−296894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、たとえ貸出・返却手続きが容易になったとしても、レンタカーは、旅行などの一時的又は非日常的な移動手段として利用するものであって、通勤や買い物などの日常的な移動手段として利用するものではなかった。日常的に利用する場合には、まずそれに適した駐車場所を確保しなければならないためである。一方、近年では、車両の維持費を含む移動コストの負担を軽減するため、車両を所有することなく利用する形態へのニーズが高まっている。
このため、特に車両を所有しない者に対して日常的な移動手段としての利用が可能な車両を提供することのできる新たなシステムが望まれている。また、この新たなシステムにおいて提供する車両としては、近年の環境問題に対する意識の高まりから環境負荷の低い電動式車両が好ましいが、電動式車両については、充電設備が十分に整っていないことに加えて、特にマンション等の集合住宅に居住者にとっては自宅での充電が困難又は不便であるため、この点についても考慮する必要がある。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、特に車両を所有しない者に対して日常的な移動手段としての利用が可能な車両(電動式車両)を提供することのできる車両付き駐車場システム及びこの駐車場システムに用いて好適な駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面による車両付き駐車場システムは、施設の管理者によって管理され、当該施設に隣接する駐車場と、あらかじめ前記駐車場の利用契約を締結した駐車場利用者に対して前記施設の管理者から提供され、自己を特定するための識別情報を有する提供車両と、前記駐車場に設置されて前記提供車両を駐車させる駐車装置と、を含み、前記駐車装置は、当該駐車装置に駐車させた車両に対して充電を行う充電手段と、当該駐車装置への車両の進入を阻止する阻止手段と、車両の識別情報を入力する識別情報入力手段と、当該駐車装置における駐車を許可する前記提供車両の識別情報を許可識別情報としてあらかじめ記憶し、この記憶された許可識別情報と当該駐車装置に車両が駐車されていないときに前記識別情報入力手段に入力された識別情報とが一致する場合に、前記阻止手段による阻止を解除して当該駐車装置への車両の進入を可能とするとともに前記充電手段を充電可能な状態とする制御手段と、を備える。
【0006】
本発明の他の側面による駐車装置は、駐車させた車両に対して充電を行う充電手段と、当該駐車装置への車両の進入を阻止する阻止手段と、車両の識別情報を入力する識別情報入力手段と、当該駐車装置における駐車を許可する車両の識別情報である許可識別情報をあらかじめ記憶し、この記憶された許可識別情報と当該駐車装置に車両が駐車されていないときに前記識別情報入力手段に入力された識別情報とが一致する場合に、前記阻止手段による阻止を解除して車両の当該駐車装置への進入を可能とするとともに前記充電手段を充電可能な状態とする制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記車両付き駐車場システムによれば、より少ない手続きによって、充電設備を備えた駐車場所が確保された上で自由に使用することができる電気自動車が提供される。これにより、特に車両を所有しない者に対して、日常的な移動手段としての利用が可能な車両(電動式車両)を提供することができる。
また、上記駐車装置によれば、あらかじめ識別情報が記憶されている車両のみに充電機能を備えた駐車装置を利用させることができるので、管理負担の増大を招くことなく、例えば利用者の希望する時間や期間だけ駐車装置を独占的に使用させることが可能になる。このため、特に上記車両付き駐車場システムでの利用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による車両付き駐車場システムの全体構成を示す図である。
【図2】車両付き駐車場システムを構成する駐車装置の概略構成を示す図である。
【図3】上記駐車装置を構成する制御装置のブロック図である。
【図4】上記制御装置によって実行される処理のフローチャートである。
【図5】駐車場利用者の管理を行うための管理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態ついて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による車両付き駐車場システムの全体構成を示している。このシステムは、特に車両を所有していない者に対して、日常的な移動手段としての利用に適した車両を提供することを可能とするものであり、図1に示すように、施設1に隣接する駐車場2と、あらかじめ駐車場2の利用契約を締結した駐車場利用者に提供される提供車両3と、を含む。
【0010】
施設1は、日常生活の基点となり得る地点に存在する施設であり、例えば、駅などの公共交通機関の旅客施設やションピングセンター(ショッピングモール)などの商業施設が該当する。施設1に隣接する駐車場2は、主に施設1を利用する利用客のために当該施設1が備えるものであり、施設1の管理者によって管理される。また、本実施形態における駐車場2は、施設1側と契約を結ぶことによって、その一部を利用することができるようになっている。
【0011】
提供車両3は、駐車場2の利用契約を締結した駐車場利用者に対して施設1の管理者から提供される電気自動車であり、駐車場利用者は、少なくとも上記利用契約に基づき駐車場2を利用することができる期間、提供車両3を自由に使用することができる。提供車両3は、施設1の管理者によって提供されるものであればよく、施設1の管理者から駐車場利用者に対して一時的に付与される車両や駐車場利用者が施設1の管理者から購入する車両などを含む。
【0012】
提供車両3は、自己を特定するための識別情報を有しており、提供車両3には、自己の識別情報を含む車両信号を送信可能な車載送受信機3aが搭載されている。また、施設1の管理者1は、提供車両3とともに当該提供車両3の識別情報が記録された例えば非接触ICカードからなる利用者証(後述する)を駐車用利用者に提供する。これらは、後述する駐車装置4への識別情報の入力に用いられる。
ここで、上記車載送受信機3aとしては、提供車両3の電源のON/OFFと連動してON/OFF状態となるとともに後述する駐車装置4の送受信機43aから所定の信号を受信したときに車両信号を送信するものであるのが好ましいが、提供車両3の使用者(運転者等)によるON操作によって車両信号を送信するものであってもよい。
【0013】
駐車場2には、提供車両3を駐車させるための複数の駐車装置4が設置されている。
図2は、駐車装置4の概略構成を示している。この駐車装置4は、いわゆる個別ロック式のものであり、図2に示すように、車両を駐車させるための駐車スペース41を有し、車両検知センサ(検知手段)42と、識別情報入力装置(識別情報入力手段)43と、移動阻止機構(阻止機構)44と、充電装置(充電手段)45と、主に移動阻止機構44及び充電装置45を制御する制御装置(制御手段)46と、を備えている。
【0014】
車両検知センサ42は、駐車装置4に車両が駐車されているか否か、すなわち、駐車スペース41内における車両の有無を検知する。ここでは、駐車スペース41内の路面に埋め込まれたループコイル式の車両検知センサを用いている。但し、これに限るものではなく、磁気検知式、光電式、超音波式などの公知の様々な車両検知センサを用いることができる。
【0015】
識別情報入力装置43は、車両の、具体的には、提供車両3の識別情報を入力するものであり、送受信機43a及び/又は情報読取部43bを有する。
送受信機43aは、提供車両3に搭載されている車載送受信機3aから送信される車両信号を受信する。情報読取部43bは、例えば非接触型のICカードリーダであり、上記利用者証から提供車両3の識別情報を読取る。これにより、識別情報入力装置43には提供車両3の識別情報が入力される。
送受信機43a又は情報読取部43bを介して識別情報入力装置43に入力された提供車両3の識別信号は、制御装置46へと出力される。
【0016】
移動阻止機構44は、駐車スペース41内に設けられており、駐車装置4(より具体的には、駐車スペース41)への車両の進入及び退出を阻止する。移動阻止機構44は、駐車装置4への車両の進入及び退出を阻止できるものであればよく、その構成は問わない。本実施形態における移動阻止機構44は、起伏動作が可能な阻止板441と、阻止板441を駆動する駆動部442と、を有する。そして、制御装置46による制御のもとで駆動部442が阻止板441を起立させることにより、駐車装置4への車両の進入及び退出を阻止し、起立状態にある阻止板441を倒伏させることにより、駐車装置4への車両の進入及び退出を可能とする。なお、ここでは移動阻止機構44が駐車スペース41内に設けられているが、移動阻止機構44を駐車装置4(駐車スペース41)の出入口40aの外側に設けてもよい。また、駐車装置4に車両が駐車されていなときには、移動阻止機構44は阻止板441を起立させて駐車装置4への車両の進入を阻止するように構成される。
【0017】
充電装置45は、駐車装置4に駐車された提供車両3のバッテリに充電を行うものであり、図示省略した電力供給源から電力線を介して電力が供給されている。本実施形態における充電装置45は、制御装置46から充電許可信号が入力されると、車両に対して充電を行うことができる充電可能状態となる。そして、充電可能状態において、充電ケーブル451の先端にある接続プラグ452が、駐車装置4に駐車された提供車両3の電力入力端子に差し込まれることにより、当該提供車両3のバッテリが充電される。
本実施形態において、充電可能状態となった充電装置45は、充電が完了したとき又は充電可能状態となってから所定時間が経過した後に充電を行うことができない状態(充電不可状態)となるように構成されている。これにより、不正な充電等が防止される。
また、充電装置45は、駐車装置4に駐車された提供車両3に対して充電を行えるものであればよく、上記構成の充電装置に代えて、いわゆる非接触給電式の充電装置としてもよいことはもちろんである。
【0018】
制御装置46は、車両検知センサ42の検知信号及び識別情報入力装置43から出力された提供車両3の識別情報を入力し、これらに基づいて移動阻止機構44及び充電装置45を制御する。
図3は、制御装置46のブロック図である。図3に示すように、制御装置46は、情報入力部461と、情報を記憶するメモリ部462、制御部463と、を含む。
【0019】
情報入力部461には、施設1の管理者によって、駐車装置4における駐車(及び充電装置45による充電)を許可する車両の識別情報である許可識別情報が入力され、この入力された許可識別情報はメモリ462に記憶される。入力される許可識別情報は、具体的には、いずれかの提供車両3の識別情報である。
【0020】
ここで、駐車装置4における駐車を許可するか否かは上記駐車場2の利用契約に基づいて決定される。したがって、駐車させる時間が重複しなければ、同一の駐車装置4に異なる提供車両3を駐車させるようにすることも可能である。例えば、同一の駐車装置4に、昼間は駐車場利用者Aの提供車両3Aを駐車させ、夜間は駐車場利用者Bの提供車両3Bを駐車させることが可能である。この場合、駐車装置4の設置数よりも提供車両3の台数の方が多くなる。一方、全ての駐車場利用者がフルタイムでの駐車装置4の利用を希望する場合、基本的には、駐車装置4の設置数と提供車両3の台数とは同じになる。
【0021】
制御部463は、識別情報入力装置44から提供車両3の識別情報を入力すると以下の処理を実行する。
図4は、制御装置46(の制御部463)によって実行される処理を示すフローチャートである。図4において、ステップS1では、入力された識別情報とメモリ部462に記憶されている許可識別情報とが一致するか否かを判断する。両者が一致すればステップS2に進み、両者が不一致であれば本フローを終了する。
【0022】
ステップS2では、車両検知センサ42の検知信号に基づき、駐車装置4に車両が駐車されているか否かを判断する。駐車装置4に車両が駐車されていれば、入力された識別情報は駐車装置4から退出しようとする提供車両3の識別情報であると判断してステップS3に進む。一方、駐車装置4に車両が駐車されていなければ、入力された識別情報は駐車装置4に進入しようとする提供車両3の識別情報であると判断してステップS6に進む。
【0023】
ステップS3では、移動阻止機構44による阻止を解除して、駐車されている提供車両3の駐車装置4からの退出を可能とする。具体的には、制御装置46(制御部463)は、阻止板441を倒伏状態とする制御信号を駆動部442に出力する。
ステップS4では、車両検知センサ42の検知信号に基づき、駐車装置4から提供車両3が退出したか否かを判断し、提供車両3が退出したらステップS5に進む。
ステップS5では、移動阻止機構44による阻止を再開する。具体的には、制御部463は、阻止板441を起立状態とする制御信号を駆動部442に出力する。これにより、駐車装置4への車両の進入が阻止される。
【0024】
ステップS6では、ステップS3と同様、移動阻止機構44による阻止を解除して駐車装置4に進入しようとする提供車両3の駐車装置4への進入(すなわち、駐車装置4における駐車)を可能とする。
ステップS7では、車両検知センサ42の検知信号に基づいて、駐車装置4に提供車両3が駐車されたか否かを判断し、駐車装置4に車両が駐車されるとステップS8に進む。一方、移動阻止機構44による阻止を解除してから所定時間が経過しても駐車装置4に車両が駐車されない場合には(ステップS10)、駐車装置4に提供車両3を駐車させる意思がなくなったものと判断してステップS11に進む。
ステップS8では、ステップS5と同様、移動阻止機構44による阻止を再開する。これにより、駐車された提供車両3の退出が阻止される。
ステップS9では、充電装置45に充電許可信号を出力して充電装置45による充電を許可する(充電可能状態とする)。
ステップS11では、ステップS5,10と同様、移動阻止機構44による阻止を再開する。これにより、駐車装置4への車両の進入の阻止が継続される。
【0025】
このように、制御装置46は、駐車装置4における駐車(及び充電装置45による充電)を許可する車両(提供車両3)の識別情報をあらかじめ許可識別情報として記憶し、識別情報入力装置44に入力された識別情報と上記許可識別情報とが一致すると、移動阻止機構44による阻止を解除して駐車装置4に進入しようとする車両(提供車両3)の駐車装置4への進入及び充電装置45による当該車両に対する充電を可能とし、又は、移動阻止機構44による阻止を解除して駐車されている車両(提供車両3)の駐車装置4からの退出を可能とする。
これにより、提供車両3以外の車両による駐車(及び充電)が防止されることはもちろん、各駐車場利用者が使用する提供車両3には、上記駐車場2の利用契約に基づき、充電設備を備えた駐車場所が確保される。
【0026】
ところで、施設1側としては上記駐車場利用者の管理が必要となる。このため、施設1には、主に駐車場利用者の管理を行うための管理装置50が設けられている。
図5は、管理装置50のブロック図である。図5に示すように、本実施形態における管理装置50は、利用者情報登録装置51と、利用者証発行装置52と、を含む。
【0027】
利用者情報登録装置51は、駐車場2の利用契約を締結した上記駐車場利用者に関する情報(以下「利用者情報」という)を登録する。この利用者情報は、施設1の管理者によって利用者情報登録装置51に入力される。この利用者情報は、駐車場利用者の住所・氏名、当該駐車場利用者に提供した提供車両3(その識別情報を含む)、駐車場2の利用条件(利用時間や利用期間を含む)、利用料金の精算のための金融機関の口座番号やクレジットカード番号などを含む。利用者情報登録装置51に登録された利用者情報は、施設1の管理者が適宜参照することができる。
【0028】
利用者証発行装置52は、利用者情報登録装置51に登録が行われた駐車場利用者の利用者証を発行する。この利用者証は、例えば非接触型のICカードであり、利用者証には利用者情報登録部51に登録された利用者情報の一部(提供車両3の識別情報を含む)が記憶されている。発行された利用者証は、提供車両3とともに駐車場利用者に提供され、上述したように、駐車装置4の識別情報入力装置43への識別情報の入力に使用することができる。
【0029】
ここで、駐車場利用者が提供車両3の選択を行えるようにしてもよい。この場合、図5に破線で示すように、例えば、駐車場利用者による提供車両3の選択が可能な車両選択装置53を設ける。この車両選択装置53は、例えばタッチパネルを有し、このタッチパネルに選択可能な複数の車両を表示して駐車場利用者に選択させるように構成することができる。このようにすると、駐車場利用者は自分の希望に応じた提供車両3を使用できるので、本システムの利用希望者をさらに増加できる効果を期待できる。
【0030】
また、管理装置50と各駐車装置4とを通信回線(図示省略)で接続し、利用者情報登録装置51に登録された提供車両3の識別情報を対応する駐車装置4に送信し、これを受信した駐車装置4(の制御装置46)が、この送信された提供車両3の識別情報を許可識別情報としてメモリ部461に記憶させるように構成してもよい。このようにすると、施設1の管理者は駐車装置4まで出向いて許可識別情報を入力する必要がないので、施設1の管理者の負担が軽減できる。
【0031】
上記駐車システムによれば、少ない手続きによって、充電設備を備えた駐車場所が確保された上で、自由に使用することができる車両(電気自動車)が提供される。すなわち、利用者は、駐車場所や充電場所の心配をすることなく、環境負荷の低い電気自動車を自由に使用することができる。この結果、特に車両を所有しない者(もちろん、車両を所有している者であってもよい)に対して、日常的な移動手段としての利用に適した車両(電気自動車)を提供することができる。また、施設1側としても駐車場2の有効利用を図ることができるとともに車両を所有しない者による駐車場の利用という新たな需要を喚起することができる。さらに、顧客サービスの向上が図れ、集客効果も期待できる。
【0032】
ここで、施設1が上記旅客施設や上記商業施設であることにより、通勤や買い物などの日常生活において頻繁に利用する施設の近くに充電設備を備えた駐車場所が確保されることになるから、提供車両3が日常的な移動手段としての利用により適したものとなる。具体的には、いわゆるパークアンドライドにおける公共交通機関までの移動手段として又は買い物野のための移動手段として提供車両3を利用できる。この結果、パークアンドライドや買い物における電気自動車の利用が促進されることとなり、環境負荷の軽減に資することにもなる。さらに、既述したように、集合住宅に居住者にとっては電気自動車の充電自体が困難又は不便である場合が多いが、日常生活において頻繁に利用する施設の近くに充電設備があり、しかも、公共交通機関に乗り換えた後、あるいは、買い物中などの電気自動車を使用していない間に充電を行うことができるので非常に便宜である。
【0033】
なお、上記駐車装置では、移動阻止機構44が駐車装置4への車両の進入及び退出を阻止するようにしているが、移動阻止機構44が車両の進入のみを阻止するように構成してもよい。この場合、移動阻止機構44は、車両が駐車されていないときに駐車装置4への車両の進入を阻止するように構成され、図4におけるステップS3及びステップS8が不要になる。但し、車両の退出を阻止することにより、例えば、利用期間を超えた提供車両3の利用を抑制又は防止することができる。
【0034】
また、上記駐車装置4は、個別ロック式の駐車装置であるが、ゲート式の駐車装置としてもよい。ゲート式の駐車装置は、通常、その出入口に遮断バーが設けられるとともに複数の駐車スペースを有している。このようなゲート式の駐車装置においては、遮断バーが上記移動阻止機構に相当する。また、ゲート式の駐車装置においては、駐車スペースごとに充電装置を設置するとともに識別情報入力装置を遮断バーの近傍に設置し、一台の制御装置によって遮断バー(移動阻止機構)及び各充電装置を制御するように構成することができる。ここで、駐車装置としてゲート式の駐車装置を採用した場合には、駐車場2に複数の駐車装置を設置する必要はなく、一つの駐車装置としてもよい。
【0035】
さらに、以上では、提供車両3が電気自動車である場合について説明したが、これに限るものではなく、車両を電動式二輪車としてもよい。この場合、移動阻止機構としては、例えば電動式二輪車の車輪をロックするロック機構を採用することができる。ロック機構は、例えば、駐車された電動式二輪車の車軸と略平行に進退可能なロックシャフトと、このロックシャフトを進退駆動する駆動部と、を有し、駆動部がロックシャフトを前進させることで電動二輪車の車輪を回転不能にロックし、ロックシャフトを後退させることでロックを解除するように構成する。また、提供車両3を電動式二輪車とした場合には、車載送受信機としてRFIDタグを用い、識別情報入力装置43における送受信機43aとしてRFIDリーダを用いることもできる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…施設(旅客施設、商業施設)、2…駐車場、3…提供車両、3a…車載送受信機(送信機)4…駐車装置、41…駐車スペース、42…車両検知センサ、43…識別情報入力装置(識別情報入力手段)、43a…送受信機(受信機)、43b…情報読取部(入力操作部)、44…移動阻止機構(阻止手段)、45…充電装置(充電手段)、46…制御装置(制御手段)、50…管理装置、51…利用者情報登録装置、52…利用者証発行装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の管理者によって管理され、当該施設に隣接する駐車場と、
あらかじめ前記駐車場の利用契約を締結した駐車場利用者に対して前記施設の管理者から提供され、自己を特定するための識別情報を有する提供車両と、
前記駐車場に設置されて前記提供車両を駐車させる駐車装置と、
を含み、
前記駐車装置は、
当該駐車装置に駐車させた車両に対して充電を行う充電手段と、
当該駐車装置への車両の進入を阻止する阻止手段と、
車両の識別情報を入力する識別情報入力手段と、
当該駐車装置における駐車を許可する前記提供車両の識別情報を許可識別情報としてあらかじめ記憶し、この記憶された許可識別情報と当該駐車装置に車両が駐車されていないときに前記識別情報入力手段に入力された識別情報とが一致する場合に、前記阻止手段による阻止を解除して当該駐車装置への車両の進入を可能とするとともに前記充電手段を充電可能な状態とする制御手段と、
を備える、
車両付き駐車場システム。
【請求項2】
前記阻止手段は、さらに前記駐車装置からの車両の退出を阻止するように構成され、
前記制御手段は、前記記憶された許可識別情報と前記駐車装置に車両が駐車されているときに前記識別情報入力手段に入力された識別情報とが一致する場合に、前記阻止手段による阻止を解除して当該駐車装置からの車両の退出を可能とする、請求項1に記載の車両付き駐車場システム。
【請求項3】
前記施設が公共交通機関の旅客施設又は商業施設である、請求項1又は2に記載の車両付き駐車場システム。
【請求項4】
前記識別情報入力手段は、前記提供車両に搭載された送信機から送信される当該提供車両の識別情報を含む車両信号を受信可能な受信機、又は、前記提供車両の使用者が当該提供車両の識別情報の入力操作を行う入力操作部を含む、請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両付き駐車場システム。
【請求項5】
前記駐車場利用者に関する情報及び当該駐車場利用者に対して提供される提供車両に関する情報を登録する利用者情報登録装置と、
前記利用者情報登録装置に登録された前記駐車場利用者に対して前記提供車両とともに提供される利用者証を発行する利用者証発行装置と、
をさらに含み、
前記利用者証には、前記提供車両の識別情報が記録されており、
前記識別情報入力手段は、前記利用者証に記録された識別情報を読み取り可能に構成されている、請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両付き駐車場システム。
【請求項6】
前記駐車場利用者による前記提供車両の選択が可能な車両選択装置をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両付き駐車場システム。
【請求項7】
車両を駐車させる駐車装置であって、
駐車させた車両に対して充電を行う充電手段と、
当該駐車装置への車両の進入を阻止する阻止手段と、
車両の識別情報を入力する識別情報入力手段と、
当該駐車装置における駐車を許可する車両の識別情報である許可識別情報をあらかじめ記憶し、この記憶された許可識別情報と当該駐車装置に車両が駐車されていないときに前記識別情報入力手段に入力された識別情報とが一致する場合に、前記阻止手段による阻止を解除して車両の当該駐車装置への進入を可能とするとともに前記充電手段を充電可能な状態とする制御手段と、
を備える、駐車装置。
【請求項8】
前記阻止手段は、前記駐車装置からの車両の退出を阻止するように構成され、
前記制御手段は、前記記憶された許可識別情報と前記駐車装置に車両が駐車されているときに前記識別情報入力手段に入力された識別情報とが一致する場合に、前記阻止手段による阻止を解除して当該駐車装置からの車両の退出を可能とする、請求項7に記載の駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−160010(P2012−160010A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19157(P2011−19157)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】