説明

車両外付け用シート

【課題】普通乗用車などの車両の外側に腰掛として設置可能な車両外付け用シートを提供する。
【解決手段】車両外付け用シート100は、座部101、座部支持部110および連結部120を備えている。座部101は、車両外付け用シート100の使用者が座る方形のクッション部材であり、支持枠102を介して座部支持部110に取り付けられている。座部支持部110は、座部101およびトレー103を車両90の後部から後方に向って張り出した状態で支持するための鋼製の枠状部材であり、互いに対向配置された長尺の張出ロッド111,112を連接ロッド113,114を介して連結して構成されている。連結部120は、座部支持部110を車両90の後部に連結するための鋼製の棒状部材であり、丸パイプからなる架設体121の胴部に支持体122a,122bを備えるとともに、架設体121の両端部にロックプレート123を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両の外側に主に腰掛用として設置される車両外付け用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、普通乗用車などの車両は、人や荷物を安全に目的地まで運ぶためのものであるため、車両の外側に人が腰掛けるための座席は備えていない。このため、例えば、魚釣りやキャンプなどのアウトドアレジャーにおいては、屋外活動中に座って作業したい場合や小休止したい場合などには、車両内の座席、またはテールゲートを備える車両においてはテールゲートを開放して荷室に座ることが多い。
【0003】
しかしながら、車両内の座席に座る場合においては、ドアの開け閉め操作が煩雑であるとともに、車内の空間的制約により作業が行い難いことがあるという問題がある。また、車両のテールゲートを開放して荷室に座る場合においては、着座する荷室の位置が高く座り難いとともに、着座による荷室の使用可能領域が減少して荷物の載置スペースや作業スペースが減少するという問題がある。
【0004】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、普通乗用車などの車両の外側に腰掛として設置可能な車両外付け用シートを提供することにある。
【0005】
なお、下記特許文献1には、トラックの後部に張り出した梁状のバンパーに上下方向に回動自在な状態で設置される昇降用ステップが開示されている。しかし、下記特許文献1に記載された昇降用ステップは、荷室内に対する昇降を行ない易くするための台であり着座に適したものではない。また、下記特許文献1に記載された昇降用ステップは、梁状のバンパーに設置されるものであるため、このような梁状のバンパーを有しない多くの普通乗用車には設置することができないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平06−63440号公報
【発明の概要】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、人が腰掛け可能な座部と、車両底部に設けられた牽引用または固縛用のフックに取り付けられる連結部と、連結部を介して車両に支持された状態で座部を車両の外側で支持する座部支持部とを備えることにある。
【0008】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、車両外付け用シートは、車両底部に設けられた牽引用または固縛用フックから張り出した状態で車両の外側に形成される。この場合、車両外付け用シートは、車両の底部に標準的に設けられる牽引用または固縛用フックに取り付けられるため、車両外付け用シートの設置に際して車両に特別の構造物の設置や加工は不要であり、幅広い車種の車両に簡単かつ迅速に設置することができる。また、車両外付け用シートは、車両の外側に設置されるため、着座に際してドアの開け閉め操作が不要であるとともに、作業空間の制約が車内に比べて少なく作業性が向上する。さらに、また、テールゲートを備える車両においても、車両外付け用シートが荷室より低い位置に設置されるため着座し易いとともに、荷室のスペースを着座スペースとして使用しないため荷室スペースを有効利用することができる。そして、この車両外付け用シートは、車両底部に設けられた牽引用または固縛用フックを介して車両に対して取り付けられるため、車両のサスペンション機構により良好な座り心地を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記車両外付け用シートにおいて、連結部は、車両底部の車幅方向に設けられた2つ前記フック間に架設される架設体と、架設体に車両の前後方向に延びる支持体とを備え、座部支持部は、連結部における支持体と嵌り合う嵌合体を備えることにある。
【0010】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、車両外付け用シートは、連結部と座部支持部とが支持体と嵌合体との嵌合によって連結される。すなわち、車両外付け用シートは、連結部と座部支持部とが分離可能に構成されている。このため、連結部を車両の底部に予め装着しておけば、座部支持部を連結部に連結するのみで簡単かつ迅速に車両外付け用シートを設置することができる。
【0011】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記車両外付け用シートにおいて、連結部における支持体は、2つの軸体または筒体で構成されており、座部支持部における嵌合体は、前記各軸体または各筒体に嵌り合う2つの筒体または軸体で構成されており、支持体および嵌合体は、互いに僅かに非平行であることにある。
【0012】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、車両外付け用シートは、互いに嵌合する支持体および嵌合体がそれぞれ互いに嵌合する2つの軸体および筒体で構成されている。そして、これらの支持体および嵌合体は、互いに僅かに非平行に形成されている。この場合、「僅かに非平行」とは、支持体と嵌合体とが弾性変形しながら互いに嵌合可能な程度に非平行に形成されているものであり、例えば、互いに平行配置された2つの軸体からなる支持体に対して、嵌合体が略ハ字状に配置された2つの筒体で構成されている場合などである。これによれば、互いに嵌合する支持体と嵌合体とが外れ難くなり、連結部と座部支持部とがより安定した状態で連結される。
【0013】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記車両外付け用シートにおいて、座部支持部を地面に対して支持する脚部を備えることにある。
【0014】
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、車両外付け用シートは、座部支持部を地面に対して支持する脚部を備えている。すなわち、車両外付け用シートは、座部支持部が車両底部に設けられた牽引用または固縛用フックを介して車両に支持されるとともに、脚部によっても支持される。これにより、車両外付け用シートをより安定した状態で設置することができる。
【0015】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記車両外付け用シートにおいて、座部支持部は、物品を載置可能なトレーを支持することにある。
【0016】
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、車両外付け用シートは、座部支持部に座部の他に物品を載置可能なトレーを備えている。これにより、車両外付け用シートは、使用者が着座する他に物品を載置することができ、利便性が向上する。
【0017】
また、本発明は、車両外付け用シートの発明として実施できるだけでなく、車両に対する外付け用シートの取付方法の発明としても実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両外付け用シートを装着した車両を左側後方から見た概略斜視図である。
【図2】図1に示す車両外付け用シートの一部を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す車両外付け用シートにおける連結部の組み付けを説明するための説明図である。
【図4】図1に示す車両外付け用シートの組み付けを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る車両外付け用シートの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る車両外付け用シート100を装着した車両90の全体構成を概略的に示した斜視図である。また、図2は、車両外付け用シート100の一部の全体構成を概略的に示す斜視図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この車両外付け用シート100は、四輪自動車などの車両の後部の外側に設置されることにより主として腰掛として使用されるものである。
【0020】
(車両外付け用シート100の構成)
車両外付け用シート100を説明する前に、この車両外付け用シート100が取り付けられる車両90について簡単に説明しておく。車両90は、乗員が着座する車室内の後部に荷室が形成された四輪自動車(例えば、スポーツ多目的車(SUV))である。この車両90の後部には、荷室内に荷物の出し入れするための開口部91が形成されているとともに、同開口部91を開放または閉塞するテールゲートとしての横開き式扉92が開閉自在な状態で設けられている。横開き式扉92は、扉の一方(左側)の側縁部が蝶番などにより開口部91に回動自在な状態で支持されており、他方の側縁部側が前記一方の側縁部側を中心として回転変位する片開き型の開き戸である。また、車両90の後部の底部には、図3に示すように、車両90の車幅方向の両側にフック93がそれぞれ設けられている。フック93は、車両90を固縛するためのものであり、下方に突出した板状体の中央部に長孔93aが形成されてそれぞれ構成されている。なお、このフック93は、普通乗用車に固縛用または牽引用として標準的に設けられているものであるが、本発明に係る車両外付け用シート100を支持可能な強度を有していれば、フック93の設けられている用途自体は本発明に直接関わらない。
【0021】
車両外付け用シート100は、座部101を備えている。座部101は、車両外付け用シート100の使用者が座る上面視略正方形のクッション部材である。この座部101は、方形の板状体上にウレタン製のクッション材が配置されるとともに、その外側を耐候性を有する樹脂製シートで覆って構成されている。本実施形態においては、座部101は、縦横二辺の長さが約320mm×380mmに形成されている。この座部101は、図4に示すように、方形枠状の支持枠102上に固着されている。支持枠102は、鋼製の各パイプ部材を短辺が座部101の一辺より若干短い長さで、長辺が座部101の一辺の略2倍の長さの長方形状の枠に組んだ部材である。この支持枠102には、座部101に隣接してトレー103が着脱自在な状態で嵌め込まれている。トレー103は、各種物品を載置するための載置台である。本実施形態においては、トレー103は、上面が開放されるとともに底が浅く形成された樹脂製の箱体で構成されている。
【0022】
支持枠102は、座部支持部110に固定されている。座部支持部110は、座部101およびトレー103を車両90の後部から後方に向って張り出した状態で支持するための鋼製の枠状部材である。具体的には、座部支持部110は、互いに対向配置された長尺の張出ロッド111,112を2つの連接ロッド113,114を介して互いに連結して構成されている。この場合、張出ロッド111,112は、互いに僅かに非平行、より具体的には、連接ロッド113,114側に向って間隔が漸減するハ字状の向きで配置されている。
【0023】
また、これらの張出ロッド111,112における連接ロッド114側とは反対側の各先端部側は、外形が丸棒状の挿入部111a,112aが形成されている。挿入部111a,112bは、車両90に取り付けられる連結部120に嵌合する部分である。本実施形態においては、角パイプの先端部に挿入部111a,112aを構成する丸パイプを溶接することにより張出ロッド111,112が成形されている。
【0024】
一方、張出ロッド111,112の後端部を連結する連接ロッド114の中央部には、脚部115が設けられている。脚部115は、座部支持部110を地面に対して支持するための鋼製の棒状部材である。この脚部115は、連接ロッド114に対して図示矢印方向に折畳み自在な状態で形成されている。そして、座部支持部110を構成する張出ロッド111,112および連接ロッド114に対して前記支持枠102が図示しないボルトを介して連結固定されている。
【0025】
車両90の後部の底部には、左右一対のフック93に連結部120が取り付けられている。連結部120は、座部支持部110を車両90の後部に連結するための鋼製の棒状部材である。この連結部120は、鋼製の丸パイプからなる架設体121の胴部に2つの支持体122a,122bがそれぞれ設けられているとともに、架設体121の両端部にロックプレート123がそれぞれ設けられて構成されている。架設体121は、車両90の底部に設けられた一対のフック93間に架設される円筒体である。この架設体121は、後述するロックプレート123の雌側プレート124を含む長さが、一対のフック93における互いに対抗する内側面間の距離に相当する長さに形成されている。また、架設体121の両端部内周面には、図示しない雌ネジがそれぞれ形成されている。
【0026】
支持体122a,122bは、座部支持部110における張出ロッド111,112の挿入部111a,112aが挿入される円筒状の部材であり、架設体121の外周上に同架設体121の軸線方向に直交する方向に沿って互いに平行な状態で固着されている。すなわち、支持体122a,122bは、張出ロッド111,112の挿入部111a,112aの外径に対応する内径に形成されるとともに、挿入部111a,112aのピッチに対応するピッチで架設体121の外周上に固着されている。本実施形態においては、支持体122a,122bは、架設体121に溶接により固着されて架設体121と一体的に構成されている。
【0027】
ロックプレート123は、車両90のフック93を2枚の板状体で挟むことにより架設体121をフック93に固定するための固定具であり、主として、雌側プレート124と雄側プレート125とで構成されている。雌側プレート124は、車両90のフック93を挟む一方の板状体であり、架設体121の両端部にフランジ状に設けられている。この雌側プレート124は、鋼板を平面視略L字状に成形して構成されており、その側面中央部に突出した状態で筒状の嵌合筒124aが形成されるとともに、同嵌合筒124aに隣接して嵌合孔124bが形成されている。嵌合筒124aは、架設体121の両端部に形成された雌ネジに対応する内径で同雌ネジに連通するとともに、フック93に形成された長孔93aに嵌合可能な外径に形成されている。
【0028】
一方、雄側プレート125は、車両90のフック93を挟む他方の板状体であり、雌側プレート124に対応した平面視略L字状に形成されている。この雄側プレート125は、鋼板で構成されており、その中央部に雌側プレート124の嵌合筒124aに対応する貫通孔125aが形成されている。また、雄側プレート125における雌側プレート124に対向する内側面には、貫通孔125aに隣接して凸状の突起125bが形成されている。突起125bは、フック93の長孔93aを介して雌側プレート124の嵌合孔124b内に挿入されてフック93に対する連結部120の回転方向の位置決めおよび連結部120(架設体121)の回り止めとして機能する円柱状の突起体である。この雄側プレート125は、ワッシャ126およびフック93を介してボルト127を架設体121の前記雌ネジに締め付けることにより架設体121の両端部に固定される。
【0029】
(車両外付け用シート100の作動)
次に、このように構成した車両外付け用シート100の作動について説明する。まず、車両外付け用シート100を車両90に取り付ける使用者は、車両90とともに連結部120(架設体121、雄側プレート125、ワッシャ126、ボルト127)をそれぞれ用意する。次いで、使用者は、車両90の後部の底部に設けられた左右一対のフック93に連結部120を装着する。具体的には、使用者は、車両90の底部に設けられた左右一対のフック93間に架設体121を配置して、雄側プレート125の突起125bをフック93の長孔93aを介して雌側プレート124の嵌合孔124bに挿入する(図3参照)。
【0030】
次いで、使用者は、架設体121の軸線回りの回転方向位置を調整することにより架設体121の両端部に形成された雌ネジをフック93の長孔93aに連通させるとともに、雄側プレート125の貫通孔125aをフック93の長孔93aに連通させる。そして、使用者は、架設体121の両端部において、雄側プレート125の貫通孔125a、フック93の長孔93aおよび雌側プレートの嵌合筒124aにワッシャ126を介してボルト127を通して架設体121の両端部に形成された雌ネジに締め付ける(図3において破線矢印で示す)。これにより、架設体121の支持体122a,122bが車両90の後方に向って略水平状態に延びた状態で架設体121がフック93に固定される(図4参照)。
【0031】
すなわち、架設体121の両端部に形成された雌ネジおよび雌側プレート124に形成された嵌合筒124aと同雌側プレート124に形成された嵌合孔124bとの位置関係、および雄側プレート125における貫通孔125aと突起125bとの位置関係は、これらをフック93の長孔93aに位置決めした際に架設体121の支持体122a,122bが車両90の後方に向って略水平状態に延びる向きとなる位置関係に形成されている。
【0032】
次に、使用者は、座部支持部110とトレー103とを用意する。この場合、座部支持部110には、座部101が固着された支持枠102が予め固定されている。そして、使用者は、座部支持部110の張出ロッド111,112の先端部分である挿入部111a,112aを連結部120の支持体122a,122b内にそれぞれ挿し込む(図4において破線矢印で示す)。この場合、座部支持部110の張出ロッド111,112はハ字状に配置されており支持体122a,122bに対して非平行であるため、張出ロッド111,112は支持体122a,122bに沿って僅かに弾性変形しながら挿入される。
【0033】
使用者は、張出ロッド111,112の挿入部111a,112aを支持体122a,122bに挿し込んだ後、座部支持部110の下面に折り畳まれた状態で設けられた脚部
115を下方に向けて振り出す(図4において破線矢印で示す)。これにより、座部101を備えた座部支持部110がフック93を介して車両90に支持されるとともに、脚部115を介して地面上に支持された状態となる。そして、使用者は、支持枠102上にトレー103を嵌め込む(図4において破線矢印で示す)。これにより、車両外付け用シート100の車両90に対する設置作業が完了する。
【0034】
このように設置された車両外付け用シート100は、車両90の後部外側空間において腰掛として用いられる。具体的には、使用者は、車両外付け用シート100の座部101上に腰掛けるとともに、トレー103上に使用者の使用や消費に供される各種物品(例えば、道具や飲食物)を載置して使用する。この場合、連結部120は、雌側プレート124および雄側プレート125によってフック93を強い力で挟んでいるとともに、フック93の長孔93a内に雄側プレート125の突起125aが貫通した状態で配置されている。また、座部支持部110は、地面に対して脚部115によって支持されている。これらにより、連結部120がフック93に対して回転変位して、座部101が下方に落ちることはない、この結果、使用者は、安心して着座し続けることができる。
【0035】
また、座部支持部110の張出ロッド111,112がハ字状に配置されており支持体122a,122bに対して非平行であるため、挿入部111a,112aが支持体112a,112bから抜け難い。これにより、座部支持部110が連結部120から外れ難いため、使用者は安心して着座し続けることができる。
【0036】
また、車両外付け用シート100を取り外す場合においては、使用者は、前記設置作業とは逆の手順で行なうことができる。すなわち、使用者は、支持枠102上からトレー103を取り除くとともに座部支持部110の下面に設けられた脚部115を折り畳んだ後、座部支持部110における張出ロッド111,112の挿入部111a,112aを連結部120の支持体122a,122b内から抜き出す。これにより、座部支持部110は、連結部120から分離される。この場合、使用者は、座部支持部110を連結部120から分離した段階で車両外付け用シート100の撤去作業を終了とすることができる。すなわち、連結部110はフック93に常時取り付けた状態でもよい。これによれば、次回からの車両外付け用シート100の設置作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0037】
一方、連結部120をフック93から取り外す場合には、使用者は、ボルト127を緩めて雄側プレート125を架設体121から取り外すことにより架設体121をフック93から撤去することができる。この場合、再度、車両外付け用シート100を設置する場合には、連結部120の取り付け作業から行なうことになる。
【0038】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、車両外付け用シート100は、車両90の底部に設けられたフック93から張り出した状態で車両90の外側に設置される。この場合、車両外付け用シート100は、車両90の底部に標準的に設けられる牽引用または固縛用のフック93に取り付けられるため、車両外付け用シート100の設置に際して車両90に特別の構造物の設置や加工は不要であり、幅広い車種の車両90に簡単かつ迅速に設置することができる。また、車両外付け用シート100は、車両90の外側に設置されるため、着座に際してドアの開け閉め操作が不要であるとともに、作業空間の制約が車内に比べて少なく作業性が向上する。さらに、また、横開き式扉92を備える車両90においても、車両外付け用シート100が荷室より低い位置に設置されるため着座し易いとともに、荷室のスペースを着座スペースとして使用しないため荷室スペースを有効利用することができる。
【0039】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、車両外付け用シート100は、座部101を使用者一人分の大きさに形成した。しかし、車両外付け用シート100が着座可能な人数は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、車両外付け用シート100は、二人以上着座できるものであってもよい。この場合、座部101の大きさ、座部支持部110および連結部120の各仕様は、着座させる人数に応じて適宜設計して決定すればよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、車両外付け用シート100は、座部支持部110上に座部101の他に物品を載置するためのトレー103を設けて構成した。しかし、車両外付け用シート100は、座部支持部110上に座部101のみを設けて着座専用と構成してもよいし、トレー103に代えて鋼板を着脱自在に設けることにより車両90の荷台に上がるためのステップとしての機能を付加することもできる。
【0042】
また、上記実施形態においては、座部101は支持枠102を介して座部支持部110にボルト締めによって固定した。しかし、座部101は、座部支持部110に直接固定してもよい。この場合、座部101は、座部支持部110に対して着脱自在に固定してもよいし、着脱不能に固着させてもよい。また、上記実施形態においては、座部101がボルト締めによって支持枠102を介して座部支持部110に固定されているため、劣化した座部101の交換や、大きさやデザインの異なる座部101に容易に交換することができる。また、座部101を座部支持部110から取り外して、座部101とは異なる機能を発揮する部品、例えば、前記ステップとなる鋼板や、物品を載置するためのトレー103などを取り付けることもできる。
【0043】
また、上記実施形態においては、座部支持部110と連結部120とを着脱自在に構成した。これにより、連結部120を常時車両90に装着しておくことができ、車両外付け用シート100の設置作業負担を軽減することができる。しかし、座部支持部110と連結部120とは、一体的に形成されたものであってもよい。すなわち、座部支持部110における張出ロッド111,112を延長して連結部120の架設体121に固着することにより座部支持部110と連結部120とを一体的に形成することができる。
【0044】
また、上記実施形態においては、座部支持部110における張出ロッド111,112をハ字状に配置して支持体122a,122bに対して非平行に構成した。しかし、張出ロッド111,112は、支持体122a,122bに対して抜き挿し可能であれば必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、張出ロッド111,112のうちのどちらか一方を支持体122a,122bに対して非平行に構成してもよいし、張出ロッド111,112を互いに平行に構成して支持体122a,122b側の少なくとも一方を張出ロッド111,112に対して非平行に構成してもよい。また、張出ロッド111,112と支持体122a,122bとを互いに平行に構成することにより、張出ロッド111,112の抜き挿し作業を容易にすることもできる。
【0045】
また、上記実施形態においては、座部支持部110は、張出ロッド111,112を2本で構成した。しかし、張出ロッド111,112の数は、座部支持部110と連結部120とを連結可能であれば、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、張出ロッド111,112を1本、または3本以上で構成することもできる。
【0046】
また、上記実施形態においては、連結部120は架設体121を有して構成した。しかし、連結部120は、必ずしも左右一対のフック93間に架設体121を架け渡す構成にする必要はない。すなわち、連結部120は、車両90の底部に設けられたフック93に座部支持部110を連結できる構成であればよい。したがって、例えば、上記実施形態における架設体121の両端部と同様の構成を座部支持部110の張出ロッド111,112の先端部に形成することにより、同張出ロッド111,112の先端部に形成した雌側プレート124と雄側プレート125とでフック93を挟んで固定する構成とすることもできる。これによれば、座部支持部110の張出ロッド111,112が雌側プレート124と雄側プレート125からなる連結部120とを介して直接フック93に連結されるため、架設体121が不要となり、車両外付け用シート100の構成を簡単にすることができる。
【0047】
また、上記実施形態においては、車両外付け用シート100は、座部支持部110に脚部115を設けることにより座部支持部110を地面からも支持するように構成した。しかし、座部支持部110は、連結部120によってフック93に対して回転不能な状態で支持されているため、脚部115を省略して構成することもできる。これによれば、座部支持部110は、フック93を介して車両90のみで支持されるため、車両90のサスペンション機構により良好な座り心地が得られる。また、脚部115が省略されることにより、車両外付け用シート100の構成を簡単にできるとともに、車両外付け用シート100の設置・撤去作業を簡単にすることができる。なお、上記実施形態のように、座部支持部110を脚部115により支持する場合には、脚部115によって座部支持部110が下方に落ちることがないため、連結部120を必ずしもフック93に対して回転不能な状態で取り付ける必要はない。
【0048】
また、上記実施形態においては、車両外付け用シート100は、車両後部の底部に設けられたフック93に対して取り付けた。しかし、車両外付け用シート100は、車両の前部の底部に同様に設けられたフック93にも取り付け可能である。また、車両外付け用シート100が取り付けられる車両90の種類も、車両90の底部にフック93が設けられている車両90であれば広く取り付けることができる。
【符号の説明】
【0049】
90…車両、91…開口部、92…横開き式扉、93…フック、93a…長孔、
100…車両外付け用シート、101…座部、102…支持枠、103…トレー、
110…座部支持部、111,112…張出ロッド、111a,112a…挿入部、113,114…連接ロッド、115…脚部、
120…連結部、121…架設体、122a,122b…支持体、123…ロックプレート、124…雌側プレート、124a…嵌合筒、124b…嵌合孔、125…雄側プレート、125a…貫通孔、125b…突起、126…ワッシャ、127…ボルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が腰掛け可能な座部と、
車両底部に設けられた牽引用または固縛用のフックに取り付けられる連結部と、
前記連結部を介して前記車両に支持された状態で前記座部を前記車両の外側で支持する座部支持部とを備えることを特徴とする車両外付け用シート。
【請求項2】
請求項1に記載した車両外付け用シートにおいて、
前記連結部は、
前記車両底部の車幅方向に設けられた2つ前記フック間に架設される架設体と、
前記架設体に前記車両の前後方向に延びる支持体とを備え、
前記座部支持部は、
前記連結部における前記支持体と嵌り合う嵌合体を備えることを特徴とする車両外付け用シート。
【請求項3】
請求項2に記載した車両外付け用シートにおいて、
前記連結部における前記支持体は、2つの軸体または筒体で構成されており、
前記座部支持部における前記嵌合体は、前記各軸体または各筒体に嵌り合う2つの筒体または軸体で構成されており、
前記支持体および前記嵌合体は、互いに僅かに非平行であることを特徴とする車両外付け用シート。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した車両外付け用シートにおいて、
前記座部支持部を地面に対して支持する脚部を備えることを特徴とする車両外付け用シート。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した車両外付け用シートにおいて、
前記座部支持部は、物品を載置可能なトレーを支持することを特徴とする車両外付け用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−6566(P2012−6566A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146981(P2010−146981)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(510147824)春瀬工藝株式会社 (2)
【Fターム(参考)】