説明

車両感覚の習得を支援するための装置

【課題】車両の大きさについての車両感覚について、運転者の早期の習得を支援する。
【解決手段】車両感覚の習得を支援するための装置であって、車両に運転者が着座した際における該運転者の頭部の高さと略同高さにある第1の位置および該車両の前方先端部における第2の位置において発光可能なように設けられた発光手段と、車両に乗車するために取られた運転者による所定のアクションに応じて、該発光手段による発光を行わせるよう該発光手段を制御する制御手段と、を備える。運転者が乗車した時の視点から車両前方先端部までの距離が強調表示されるので、運転者は、乗車しようとするたびに、該距離についての感覚を習得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両感覚の習得を支援するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、バンパーの先端等に発光体をつけることで、夜間走行中に対向車にバンパーを含む自車の車幅を確認させるものが記載されている。また、下記の特許文献2には、車両のコーナー位置に虚像を表示し、運転者が該車両のコーナー位置を虚像で視認することができるものが記載されている。
【特許文献1】実開平4−72044号公報
【特許文献2】実開平6−971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両の大きさについての車両感覚を、運転者は早期に習得するのが好ましい。上記の特許文献1の発光体は、対向車に知らせるものであって、運転者の車両感覚を高めるものではない。また、上記の特許文献2の手法では、走行中に虚像を用いた手法であるので、虚像の位置の精度によっては、車両のコーナーの位置を感覚的に身につけることが困難なおそれがある。
【0004】
運転者が、運転している状況以外でも車両感覚を身につけることができれば、車両感覚の早期の習得を実現することができる。したがって、この発明の目的は、車両感覚の早期の習得を支援するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、車両感覚の習得を支援するための装置であって、車両に運転者が着座した際における該運転者の頭部の高さと略同高さにある第1の位置(P1)および該車両の前方先端部における第2の位置(P2)において発光可能なように設けられた発光手段(12、13)と、車両に乗車するために取られた運転者による所定のアクションに応じて、該発光手段による発光を行わせるよう該発光手段を制御する制御手段(11)と、を備える。
【0006】
この発明によれば、運転者が車両に乗車するための所定のアクションを起こすと、運転者が着座した時の頭部の高さとほぼ同じ高さにある第1の位置と、車両の前方先端部における第2の位置において発光が行われる。この発光により、運転者が乗車した時の視点から車両前方先端部までの距離が強調表示されるので、運転者は、該距離がどの程度長いかを視認することができる。運転者が車両に乗車しようとする度にこのような発光が行われるので、運転者の車両の長さについての車両感覚を習得することができる。
【0007】
請求項2に係わる発明は、請求項1に記載の装置において、発光手段(12、13)は、第1の位置および第2の位置の中間にある第3の位置(P3)において発光可能なように設けられており、制御手段(11)は、上記所定のアクションが取られた後も、発光手段による該第3の位置における発光を継続させる。
【0008】
第3の位置における発光は継続して行われるので、運転者は、乗車した後でも該第3の位置を視認することができる。第3の位置は、自身の視点から車両前方先端部までの距離の中間であるので、運転者は、該第3の位置を視認することにより、車両の前方先端部がどの程度の距離の所に存在するかという感覚を磨くことができる。
【0009】
請求項3に係わる発明は、請求項2に記載の装置において、制御手段(11)は、第1の位置、第3の位置、および第2の位置の順に、または第2の位置、第3の位置、および第1の位置の順に発光を行わせるよう発光手段(12、13)を制御する。
【0010】
運転者は、第1、第3および第2の位置の順の発光または第2、第3および第1の位置の順の発光を視認するので、車両の長さについてイメージをより強調して運転者に生成することができ、よって、車両感覚をより早期に習得することができる。
【0011】
請求項4に係わる発明は、請求項1から3のいずれかに記載の装置において、音を発することが可能な音発生手段(12、14)を有しており、制御手段(11)は、発光手段による発光と共に音を発生させるよう該音発生手段を制御する。
【0012】
この発明によれば、発光だけでなく音を発生させることによって、車両の長さについてのイメージをより強調して運転者に生成することができ、よって、車両感覚をより早期に習得することができる。
【0013】
請求項5に係わる発明は、請求項4に記載の装置において、制御手段(11)は、発光手段による第1の位置、第3の位置および第2の位置の順の発光または第2の位置、第3の位置および第1の位置の順の発光に従って、音発生手段によって発生される音の音量を変更する。
【0014】
この発明によれば、発光が順次行われるに従って音量が変化するので、車両の長さについてのイメージをより強調して運転者に生成することができ、よって、車両感覚をより早期に習得することができる。
【0015】
請求項6に係わる発明は、請求項1から5のいずれかに記載の装置において、上記所定のアクションは、車両の施錠を解除する動作および車両のドアを開ける動作のうちの少なくとも一方を含む。
【0016】
こうして、運転者が、車両の施錠を解除する動作を行ったことに応じて、または、車両のドアを開ける動作を行ったことに応じて、発光および音による強調表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、この発明の第1の実施形態を従う、運転者の車両感覚の習得を支援するための装置10の機能ブロック図である。この装置10は、運転者が乗車しようとする際に、車体の所定箇所を強調表示することによって、車両の大きさについての運転者の車両感覚の習得を支援しようとするものである。該装置10は、制御部11および強調表示部12を備える。また、該装置10には、キーレスエントリ装置15が接続されている。
【0019】
キーレスエントリ装置15は、周知の任意の装置であることができ、たとえば、特開2003―262058号公報に記載されている。この装置は、リクエスト信号を送信するよう構成されており、運転者が携帯するキーが、該リクエスト信号を受信すると、該装置に暗証コード信号を送信するよう構成されている。該暗証コード信号と該装置に予め記憶されている車両固有のコード信号とが一致すると、正規のキーであると判断し、該装置は、車両のドアのロック(施錠)を解除する。
【0020】
制御部11は、車両の制御装置(ECU)において実現されることができる。ECUは、中央処理装置(CPU)およびメモリを備えるコンピュータであり、メモリに格納されたプログラムを実行することにより、制御手段11を実現することができる。
【0021】
制御部11は、運転者が車両に対して乗車するための所定のアクションを取ったかどうかを判断する。この実施例では、前述したように、運転者の携帯するキーから発せられた暗証コード信号に対し、キーレスエントリ装置15が車両のドアのロックを解除したことに応じて、運転者が乗車するためのアクションを取ったと判断する。このように、キーレスエントリ装置を搭載した車両においては、運転者は、キーを用いることによって、車両から少し離れた所で車両のドアロックを解除することができるので、後述する強調表示をより良く視認することができる。
【0022】
しかしながら、本願発明は、キーレスエントリ装置が搭載されていない車両にも適用可能である。この場合、一形態においては、運転者がキーをドアの鍵穴に差し込むことにより該ドアのロックを解除したとき、該ドアロックの解除は所定のセンサにより検出されることができる。制御部11は、該センサを介して検出したドアロック解除に応じて、該乗車するためのアクションが取られたと判断することができる。他の形態においては、運転者がドアハンドルに対してドアを開けるための操作を行ったとき、所定のセンサにより該操作を検出することができる。制御部11は、該センサを介して検出したドアハンドル操作に応じて、該乗車するためのアクションが取られたと判断することができる。
【0023】
また、対象とするドアは、運転席側のドアに限定してもよいし、運転席側のドアに限定せず、車両のいずれかのドアに対してロック解除または開動作が行われたならば、該乗車するためのアクションが取られたと判断してもよい。
【0024】
制御部11は、運転者が乗車するためのアクションを取ったと判断したならば、強調表示部12を駆動するための制御信号を送る。強調表示部12は、発光体および該発光体を点灯/消灯するための発光回路(図示せず)を有する発光手段13を備える。該発光回路は、該制御信号を受け取ったならば発光体を点灯させ、これにより、車体の強調表示を行う。
【0025】
強調表示の目的は、運転者に、該運転者が運転している時の視点から、車両の前方先端部までの距離を、運転者に感覚的に習得させることである。したがって、本願発明では、少なくとも、運転者が運転席に着座した時の運転者の頭部(視点)の高さとほぼ同じ高さに位置する第1の位置と、該車両の前方の先端部に対応する第2の位置において、発光による強調表示が行われる。
【0026】
ここで、図2を参照すると、本願発明の一実施形態に従う発光形態が示されており。上記の第1の位置および第2の位置は、それぞれ、符号P1およびP2で示されている。この実施例では、第1の位置P1は、Bピラー(前のドアと後ろのドアの間の支柱)上の、運転席のヘッドレストとほぼ同じ高さの位置にある。第2の位置P2は、フロントボンネットの先端に位置づけられている。第1の位置P1および第2の位置P2には、それぞれ発光体が設けられている。発光体は、それぞれの位置において、車外から発光を視認することができるように車体に取り付けられる。外観を損なわないように、たとえば、位置P1の場合には、ウィンドウとドアのボディとの境に取り付けることができる。発光体は、任意の適切なものにより実現されることができ、たとえば、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード等で実現してよい。光の色も任意に決定されることができる。たとえば、運転者の注意を引くような色(赤等)を用いることができる。
【0027】
好ましい実施形態では、第1の位置P1および第2の位置P2に加え、該第1および第2の位置のほぼ中間にある第3の位置P3に、発光体が設けられる。第3の位置P3は、運転者が運転席に着座した時に視認することができる位置とするのが好ましい。したがって、この実施例では、フロントボンネットとフロントガラスの境近傍に、第3の位置P3が位置付けられる。
【0028】
この実施形態では、第1の位置P1から第3の位置P3を経由して第2の位置P2に至るまでの経路上に、さらに3個の位置21、22および23のそれぞれに発光体が車体に取り付けられている。こうすることにより、第1の位置P1から第2の位置P2までの経路を、より視認しやすくすることができる。これらの発光体の配置は、第1の位置P1から第2の位置P2まで、ほぼ等間隔(たとえば、30cm毎)になるよう配置してもよく、これにより、運転者はそれぞれの発光体を視認しやすくなる。この実施形態では、合計して6個の発光体が車体の片側に配置されるが、この数は任意であり、他の数の発光体を配置してもよい。
【0029】
図1に戻り、図2のような発光形態において、制御部11は、第1の位置P1から第2の位置P2までの経路上に設けられた6個の発光体を同時に点灯させるよう、強調表示部12に制御信号を送る。これに応答して、前述した発光手段13の発光回路は、6個の発光体を同時に点灯する。点灯時間は任意に設定可能であり、所定時間(たとえば、1秒)に設定することができる。代替的に、運転者が乗車するまで(たとえば、運転者が乗車してドアを閉じるまで、またはドアをロックするまで)、点灯させてもよい。
【0030】
代替的に、第1の位置P1から第3の位置P3を経由して第2の位置P2に向けて、6個の発光体を順番に点灯させるようにしてもよい。この場合、制御部11からの制御信号に応じて、発光手段13の発光回路は、6個の発光体を、第1の位置P1、位置21、位置22、第3の位置P3、位置23および第2の位置P2の順に点灯する。反対に、6個の発光体を、第2の位置、位置23、第3の位置P3、位置22、位置21および第1の位置P1の順に点灯させるようにしてもよい。
【0031】
このようにすることにより、運転者は、発光体が順番に点灯するのを視認することとなり、よって、運転者に、車両の運転席から車両先端部までの距離感のイメージを、より鮮明に持たせることができる。
【0032】
好ましくは、第3の位置P3に配置された発光体については、運転者が乗車するための上記アクションを起こした後も継続して発光させるのが好ましい。この場合、発光手段13の発光回路は、所定のタイミング(前述したように、たとえば、運転者が乗車してドアをロックする時等)で第3の位置P3以外の発光体を消灯するが、第3の位置P3における発光体は点灯させたままにする。こうすることにより、運転者は、乗車した後も第3の位置P3の位置を発光体によって視認することができる。第3の位置P3は、第1の位置P1と第2の位置P2の中間であるから、運転者は、自分の視点から第3の位置P3までの距離と同じ距離だけ該第3の位置P3から前方に向かった所に車両先端部が存在する、と認識することができる。したがって、車両先端部までの距離感を把握しやすくなる。第3の位置における点灯は、走行中に常時点灯するようにしてもよいし、該点灯時から所定時間または所定走行距離が経過したことに応じて消灯してもよい。また、第3の位置における点灯および消灯を切り換えるためのスイッチを設けて運転者が操作可能なようにしてもよい。制御部11は、運転者によるスイッチの操作に応じて、第3の位置P3における発光体の点灯および消灯を、強調表示部12を介して切り換えることができる。
【0033】
なお、図2では、車両の左側(助手席側)について示しているが、これにより、運転席とは反対側を強調表示するので、運転席から見えにくい所の車両感覚を高めることができる。しかしながら、図3に示すように、車両の左および右の両方の側に、図2のような発光体を設けるようにしてもよい。両側に設けることにより、車幅についても、車両感覚を習得することができる。
【0034】
図2および図3を参照して説明したように、様々な発光形態が考えられるが、どのような発光形態を行うかは予め決められており、発光手段13の発光回路は、制御部11からの制御信号に応じて、予め決められた形態(たとえば、第1の位置から第2の位置への順次の点灯等)ですべての発光体を点灯するよう構成されることができる。代替的に、制御部11が、発光体毎に制御信号を送り、該発光回路は、所定の発光体宛ての制御信号を受け取ったことに応じて、該発光体を点灯するようにしてもよい。
【0035】
図4は、本願発明の他の発光形態を示す図である。この形態では、第1の位置P1から第2の位置P2までの経路に、線状の発光体41が車体に取り付けられている。取り付けは、車外から発光を視認することができるように行われる。外観を損なわないように、車体上のラインや車体の端部に沿って取り付けることができる。ここで、第1の位置P1は、図2に示す形態と同じ所に配置されている。第2の位置P2は、フロントバンパーの先端部に配置されている。代替的に、図2に示す形態と同様に、第2の位置P2を、フロントボンネットの先端部に配置して、第1の位置P1から第2の位置P2までの経路に線状の発光体41を取り付けてもよい。強調表示部12の発光手段13は、線状発光体41および該発光体を点灯/消灯するための発光回路(図示せず)を含む。制御部11は、図2を参照して説明したのと同様に、運転者が乗車するためのアクションを起こしたとの判断に応じて該制御信号を強調表示部12に送る。発光手段13の発光回路は、該制御信号に応じて線状発光体41を点灯させる。
【0036】
線状発光体41は、任意の適切な手段で実現されることができる。たとえば、透明な可撓性のチューブを用い、該チューブ内に所定間隔で発光ダイオードを設けることにより、このような線状発光体を実現することができる。この場合には、図2に示すように、位置P1、P2、P3および21〜23に、発光ダイオードを配置することができる。そして、これらの発光体を同時に点灯させるようにしてもよいし、前述したように、第1の位置P1から第2の位置P2に向けて(すなわち、第1の位置P1、位置21、位置22、第3の位置P3、位置23および第2の位置の順に)、または第2の位置P2から第1の位置P1に向けて(すなわち、第2の位置P2、位置23、第3の位置P3、位置22、位置21および第1の位置P1の順に)、これらの発光体を順次点灯させるようにしてもよい。代替的に、光伝送チューブを用い、発光ダイオードからの光を該チューブで伝送させることにより、このような線状発光体31を実現するようにしてもよし。さらに、線状発光体41として、ネオン管または蛍光管を用いてもよい。このように、線状発光体41全体をほぼ同時に発光させるように線状発光体41を構成してもよいし、一方の端(たとえば、第1の位置P1)から他方の端(たとえば、第2の位置P2)に向けて発光されるように線状発光体41を構成してもよい。
【0037】
このような線状発光体を用いる場合でも、図2を参照して説明した場合と同様に、運転者が乗車しようとするたびに、第1の位置P1から第2の位置P2までの経路が強調表示されるので、運転席に着座した時の視点から車両先端部までの車両長さについて、車両感覚を習得することができる。
【0038】
なお、運転者が乗車した後も視認することができるように、線状発光体41とは別に第3の位置に発光体を設けるようにしてもよい。前述したように、該第3の位置における発光体は、運転者が乗車した後も点灯させるようにすることができ、また、所定のスイッチ操作に応じて点灯および消灯を切り換えるようにしてもよい。また、線状発光体41が、第3の位置P3においてのみ発光することができるような構成となっている場合(たとえば、前述したように、第3の位置P3を含む複数の位置にそれぞれの発光体を備える場合)には、このような別個の発光体を設ける必要なく、該第3の位置においての発光を継続させることができる。
【0039】
次に、図5を参照して、本願発明の第2の実施形態について説明する。この実施形態においては、強調表示部12は、上記発光による強調表示に加え、音による強調表示を行うため、発光手段13だけでなく、音発生手段14を備えており、制御部11からの制御信号に応じて、音発生手段14は音を発生させる。こうすることにより、発光だけでなく音によって、運転者の車両感覚を高めることができる。
【0040】
音発生手段14は、音源からの音をスピーカから発生させるための音発生回路を備えており、スピーカおよび音発生回路は、任意の既知の手段によって実現されることができる。スピーカは、車外にいる運転者が聞こえるように配置され、スピーカの数は任意でよい。
【0041】
ここで、再び図2を参照すると、図に示される6個の発光体が同時に発光される場合には、音発生手段14の音発生回路は、該発光と同時に1つの音(たとえば、ピー)を発生させることができる。音を発生させる持続時間は、任意に設定することができ、たとえば、これらの発光体が消灯するまでの時間にわたって音を発生させてもよい。また、第3の位置の発光体による発光が継続される場合には、残りの発光体が消灯するまで、音を発生させるようにしてもよい。
【0042】
さらに、前述したように、6個の発光体が順次点灯される場合には、該点灯の順番に従って、比較的短い持続時間の音を順番に発生させると共に、該点灯の順序に従って音量を変更するのが好ましい。このような音発生形態のイメージ図が、図6に示されている。この例では、第1の位置P1における発光と同時に「ピッ」というような音を発生させ、次に、位置21における発光と同時に、第1の位置P1における音よりも大きい「ピッ」というような音を発生させ、これを、第2の位置P2における発光まで同様に行う。第2の位置P2における発光と同時に発生される音の音量が、一番大きい。この形態では、第1の位置P1から第3の位置P3を経由して第2の位置P2に向かって点灯されていくにつれ音量が大きくなるが、音量を小さくしていくようにしてもよい。また、第2の位置P2から第3の位置P3を経由して第1の位置P1に向けて順番に点灯する場合にも、音量を大きくしていくようにしてもよいし、小さくしていくようにしてもよい。
【0043】
図4に示されるような線状発光体41が設けられる場合には、たとえば、線状発光体41全体が点灯するまで、音の発生を持続させるのが好ましい。このイメージ図を、図7に示す。たとえば、線状発光体41の一端(たとえば、第1の位置P1)から他端(たとえば、第2の位置P2)に向けて、ある程度の時間をかけて発光する場合には(たとえば、蛍光管等を用いる場合には、ある程度時間がかかる)、該一端から他端までの発光が完了するまで、音を発生し続けることができる。さらに、該一端から他端まで発光が進むにつれて、音量を次第に大きくしたり、または小さくすることができる。たとえば、第1の位置P1での発光時には小さい音量で音が発生し、第2の位置P2に向けて発光していくにつれ、音量を大きくしていくことができる。第2の位置P2から第1の位置P1に向けて発光させる場合にも同様に、音量を変化させることができる。
【0044】
こうして、光と音とで強調表示することにより、運転者には、運転席に着座している時の視点から車両先端部までの距離感がイメージとして生成されやすくなり、よって車両感覚をより早期に習得することができる。また、音量を変化させることにより、このようなイメージを、より強調的に運転者に生成することができるようになる。
【0045】
図6および図7を参照して説明したように、様々な音発生形態が考えられるが、どのような形態を実現するかは、予め決められており、音発生手段14の音発生回路は、制御部11からの制御信号に応じて、予め決められた形態(たとえば、発光体の順次の点灯に従って順次に音を発生させる等)で音を発生するよう構成されることができる。代替的に、制御部11は、音を発生させるタイミング毎に制御信号を送るようにしてもよい。音発生回路は、該制御信号を受け取ったことに応じて音を発生する。音量は、該回路に設けられた増幅器を介して制御することができる。
【0046】
図8は、この発明の一実施形態に従う制御プロセスのフローを示す。該プロセスは、車両のECUのCPUによって、より具体的には、図1に示される制御部11によって、エンジンが停止(イグニションスイッチがオフ)されると実行される。
【0047】
ステップS11において、キーレスエントリ装置がドアロックを解除したことを示す信号を検知するまで待機する。前述したように、キーレスエントリ装置は、運転者が携帯するキーから発せられた暗証コードと、該装置自身が予め有しているコードとの照合の結果一致したならば、ドアロックを解除し、該解除を示す信号を発する。ステップS12において、該信号を検知しなければ、ドアロックがまだ解除されていないことを示すので、引き続き待機する。ステップS12において、該信号を検知したならば、発光手段13を介して、図2および図3を参照して説明したように、強調表示を行う。また、図6および図7を参照して説明したように、発光に加えて、音発生手段14による音発生を行ってもよい。
【0048】
こうして、運転者は、乗車しようとするたびに、強調表示を見たり聞いたりすることとなり、運転者は、自身の視点から車両先端までの距離感を把握しやすくなる。乗車の度に、該距離感が、光および音によってイメージとして生成されるので、車両感覚を早期に習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の一実施例に従う、車両感覚の習得を支援するための装置の機能ブロック図。
【図2】この発明の一実施例に従う、発光形態を示す図。
【図3】この発明の一実施例に従う、発光形態を示す図。
【図4】この発明の一実施例に従う、他の発光形態を示す図。
【図5】この発明の他の実施例に従う、車両感覚の習得を支援するための装置の機能ブロック図。
【図6】この発明の他の実施例に従う、音の発生形態を示す図。
【図7】この発明の他の実施例に従う、音の他の発生形態を示す図。
【図8】この発明の一実施例に従う、強調表示を行うプロセスのフローチャート。
【符号の説明】
【0050】
11 制御部
12 強調表示部
13 発光手段
14 音発生手段
15 キーレスエントリ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両感覚の習得を支援するための装置であって、
車両に運転者が着座した際における該運転者の頭部の高さと略同高さにある第1の位置および該車両の前方先端部における第2の位置において発光可能なように設けられた発光手段と、
前記車両に乗車するために取られた運転者による所定のアクションに応じて、前記発光手段による発光を行わせるよう該発光手段を制御する制御手段と、
を備える装置。
【請求項2】
さらに、
前記発光手段は、前記第1の位置および前記第2の位置の中間にある第3の位置において発光可能なように設けられており、
前記制御手段は、前記所定のアクションが取られた後も、前記発光手段による該第3の位置における発光を継続させる、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の位置、前記第3の位置、および前記第2の位置の順に、または前記第2の位置、前記第3の位置、および前記第1の位置の順に発光を行わせるよう前記発光手段を制御する、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
さらに、
音を発することが可能な音発生手段を有しており、
前記制御手段は、前記発光手段による発光と共に前記音を発生させるよう該音発生手段を制御する、
請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記発光手段による前記第1の位置、前記第3の位置、および前記第2の位置の順の発光または前記第2の位置、前記第3の位置、および前記第1の位置の順の発光に従って、前記音発生手段によって発生される音の音量を変更する、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記所定のアクションは、前記車両の施錠を解除するための動作および前記車両のドアを開ける動作のうちの少なくとも一方を含む、
請求項1から5のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−269460(P2009−269460A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121471(P2008−121471)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】