説明

車両操向制御システム及びこれに対する電流供給方法

【課題】電磁クラッチを利用した車両操向装置、これに電流を供給する車両操向制御システム、及びクラッチプレートが磁化されることを防止する電流供給方法を提供する。
【解決手段】モータ12の動力をモータクラッチ110を利用して動力伝達部22及び可変操向部30の何れか一方に選択的に伝達する第1切換部100と、可変操向部30に伝達されたモータ12の動力を、モータクラッチ110を利用してチルト装置40及びテレスコピック装置50の何れか一方に伝達する第2切換部200と、操向ハンドルの操作を補助する動力伝達部20と、チルト装置40及びテレスコピック装置50を有する可変操向部30と、モータ12及びモータクラッチ110の作動を制御する制御部400と、を有し、制御部400は、モータクラッチ110の電磁石を作動させる時、前回にモータクラッチ110の電磁石に供給した電流の極と異なる極の電流を供給することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両操向制御システム及びこれに対する電流供給方法に係り、より詳しくは、1つのモータの動力を利用して操向装置の操作力の補助と、操向軸の傾きの補正及び長さの調整と、を行う車両操向装置の車両操向制御システム及びこれに対する電流供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の動力操向装置(MDPS;Motor Driven Power Steering System)は、別途の油圧又はモータの動力を利用して、運転者に、軽くて迅速な操向操作のための操向軸の操作力を補助する装置である。
動力操向装置は、従来は油圧を利用する油圧方式が主流をなしていたが、最近は、モータの動力を利用する電動方式が多く適用される傾向にある。
【0003】
電動方式の操向装置は、電子制御ユニット(ECU)が、車速センサー及び操向トルクセンサーなどで感知した車両の運行条件を基に、別途に備えられたモータを駆動して、低速運転区間では軽くて便利な操向力を付与し、高速運転区間では重い操向力で方向安全性を付与するように操向装置を制御する。
また、電動式操向装置の操向軸には、操向軸の角度及び長さを調節する可変操向装置であるチルト(Tilt)装置と、テレスコピック(Telescopic)装置が装着される。
【0004】
チルト装置は、運転者の体格に対応して操向ハンドルの位置を調節してより便利に運転ができるようにする装置であり、テレスコピック装置は、操向軸の長さ方向に関して操向ハンドルの位置を調節できるようにする装置である。チルト装置及びテレスコピック装置も、電動式操向装置と同様に、別途のモータが備えられ、モータにより駆動される。
【0005】
しかし、電動式操向装置は車両の走行中に使用されるが、チルト装置及びテレスコピック装置は車両の走行中には使用されないため、それぞれの装置に使用されるモータを別途に備える必要がない。従って、一つのモータを利用して電動式操向装置、チルト装置及びテレスコピック装置を駆動させることが可能である(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
このように、一つのモータでそれぞれの装置を駆動する場合、電磁クラッチを利用することができる。モータの動力は、電磁クラッチの作動により操向軸の操作力補助装置、チルト装置及びテレスコピック装置にそれぞれ伝達される。しかし、電磁石に電流を供給してクラッチを作動する場合、電磁石の磁力によりクラッチのプレートが磁化されることがあり、電磁石に電流を供給してもクラッチが作動されないという問題が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−143229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる問題を解決するためになされた本発明の目的は、電磁クラッチを利用した車両操向装置に効果的に電流を供給する車両操向制御システム及びこれに対する電流供給方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、電磁クラッチを利用した車両操向装置のクラッチプレートが磁化されることを防止する車両操向制御システム及びこれに対する電流供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための本発明の車両操向制御システムは、モータ及びモータ軸を含むモータ駆動部と、モータの動力を利用して操向ハンドルの操作力を補助する動力伝達部と、モータの動力を利用して操向軸の角度及び長さを調節する可変操向部と、を含む車両操向装置において、
モータの動力を、モータクラッチを利用して、動力伝達部又は可変操向部の何れか一方に選択的に伝達する第1切換部と、モータの動力を、モータ駆動部から伝達されて可変操向部に伝達する連結部と、モータの作動及びモータクラッチの作動を調節する制御部と、を含み、
モータクラッチが電磁石を利用したクラッチであり、制御部がモータクラッチの電磁石に対する電流供給を制御することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、モータクラッチの電磁石が作動される時、制御部が、前回にモータクラッチの電磁石に供給された電流の極と異なる極の電流を、モータクラッチの電磁石に供給するように制御することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、可変操向部に伝達されたモータの動力を、可変操向クラッチを利用して、操向軸の角度を調節するチルト装置又は操向軸の長さを調節するテレスコピック装置の何れか一方に選択的に伝達する第2切換部を更に含み、可変操向クラッチが電磁石を利用したクラッチであり、制御部が可変操向クラッチの電磁石に対する電流供給を調節することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、可変操向クラッチの電磁石が作動される時、制御部が、前回に可変操向クラッチの電磁石に供給された電流の極と異なる極の電流を、可変操向クラッチの電磁石に供給するように制御することを特徴とする。
【0013】
また本発明の車両操向装置の電流供給方法は、モータ及びモータ軸を含むモータ駆動部と、モータの動力を利用して操向ハンドルの操作力を補助する動力伝達部と、モータの動力を利用して操向軸の角度を調節するチルト装置及び操向軸の長さを調節するテレスコピック装置を含む可変操向部と、モータの動力を電磁石を利用したモータクラッチによりモータ駆動部から動力伝達部に伝達する第1切換部と、モータの動力と電磁石を利用した可変操向クラッチによりモータ駆動部からチルト装置又はテレスコピック装置に伝達する第2切換部と、を含む車両操向装置に電流を供給する方法であって、
可変操向部のスイッチがスイッチオンであるのか否かを判断する段階と、可変操向部のスイッチがスイッチオンである場合に、保存された第1カウント値に1を加えて、改めて保存する段階と、第1カウント値が奇数であるか又は偶数であるかを判断する段階と、第1カウント値が奇数であった場合に、モータクラッチの電磁石に陽極電流を供給し、第1カウント値が偶数であった場合に、モータクラッチの電磁石に陰極電流を供給する段階と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、テレスコピック装置のスイッチがスイッチオンであるのか否かを判断する段階と、テレスコピック装置のスイッチがスイッチオンである場合に、保存された第2カウント値に1を加えて、改めて保存する段階と、第2カウント値が奇数であるか又は偶数であるかを判断する段階と、第2カウント値が奇数である場合に、可変操向クラッチの電磁石に陽極電流を供給し、第2カウント値が偶数である場合に、可変操向クラッチの電磁石に陰極電流を供給する段階と、を更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両操向制御システムは、一つのモータの動力を、電磁クラッチを含む第1切替部及び第2切替部を用いて、操向ハンドルの操作力を補助する動力伝達部と、操向軸の角度を調節するチルト装置と、操向軸の長さを調節するテレスコピック装置と、の中の何れか一つに選択的に伝達する車両操向装置に、効果的に電流を供給することができる。
また本発明の車両操向制御システムに対する電流供給方法は、電磁クラッチを利用した車両操向装置のクラッチプレートが磁石化されるのを防止し、クラッチ内のプレートが磁化されてクラッチが作動されないという問題を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例による車両操向装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施例による車両操向装置の概略図である。
【図3】本発明の車両操向装置の第1システム及び第1切換部の図であり、(a)は概略図であり、(b)は要部の部分切欠図である。
【図4】本発明の実施例による第1切換部の作動を示すための概略図である。
【図5】本発明の実施例による第1切換部の作動を示すための概略図である。
【図6】本発明の車両操向装置の第2システム及び第2切換部の図であり、(a)は概略図であり、(b)は要部の部分切欠図である。
【図7】本発明の実施例による第2切換部の作動を示すためのである。
【図8】本発明の実施例による第2切換部の作動を示すための概略図である。
【図9】本発明の第1切換部と第2切換部を含む車両操向装置の、操向ハンドルの操作力を補助しようとする場合を示す模式図である。
【図10】本発明の第1切換部と第2切換部を含む車両操向装置の、操向ハンドルの角度を調節しようとする場合を示す模式図である。
【図11】本発明の第1切換部と第2切換部を含む車両操向装置の、操向ハンドルの長さを調節しようとする場合を示す模式図である。
【図12】本発明の車両操向制御システムを示す概略図である。
【図13】本発明において、時間により電磁クラッチに供給される電流を示したグラフである。
【図14】電磁クラッチに電流を供給する方法のフローチャートである。
【図15】電磁クラッチに電流を供給する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例による車両操向装置のブロック図である。図1に示すように、本発明の車両操向装置1は、一つのモータ12の駆動力を利用して、操向ハンドル4(図9参照)の操作力を補助し、操向ハンドル4に結合された操向軸5の角度及び長さを調節する。
具体的には、本発明の実施例による車両操向装置1は、操向ハンドル4の操作力を補助するモータ12の駆動力を、操向軸5の角度及び長さを調節する駆動力にも使用する。
【0018】
車両操向装置1は、モータ12及びモータ軸14を含むモータ駆動部10と、操向ハンドル4の操作力を補助するためにモータ12の動力を操向軸5に伝達する動力伝達部20と、モータ12の動力をを用いて操向軸5の角度と長さとを調節する可変操向部30と、を有する。
【0019】
また、車両操向装置1は、モータ12の動力を可変操向部30に伝達する連結部300と、モータ12の動力を動力伝達部20又は連結部300の何れか一方に選択的に伝達する第1切換部100と、モータ12の動力を可変操向部30のチルト装置40又は可変操向部30のテレスコピック装置50の何れか一方に選択的に伝達する第2切換部200と、を有する。
【0020】
図2は、本発明の実施例による車両操向装置の概略図である。
図2に示すように、モータ駆動部10は、車両操向装置1の作動のための回転力を発生させるモータ12と、モータ12に結合されてモータ12の動力を伝達するモータ軸14と、を有する。モータ軸14は、第1切換部100に連結される。第1切換部100のモータ12の動力は、動力伝達部20及び連結部300に伝達される。
【0021】
動力伝達部20は、モータ駆動部10と操向軸5との間に設けられ、動力伝達軸22とギヤ24とを含む。
動力伝達軸22は、モータ軸14から伝達されたモータ12の動力を、ギヤ24を通じて操向軸5に伝達する。動力伝達軸22に結合されたギヤ24は、操向軸5に結合されたギヤ7と噛合されてモータ12の動力を操向軸5に伝達する。動力伝達軸22に結合したギヤ24と操向軸5に結合したギヤ7は多様な形態で結合される。
【0022】
例えば、動力伝達軸22と操向軸5とが相互に垂直に配置される場合、ギヤ24、7はウォームギアで構成されてもよい。動力伝達軸22に結合されたギヤ24がウォームでに形成され、操向軸5に結合されたギヤ7はウォームホイールに形成される。この場合、回転速度が減速された状態でモータ12の動力が操向軸5に伝達されて操向ハンドル4の操作力を軽くすることができる。
即ち、モータ12の動力は、第1切換部100を通じて動力伝達部20に伝達され、動力伝達部20と操向軸5とを連結するウォームギアを通じて操向軸5に伝達されることによって、操向ハンドル4の操作力を補助する。
【0023】
第1切換部100は、モータ12の動力をモータクラッチ110を介して動力伝達部20又は連結部300の何れか一方に選択的に伝達する。第1切換部100は、モータクラッチ110及び第1伝達部材130を有し、モータ駆動部10と、動力伝達部20と、連結部300と、に連結される。
【0024】
モータ駆動部10のモータ軸14は、モータクラッチ110により、動力伝達部20の動力伝達軸22と連結又は分離される。モータクラッチ110としては多様なクラッチが使用され得る。モータクラッチ110は、電磁クラッチ或いは機械式クラッチであってもよい。
【0025】
モータ軸14と動力伝達軸22とが連結されると、モータ12の動力はモータ軸14から動力伝達軸22に伝達され、またモータ軸14と動力伝達軸22とが分離されると、モータ12の動力はモータ軸14から第1伝達部材130を通じて連結部300に伝達される。
【0026】
可変操向部30は、操向軸5に結合されて操向軸5の角度及び長さを調節する。言い換えると、可変操向部30は、操向ハンドル4の位置を変化させるために、操向ハンドル4に結合された操向軸5の角度及び長さを調節する。可変操向部30は、操向軸5の角度を調節するチルト装置40と、操向軸5の長さを調節するテレスコピック装置50と、第2切換部200と、を有する。
【0027】
チルト装置40とテレスコピック装置50とは、多様な形態で構成することができる。
チルト装置40は、モータ12の動力により回転されて操向軸5の角度を変化させる。チルト装置40は、モータ12の動力により回転されるチルト回転部材41と、チルト回転部材41と、操向軸5を連結させるチルト連結部材43と、を有する。
【0028】
チルト連結部材43は、チルト回転部材41の回転運動を、操向軸5の上下方向の直線運動に変換する。モータ12の動力が連結部300と第2切換部200とを介してチルト回転部材41に伝達されると、チルト回転部材41とチルト連結部材43とは、モータ12の動力を操向軸5に伝達して操向軸5の角度を調節する。
【0029】
テレスコピック装置50は、モータ12の動力により回転されながら操向軸5の長さを変化させる。テレスコピック装置50は、モータ12の動力により回転されるテレスコピック回転部材51と、テレスコピック回転部材51及び操向軸5を連結させるテレスコピック連結部材53と、を有する。
【0030】
テレスコピック連結部材53は、テレスコピック回転部材51の回転運動を操向軸5の長さ方向の直線運動に転換する。即ち、モータ12の動力が連結部300と第2切換部200を介してテレスコピック回転部材51に伝達されると、テレスコピック回転部材51とテレスコピック連結部材53とは、モータ12の動力を操向軸5に伝達して操向軸5の長さを調節する。
【0031】
第2切換部200は、可変操向クラッチ210を利用して、モータ12の動力をチルト装置40又はテレスコピック装置50の何れか一方に伝達する。第2切換部200は、可変操向クラッチ210と第2伝達部材230とを有する。連結部300から伝達されたモータ12の動力は、第2伝達部材230を通じて可変操向クラッチ210に伝達される。
可変操向クラッチ210は、チルト装置40とテレスコピック装置50との何れか一方に選択的に結合され、第2伝達部材230を通じて伝達されたモータ12の動力をチルト装置40又はテレスコピック装置50の何れか一方に伝達する。
【0032】
連結部300は、第1切換部100と可変操向部30とを連結する。具体的に説明すれば、連結部300は、第1切換部100の第1伝達部材130と第2切換部200の第2伝達部材230とを連結する。連結部300は、第1切換部100の第1伝達部材130と連結される第1連結部材310と、第2切換部200の第2伝達部材230に連結される第2連結部材320と、第1連結部材310と第2連結部材320の間を連結する連結軸330と、を有する。
【0033】
モータ12の動力は、モータ軸14に連結された第1伝達部材130を通じて第1連結部材310伝達され、第1連結部材310に連結された連結軸330により第2連結部材320を介して第2切換部200の第2連結部材320伝達される。
【0034】
第1連結部材310は、第1伝達部材130とギヤ結合される。また、モータ軸14と連結軸330とが平行に配置され、第1連結部材310と第1伝達部材130とはスパーギヤで提供される。しかし、これに限定されず、第1連結部材310と第1伝達部材130とは、モータ軸14と連結軸330との位置によって多様なギヤ形態で提供される。また第1連結部材310と第1伝達部材130とは離隔したまま別途の部材(図示せず)により連結することもできる。
【0035】
第2連結部材320は、第2伝達部材230とギヤ結合される。また、第2連結部材320の軸と第2伝達部材230の軸とは垂直に配置され、第2連結部材320と第2伝達部材230とはウォームギヤを構成する。例えば、第2連結部材320がウォームを形成し、第2伝達部材230がウォームホイールを形成する。しかし、これに限定されず、第2連結部材320と第2伝達部材230とは、軸の位置に対応して多様なギヤ形態で設置される。第2連結部材320と第2伝達部材230とは、離隔したまま別途の部材(図示せず)により連結されることもできる。
【0036】
上述したように、車両操向装置1は、動力伝達部20、チルト装置40、及びテレスコピック装置50のうちの何れか一つに選択的にモータ12の動力を伝達する。即ち、車両操向装置1は、第1切換部100と第2切換部200とを利用してモータ12の動力を選択的に伝達する。
【0037】
次に、第1切換部100と第2切換部200とをより詳しく説明することによって本発明の実施例による車両操向装置1を説明する。ここで、第1切換部100の作動と関連した車両操向装置1を第1システムとし、第2切換部200の作動と関連した車両操向装置1を第2システムとする。
【0038】
図3は、本発明の車両操向装置の第1システム及び第1切換部の図であり、(a)は概略図であり、(b)は要部の部分切欠図である。
図3(a)に示すように、車両操向装置1の第1システムは、第1切換部100を利用してモータ12の動力を動力伝達部20又は可変操向部30に選択的に伝達するシステムであって、モータ駆動部10と、動力伝達部20と、第1切換部100と、連結部300と、可変操向部30と、を有する。
モータ駆動部10と、動力伝達部20と、連結部300と可変操向部30と、の構成及び作動は上述した構成及び作動と同一であるため、これに関する説明は省略する。
【0039】
上述したように、第1切換部100は、モータクラッチ110を利用して動力伝達部20又は連結部300の何れか一方にモータ12の動力を伝達する。具体的には、第1切換部100は、モータ駆動部10と、動力伝達部20と、連結部300と、に連結される。これによって、モータ12の動力は、モータクラッチ110の作動によりモータ駆動部10から動力伝達部20又は連結部300に伝達される。
【0040】
図3に示すように、モータクラッチ110は、モータ軸14と動力伝達軸22との間に設けられ、モータ軸14と動力伝達軸22とを連結又は分離させる。モータクラッチ110は、第1クラッチプレート112と、第2クラッチプレート114と、第1電磁石116と、第1弾性部材118と、を有する。
【0041】
第1クラッチプレート112はモータ軸14に結合され、第2クラッチプレート114は第1クラッチプレート112に対応するように動力伝達軸22に結合される。これによって、モータクラッチ110は、第1クラッチプレート112と第2クラッチプレート114とを結合又は分離させ、モータ軸14と動力伝達軸22とを結合又は分離させる。
【0042】
第1電磁石116と第1弾性部材118とは、第1クラッチプレート112又は第2クラッチプレート114を移動させ、モータ軸14と動力伝達軸22とを結合又は分離させる。即ち、第1電磁石116と第1弾性部材118との作用により第1クラッチプレート112が結合されたり第2クラッチプレート114が結合されたりする。
【0043】
図4及び図5は、本発明の実施例による第1切換部の作動を示す概略図である。図4、5において、点線はモータ12の動力伝達方向を示し、太線の矢印はモータクラッチ110の第1クラッチプレート112の作動方向を示す。
図4及び図5に例示するように、第1電磁石116と第1弾性部材118とは第1クラッチプレート112に隣接して設置される。第1電磁石116と第1弾性部材118とは第1クラッチプレート112を移動させ、モータ軸14と動力伝達軸22とを結合又は分離させる。
【0044】
図5に示すように、第1電磁石116は、第1クラッチプレート112とモータ12との間に設置される。第1電磁石116が電流により磁化されると、第1クラッチプレート112は第1電磁石116の方向に移動される。これにより、第1弾性部材118が第1クラッチプレート112に結合され、第1クラッチプレート112を移動させる。
また、図4に示すように、第1電磁石116に電流が供給されない場合、つまり、第1電磁石116が磁化されない場合、第1クラッチプレート112は第1弾性部材118の弾性力により、第2クラッチプレート114の方向に移動される。
【0045】
このように、第1クラッチプレート112は、第1電磁石116と第1弾性部材118とにより移動され、第2クラッチプレート114に結合又は分離される。
第1伝達部材130は、第1クラッチプレート112と第1電磁石116との間に設置され、モータ軸14に選択的に連結される。即ち、第1伝達部材130は、モータ軸14と離隔して配置され、モータクラッチ110の作動により選択的にモータ軸14に連結される。
【0046】
第1伝達部材130は、モータクラッチ110によりモータ軸14と動力伝達軸22とが分離された場合、モータ軸14に連結され、モータ12の動力を連結部300に伝達する。具体的に説明すれば、第1クラッチプレート112が第1電磁石116の磁力により第1電磁石116の方向に移動された時、第1伝達部材130は、モータ軸14に結合された第1クラッチプレート112に結合されて共に回転される。
【0047】
第1クラッチプレート112、第2クラッチプレート114、及び第1伝達部材130それぞれの対応面には、歯(tooth)が形成されてもよい。具体的に説明すると、第1クラッチプレート112と第2クラッチプレート114が当接するそれぞれの面に、相互に噛合可能な歯(tooth)が形成され、第1クラッチプレート112と第1伝達部材130とが当接するそれぞれの面には、互いに噛合可能な歯(tooth)が形成される。これによって、第1クラッチプレート112と第1伝達部材130の結合力と回転伝達力が向上される。
【0048】
第1切換部100は、第1電磁石116の磁力により、モータ軸14と動力伝達軸22とを結合又は分離させ、モータ12の動力を動力伝達部20又は連結部300の何れか一方に伝達する。
即ち、車両操向装置1の第1システムは、モータ12の動力を動力伝達部20又は連結部300の何れか一方にに伝達する。
【0049】
次に、第1システムの作動について詳しく説明する。
図4に示すように、第1電磁石116に電流が供給されない場合には、第1弾性部材118の弾性力により第1クラッチプレート112と第2クラッチプレート114とが結合され、モータ12の動力がモータ軸14から動力伝達軸22に伝達される。動力伝達軸22に伝達されたモータ12の動力は操向軸5に伝達されて操向ハンドル4の操作力を補助する。
【0050】
これとは異なり、図5に示すように、第1電磁石116が電流により磁化された場合には、第1クラッチプレート112が第2クラッチプレート114と分離され、第1伝達部材130と結合される。この場合、モータ12の動力が、第1伝達部材130と連結部300の第1連結部材310とを通じて可変操向部30に伝達される。可変操向部30に伝達されたモータ12の動力は操向軸5の角度及び長さを調節するのに使用される。
【0051】
図6は、本発明の車両操向装置の第2システム及び第2切換部の図であり、(a)は概略図であり、(b)は要部の部分切欠図である。
図6(a)に示すように、車両操向装置1の第2システムは、可変操向部30に伝達されたモータ12の動力を、第2切換部200を利用してチルト装置40又はテレスコピック装置50に伝達するシステムであって、モータ駆動部10と、第1伝達部材130と、連結部300と、第2切換部200と、チルト装置40と、テレスコピック装置50と、を有する。
モータ駆動部10と連結部300との構成及び作動は、上述した構成及び作動と同一であるため、これに関する説明は省略する。
【0052】
第1伝達部材130は、モータ軸14に連結されてモータ12の動力をモータ軸14から連結部300に伝達する。第1伝達部材130としては、多様な形態をとることができる。一例によれば、図6に示したように、第1切換部100の第1伝達部材130を利用することができる。
上述したように、第2切換部200は、モータ12の動力を、可変操向クラッチ210を利用してチルト装置40又はテレスコピック装置50の何れか一方に伝達する。
【0053】
具体的に説明すると、第2切換部200は、チルト装置40と、テレスコピック装置50と、連結部300とに連結され、連結部300から伝達されたモータ12の動力を可変操向クラッチ210の作動によりチルト装置40又はテレスコピック装置50の何れか一方に伝達する。第2切換部200は、連結部300に連結された状態で、チルト装置40とテレスコピック装置50との何れか一方に選択的に結合される。
【0054】
図6(b)に示すように、第2切換部200は、連結部300の第2連結部材320に連結される第2伝達部材230と、第2伝達部材230からモータ12の動力を伝達される可変操向クラッチ210と、を有する。
可変操向クラッチ210は、第2伝達部材230に結合される連結クラッチプレート212と、チルト回転部材41に結合される第1接触プレート214と、テレスコピック回転部材51に結合される第2接触プレート216と、第2電磁石218と、第2弾性部材219と、を有する。
【0055】
連結クラッチプレート212は、第1接触プレート214と第2接触プレート216の間で移動しながら、連結部300とチルト装置40又はテレスコピック装置50を結合又は分離させる。
具体的に説明すると、第2電磁石218と第2弾性部材219とが連結クラッチプレート212を移動させ、連結クラッチプレート212が第1接触プレート214と結合されると第2接触プレート216と分離され、連結クラッチプレート212が第1接触プレート214と分離されると第2接触プレート216と結合される。
【0056】
図6(a)及び(b)を参照しながら、本発明の一実施例によるチルト装置40と、テレスコピック装置50と、可変操向クラッチ210と、第2伝達部材230と、を具体的に説明する。
図6(a)に示すように、チルト装置40は、パイプ本体45及び作動プレート47を有する。
【0057】
パイプ本体45は、その一端に第1接触プレート214が結合されて連結クラッチプレート212によって回転される。パイプ本体45の外周面には第1ねじ山49が形成され、パイプ本体45が回転された時、作動プレート47が第1ねじ山49に沿って移動しながら操向軸5の角度を変化させる。作動プレート47は、パイプ本体45と操向軸5とにそれぞれ連結され、多様な形態をとることができる。
【0058】
テレスコピック装置50は、シャフト本体55と、ナット部材57と、移動部材59と、を有する。
シャフト本体55は、一部がチルト装置40のパイプ本体45の内部に挿入され、パイプ本体45に挿入されない残りの部分の外周面に第2ねじ山56が形成されてナット部材57の第3ねじ山58とねじ結合される。
【0059】
ナット部材57の一端には第2接触プレート216が結合され、連結クラッチプレート212と第2接触プレート216とが結合されて回転されると、ナット部材57も回転される。これによって、シャフト本体55は、ナット部材57の第3ねじ山58に沿って回転されながら長さ方向に移動される。シャフト本体55と、操向軸5を連結する移動部材59と、は、シャフト本体55が移動される時、操向軸5も共に移動される。
【0060】
可変操向クラッチ210の連結クラッチプレート212は、テレスコピック装置50のシャフト本体55に連結されて第1接触プレート214と第2接触プレート216との間に配置される。第2伝達部材230は、連結クラッチプレート212の外周面に結合され、連結部300の第2連結部材320と噛合される。
【0061】
可変操向クラッチ210の第2電磁石218は、第2接触プレート216に隣接するように設置され、第2弾性部材219は、テレスコピック装置50のシャフト本体55に挿入されて連結クラッチプレート212に結合される。
【0062】
図7及び図8は、本発明の実施例による第2切換部の作動を示すための概略図である。図7及び図8において、点線はモータ12の動力の伝達方向を示し、太い矢印は可変操向クラッチ210の連結クラッチプレート212の作動方向を示す。
図7に示すように、第2電磁石218に電流が供給されない場合、即ち、第2電磁石218が電流により磁化されていない場合は、連結クラッチプレート212は第2弾性部材219により第1接触プレート214に結合される。
【0063】
図8に示すように、第2電磁石218に電流が供給された場合、即ち、第2電磁石218が電流により磁化された場合は、第2電磁石218は連結クラッチプレート212を第2接触プレート216の方向に引き寄せ、これによって、連結クラッチプレート212は第1接触プレート214から分離されて第2接触プレート216と結合される。
【0064】
連結クラッチプレート212と、第1接触プレート214と、第2接触プレート216と、のそれぞれの対応面に、歯(tooth)が形成されてもよい。即ち、第1接触プレート214と連結クラッチプレート212とが当接するそれぞれの面に、相互に噛合可能な歯が形成され、第2接触プレート216と連結クラッチプレート212とが当接するそれぞれの面には、相互に噛合可能な歯が形成される。これによって、結合力と回転伝達力とを向上させることができる。
【0065】
次に、第2システムの作動について詳しく説明する。車両操向装置1の第2システムは、モータ12の動力をチルト装置40又はテレスコピック装置50に伝達する。次に、第2システムの作動を詳しく説明する。
【0066】
図7に示すように、第2電磁石218に電流が供給されない場合には、第2弾性部材219の弾性力により連結クラッチプレート212と第1接触プレート214とが結合される。従って、モータ12の動力は、第1伝達部材130と連結部300とを経て第2伝達部材230に伝達され、第2伝達部材230を回転させる。第2伝達部材230の回転により連結クラッチプレート212及び第1接触プレート214が回転される。第1接触プレート214の回転によりチルト装置40のパイプ本体45が回転され、操向軸5はチルト装置40の作動プレート47により角度が調節される。
【0067】
第2電磁石218に電流が供給された場合には、図8に示すように、連結クラッチプレート212と第2接触プレート216とが結合される。従って、モータ12の動力が第1伝達部材130と連結部300とを経て第2伝達部材230に伝達され、第2伝達部材230が回転される。第2伝達部材230が回転されることにより連結クラッチプレート212及び第2接触プレート216が回転される。テレスコピック装置50のシャフト本体55は第2接触プレート216とナット部材57とにより回転され、これによって操向軸5はテレスコピック装置50の移動部材59により長さが変更される。
【0068】
図9乃至図11は、本発明の第1切換部と第2切換部を含む車両操向装置を示す模式図であり、点線はモータ12の動力の伝達方向を示す。
ここで、車両操向装置1は、第1切換部100の第1電磁石116及び/又は第2切換部200の第2電磁石218に電流を供給して、モータ12の動力を動力伝達部20、チルト装置40及びテレスコピック装置50のうちの何れか一つに伝達する。
【0069】
図9は、本発明の第1切換部と第2切換部を含む車両操向装置の、操向ハンドルの操作力を補助しようとする場合を示す模式図である。図9に示すように、操向ハンドル4の操作力を補助しようとする場合には、第1切換部100の第1電磁石116及び第2切換部200の第2電磁石218の何れにも電流を供給しない。これによって、第1クラッチプレート112は、第1弾性部材118により第2クラッチプレート114と結合されてモータ12の動力を動力伝達軸22を通じて操向軸5に伝達する。この時、連結クラッチプレート212も第2弾性部材219により第1接触プレート214と結合されている。
【0070】
図10は、本発明の第1切換部と第2切換部を含む車両操向装置の、操向ハンドルの角度を調節しようとする場合を示す模式図である。図10に示すように、第1切換部100の第1電磁石116に電流を供給し、第2切換部200の第2電磁石218には電流を供給しない。これによって、第1クラッチプレート112は、第1伝達部材130と結合されてモータ12の動力を連結部300に伝達する。第1接触プレート214と結合された連結クラッチプレート212は、連結部300から伝達されたモータ12の動力をチルト装置40に伝達して操向軸5の角度を調節する。
【0071】
図11は、本発明の第1切換部と第2切換部を含む車両操向装置の、操向ハンドルの長さを調節しようとする場合を示す模式図である。、図11に示すように、第1切換部100の第1電磁石116及び第2切換部200の第2電磁石218の両方に電流を供給する。これによって、第1クラッチプレート112は、第1伝達部材130と結合されてモータ12の動力を連結部300に伝達する。第2接触プレート216と結合された連結クラッチプレート212は、連結部300から伝達されたモータ12の動力をテレスコピック装置50に伝達して操向軸5の長さを調節する。
【0072】
図12は、本発明の車両操向制御システムを示す概略図である。
図12に示すように、車両操向制御システム2は、一つの制御部400を利用して車両操向装置1を制御する。
制御部400は、モータ12と、第1切換部100のモータクラッチ110と、第2切換部200の可変操向クラッチ210と、を制御する。具体的に記載すると、制御部400は、モータ12の駆動信号と、モータクラッチ110の作動信号と、可変操向クラッチ210の作動信号と、を送信する。
【0073】
制御部400は、操向ハンドル4の操作が感知された場合、即ち、運転時に操向ハンドル4が操作された場合と、操向ハンドル4の角度又は長さの調節のために可変操向スイッチ410が作動された場合と、にモータ12に駆動信号を送信する。
また制御部400は、モータクラッチ110に作動信号を送信し、モータ軸14と動力伝達軸22との結合又は分離を制御する。即ち、制御部400は、操向ハンドル4の操作力を補助する場合に、モータ軸14と動力伝達軸22とを結合させ作動信号を送信し、操向ハンドル4の角度又は長さを調節する場合には、モータ軸14と動力伝達軸22とを分離させる作動信号を送信する。
【0074】
また、制御部400は、可変操向クラッチ210に作動信号を送信して可変操向クラッチ210がチルト装置40又はテレスコピック装置50のうちの何れかと結合するように制御する。即ち、制御部400は、車両操向装置1の操向ハンドル4の角度を調節する場合には、可変操向クラッチ210とチルト装置40とを結合させる作動信号を送信し、車両操向装置1の操向ハンドル4の長さを調節する場合には、可変操向クラッチ210をテレスコピック装置50と結合させる作動信号を送信する。
【0075】
次に、本発明の車両操向制御システム2の作動を図3及び図6に示した第1切換部及び第2切換部と関連して具体的に説明する。
制御部400は、操向ハンドル4の操作が感知されるとモータ12に駆動信号を送信し、可変操向スイッチ410がスイッチオンされるとモータクラッチ110の第1電磁石116に電流を供給する作動信号を送信し、テレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンされると可変操向クラッチ210の第2電磁石218に電流を供給する作動信号を送信する。
【0076】
次に、制御部400を含む車両操向制御システム2の作動をより具体的に説明する。
操向ハンドル4の操作が感知されると、制御部400は、モータ12に駆動信号を送信してモータ12を駆動させる。即ち、運転中に操向ハンドル4を操作した場合、制御部400はモータ12に駆動信号を送信し、これによってモータ12の動力はモータ軸14と結合された動力伝達軸22を介して操向軸5に伝達される。
【0077】
可変操向スイッチ410がスイッチオンされると、制御部400は、モータ12に駆動信号を送信し、かつモータクラッチ110の第1電磁石116に電流を供給するための作動信号を送信する。これによって、モータクラッチ110の第1電磁石116が電流により磁化され、第1電磁石116の磁力によりモータ軸14から動力伝達軸22が分離され、モータ12の動力がモータ軸14と連結された連結部300を通じて可変操向部30に伝達される。
【0078】
ここで、チルト装置40のスイッチ412がスイッチオンされると、モータ12の動力は、可変操向クラッチ210の連結クラッチプレート212と結合されたチルト装置40を通じて操向軸5に伝達される。
【0079】
また、テレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンされると、制御部400は、モータ12に駆動信号を送信し、モータクラッチ110の第1電磁石116に電流を供給させる作動信号と、可変操向クラッチ210の第2電磁石218に電流を供給させる作動信号と、を送信する。これによって、可変操向クラッチ210の第2電磁石218が電流により磁化され、第2電磁石218の磁力により連結クラッチプレート212がテレスコピック装置50に結合される。この場合、モータ12の動力がモータ軸14と連結された連結部300を通じて可変操向部30の連結クラッチプレート212に伝達され、テレスコピック装置50を通じて操向軸5に伝達される。
【0080】
図13は、本発明において、時間により電磁クラッチに供給される電流を示したグラフである。
図13に示すように、制御部400は、モータクラッチ110の第1電磁石116と、可変操向クラッチ210の第2電磁石218と、に供給される電流の極が順次に変わるように送電する。即ち、制御部400は、前回に供給した電流の極と異なる極の電流をそれぞれの電磁石に供給する。
【0081】
具体的に説明すれば、最初に可変操向スイッチ410、つまり、チルト装置40のスイッチ412又はテレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンされた場合、制御部400は、第1、2電磁石116、218に、例えば陽極(+)の電流を供給するように作動信号を送信した場合、次回再びチルト装置40のスイッチ412又はテレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンされた場合、制御部400は、第1、2電磁石116、218に陰極(−)の電流を供給するように作動信号を送出する。
【0082】
チルト装置40のスイッチ412がスイッチオンされると、操向軸5の角度を変更するために、モータ12の動力が可変操向部30のチルト装置40に伝達される。つまり、モータクラッチ110の第1電磁石116に電流が供給される。モータクラッチ110の第1クラッチプレート112は、第1電磁石116の磁力により第2クラッチプレート114と分離され、第1伝達部材130と結合される。この時、制御部400は、第1電磁石116に、前回に供給した電流と異なる極の電流が供給されるように制御する。
【0083】
テレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンされると、操向軸5の長さを変更するために、モータ12の動力が可変操向部30のテレスコピック装置50に伝達される。つまり、モータクラッチ110の第1電磁石116及び可変操向クラッチ210の第2電磁石218に電流が供給される。モータクラッチ110の第1クラッチプレート112は、第1電磁石116の磁力により第2クラッチプレート114と分離され、第1伝達部材130と結合され、可変操向クラッチ210の連結クラッチプレート212は、第2電磁石218の磁力により第1接触プレート214と分離され、第2接触プレート216と結合される。この時、制御部400は、以前に供給した電流と異なる極の電流がそれぞれの電磁石116、218に供給されるように制御する。
【0084】
次に、本発明の一実施例によるそれぞれの電磁石116、218に電流を供給する方式を説明する。
図14は、電磁クラッチに電流を供給する方法のフローチャートである。
図14に示すように、制御部400は、可変操向スイッチ410がスイッチオンであるのか否かを判断する(S100)。もし、可変操向スイッチ410がスイッチオンである場合、制御部400は、カウント計算を行う(S110)。カウント計算は、可変操向スイッチ410がスイッチオンされる度に行う。例えば、最初に可変操向スイッチ410がスイッチオンされた場合には、カウントを1にし、次に可変操向スイッチ410がスイッチオンされた場合には、カウントを2にする。
【0085】
カウントが奇数であるのか判断し(S120)、カウントが奇数又は偶数であるかによってそれぞれの電磁石116、218に供給される電流の極を変える。一例によれば、カウントが奇数である場合、それぞれの電磁石116、218に陽極の電流を供給し(S130)、カウントが偶数である場合、それぞれの電磁石116、218に陰極の電流を供給する(S140)。しかし、これに限定されない。
【0086】
具体的に説明すれば、チルト装置40のスイッチ412がスイッチオンされた場合とテレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンされた場合とを分離してカウント計算をそれぞれ行う。
【0087】
チルト装置40のスイッチ412がスイッチオンされた場合は、モータクラッチ110の第1電磁石116に電流を供給するが、テレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンされた場合は、モータクラッチ110の第1電磁石116及び可変操向クラッチ210の2電磁石218に電流を供給する。従って、モータクラッチ110の第1電磁石116に対するカウント計算と、可変操向クラッチ210の第2電磁石218に対するカウント計算と、を分離して行う。
【0088】
図15は、電磁クラッチに電流を供給する方法のフローチャートである。
図15に示すように、制御部400は、チルト装置40又はテレスコピック装置50の作動有無に関係なく可変操向スイッチ410がスイッチオンであるのか判断する(S200)。もし、可変操向スイッチ410がスイッチオンである場合、以前に保存された第1カウント値に1を加え(S210)、第1カウントを改めて保存する。制御部400は、カウントが奇数であるのか判断し(S220)、カウントが奇数である場合、モータクラッチ110の電磁石116に陽極の電流を供給し(S230)、カウントが偶数である場合、モータクラッチ110の電磁石116に陰極の電流を供給する(S240)。
【0089】
その後、制御部400は、テレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンであるのか判断し(S250)、テレスコピック装置50のスイッチ414がスイッチオンである場合、保存された第2カウント値に1を加え(S260)、第2カウントを改めて保存する。
【0090】
第1カウント値及び第2カウント値のそれぞれが奇数であるかのか判断し(S220、S270)、第1カウント値が奇数である場合、モータクラッチ110の第1電磁石116に陽極電流を供給し(S230)、第1カウント値が偶数である場合、モータクラッチ110の第1電磁石116に陰極電流を供給する(S240)。また、第2カウント値が奇数である場合、可変操向クラッチ210の第2電磁石218に陽極電流を供給し(S280)、第2カウント値が偶数である場合、可変操向クラッチ210の電磁石218に陰極電流を供給する(S290)。
【0091】
車両操向装置を作動させるスイッチ410、412、414は、運転者によりスイッチオン/オフされる手動式、又はセンサーによりスイッチオン/オフされる自動式であってもよい。
【0092】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 車両操向装置
2 車両操向制御システム
4 操向ハンドル
5 操向軸
7 ギヤ
10 モータ駆動部
12 モータ
14 モータ軸
20 動力伝達部
22 動力伝達軸
24 ギヤ
30 可変操向部
40 チルト装置
41 チルト回転部材
43 チルト連結部材
45 パイプ本体
47 作動プレート
49 第1ねじ山
50 テレスコピック装置
51 テレスコピック回転部材
53 テレスコピック連結部材
55 シャフト本体
56 第2ねじ山
57 ナット部材
58 第3ねじ山
59 移動部材
100 第1切換部
110 モータクラッチ
112 第1クラッチプレート
114 第2クラッチプレート
116 第1電磁石
118 第1弾性部材
130 第1伝達部材
200 第2切換部
210 可変操向クラッチ
212 連結クラッチプレート
214 第1接触プレート
216 第2接触プレート
218 第2電磁石
219 第2弾性部材
230 第2伝達部材
300 連結部
310 第1連結部材
320 第2連結部材
330 連結軸
400 制御部
410 可変操向スイッチ
412 チルト装置のスイッチ
414 テレスコピック装置のスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ及びモータ軸を含むモータ駆動部と、前記モータの動力を利用して操向ハンドルの操作力を補助する動力伝達部と、前記モータの動力を利用して操向軸の角度及び長さを調節する可変操向部と、を含む車両操向装置において、
前記モータの動力を、モータクラッチを利用して、前記動力伝達部又は前記可変操向部の何れか一方に選択的に伝達する第1切換部と、
前記モータの動力を、前記モータ駆動部から伝達されて前記可変操向部に伝達する連結部と、
前記モータの作動及び前記モータクラッチの作動を調節する制御部と、を含み、
前記モータクラッチが電磁石を利用したクラッチであり、前記制御部が前記モータクラッチの電磁石に対する電流供給を調節することを特徴とする車両操向制御システム。
【請求項2】
前記モータクラッチの電磁石が作動される時、前記制御部は、前回に前記モータクラッチの電磁石に供給された電流の極と異なる極の電流を、前記モータクラッチの電磁石に供給するように制御することを特徴とする請求項1に記載の車両操向制御システム。
【請求項3】
前記可変操向部に伝達された前記モータの動力を、可変操向クラッチを利用して、操向軸の角度を調節するチルト装置又は操向軸の長さを調節するテレスコピック装置の何れか一方に選択的に伝達する第2切換部を更に含み、
前記可変操向クラッチが電磁石を利用したクラッチであり、
前記制御部が前記可変操向クラッチの電磁石に対する電流供給を調節することを特徴とする請求項1に記載の車両操向制御システム。
【請求項4】
前記可変操向クラッチの電磁石が作動される時、前記制御部は、前回に前記可変操向クラッチの電磁石に供給された電流の極と異なる極の電流を、前記可変操向クラッチの電磁石に供給するように制御することを特徴とする請求項3に記載の車両操向制御システム。
【請求項5】
モータ及びモータ軸を含むモータ駆動部と、前記モータの動力を利用して操向ハンドルの操作力を補助する動力伝達部と、前記モータの動力を利用して操向軸の角度を調節するチルト装置及び前記操向軸の長さを調節するテレスコピック装置を含む可変操向部と、前記モータの動力を電磁石を利用したモータクラッチにより前記モータ駆動部から前記動力伝達部に伝達する第1切換部と、前記モータの動力と電磁石を利用した可変操向クラッチにより前記モータ駆動部から前記チルト装置又は前記テレスコピック装置に伝達する第2切換部と、を含む車両操向装置に電流を供給する方法であって、
前記可変操向部のスイッチがスイッチオンであるのか否かを判断する段階と、
前記可変操向部のスイッチがスイッチオンである場合に、保存された第1カウント値に1を加えて、改めて保存する段階と、
前記第1カウント値が奇数であるか又は偶数であるかを判断する段階と、
前記第1カウント値が奇数であった場合に、前記モータクラッチの電磁石に陽極電流を供給し、前記第1カウント値が偶数であった場合に、前記モータクラッチの電磁石に陰極電流を供給する段階と、
を含むことを特徴とする車両操向制御システムに対する電流供給方法。
【請求項6】
前記テレスコピック装置のスイッチがスイッチオンであるのか否かを判断する段階と、
前記テレスコピック装置のスイッチがスイッチオンである場合に、保存された第2カウント値に1を加えて、改めて保存する段階と、
前記第2カウント値が奇数であるか又は偶数であるかを判断する段階と、
前記第2カウント値が奇数である場合に、前記可変操向クラッチの電磁石に陽極電流を供給し、前記第2カウント値が偶数である場合に、前記可変操向クラッチの電磁石に陰極電流を供給する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の車両操向制御システムに対する電流供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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