説明

車両検出装置、車両検出システム、及び、車両検出装置の制御方法

【課題】車両有無の検出結果を親機に送信する車両検出装置における消費電力の抑制。
【解決手段】複数の車両検出装置である子機と親機とから構成される車両検出システムでは、各子機から親機へ所定周期(750ms間隔)で当該周期における車両有無の検出結果を含む車両検出データが送信される。子機では、通常、子機側制御機の動作状態がスリープ状態となっているとともに、子機側無線機の電源が遮断されている。車両有無の検出結果が変化すると、子機側制御機がアクティブ状態に移行するとともに、子機側無線機の電源が投入され、検出結果の変化時点からの検出結果データの蓄積が開始される。そして、親機からの同報通知が受信されると、その時点までの検出結果蓄積データを含む車両検出データが子機側無線機を介して親機に送信され、送信が完了すると、子機側無線機の電源が遮断された後、子機側制御機がスリープ状態に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両感知器からの感知信号を入力し、車両検出データを親機に送信する車両検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、路側に設置されて道路を走行する車両に搭載されている車載通信装置とデータ通信を行う無線通信装置を備えた車両通信システムが知られている。このような車両通信システムには、消費電力の抑制のため、遠赤外センサによって通信可能な領域への車両の進入を検知すると、無線通信装置を起動してデータ送信を行う構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−200021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、路側に設置されて、道路を走行する車両を検出する車両検出装置から、車両検出結果が、例えば交差点毎に設置された親機に送信される車両検出システムが知られている。親機は、交差点に流入する各交通路の交通量をできる限りリアルタイムに知る必要があるため、各流入路に設置された車両検出装置それぞれでの車両検出結果は許容される所定の遅れ時間内に親機に送信される必要があった。そこで、車両検出装置から親機への車両検出結果の送信を定期的に行う方法が望ましいと考えられていた。しかし、定期的に通信を行うことは、車両検出装置における消費電力の抑制とは相反する方法になり得た。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、車両有無の検出結果を親機に送信する車両検出装置における消費電力の抑制を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、
車両感知器(例えば、図1,図12の車両感知器100)からの感知信号を入力し、無線通信装置(例えば、図1,図12の子機側無線機300)を介して車両検出データを親機(例えば、図1,図12の親機50)に送信する車両検出装置(例えば、図1,図12の子機10)であって、
前記感知信号に基づき車両の有無を検出する車両検出手段(例えば、図12の車両検出部211)と、
前記車両検出手段による検出結果に変化が生じた場合に、前記無線通信装置の電源を投入する電源投入手段(例えば、図12の電源制御部213)と、
所定の周期期間毎に、当該周期期間内で前記車両検出手段による検出結果に変化が生じなかった場合には当該周期期間分の前記車両検出データを送信せず、変化が生じた場合には前記車両検出手段による当該周期期間の検出結果を前記車両検出データに含めて前記電源投入手段による電源投入の後に前記親機に送信する制御を行う送信制御手段(例えば、図12の送信制御部212)と、
前記車両検出データの送信の後に前記無線通信装置の電源を遮断する電源遮断手段(例えば、図12の電源制御部213)と、
を備えた車両検出装置である。
【0006】
また、他の発明として、
車両感知器からの感知信号を入力し、当該感知信号に基づいて車両の有無を検出する車両検出手段を備え、無線通信装置を介して車両検出データを親機に送信する車両検出装置の制御方法であって、
前記車両検出手段による検出結果に変化が生じた場合に、前記無線通信装置の電源を投入する電源投入ステップ(例えば、図13のステップA11)と、
所定の周期期間毎に、当該周期期間内で前記車両検出手段による検出結果に変化が生じなかった場合には当該周期期間分の前記車両検出データを送信せず、変化が生じた場合には前記車両検出手段による当該周期期間の検出結果を前記車両検出データに含めて前記電源投入ステップによる電源投入の後に前記親機に送信する制御を行う送信制御ステップ(例えば、図13のステップA37)と、
前記車両検出データの送信の後に前記無線通信装置の電源を遮断する電源遮断ステップ(例えば、図14のステップB9)と、
を含む車両検出装置の制御方法を構成しても良い。
【0007】
この第1の発明等によれば、車両感知器からの感知信号に基づいて車両の有無を検出し、無線通信装置を介して車両検出結果データを親機に送信する車両検出装置において、所定の周期期間毎に、車両有無の検出結果に変化が生じなかった場合には当該周期期間における車両検出データが送信されず、検出結果に変化が生じた場合には、無線通信装置の電源が投入されて当該周期期間における車両検出データが送信され、送信の後に無線通信装置の電源が遮断される。つまり、車両有無の検出結果に変化が生じた場合にのみ車両検出データを送信するとともに、無線通信装置の電源は、車両検出データを送信するときに投入し、それ以外のときには遮断しておく。これにより、車両検出装置における消費電力の低減を図ることができるとともに、親機側にとっても、周期期間毎という遅れはあるものの、ほぼリアルタイムに車両有無の検出結果を判定・認知することができる。
【0008】
第2の発明として、第1の発明の車両検出装置であって、
少なくとも前記車両検出手段の動作を有効としたスリープ状態から、前記車両検出手段による検出結果に変化が生じたことを契機としてアクティブ状態に自装置の動作状態を移行させるとともに、前記送信制御手段による前記車両検出データの送信後に前記スリープ状態に移行させる動作状態制御手段(例えば、図12の送信制御部212;図14のステップB11)を更に備えた車両検出装置を構成しても良い。
【0009】
この第2の発明によれば、車両検出装置の動作状態が、車両有無の検出結果に変化が生じたことを契機として、スリープ状態からアクティブ状態に移行するとともに、車両検出データの送信後にスリープ状態に移行する。スリープ状態では、アクティブ状態に比較して消費電力が少なくて済む。これにより、車両検出装置における更なる消費電力の削減が図れる。
【0010】
第3の発明として、第1又は第2の発明の車両検出装置であって、
各走行レーン毎に設けられた複数の前記車両感知器からの感知信号を入力可能に構成され、
前記車両検出手段は、前記複数の車両感知器からの感知信号それぞれについて車両の有無を検出し、
前記電源投入手段は、前記車両検出手段による車両の有無の検出結果の何れかが変化した場合に電源を投入し、
前記送信制御手段は、前記車両検出手段による車両の有無の検出結果の何れも変化しなかった場合には当該周期期間分の前記車両検出データを送信せず、何れかが変化した場合には当該周期期間分の前記車両検出データを送信する、
車両検出装置を構成しても良い。
【0011】
この第3の発明によれば、走行レーン毎に設けられた複数の車両感知器からの感知信号が入力される車両検出装置についても、消費電力の削減が図れる。この場合、複数の車両感知器からの感知信号それぞれについて検出された複数の車両有無の検出結果の何れかが変化した場合に、無線通信装置の電源が投入されて車両検出データが送信され、複数の車両有無の検出結果の何れも変化しなかった場合には、車両結果データが送信されず、無線通信装置の電源が投入されない。
【0012】
第4の発明として、第1〜第3の何れかの発明の車両検出装置であって、
前記送信制御手段は、当該周期期間において前記車両検出手段による検出結果に変化が生じた時期を示す変化時期情報(例えば、図4の「空回りビット数」及び「有効ビット数」)を前記車両検出データに含めて送信する、
車両検出装置を構成しても良い。
【0013】
この第4の発明によれば、当該周期期間において車両有無の検出結果に変化が生じた時期を示す変化時期情報が、車両検出データに含めて送信される。これにより、親機において、受信した車両検出データをもとに車両有無を時系列に展開するときに、変化時期情報が示す検出結果の変化時期に該当する部分だけをデータの中から抽出すれば良いので、検出結果の展開にかかる時間を短縮することができる。
【0014】
具体的には、例えば、第5の発明として、第4の発明の車両検出装置であって、
前記周期期間毎に、前記車両検出手段による検出結果が当該周期期間内で最初に変化してから最後に変化した時までの時間間隔(例えば、図4の「有効ビット数」)を計数する変化時間計数手段(例えば、図12の送信制御部212)を更に備え、
前記送信制御手段は、前記変化時間計数手段により計数された時間間隔を前記変化時期情報として前記車両検出データに含めて送信する、
車両検出装置を構成しても良い。
【0015】
この第5の発明によれば、周期期間毎に、車両有無の検出結果が当該周期期間内で最初に変化してから最後に変化した時までの時間間隔が、変化時期情報として車両検出結果データに含めて送信される。これにより、親機は、車両有無の時系列データのうちから、変化時期情報に示される時間間隔分だけデータを抽出すれば済む。
【0016】
また、例えば、第6の発明として、第4又は第5の発明の車両検出装置であって、
前記周期期間毎に、当該周期期間の始期から、前記車両検出手段による検出結果が最初に変化するまでの時間間隔を計数(例えば、図4の「空回りビット数」)する初期変化待機時間計数手段(例えば、図12の送信制御部212)を更に備え、
前記送信制御手段は、前記初期変化待機時間計数手段により計数された時間間隔を前記変化時期情報として前記車両検出データに含めて送信する、
車両検出装置を構成しても良い。
【0017】
この第6の発明によれば、周期期間毎に、当該周期期間の始期から車両有無の検出結果が最初に変化するまでの時間間隔が、変化時期情報として車両検出データに含めて送信される。これにより、親機は、車両有無の時系列のデータのうちから、変化時期情報に示される最初に変化するまでの時間分のデータを読み取る必要がなくなる。
【0018】
そして、第7の発明として、複数の第1〜第6の何れかの発明の車両検出装置と、
前記複数の車両検出装置それぞれと無線通信して各車両検出装置から前記車両検出データを受信する親機と、
を具備する車両検出システムを構成しても良い。
【0019】
更に、複数の第4〜第6の何れかの発明の車両検出装置と、前記複数の車両検出装置それぞれと無線通信して各車両検出装置から前記車両検出データを受信する親機とを具備する車両検出システムであって、
前記親機は、
前記車両検出データに含まれる前記変化時期情報を用いて、当該周期期間において当該車両検出装置が検出した車両有無を当該車両検出データから展開する手段を備える、
車両検出システムを構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】車両検出システムの設置例。
【図2】親機と各子機との間の通信手順の説明図。
【図3】子機における車両有無の検出結果の一例。
【図4】車両検出データのデータ構成例。
【図5】子機の動作を説明するタイムチャート。
【図6】子機の動作を説明するタイムチャート。
【図7】子機の動作を説明するタイムチャート。
【図8】子機の動作を説明するタイムチャート。
【図9】子機の動作を説明するタイムチャート。
【図10】子機の動作を説明するタイムチャート。
【図11】子機の動作を説明するタイムチャート。
【図12】車両検出システムの機能構成図。
【図13】子機で実行される送信制御処理のフローチャート。
【図14】送信制御処理中に実行される送信待機処理のフローチャート。
【図15】親機で実行される親機側処理のフローチャート。
【図16】複数の車両検知器を有する子機の動作を説明するタイムチャート。
【図17】複数の車両検知器を有する子機から送信される車両検出データのデータ構成例。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0022】
[システム構成]
図1は、本実施形態の車両検出システム1の設置例を示す図である。同図によれば、車両検出システム1は、例えば交差点毎に設置・構成され、車両検出装置である複数(同図では、4台)の子機10と、親機50とから構成される。
【0023】
子機10は、交差点を形成する交通路それぞれを対象として設置され、車両感知器100と、子機側制御機200と、子機側無線機300とを有する。子機側制御機200と車両感知器100及び子機側無線機300それぞれとは有線ケーブルで接続され、データの送受信が可能となっている。また、この子機10は、太陽電池(不図示)を電源として動作する。
【0024】
車両感知器100は、路側に設置された柱の上方に、感知対象の走行レーンを上方から俯瞰するように設置されている。この車両感知器100は、例えばサーモパイル素子を用いた遠赤外線式であり、感知対象の温度に応じたレベルの感知信号を、随時、子機側制御機200に出力する。
【0025】
子機側制御機200は、車両感知器100が設置された柱の下方に設置され、車両感知器100からの感知信号をもとに該当するレーンの車両の有無を検出し、「車両検出データ」を、子機側無線機300を介して親機50に送信する。
【0026】
子機側無線機300は、車両感知器100が設置された柱の上方に設置され、親機側無線機600との間で所定の無線通信(例えば、SS(Spread Spectrum)無線通信)を行う。
【0027】
親機50は、親機側制御機500と、親機側無線機600とを有し、例えば、交差点近傍に設置された柱の上方に親機側無線機600が設置され、下方に親機側制御機500が設置されている。親機側制御機500と親機側無線機600とは有線ケーブルにて接続され、データの送受信が可能となっている。
【0028】
親機側制御機500は、子機側無線機300を介して子機10それぞれから受信した車両検出データをもとに、交通路毎の車両有無の検出結果を集約する。集約したデータは、例えば、所定の通信回線を介して接続された集中管理センタ等に送信される。
【0029】
親機側無線機600は、子機側無線機300それぞれとの間で所定の無線通信(例えば、SS無線通信)を行う。
【0030】
なお、同図では、4つの交通路で構成される十字交差点を対象とし、4台の子機10が設置される場合を示しているが、交差点の形状や子機10の設置数はこれに限らない。
【0031】
[原理]
先ず、親機50と子機10それぞれとの間の通信手順について説明する。図2は、親機50と子機10との間の通信手順を説明する図である。同図では、1台の親機50と4台の子機10との間で無線通信を行う場合を示している。また、横方向を時間軸として、親機50及び各子機10それぞれのデータの送信タイミングを示している。
【0032】
同図に示すように、親機50からは、全ての子機10に対する同報通知が送信される。この同報通知は、所定の送信時間間隔(本実施形態では、一例として「750ms間隔」として説明する)で繰り返し送信される。そして、各子機10では、同報通知を受信すると、自機に定められた所定の送信待機時間Twが経過した後、車両検出データを親機50に送信する。
【0033】
送信待機時間Twは、子機10からの車両検出データの送信タイミングを指定する時間であり、子機10毎に、同報通知の受信時点からの経過時間として予め定められている。この送信待機時間Twは、各子機10の車両検出データの送信タイミングが重ならないように、すなわち同時に複数の子機10からの車両検出データが送信されないように、各子機10における車両検出データの送信順序や、車両検出データのデータ長、無線通信による通信速度等をもとに定められる。そして、親機50からの同報通知の送信時間間隔は、全ての子機10からの車両検出データの送信及び親機50での受信が完了するのに充分な時間間隔として定められる。
【0034】
親機50は、所定の送信間隔(750ms)で同報通知を子機10それぞれに一斉送信する。子機10にとっては、この送信間隔で親機50からの同報通知を周期的に受信することとなり、この同報通知の受信周期期間毎に、該周期期間における車両有無の検出結果を含む車両検出データを親機50に送信する。
【0035】
図3は、車両有無の検出結果の一例を示す図である。同図に示すように、車両感知器100からの感知信号に基づく車両有無の検出結果は、車両有りを示す「H(1)」と、車両無しを示す「L(0)」との二値からなる。そして、検出結果データは、この検出結果信号を所定のサンプリング周期Ts(本実施形態では、一例として「50ms」として説明する)でサンプリングした時系列であり、データであり、従って、本実施形態では、1周期につき15ビットで構成される。
【0036】
図4は、子機10が親機50に送信する車両検出データ20のデータ構成の一例を示す図である。同図に示すように、車両検出データ20は、空回りビット数21と、有効ビット数22と、検出結果蓄積データ23とを含む固定長データである。
【0037】
空回りビット数21及び有効ビット数22は、該当する周期期間における車両有無の検出結果の変化時期を示すデータである。すなわち、空回りビット数21は、当該周期期間の始期から、当該周期期間における車両有無の検出結果の最初の変化時点までの時間間隔を表す。具体的には、当該周期期間の最初のビットから、検出結果データの最初の変化ビットまでのビット数である。また、有効ビット数22は、当該周期期間における検出結果の最初の変化時点から最後の変化時点までの時間間隔を表す。具体的には、検出結果データの最初の変化ビットから最後の変化ビットまでのビット数である。
【0038】
また、検出結果蓄積データ23は、当該周期期間における車両検出結果の最初の変化時点から当該周期期間の終期までの検出結果のデータである。具体的には、当該周期期間における検出結果データの最初の変化ビットから、当該周期期間の最後のビットまでを蓄積した時系列のデータである。
【0039】
本実施形態において、子機10は、省電力のため、通常は子機側無線機300の電源を遮断(OFF)しておく。そして、親機50に車両検出データを送信するときに子機側無線機300の電源を投入(ON)し、車両検出データの送信を完了すると、再度、電源を遮断する。また、基本的には、子機10から親機50への車両検出データの送信は、車両有無の検出結果が変化した周期期間においてのみ行い、検出結果が変化していない周期期間については行わない。
【0040】
更に、子機側制御機200は、通常は動作状態をスリープ状態(待機状態)としておく。なお、スリープ状態では、車両感知器100からの感知信号に基づく車両有無の検出結果の判定や、この検出結果の変化の判定は可能である。そして、車両有無の検出結果の変化を判定すると、動作状態がアクティブ状態に移行し、検出結果データの送信を完了すると、再度、スリープ状態に移行する。
【0041】
続いて、子機10の動作を、具体例をあげて詳細に説明する。図5は、子機10の動作を説明するタイムチャートであり、1周期(750ms)の動作を示している。同図では、横方向を時刻とし、上から順に、車両有無の検出結果、空回りビット数、蓄積ビット数、有効ビット数を示している。但し、初期状態として、子機側制御機200の動作状態はスリープ状態であり、子機側無線機300の電源は遮断されているとする。
【0042】
子機側制御機200は、車両感知器100からの感知信号を所定の閾値と比較することで、車両有無を検出している。そして、車両有無の検出結果の変化(立ち上がり/立ち下がり)を認知すると、動作状態がスリープ状態からアクティブ状態に移行し、次いで子機側無線機300の電源が投入される。また、検出結果が変化したビットから、検出結果データの蓄積が開始される。また、検出結果が変化したビットから、「蓄積ビット数」及び「空回りビット数」の計数が開始される。「蓄積ビット数」は、初期値を「0」とし、検出結果データの蓄積毎に「1」加算される。「空回りビット数」は、初期値を「20」とし、検出結果データの蓄積毎に「1」減算される。また、「有効ビット数」が「1」には、検出結果が変化したときの蓄積ビット数が設定される。
【0043】
そして、親機50からの同報通知が受信されると、この同報通知を受信するまでの当該周期間分の車両検出データが生成され、この車両検出データが、定められたタイミングで親機50に送信される。具体的には、子機10毎に定められた送信待機時間Twと、同報通知に対する送信余裕時間Te(例えば、250ms)との合計時間が経過した後に送信される。送信余裕時間Teは、子機側無線機300が有するモデムのヒートランに要する時間Thより長く定められている。同図では、当該子機10の送信待機時間Twは「0」であり、同報通知の受信から送信余裕時間Teが経過した後に、車両検出データが送信されている。また、車両検出データは、同報通知を受信した時点での空回りビット数、有効ビット数及び検出結果蓄積データを含むデータとして生成される。そして、車両検出データの送信を終了すると、処理部210は、子機側無線機300の電源を遮断し、その後にスリープ状態に移行する。
【0044】
同図では、5ビット目において検出結果が「L(0)」から「H(1)」に変化している(立ち上がり)。つまり、5ビット目から、検出結果データの蓄積や、空回りビット数及び蓄積ビット数の計数が開始されている。そして、同報通知の受信時点では、検出結果蓄積データは、検出結果の5ビット目から15ビット目までの合計11ビットのデータである。また、空回りビット数は「11」であり、有効ビット数は「1」である。そして、これらの検出結果蓄積データ、空回りビット数及び有効ビット数を含む車両検出データが親機50に送信される。
【0045】
図6は、図5の次の周期(周期2)における子機10の動作を説明するタイムチャートである。図6では、2ビット目において車両有無の検出結果が「H(1)」から「L(0)」に変化している(立ち下がり)。つまり、2ビット目から検出結果データの蓄積が開始されるとともに、空回りビット数及び蓄積ビット数の計数が開始される。また、有効ビット数が「1」に設定される。そして、同報通知が受信された時点では、検出結果蓄積データは、検出結果の2ビット目から15ビット目までの合計14ビットのデータである。
また、空回りビット数は「6」であり、有効ビット数は「1」である。
【0046】
一方、親機50では、前の周期(周期1)の終了後に子機10から送信された車両検出データをもとに、該周期(周期1)における該子機10の検出結果データが復元される。すなわち、先ず、空回りビット数だけ、復元済みの検出結果データの最後のビットの値が継続される(空回り)。次いで、有効ビット数だけ、検出結果蓄積データを先頭ビットから展開して、続く検出結果データとされる(有効)。そして、15ビットに満たない残りのビットは、その直前のビットの値が継続される。このように、親機50では、周期期間毎に最新の子機10における車両の検出有無を得ることができる。
【0047】
図6では、車両検出データとして、空回りビット数「9」、有効ビット数「1」、及び、11ビットの検出結果蓄積データ「111・・・」を含むデータが受信される。つまり、復元される検出結果データは、空回りビットとして、1ビット目から9ビット目までが直前のビットの値「0」とされる。次いで、有効ビットとして、10ビット目が検出結果蓄積データの1ビット目の値「1」とされる。そして、11ビット目から15ビット目までは、直前の10ビット目の値「1」とされる。すなわち、復元された該周期(周期1)の検出結果データは、1ビット目から9ビット目までが「0」、10ビット目から15ビット目が「1」となる。
【0048】
図7は、図6の次の周期における子機10の動作を説明するタイムチャートである。図7では、車両有無の検出結果は「1」のままで変化していない。従って、子機10から親機50に車両検出データは送信されない。
【0049】
一方、親機50では、前の周期の終了後に子機10から送信された車両検出データをもとに、該周期(周期2)における該子機10の検出結果データの復元が行われる。すなわち、図7では、車両検出データとして、空回りビット数「6」、有効ビット数「1」、及び、14ビットの検出結果蓄積データ「000・・・」を含むデータが受信される。つまり、復元される検出結果データは、1ビット目から6ビット目までは、復元された最後のビットの値、すなわち、復元した直前の周期の15ビット目の値「1」とされる。次いで、7ビット目が、検出結果蓄積データの1ビット目の値「0」とされる。そして、8ビット目から15ビット目までは、直前の7ビット目の値「0」とされる。従って、復元した該周期(周期2)の検出結果データは、1ビット目から6ビット目までは「1」であり、7ビット目から15ビット目までは「0」である。
【0050】
なお、親機50では、その次の周期(周期3)の車両検出データは受信されないことになるが、車両検出データが受信されないことをもって、当該周期(周期3)では、車両有無の検出結果に変化が無いと判断することができる。
【0051】
また、図8は、図5〜図7に示した連続する3周期分を示すタイムチャートである。
【0052】
図9は、子機10における他の動作例を示すタイムチャートであり、連続する2周期について示している。図9において、最初の周期(周期1)では、車両有無の検出結果が複数回変化している。すなわち、最初の変化として、3ビット目で検出結果が「0」から「1」に変化している(立ち上がり)。また、2回目の変化として、5ビット目で検出結果が「1」から「0」に変化している。また、3回目の変化として、8ビット目で検出結果が「0」から「1」に変化している。そして、4回目の変化として、10ビット目で検出結果が「1」から「0」に変化している。
【0053】
この場合、検出結果が最初に変化したビットにおいて、検出結果データの蓄積が開始されるとともに、空回りビット数及び有効ビット数の計測が開始される。また、有効ビット数が「1」に設定される。そして、2回目以降の変化毎に、その変化したビットでの有効ビット数が蓄積ビット数に更新される。
【0054】
つまり、同図では、3ビット目から検出結果データの蓄積が開始されるとともに、空回りビット数及び蓄積ビット数の計測が開始される。また、有効ビット数が「1」に設定される。また、2回目の変化をした5ビット目において、有効ビット数が「3」に更新され、3回目の変化をした8ビット目において、有効ビット数が「6」に更新され、4回目の変化をした10ビット目において、有効ビット数が「8」に更新される。従って、同報通知の受信時点では、空回りビット数は「7」であり、有効ビット数は「8」である。また、検出結果蓄積データは、検出結果の3ビット目から15ビット目までの合計13ビットのデータである。そして、これらの空回りビット数、有効ビット数及び検出結果蓄積データを含む車両検出データが、親機50に送信される。
【0055】
続いて、次の周期(周期2)では、車両有無の検出結果が変化していない。従って、子機10から親機50に車両検出データが送信されない。
【0056】
一方、親機50では、子機10から受信した車両検出データをもとに、該当する周期(周期1)における検出結果データが復元される。すなわち、車両検出データとして、空回りビット数「7」、有効ビット数「8」、及び、13ビットの検出結果蓄積データ「11000110・・・」を含むデータが受信される。従って、復元される検出結果データは、1ビット目から7ビット目までは「0」である。そして、8ビット目から15ビット目までは、検出結果蓄積データの先頭から8ビットを展開した「11000110」となる。
【0057】
図10は、子機10における他の動作例を示すタイムチャートであり、連続する3周期について示している。同図において、最初の周期(周期1)では、15ビット目で検出結果が「0」から「1」に変化している(立ち上がり)。つまり、15ビット目で、空回りビット数及び有効ビット数の計数が開始されるとともに、検出結果データの蓄積が開始される。また、この15ビット目では同報通知が受信されている。従って、同報通知の受信時点の空回りビット数は「19」であり、有効ビット数は「1」である。また、検出結果蓄積データは、15ビット目の1ビットのデータ「1」である。
【0058】
ここで、該周期(周期1)の検出結果データを復元する場合を考えると、直前の値を19ビット継続させた後(空回り)、検出結果蓄積データの先頭の1ビットのデータが展開される。つまり、復元される検出結果データは20ビットとなる。これは、1周期に相当する15ビットを超える。このように、復元する検出結果データのビット数が1周期分のビット数を超える場合、その1周期分を超えるビット数だけ、次の周期における空回りビット数の初期値を減少させる。
【0059】
すなわち、調整ビット数Δnを、次式(1)に従って算出する。
Δn=20−(空回りビット数+有効ビット数) ・・(1)
そして、次の周期における空回りビット数の初期値を「20−Δn」とする。なお、同報通知の受信時点での空回りビット数と有効ビット数の合計が「15」を超えないならば、調整ビット数Δnは「0」とする。
【0060】
同図では、最初の周期(周期1)において、同報通知の受信時点での空回りビット数は「19」、有効ビット数は「1」である。従って、調整ビット数Δnは「5(=20−(19+1))」となる。
【0061】
続いて、次の周期(周期2)では、車両有無の検出結果は、14ビット目で「1」から「0」に変化している(立ち下がり)。つまり、14ビット目から、検出結果データの蓄積が開始されるとともに、空回りビット数及び有効ビット数の計数が開始される。このとき、直前の周期(周期1)における調整ビット数Δnが「5」であったため、空回りビット数は「15(=20−5)」を初期値として計数される。
【0062】
そして、同報通知の受信時点での空回りビット数は「13」であり、有効ビット数は「1」である。また、検出結果蓄積データは、14ビット目から15ビット目までの2ビットのデータ「00」である。ここで、空回りビット数と有効ビット数の合計は「14」であり、「15」を超えない。このため、次の周期ので調整ビット数Δnは「0」となる。
【0063】
一方、親機50においては、子機10から受信した車両検出データをもとに、該当する周期(周期1)の検出結果データが復元される。すなわち、車両検出データとして、空回りビット数「19」、有効ビット数「1」、及び、2ビットの検出結果蓄積データ「00」を含むデータが受信される。従って、復元される検出結果データは、空回りビットとして、1ビット目から19ビット目までの19ビットが直前の値「0」とされ、次いで、有効ビットとして、検出結果蓄積データの1ビット目が展開されて20ビット目とされる。つまり、20ビット長のデータが復元されることになるが、これは、1ビットに相当する15ビットを超える。このように、復元した検出結果データが1周期分の15ビットを超える場合、超える分のデータは、その次の周期に繰り越される。すなわち、同図の場合、復元される検出結果データのうちの最後の5ビットが、次の周期(周期2)に繰り越される。
【0064】
そして、最後の周期(周期3)では、車両検出信号が変化しない。従って、子機10から親機50へ車両検出データが送信されない。
【0065】
一方、親機50においては、子機10から受信した車両検出データをもとに、該当する周期(周期2)の検出結果データが復元される。すなわち、車両検出データとして、空回りビット数「13」、有効ビット数「1」、及び、2ビットの検出結果蓄積データ「00」を含むデータが受信される。
【0066】
ここで、その前の周期(周期1)から復元された検出結果データが繰り越されている場合、受信した車両検出データをもとに復元される検出結果データは、その繰り越されたデータに続くデータとされる。
【0067】
つまり、同図では、前の周期(周期1)から5ビットの検出結果データが繰り越されており、受信された車両検出データをもとに復元される検出結果データは、該周期(周期2)の6ビット目以降のデータとされる。すなわち、空回りビットとして、当該周期(周期2)の6ビット目から18ビット目までの13ビットが、その直前のビットである5ビット目の値「1」とされる。次いで、有効ビットとして、19ビット目が検知結果蓄積データの先頭1ビットの値「0」とされる。この場合も、復元された検出結果データが1周期に相当する15ビットを超える。このため、復元された最後の4ビットのデータは、次の周期(周期4)に繰り越されることになる。
【0068】
図11は、子機10における他の動作例を示すタイムチャートであり、連続する3周期について示している。同図において、最初の周期(周期1)では、11ビット目で、検出結果が「0」から「1」に変化している(立ち上がり)。つまり、11ビット目から、検出結果データの蓄積、空回りビット数及び蓄積ビット数の計数が開始される。そして、同報通知の受信時点では、空回りビット数は「15」であり、有効ビット数は「1」である。つまり、空回りビット数と有効ビット数の合計は「16(=15+1)」であり、「15」を超える。従って、調整ビット数Δnは「1=(16−15)」となる。
【0069】
次の周期(周期2)では、検出結果は、14ビット目で「1」から「0」に変化している(立ち下がり)。つまり、14ビット目から検出結果データの蓄積、空回りビット数及び蓄積ビット数の計数が開始される。このとき、直前の周期(周期1)での調整ビット数Δnが「1」であるため、空回りビット数は「19(=20−1)」を初期値として計数される。そして、同報通知の受信時点では、空回りビット数は「17」であり、有効ビット数は「1」である。つまり、空回りビット数と有効ビット数の合計は「18」であり、「15」を超える。従って、調整ビット数Δnは「3=(18−15)」となる。
【0070】
一方、親機50では、子機10から受信した車両検出データをもとに、該当する周期(周期1)における検出結果データが復元される。すなわち、車両検出データとして、空回りビット数「15」、有効ビット数「1」、及び、5ビットの検出結果蓄積データ「111・・・」を含むデータが受信される。従って、復元される当該周期(周期1)の検出結果データは、空回りビットとして、1ビット目から15ビット目までの15ビットが直前の値「0」とされ、有効ビットとして、16ビット目が検出結果蓄積データの先頭1ビットの値「1」とされる。つまり、復元される検出結果データは16ビット長のデータとなり、1周期分の15ビットを超える最後の1ビットのデータは、次の周期(周期2)に繰り越される。
【0071】
その次の周期(周期3)において、親機50では、子機10から受信された車両検出データをもとに、該当する周期(周期2)の検出結果データが復元される。つまり、車両検出データとして、空回りビット数「17」、有効ビット数「1」、及び、2ビットの検出結果蓄積データ「00」を含むデータが受信される。また、その前の周期(周期1)から、1ビットの検出結果データが繰り越されている。このため、復元される検出結果データは、前の周期から繰り越された検出結果データに続くデータとなる。
【0072】
すなわち、該当周期(周期2)の最初の1ビットは、前の周期(周期1)から繰り越されたデータ「1」となる。そして、当該周期(周期2)の2ビット目以降が、該車両検出データをもとに復元されたデータとなる。すなわち、空回りビットとして、2ビット目から18ビット目までの17ビットが、その直前のビットである1ビット目の値「1」となり、有効ビットとして、19ビット目が、検出結果蓄積データの先頭ビットの値「0」となる。この場合も、復元された検出結果データが1周期分の15ビットを超え、その超えた分の4ビット、すなわち復元された検出結果データの最後の4ビットのデータは、その次の周期(周期3)に繰り越される。
【0073】
[機能構成]
図12は、車両検出システム1の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、車両検出システム1は、親機50と、複数の子機10とから構成される。
【0074】
子機10は、車両感知器100と、子機側制御機200と、子機側無線機300と、電源部400とを有する。
【0075】
子機側制御機200は、機能部として、処理部210と、記憶部220とを有する。処理部210は、例えばCPUや各種プロセッサを含む演算回路等で実現され、記憶部220に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、子機側制御機200を構成する各部への指示やデータ転送等を行い、子機側制御機200の全体制御を行う。また、処理部210は、車両検出部211と、送信制御部212と、電源制御部213とを有する。
【0076】
車両検出部211は、車両感知器100から入力される感知信号をもとに、対象レーンの車両の有無を検出する。具体的には、感知信号の信号レベルと所定の路面レベルとの差を算出し、このレベル差が、車両有りとして判定するための所定の閾値以上ならば「車両有り」と検出し、閾値未満ならば「車両無し」と検出する。
【0077】
送信制御部212は、送信制御プログラム221に従った送信制御処理を行って、車両検出部211による車両有無の検出結果を含む車両検出データを、子機側無線機300を介して親機50に送信する。
【0078】
送信制御処理では、車両検出部211による車両有無の検出結果の変化を監視し、検出結果の変化を判定すると、自機の動作状態を、スリープ状態からアクティブ状態に移行させる。また、電源制御部213に、子機側無線機300の電源を投入させる。そして、検出結果が変化したビットから、検出結果データの蓄積を開始するともに、空回りビット数及び蓄積ビット数の計数を開始する。このとき、空回りビット数は初期値を「20−Δn」とし、蓄積ビット数は初期値「0」とする。また、有効ビット数を「1」に設定する。ここで、検出結果蓄積データ、空回りビット数、蓄積ビット数、有効ビット数、及び、調整ビット数Δnは、計数データ223として記憶される。その後、同報通知の受信前に、再度、検出結果が変化したならば、その時点での蓄積ビット数を有効ビット数として更新する。
【0079】
そして、子機側無線機300を介して、親機50からの同報通知を受信すると、その時点での空回りビット数、有効ビット数及び検出結果蓄積データを含む車両検出データを生成する。生成された車両検出データは、送信用車両検出データ222として記憶される。
【0080】
また、調整ビット数Δnを更新する。すなわち、空回りビット数と有効ビット数との合計が1周期分の15ビット以下ならば、調整ビット数Δnを「0」とし、合計のビット数が15ビットを超えているならば、その15ビットを超えているビット数を調整ビット数Δnとする。
【0081】
続いて、同報通知の受信から、定められた送信余裕時間Teと当該子機10に定められた送信待機時間Twとの合計時間が経過した後、生成した車両検出データを、子機側無線機300を介して親機50に送信する。そして、この車両検出データの送信が完了すると、電源制御部213に子機側無線機300の電源を遮断させ、自機の動作状態を、アクティブ状態からスリープ状態に移行させる。
【0082】
電源制御部213は、送信制御部212の指示に従って、子機側無線機300の電源の遮断/投入を制御する。
【0083】
子機側制御機200は、例えばSS無線等の無線通信装置で実現され、外部機器(主に、親機側無線機600)との間で所定の無線通信を行う。
【0084】
記憶部220は、ハードディスクやROM、RAM等の記憶装置で実現され、処理部210が子機側制御機200を統合的に制御するためのシステムプログラムや、各種機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部210の作業領域として用いられ、処理部210が各種プログラムに従って実行した演算結果が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部220には、プログラムとして、処理部210を送信制御部212として機能させるための送信制御プログラム221が記憶されるとともに、データとして、送信用車両検出データ222と、計数データ223とが記憶される。
【0085】
親機50は、親機側制御機500と、親機側無線機600とを有する。親機側制御機500は、予め定められた送信間隔(750ms間隔)で、親機側無線機600を介して、全ての子機10に同報通知を一斉送信する。
【0086】
また、同報通知に応答して、親機側無線機600を介して子機10から送信されてくる車両検出データを受信し、受信した車両検出データをもとに、当該子機10における車両有無の検出結果データを復元する。具体的には、当該周期の検出結果データとして、先ず、受信された車両検出データに含まれる空回りビット数だけ、復元済みの最後のビットの値を継続させる(空回り)。次いで、該車両検出データに含まれる有効ビット数のデータを、該車両検出データに含まれる検出結果蓄積データの先頭ビットから展開して続くデータとする。そして、1周期分の15ビットに足りないビットについては、最後に復元したビットの値を、当該周期の最後のビットまで継続させる。また、復元した検出結果データが1周期分の15ビットを超える場合には、超えた分のデータを、その次の周期に繰り越す。
【0087】
親機側無線機600は、例えばSS無線等の無線通信装置で実現され、外部機器(主に、子機側無線機300)との間で所定の無線通信を行う。
【0088】
[処理の流れ]
図13は、子機側制御機200が実行する送信制御処理の流れを説明するフローチャートである。但し、初期状態として、子機側制御機200の動作状態は「スリープ状態」であり、子機側無線機300の電源は遮断されているとする。
【0089】
同図によれば、送信制御部212は、先ず、初期設定を行う(ステップA1)。すなわち、蓄積ビット数を初期値「0」にセットし、空回りビット数を「20」にセットし、有効ビット数を「1」にセットする。更に、検出結果蓄積データをクリアし、蓄積フラグを「0」にセットする。この蓄積フラグは、当該周期において車両検出結果が変化したかを示すフラグである。
【0090】
その後、所定のサンプリング間隔(50ms間隔)で、ループAの処理を繰り返し行う。ループAでは、車両検出部211による車両有無の検出結果をサンプリングする(ステップA3)。次いで、蓄積フラグを判定し、蓄積フラグが「0」に設定されているならば(ステップA5:YES)、車両有無の検出結果が変化したかを判断する。すなわち、サンプリングした今回の検出結果データの値とサンプリングした前回の検出結果データの値とが一致するかを判断し、一致するならば変化していないと判断し、異なるならば変化したと判断する。
【0091】
車両有無の検出結果が変化したと判断したならば(ステップA7:YES)、当該子機側制御機200の動作状態をアクティブ状態に移行させるとともに(ステップA9)、電源制御部213に子機側無線機300の電源を投入させる(ステップA11)。また、蓄積フラグを「1」に設定し(ステップA13)、サンプリングした検出結果データを検出結果蓄積データとして蓄積する(ステップA15)。次いで、蓄積ビット数を「1」加算し(ステップA17)、空回りビット数を「1」減算する(ステップA19)。そして、有効ビット数を「1」にセットする(ステップA21)。
【0092】
一方、蓄積フラグが「1」に設定されているならば(ステップA5:NO)、サンプリングした検出結果データを、検出結果蓄積データとして蓄積する(ステップA23)。次いで、蓄積ビット数を「1」加算し(ステップA25)、空回りビット数を「1」減算する(ステップA27)。また、車両有無の検出結果が変化したかを判断し、変化したならば(ステップA29:YES)、有効ビット数を現時点の蓄積ビット数に更新する(ステップA31)。
【0093】
その後、親機50から同報通知を受信したかを判断し、受信したならば(ステップA33:YES)、車両検出データを生成する(ステップA35)。すなわち、同報通知の受信時点での空回りビット数、有効ビット数、及び、検出結果蓄積データを含む車両検出データを生成する。次いで、送信待機処理を開始する(ステップA37)。
【0094】
また、同報通知の受信時点での空回りビット数及び有効ビット数をもとに、調整ビット数Δnを更新する(ステップA39)。続いて、データリセットを行う(ステップA41)。すなわち、蓄積ビット数を初期値「0」にセットし、空回りビット数を「20−Δn」にセットし、有効ビット数を「1」にセットする。更に、検出結果蓄積データをクリアし、蓄積フラグを「0」にセットする。
【0095】
その後、例えば当該子機側制御機200の電源が遮断される等によって送信制御処理を終了するか否かを判断し、終了するならば(ステップA43:YES)、ループAを抜けて送信制御処理を終了する。
【0096】
図14は、送信制御処理中に実行される送信待機処理を説明するフローチャートである。同図によれば、送信制御部212は、同報通知の受信時点からの経過時間が、予め定められた送信余裕時間Teと当該子機10に定められた送信待機期間Twとの合計時間に達したかを判断し、この合計時間が経過したならば(ステップB1:YES)、車両検出データを親機50に送信する(ステップB3)。
【0097】
そして、この車両検出データの送信が完了したならば(ステップB5:YES)、蓄積フラグを判断する。蓄積フラグが「0」に設定されているならば(ステップB7:YES)、子機側無線機300の電源を遮断させ(ステップB9)、自機の動作状態をアクティブ状態からスリープ状態に移行させる(ステップB11)。以上の処理を行うと、送信待機処理を終了する。
【0098】
図15は、親機側処理を説明するフローチャートである。同図によれば、先ず、前回の同報通知の送信から所定の送信間隔(750ms)が経過したかを判断し、経過したならば(ステップC1:YES)、全ての子機10に対して同報通知を一斉送信する(ステップC3)
【0099】
また、子機10から送信される車両検出データを受信したならば(ステップC5:YES)、この受信した車両検出データをもとに、子機10の該当周期における車両有無の検出結果を復元する。すなわち、該当周期における検出結果データとして、先ず、受信した車両検出データに含まれる空回りビット数だけ、復元済みの直前のビットの値を継続する(ステップC7)。次いで、車両検出データに含まれる有効ビット数だけ、検出結果蓄積データの先頭から展開する(ステップC9)。そして、復元した検出結果データが、当該周期に足りない(ステップC11:YES)、足りないビットについては、展開した最後のビットの値を継続する(ステップC13)。以上の処理を行うと、ステップC1に戻り、同様の処理を繰り返す。親機側処理は、このように行われる。
【0100】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、複数の車両検出装置である子機10と親機50とから構成される車両検出システム1では、各子機10から親機50へ、所定周期(750ms間隔)で当該周期における車両有無の検出結果を含む車両検出データが送信される。子機10では、通常、子機側制御機200の動作状態がスリープ状態となっているとともに、子機側無線機300の電源が遮断されている。
【0101】
そして、車両有無の検出結果が変化すると、子機側制御機200がアクティブ状態に移行するとともに、子機側無線機300の電源が投入され、検出結果の変化時点からの検出結果データの蓄積が開始される。次いで、親機50からの同報通知が受信されると、その時点までの検出結果蓄積データを含む車両検出データが子機側無線機300を介して親機50に送信され、送信が完了すると、子機側無線機300の電源が遮断された後、子機側制御機200がスリープ状態に移行する。これにより、子機10における消費電力の抑制が実現される。
【0102】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0103】
(A)複数の車両感知器100
例えば、子機10において複数の車両感知器100を備えた場合も同様に適用できる。この場合、子機側制御機200には、例えば走行レーン毎に設置された複数の車両感知器100それぞれからの感知信号が入力され、各車両感知器からの感知信号それぞれについて車両有無が検出される。
【0104】
図16は、複数の車両感知器100を有する子機10の動作例を示すタイムチャートである。同図では、2つの車両感知器30を有する場合を示している。同図に示すように、子機側制御機200には、2つの車両感知器30それぞれからの感知信号が入力され、これらの感知信号それぞれにもとづく車両有無の検出結果1,2が生成される。
【0105】
そして、子機側制御機200は、複数の車両有無の検出結果のうち、何れかの検出結果が変化すると、子機側制御機200の動作状態がスリープ状態からアクティブ状態に移行し、子機側無線機300の電源が投入される。また、車両感知器30毎に検出結果データの蓄積が開始されるとともに、空回りビット数及び蓄積ビット数の計数が開始される。そして、同報通知を受信すると、その時点での、空回りビット数、有効ビット数、及び、車両感知器30毎の検出結果蓄積データを含む車両検出データが生成され、親機50に送信される。すなわち、同図では、5ビット目において、検出結果1が「L」から「H」に変化しており(立ち上がり)、この5ビット目から、検出結果1,2の両方について検出結果データの蓄積が開始される。
【0106】
図17は、この場合の車両検出データ20Aのデータ構成例を示す図である。同図に示すように、車両検出データ20Aには、空回りビット数21と、有効ビット数22と、検出結果蓄積データ23Aとが含まれる。検出結果蓄積データ23Aには、複数の車両感知器30それぞれのデータが格納される。
【0107】
(B)空回りビット数
また、上述の実施形態では、空回りビット数の初期値を「20−Δn」としたが、1周期に相当するビット数「15」としても良い。
【符号の説明】
【0108】
1 車両検出システム
10 子機
100 車両感知器
200 子機側制御機
210 処理部
211 車両検出部、212 送信制御部、213 電源制御部
220 記憶部
221 送信制御プログラム
222 送信用車両検出データ、223 計数データ
300 子機側送信機
50 親機
500 親機側制御機、600 親機側送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両感知器からの感知信号を入力し、無線通信装置を介して車両検出データを親機に送信する車両検出装置であって、
前記感知信号に基づき車両の有無を検出する車両検出手段と、
前記車両検出手段による検出結果に変化が生じた場合に、前記無線通信装置の電源を投入する電源投入手段と、
所定の周期期間毎に、当該周期期間内で前記車両検出手段による検出結果に変化が生じなかった場合には当該周期期間分の前記車両検出データを送信せず、変化が生じた場合には前記車両検出手段による当該周期期間の検出結果を前記車両検出データに含めて前記電源投入手段による電源投入の後に前記親機に送信する制御を行う送信制御手段と、
前記車両検出データの送信の後に前記無線通信装置の電源を遮断する電源遮断手段と、
を備えた車両検出装置。
【請求項2】
少なくとも前記車両検出手段の動作を有効としたスリープ状態から、前記車両検出手段による検出結果に変化が生じたことを契機としてアクティブ状態に自装置の動作状態を移行させるとともに、前記送信制御手段による前記車両検出データの送信後に前記スリープ状態に移行させる動作状態制御手段を更に備えた請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項3】
各走行レーン毎に設けられた複数の前記車両感知器からの感知信号を入力可能に構成され、
前記車両検出手段は、前記複数の車両感知器からの感知信号それぞれについて車両の有無を検出し、
前記電源投入手段は、前記車両検出手段による車両の有無の検出結果の何れかが変化した場合に電源を投入し、
前記送信制御手段は、前記車両検出手段による車両の有無の検出結果の何れも変化しなかった場合には当該周期期間分の前記車両検出データを送信せず、何れかが変化した場合には当該周期期間分の前記車両検出データを送信する、
請求項1又は2に記載の車両検出装置。
【請求項4】
前記送信制御手段は、当該周期期間において前記車両検出手段による検出結果に変化が生じた時期を示す変化時期情報を前記車両検出データに含めて送信する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の車両検出装置。
【請求項5】
前記周期期間毎に、前記車両検出手段による検出結果が当該周期期間内で最初に変化してから最後に変化した時までの時間間隔を計数する変化時間計数手段を更に備え、
前記送信制御手段は、前記変化時間計数手段により計数された時間間隔を前記変化時期情報として前記車両検出データに含めて送信する、
請求項4に記載の車両検出装置。
【請求項6】
前記周期期間毎に、当該周期期間の始期から、前記車両検出手段による検出結果が最初に変化するまでの時間間隔を計数する初期変化待機時間計数手段を更に備え、
前記送信制御手段は、前記初期変化待機時間計数手段により計数された時間間隔を前記変化時期情報として前記車両検出データに含めて送信する、
請求項4又は5に記載の車両検出装置。
【請求項7】
複数の請求項1〜6の何れか一項に記載の車両検出装置と、
前記複数の車両検出装置それぞれと無線通信して各車両検出装置から前記車両検出データを受信する親機と、
を具備する車両検出システム。
【請求項8】
複数の請求項4〜6に記載の車両検出装置と、前記複数の車両検出装置それぞれと無線通信して各車両検出装置から前記車両検出データを受信する親機とを具備する車両検出システムであって、
前記親機は、
前記車両検出データに含まれる前記変化時期情報を用いて、当該周期期間において当該車両検出装置が検出した車両有無を当該車両検出データから展開する手段を備える、
車両検出システム。
【請求項9】
車両感知器からの感知信号を入力し、当該感知信号に基づいて車両の有無を検出する車両検出手段を備え、無線通信装置を介して車両検出データを親機に送信する車両検出装置の制御方法であって、
前記車両検出手段による検出結果に変化が生じた場合に、前記無線通信装置の電源を投入する電源投入ステップと、
所定の周期期間毎に、当該周期期間内で前記車両検出手段による検出結果に変化が生じなかった場合には当該周期期間分の前記車両検出データを送信せず、変化が生じた場合には前記車両検出手段による当該周期期間の検出結果を前記車両検出データに含めて前記電源投入ステップによる電源投入の後に前記親機に送信する制御を行う送信制御ステップと、
前記車両検出データの送信の後に前記無線通信装置の電源を遮断する電源遮断ステップと、
を含む車両検出装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−218412(P2010−218412A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66566(P2009−66566)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】