車両検査装置の軸受構造
【課題】装置全体の構成及び構造を簡素化するとともに、装置全体を嵩低くして、薄型化することができる車両検査装置の軸受構造を提供する。
【解決手段】車両検査装置1を構成する試験ローラ3の各軸部3b,3bを、ローラ配置部2Aに設けた各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acに沿って上方から挿入するとともに、各孔部2Ab,2Abに対して挿入される斜め下方に向けて移動させ、各孔部2Ab,2Ab中心に挿入する。各孔部2Ab,2Ab中心に突出する試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各孔部2Ab,2Abに嵌合される各軸受体2Ad,2Adの中心部に挿入し、各軸受体を、各孔部2Ab,2Abの外側縁部に複数の各ボルトにより一体的に固定して軸受する。
【解決手段】車両検査装置1を構成する試験ローラ3の各軸部3b,3bを、ローラ配置部2Aに設けた各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acに沿って上方から挿入するとともに、各孔部2Ab,2Abに対して挿入される斜め下方に向けて移動させ、各孔部2Ab,2Ab中心に挿入する。各孔部2Ab,2Ab中心に突出する試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各孔部2Ab,2Abに嵌合される各軸受体2Ad,2Adの中心部に挿入し、各軸受体を、各孔部2Ab,2Abの外側縁部に複数の各ボルトにより一体的に固定して軸受する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車の制動力(ブレーキ)、速度(スピード)、横滑り(サイドスリップ)等の複数項目を検査するときに用いられる車両検査装置の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のような車両検査装置の軸受構造としては、例えばスラストベアリング、ボールベアリング等で構成される一対の各軸受体を、装置内部に設けた枠形状又は台形状の各取付け部に固定し、試験ローラの両端部に突設した各軸部を、各取付け部に固定した各軸受体により軸受する特許文献1の一体型車両試験装置があるが、取付け部の寸法だけ装置全体が嵩高くなるので、車両試験装置を試験場内の床部に設けた凹状据付け部に設置する場合、凹状据付け部を装置全体の高さに応じた深さに設けなければならず、施工作業に手間及び時間が掛かる。また、試験ローラを装置本体から取り外す場合、一対の各軸受体を各取付け部から取外した後、試験ローラの各軸部を各軸受体から抜き取らなければならず、装置本体に対する試験ローラの取外し作業や取付け作業に手間及び時間が掛かる。
【特許文献1】特開2005−17269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は上記問題に鑑み、装置全体の構成及び構造を簡素化するとともに、装置全体を嵩低くして、薄型化することができる車両検査装置の軸受構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、車両の左右車輪を、装置本体の左右上面に配列した前後一対の各試験ローラ間に乗せ、該各試験ローラを装置本体に内蔵した駆動手段により回転させて試験する車両検査装置であって、上記試験ローラの両端部に突設した各軸部を軸支する一対の各軸支板を、該各軸部が軸支される間隔に隔てて上記装置本体内に設け、上記試験ローラの各軸部を上記各軸支板に形成した各孔部に挿入するとともに、該各軸部を各孔部に固定される各軸受体により回転可能に軸受したことを特徴とする。
【0005】
この発明によると、試験ローラの両端部に突設した各軸部を、装置本体を構成する各軸支板の各孔部に挿入するとともに、各孔部中心に突出する試験ローラの各軸部を、各孔部に固定される各軸受体の中心部に挿入して回転可能に軸受する。
【0006】
上述の車両は、例えば自動車や自動二輪、トラック、バス等で構成することができる。また、車両の車輪は、例えばゴムタイヤ、金属や木の単体及び複合した車輪等で構成することができる。また、駆動手段は、例えば駆動装置及びモータ、減速機、スプロケット、チェーン等で構成することができる。
【0007】
請求項2に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、上記請求項1に記載の構成と併せて、上記左右の各試験ローラを連結する中間軸を軸支する一対の各軸支板を、該中間軸の両端軸部が軸支される間隔に隔てて上記装置本体内に設け、
上記中間軸の両端軸部を上記各軸支板に形成した各孔部に挿入して回転可能に軸受したことを特徴とする。
【0008】
この発明によると、上記試験ローラと同様にして、左右の各試験ローラを連結する中間軸の両端軸部を、装置本体内に設けた各軸支板の各孔部に挿入して軸受する。また、各孔部に固定される各軸受体で回転可能に軸受してもよい。
【0009】
請求項3に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、上記請求項1又は2に記載の構成と併せて、上記軸部の通過が許容される幅の溝部を、上記軸支板の孔部に連続して該軸支板の上縁部に形成したことを特徴とする。
【0010】
この発明によると、試験ローラ又は中間軸の軸部を、軸支板に形成した溝部に沿って挿入方向(斜め下方又は真下方向)に移動させ、軸支板に形成した孔部中心に挿入して、孔部に固定される軸受体により軸受する。一方、軸受体を孔部から取り外すとともに、試験ローラ又は中間軸の軸部を、孔部から取り外される軸受体から抜き取った後、試験ローラ又は中間軸の軸部を、軸支板に形成した溝部に沿って抜取り方向(斜め上方魔は真上方向)に移動させ、試験ローラ又は中間軸の軸部を軸支板の孔部から抜き取る。
【0011】
請求項4に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、上記請求項1乃至3のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記溝部を、上記孔部の中心に対して偏心させて形成したことを特徴とする。
【0012】
この発明によると、軸支板の孔部に対して溝部が偏心しているので、試験ローラ又は中間軸の軸部を下方から上方に向けて移動するとき、孔部の内周縁部に一旦当接して、略真上方向に対してへの移動及び抜取りを防止する。また、試験ローラ又は中間軸の軸部を上方から下方に向けて挿入するとき、溝部の両側縁部に当接しながら移動し、孔部に対して直接挿入されるのを防止し、挿入時に付与される衝撃を軽減する。
【0013】
請求項5に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、上記請求項1乃至4のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記軸支板の孔部と溝部を、上記軸部を軸支するのに必要な強度を有する板材を切断して形成したことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、試験ローラ又は中間軸の軸部を軸支するのに必要な強度(又は剛性、厚み等)を有する板材を、例えばレーザー加工、アブレシブジェット加工等の切断手段により切断して、軸支板の孔部と溝部を形成する。なお、板材は、例えば鋼材、アルミニウム合金等の単一又は複合した材質で構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、試験ローラ又は中間軸の両端部に設けた各軸部を、装置本体を構成する各軸支板の各孔部に挿入して、各孔部に固定される各軸受体により軸受するので、軸受体を固定するための枠状又は台状の取付け部を設ける必要がなく、取付け部よりも軸支板の方が薄く、軸支に必要な強度が得られるので、装置全体の構成及び構造を簡素化することができる。且つ、取付け部を取り除いた寸法と対応する高さだけ装置全体が嵩低くなり、薄型化が図れる。
【0016】
また、試験場内の床部に設けた凹状据付け部に設置する場合、薄型の車両検査装置を設置する凹状据付け部の深さが浅くて済み、施工作業が短期間で行えるとともに、施工費の低減を図ることができる。また、車両検査装置の前後部に緩やかスロープを設置すれば、略平坦な据付け面に水平設置することも可能であり、設置場所の状況に応じて設置方法を選択することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明は、装置全体の構成及び構造を簡素化することができるとともに、装置全体が嵩低くなり、薄型化が図れるという目的を、試験ローラ又は中間軸の両端部に設けた各軸部を、装置本体を構成する各軸支板の各孔部に挿入して、該各孔部に固定される各軸受体により軸受することで達成した。
【実施例】
【0018】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、車両の一例である自動車の制動力(ブレーキ)、速度(スピード)、横滑り(サイドスリップ)等の複数項目を検査する車両検査装置の軸受構造を示し、図1に於いて、この車両検査装置1は、自動車(図示省略)の左右タイヤA,Aを支持する前後一対の各試験ローラ3…を、装置本体2に設けたローラ配置部2Aの左右上面に配列し、各試験ローラ3…を回転する駆動装置4を、装置本体2に設けた踏み板配置部2Bの略中央部に内蔵し、自動車の乗込み及び脱出を容易にする昇降装置5と、自動車の制動力を検出する制動力検出装置6と、速度計の速度に対応した各試験ローラ3…の回転速度を検出する速度検出装置7とを、装置本体2に設けたローラ配置部2Aの略中央部に内蔵し、自動車の横滑り量を検出する横滑り検出装置19を、装置本体2に設けた踏み板配置部2Bの左右内部に内蔵している。
【0019】
上記装置本体2は、図2にも示すように、例えばコ字状、L字状、I字状等の断面形状を有する複数の各枠体2b…を組み付けてなる平面視矩形のフレーム2a内部に、前後一対の各試験ローラ3…が左右に配置されるローラ配置部2Aと、左右一対の各踏み板20,20が配置される踏み板配置部2Bとを設けている。また、フレーム2aの外側縁部及び内側縁部に設けた複数箇所の各固定部2c…は、例えばジャッキボルト、アンカーボルト等の固定手段により試験場の据付け部に固定され、フレーム2a全体を安定した状態に略水平固定する。
【0020】
上記ローラ配置部2Aには、図4、図5、図6にも示すように、各試験ローラ3…の両端部に突設した各軸部3b…を軸支する左右一対の各軸支板2Aa,2Aaを、試験ローラ3の各軸部3b,3bが軸受される間隔に隔てて配置している。また、ローラ配置部2Aの中央部に配置した各軸支板2Aa,2Aaの間にも、後部試験ローラ3,3の内側軸部3b,3b間に連結した中間軸8の両端軸部8a,8aを軸支する左右一対の各軸支板2Aa,2Aaを、中間軸8の両端軸部8a,8aが軸支される間隔に隔てて配置している。
【0021】
且つ、試験ローラ3の軸部3bと中間軸8の軸部8aとを軸支する軸支板2Aaの平面部には、試験ローラ3の軸部3bと中間軸8の軸部8aとが軸支される孔部2Abをそれぞれ設けている。また、軸支板2Aaの孔部2Abに挿入される試験ローラ3の軸部3b及び中間軸8の軸部8aは、孔部2Abに固定される軸受体2Adにより回転可能に軸受される。また、軸受体2Adは、孔部2Abの内周縁部に対して略合致する状態に外側から嵌合され、軸受体2Adの外周縁部に挿通される複数の各ボルト2Af…を、孔部2Abの外側縁部に形成した複数の各取付け孔2Ae…に螺着して一体的に固定する。
【0022】
且つ、試験ローラ3の軸部3b及び中間軸8の軸部8aの外径より大きく、軸部3b及び軸部8aの通過あるいは移動が許容される幅の溝部2Acを、軸支板2Aaの孔部2Abに連続して該軸支板2Aaの上縁部に形成するとともに、孔部2Abの中心に対して略1/2だけ偏心させて形成している。なお、溝部2Acを、例えば所望する角度に傾斜するか、蛇行形状に形成する等してもよく、孔部2Abの中心に対して溝部2Acの上端側開口部が偏心していればよい。
【0023】
また、軸支板2Aaの孔部2Ab及び溝部2Acは、試験ローラ3の軸部3b及び中間軸8の軸部8aを軸支するのに適した強度(又は剛性、厚み等)を有する板材を、例えばレーザー加工、アブレシブジェット加工等の切断手段により形成している。
【0024】
一方、踏み板配置部2Bには、図1にも示すように、踏み板20の下面側四隅部を支持する複数の各コロ21…を、各踏み板20,20の下面側と対向して左右に架設した各支持台23,23上にそれぞれ配置している。且つ、円筒状又は円柱状を有するコロ21は、踏み板20と支持台23との対向面に固定した上下一対の各凹状ケース22,22により左右方向に対して転動可能に保持され、踏み板20を左右方向に対して水平移動可能に支持している。且つ、踏み板20の走行面には、後述する試験ローラ3と同様に、自動車が実際に走行する舗装路面と略同等又は略酷似するような梨地模様を略均一に付設している。
【0025】
また、踏み板20を移動不可状態にロック固定する場合、ロックピン20aを、踏み板20の内側縁部に連結した固定板20bと、踏み板20の内側縁部に近接してフレーム2aに架設した固定枠2bAとの重なり部分に差し込んで固定する。
【0026】
前記各試験ローラ3…は、図3にも示すように、一端側から他端側に向けて略同径となる略中空断面形状に形成したローラ本体3aの両端部中心に、ローラ本体3aの軸心に対して同心となるように一対の各軸部3b,3bを一体的に突設している。また、自動車のタイヤAが接触するローラ本体3aの外周面には、自動車が実際に走行する舗装路面と略同等又は略酷似するような梨地模様を略均一に付設している。上記梨地模様は、熱間圧延機により鋼板を圧延加工する際に付設され、回転時に付与される空気抵抗が小さく、騒音が低減されるような高さ及び形状を有する凸状に形成している。
【0027】
なお、梨地以外の模様として、上記のように回転時に付与される空気抵抗が小さく、騒音が低減されるような模様であれば、例えば砂地模様、岩地模様、幾何学模様等の所望する模様に変更してもよい。また、一つの模様形状を、例えば略丸形状や略菱形状、略三角形状、略四角形状、略楕円形状、略多角形状等の所望する形状に形成してもよい。また、試験ローラ3を、例えば略中実断面形状、略円柱形状等に形成したローラで構成することもできる。
【0028】
前記駆動装置4は、左右に配列した後部試験ローラ3,3の内側軸部3b,3bを1本の中間軸8により一体的に連結し、踏み板配置部2Bの略中央部に内蔵したモータ9の駆動力により、モータ9近傍に配置した小型の減速機10と、減速機10のスプロケット11と、中間軸8の略中央部に固定したスプロケット12と、スプロケット11,12間に張架したチェーン13と、スプロケット12近傍に設けたクラッチ装置14と、前後試験ローラ3,3の外側軸端3d,3dに固定したスプロケット15,15と、スプロケット15,15間に張架したチェーン16とを介して、左右に配列した前後一対の各試験ローラ3…を回転する。
【0029】
且つ、クラッチ装置14(例えばカム式クラッチ)は、速度試験時において、モータ9から各試験ローラ3…に出力される駆動力を遮断し、各試験ローラ3…を自由回転可能にする。
【0030】
前記昇降装置5は、左右タイヤA,Aが略水平に支持される長さ及び幅に形成した昇降台17を、左右に配列した前後試験ローラ3,3の間に設け、昇降台17の下面側両端部と対向して左右に配設した各昇降ベローズ18,18の拡縮動作により、前後一対の各試験ローラ3,3間に対してタイヤAが乗せられる降下位置(リフトダウン)と、前後一対の各試験ローラ3,3間からのタイヤAの脱出・通過が許容される上昇位置(リフトアップ)とに昇降動作する。なお、昇降ベローズ18の代わりに、例えば流耐圧式シリンダ等の昇降手段で昇降動作してもよい。
【0031】
前記制動力検出装置6は、左右に配列した後部試験ローラ3,3と略対応して中間軸8の両端部に形成した各小径部にそれぞれ取り付けられ、制動試験時において、自動車の制動力が試験ローラ3に働いたとき、中間軸8の各小径部に発生する例えば捩れや歪み等を検出し、その捩れや歪み等に対応した検出信号(周波数)に基づいて制動力を算出及び表示する指示装置(図示省略)に出力する。なお、制動力検出装置6は、例えば捩れトルク検出装置、歪み検出装置、光学式検出装置、過電流式検出装置、接触式検出装置等で構成することができる。
【0032】
前記速度検出装置7は、左右に配列した一方の前部試験ローラ3の内側軸部3bに取り付けられ、速度試験時において、自動車のタイヤAにより回転される試験ローラ3の回転数に対応した検出信号(パルス信号)を検出し、その検出信号に基づいて速度を算出及び表示する指示装置に出力する。
【0033】
前記横滑り検出装置19は、図7にも示すように、L字状を有する可動体24の長尺側端部を踏み板20の外側縁部に連結し、可動体24の長尺側端部を、支持台23上面に固定した凹状の保持体25で水平移動可能に保持して、踏み板20と可動体24とを同一方向に対して一体的に水平移動可能に設けている。また、可動体24の長尺側下面に固定した規制片24aを、可動体24側部の支持台23上に固定した一対の各規制部26,26に当接して、可動体24を所定の移動量に規制する。
【0034】
且つ、可動体24の上面側に配置される回転体27を、規制片24aと相反する側の支持台23上に立設した支軸28上端に対して水平回転可能に取り付けるとともに、回転体27の長尺側端部に連結したバネ29の復元力により、支軸28を中心として、回転体27の長尺側縁部と短尺側縁部とに突設した各当接部27a,27aを、可動体24の長尺側上面に突設した突起24b及び短尺側上面に突設した突起24bとに当接される方向に回動付勢している。
【0035】
横滑り試験時において、自動車のタイヤAが踏み板20上を移動するとき、踏み板20の横滑り動作に対応して水平移動する可動体24の移動量を、可動体24の短尺側端部に連結した横滑り量検出器30により電気的に検出し、その移動量に対応した検出信号(周波数)に基づいて横滑り量を算出及び表示する指示装置に出力する。
【0036】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、車両検査装置1を構成する各試験ローラ3…の取付け方法を説明する。
【0037】
先ず、図1、図2に示すように、複数の各試験ローラ3…を、装置本体2を構成するフレーム2aのローラ配置部2Aに取り付ける場合、図4、図5にも示すように、試験ローラ3の各軸部3b,3bを、ローラ配置部2Aに設けたフレーム2aを構成する各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acに沿って上方から挿入するとともに、各溝部2Ac,2Acから各孔部2Ab,2Abに対して挿入される斜め下方に向けて移動させ、各孔部2Ab,2Ab中心に挿入する。
【0038】
また、試験ローラ3の各軸部3b,3bを上方から下方に向けて挿入するとき、各溝部2Ac,2Acの両側縁部に当接しながら移動し、各孔部2Ab,2Abに対して直接挿入されるのを防止し、挿入時に付与される衝撃を軽減する。
【0039】
次に、図6にも示すように、各軸支板2Aa,2Aaの各孔部2Ab,2Ab中心に突出する試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各孔部2Ab,2Abの内周縁部に対して外側から嵌合される各軸受体2Ad,2Adの中心部に挿入し、各軸受体2Ad,2Adを、各孔部2Ab,2Abの外側縁部に形成した各取付け孔2Ae…に対して複数の各ボルト2Af…により一体的に固定して軸受する。また、残りの各試験ローラ3…は、上述と同様にしてローラ配置部2Aに取り付ける。
【0040】
また、軸支板2Aaの孔部2Abに対して溝部2Acが偏心しているので、試験ローラ3の軸部3bを下方から上方に向けて移動するとき、孔部2Abの内周縁部に一旦当接して、略真上方向に対して直接的な移動及び抜取りが防止される。
【0041】
一方、各試験ローラ3…を、装置本体2のローラ配置部2Aから取り外す場合、各ボルト2Af…による固定を解除して、各軸受体2Ad,2Adを各軸支板2Aa,2Aaの各孔部2Ab,2Abから取り外すとともに、試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各孔部2Ab,2Abから取り外される各軸受体2Ad,2Adから抜き取る。この後、試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各孔部2Ab,2Abから各溝部2Ac,2Acに挿入される斜め上方に向けて移動させ、各溝部2Ac,2Acに挿入された試験ローラ3の各軸部3b,3bを略真上方向に移動させると、試験ローラ3の各軸部3b,3bを各軸支板2Aa,2Aaの各孔部2Ab,2Abから抜き取ることができ、試験ローラ3の交換、メンテナンス等の作業が行える。また、残りの各試験ローラ3…は、上述と同様にしてローラ配置部2Aから取り外す。
【0042】
また、各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acは、各孔部2Ab,2Abの中心に対して偏心させているので、試験ローラ3の各軸部3b,3bを略真上方向に移動させたとき、各軸部3b,3bの外周面が各孔部2Ab,2Abの内周縁部に当接し、略真上方向への移動及び抜取りを阻止する。
【0043】
且つ、上記試験ローラ3と同様にして、左右に配列した後部試験ローラ3,3を連結する中間軸8の両端軸部8a,8aを、中間軸8の両端軸部8a,8aが軸支される間隔に隔てて配置した各軸支板2Aa,2Aaの各孔部2Ab,2Abに対して各溝部2Ac,2Acから挿入して、各軸支板2Aa,2Aaに固定される各制動力検出装置6,6により軸受する。また、中間軸8の軸部8aを、孔部2Abに固定される軸受体2Adで回転可能に軸受してもよい。
【0044】
以上のように、試験ローラ3の両端部に突設した各軸部3b,3b又は中間軸8の両端軸部8a,8aを、装置本体2を構成するフレーム2aの各軸支板2Aa…の各孔部2Ab…に上方から挿入し、各孔部2Ab…に固定される各軸受体2Ad…により軸受するので、軸受体2Adが固定される枠状又は台状の取付け部を装置本体2内に設ける必要がなく、取付け部よりも軸支板2Aaの方が薄く、軸支に必要な強度が得られるので、装置全体の構成及び構造を簡素化することができる。且つ、取付け部の寸法と対応する高さだけ装置全体が嵩低くなり、薄型化が図れる。
【0045】
また、試験場内の床部に設けた凹状据付け部に設置する場合、薄型の車両検査装置1を設置する凹状据付け部の深さが浅くて済み、施工作業が短期間で行えるとともに、施工費の低減を図ることができる。また、車両検査装置1の前後部に緩やかスロープを設置すれば、略平坦な据付け面に水平設置することも可能であり、設置場所の状況に応じて設置方法を選択することもできる。
【0046】
また、試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acに沿って上方から挿入して軸受するか、各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acに沿って上方に抜き取り分離するので、装置本体に対する試験ローラ3の取外し作業や取付け作業が簡単且つ容易に行える。
【0047】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この考案の車両は、実施例の自動車に対応し、
以下同様に、
車輪は、タイヤAに対応し、
駆動手段は、駆動装置4に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0048】
上記実施例の車両検査装置1の軸受構造は、例えば図8に示すように、自動車の制動力(ブレーキ)、速度(スピード)を試験又は検査する車両検査装置1の試験ローラ3又は中間軸8を軸受する際にも用いることができ、上記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。なお、上記実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】車両検査装置を構成する試験ローラの取付け状態を示す平面図。
【図2】装置本体のフレーム構造を示す平面図。
【図3】ローラ本体の両端部に各軸部を突設した試験ローラを示す斜視図。
【図4】試験ローラの軸部を軸支板の孔部に挿入する方法を示す斜視図。
【図5】試験ローラの軸部を軸支板の孔部に挿入する状態を示す側面図。
【図6】試験ローラの軸部を軸支板の孔部に軸受した状態を示す側面図。
【図7】横滑り検出装置の検出構造を示す拡大平面図。
【図8】試験ローラの他の取付け状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0050】
A…タイヤ
1…車両検査装置
2…装置本体
2a…フレーム
2A…ローラ配置部
2Aa…軸支板
2Ab…孔部
2Ac…溝部
2Ad…軸受体
3…試験ローラ
3a…ローラ本体
3b…軸部
8…中間軸
8a…軸部
19…横滑り検出装置
20…踏み板
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車の制動力(ブレーキ)、速度(スピード)、横滑り(サイドスリップ)等の複数項目を検査するときに用いられる車両検査装置の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のような車両検査装置の軸受構造としては、例えばスラストベアリング、ボールベアリング等で構成される一対の各軸受体を、装置内部に設けた枠形状又は台形状の各取付け部に固定し、試験ローラの両端部に突設した各軸部を、各取付け部に固定した各軸受体により軸受する特許文献1の一体型車両試験装置があるが、取付け部の寸法だけ装置全体が嵩高くなるので、車両試験装置を試験場内の床部に設けた凹状据付け部に設置する場合、凹状据付け部を装置全体の高さに応じた深さに設けなければならず、施工作業に手間及び時間が掛かる。また、試験ローラを装置本体から取り外す場合、一対の各軸受体を各取付け部から取外した後、試験ローラの各軸部を各軸受体から抜き取らなければならず、装置本体に対する試験ローラの取外し作業や取付け作業に手間及び時間が掛かる。
【特許文献1】特開2005−17269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は上記問題に鑑み、装置全体の構成及び構造を簡素化するとともに、装置全体を嵩低くして、薄型化することができる車両検査装置の軸受構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、車両の左右車輪を、装置本体の左右上面に配列した前後一対の各試験ローラ間に乗せ、該各試験ローラを装置本体に内蔵した駆動手段により回転させて試験する車両検査装置であって、上記試験ローラの両端部に突設した各軸部を軸支する一対の各軸支板を、該各軸部が軸支される間隔に隔てて上記装置本体内に設け、上記試験ローラの各軸部を上記各軸支板に形成した各孔部に挿入するとともに、該各軸部を各孔部に固定される各軸受体により回転可能に軸受したことを特徴とする。
【0005】
この発明によると、試験ローラの両端部に突設した各軸部を、装置本体を構成する各軸支板の各孔部に挿入するとともに、各孔部中心に突出する試験ローラの各軸部を、各孔部に固定される各軸受体の中心部に挿入して回転可能に軸受する。
【0006】
上述の車両は、例えば自動車や自動二輪、トラック、バス等で構成することができる。また、車両の車輪は、例えばゴムタイヤ、金属や木の単体及び複合した車輪等で構成することができる。また、駆動手段は、例えば駆動装置及びモータ、減速機、スプロケット、チェーン等で構成することができる。
【0007】
請求項2に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、上記請求項1に記載の構成と併せて、上記左右の各試験ローラを連結する中間軸を軸支する一対の各軸支板を、該中間軸の両端軸部が軸支される間隔に隔てて上記装置本体内に設け、
上記中間軸の両端軸部を上記各軸支板に形成した各孔部に挿入して回転可能に軸受したことを特徴とする。
【0008】
この発明によると、上記試験ローラと同様にして、左右の各試験ローラを連結する中間軸の両端軸部を、装置本体内に設けた各軸支板の各孔部に挿入して軸受する。また、各孔部に固定される各軸受体で回転可能に軸受してもよい。
【0009】
請求項3に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、上記請求項1又は2に記載の構成と併せて、上記軸部の通過が許容される幅の溝部を、上記軸支板の孔部に連続して該軸支板の上縁部に形成したことを特徴とする。
【0010】
この発明によると、試験ローラ又は中間軸の軸部を、軸支板に形成した溝部に沿って挿入方向(斜め下方又は真下方向)に移動させ、軸支板に形成した孔部中心に挿入して、孔部に固定される軸受体により軸受する。一方、軸受体を孔部から取り外すとともに、試験ローラ又は中間軸の軸部を、孔部から取り外される軸受体から抜き取った後、試験ローラ又は中間軸の軸部を、軸支板に形成した溝部に沿って抜取り方向(斜め上方魔は真上方向)に移動させ、試験ローラ又は中間軸の軸部を軸支板の孔部から抜き取る。
【0011】
請求項4に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、上記請求項1乃至3のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記溝部を、上記孔部の中心に対して偏心させて形成したことを特徴とする。
【0012】
この発明によると、軸支板の孔部に対して溝部が偏心しているので、試験ローラ又は中間軸の軸部を下方から上方に向けて移動するとき、孔部の内周縁部に一旦当接して、略真上方向に対してへの移動及び抜取りを防止する。また、試験ローラ又は中間軸の軸部を上方から下方に向けて挿入するとき、溝部の両側縁部に当接しながら移動し、孔部に対して直接挿入されるのを防止し、挿入時に付与される衝撃を軽減する。
【0013】
請求項5に記載した発明の車両検査装置の軸受構造は、上記請求項1乃至4のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記軸支板の孔部と溝部を、上記軸部を軸支するのに必要な強度を有する板材を切断して形成したことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、試験ローラ又は中間軸の軸部を軸支するのに必要な強度(又は剛性、厚み等)を有する板材を、例えばレーザー加工、アブレシブジェット加工等の切断手段により切断して、軸支板の孔部と溝部を形成する。なお、板材は、例えば鋼材、アルミニウム合金等の単一又は複合した材質で構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、試験ローラ又は中間軸の両端部に設けた各軸部を、装置本体を構成する各軸支板の各孔部に挿入して、各孔部に固定される各軸受体により軸受するので、軸受体を固定するための枠状又は台状の取付け部を設ける必要がなく、取付け部よりも軸支板の方が薄く、軸支に必要な強度が得られるので、装置全体の構成及び構造を簡素化することができる。且つ、取付け部を取り除いた寸法と対応する高さだけ装置全体が嵩低くなり、薄型化が図れる。
【0016】
また、試験場内の床部に設けた凹状据付け部に設置する場合、薄型の車両検査装置を設置する凹状据付け部の深さが浅くて済み、施工作業が短期間で行えるとともに、施工費の低減を図ることができる。また、車両検査装置の前後部に緩やかスロープを設置すれば、略平坦な据付け面に水平設置することも可能であり、設置場所の状況に応じて設置方法を選択することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明は、装置全体の構成及び構造を簡素化することができるとともに、装置全体が嵩低くなり、薄型化が図れるという目的を、試験ローラ又は中間軸の両端部に設けた各軸部を、装置本体を構成する各軸支板の各孔部に挿入して、該各孔部に固定される各軸受体により軸受することで達成した。
【実施例】
【0018】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、車両の一例である自動車の制動力(ブレーキ)、速度(スピード)、横滑り(サイドスリップ)等の複数項目を検査する車両検査装置の軸受構造を示し、図1に於いて、この車両検査装置1は、自動車(図示省略)の左右タイヤA,Aを支持する前後一対の各試験ローラ3…を、装置本体2に設けたローラ配置部2Aの左右上面に配列し、各試験ローラ3…を回転する駆動装置4を、装置本体2に設けた踏み板配置部2Bの略中央部に内蔵し、自動車の乗込み及び脱出を容易にする昇降装置5と、自動車の制動力を検出する制動力検出装置6と、速度計の速度に対応した各試験ローラ3…の回転速度を検出する速度検出装置7とを、装置本体2に設けたローラ配置部2Aの略中央部に内蔵し、自動車の横滑り量を検出する横滑り検出装置19を、装置本体2に設けた踏み板配置部2Bの左右内部に内蔵している。
【0019】
上記装置本体2は、図2にも示すように、例えばコ字状、L字状、I字状等の断面形状を有する複数の各枠体2b…を組み付けてなる平面視矩形のフレーム2a内部に、前後一対の各試験ローラ3…が左右に配置されるローラ配置部2Aと、左右一対の各踏み板20,20が配置される踏み板配置部2Bとを設けている。また、フレーム2aの外側縁部及び内側縁部に設けた複数箇所の各固定部2c…は、例えばジャッキボルト、アンカーボルト等の固定手段により試験場の据付け部に固定され、フレーム2a全体を安定した状態に略水平固定する。
【0020】
上記ローラ配置部2Aには、図4、図5、図6にも示すように、各試験ローラ3…の両端部に突設した各軸部3b…を軸支する左右一対の各軸支板2Aa,2Aaを、試験ローラ3の各軸部3b,3bが軸受される間隔に隔てて配置している。また、ローラ配置部2Aの中央部に配置した各軸支板2Aa,2Aaの間にも、後部試験ローラ3,3の内側軸部3b,3b間に連結した中間軸8の両端軸部8a,8aを軸支する左右一対の各軸支板2Aa,2Aaを、中間軸8の両端軸部8a,8aが軸支される間隔に隔てて配置している。
【0021】
且つ、試験ローラ3の軸部3bと中間軸8の軸部8aとを軸支する軸支板2Aaの平面部には、試験ローラ3の軸部3bと中間軸8の軸部8aとが軸支される孔部2Abをそれぞれ設けている。また、軸支板2Aaの孔部2Abに挿入される試験ローラ3の軸部3b及び中間軸8の軸部8aは、孔部2Abに固定される軸受体2Adにより回転可能に軸受される。また、軸受体2Adは、孔部2Abの内周縁部に対して略合致する状態に外側から嵌合され、軸受体2Adの外周縁部に挿通される複数の各ボルト2Af…を、孔部2Abの外側縁部に形成した複数の各取付け孔2Ae…に螺着して一体的に固定する。
【0022】
且つ、試験ローラ3の軸部3b及び中間軸8の軸部8aの外径より大きく、軸部3b及び軸部8aの通過あるいは移動が許容される幅の溝部2Acを、軸支板2Aaの孔部2Abに連続して該軸支板2Aaの上縁部に形成するとともに、孔部2Abの中心に対して略1/2だけ偏心させて形成している。なお、溝部2Acを、例えば所望する角度に傾斜するか、蛇行形状に形成する等してもよく、孔部2Abの中心に対して溝部2Acの上端側開口部が偏心していればよい。
【0023】
また、軸支板2Aaの孔部2Ab及び溝部2Acは、試験ローラ3の軸部3b及び中間軸8の軸部8aを軸支するのに適した強度(又は剛性、厚み等)を有する板材を、例えばレーザー加工、アブレシブジェット加工等の切断手段により形成している。
【0024】
一方、踏み板配置部2Bには、図1にも示すように、踏み板20の下面側四隅部を支持する複数の各コロ21…を、各踏み板20,20の下面側と対向して左右に架設した各支持台23,23上にそれぞれ配置している。且つ、円筒状又は円柱状を有するコロ21は、踏み板20と支持台23との対向面に固定した上下一対の各凹状ケース22,22により左右方向に対して転動可能に保持され、踏み板20を左右方向に対して水平移動可能に支持している。且つ、踏み板20の走行面には、後述する試験ローラ3と同様に、自動車が実際に走行する舗装路面と略同等又は略酷似するような梨地模様を略均一に付設している。
【0025】
また、踏み板20を移動不可状態にロック固定する場合、ロックピン20aを、踏み板20の内側縁部に連結した固定板20bと、踏み板20の内側縁部に近接してフレーム2aに架設した固定枠2bAとの重なり部分に差し込んで固定する。
【0026】
前記各試験ローラ3…は、図3にも示すように、一端側から他端側に向けて略同径となる略中空断面形状に形成したローラ本体3aの両端部中心に、ローラ本体3aの軸心に対して同心となるように一対の各軸部3b,3bを一体的に突設している。また、自動車のタイヤAが接触するローラ本体3aの外周面には、自動車が実際に走行する舗装路面と略同等又は略酷似するような梨地模様を略均一に付設している。上記梨地模様は、熱間圧延機により鋼板を圧延加工する際に付設され、回転時に付与される空気抵抗が小さく、騒音が低減されるような高さ及び形状を有する凸状に形成している。
【0027】
なお、梨地以外の模様として、上記のように回転時に付与される空気抵抗が小さく、騒音が低減されるような模様であれば、例えば砂地模様、岩地模様、幾何学模様等の所望する模様に変更してもよい。また、一つの模様形状を、例えば略丸形状や略菱形状、略三角形状、略四角形状、略楕円形状、略多角形状等の所望する形状に形成してもよい。また、試験ローラ3を、例えば略中実断面形状、略円柱形状等に形成したローラで構成することもできる。
【0028】
前記駆動装置4は、左右に配列した後部試験ローラ3,3の内側軸部3b,3bを1本の中間軸8により一体的に連結し、踏み板配置部2Bの略中央部に内蔵したモータ9の駆動力により、モータ9近傍に配置した小型の減速機10と、減速機10のスプロケット11と、中間軸8の略中央部に固定したスプロケット12と、スプロケット11,12間に張架したチェーン13と、スプロケット12近傍に設けたクラッチ装置14と、前後試験ローラ3,3の外側軸端3d,3dに固定したスプロケット15,15と、スプロケット15,15間に張架したチェーン16とを介して、左右に配列した前後一対の各試験ローラ3…を回転する。
【0029】
且つ、クラッチ装置14(例えばカム式クラッチ)は、速度試験時において、モータ9から各試験ローラ3…に出力される駆動力を遮断し、各試験ローラ3…を自由回転可能にする。
【0030】
前記昇降装置5は、左右タイヤA,Aが略水平に支持される長さ及び幅に形成した昇降台17を、左右に配列した前後試験ローラ3,3の間に設け、昇降台17の下面側両端部と対向して左右に配設した各昇降ベローズ18,18の拡縮動作により、前後一対の各試験ローラ3,3間に対してタイヤAが乗せられる降下位置(リフトダウン)と、前後一対の各試験ローラ3,3間からのタイヤAの脱出・通過が許容される上昇位置(リフトアップ)とに昇降動作する。なお、昇降ベローズ18の代わりに、例えば流耐圧式シリンダ等の昇降手段で昇降動作してもよい。
【0031】
前記制動力検出装置6は、左右に配列した後部試験ローラ3,3と略対応して中間軸8の両端部に形成した各小径部にそれぞれ取り付けられ、制動試験時において、自動車の制動力が試験ローラ3に働いたとき、中間軸8の各小径部に発生する例えば捩れや歪み等を検出し、その捩れや歪み等に対応した検出信号(周波数)に基づいて制動力を算出及び表示する指示装置(図示省略)に出力する。なお、制動力検出装置6は、例えば捩れトルク検出装置、歪み検出装置、光学式検出装置、過電流式検出装置、接触式検出装置等で構成することができる。
【0032】
前記速度検出装置7は、左右に配列した一方の前部試験ローラ3の内側軸部3bに取り付けられ、速度試験時において、自動車のタイヤAにより回転される試験ローラ3の回転数に対応した検出信号(パルス信号)を検出し、その検出信号に基づいて速度を算出及び表示する指示装置に出力する。
【0033】
前記横滑り検出装置19は、図7にも示すように、L字状を有する可動体24の長尺側端部を踏み板20の外側縁部に連結し、可動体24の長尺側端部を、支持台23上面に固定した凹状の保持体25で水平移動可能に保持して、踏み板20と可動体24とを同一方向に対して一体的に水平移動可能に設けている。また、可動体24の長尺側下面に固定した規制片24aを、可動体24側部の支持台23上に固定した一対の各規制部26,26に当接して、可動体24を所定の移動量に規制する。
【0034】
且つ、可動体24の上面側に配置される回転体27を、規制片24aと相反する側の支持台23上に立設した支軸28上端に対して水平回転可能に取り付けるとともに、回転体27の長尺側端部に連結したバネ29の復元力により、支軸28を中心として、回転体27の長尺側縁部と短尺側縁部とに突設した各当接部27a,27aを、可動体24の長尺側上面に突設した突起24b及び短尺側上面に突設した突起24bとに当接される方向に回動付勢している。
【0035】
横滑り試験時において、自動車のタイヤAが踏み板20上を移動するとき、踏み板20の横滑り動作に対応して水平移動する可動体24の移動量を、可動体24の短尺側端部に連結した横滑り量検出器30により電気的に検出し、その移動量に対応した検出信号(周波数)に基づいて横滑り量を算出及び表示する指示装置に出力する。
【0036】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、車両検査装置1を構成する各試験ローラ3…の取付け方法を説明する。
【0037】
先ず、図1、図2に示すように、複数の各試験ローラ3…を、装置本体2を構成するフレーム2aのローラ配置部2Aに取り付ける場合、図4、図5にも示すように、試験ローラ3の各軸部3b,3bを、ローラ配置部2Aに設けたフレーム2aを構成する各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acに沿って上方から挿入するとともに、各溝部2Ac,2Acから各孔部2Ab,2Abに対して挿入される斜め下方に向けて移動させ、各孔部2Ab,2Ab中心に挿入する。
【0038】
また、試験ローラ3の各軸部3b,3bを上方から下方に向けて挿入するとき、各溝部2Ac,2Acの両側縁部に当接しながら移動し、各孔部2Ab,2Abに対して直接挿入されるのを防止し、挿入時に付与される衝撃を軽減する。
【0039】
次に、図6にも示すように、各軸支板2Aa,2Aaの各孔部2Ab,2Ab中心に突出する試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各孔部2Ab,2Abの内周縁部に対して外側から嵌合される各軸受体2Ad,2Adの中心部に挿入し、各軸受体2Ad,2Adを、各孔部2Ab,2Abの外側縁部に形成した各取付け孔2Ae…に対して複数の各ボルト2Af…により一体的に固定して軸受する。また、残りの各試験ローラ3…は、上述と同様にしてローラ配置部2Aに取り付ける。
【0040】
また、軸支板2Aaの孔部2Abに対して溝部2Acが偏心しているので、試験ローラ3の軸部3bを下方から上方に向けて移動するとき、孔部2Abの内周縁部に一旦当接して、略真上方向に対して直接的な移動及び抜取りが防止される。
【0041】
一方、各試験ローラ3…を、装置本体2のローラ配置部2Aから取り外す場合、各ボルト2Af…による固定を解除して、各軸受体2Ad,2Adを各軸支板2Aa,2Aaの各孔部2Ab,2Abから取り外すとともに、試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各孔部2Ab,2Abから取り外される各軸受体2Ad,2Adから抜き取る。この後、試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各孔部2Ab,2Abから各溝部2Ac,2Acに挿入される斜め上方に向けて移動させ、各溝部2Ac,2Acに挿入された試験ローラ3の各軸部3b,3bを略真上方向に移動させると、試験ローラ3の各軸部3b,3bを各軸支板2Aa,2Aaの各孔部2Ab,2Abから抜き取ることができ、試験ローラ3の交換、メンテナンス等の作業が行える。また、残りの各試験ローラ3…は、上述と同様にしてローラ配置部2Aから取り外す。
【0042】
また、各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acは、各孔部2Ab,2Abの中心に対して偏心させているので、試験ローラ3の各軸部3b,3bを略真上方向に移動させたとき、各軸部3b,3bの外周面が各孔部2Ab,2Abの内周縁部に当接し、略真上方向への移動及び抜取りを阻止する。
【0043】
且つ、上記試験ローラ3と同様にして、左右に配列した後部試験ローラ3,3を連結する中間軸8の両端軸部8a,8aを、中間軸8の両端軸部8a,8aが軸支される間隔に隔てて配置した各軸支板2Aa,2Aaの各孔部2Ab,2Abに対して各溝部2Ac,2Acから挿入して、各軸支板2Aa,2Aaに固定される各制動力検出装置6,6により軸受する。また、中間軸8の軸部8aを、孔部2Abに固定される軸受体2Adで回転可能に軸受してもよい。
【0044】
以上のように、試験ローラ3の両端部に突設した各軸部3b,3b又は中間軸8の両端軸部8a,8aを、装置本体2を構成するフレーム2aの各軸支板2Aa…の各孔部2Ab…に上方から挿入し、各孔部2Ab…に固定される各軸受体2Ad…により軸受するので、軸受体2Adが固定される枠状又は台状の取付け部を装置本体2内に設ける必要がなく、取付け部よりも軸支板2Aaの方が薄く、軸支に必要な強度が得られるので、装置全体の構成及び構造を簡素化することができる。且つ、取付け部の寸法と対応する高さだけ装置全体が嵩低くなり、薄型化が図れる。
【0045】
また、試験場内の床部に設けた凹状据付け部に設置する場合、薄型の車両検査装置1を設置する凹状据付け部の深さが浅くて済み、施工作業が短期間で行えるとともに、施工費の低減を図ることができる。また、車両検査装置1の前後部に緩やかスロープを設置すれば、略平坦な据付け面に水平設置することも可能であり、設置場所の状況に応じて設置方法を選択することもできる。
【0046】
また、試験ローラ3の各軸部3b,3bを、各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acに沿って上方から挿入して軸受するか、各軸支板2Aa,2Aaの各溝部2Ac,2Acに沿って上方に抜き取り分離するので、装置本体に対する試験ローラ3の取外し作業や取付け作業が簡単且つ容易に行える。
【0047】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この考案の車両は、実施例の自動車に対応し、
以下同様に、
車輪は、タイヤAに対応し、
駆動手段は、駆動装置4に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0048】
上記実施例の車両検査装置1の軸受構造は、例えば図8に示すように、自動車の制動力(ブレーキ)、速度(スピード)を試験又は検査する車両検査装置1の試験ローラ3又は中間軸8を軸受する際にも用いることができ、上記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。なお、上記実施例と同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】車両検査装置を構成する試験ローラの取付け状態を示す平面図。
【図2】装置本体のフレーム構造を示す平面図。
【図3】ローラ本体の両端部に各軸部を突設した試験ローラを示す斜視図。
【図4】試験ローラの軸部を軸支板の孔部に挿入する方法を示す斜視図。
【図5】試験ローラの軸部を軸支板の孔部に挿入する状態を示す側面図。
【図6】試験ローラの軸部を軸支板の孔部に軸受した状態を示す側面図。
【図7】横滑り検出装置の検出構造を示す拡大平面図。
【図8】試験ローラの他の取付け状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0050】
A…タイヤ
1…車両検査装置
2…装置本体
2a…フレーム
2A…ローラ配置部
2Aa…軸支板
2Ab…孔部
2Ac…溝部
2Ad…軸受体
3…試験ローラ
3a…ローラ本体
3b…軸部
8…中間軸
8a…軸部
19…横滑り検出装置
20…踏み板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右車輪を、装置本体の左右上面に配列した前後一対の各試験ローラ間に乗せ、該各試験ローラを装置本体に内蔵した駆動手段により回転させて試験する車両検査装置であって、
上記試験ローラの両端部に突設した各軸部を軸支する一対の各軸支板を、該各軸部が軸支される間隔に隔てて上記装置本体内に設け、
上記試験ローラの各軸部を上記各軸支板に形成した各孔部に挿入するとともに、該各軸部を各孔部に固定した各軸受体により回転可能に軸受した
車両検査装置の軸受構造。
【請求項2】
上記左右の各試験ローラを連結する中間軸を軸支する一対の各軸支板を、該中間軸の両端軸部が軸支される間隔に隔てて上記装置本体内に設け、
上記中間軸の両端軸部を上記各軸支板に形成した各孔部に挿入して回転可能に軸受した
請求項1に記載の車両検査装置の軸受構造。
【請求項3】
上記軸部の通過又は移動が許容される幅の溝部を、上記軸支板の孔部に連続して該軸支板の上縁部に形成した
請求項1又は2に記載の車両検査装置の軸受構造。
【請求項4】
上記溝部を、上記孔部の中心に対して偏心させて形成した
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の車両検査装置の軸受構造。
【請求項5】
上記軸支板の孔部と溝部を、上記軸部を軸支するのに必要な強度を有する板材を切断して形成した
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の車両検査装置の軸受構造。
【請求項1】
車両の左右車輪を、装置本体の左右上面に配列した前後一対の各試験ローラ間に乗せ、該各試験ローラを装置本体に内蔵した駆動手段により回転させて試験する車両検査装置であって、
上記試験ローラの両端部に突設した各軸部を軸支する一対の各軸支板を、該各軸部が軸支される間隔に隔てて上記装置本体内に設け、
上記試験ローラの各軸部を上記各軸支板に形成した各孔部に挿入するとともに、該各軸部を各孔部に固定した各軸受体により回転可能に軸受した
車両検査装置の軸受構造。
【請求項2】
上記左右の各試験ローラを連結する中間軸を軸支する一対の各軸支板を、該中間軸の両端軸部が軸支される間隔に隔てて上記装置本体内に設け、
上記中間軸の両端軸部を上記各軸支板に形成した各孔部に挿入して回転可能に軸受した
請求項1に記載の車両検査装置の軸受構造。
【請求項3】
上記軸部の通過又は移動が許容される幅の溝部を、上記軸支板の孔部に連続して該軸支板の上縁部に形成した
請求項1又は2に記載の車両検査装置の軸受構造。
【請求項4】
上記溝部を、上記孔部の中心に対して偏心させて形成した
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の車両検査装置の軸受構造。
【請求項5】
上記軸支板の孔部と溝部を、上記軸部を軸支するのに必要な強度を有する板材を切断して形成した
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の車両検査装置の軸受構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−349400(P2006−349400A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173517(P2005−173517)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(502283408)株式会社トーキンシステム (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(502283408)株式会社トーキンシステム (2)
【Fターム(参考)】
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