説明

車両検知センサ

【課題】
従来の装置の欠点を克服して、天候に左右されずに、金属である車輌のみを検知し、かつ設置が容易な車輌検知装置を提供するためのものであって、特に、低消費電力で車両の停止位置を十分な確度で検知できる装置を提供することである。
【解決手段】
車両の移動接近/離間を地磁気又は車両の有する磁気の変化を検知する磁気センサと、パルス電流を流し、電流のオフ時の減衰特性から車両の位置を検出するためのコイルを有し、制御及び判定のためコンピュータを有し、磁気センサの検知出力をトリガにしてコイルに検出パルスを流すようにし、減衰特性上に置ける適当な閾値での時間を測定し車両の存在を判定するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場における車両を検知する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場における車両の存在を検知するセンサとして、赤外線、超音波を検出媒体とし、車両により赤外線や超音波が反射や遮断されることを検出することで車両を検知するものである。又、車両の画像をカメラで取得するものなどがあったが、設備費が比較的少ない理由で、駐車場の出入口等にはコイルにより磁気を検出するものが多く利用されてきた。これはループコイルと呼ばれているが、車両の存在による磁気の変化をコイルの自己誘導係数の変化、即ち交流電流の流れるコイルのインダクタンス変化を検知するものが普及している。ループコイル方式は、直径数mの大きなコイルを用い、コイル磁界中に金属である車両が近づくことでコイルの等価インダクタンスが変化することで検知しているので、検知の感度を確保するためには、適当な大きなコイル面積が必要であり、更に地下埋設をして使用する必要があり、更に低コストで簡便に利用できるものが必要となっていた。
【0003】
このような背景にあって、いくつかの案が提案されてきた。特許文献1では、二個の電磁コイルを互いに直交するように配置して、1個のコイルに数kHzの交流を流して、磁場を発生させ、車両が存在する場合に車両が磁気回路を形成して、他方のコイルに磁束を伝達させることを利用して車両検知するものである。この特徴は、交流電流を流して磁界を発生させるので、強い磁界を得ることができるので、コイルの面積がループコイルより小さくてよいことである。然しながら、コイルを小さくするには、大きい電流の交流を流す装置が必要となって、低消費電力に実現できなくなる欠点があった。
【0004】
コイルを使わないものとしては、特許文献2では、高感度地磁気センサにより構成した車両検知器が提案されているが、この文献では具体的構成は述べられていない。更に、特許文献3、及び特許文献4では、磁気センサを用いて車両の存在を検知する方法について提案されている。
【0005】
ここでは、地磁気を検出するのではなく、個々の車両が有している磁場を検出している。方法としては、複数の磁気センサを用い、センサ出力の絶対値を取り、その和が所定の値より小さい場合には車両無しと判定するものである。センサ出力で車両が棒磁石のように磁化されていることを解説し、車両が存在する場合には、複数センサのどちらかが零にならないことを利用して、出力の絶対値を取り、和を見れば、車両がある場合は所定値以上の値になるが、車両が無い場合は、複数のセンサ出力は全部零になるため、検出が確定するというものであった。これは、センサの上を車両を通過させた場合のセンサ出力波形を考慮した卓見した提案であったが、ここでも車両自体が単純な棒磁石のような磁気特性ではなく、車両の個々により複雑なセンス波形を呈するために、この方法では、車両が存在するのに、存在しないと誤判定する不都合があった。即ち、本出願に示す図3の実験結果のように車両によっては、複数のセンサが同時に零出力になる例が多く見出された。
【0006】
図3のデータは、図5に示すような車両と磁気センサ回路配置の状況で取得された各種の車両の移動に対応する磁気センサ出力特性図である。図5において、センサ回路52は、磁気センサ53、54を有している。磁気センサ53と54は互いに異なる磁気感受特性を有している。例えば、磁気センサ53は、5bで示す車両の底面に対して垂直軸方向の磁界に感度が高く、磁気センサ54は、5aで示す水平長手方向の磁界に感度が高いように磁気センサの向きを考慮して配置している。5cで示す車幅方向には磁界が強くないので、好ましくは水平長手方向の磁界を感知するほうがよい。尚、磁気センサ53、54は、磁気に対する検知特性の違うものを用いてもよい。センサ回路52を地面に設置して、この上を車51を移動させて時間的に磁気センサ53、54からの出力をセンサ回路52の中の適当な増幅器を経由して測定すると、図3に示す特性が個々の車両に応じて各種得られる。図3では、横軸が時間であり、車両の移動に対応している。縦軸は、磁気センサ53、54からの出力で、磁界の変化に対応している。6個のグラフを例に示しているが、左側にまとめた3−A、3−B、3−Cが、車両が存在する間は、二つのセンサ出力が同時に零にならない場合であり、これは特許文献3、特許文献4の提案で対応ができるものである。ところが、右側にまとめた3−D、3−E、3−Fが、車両が存在する間に、二つのセンサ出力が同時に零になってしまう場合である。CLと書いた水平ラインが信号の零レベルになるが、丸印で示した部分で、同時零になっていることが分かる。図4はそのうち、図3の3−Eの磁気センサ出力特性の絶対値を取り、更に和を取ったものを示している。GMR1とGMR2は、絶対値を取らない二つの磁気センサ53、54からの出力であり、abs1とabs2は、その絶対値を取ったものである。但し、CLで示すここでは1.5の値のラインが磁気センサの出力が零のラインなので、CLより下にあるものは負、上にあるものは正として、データからCLの値を引いた値で絶対値計算してある。abs1+abs2は、両者の和である。これを見ると、丸印で示した3箇所で絶対値の和が零になっているため、従来の方法では、車両が存在しないと誤判定してしまうことを示している。
【0007】
このように地磁気や車両の磁気の変化を磁気センサで検出する手段は、車両が移動してきたかどうかを検知するにはよいが、停止しているのかどうかの判別の確度は十分でなく、停止位置の判別は、十分でないため、駐車場の停車車両の判別には、これのみでは十分とは言えない欠点があった。
【0008】
特許文献1では、2個のコイルを使ったが、一方のコイルに交流電流を流し、これにより発生する磁界を車両による変化を、他のコイルで受け取った例であったが、特許文献5では、金属を検出するものとして、1個のコイルにパルス電流を流し、パルス電流がオフした後の減衰過渡応答が金属が存在すると変化することを利用したものが示されていて、
この手段を車両に適用することで、車両が検知できることを本発明者は、検討してきた。
この手段は、ループコイルよりコイルのサイズを小さく出来、車両の存在の判別の確度は十分であるが、駐車場での車両の検出では、常時車両を検出しなければならないので、検出のために車両が来ない間も常時コイルにパルス電流を流し続ける必要があって、消費電力が大きくなってしまう欠点があり、消費電力を低く抑え、検出確度の十分な車両検出手段が求められていた。
【0009】
以上、纏めると、超音波や赤外線を利用するセンサにおいては、金属である車両以外の人間や障害物も検出するので誤検知の可能性があり、砂塵や雨水など天候の影響で赤外線や超音波が乱れると言う欠点があった。
また、ループコイルは金属である車両のみ検知する利点があるが、直径数mの大径コイルを路面地下に埋設する工事が必要であり、安易に設置できない欠点があった。又、ループコイル及びコイルにパルス電流を流す手段では、車両が来ない場合でも常に交流電流を流し続ける必要もあり、消費電力が大きいという欠点があった。
又、地磁気の変化や車両の磁気の変化を磁気センサで検出する手段は、車両の移動の検出が出来ても、停止位置の検出の確度が十分でない欠点があった。
【特許文献1】特開平10−288673
【特許文献2】特開平11−144187
【特許文献3】特開平9−211144
【特許文献4】特開平9−237399
【特許文献5】特開平5−232245
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の従来の装置の欠点を克服して、天候に左右されずに、金属である車両のみを検知し、かつ設置が容易な車両検知装置を提供するためのものであって、特に、低消費電力で車両の停止位置を十分な確度で検知できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以上のような背景であって従来の問題点を解決するために提案されたものである。車両が移動する場合の車両近傍においては、磁性金属である車体により地磁気の歪み発生や、また車体自身が着磁していることから、磁気変化が見られる。車両の移動接近/離間を地磁気又は車両の有する磁気の変化を検知するGMR素子等の磁気センサと、パルス電流を流し、電流のオフ時の減衰特性から車両の位置を検出するためのコイルを有し、磁気センサの検知出力をトリガにしてコイルに検出パルスを流すようにしたものである。後者では、励磁コイルにパルス電流を流してパルス状の磁界を発生し、この磁界で対象物に生じる渦電流による反射波形の過渡応答特性の変化により、車両が近傍にいるか否かを検出している。以下、請求項に沿って説明する。
【0012】
請求項1記載の発明は、車両検知センサであって、車両の移動を検出する車両移動検出部と車両の存在を検知する車両存在検出部とコンピュータを有し、
前記車両移動検出部は、前記車両移動による地磁気の歪み、または着磁した前記車両による磁気変化を読み取る磁気センサと、前記磁気センサの出力電圧を増幅する増幅器と、オフセット補正回路とを有し、前記オフセット補正回路は、前記車両が存在しないときの前記増幅器の第1の出力電圧を受けて、前記コンピュータへ入力する入力電圧を前記コンピュータが前記車両が存在しないと判断する基準となる中心電圧に調整する補正値を出力し、前記車両が移動してきて存在するときには、前記第1の出力電圧の変化分に応じた値が前記中心電圧に加わるものであり、
前記車両存在検出部は、前記車両の存在を検知するためのパルス磁界を発生し、前記車両の存在により変化を受け戻ってきた前記パルス磁界を感知するための励磁コイルと、前記コンピュータからの指令で前記励磁コイルにパルス電流を供給するパルス電流源と、前記励磁コイルに接続され前記励磁コイルが感知して発生した第2の出力電圧を減衰させるための抵抗と、前記第2の出力電圧を増幅する第2の増幅器と、前記第2の増幅器の出力する電圧の大小を比較するための閾値を持った比較器とを有し、
前記コンピュータは、前記車両移動検出部からの出力を受けて前記車両の移動を判断し、前記パルス電流源を駆動する前記指令を出力し、前記比較器の出力を受けて前記第2の出力電圧の減衰状態の時間変化から前記車両の存在を判断するものであり、
前記車両移動検出部により前記車両の移動を検知した場合に、前記コンピュータが前記車両存在検出部を駆動して、前記車両の存在を検知することを特徴とする。これにより、消費電力の少ない車両検出確度の高い車両検知が出来る。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両検知センサにおいて、前記車両移動検出部により前記車両の移動を検知することにおいて、前記磁気センサの感知した磁気の時間的変化速度から前記車両の移動を判定することを特徴とする。これにより、確度の高い車両の移動を検知できる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の車両検知センサにおいて、互いに異なる前記閾値を持った前記比較器を複数個持ち、前記第2の出力電圧の各閾値における前記車両が存在しない場合と現在の測定の場合の時間差から被測定対象物が車両か否かを判定することを特徴とする。これにより確度の高い車両の存在検知が出来る。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の車両検知センサにおいて、前記閾値を持った前記比較器の個数は3個以上にすることで、前記閾値電圧になる時間を3点以上測定し、前記時間差を計算し、各々の前記時間差の比率変化から被測定対象物が車両か否かを判定することを特徴とする。これにより、確度の高い車両の存在検知が出来る。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両検知センサにおいて、前記車両存在検出部の出力により前記コンピュータが被測定対象物が車両であるか否かを判定することにおいて、前記車両移動検出部の出力の大きさにより鉄材を多く含む車両か、非磁性材を多く含む非車両であるかを判定することを特徴とする。これにより、車両かどうかの判定の確度が高くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は天候や障害物に影響されずに、誤判定無く、低消費電力で金属、特に鉄材である車両のみを検知出来るので屋外の駐車場に設置して最適なセンサを提供できる。また、設置が容易であり小型であることから1台1台の車両に対して設置して管理することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明を実施するための最良の形態として、提案するものであって、
車両の移動接近/離間を地磁気又は車両の有する磁気の変化を検知するGMR素子等の磁気センサと、パルス電流を流し、電流のオフ時の減衰特性から車両の位置を検出するためのコイルを有し、磁気センサの検知出力をトリガにしてコイルに検出パルスを流すようにしたものである。以下、実施態様を説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明による車両検知センサのブロック図である。大きく機能で分けると、車両の移動を検知する車両移動検出部と車両の存在を検知する車両存在検出部とこれらを制御し判断するコンピュータを有している。
【0020】
先ず、車両移動検出部は、磁気センサ1とアンプ2とオフセット補正回路3を有している。車両による磁気変化を検出する磁気センサ1は波形を増幅するアンプ2と、地磁気や周囲の磁気の影響を0基準とするためのオフセット補正回路3を経てコンピュータ4のA/D変換端子に入力される。ここでは、車両が無いときにアンプ2の出力にオフセット補正回路3の出力を補正加算器16で加算して、コンピュータへの入力電圧を電源電圧の1/2になるように補正出力を決める。従って、車両が無い場合は、この電源電圧の1/2を中心に小さな範囲でしか電圧は変化しない。これに適当な余裕をとって閾値を決めると、車両が移動してきたときは、この閾値を越えることになる。尚、基準となる電圧は、前記車両が存在しないと判断する基準となる中心電圧であるから、必ずしも電源電圧の1/2である必要は無い。車両による磁気変化はコンピュータ4にて常に監視され、ある閾値以上の変化で車両の移動と判定する。又、車両か否かを判別するために、磁気の変化する速度を利用することも出来る。即ち、駐車場に進入してくる車の移動の速度として徐行速度である10km/時に相当する磁気センサの出力の変化速度を用いることが出来る。ここは、コイルと違い消費電力が小さいので常時監視でも問題はない。尚、磁気センサは、ホール素子やGMR(巨大磁気抵抗)センサが使用できる。
【0021】
次に、車両存在検出部は、励磁及び受信用のコイル5とパルス電流源6と負荷抵抗R8とアンプ9と閾値電圧10〜12と比較器13〜15を有している。以下その説明をする。車両の移動と判定したら、励磁及び受信用のコイル5に対して、コンピュータ4が制御するパルス電流源67(具体例としてDC電源6からSW素子7)により、数msecの瞬間的なパルス電流が印加される。この例ではパルス幅は、3〜5msecにしているが、コイル電流が飽和しない程度の長さとする。SW素子としては、高速なほど磁束変化が大きくなり感度がよくなる。この例では、SWのOFF時間で数十nsec程度のものを使用した。尚、SWはここではスイッチの略称とした。
【0022】
この電流によりコイル5には磁界が発生して、SW素子7で電流が切られると、この磁界による逆起電力がコイル5に生じるが、定数の比較的小さい負荷抵抗R8により電流となって短時間で吸収される。この例では、コイル巻数50ターン、コイル面積44000平方mm以上、パルス電流1.2Aとし、車高80cmの検出に対応した。
【0023】
この逆起電力が0に収束するまでの過渡状態のコイル5の電圧はアンプ9を経た後、3点の異なる閾値電圧10〜12を基準とする比較器13〜15に入力される。
3点が必須ではなく1点、又は2点のみでも検知は可能であることは勿論であるが、例えば空き缶と車両の区別をするには、3点以上が好ましい。3点になると、収束するカーブの収束時間とともに、収束する傾きの変化も検知できる。
【0024】
コイル電圧は電流が切られた直後を最大ピークとして、負荷抵抗R8により吸収されるまで急激に減少する形となるが、その電圧が10〜12の各閾値となるタイミングで比較器13〜15が順次応答して、コンピュータ4にて各時間が観測される。
このコイル5の電圧が各閾値に達するまでの時間間隔はコイル5周辺の車両等の被測定物の有無で大きく変化する。この例での、抵抗R8の値は160Ω、閾値1、閾値2、閾値3は、各々6.0V、2.2V、0.8Vとした。
【0025】
また、車両等の被測定物とコイル5との間隔にも大きく依存することが知られている。図2は、本発明の車両検知センサのコイルと負荷抵抗の接続部の電圧の減衰特性を示す図である。コイル電圧の時間変化を示した図2の2−Aと2−Bにおいて、コイル5と金属からなる被測定物との距離が遠い場合(2−B)では、T1はほとんど変化せず、逆に距離が近い場合(2−A)では、T1が大きく変化する。2−Aにおいて、破線は車両が無い場合であり、距離が近い場合は、T3も大きく変化するが、T1はもっと大きく変化する。逆に遠い場合は、小さくなる。遠いと、T3の変化分は小さいが、T1はほとんど変化しない。
【0026】
または被測定物の金属の材質にも大きく依存することが知られている。本発明においては、各T1、T2、T3の変化差分の比率を基に被測定物がコイル5上に近接した飲料缶などの障害物か、それとも車高のある車両かを識別する。遠近によるT1、T2、T3の変化の差の他に、アルミニウムと鉄のように材質でも差がでる。導電率が大きいアルミニウムの方が、応答が早く、T1が大きく変化する。(T1の変化分/T3の変化分)、(T2の変化分/T3の変化分)、(T1の変化分/T2の変化分)の各数値で、遠近や材質等をコンピュータが判定する。アルミニウムでは、(T2の変化分/T3の変化分)ほぼ1.0に等しい。磁界が金属中を横切ると渦電流が金属中に発生し、その分、金属により反射してくる磁界が変化する。アルミニウムは、パルス電流による反射磁界の減衰特性が大きいが、磁気センサでの磁界の変化は無い又は小さい。鉄では、両方のセンサに変化が見られるので、アルミ缶は区別が出来る。
【0027】
一方、金属材質において車両に使用される鉄などの磁性体とアルミのような非磁性体は磁気センサに反応するか否かで識別することができる。すなわち、コイル5に反応するものの、磁気センサ1に反応しないものはアルミなどの非磁性体であり、車両とは判定されない。
【0028】
3番目の構成品は、コンピュータであるが、以上の説明の中で動作を記述したことと重複するので、簡単に説明する。主に3つの機能をしている。
一つ目は、オフセット補正回路3を駆動して、磁気センサからの信号が振れる中心電圧を補正している。2つ目は、磁気センサからの信号で車両の移動を検知したことを受けて、パルス電流源67を駆動して、コイル5に電流を供給すること。3つ目は、パルス電流がOFFした直後の電圧を閾値でセンスして、その結果から演算して、車両の存在を判定することである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のような、本発明による車両検知センサでは、特に駐車場等に使用すると、車両の移動と車両の近傍にいるか否かを十分な確度で検出でき、且つ小型で低消費電力のセンサを提供できるので、産業上利用性が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による車両検知センサのブロック図である。
【図2】本発明の車両検知センサのコイルと負荷抵抗の接続部の電圧の減衰特性を示す図である。
【図3】各種の車両の移動に対応する磁気センサ出力特性図である。
【図4】絶対値の和を取った磁気センサ出力特性の例を示す図である。
【図5】図3の磁気センサ出力特性を取得した車両と磁気センサ回路配置の状況を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 磁気センサ
2、9 アンプ
3 オフセット補正回路
4 コンピュータ
5 コイル
6 DC電源
7 SW素子
8 負荷抵抗R
10、11,12 閾値電圧
13,14,15 比較器
16 補正加算器
51 車両、52 センサ回路、53、54 磁気センサ
5a 水平長手方向、 5b 垂直軸方向、 5c 車幅方向
67 パルス電流源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の移動を検出する車両移動検出部と車両の存在を検知する車両存在検出部とコンピュータを有し、
前記車両移動検出部は、前記車両移動による地磁気の歪み、または着磁した前記車両による磁気変化を読み取る磁気センサと、前記磁気センサの出力電圧を増幅する増幅器と、オフセット補正回路とを有し、前記オフセット補正回路は、前記車両が存在しないときの前記増幅器の第1の出力電圧を受けて、前記コンピュータへ入力する入力電圧を前記コンピュータが前記車両が存在しないと判断する基準となる中心電圧に調整する補正値を出力し、前記車両が移動してきて存在するときには、前記第1の出力電圧の変化分に応じた値が前記中心電圧に加わるものであり、
前記車両存在検出部は、前記車両の存在を検知するためのパルス磁界を発生し、前記車両の存在により変化を受け戻ってきた前記パルス磁界を感知するための励磁コイルと、前記コンピュータからの指令で前記励磁コイルにパルス電流を供給するパルス電流源と、前記励磁コイルに接続され前記励磁コイルが感知して発生した第2の出力電圧を減衰させるための抵抗と、前記第2の出力電圧を増幅する第2の増幅器と、前記第2の増幅器の出力する電圧の大小を比較するための閾値を持った比較器とを有し、
前記コンピュータは、前記車両移動検出部からの出力を受けて前記車両の移動を判断し、前記パルス電流源を駆動する前記指令を出力し、前記比較器の出力を受けて前記第2の出力電圧の減衰状態の時間変化から前記車両の存在を判断するものであり、
前記車両移動検出部により前記車両の移動を検知した場合に、前記コンピュータが前記車両存在検出部を駆動して、前記車両の存在を検知することを特徴とする車両検知センサ。
【請求項2】
前記車両移動検出部により前記車両の移動を検知することにおいて、前記磁気センサの感知した磁気の時間的変化速度から前記車両の移動を判定することを特徴とする請求項1記載の車両検知センサ。
【請求項3】
互いに異なる前記閾値を持った前記比較器を複数個持ち、前記第2の出力電圧の各閾値における前記車両が存在しない場合と現在の測定の場合の時間差から被測定対象物が車両か否かを判定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両検知センサ。
【請求項4】
前記閾値を持った前記比較器の個数は3個以上にすることで、前記閾値電圧になる時間を3点以上測定し、前記時間差を計算し、各々の前記時間差の比率変化から被測定対象物が車両か否かを判定することを特徴とする請求項3記載の車両検知センサ。
【請求項5】
前記車両存在検出部の出力により前記コンピュータが被測定対象物が車両であるか否かを判定することにおいて、前記車両移動検出部の出力の大きさにより鉄材を多く含む車両か、非磁性材を多く含む非車両であるかを判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両検知センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−48407(P2009−48407A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213776(P2007−213776)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(396020132)株式会社システック (101)
【Fターム(参考)】