説明

車両浄化装置

【課題】車室とは隔離されたトランクルーム内の臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質を重点的に脱臭、除菌、不活性化を行うことができる。
【解決手段】車両7のトランクルーム5内に静電霧化装置6を配置する。静電霧化装置6は、放電電極1と、放電電極1に高電圧を印加する高電圧印加手段15と、上記放電電極1に水を供給する水供給手段3と、放電電極1に高電圧を印加して放電電極1に供給された水を静電霧化することで生成された帯電微粒子水をトランクルーム5内に放出する放出口4を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のトランクルームは車室内と隔離して荷物を置くことができる利便性がある。その一方で、トランクルーム内は持ち込まれた荷物の臭いやダニ等といったアレルゲン物質の宝庫であり、しかも、車室と隔離されているため人が認知し難い場所でもある。このため、車両のトランクルーム内の空気質改善が望まれている。
【0003】
また、従来から自動車のような車両を浄化するものとしてろ過式の空気清浄装置が知られており、また、特許文献1に示されるような静電霧化装置で発生させたナノメータサイズの帯電微粒子水(ナノミスト)を車両の車室内に放出し、ナノメータサイズの帯電微粒子水に含まれるスーパーオキサイドラジカルやヒドロキシラジカルといったラジカルにより、脱臭、ウイルス、カビ菌の除菌、アレルゲン物質の不活性化等を行うものも提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの従来例はいずれも、車室内を浄化しようとするものでしかなく、車室とは隔離されたトランクルーム内、特に、トランクルーム内の壁面に付着した臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質等を除去するものではなかった。
【特許文献1】特開2006−151046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、車室とは隔離されたトランクルーム内の臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質を重点的に脱臭、除菌、不活性化を行うことができる車両浄化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る車両浄化装置は、放電電極1と、放電電極1に高電圧を印加する高電圧印加手段15と、上記放電電極1に水を供給する水供給手段3と、放電電極1に高電圧を印加して放電電極1に供給された水を静電霧化することで生成された帯電微粒子水を放出する放出口4を有する静電霧化装置6を、車両7のトランクルーム5内に配置して成ることを特徴とするものである。
【0007】
このような構成とすることで、車両7の車室8から隔離されたトランクルーム5内にラジカルを有するナノメータサイズの帯電微粒子水を放出して、帯電微粒子水によりトランクルーム5内に収納した収納物やトランクルーム内面部に付着した臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができ、特に、ナノメータサイズの帯電微粒子水であるからトランクルーム内に収納した収納物やトランクルームの内面部の奥深くに浸透してより効果的に臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を行うことができる。
【0008】
また、放電電極1と、放電電極1に高電圧を印加する高電圧印加手段15と、放電電極1に高電圧を印加することで生成されたイオンとオゾンを放出する放出口4を備えたイオン発生装置9を、車両7のトランクルーム5内に配置して成ることを特徴とすることも好ましい。
【0009】
このような構成とすることで、車両7の車室8から隔離されたトランクルーム5内にイオンとオゾンを放出して、トランクルーム5内に収納した収納物やトランクルーム内面部に付着した臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができる。
【0010】
また、トランクルーム5内に、被浄化物を収納する浄化専用室14を設け、該浄化専用室14内に放出口4を開口させることが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、車室から隔離されたトランクルーム内に収納物を収納する際、臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物と、臭いやアレルゲン物質が付着していない収納物を分別して収納でき、臭いやアレルゲン物質が付着した収納物(被浄化物)はトランクルーム内に設けた浄化専用室14内に収納して、臭いやアレルゲン物質が付着している収納物のみ、集中して臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を行うことができ、トランクルーム内に収納物を収納する際、臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物と、臭いやアレルゲン物質が付着していない収納物を混載する際に、臭いやアレルゲン物質の成分が付着してない収納物が、臭いやアレルゲン物質の成分により汚染されることを防止することができる。
【0012】
また、高電圧印加手段15の電源が車両電源であるバッテリーであり、浄化専用室14内に被浄化物が収納されたことを検出する被浄化物収納検知手段35と、バッテリー容量を検出するバッテリー容量検出手段36とを設け、被浄化物収納検知手段35により被収納物が浄化専用室14内に収納されていることが検出され且つバッテリー容量検出手段36で検出したバッテリー容量が一定以上の際に装置の運転を行うことが好ましい。
【0013】
このように、浄化専用室14内に被浄化物が収納され且つバッテリー容量が一定以上の際に帯電微粒子水や、イオン及びオゾンを浄化専用室14内に放出することで、装置の電源としてバッテリーを使用しているにもかかわらず、バッテリー上がり現象を防止しながら、効果的に臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができる。
【0014】
また、高電圧印加手段15の電源が車両電源であるバッテリーであり、トランクルーム5の開閉信号又はトランクルーム5のロック解除信号に基づき装置の運転が開始されることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、トランクルーム5を開けて収納物を出し入れしたり、トランクルーム5に収納物を入れてトランクルーム5を閉じた際、あるいは、トランクルーム5のロック解除信号に基づいてロック解除がなされた際に、装置を運転することで、トランクルーム5を開けた際にトランクルーム5内から出る臭いの発散を抑制したり、臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物を収納してトランクルーム5を閉じた際に、臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができる。
【0016】
また、高電圧印加手段15の電源が車両電源であるバッテリーであり、トランクルーム5内の空気の質を検出する空気質検出手段37と、バッテリー容量を検出するバッテリー容量検出手段36とを設け、空気質検出手段37により検出された空気質が所定の質よりも低下し且つバッテリー容量検出手段36で検出したバッテリー容量が一定以上の際に装置の運転を行うことが好ましい。
【0017】
このように空気質検出手段37により検出された空気質が所定の質よりも低下し且つバッテリー容量検出手段36で検出したバッテリー容量が一定以上の際に装置の運転を行うことで、装置の電源としてバッテリーを使用しているにもかかわらず、バッテリー上がり現象を防止しながら、効果的に臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、静電霧化装置を、車室とは隔離されたトランクルーム内の臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質を重点的に脱臭、除菌、不活性化を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0020】
図1には車両7の概略図が示してある。車両7にはトランクルーム5が設けてあるが、本発明においては、このトランクルーム5には静電霧化装置6の放出口4が設けてあって、トランクルーム5内の全域又はトランクルーム5内の一部に静電霧化装置6で生成した帯電微粒子水を放出するようになっている。
【0021】
静電霧化装置6は、放電電極1と、放電電極1と対向する対向電極2と、放電電極1と対向電極2との間に高電圧を印加する高電圧印加手段15と、上記放電電極1に水を供給する水供給手段3と、放電電極1と対向電極2との間に高電圧を印加して放電電極1に供給された水を静電霧化することで生成された帯電微粒子水をトランクルーム5内に放出する放出口4を有したものである。
【0022】
図2には本発明に用いる静電霧化装置6の主体を構成する静電霧化装置本体6aの概略構成図が示してある。図2に示す実施形態においてはペルチェユニット16のような冷却手段17により空気中の水分を冷却して結露水を生成することで放電電極1に水を供給するようになっている。したがって、本実施形態では冷却手段17が放電電極1に水を供給する水供給手段3を構成している。
【0023】
ペルチェユニット16は、熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板の片面側に回路を形成してある一対のペルチェ回路板18を、互いの回路が向き合うように対向させ、多数列設してあるBiTe系の熱電素子19を両ペルチェ回路板18間で挟持すると共に隣接する熱電素子19同士を両側の回路で電気的に接続させ、ペルチェ入力リード線20を介してなされる熱電素子19への通電により一方のペルチェ回路板18側から他方のペルチェ回路板18側に向けて熱が移動するように構成したものである。更に、上記一方の側のペルチェ回路板18の外側には冷却部21を接続してあり、また、上記他方の側のペルチェ回路板18の外側には放熱部22が接続してあり、実施形態では放熱部22として放熱フィンの例が示してある。ペルチェユニット16の冷却部21には放電電極1の後端部が接続してある。
【0024】
放電電極1は絶縁材料からなる筒体23で囲まれており、該筒体23の先端開口部にリング状をした対向電極2が配設され、放電電極1の軸心の延長線上にリング状の対向電極2のリングの中心が位置するように放電電極1と対向電極2とが対向している。
【0025】
放電電極1と対向電極2との間に高電圧を印加するための高電圧印加手段15としては車両7に搭載してあるバッテリーを用いている。もちろん高電圧印加手段15として車両7に搭載したバッテリー以外の電源であってもよい。
【0026】
この静電霧化装置6では、冷却手段17であるペルチェユニット16に通電することで、冷却部21が冷却され、冷却部21が冷却されることで放電電極1が冷却され、空気中の水分を結露して放電電極1に水(結露水)を供給するようになっている。このように放電電極1に水が供給された状態で上記放電電極1と対向電極2との間に高電圧を印加すると、放電電極1と対向電極2との間にかけられた高電圧により放電電極1の先端部に供給された水と対向電極2との間にクーロン力が働いて、水の液面が局所的に錐状に盛り上がり(テーラーコーン)が形成される。このようにテーラーコーンが形成されると、該テーラーコーンの先端に電荷が集中してこの部分における電界強度が大きくなって、これによりこの部分に生じるクーロン力が大きくなり、更にテーラーコーンを成長させる。このようにテーラーコーンが成長し該テーラーコーンの先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となると、テーラーコーンの先端部分の水が大きなエネルギー(高密度となった電荷の反発力)を受け、表面張力を超えて分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返してマイナスに帯電したナノメータサイズの帯電微粒子水を大量に生成させ、生成された帯電微粒子水は筒体23の先端開口部から外部に放出されるようになっている。
【0027】
なお、上記実施形態では冷却手段17により水供給手段3を構成した例を示したが、水溜め部に水を溜め、この水溜め部の水を毛細管現象などを利用して放電電極1の先端部に供給することで水供給手段3を構成するようにしてもよい。
【0028】
上記構成の静電霧化装置6の主体を構成する静電霧化装置本体6aは、例えば、トランクルーム5に配置される。
【0029】
静電霧化装置本体6aの筒体23の先端開口部に搬出経路10が連通しており、搬出経路10の端部に放出口4が設けてあり、静電霧化装置本体6aで生成された筒体23の先端開口部から放出された帯電微粒子水は搬出経路10を通り、放出口4からトランクルーム5内に放出され、トランクルーム5の内壁やトランクルーム5内に入れられた収納物にラジカルを含むナノメータサイズの帯電微粒子水を付着させて内壁や収納物に付着している臭い成分やアレルゲン物質を効果的に分解あるいは抑制することになる。
【0030】
ここで、トランクルーム5内や収納物が繊維製のものの場合、ナノメータサイズの帯電微粒子水はナノメータサイズの水の浸透性により繊維内部深くに浸透して内部に蓄積された臭い成分やアレルゲン物質を効果的に分解あるいは抑制することができる。
【0031】
ここで、図3に示すように、トランクルーム5の扉5aの開閉を検知するトランクルーム開閉検知手段50a又はトランクルーム5のロック解除を検知するロック解除検知手段50bを設け、トランクルーム5の開閉信号又はトランクルーム5のロック解除信号に基づいて静電霧化装置6の運転が開始するように制御部41により制御するのが好ましい。この場合、タイマーにより所定時間運転後に自動的に停止するように制御部41により制御する。
【0032】
このように、トランクルーム5を開けて収納物を出し入れしたり、トランクルーム5に収納物を入れてトランクルーム5を閉じた際、あるいは、トランクルーム5のロック解除信号に基づいてロック解除がなされた際に、静電霧化装置6を運転することで、トランクルーム5を開けた際にトランクルーム5内から出る臭いの発散を抑制したり、臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物を収納してトランクルーム5を閉じた際に、臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができる。
【0033】
また、図4に示すように、トランクルーム5の扉5aの開閉を検知するトランクルーム開閉検知手段50a又はトランクルーム5のロック解除を検知するロック解除検知手段50bと、バッテリー容量を検出するバッテリー容量検出手段36とを設け、バッテリー容量検出手段36で検出したバッテリー容量が一定以上の場合に、トランクルーム5の開閉信号又はトランクルーム5のロック解除信号に基づいて静電霧化装置6の運転が開始するように制御部41により制御するようにしてもよい。この場合、タイマーにより所定時間運転後に自動的に停止するように制御部41により制御する。
【0034】
この場合、静電霧化装置6の電源としてバッテリーを使用しているにもかかわらず、バッテリー上がり現象を防止しながら、効果的に臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができることになる。
【0035】
また、図5のように、トランクルーム5内の空気の質を検出する空気質検出手段37と、バッテリー容量を検出するバッテリー容量検出手段36とを設け、空気質検出手段37により検出された空気質が所定の質よりも低下し且つバッテリー容量検出手段36で検出したバッテリー容量が一定以上の際に制御部41により静電霧化装置6の運転を行うようにしてもよい。
【0036】
この場合は、空気質検出手段37により検出された空気質が所定の質よりも低下し且つバッテリー容量検出手段36で検出したバッテリー容量が一定以上の際に静電霧化装置6の運転を行うように制御するので、静電霧化装置6の電源としてバッテリーを使用しているにもかかわらず、バッテリー上がり現象を防止しながら、効果的に臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができることになる。
【0037】
図6には本発明の他の実施形態が示してある。本実施形態においては、トランクルーム5内の一部に静電霧化装置6で生成した帯電微粒子水を放出するようにしたものである。すなわち、トランクルーム5内の一部に被浄化物を収納する浄化専用室14を設け、浄化専用室14内に静電霧化装置6の放出口4を開口させてある。浄化専用室14には開口部が設けてあって、該開口部に開閉自在な蓋42が設けてある。
【0038】
トランクルーム5内に収納物を入れるに当り、臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物を入れる場合は、トランクルーム5の扉5aを開け、更に、トランクルーム5内の一部に設けた浄化専用室14の蓋42を開けて浄化専用室14内に臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物を入れ、蓋42を閉じる。一方、臭いやアレルゲン物質の成分が付着していない収納物を入れる場合は、トランクルーム5内の浄化専用室14以外の部分に入れる。
【0039】
そして、浄化専用室14内のみに静電霧化装置6で生成した帯電微粒子水を放出して、臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物に集中して帯電微粒子水を付着させて、臭いやアレルゲン物質が付着している収納物のみを、トランクルーム5に比べ狭い空間である浄化専用室14内において集中して臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を行うことができる。また、トランクルーム5内において、臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物と、臭いやアレルゲン物質が付着していない収納物を分別して収納でき、トランクルーム5内に収納物を収納する際、臭いやアレルゲン物質の成分が付着した収納物と、臭いやアレルゲン物質が付着していない収納物を混載することで、臭いやアレルゲン物質の成分が付着してない収納物に、臭いやアレルゲン物質が付着している収納物から臭いやアレルゲン物質の成分により汚染されることを防止することができる。
【0040】
ここで、図7に示すように、浄化専用室14内に被浄化物が収納されたことを検出する被浄化物収納検知手段35と、バッテリー容量を検出するバッテリー容量検出手段36とを設け、被浄化物収納検知手段35により被収納物が浄化専用室14内に収納されていることが検出され且つバッテリー容量検出手段36で検出したバッテリー容量が一定以上の際に装置の運転を行うようにしてもよい。この場合、タイマーにより一定時間後に自動的に運転が停止するように制御部41により制御する。
【0041】
このように浄化専用室14内に被浄化物が収納され且つバッテリー容量が一定以上の際に帯電微粒子水や、イオン及びオゾンを浄化専用室14内に放出するように制御部41により制御することで、静電霧化装置6の電源としてバッテリーを使用しているにもかかわらず、バッテリー上がり現象を防止しながら、効果的に臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができる。
【0042】
また、図8のように、浄化専用室14の蓋42の開閉を検知する蓋開閉検知手段44を設け、蓋開閉検知手段44による蓋42の開閉信号に基づいて静電霧化装置6の運転が開始するように制御部41により制御するのが好ましい。この場合、タイマーにより所定時間運転後に自動的に停止するように制御部41により制御する。
【0043】
この例においては、浄化専用室14の蓋42を開けて収納物を出し入れしたり、浄化専用室14に収納物を入れて蓋42を閉じた際に、静電霧化装置6を運転することで、効果的に臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができる。
【0044】
また、図9のように、浄化専用室14の蓋42の開閉を検知する蓋開閉検知手段44と、バッテリー容量を検出するバッテリー容量検出手段36とを設け、バッテリー容量検出手段36で検出したバッテリー容量が一定以上の場合に、蓋開閉検知手段44による蓋42の開閉信号に基づいて静電霧化装置6の運転が開始するように制御部41により制御するようにしてもよい。この場合、タイマーにより所定時間運転後に自動的に停止するように制御部41により制御する。
【0045】
この場合、静電霧化装置6の電源としてバッテリーを使用しているにもかかわらず、バッテリー上がり現象を防止しながら、効果的に臭い成分やウイルス、カビ菌、アレルゲン物質の脱臭、除菌、不活性化を効果的に行うことができることになる。
【0046】
なお、上記実施形態に示す静電霧化装置6においては、対向電極2を設けた例を示したが対向電極2を設けることなく、放電電極1に高電圧を印加することで放電電極1に供給された水を静電霧化するものであってもよい。
【0047】
次に、本発明の更に他の実施形態を図10、図11に基づいて説明する。
【0048】
上記実施形態では、静電霧化装置6を、車両7のトランクルーム5内に配置した例を示したが、下記の図10、図11の実施形態では、放電電極1と、放電電極1と対向する対向電極2と、放電電極1と対向電極2との間に高電圧を印加する高電圧印加手段と、放電電極1と対向電極2との間に高電圧を印加することで生成されたイオンとオゾンを放出する放出口4を有するイオン発生装置9を車両7のトランクルーム5内に備え、上記イオン発生装置9の放出口4からイオンとオゾンをトランクルーム5内の全域又は一部に放出して収納物を脱臭、除菌するようにした例である。
【0049】
イオン発生装置9としては、放電電極1と対向電極2との間に高電圧を印加してマイナスイオン又はプラスイオンを発生させると共にオゾンを発生させる実施形態と、正負イオン及びオゾンを発生させる実施形態とがある。
【0050】
正負イオン及びオゾンを発生させる実施形態の場合、例えば一対の対向する放電電極1と対向電極2との間に板状の誘導体を挟んで形成された放電素子と、この放電素子に正負電圧からなるパルス電圧を印加するパルス電圧回路とでイオン発生装置9が構成してあり、放電素子に対して正負電圧からなるパルス電圧を印加することで、電極付近に正イオンと、負イオンとをそれぞれ発生させる。
【0051】
このとき、パルス形状を正弦波状として正電圧と負電圧のピーク電圧(絶対値)を同程度となるようにすることで、ほぼ同程度の正イオンと、負イオンとを得ることができ、更に、印加する電圧のピーク値を調整することでオゾンを同時に発生させることができる。
【0052】
ここで、正イオンとしてH(HO)mが発生し、負イオンとしてO(HO)nが発生する(m、nは自然数)。
【0053】
上記発生したオゾンと、正負イオンが反応して生成するH又はOHラジカルとの強い酸化力によりトランクルーム5内に入れられた収納物に付着させて小物類に蓄積された臭い成分やアレルゲン物質が効果的に分解あるいは抑制されることになる。
【0054】
本発明においても、図10のようにトランクルーム5内にイオン発生装置9で発生させたイオン及びオゾンを放出してもよく、あるいは、図11のようにトランクルーム5内の一部に蓋42付きの浄化専用室14を設けて、トランクルーム5の一部である浄化専用室14内に放出口4を開口させてイオン発生装置9で発生させたイオン及びオゾンを放出するようにしてもよい。
【0055】
図10、図11に示すイオン発生装置9の制御は前述の各実施形態と同様の制御を行うことができる。つまり、前述の図3、図4、図5、図7、図8、図9に示す各制御の例において、静電霧化装置6に代えてイオン発生装置9を制御部41により制御するものであり、他の構成は前述の各実施形態に示す構成と同様であり、図面及び説明が重複するので省略する。
【0056】
なお、上記実施形態に示すイオン発生装置9においては、対向電極2を設けた例を示したが対向電極2を設けることなく、放電電極1に高電圧を印加することでイオン、オゾンを発生させるようにしたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の車両用浄化装置を備えた車両の概略図である。
【図2】同上に用いる静電霧化装置の主体を構成する静電霧化装置本体の概略構成図である。
【図3】同上の制御ブロック図である。
【図4】同上の他の制御ブロック図である。
【図5】同上の更に他の制御ブロック図である。
【図6】本発明の車両用浄化装置を備えた車両の他の実施形態の概略図である。
【図7】同上の制御ブロック図である。
【図8】同上の他の制御ブロック図である。
【図9】同上の更に他の制御ブロック図である。
【図10】本発明の車両用浄化装置を備えた車両の更に他の実施形態の概略図である。
【図11】本発明の車両用浄化装置を備えた車両の更に他の実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0058】
1 放電電極
2 対向電極
3 水供給手段
4 放出口
5 トランクルーム
6 静電霧化装置
7 車両
14 浄化専用室
15 高電圧印加手段
35 被浄化物収納検知手段
36 バッテリー容量検出手段
37 空気質検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極と、放電電極に高電圧を印加する高電圧印加手段と、上記放電電極に水を供給する水供給手段と、放電電極に高電圧を印加して放電電極に供給された水を静電霧化することで生成された帯電微粒子水を放出する放出口を有する静電霧化装置を、車両のトランクルーム内に配置して成ることを特徴とする車両浄化装置。
【請求項2】
放電電極と、放電電極に高電圧を印加する高電圧印加手段と、放電電極に高電圧を印加することで生成されたイオンとオゾンを放出する放出口を備えたイオン発生装置を、車両のトランクルーム内に配置して成ることを特徴とする車両浄化装置。
【請求項3】
トランクルーム内に、被浄化物を収納する浄化専用室を設け、該浄化専用室内に放出口を開口させて成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両浄化装置。
【請求項4】
高電圧印加手段の電源が車両電源であるバッテリーであり、浄化専用室内に被浄化物が収納されたことを検出する被浄化物収納検知手段と、バッテリー容量を検出するバッテリー容量検出手段とを設け、被浄化物収納検知手段により被収納物が浄化専用室内に収納されていることが検出され且つバッテリー容量検出手段で検出したバッテリー容量が一定以上の際に装置の運転を行うことを特徴とする請求項3記載の車両浄化装置。
【請求項5】
高電圧印加手段の電源が車両電源であるバッテリーであり、トランクルームの開閉信号又はトランクルームのロック解除信号に基づき装置の運転が開始されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両浄化装置。
【請求項6】
高電圧印加手段の電源が車両電源であるバッテリーであり、トランクルーム内の空気の質を検出する空気質検出手段と、バッテリー容量を検出するバッテリー容量検出手段とを設け、空気質検出手段により検出された空気質が所定の質よりも低下し且つバッテリー容量検出手段で検出したバッテリー容量が一定以上の際に装置の運転を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両浄化装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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