説明

車両用アンダーカバー

【課題】車両床下への取付状態下で、吸音材が取り付けられるカバー本体の一部の外周部の垂れ下がりが有利に防止され得る車両用アンダーカバーを提供する。
【解決手段】吸音材14が重ね合わされるカバー本体12の外周部42に対して、係合孔44を、該吸音材14の貫通孔21と対応位置するように設けると共に、該吸音材14を間に挟んで、該カバー本体12の外周部42と重ね合わされるように折り曲げられることにより、該外周部42を重合せ構造として補強する、係合部58を備えた補強板部46をヒンジ連結する。そして、該補強板部46の折曲げにより、該係合部58が、前記貫通孔21を挿通して、前記係合孔44に係合せしめられることにより、該吸音材14が、該カバー本体12に取り付けられるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用アンダーカバーに係り、特に、エンジン騒音等の外部への洩れ防止等のために、車両の床下を覆って配置される車両用アンダーカバーの改良された構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両では、車両の床下、特にエンジンルーム等の下面をアンダーカバーで覆って、エンジン騒音等の外部への洩れを防止することが、騒音対策の一つとして、講じられている。また、近年では、益々厳しさを増す自動車の騒音規制に対応するために、板状のカバー本体の上面に、吸音材が取り付けられてなる車両用アンダーカバーが、提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この吸音材付きアンダーカバーは、一般に、カバー本体の外周部に突設された取付部において、車両の床下にボルト固定等されて、取り付けられており、そのような取付状態下で、吸音材による吸音乃至は遮音作用に基づいて、十分な騒音低減効果が発揮され得るようになっている。
【0003】
ところが、そのような従来の吸音材付きアンダーカバーには、以下の如き問題が、内在していた。
【0004】
すなわち、従来の吸音材付きアンダーカバーにおいては、カバー本体が、強度に優れた金属製のプレス成形品か、或いは軽量性と成形性に優れた樹脂成形品にて構成される。そして、一般に、金属製のカバー本体を有するアンダーカバーでは、カバー本体に重ね合わされて配置された吸音材が、カバー本体にボルト固定等されたクランプ金具とカバー本体との間で挟持されて、カバー本体に取り付けられる(下記特許文献1参照)。また、樹脂成形品からなるカバー本体を有するアンダーカバーにあっては、多くの場合、カバー本体に吸音材が重ね合わされて配置された状態下で、カバー本体と吸音材のそれぞれの外周部の互いに対応する複数箇所に設けられた貫通孔内に、樹脂クリップがそれぞれ挿通されて、止着されることにより、吸音材がカバー本体に取り付けられる。
【0005】
このように、従来の吸音材付きのアンダーカバーでは、カバー本体の材質に拘わらず、吸音材をカバー本体に取り付けるのに、それらカバー本体と吸音材とは異なる別個の独立した特別な部材が、吸音材のカバー本体への取付箇所と同数だけ必要とされる。そのために、部品点数が増加し、その分だけ、製造コストが高くなってしまうことが避けられなかった。
【0006】
また、特に、樹脂成形品からなるカバー本体を有する吸音材付きアンダーカバーにおいては、カバー本体の強度が、金属製のカバー本体に比して不可避的に小さくなる。そのため、例えば、車両の床下におけるアンダーカバーの設置スペースの制約等により、カバー本体を、その外周部のうちの比較的に長い部分において、車両の床下に取り付けることが出来ないときには、カバー本体の自重と吸音材の重量により、車両に取り付けられていない外周部分が湾曲して、垂れ下がってしまうことがあった。そして、そうなった場合には、湾曲して垂れ下がったカバー本体の外周部分と車両の床下との間に隙間が生じ、そこから、エンジン騒音等が洩れ出して、アンダーカバーによる騒音低減効果が低下する恐れがあった。また、アンダーカバーの地面からの高さが、垂れ下がった部分において低くなってしまい、そのために、アンダーカバー全体において必要とされる地面からの高さを安定的に確保することが困難となる危惧さえもあったのである。
【0007】
【特許文献1】実開昭63−176748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、前述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その第一の解決課題とするところは、カバー本体に吸音材が取り付けられてなる車両用アンダーカバーにおいて、部品点数の削減により、製造コストの低下が有利に図られ得るように改良された構造を提供することにある。また、本発明にあっては、樹脂板からなるカバー本体に吸音材が取り付けられてなる車両用アンダーカバーにおいて、カバー本体の外周部の比較的に長い部分が車両の床下に取り付けられない場合にも、車両の床下へのカバー本体の取付状態下で、車両に取り付けられていない外周部分の垂れ下がりが有利に阻止されて、かかる外周部分の垂れ下がりに起因する不具合の発生が、未然に防止され得るようにした新規な構造を提供することを、その第二の解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明にあっては、上記せる第一の解決課題と第二の解決課題の両方を解決するために、その要旨とするところは、車体の床下の少なくとも一部を覆って配置される、樹脂成形品からなるカバー本体と、該カバー本体に重ね合わされて、取り付けられた吸音材とを有するアンダーカバーであって、(a)前記吸音材の外周部に設けられた少なくとも一つの貫通孔と、(b)前記カバー本体の外周部に、前記貫通孔に対応して設けられた少なくとも一つの係合孔と、(c)前記カバー本体の外周部に沿って延びるように位置せしめられた状態で、該外周部に一体的にヒンジ連結され、該カバー本体の外周部と重ね合わされるように折り曲げられることにより、該カバー本体の外周部を重合せ構造として補強する補強板部と、(d)該補強板部の折曲げにより前記カバー本体と対向せしめられる側の該補強板部の面に一体的に突設された、前記貫通孔に挿通され、そして前記係合孔に係合せしめられる係合部とを含み、前記補強板部の折曲げにより、該補強板部が、該吸音材の外周部を間に挟んで、該カバー本体の外周部と対向せしめられると共に、該補強板部の前記係合部が、前記貫通孔を挿通して、前記係合孔に係合せしめられることによって、該吸音材が、該カバー本体に取り付けられていることを特徴とする車両用アンダーカバーにある。
【0010】
なお、このような本発明に従う車両用アンダーカバーの好ましい態様の一つによれば、前記係合部の突出先端側部位に対して、その側方に突出乃至は延出する係合爪が一体形成され、該係合部が前記貫通孔と前記係合孔とに挿通せしめられた状態下で、該係合爪が、該カバー本体の外周部における該係合孔の開口周縁部に係合せしめられることにより、該係合部の該係合孔に対する係合が実現されることとなる。
【0011】
また、本発明に従う車両用アンダーカバーの有利な態様の一つによれば、前記補強板部が、前記カバー本体の外周部から側方に突出し且つ該外周部に沿って延びるように位置せしめられた状態で、該外周部にヒンジ連結された横板部と、該横板部の突出先端から立ち上がって、該横板部の全長に延びる縦板部とを一体的に有する断面L字形状をもって構成される。
【0012】
さらに、本発明に従う車両用アンダーカバーの望ましい別の態様の一つによれば、前記補強板部が、前記カバー本体の外周部に沿って、その全周に延びるように位置せしめられた状態で、該外周部にヒンジ連結される。
【0013】
更にまた、本発明に従う車両用アンダーカバーの他の好適な態様の一つによれば、前記カバー本体の外周部と前記補強板部との連結部分に、該補強板部の延出方向に沿って、その全長に延びる凹溝が設けられて、該連結部分が、その全長に亘って薄肉化されていることにより、かかる薄肉の連結部分にて、該補強板部を該カバー本体の外周部に重ね合わされるように折曲げ可能に連結するヒンジ部が形成されて、該補強板部が、該カバー本体の外周部にヒンジ連結される。
【0014】
また、本発明に従う車両用アンダーカバーの更に別の有利な態様の一つによれば、前記カバー本体の外周部にヒンジ連結された前記補強板部を含む該カバー本体の外周部に、該補強板部の前記係合部を非アンダーカット形状とする透孔が設けられる。
【0015】
そして、本発明にあっては、前記せる第一の解決課題を解決するために、車体の床下の少なくとも一部を覆って配置されるカバー本体と、該カバー本体に重ね合わされて、取り付けられた吸音材とを有するアンダーカバーであって、前記吸音材の外周部に、係合孔が少なくとも一つ設けられる一方、前記カバー本体に対して、該係合孔に係合可能な少なくとも一つの係合部が、該貫通孔に対応して一体的に設けられて、該係合部が該係合孔に係合せしめられることによって、該吸音材が、該カバー本体に取り付けられていることを特徴とする車両用アンダーカバーをも、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0016】
すなわち、前記せる第一の解決課題と第二の解決課題の両方を解決するための手段を備えた本発明に従う車両用アンダーカバーにあっては、カバー本体の外周縁部にヒンジ連結された補強板部の折曲げにより、かかる補強板部に一体的に突設された係合部が、吸音材の貫通孔に挿通されて、カバー本体の係合孔に係合せしめられることにより、吸音材がカバー本体に取り付けられている。それ故、吸音材やカバー本体とは別体の複数の樹脂クリップ等を用いて、吸音材がカバー本体に取り付けられてなる従来品とは異なって、吸音材をカバー本体に取り付けるのに、それらカバー本体と吸音材とは異なる別個の独立した特別な部材が不必要となり、以て、部品点数の削減が、有利に図られ得る。
【0017】
また、本発明に従う車両用アンダーカバーにおいては、カバー本体の外周部にヒンジ連結された補強板部の折曲げにより、吸音材の貫通孔に挿通された係合部が、カバー本体の係合孔に係合せしめられて、吸音材がカバー本体に取り付けられた状態下で、カバー本体の外周部分が、補強板部との重合せ構造とされて、補強されるようになる。これによって、補強板部との重合せ構造とされたカバー本体の外周部分の曲げ強度が、有利に高められ得る。
【0018】
それ故、そのような本発明に係る車両用アンダーカバーにおいては、車両の床下への取付に際して、設置スペースの制約等からボルト固定等による車両の床下への取付が不可能な外周部分に、補強板部がヒンジ連結されて、その補強板部に一体的に突設された係合部にて、吸音材がカバー本体に取り付けられるように構成すれば、車両の床下に取り付けられないカバー本体の外周部分の強度の向上が、有利に図られ得る。そして、それにより、車両の床下へのカバー本体の取付状態下において、カバー本体の比較的に長い外周部分が、車両の床下に取り付けられていなくとも、そのようなカバー本体の外周部分が、カバー本体の自重や吸音材の重量により湾曲して、垂れ下がってしまうようなことが、効果的に防止され得る。
【0019】
従って、かくの如き本発明に従う車両用アンダーカバーにあっては、部品点数の削減により、製造コストが有利に低減せしめられ得る。また、それに加えて、外周部の一部が垂れ下がった状態で、カバー本体が車両の床下に取り付けられることが効果的に防止され得ることによって、十分な騒音低減効果が確実に発揮され得ると共に、アンダーカバー全体において必要とされる地面からの高さが、安定的に確保され得ることとなる。
【0020】
そして、前記せる第一の課題を解決するための手段を備えた本発明に従う車両用アンダーカバーにあっては、カバー本体に対して一体的に突設された係合部が、カバー本体に重ね合わされた吸音材の係合孔に係合せしめられることにより、吸音材がカバー本体に取り付けられている。それ故、吸音材やカバー本体とは別体の複数の樹脂クリップ等を用いて、吸音材がカバー本体に取り付けられてなる従来品とは異なって、吸音材をカバー本体に取り付けるのに、それらカバー本体と吸音材とは異なる別個の独立した特別な部材が不必要となる。
【0021】
従って、かくの如き本発明に従う車両用アンダーカバーにおいては、部品点数の削減が有利に図られ、それによって、アンダーカバー全体の製造コストの低減が、効果的に実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る車両用アンダーカバーの構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0023】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有する車両用アンダーカバーの一例として、自動車の車体のエンジンルームの下面を覆って設置される自動車用アンダーカバーが、その斜視形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のアンダーカバー10は、全体として、略L字状を呈するカバー本体12と、かかるカバー本体12に重ね合わされて、取り付けられた吸音材14とを有して、構成されている。なお、以下からは、便宜上、アンダーカバー10におけるカバー本体12の配置側を下側、吸音材14の配置側を上側と言うこととする。
【0024】
より具体的には、吸音材14は、図2及び図3から明らかなように、カバー本体12に略対応したL字形状を有する板状の第一吸音パッド16と、かかる第一吸音パッド16よりも一周り小さな薄肉のL字板の一方の面に、縦横に延びる複数のリブ状突起19が互いに交差する状態で一体形成されてなる第二吸音パッド18とを、有している。そして、それら第一吸音パッド16と第二吸音パッド18とが、第一吸音パッド16の下面から第二吸音パッド18の複数のリブ状突起19が突出するように、互いに重ね合わされて、接合されることにより、吸音材14が形成されている。
【0025】
また、そのような吸音材14においては、第一吸音パッド16が第二吸音パッド18よりも一周り大きな形状とされていることで、かかる第一吸音パッド16の外周部が、吸音材14の上端部において側方に突出し且つ周方向に連続して延びる外フランジ部20とされている。更に、この外フランジ部20には、それを厚さ方向に貫通する貫通孔21が、互いに所定距離を隔てた複数箇所に、それぞれ設けられている。
【0026】
なお、第一吸音パッド16と第二吸音パッド18は、吸音性を有する従来より公知の材料、例えば、グラスウールやロックウール等の無機質繊維、アルミニウム繊維等の金属繊維、ポリスチレン系やポリエチレン系、ウレタン系の樹脂材料、ゴム材料等を用いて、不織布や発泡体、多孔質体等の形態において形成された、互いに異なる材質のものにて構成される。
【0027】
一方、カバー本体12は、例えば、ポリアミド樹脂等を用いて成形された樹脂成形品からなっている。そして、かかるカバー本体12にあっては、それに吸音材14が取り付けられた状態を示す図2と、吸音材14が取り付けられる前の状態を示す図4から明らかなように、全体として、略L字状の筐体形態を呈しており、比較的に薄肉の略L字平板状の底板部22と、この底板部22の外周部に、吸音材14の第二吸音パッド18の高さと略同じ高さで上方に突出し且つその周方向に連続して延びるように立設された、底板部22と略同一厚さの側板部24とを、一体的に有している。
【0028】
また、そのようなL字形状を呈するカバー本体12の側板部24は、L字の外側において、略直角に屈曲して延びる第一屈曲側板部26と、L字の内側において、第一屈曲側板部26と対向位置せしめられた状態で、略直角に屈曲して延びる第二屈曲側板部28と、側板部24の長さ方向の両端部のそれぞれにおいて、第一屈曲側板部26と第二屈曲側板部28とを互いに連結する連結側板部30,30とからなっている。
【0029】
そして、かかる側板部24の第一屈曲側板部26と二つの連結側板部30,30のそれぞれの外面の下端部(底板部22側の端部)に、外フランジ形態を有する外側取付部32の複数が、側板部24の長さ方向において互いに間隔を隔てて一体形成されている。また、それら複数の外側取付部32には、カバー本体12を、図示しないエンジンルームの下面に取り付けるためのボルトが挿通されるボルト孔34が、それぞれ一つずつ設けられている。
【0030】
さらに、そのような第一屈曲側板部26の内面の上端部(底板部22とは反対の開口側)には、内フランジ形態乃至はリップ形態を有する内側取付部36の複数が、長さ方向において互いに間隔を隔てて一体形成されている。そして、それら複数の内側取付部36には、カバー本体12の底板部22に重ね合わされて、配置された吸音材14をカバー本体12に取り付けるための樹脂クリップ38が挿入される係合孔40が、それぞれ一つずつ設けられている。なお、この樹脂クリップ38は、図2から明らかなように、係合孔40よりも大径円板状の頭部39と、かかる頭部から一体的に延びる、樹脂ばね特性を発揮する脚部の先端に設けられた係合爪部41とを有する公知の構造とされている。
【0031】
一方、図2及び図4から明らかな如く、側板部24の第二屈曲側板部28には、外側及び内側取付部32,36が何等設けられていない。その代わりに、かかる第二屈曲側板部28のうち、屈曲部分を間に挟んだ両側に位置して、互いに直交する二つの方向にそれぞれ直線的に延びる二つの直線部分の上端部(底板部22とは反対の開口側の端部)には、外側に突出し且つ長さ方向に連続して延びる平板状の外フランジ部42が、それぞれ一体的に設けられている。即ち、カバー本体12は、第一屈曲側板部26と二つの連結側板部30,30が形成される外周部分のみにおいて、エンジンルームの下面に取り付けられるようになっている。そして、エンジンルームの下面に取り付けられない外周部分に形成される第二屈曲側板部28の二つの直線部分のそれぞれに対して、外フランジ部42が、エンジンルームの下面に取り付けられない外周部分から外方に突出し且つかかる外周部分に沿って延びるように一体形成されているのである。
【0032】
また、第二屈曲側板部28の二つの直線部分のそれぞれに対して外側に突出するように設けられた外フランジ部42には、その突出先端側とは反対の基部側に、それを貫通する係合孔44が、第二屈曲側板部28の各直線部分の長さ方向において互いに一定の間隔を隔てて、それぞれ形成されている。なお、これら二つの外フランジ部42,42に、それぞれ複数個ずつ設けられた係合孔44は、吸音材14がカバー本体12の底板部22上に重ね合わされて、配置された状態下において、かかる吸音材14のL字状を呈する第一吸音パッド16のL字の内側部分に延びる外フランジ部20部分に設けられた複数の貫通孔21と対応する位置に設けられている。
【0033】
さらに、図4乃至図6に示されるように、第二屈曲側板部28の二つの外フランジ部42には、補強板部46が、それぞれ一つずつヒンジ連結されている。これら各補強板部46は、カバー本体12の側板部24と略同一の厚さ、及び各外フランジ部42と同一の長さを有する細長い矩形の平板が、幅方向の中間部において長さ方向に連続して延びる屈曲部を有して略L字状に屈曲せしめられてなる如き、断面L字形状を呈する板材からなっている。そして、かかる補強板部46が、その幅方向の一端側において、全長に亘って、第二屈曲側板部28の各外フランジ部42に対して、ヒンジ部48を介して各々連結されている。
【0034】
つまり、二つの補強板部46,46は、何れも、第二屈曲側板部28の二つの外フランジ部42のそれぞれの突出先端部から、各外フランジ部42の突出方向と同一方向に突出し且つその長さ方向に連続して延びるように位置せしめられた状態で、各外フランジ部42の突出先端部に、ヒンジ部48を介して連結された横板部50と、かかる横板部50の各外フランジ部42からの突出方向の先端部より略直角に立ち上がって、横板部50の全長に延びる縦板部52とを、一体的に有して、構成されている。
【0035】
更に換言すれば、二つの補強板部46,46のそれぞれのものにあっては、カバー本体12をエンジンルームの下面に取り付けるための外側取付部32が設けられていない、カバー本体12の屈曲して延びる外周部分のうちの二つの直線部分(第二屈曲側板部28の二つの直線部分)、つまりエンジンルームの下面に取り付けられない外周部分のそれぞれに対して、横板部50が、それら各外周部分から側方に突出し且つ各外周部分に沿って、その略全長に連続して延びるように位置せしめられた状態で、ヒンジ部48を介して連結されている。そして、そのような横板部50の各外周部分への連結側とは反対側の端部から、縦板部52が、カバー本体12の底板部22側とは反対側に向かって略直角に立ち上がる状態で、横壁部50の全長に亘って一体形成されているのである。
【0036】
また、ここでは、そのような補強板部46の横板部50の幅が、吸音材14の第一吸音パッド16における外フランジ部20の厚さ寸法と略同じか又はそれよりも所定寸法だけ小さくされている。更に、縦壁部52の幅(高さ)は、カバー本体12の第二屈曲側板部28に突設された外フランジ部42における係合孔44から突出先端までの距離よりも大きな寸法とされている(図2参照)。
【0037】
更にまた、本実施形態においては、第二屈曲側板部28の外フランジ部42と補強板部46の横板部50との間に位置するカバー本体12部分の下面(底板部22側の面)に、縦断面矩形状を呈する凹溝54が、外フランジ部42や横板部50の延出方向に沿って、それら外フランジ部42及び横板部50のそれぞれの全長に連続して延びるように形成されている。これにより、外フランジ部42と横板部50との間に位置するカバー本体12部分が、凹溝54の底部からなる、所定幅を有する薄肉のヒンジ部48とされている。そして、かかるヒンジ部48によって、第二屈曲側板部28の外フランジ部42と補強板部46の横板部50とが一体的に連結されている。
【0038】
かくして、ここでは、補強板部46の縦板部52が、第二屈曲側板部28の外フランジ部42側に横臥せしめられて、外フランジ部42の上面に重ね合わされるように、ヒンジ部48を屈曲部として折り曲げ可能とされている。そして、カバー本体12の底板部22上に吸音材14が重ね合わされて配置された状態下で、補強板部46が折り曲げられることにより、かかる補強板部46の縦板部52が、吸音材14の第一吸音パッド16の外フランジ部20を間に挟んで、第二屈曲側板部28の外フランジ部42の上面と対向せしめられるようになっている(図2参照)。
【0039】
また、そのような補強板部46のヒンジ部48を屈曲部とした折曲げにより、第二屈曲側板部28の外フランジ部42の上面と対向せしめられる縦板部52の内側側面56の上端側には、複数の係合部58が、縦壁部52の長さ方向において互いに一定の間隔を隔てて、一体的に突設されている。
【0040】
それら各係合部58は、図5及び図6から明らかなように、縦板部52の内側側面56に対して、カバー本体12の第二屈曲側板部28側に向かって側方に突出する状態で一体形成された突起部60を有している。この突起部60は、薄肉の平板状小片からなり、一方の面において第二屈曲側板部28の外フランジ部42に対向位置せしめられている。
【0041】
また、かかる突起部60の外フランジ部42との対向面の突出先端側部位には、外フランジ部42側に向かって側方(下方)に突出する係合爪62が、一体形成されている。この係合爪62は、直角三角形状の断面形状を有し、かかる断面直角三角形状の斜辺部を与える面が、突起部60の先端から基部側に向かって下傾して延びる傾斜面からなる案内面64とされている一方、突起部60の外フランジ部42との対向面とかかる案内面64とを連結する、断面直角三角形状の底辺部を与える面が、縦板部52の内側側面56と平行に延びる平坦な係合面66とされている。また、突起部60の係合爪62の形成側とは反対側の面には、突起部60の折れや変形を防止するための補強リブ68が一体形成されている。
【0042】
そして、ここでは、縦板部52の幅方向(図6の上下方向となる高さ方向)における横板部50側の端部から係合部58までの距離と、第二屈曲側板部28の外フランジ部42におけるヒンジ部48から係合孔44までの距離とが、互いに略同一の大きさとされている。また、縦板部52の内側側面56から係合爪62の係合面66までの高さ寸法が、吸音材14における第一吸音パッド16の外フランジ部20の厚さと第二屈曲側板部28の外フランジ部42の厚さとの合計寸法と略同じか又はそれよりも所定寸法だけ小さくされている。
【0043】
これにより、補強板部46が、縦板部52を第二屈曲側板部28の外フランジ部42の上面に重ね合わせるように、ヒンジ部48を屈曲部として折り曲げられたときに、係合部58が、外フランジ部42の係合孔44内に突入せしめられて、係合面66が、外フランジ部42の下面における係合孔44の開口周縁部に係合され、以て、かかる補強板部46の折曲げ状態が維持され得るようになっている。また、そうして、エンジンルームの下面に取り付けられないカバー本体12の外周部分が、第二屈曲側板部28の外フランジ部42に、折り曲げられた補強板部46の縦板部52が所定の隙間を隔てて対向乃至は重ね合わされた二重構造乃至は重合せ構造とされて、補強されている。
【0044】
さらに、そのような係合部58を有する補強板部46と外フランジ部42を有する第二屈曲側板部28とを備えたカバー本体12においては、補強板部46の縦板部52における係合部58の下側に位置する部分と、かかる下側部分に連設する横板部50部分及び第二屈曲側板部28の外フランジ部42部分とに跨って延びる透孔70が、それぞれ設けられている。この透孔70は、その幅寸法が、係合部58の突起部60の幅よりも所定寸法だけ大きくされ、また、横板部50と外フランジ部42とに跨って延びる部分の長さが、突起部60の突出高さよりも所定寸法だけ大きくされている。
【0045】
これによって、ここでは、分割型を利用したカバー本体12の金型成形に際して、使用される成形金型の一方の分割型における係合部58の形成用の突起部分が、かかる透孔70内に突入されるようになっている。そうして、係合部58が、成形金型の型開き時に分割型の抜き方向に対してアンダーカットとならない非アンダーカット形状とされており、以て、カバー本体12の金型成形、ひいてはアンダーカバー10全体の製造が容易となっている。
【0046】
而して、図1及び図2に示されるように、本実施形態のアンダーカバー10においては、上記の如き構造とされたカバー本体12に対して、吸音材14が、第二吸音パッド18の複数の突起19の先端をカバー本体12の底板部22の上面に接触させるように、重ね合わされて、配置されている。また、かかる配置下において、第一吸音パッド16の外フランジ部20が、カバー本体12の第一屈曲側板部26と二つの連結側板部30,30とに設けられた各内側取付部36の上面と、第二屈曲側板部28に設けられた外フランジ部42の上面とに、それぞれ重ね合わされると共に、かかる第一吸音パッド16の外フランジ部20に設けられた複数の貫通孔21が、第一屈曲側板部26と二つの連結側板部30,30の各内側取付部36の係合孔40と、第二屈曲側板部28の外フランジ部42の各係合孔44とに、それぞれ対応位置せしめられている。
【0047】
そしてまた、そのような状態下で、樹脂クリップ38が、各内側取付部36の係合孔40に対応位置せしめられた第一吸音パッド16の貫通孔21から挿入され、それら貫通孔21と係合孔40とを挿通して、樹脂クリップ38の先端に設けられた係合爪部41が、内側取付部36における係合孔40の開口周縁部に係合せしめられている。
【0048】
さらに、その一方で、カバー本体12の第二屈曲側板部28の外フランジ部42にヒンジ連結された補強板部46が、ヒンジ部48を屈曲部とするように折り曲げられることにより(図5に、矢印アで示される方向に折り曲げられることにより)、かかる補強板部46の縦板部52が、第一吸音パッド16の外フランジ部20を間に挟んで、第二屈曲側板部28の外フランジ部42と対向乃至は重ね合わされると共に、第一吸音パッド16の外フランジ部20の略全体が、それら第二屈曲側板部28の外フランジ部42と補強板部46の縦板部52と、更にはその横板部50とにて、外側から覆われた状態とされている。そして、そのような状態下で、縦板部52に突設された複数の係合部58が、第二屈曲側板部28の外フランジ部42に重ね合わされた第一吸音パッド16の外フランジ部20の各貫通孔21と、それに対応位置する外フランジ部42の各係合孔44とを、貫通孔21の側からそれぞれ挿通して、各係合部58の先端の係合爪62の係合面66が、第二屈曲側板部28の外フランジ部42における各係合孔44の開口周縁部に係合せしめられている。
【0049】
かくして、吸音材14が、第一屈曲側板部26と二つの連結側板部30,30の各内側取付部36に重ね合わされた外フランジ部20部分において、各貫通孔21に挿入された各樹脂クリップ38の頭部39と各内側取付部36とにて挟持されると共に、第二屈曲側板部28の外フランジ部42に重ね合わされた第一吸音パッド16の外フランジ部20部分において、ヒンジ部48で折り曲げられた補強板部46の縦板部52と第二屈曲側板部28の外フランジ部42とにて挟持されている。また、それによって、アンダーカバー10のカバー本体12に対して、吸音材14が、重ね合わされて、取り付けられている。そして、図には明示されてはいないものの、このカバー本体12に吸音材14が取り付けられたアンダーカバー10が、吸音材14側を上側にして、エンジンルームの下方に配置された状態下で、カバー本体12の各外側取付部32のボルト孔34内に挿通された固定ボルトにて、エンジンルームの下面にボルト固定されるようになっている。
【0050】
このように、本実施形態のアンダーカバー10にあっては、吸音材14が、カバー本体12の外周部の一部を構成する第一屈曲側板部26と二つの連結側板部30,30に対して、それら吸音材14やカバー本体12と別体の複数の樹脂クリップ38を用いて取り付けられているものの、カバー本体12の外周部の残りの部分を構成する第二屈曲側板部28に対しては、かかる樹脂クリップ38等を何等用いることなく、吸音材14が、第二屈曲側板部28にヒンジ連結される二つの補強板部46,46にそれぞれ一体形成された複数の係合部58にて取り付けられている。
【0051】
従って、かくの如き本実施形態のアンダーカバー10においては、吸音材14が、カバー本体12に対して、その外周部の全周に亘って、それら吸音材14やカバー本体12とは別体の樹脂クリップ38を用いて取り付けられてなる従来品とは異なって、吸音材14をカバー本体12に取り付けるのに、吸音材14やカバー本体12とは別体の独立した部材からなる樹脂クリップ38の使用個数が、有利に少なくされ得る。そして、その結果として、樹脂クリップ38の使用個数の減少に伴う製造コストの削減が、効果的に図られ得ることとなる。
【0052】
また、かかるアンダーカバー10では、吸音材14をカバー本体12に取り付けるのに、各補強板部46がヒンジ部48で折り曲げられていることにより、エンジンルームの下面に取り付けられない(外側取付部32が何等設けられていない)カバー本体12の外周部分が、吸音材14の外フランジ部20を間に挟んで、第二屈曲側板部28の外フランジ部42と補強板部46の縦板部52とが互いに対向乃至は重ね合わされた二重乃至は重合せ構造とされて、補強され、以て、そのようなエンジンルームの下面に取り付けられないカバー本体12の外周部分の曲げ強度が、有利に高められている。
【0053】
それ故、このような本実施形態のアンダーカバー10にあっては、第一屈曲側板部26や二つの連結側板部30,30が形成されるカバー本体12の外周部分において、エンジンルームの下面に取り付けられた状態下で、第二屈曲側板部28が形成されるカバー本体12の比較的に長い外周部分が、カバー本体12の自重や吸音材14の重量により湾曲して、垂れ下がってしまうようなことが効果的に防止され、また、それによって、垂れ下がったカバー本体12の外周部分とエンジンルームの下面との間に隙間が形成されるようなことも、効果的に阻止され得る。そして、その結果として、アンダーカバー10本来の機能たる騒音低減効果が十分且つ確実に発揮され得ると共に、アンダーカバー全体において必要とされる地面からの高さが、安定的に確保され得ることとなる。
【0054】
さらに、かかるアンダーカバー10では、エンジンルームの下面に取り付けられないカバー本体12の外周部分に接触位置する吸音材14の外周部分(第一吸音パッド16の外フランジ部20の一部)、即ち、カバー本体12のエンジンルームの下面への取付時に、固定ボルトの締結力等によってエンジンルーム下面に密接されることのない吸音材14の外周部分が、補強板部46のヒンジ部48での折曲げにより、カバー本体12における第二屈曲側板部28の外フランジ部42と補強板部46の縦板部52及び横板部50とにて、外側から覆われて、保護され得る。これにより、自動車の走行中等において、エンジンルーム下面に密接されていない吸音材14の外周部分に、飛び石や雨水、泥水等が接触し、かかる吸音材14の外周部分の端末がダメージを受けて、損傷するようなことが、有利に防止され得る。そして、その結果として、吸音材14の耐久性が有利に高められ得る。
【0055】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0056】
例えば、前記実施形態では、吸音材14を、第一屈曲側板部26と二つの連結側板部30,30に形成される内側取付部36に取り付けるのに、複数の樹脂クリップ38が用いられていたが、これら複数の樹脂クリップ38の代わりとして、内側取付部36に係合部72を一体形成することも出来る。
【0057】
すなわち、例えば、図7及び図8に示されるように、第一屈曲側板部26や各連結側板部30の全ての内側取付部36に、かかる内側取付部36の上面における係合孔40の開口周縁部から上方に突出する突起部74と、この突起部74から側方に一体的に延びる引っ掛け部76とを有する係合部72を一体形成する。そして、各内側取付部36に重ね合わされた吸音材14の外フランジ部20に設けられた各貫通孔21に、かかる係合部72を挿通し、それら各貫通孔21の開口周縁部に、係合部72の引っ掛け部74を引っ掛けて、係合することにより、吸音材14をカバー本体12に取り付けるようにしても良い。
【0058】
また、例えば、図9及び図10に示されるように、第一屈曲側板部26や各連結側板部30の全ての内側取付部36に、かかる内側取付部36の上面における係合孔40の開口周縁部から上方に突出する突起部78と、この突起部78から斜め下方に一体的に延びる、樹脂ばねにより弾性変形可能な係合爪部80とを有する係合部72を一体形成する。そして、各内側取付部36に重ね合わされた吸音材14の外フランジ部20に設けられた各貫通孔21に、係合爪部80を弾性変形させつつ、係合部72を挿通し、そして、挿通後に復元された係合爪部80を、各貫通孔21の開口周縁部に係合することにより、吸音材14をカバー本体12に取り付けるようにしても良いのである。
【0059】
このように、吸音材14を、第一屈曲側板部26と二つの連結側板部30,30に形成される内側取付部36に取り付けるのに、内側取付部36に一体形成された係合部72を利用すれば、吸音材14やカバー本体12とは別体の複数の樹脂クリップ38を使用する必要が皆無ならしめられ得る。そして、それによって、アンダーカバー10の部品点数の削減が、更に有利に図られ得て、より一層の低コスト化が、極めて効果的に達成され得るのである。
【0060】
さらに、図11に示されるように、例えば、矩形のカバー本体12に一体形成された四つの側板部82(図11には二つののみを示す)の全ての上端部に対して、側方に突出し且つ各側板部82の長さ方向に延びる外フランジ部42を一体形成すると共に、それら各外フランジ部42の外周部に、補強板部46を、ヒンジ部48を介して、側板部82の全周に延びるように一体的に連結し、更に、図示されてはいないものの、それら各補強板部46に、図1及び図2に示される前記第一の実施形態のアンダーカバー10に形成されるものと同様な係合部(58)を複数個ずつ突設する。そして、かかる第一の実施形態と同様にして、各補強板部46をヒンジ部48で折り曲げて、各係合部(58)を各係合孔(44)に係合させることにより、吸音材14をカバー本体12に取り付けるようにしても良い。
【0061】
これによっても、吸音材14やカバー本体12とは別体の複数の樹脂クリップ38を使用する必要が皆無ならしめられ得て、アンダーカバー10の部品点数の削減が有利に図られ得、以て、アンダーカバー10の製造コストの低下が、効果的に実現され得る。また、それに加えて、吸音材14の外周部(外フランジ部20)の全周が、カバー本体12の外フランジ部42と各補強板部46とにて覆われて、保護されるようになる。そして、その結果、吸音材14の外周部の全周が、飛び石や雨水、泥水等との接触によって損傷することが防止されて、吸音材14の耐久性が、より有利に高められ得ることとなる。
【0062】
更にまた、前記実施例では、補強板部46が、横板部50と縦板部52とを一体的に有するL字状の板材にて構成されていたが、例えば、かかる補強板部46を、横板部50のみからなる平板材にて構成することも出来る。また、そのような平板形態を呈する横板部50に、それの長さ方向に延びる第二のヒンジ部を設けて、かかる横板部50が、第二のヒンジ部を屈曲部としてL字に折り曲げられるように構成し、L字に折り曲げられた状態で、ヒンジ部48において更に折り曲げられるようになっていても、何等差し支えない。何れにしろ、補強板部46は、カバー本体12の外周部に沿って延びるように位置せしめられた状態で、かかるカバー本体12外周部に一体的にヒンジ連結され、カバー本体12の外周部と重ね合わされるように折り曲げられることにより、カバー本体12の外周部を重合せ構造として補強可能とされるものであれば、如何なる形状を有するものであって良いのである。
【0063】
また、カバー本体12の外周部と補強板部46とを連結するヒンジ部48の構造も、何等限定されるものではなく、例えば、カバー本体12の外周部と補強板部46とを連結するカバー本体12部分の上面に凹溝が設けられて、かかる連結部分が薄肉化されて、構成されるものであっても良い。
【0064】
さらに、補強板部46に一体的に突設される係合部58の構造も、補強板部46の折曲げによりカバー本体12と対向せしめられる側の補強板部46の面に一体的に突設されて、吸音材14の貫通孔21に挿通された状態で、カバー本体12の係合孔44に係合せしめられるものであれば、例示の構造に、特に限定されるものではない。従って、例えば、係合孔44に対する十分な係合が可能であれば、係合爪62を省略しても良い。
【0065】
更にまた、カバー本体12や吸音材14のそれぞれの構造や全体形状等についても、例示のものに、決して限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0066】
また、吸音材14に設けられる貫通孔21やカバー本体12に設けられる係合孔44、更には、補強板部46に設けられる係合部58の個数は、カバー本体12や吸音材14の大きさ等に応じて、適宜に変更され得る。
【0067】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車の車体のエンジンルームの下面を覆って配置される自動車用アンダーカバーの他、自動車のエンジンルームの下面以外の車体の床下の少なくとも一部や、自動車以外の車両の床下の少なくとも一部を覆って配置される車両用アンダーカバーの何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0068】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に従う車両用アンダーカバーの一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面拡大説明図である。
【図3】図1に示されたアンダーカバーのカバー本体に取り付けられる吸音材の斜視説明図である。
【図4】図1に示されたアンダーカバーのカバー本体の斜視説明図である。
【図5】図4における部分拡大説明図である。
【図6】図4のVI−VI断面における部分拡大説明図である。
【図7】本発明に従う車両用アンダーカバーの別の例を示す図1に対応する図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面における部分拡大説明図である。
【図9】本発明に従う車両用アンダーカバーの更に別の例を示す図1に対応する図である。
【図10】図9のX−X断面における部分拡大説明図である。
【図11】本発明に従う車両用アンダーカバーの他の別の例を示す図1に対応する斜視説明図である。
【符号の説明】
【0070】
10 アンダーカバー 12 カバー本体
14 吸音材 21 貫通孔
26 第一側板部 28 第二側板部
30 連結側板部 36 内側取付部
38 樹脂クリップ 42 外フランジ部
44 係合孔 46 補強板部
48 ヒンジ部 58,72 係合部
62 係合爪 70 透孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の床下の少なくとも一部を覆って配置される、樹脂成形品からなるカバー本体と、該カバー本体に重ね合わされて、取り付けられた吸音材とを有するアンダーカバーであって、
前記吸音材の外周部に設けられた少なくとも一つの貫通孔と、
前記カバー本体の外周部に、前記貫通孔に対応して設けられた少なくとも一つの係合孔と、
前記カバー本体の外周部に沿って延びるように位置せしめられた状態で、該外周部に一体的にヒンジ連結され、該カバー本体の外周部と重ね合わされるように折り曲げられることにより、該カバー本体の外周部を重合せ構造として補強する補強板部と、
該補強板部の折曲げにより前記カバー本体と対向せしめられる側の該補強板部の面に一体的に突設された、前記貫通孔に挿通され、そして前記係合孔に係合せしめられる係合部と、
を含み、前記補強板部の折曲げにより、該補強板部が、該吸音材の外周部を間に挟んで、該カバー本体の外周部と対向せしめられると共に、該補強板部の前記係合部が、前記貫通孔を挿通して、前記係合孔に係合せしめられることによって、該吸音材が、該カバー本体に取り付けられていることを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項2】
前記係合部の突出先端側部位に対して、その側方に突出乃至は延出する係合爪が一体形成され、該係合部が前記貫通孔と前記係合孔とに挿通せしめられた状態下で、該係合爪が、該カバー本体の外周部における該係合孔の開口周縁部に係合せしめられることにより、該係合部の該係合孔に対する係合が実現されている請求項1に記載の車両用アンダーカバー。
【請求項3】
前記補強板部が、前記カバー本体の外周部から側方に突出し且つ該外周部に沿って延びるように位置せしめられた状態で、該外周部にヒンジ連結された横板部と、該横板部の突出先端から立ち上がって、該横板部の全長に延びる縦板部とを一体的に有する断面L字形状を呈している請求項1又は請求項2に記載の車両用アンダーカバー。
【請求項4】
前記補強板部が、前記カバー本体の外周部に沿って、その全周に延びるように位置せしめられた状態で、該外周部にヒンジ連結されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の車両用アンダーカバー。
【請求項5】
前記カバー本体の外周部と前記補強板部との連結部分に、該補強板部の延出方向に沿って、その全長に延びる凹溝が設けられて、該連結部分が、その全長に亘って薄肉化されていることにより、かかる薄肉の連結部分にて、該補強板部を該カバー本体の外周部に重ね合わされるように折曲げ可能に連結するヒンジ部が形成されて、該補強板部が、該カバー本体の外周部にヒンジ連結されている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の車両用アンダーカバー。
【請求項6】
前記カバー本体の外周部にヒンジ連結された前記補強板部を含む該カバー本体の外周部に、該補強板部の前記係合部を非アンダーカット形状とする透孔が設けられている請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の車両用アンダーカバー。
【請求項7】
車体の床下の少なくとも一部を覆って配置されるカバー本体と、該カバー本体に重ね合わされて、取り付けられた吸音材とを有するアンダーカバーであって、
前記吸音材の外周部に、係合孔が少なくとも一つ設けられる一方、前記カバー本体に対して、該係合孔に係合可能な少なくとも一つの係合部が、該貫通孔に対応して一体的に設けられて、該係合部が該係合孔に係合せしめられることによって、該吸音材が、該カバー本体に取り付けられていることを特徴とする車両用アンダーカバー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−160959(P2009−160959A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339153(P2007−339153)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】