説明

車両用イオン発生装置

【課題】車両に乗車している乗車者に対して、リラックス効果、毛髪をしっとりさせる効果、肌に潤いを持たせる効果を継続して発揮したり、あるいは除菌効果を継続して発揮できる。
【解決手段】車両1に搭載されて車室1a内の浄化を行うための車両用イオン発生装置2である。車両用イオン発生装置2は、イオン発生器3と電位保持部4を備える。イオン発生器3は、針電極5に高電圧を印加してイオンを発生させ、発生させたイオンを車室1a内に放出するように構成する。電位保持部4は、乗車者が接触する車載部品8に、乗車者側に上記イオンが継続して誘引/吸着されるように電位を保持するためのもので、乗車者が接触する車載部品8に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用イオン発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、マイナスイオンはリラックス効果があり、また、毛髪をしっとり、さらさらにするといった効果や、直接肌に当てることで肌を潤わせる効果があることが知られており、また、プラスイオンは除菌効果があることが知られている。
【0003】
そして、乗用車等の車両の天井部にマイナスイオン発生器を設け、車室内にマイナスイオンを吹き出すようにしたものが特許文献1により知られている。
【0004】
ところが、車室内にイオンを放出しても、車両に乗車している乗車者は外部と電気的に絶縁されていて電位が決まっていない。したがって、従来例にあって、イオン発生装器から車室内にマイナスイオンを放出した場合、乗車者がプラスに帯電していると、マイナスイオンが乗車者の人体や衣服に当たると、人体や衣服の帯電している電荷が中和され、さらにはマイナスに帯電するようになる。この状態では乗車者側がイオン発生器から発生したマイナスイオンと同極となるため、反発するようになって発生したマイナスイオンが乗車者側に誘引、吸着されなくなり、マイナスイオンによる乗車者のリラックス効果、あるいは、毛髪をしっとりとさせる効果や肌に潤いを持たせる効果を継続して発揮できなくなる。
【0005】
同様に、イオン発生器から車室内にプラスイオンを放出した場合、乗車者がマイナスに帯電していると、プラスイオンが乗車者の人体や衣服に当たると、人体や衣服の帯電している電荷が中和され、さらにはプラスに帯電するようになる。この状態では乗車者側がイオン発生器から発生したマイナスイオンと同極となるため、反発するようになって帯電微粒子水が乗車者側に誘引、吸着されなくなり、プラスイオンによる乗車者の人体や衣服に付着したウイルスや菌の除菌効果を継続して発揮できなくなる。
【特許文献1】特開2003−220827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、車両に乗車している乗車者に対して、リラックス効果、毛髪をしっとりさせる効果、肌に潤いを持たせる効果を継続して発揮したり、あるいは除菌効果を継続して発揮できる車両用イオン発生装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両1に搭載されて車室1a内の浄化を行うための車両用イオン発生装置2である。車両用イオン発生装置2は、イオン発生器3と電位保持部4を備える。イオン発生器3は、針電極5に高電圧を印加してイオンを発生させ、発生させたイオンを車室1a内に放出するように構成する。電位保持部4は、乗車者Mが接触する車載部品8に、乗車者M側に上記イオンが継続して誘引、吸着されるように電位を保持するためのもので、乗車者Mが接触する車載部品8に設ける。
【0008】
このように、乗車者Mが接触する車載部品8に電位保持部4を設けてあることで、乗車者Mの人体及び衣服の電位が継続して所定の電位(例えば、イオンと反対の電位)を保持することができ、より多くのイオンを乗車者Mの人体及び衣服に誘引させ、継続して吸着させることができる。したがって、発生させるイオンがマイナスイオンの場合は、乗車者Mの人体や衣服に吸着したマイナスイオンによるリラックス効果、毛髪をしっとり、さらさらにする効果や、肌を潤わせる効果を、乗車中に継続して発揮できる。また、発生させるイオンがプラスイオンの場合は、乗車者Mの人体や衣服に吸着したプラスイオンにより人体や衣服に付着しているウイルスや細菌の除菌効果を、乗車中に継続して発揮できる。
【0009】
また、電位保持部4を設けた車載部品8がハンドル部9であることが好ましい。
【0010】
このような構成とすることで、ハンドル部9を手で持って運転している間中、運転者の人体及び衣服の電位を継続して所定の電位に保持でき、確実に、イオンを人体及び衣服に誘引させ、継続して吸着させることができる。これにより運転者に対して集中してイオンを吸引、吸着させることができる。
【0011】
また、電位保持部4を設けた車載部品8がシートベルト10であることが好ましい。
【0012】
このような構成とすることで、運転者だけでなく、同乗者も含めて、シートベルト10をすることで、乗車中、乗車者Mの人体及び衣服の電位を継続して所定の電位に保持でき、確実に、イオンを乗車者Mの人体及び衣服に誘引させ、継続して吸着させることができる。
【0013】
また、電位保持部4を設けた車載部品8が座席シート部11であることが好ましい。
【0014】
このような構成とすることで、乗車者Mが座席シート部11に座ることで、乗車中、乗車者Mの人体及び衣服の電位を継続して所定の電位に保持でき、確実に、イオンを人体及び衣服に誘引させ、継続して吸着させることができる。特に、心臓に病気のある人や妊婦のようにシートベルト10をすることができない同乗者であっても継続して確実にイオンを誘引、吸着させることができる。
【0015】
また、電位保持部4を設けた車載部品8が肘掛部12であることが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、乗車者Mが肘掛部12に肘を掛けることで、乗車者Mの人体及び衣服の電位を継続して所定の電位に保持でき、確実に、イオンを人体及び衣服に誘引させ、継続して吸着させることができる。この場合、運転者ではなく、同乗者だけに集中してイオンを吸引、付着させることができる。
【0017】
また、イオン発生器3が車室1aの天井部13に設置してあることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、イオンを、特に乗車者Mの毛髪に上方より効果的に誘引、吸着させることができ、毛髪をしっとり、さらさらにする効果を乗車中に継続して発揮できる。
【0019】
また、イオン発生器3がヘッドレスト部14に設置してあることが好ましい。
【0020】
このような構成とすることで、イオンを、乗車者Mの髪に対して近距離から効果的に誘引、吸着させることができ、毛髪をしっとり、さらさらにする効果を乗車中に継続して発揮できる。
【0021】
また、イオン発生器3を、車両用空調装置15の吹出口16に至る送風路17外に設置すると共に、イオン発生器3のイオンの放出口19を送風路17に接続してあることが好ましい。
【0022】
このような構成とすることで、イオンの車室1a内への拡散性を高め、乗車者Mの全身にイオンを誘引、付着させることができる。また、後部座席にいる乗車者Mにもイオンが届いて、誘引、吸着させることができる。
【0023】
また、電位保持部4は、乗車者M側の電位をイオンの電荷と同じ極性で且つイオンの電位よりも低いレベルに保持するものであることが好ましい。
【0024】
このような構成とすることで、これにより乗車者M側の電位をイオンの電荷と同じ極性であっても、極性を切り換えることなく、乗車者Mの人体及び衣服に継続してイオンを誘引、吸着させることができる。
【0025】
また、電位保持部4の電圧の極性を可変自在としてあることが好ましい。
【0026】
このような構成とすることで、乗車中は放出されたイオンが人体及び衣服に継続して誘引、吸着されるような極性とし、下車する際は、静電気防止のため、極性を変えることで、帯電しない状態とすることができる。
【0027】
また、座席シート部11に圧力センサ18を設け、圧力センサ18により人が座席シート部11に座ったことを検知して電位保持部4の電圧を印加することが好ましい。
【0028】
このような構成とすることで、乗車者Mが座っている座席シート部11の電位保持部4に電圧を印加して、乗車者Mが座っている方向にイオンを継続して誘引させて、効率良く吸着させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、乗車者が接触する車載部品に、乗車者側に上記イオンが継続して誘引、吸着されるように電位を保持するための電位保持部を設けてあるので、乗車者の人体や衣服に継続してイオンを付着させることができ、これにより、車両に乗車している乗車者に対して、リラックス効果、毛髪をしっとりさせる効果、肌に潤いを持たせる効果を継続して発揮したり、あるいは除菌効果を継続して発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0031】
図1には自動車のような車両1の概略図が示してあり、車両1には車両用イオン発生装置2が設けてある。
【0032】
車両用イオン発生装置2はイオン発生器3と電位保持部4を備えている。
【0033】
イオン発生器3は、空気イオン(マイナス空気イオン又はプラス空気イオン)をコロナ放電により発生させるもので、針電極5と、該針電極5に高電圧を印加するための高電圧印加手段6と、針電極5に高電圧を印加することで発生させたイオンを車室1a内に放出する放出口19を有したものである。
【0034】
ここで、例えば、マイナス空気イオン(以下マイナスイオンという)という発生させる場合は、針電極5にDC−5kVを印加し、プラス空気イオン(以下プラスイオンという)を発生させる場合は、針電極5にDC+5kVを印加する。
【0035】
上記の構成のイオン発生器3は車両1に設けられて、イオンを車室1a内に放出するようになっており、このイオン発生器3はスイッチをオンにすることで運転される。このイオン発生器3をオン、オフするためのスイッチとしては、例えば車両1のイグニッションキーをオンにすることでオンとなり、オフとすることでオフとなるように構成したもの、あるいは、イグニッションキーの操作とは別に手動で独立して操作するもの等がある。
【0036】
図1にはイオン発生器3を車両1の天井部13に設置した例が示してある。
【0037】
電位保持部4は乗車者Mが接触する車載部品8に設けてあり、乗車中に乗車者Mが上記電位保持部4を設けた車載部品8に接触することで、乗車者Mの人体及び衣服の電位を保持するようになっている。電位保持部4は、上記イオン発生器3のスイッチがオンになると、連動して電位保持部4もオンになって所定の電圧を出力するようになっている。もちろん、イオン発生器3のスイッチとは別の手動により独立して電位保持部4をオン、オフできるスイッチを設けてもよい。
【0038】
電位保持部4は、例えば、図3に示すように高電圧印加手段6で針電極5にマイナスの高電圧を印加してマイナスイオンを発生させる場合は、電位保持部4がプラス電圧を発生するように構成する。また、図示を省略しているが、高電圧印加手段6で針電極5にプラスの高電圧を印加してプラスの電荷をもつイオンを発生させる場合は、電位保持部4がマイナス電圧を発生するように構成する。
【0039】
これにより、乗車者Mが電位保持部4を設けた車載部品8に接触することで、乗車者Mの人体及び衣服の電位をイオン発生器3で発生させるイオンの電荷と反対の電位となるように保持することができる。
【0040】
なお、イオン発生器3でイオンを発生するに当たり、マイナスイオンか、プラスイオンの一方を発生させるものだけに限定されず、例えば、高電圧印加手段6としてマイナスの高電圧を印加する高電圧発生ユニットと、プラスの高電圧を印加する高電圧発生ユニットとの、2つの高電圧発生ユニットを設け、マイナスイオンの発生と、プラスイオンの発生とを選択できるようにしてもよい。マイナスイオンを発生させる場合は、電位保持部4でプラスの電圧を出力し、プラスイオンを発生させる場合は、電位保持部4でマイナスの電圧を出力するように切り換え制御する。
【0041】
図1、図2には、イオン発生器3を車両1の天井部13に設置し、電位保持部4を車載部品8であるハンドル部9に設置した例が示してある。高電圧印加手段6から針電極5に−5kV印加し、コロナ放電することでマイナスに帯電したマイナスイオンが発生する。このとき、ハンドル部9に設けた電位保持部4はプラス電圧を出力するので、乗車者Mがハンドル部9を握ると、乗車者Mの人体及び衣服がプラスに帯電する。このため、イオン発生器3から乗車者M側に向けて電気力線が形成されるため、発生したマイナスイオンが電気力線に沿って乗車者M側に向けて移動し、人体や衣服に吸引されて吸着する。
【0042】
吸着後、イオンの電荷はプラス電圧の電位保持部4を通じて外部に流れるため、人体及び衣服に帯電した電圧はそのまま保持され、マイナスイオンが人体や衣服に当たり続け、継続してマイナスイオンが作用する。
【0043】
一方、イオン発生器3からプラスイオンを発生する場合は、ハンドル部9に設けた電位保持部4はマイナス電圧を出力し、乗車者Mがハンドル部9を握ると、乗車者Mの人体及び衣服がマイナスに帯電する。このため、イオン発生器3から乗車者M側に向けて電気力線が形成されるため、発生したプラスイオンが電気力線に沿って乗車者M側に向けて移動し、人体や衣服に吸引されて吸着する。
【0044】
吸着後、イオンの電荷はマイナス電圧の電位保持部4を通じて外部に流れるため、人体及び衣服に帯電した電圧はそのまま保持され、プラスイオンが人体や衣服に当たり続け、継続してプラスイオンが作用する。
【0045】
車両1の車室1a空間は、家屋などの住空間と比較して、天井なども低く空間が限られているので、ウインドウを閉じると密閉空間となるため、当該空間のみにイオンが拡散し、また、乗車者Mの存在位置はほぼ固定され、しかも、上記のように乗車者M側の電位が保持されるため、効果的にイオンを人体や衣服に継続して誘引、吸着することができる。
【0046】
ここで、イオン発生器3から発生したイオンがマイナスイオンの場合、乗車者Mの人体や衣服にマイナスイオンが継続して誘引、吸着されるため、リラックス効果、毛髪をしっとり、さらさらにする効果、肌を潤わせる効果を、乗車中に継続して発揮することができる。
【0047】
そして、図1のようにイオン発生器3を天井部13に配置するに当たり、座席シート部11に乗車者Mが座った場合、当該乗車者Mの各部のうち毛髪部分がイオン発生器3に最も近くに位置するように配置すると、マイナスイオンを毛髪に集中して誘引、吸着させることができ、毛髪をしっとり、さらさらにする効果がよりいっそう大きくなる。
【0048】
また、イオン発生器3から発生したイオンがプラスイオンの場合、乗車者Mの人体や衣服に吸着したプラスイオンにより人体や衣服に付着しているウイルスや細菌の除菌効果を、乗車中に継続して発揮することができる。
【0049】
上記実施形態においては、電位保持部4を車載部品8であるハンドル部9に設けた例を示したが、これにのみ限定されず、他の乗車者Mが接触する車載部品8に電位保持部4を設けてもよい。
【0050】
図4には車載部品8であるシートベルト10に電位保持部4を設けた例が示してある。この実施形態においては、シートベルト10を装着することで、通電され、シートベルト10を通して乗車者Mの人体及び衣服に帯電される。このようにシートベルト10に電位保持部4を設けると、運転者だけでなく、同乗者も含めて、乗車者Mの人体及び衣服の電位を継続して所定の電位に保持でき、確実に、イオンを人体及び衣服に誘引させ、継続して吸着させることができる。
【0051】
また、図5、図6には車載部品8である座席シート部11に電位保持部4を設けた例が示してある。この実施形態においては、乗車者Mが座席シート部11に座ることで、乗車中、乗車者Mの人体及び衣服を帯電して継続して所定の電位に保持でき、確実に、イオンを人体及び衣服に誘引させ、継続して吸着させることができる。この例では、心臓に病気のある人や妊婦のようにシートベルト10をすることができない同乗者であっても、座席シート部11に座ることで、継続して確実にイオンを誘引、吸着させることができることになる。
【0052】
このような座席シート部11に電位保持部4を設けたものにおいては、座席シート部11に乗車者Mが座っていない時、イオン発生器3をオンにすると共に、電位保持部4をオンにしておくと、座席シート部11に向けてイオンを継続して誘引、吸着させ、座席シート部11に付着している臭い、アレルゲン物質、ウイルスや菌の分解、不活性化、あるいは抑制を継続して行うことができる。
【0053】
また、図7には車載部品8である肘掛部12に電位保持部4を設けた例が示してある。この実施形態においては、乗車者Mが肘掛部12に肘を掛けた際に、乗車者Mの人体及び衣服を帯電して継続して所定の電位に保持でき、確実に、イオンを人体及び衣服に誘引させ、継続して吸着させることができる。この場合、運転者ではなく、肘掛部12に肘を掛けた同乗者だけに集中してイオンを吸引、付着させることができる。
【0054】
このように肘掛部12に電位保持部4を設ける場合、肘掛部12が起倒自在となっているものにおいては、図7(b)のように肘掛部12を起立させて収納しているときは電位保持部4の出力がないようにし、図7(a)のように肘掛部12を倒して使用する時は電位保持部4の出力があるようにしてもよい。必要な時に必要な乗車者Mにイオンを集中して効果的に誘引、付着させることができる。
【0055】
図1の実施形態ではイオン発生器3を天井部13に設置した例を示したが、必ずしもこれにのみ限定されない。
【0056】
図8にはヘッドレスト部14にイオン発生器3を設置し、ヘッドレスト部14の上面側からイオンを放出する例が示してある。このようにヘッドレスト部14にイオン発生器3を設置すると、イオンを、乗車者Mの髪に対して近距離から効果的に誘引、吸着させることができる。
【0057】
また、図9のように、座席の背もたれ部30にイオン発生器3を設置してもよく、この場合は背もたれ部30から人体や衣服に向けて近距離から効果的にイオンを放出して誘引、吸着させることができる。
【0058】
また、図10には他の実施形態が示してある。図10には車両用空調装置15が示してあり、この車両用空調装置15の送風路17には上流側端部の吸入口31から下流側端部の吹出口16までの間にブロア32、フィルタ33、エバポレータ34が設けてある。そして、本実施形態においては、送風路17の外にイオン発生器3を配設すると共に、イオン発生器3のイオンの放出口19を送風路17に接続してある例が示してある。
【0059】
本実施形態においては、吹出口16からの空調空気の空気流に乗ってイオンの車室1a内への拡散性を高め、乗車者Mの全身にイオンを誘引、付着させることができる(図10(b)は吹出口16から出るイオンがハンドル部9を持つ人体(図10(b)では腕M1を示している)に誘引、付着している例が示してある)。また、後部座席にいる乗車者Mにもイオンが届いて、誘引、吸着させることができる。
【0060】
放出口19を送風路17に接続するに当たっては、送風路17の途中に接続してもよく、あるいは図10(a)のように送風路17の下流側端部の吹出口16付近に接続させてもよい。
【0061】
上記実施形態においては、イオン発生器3でマイナスイオンを発生させる場合は、電位保持部4がプラス電圧を発生するように構成し、プラスイオンを発生させる場合は、電位保持部4がマイナス電圧を発生するように構成した例で説明したが、電位保持部4で、乗車者M側の電位をイオン発生器3で発生させるイオンの電荷と同じ極性で且つイオンの電位よりも低いレベルに保持するものであってもよい。
【0062】
この実施形態においては、電位保持部4を設けた車載部品8に乗車者Mが接触することで、乗車者Mの人体及び衣服がイオン発生器3で発生させるイオンの電荷と同じで且つ発生させるイオンの電位よりも低いレベルに保持されるので、発生させたイオンが電位差により人体や衣服に継続して誘引、吸着されることになる。
【0063】
ところで、前述の各実施形態において、電位保持部4により、乗車中は放出されたイオンが人体及び衣服に継続して誘引、吸着されるように電位を保持した場合、人体及び衣服に帯電しているため、下車する際に乗車者Mの人体及び衣服に静電気が付いたままの状態となり、静電気による不快感が発生する。このため電位保持部4における印加する電圧の極性を変えて、下車する際に、乗車者Mの人体及び衣服の帯電を除去して静電気を防止するようになっている。例えば、電位保持部4の印加電圧の極性を切り換えるためのスイッチを設け、下車の直前に該スイッチを操作して電位保持部4の印加電圧の極性を切り換え、プラス又はマイナスに帯電していた乗車者Mの人体及び衣服を中和して、静電気を防止するのである。
【0064】
また、図6のように座席シート部11に圧力センサ18を設け、圧力センサ18により乗車者Mが座席シート部11に座ったことを検知して電位保持部4の電圧を印加するように制御部により制御するようにしてもよい。この実施形態においては、乗車者Mが座席シート部11に座ると、この座っている座席シート部11に設けた電位保持部4が電圧を出力して乗車者M側を所定の電位に保持し、イオン発生器3で発生させているイオンを乗車者M側に向けて継続して誘引させて、乗車者Mの人体及び衣服に効率良く吸着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の車両用イオン発生装置を備えた車両の一実施形態の概略図である。
【図2】同上のハンドル部に電位保持部を設けた例を示す説明図である。
【図3】同上のイオンが対象物である人体側に継続して誘引、吸着されることを説明する説明図である。
【図4】本発明のシートベルト部に電位保持部を設けた例を示す説明図である。
【図5】本発明の座席シート部に電位保持部を設けた車両の概略構成図である。
【図6】同上の座席シート部分の概略構成図である。
【図7】本発明の肘掛部に電位保持部を設けた例を示し、(a)は肘掛部を倒した例を示す斜視図であり、(b)は肘掛部を起立させた例を示す斜視図である。
【図8】本発明のヘッドレストにイオン発生器を設けた例を示し、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
【図9】本発明の背もたれ部にイオン発生器を設けた例を示し、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
【図10】本発明の車両用空調装置の送風路に電霧化装置の放出口を接続した例を示し、(a)は概略構成であり、(b)は送風路の吹出口からイオンがハンドル部に接触する人体側に誘引、吸着することを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1 車両
1a 車室
2 車両用イオン発生装置
3 イオン発生器
4 電位保持部
5 針電極
8 車載部品
9 ハンドル部
10 シートベルト部
11 座席シート部
12 肘掛部
13 天井部
14 ヘッドレスト部
15 車両用空調装置
16 吹出口
17 送風路
18 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて車室内の浄化を行うための車両用イオン発生装置であって、針電極に高電圧を印加してイオンを発生させ、発生させたイオンを車室内に放出するイオン発生器を備えると共に、乗車者が接触する車載部品に、乗車者側に上記イオンが継続して誘引、吸着されるように電位を保持するための電位保持部を設けて成ることを特徴とする車両用イオン発生装置。
【請求項2】
電位保持部を設けた車載部品がハンドル部であることを特徴とする請求項1記載の車両用イオン発生装置。
【請求項3】
電位保持部を設けた車載部品がシートベルトであることを特徴とする請求項1記載の車両用イオン発生装置。
【請求項4】
電位保持部を設けた車載部品が座席シート部であることを特徴とする請求項1記載の車両用イオン発生装置。
【請求項5】
電位保持部を設けた車載部品が肘掛部であることを特徴とする請求項1記載の車両用イオン発生装置。
【請求項6】
イオン発生器が車室の天井部に設置してあることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用イオン発生装置。
【請求項7】
イオン発生器がヘッドレスト部に設置してあることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用イオン発生装置。
【請求項8】
イオン発生器を、車両用空調装置の吹出口に至る送風路外に設置すると共に、イオン発生器のイオンの放出口を送風路に接続して成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用イオン発生装置。
【請求項9】
電位保持部は、乗車者側の電位をイオンの電荷と同じ極性で且つイオンの電位よりも低いレベルに保持するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の車両用イオン発生装置。
【請求項10】
電位保持部の電圧の極性を可変自在として成ることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一方に記載の車両用イオン発生装置。
【請求項11】
座席シート部に圧力センサを設け、圧力センサにより人が座席シートに座ったことを検知して電位保持部の電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の車両用イオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−6181(P2010−6181A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166278(P2008−166278)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】