説明

車両用ウォッシャノズル

【課題】ウォッシャノズル周りの外観見栄えを向上させる。
【解決手段】車両の樹脂製アウターパネルアッパー7に、洗浄液の噴射方向に開口する開口部19を有するとともにウォッシャノズル本体13の噴出孔11を外側から覆うカバー17を一体に膨出形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の樹脂製アウターパネルに設けられ、洗浄液を所定の噴射方向に噴射する車両用ウォッシャノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、窓ガラスの内面にフレームを装着し、該フレームにウォッシャノズル本体の基部を係止するとともに、噴出孔の形成された先端部を窓ガラスの外方に臨ませている。
【特許文献1】実開昭61−129660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1では、窓ガラスと材質の異なるウォッシャノズル本体の先端部が窓ガラスの外方に突出して露出しているので、ウォッシャノズル本体が目立ち、ウォッシャノズル周りの車両外方からの見栄えが悪い。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウォッシャノズル周りの外観見栄えを向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、ウォッシャノズル本体を外部から見え難くしたことを特徴とする。
【0006】
具体的には、本発明は、車両の樹脂製アウターパネルに設けられ、洗浄液を所定の噴射方向に噴射する車両用ウォッシャノズルを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記アウターパネルの内外に貫通する噴出孔を有するウォッシャノズル本体と、該アウターパネルに一体に膨出形成され、上記噴射方向に開口する開口部を有するとともに上記ウォッシャノズル本体を外側から覆うカバーとを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ウォッシャノズルにおいて、上記ウォッシャノズル本体は、上記アウターパネルとは別部材で構成され、該アウターパネルに形成された挿着孔に挿着されて組み付けられ、上記カバーの内面には、上記噴出孔から噴出された洗浄液を所定の噴射方向に噴射すべく反射させる反射面が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ウォッシャノズルにおいて、上記ウォッシャノズル本体は、上記アウターパネルと一体に形成され、上記カバーの内面には、上記噴出孔から噴出された洗浄液を所定の噴射方向に噴射すべく反射させる反射面が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ウォッシャノズルにおいて、上記アウターパネルは、透明材又は半透明材で構成されて車両の窓を構成し、上記カバーは、上記窓の周縁近傍に形成され、少なくとも上記カバーには、不透明な塗装が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、ウォッシャノズル本体がカバーによって外側から覆われているので、ウォッシャノズル本体が外方に大きく露出せず見え難く、しかも、カバーがアウターパネルと一体に成形されて同じ材質であるため、カバー自体も目立たない。したがって、車両外方からの見栄えが良い。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、ウォッシャノズル本体とアウターパネルとが別々に製作されるので、アウターパネルにはカバーを設けるだけでよく、噴出孔を形成する必要がない。したがって、アウターパネルの成形型の型構造を容易にできる。
【0013】
また、カバーの内面の形状で洗浄液の噴射方向が決まるので、ウォッシャノズル本体の噴出孔を噴射方向に応じた形状にする必要がない。したがって、噴出孔の構造を容易にできる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、アウターパネルの成形と同時にウォッシャノズル本体も成形されるため、ウォッシャノズル本体をアウターパネルに組み付ける手間が必要ない。しかも、ウォッシャノズル本体をアウターパネルと別部材にした場合に比べ、部品点数が少なくなる。したがって、製造コストを削減できる。また、ウォッシャノズル本体とアウターパネルとの境界部分が現れないので、見栄えが向上し、ウォッシャノズル本体とアウターパネルとの境界部分の露出を防止するためにカバーを大きく形成する必要がない。
【0015】
さらに、カバーの内面の形状で洗浄液の噴射方向が決まるので、ウォッシャノズル本体の噴出孔を噴射方向に応じた形状にする必要がない。したがって、噴出孔の構造を容易にできる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、樹脂製アウターパネルとして窓と窓の外周枠部とウォッシャノズル本体のカバー部とが一体に成形できて部品点数の削減と軽量化ができ、カバーに施された不透明な塗装により、カバーの外方からウォッシャノズル本体の構造が透けて見えることがなく、車両外方からの見栄えが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態1)
図1及び図2は、車両の車体後部の開口を上下方向に開閉するリフトゲート(バックドア)1を示す。該リフトゲート1は、車両外側に位置する樹脂製ゲートアウターパネル3と車両内側に位置する樹脂製ゲートインナーパネル5とを備え、上記ゲートアウターパネル3は、アウターパネルアッパー7とアウターパネルロアー10とに2分割されている。
【0019】
上記アウターパネルアッパー7は透明樹脂材で構成され、アウターパネルアッパー7のアッパー部分には、パネル表面側にルーフの外板と共通の色の不透明な塗装が施された領域21が形成されている。また、この領域21より下側の部分の外周縁には、パネル裏面側に黒色のセラミック塗装が施された領域23が形成され、領域23の内側が窓8を構成している。上記アウターパネルアッパー7の領域21の車幅方向中程(窓8の周縁近傍)には、図3にも示すように、噴射範囲が図2に示す扇形の領域Rとなるように洗浄液を噴射する車両用ウォッシャノズル9が設けられている。上記アウターパネルロアー10の下部には、ナンバープレート(図示せず)を取り付けるためのナンバープレート取付部26が車体内側に向かって窪むように形成されている。また、上記ゲートインナーパネル5の上半部分には、上記ゲートアウターパネル3の窓8に対応して開口部29が形成され、ゲートインナーパネル5の下部には、上記ゲートアウターパネル3のナンバープレート取付部26に対応して車体内側に窪む凹部31が形成されている。
【0020】
上記ウォッシャノズル9は、上記アウターパネルアッパー7とは別部材で構成されたウォッシャノズル本体13と、上記アウターパネルアッパー7に一体に膨出形成されたカバー17とで構成されている。
【0021】
上記ウォッシャノズル本体13の基端寄りには、図4にも示すように、外方に張り出す円形板状の張出部13bが一体に張出形成され、張出部13bの先端側には、先端が丸みを帯びた略半円形状の先端側筒状部13aが一体に形成されている一方、張出部13bの基端側には、基端側筒状部13cが一体に形成されている。先端側筒状部13aは平坦に形成された下面13eを有し、基端側筒状部13cの表面にはネジ13dが形成されている。ウォッシャノズル本体13には、先端側筒状部13aの下面13eから基端側筒状部13cの基端側端面13fに亘って噴出孔11が略J字状に貫通形成されている。上記下面13eの先端寄りには、噴出孔11の外側端部に対応する開口14が、洗浄液の噴射範囲が図2に示す扇形の領域Rとなるように車幅方向に広がった矩形状に形成されている。
【0022】
上記カバー17には、図5にも示すように、略下方(車体後方に向かって下方に傾斜する噴射方向)に開口する開口部19が形成されている。また、カバー17に対応するアウターパネルアッパー7の裏側には、ボス部12が突設され、該ボス部12には、上記ウォッシャノズル本体13の先端側筒状部13aを挿着する略半円形状の挿着孔15がアウターパネルアッパー7の内外に貫通形成されている。
【0023】
上記のように構成されたウォッシャノズル本体13は、先端側筒状部13aをアウターパネルアッパー7の挿着孔15に挿入して張出部13bとボス部12とを当接させることにより挿着孔15に挿着されて組み付けられている。この状態で、カバー17がウォッシャノズル本体13を外側から覆っている。また、噴出孔11が、内側端部から外側端部近傍にかけては車体後方に向かって上方に若干傾斜し、外側端部近傍から外側端部にかけては車体後方に向かって下方に傾斜してアウターパネルアッパー7の内外に貫通している。また、カバー17の先端面とウォッシャノズル本体13の先端側筒状部13aの下面13eとが面一となり、ウォッシャノズル本体13の噴出孔11の開口14が、車体後方に向かって下方に傾斜する噴射方向に向いている。したがって、当該噴射方向に向かって該噴出孔11から洗浄液が噴出される。また、上記基端側筒状部13cには、洗浄液の供給ホース16の一端がネジ13dを覆うように嵌合されている。
【0024】
したがって、本実施形態によれば、ウォッシャノズル本体13がカバー17によって外側から覆われているので、ウォッシャノズル本体13が外方に大きく露出せず見え難く、さらに、カバー17がアウターパネルアッパー7と一体に成形されて同じ材質であるため、カバー17自体も目立たない。したがって、車両外方からの見栄えが良い。
【0025】
また、ウォッシャノズル本体13とアウターパネルアッパー7とが別々に製作されるので、アウターパネルアッパー7には、カバー17を設けるだけでよく、噴出孔11を形成する必要がない。したがって、アウターパネルアッパー7の成形型の型構造を容易にできる。また、スライド型を使用せずにアウターパネルアッパー7のカバー17周りを成形できるので、スライド型のスライド跡が形成されることによる見栄えの悪化が生じない。
【0026】
さらに、カバー17に施された不透明な塗装により、カバー17の外方からウォッシャノズル本体13の構造が透けて見えることがなく、車両外方からの見栄えが向上する。
【0027】
(実施形態2)
図6〜図8は、本発明の実施形態2に係る車両用ウォッシャノズル9を示す。
【0028】
この実施形態2では、ウォッシャノズル本体13の先端側筒状部13aが短筒状に形成されている。また、実施形態1では、先端側筒状部13aの開口14がカバー17の開口部19に臨んでいたのに対し、本実施形態2では、該先端側筒状部13aの先端面25がアウターパネルアッパー7の表面(挿着孔15の開口)と面一になっており、該先端面25に開口14が形成されている。また、噴出孔11が、内側端部から外側端部にかけて車体後方に向かって上方に若干傾斜しているので、該噴出孔11から車体後方に向かって上方に若干傾斜する方向に洗浄液が噴出される。さらに、カバー17の内面には、上記噴出孔11から噴出された洗浄液を車体後方に向かって下方に傾斜する噴射方向に噴射すべく反射させる反射面27が形成されている。また、反射面27の形状は、噴射範囲が図2に示す扇形の領域Rとなるように設計されている。そのほかの構成は実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0029】
したがって、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られることに加え、カバー17の内面の形状で洗浄液の噴射方向が決まるので、ウォッシャノズル本体13の噴出孔11を噴射方向に応じた形状にする必要がない。したがって、噴出孔11の構造を容易にできる。
【0030】
(実施形態3)
図9及び図10は、本発明の実施形態3に係る車両用ウォッシャノズル9を示す。
【0031】
この実施形態3では、ウォッシャノズル本体13が、アウターパネルアッパー7と一体に形成され、ウォッシャノズル本体13の基端側筒状部13cにネジ13dが形成されていない。そのほかの構成は実施形態2と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
したがって、本実施形態によれば、アウターパネルアッパー7の成形と同時にウォッシャノズル本体13も成形されるため、ウォッシャノズル本体13をアウターパネルアッパー7に組み付ける手間が必要ない。しかも、ウォッシャノズル本体13をアウターパネルアッパー7と別部材にした場合に比べ、部品点数が少なくなる。したがって、製造コストを削減できる。また、ウォッシャノズル本体13とアウターパネルアッパー7との境界部分が現れないので、見栄えが向上し、ウォッシャノズル本体13とアウターパネルアッパー7との境界部分の露出を防止するためにカバー17を大きく形成する必要がない。
【0033】
なお、上記実施形態1〜3では、ウォッシャノズル9をリフトゲート1の窓8の上方に設けたが、窓8の側方に設けてもよいし、リフトゲートに限らずセダンのリヤウィンド部、フロントウィンド部、ヘッドライト部に設けてもよい。
【0034】
また、上記実施形態1〜3では、アウターパネルアッパー7を透明材で構成したが、半透明材で構成してもよい。
【0035】
また、上記実施形態1〜3では、カバー17を含む領域21に不透明な塗装が施されていたが、当該塗装を施す領域は領域21に限らず、少なくともカバー17を含む領域であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、車両の樹脂製アウターパネルに設けられ、洗浄液を所定の噴射方向に噴射する車両用ウォッシャノズルとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1に係るリフトゲートの分解斜視図である。
【図2】実施形態1に係るリフトゲートを車両後側から見た斜視図である。
【図3】図2のA−A線に対応する拡大断面図である。
【図4】実施形態1に係るウォッシャノズル本体の斜視図である。
【図5】実施形態1においてカバー周りを示す斜視図である。
【図6】実施形態2の図3相当図である。
【図7】実施形態2の図4相当図である。
【図8】実施形態2の図5相当図である。
【図9】実施形態3の図3相当図である。
【図10】実施形態3の図5相当図である。
【符号の説明】
【0038】
7 アウターパネルアッパー(アウターパネル)
8 窓
9 ウォッシャノズル
11 噴出孔
13 ウォッシャノズル本体
15 挿着孔
17 カバー
19 開口部
27 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の樹脂製アウターパネルに設けられ、洗浄液を所定の噴射方向に噴射する車両用ウォッシャノズルであって、
上記アウターパネルの内外に貫通する噴出孔を有するウォッシャノズル本体と、該アウターパネルに一体に膨出形成され、上記噴射方向に開口する開口部を有するとともに上記ウォッシャノズル本体を外側から覆うカバーとを備えていることを特徴とする車両用ウォッシャノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ウォッシャノズルにおいて、
上記ウォッシャノズル本体は、上記アウターパネルとは別部材で構成され、該アウターパネルに形成された挿着孔に挿着されて組み付けられ、上記カバーの内面には、上記噴出孔から噴出された洗浄液を所定の噴射方向に噴射すべく反射させる反射面が形成されていることを特徴とする車両用ウォッシャノズル。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用ウォッシャノズルにおいて、
上記ウォッシャノズル本体は、上記アウターパネルと一体に形成され、上記カバーの内面には、上記噴出孔から噴出された洗浄液を所定の噴射方向に噴射すべく反射させる反射面が形成されていることを特徴とする車両用ウォッシャノズル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ウォッシャノズルにおいて、
上記アウターパネルは、透明材又は半透明材で構成されて車両の窓を構成し、
上記カバーは、上記窓の周縁近傍に形成され、
少なくとも上記カバーには、不透明な塗装が施されていることを特徴とする車両用ウォッシャノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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