説明

車両用コンソール構造

【課題】コンソールボックス内の保冷性能を向上させることができる車両用コンソール構造を得る。
【解決手段】コンソールボックス26と空調機器14とはダクト40によって連結されており、このダクト40は、空調機器14からの冷気を流通させて(矢印A参照)コンソールボックス26内に導入する。また、コンソールボックス26には、空調機器14からの冷気をコンソール本体22内に排出するエアベント36が貫通形成されているので、コンソール本体22内の雰囲気温度の上昇が抑えられる。このため、空調機器14からの冷気は、コンソール本体22内のダクト40を流通する際の温度上昇が抑えられてコンソールボックス26内に導入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機器からの冷気がダクトを介してコンソールボックス内に導入される車両用コンソール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内前部の車両幅方向中間部に配設されるコンソールにおいては、コンソールボックス内を保冷するために、コンソールボックスがコンソール本体内のダクトを介して空調装置(空調機器)に接続された構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような構造では、空調装置からの冷気がダクトを介してコンソールボックス内に導入されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−63350公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この構造では、ダクトがフロアトンネル部の車両上方側でコンソール本体内に配策されているので、排気管の熱によってコンソール本体内の雰囲気温度が上昇してしまう。これにより、空調装置からの冷気もダクト流通時の受熱によって気体温度が上昇してしまうのでコンソールボックス内の保冷性能が悪化する。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、コンソールボックス内の保冷性能を向上させることができる車両用コンソール構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の車両用コンソール構造は、車両のフロアトンネル部の車両上方側に車両前後方向に沿って配置されるコンソール本体と、前記コンソール本体内の車両後方側に配置され、収納部を備えてボックス状に形成されたコンソールボックスと、車両用の空調機器と前記コンソールボックスとを連結すると共に前記コンソール本体内で前記フロアトンネル部の車両上方側に配置され、前記空調機器からの冷気を流通させて前記コンソールボックス内に導入するダクトと、を有し、前記コンソールボックス又は前記ダクトには、前記空調機器からの冷気を前記コンソール本体内に排出する排出部が形成されている。
【0007】
請求項1に記載する本発明の車両用コンソール構造によれば、コンソール本体がフロアトンネル部の車両上方側に車両前後方向に沿って配置され、このコンソール本体内の車両後方側には収納部を備えてボックス状に形成されたコンソールボックスが配置されている。また、コンソールボックスと車両用の空調機器とはダクトによって連結されており、このダクトは、コンソール本体内でフロアトンネル部の車両上方側に配置され、空調機器からの冷気を流通させてコンソールボックス内に導入する。ここで、このコンソールボックス内に導入される冷気は、コンソール本体内のダクトを流通する際に当該ダクト側から熱を受け得る。
【0008】
一方、コンソールボックス又はダクトには、空調機器からの冷気をコンソール本体内に排出する排出部が形成されているので、コンソールボックス内又はダクト内からコンソール本体内に冷気が排出される。これによって、コンソール本体内を冷気が流れることで、コンソール本体内の雰囲気温度の上昇が抑えられ、コンソール本体内の空気からダクトへの熱の伝達も抑えられる。このため、空調機器からの冷気は、コンソール本体内のダクトを流通する際の温度上昇が抑えられてコンソールボックス内に導入される。すなわち、コンソール本体内に冷気が排出されない対比構造に比べて、コンソールボックス内へ導入される気体の温度が下げられる。
【0009】
請求項2に記載する本発明の車両用コンソール構造は、請求項1記載の構成において、前記コンソールボックスにおいて前記ダクトから前記コンソールボックス内に冷気を導入させる導入部が前記コンソールボックスの車両前方側の部位に形成されると共に、前記排出部が前記コンソールボックスの車両前方側の部位に形成されて前記コンソールボックス内の冷気を排出する。
【0010】
請求項2に記載する本発明の車両用コンソール構造によれば、ダクトからの冷気は、コンソールボックスの車両前方側の部位に形成された導入部からコンソールボックス内に導入される。また、コンソールボックス内の冷気は、コンソールボックスの車両前方側の部位に形成された排出部からコンソール本体内に排出される。このため、コンソールボックス内で温まる前の冷気がコンソール本体内に排出されるので、コンソール本体内の雰囲気温度が効率的に下げられる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両用コンソール構造によれば、コンソールボックス内の保冷性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0012】
請求項2に記載の車両用コンソール構造によれば、コンソール本体内の雰囲気温度を効率的に下げることによってコンソールボックス内の温度を効率的に下げることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用コンソール構造を一部破断等して示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における車両用コンソール及びその周辺部を示す模式的な水平断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるコンソールボックスの車両前方側の部位を示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における車両用コンソール及びその周辺部を示す模式的な水平断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態における車両用コンソール及びその周辺部を示す模式的な水平断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態における車両用コンソール及びその周辺部を示す模式的な水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る車両用コンソール構造について図1〜図3を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示している。
【0015】
図1には、車両用コンソール構造が適用された車両用コンソール20(センターコンソール)が、コンソール本体22の上部を取り除きかつコンソール本体22の内部を一部省略した状態の斜視図にて示されている。なお、図1では、コンソールボックス26の構成の理解を容易にするために、コンソールボックス26を実際の取付位置よりも車両上方側にややずらした位置に示している。また、図2には、車両用コンソール20及びその周辺部が模式的な水平断面図にて示されている。
【0016】
これらの図に示される車両用コンソール20は、車室内前部10における車両幅方向中央部に設けられている。車両用コンソール20よりも車両前方側には、インストルメントパネル12(図2参照)の車両前方側に車両用の空調機器14が設けられている。この空調機器14は、冷暖房を含む空調動作を行い、温度調整した空気(冷気等)を所定位置から車室内側へ吹き出すことができるようになっている。なお、図中では、空調機器14をブロック化して模式的に示している。
【0017】
図1に示される車両用コンソール20は、合成樹脂製(例えば、PP(ポリプロピレン)製等)のコンソール本体22を備えている。コンソール本体22は、車両のフロアトンネル部16の車両上方側に車両前後方向に沿って配置されている。なお、フロアトンネル部16は、車体フロアの車両幅方向の中間部に配設されて車両前後方向に沿って延在しており、車両上方側へ膨出すると共に車両下方側へ開口している。また、このフロアトンネル部16の車両下方側にはエンジンから延出する排気管(図示省略)が収納されている。
【0018】
コンソール本体22は、その車両幅方向(矢印W方向)の両サイド部が左右一対のサイドパネル22Aによって形成されている。すなわち、サイドパネル22Aは、コンソール本体22の側壁を構成し、その一般面が略車両前後方向及び略車両上下方向を含む面を面方向として配置されている。サイドパネル22Aの車両前方側の端部は、車室内の前端側に配置されるインストルメントパネル12(図2参照)に接合されている。
【0019】
また、一対のサイドパネル22Aの後端部は、リヤパネル22Bによって車両幅方向に連結されている(図2参照)。リヤパネル22Bは、コンソール本体22の後壁を構成しており、その一般面がサイドパネル22Aの一般面と略直交する面を面方向として配置されている。一対のサイドパネル22A及びリヤパネル22Bによって車両上方側に開口した開口部は、その前部を含む大部分の範囲がアッパーパネル22C(図1では二点鎖線で図示)によって塞がれている。換言すれば、サイドパネル22A、リヤパネル22B、及びアッパーパネル22Cによって、コンソール本体22の内外が隔成され、フロアトンネル部16の車両上方側にコンソール本体22の内部空間24が形成されている。
【0020】
コンソール本体22内(内部空間24)の車両後方側には、合成樹脂製(例えば、PP(ポリプロピレン)製等)のコンソールボックス26が配置されている。コンソールボックス26は、物品収納用の収納部28を備えたボックス本体30を含んで構成されてボックス状に形成されており、例えば、冷たい飲み物等の収納物を入れるのに用いられる。
【0021】
コンソールボックス26のボックス本体30は、脚部31に支持されて略水平に配置された底壁部30Aを備えている。また、ボックス本体30は、底壁部30Aの前端部から前壁部30Bが立設されると共に、底壁部30Aの後端部からは後壁部30Cが立設されており、底壁部30Aの車両幅方向の両端部からは左右一対の側壁部30Dが立設されて前壁部30Bと後壁部30Cとを連結している。前壁部30Bの上端部、後壁部30Cの上端部、及び側壁部30Dの上端部は、ボックス本体30の上端部にて開口部130を構成しており、この開口部130は、コンソールボックス26の蓋体を構成するコンソールリッド32によって開閉可能に覆われている。コンソールリッド32が閉じられた状態では、コンソールボックス26がほぼ密閉されるようになっている。
【0022】
コンソールボックス26のボックス本体30と空調機器14とはダクト40(導風ダクト)によって連結されており、ダクト40は、コンソール本体22内でフロアトンネル部16の車両上方側に(本実施形態ではフロアトンネル部16側から若干浮いた位置に)配置され、空調機器14からの冷気を流通させてコンソールボックス26内に導入するようになっている。すなわち、空調機器14にダクト40の長手方向の一端部である上流側端部が接続されると共に、ボックス本体30の前壁部30B(車両前方側の部位)に貫通形成された導入部としての導入孔34(冷気導入部)の外周部にダクト40の長手方向の他端部である下流側端部の出口の外周部が接続されてダクト40内とボックス本体30内と連通している。これにより、導入孔34は、ダクト40からコンソールボックス26内に冷気を導入させる孔部として機能しており、コンソールボックス26は、空調機器14からの冷風によって保冷庫として機能し得る構造になっている。なお、ダクト40は、本実施形態では合成樹脂製(例えば、PP(ポリプロピレン)製等)のダクト本体の外周部に断熱用のウレタンが巻かれることによって構成されている。
【0023】
一方、コンソールボックス26におけるボックス本体30の側壁部30Dには、空調機器14からダクト40を介してコンソールボックス26内に導入された冷気(冷風)をコンソール本体22内に排出する排出部としてのエアベント36(排出孔)が貫通形成されている(コンソール本体内への配風システム)。図3には、コンソールボックス26の車両前方側の部位が側面図にて示されている。図3に示されるように、エアベント36は、側壁部30Dにおける車両前方側上部(コンソールボックス26の車両前方側の部位)に複数形成されており、車両上下方向に沿って並ぶように配設されている。各エアベント36は、車両前後方向を長手方向として長孔状とされており、コンソール本体22内に入れた小物や薄物が外に出てしまわない寸法に設定されている。
【0024】
ちなみに、本実施形態のエアベント36の設定位置は、乗員から比較的見えにくい位置であるので、コンソールボックス26の見栄えへの影響を抑えることができる。また、エアベント36の設定位置が側壁部30Dの上部側なので、冷気がエアベント36からコンソール本体22内に排出される際にコンソールボックス26内の底壁部30A上の紙等がエアベント36に吸い付けられる恐れも殆どない。
【0025】
なお、図2には、空調機器14からの冷気の流れが一例として模式的に矢印で示されている。すなわち、ダクト40内を流通する冷気の流れが矢印A、ボックス本体30内における冷気の流れが矢印B、ボックス本体30内からコンソール本体22内に排出される冷気の流れが矢印C、コンソール本体22内における冷気の流れが矢印Dでそれぞれ示されている。
【0026】
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0027】
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用コンソール構造では、コンソール本体22がフロアトンネル部16の車両上方側に車両前後方向に沿って配置され、このコンソール本体22内の車両後方側には収納部28を備えてボックス状に形成されたコンソールボックス26が配置されている。また、コンソールボックス26のボックス本体30と空調機器14とはダクト40によって連結されており、このダクト40は、コンソール本体22内でフロアトンネル部16の車両上方側に配置され、図2に示されるように、空調機器14からの冷気を流通させて(矢印A参照)コンソールボックス26内に導入する。ここで、このコンソールボックス26内に導入される冷気は、コンソール本体22内のダクト40を流通する際にダクト40側から熱を受け得る。
【0028】
一方、コンソールボックス26には、空調機器14からの冷気をコンソール本体22内に排出するエアベント36が貫通形成されているので、コンソールボックス26内からコンソール本体22内に冷気が排出される(矢印C参照)。換言すれば、コンソールボックス26内の冷気が通常経路外へ放出される(漏れる)。これによって、コンソール本体22内を冷気が流れる(矢印D参照)ことで、コンソール本体22内の雰囲気温度の上昇が抑えられ、コンソール本体22内の空気からダクト40(ひいてはダクト40内の気体)への熱の伝達も抑えられる。このため、空調機器14からの冷気は、コンソール本体22内のダクト40を流通する際の温度上昇が抑えられてコンソールボックス26内に導入される。すなわち、コンソール本体22内に冷気が排出されない対比構造に比べて、ダクト40の下流側出口からコンソールボックス26内へ導入される気体の温度(導入温度)が下げられる。
【0029】
特に、本実施形態に係る車両用コンソール構造では、ダクト40からの冷気は、コンソールボックス26の車両前方側の前壁部30Bに貫通形成された導入孔34からコンソールボックス26内に導入され、コンソールボックス26内の冷気は、コンソールボックス26における側壁部30Dの車両前方側上部に形成されたエアベント36からコンソール本体22内に排出される(矢印C参照)。このため、コンソールボックス26内で温まる前の冷気がコンソール本体22内に排出される(矢印C参照)ので、コンソール本体22内の雰囲気温度が効率的に下げられる。その結果として、空調機器14からの冷気は、コンソール本体22内のダクト40を流通する際の温度上昇が効果的に抑えられてコンソールボックス26内に導入されるので、コンソールボックス26内の温度が効率的に下げられる。
【0030】
ここで、対比構造と比較しながら補足説明すると、空調機器からダクトを介してコンソールボックス内に冷気を流すと共にコンソールボックス内の冷気をその車両後方側から車室内へ放出するような対比構造では、フロアトンネル部側からの熱(排気管からの熱)に起因したコンソール本体内の雰囲気温度の上昇が抑えられない。このため、このような対比構造では、空調機器からの冷気もダクト流通時の受熱によって気体温度が上昇するのでコンソールボックス内が冷えにくい。これに対して、本実施形態に係る車両用コンソール構造では、対比構造において車室内へ放出していた冷気を利用してコンソール本体22内の雰囲気温度の上昇を抑えるので、コンソールボックス26内に導入する気体の温度上昇を効率的に抑制することができ、対比構造よりもコンソールボックス26内が冷やされる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用コンソール構造によれば、コンソールボックス26内の保冷性能を向上させることができる。
【0032】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両用コンソール構造について、図4を用いて説明する。図4には、本発明の第2の実施形態に係る車両用コンソール構造が適用された車両用コンソール50(センターコンソール)及びその周辺部が模式的な水平断面図(第1の実施形態における図2に相当する図)にて示されている。
【0033】
この図に示されるように、車両用コンソール50は、排出部としてのエアベント52(排出孔)がコンソールボックス26(ボックス本体30)の側壁部30Dではなく前壁部30Bに貫通形成されている点で、第1の実施形態に係る車両用コンソール構造が適用された車両用コンソール20(図2等参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
コンソールボックス26の前壁部30Bには、空調機器14からコンソールボックス26内に導入された冷気をコンソール本体22内に排出するエアベント52が貫通形成されている。エアベント52は、前壁部30Bにおける両サイド寄りに複数形成されており、車両上下方向に沿って並ぶように(図示省略)配設されている。各エアベント52は、車両幅方向を長手方向として長孔状とされている。本実施形態の構成によっても、前述した第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0035】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る車両用コンソール構造について、図5を用いて説明する。図5には、本発明の第3の実施形態に係る車両用コンソール構造が適用された車両用コンソール60(センターコンソール)及びその周辺部が模式的な水平断面図(第1の実施形態における図2に相当する図)にて示されている。
【0036】
この図に示されるように、車両用コンソール60は、ダクト62(導風ダクト)の下流側端部がコンソールボックス26(ボックス本体30)の側壁部30D側に接続されている点、及び排出部としてのエアベント66(排出孔)がコンソールボックス26(ボックス本体30)の側壁部30Dではなく前壁部30Bに貫通形成されている点で、第1の実施形態に係る車両用コンソール構造が適用された車両用コンソール20(図2等参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
コンソールボックス26のボックス本体30と空調機器14とはダクト62によって連結されており、ダクト62は、コンソール本体22内でフロアトンネル部16(図1参照)の車両上方側に配置され、空調機器14からの冷気を流通させてコンソールボックス26内に導入するようになっている。
【0038】
このダクト62は、空調機器14寄りの上流側の部位で二股状に分岐した二股部62A、62Bを備え、二股部62A、62Bの下流側端部がコンソールボックス26(ボックス本体30)の側壁部30Dの側方に配置されている。すなわち、空調機器14にダクト62の上流側端部が接続されると共に、ボックス本体30の側壁部30Dの車両前方側部位及び車両後方側部位にそれぞれ貫通形成された導入部としての導入孔64A、64B(冷気導入部)の外周部にダクト62の下流側端部の出口の外周部が接続されており、ダクト62内とボックス本体30内とが連通されている。これにより導入孔64A、64Bは、ダクト62からコンソールボックス26内に冷気を導入させる孔部として機能している。なお、ダクト62のその他の基本構成は第1の実施形態におけるダクト40(図4等参照)と実質的に同様とされている。
【0039】
一方、コンソールボックス26の前壁部30Bには、空調機器14からコンソールボックス26内に導入された冷気をコンソール本体22内に排出するエアベント66が貫通形成されている。エアベント66は、前壁部30Bにおける車両幅方向中央部に車両上下方向に沿って並ぶように(図示省略)複数形成されている。各エアベント66は、車両幅方向を長手方向として長孔状とされている。
【0040】
以上説明した本実施形態の構成によっても、前述した第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0041】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る車両用コンソール構造について、図6を用いて説明する。図6には、本発明の第4の実施形態に係る車両用コンソール構造が適用された車両用コンソール70(センターコンソール)及びその周辺部が模式的な水平断面図(第1の実施形態における図2に相当する図)にて示されている。
【0042】
この図に示されるように、車両用コンソール70は、コンソールボックス26に貫通形成された排出部としてのエアベント36(図2等参照)に代えて、ダクト40に排出部としての排出孔72が貫通形成されている点等で、第1の実施形態に係る車両用コンソール構造が適用された車両用コンソール20(図2等参照)とは異なる。他の構成は、以下に説明する点を除き第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
図6に示されるように、ダクト40には、空調機器14からの冷気をコンソール本体22内に排出する排出孔72が複数個貫通形成されている。ここで、排出孔72は、ダクト40内の冷気がボックス本体30内及びコンソール本体22内の両方に流出可能となるように設定されており、排出孔72の径は、ダクト40の下流側端部における出口(導入孔34との接続部)の径と比べて極めて小さく設定されている。なお、図6では、ダクト40内からコンソール本体22内に排出される冷気の流れを矢印Fで示している。
【0044】
また、ボックス本体30には後壁部30Cから車両後方側へ延出した吹出筒部74が設けられてボックス本体30内と車室内とを連通しており、吹出筒部74の後端は吹出孔とされている。図6では、ボックス本体30内から吹出筒部74経由で車室内に排出される冷気の流れを一例として矢印74Xで示している。
【0045】
このような構成によれば、空調機器14からの冷気がダクト40内を流通して(矢印A参照)コンソールボックス26内に導入されると共に、冷気の一部がダクト40内からコンソール本体22内に排出される(矢印F参照)。これによって、コンソール本体22内を冷気が流れる(矢印D参照)ことで、コンソール本体22内の雰囲気温度の上昇が抑えられ、コンソール本体22内の空気からダクト40(ひいてはダクト40内の気体)への熱の伝達も抑えられる。このため、空調機器14からの冷気は、コンソール本体22内のダクト40を流通する際の温度上昇が抑えられてコンソールボックス26内に導入される。
【0046】
すなわち、コンソール本体22内に冷気が排出されない対比構造に比べて、コンソールボックス26内へ導入される気体の温度が下げられる。このため、本実施形態に係る車両用コンソール構造によっても、コンソールボックス26内の保冷性能を向上させることができる。
【0047】
[実施形態の補足説明]
なお、上記第1〜第3の実施形態では、コンソールボックス26のボックス本体30に排出部としてのエアベント36、52、66が貫通形成されており、上記第4の実施形態では、ダクト40に排出部としての排出孔72が貫通形成されているが、コンソールボックス又はダクトに形成された排出部は、例えば、コンソールボックス又はダクトから外側へ延出するように形成されて内外を連通させる筒状の排出筒部等のような他の排出部であってもよく、このような他の排出部が空調機器からの冷気をコンソール本体内に排出する構成としてもよい。
【0048】
また、上記第1〜第3の実施形態では、コンソールボックス26のボックス本体30に貫通形成された排出部としてのエアベント36、52、66は車両上下方向に沿って並ぶように複数形成されているが、コンソールボックスに形成されて空調機器からの冷気をコンソール本体内に排出する排出部は、例えば、コンソールボックスに貫通形成されて車両上下方向や車両幅方向等を長手方向とした単一の排出孔等のような他の排出部であってもよい。
【0049】
さらに、上記第1〜第3の実施形態では、ダクト40からコンソールボックス26内に冷気を導入させる導入部としての導入孔34、64A、64Bがコンソールボックス26におけるボックス本体30に貫通形成された孔部とされているが、ダクトからコンソールボックス内に冷気を導入させる導入部は、例えば、コンソールボックスから外側へ延出するように形成されてコンソールボックスの内外を連通させる筒状の導入筒部等のような他の導入部であってもよい。
【0050】
さらにまた、上記第1〜第3の実施形態では、ダクト40からコンソールボックス26内に冷気を導入させる導入部としての導入孔34、64Aがコンソールボックス26におけるボックス本体30の車両前方側の部位(車両前後方向の中央位置よりも前側の部位で本実施形態では前端部)に貫通形成されると共、排出部としてのエアベント36、52、66がコンソールボックス26におけるボックス本体30の車両前方側の部位(車両前後方向の中央位置よりも前側の部位で本実施形態では前端部)に貫通形成されており、コンソール本体22内の雰囲気温度を効率的に下げる観点からはこのような構成が好ましいが、導入部はコンソールボックスの車両後方側の部位に形成されてもよく、排出部はコンソールボックスの車両後方側の部位に貫通形成されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
14 空調機器
16 フロアトンネル部
20 車両用コンソール
22 コンソール本体
26 コンソールボックス
28 収納部
34 導入孔(導入部)
36 エアベント(排出部)
40 ダクト
50 車両用コンソール
52 エアベント(排出部)
60 車両用コンソール
62 ダクト
64A 導入孔(導入部)
64B 導入孔(導入部)
66 エアベント(排出部)
70 車両用コンソール
72 排出孔(排出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアトンネル部の車両上方側に車両前後方向に沿って配置されるコンソール本体と、
前記コンソール本体内の車両後方側に配置され、収納部を備えてボックス状に形成されたコンソールボックスと、
車両用の空調機器と前記コンソールボックスとを連結すると共に前記コンソール本体内で前記フロアトンネル部の車両上方側に配置され、前記空調機器からの冷気を流通させて前記コンソールボックス内に導入するダクトと、
を有し、前記コンソールボックス又は前記ダクトには、前記空調機器からの冷気を前記コンソール本体内に排出する排出部が形成されている車両用コンソール構造。
【請求項2】
前記コンソールボックスにおいて前記ダクトから前記コンソールボックス内に冷気を導入させる導入部が前記コンソールボックスの車両前方側の部位に形成されると共に、前記排出部が前記コンソールボックスの車両前方側の部位に形成されて前記コンソールボックス内の冷気を排出する請求項1記載の車両用コンソール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−241374(P2010−241374A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94979(P2009−94979)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】