説明

車両用ドアミラー

【課題】鏡体自体がホルダー機能を備えてコストダウンと有効視界範囲の拡大とを実現できる車両用ドアミラーの提供を図る。
【解決手段】鏡体1自体が裏面の連結部4を介して鏡面作動ユニットに連結可能なホルダー機能を備える。鏡体1は鏡体素地板2の表面全体を反射膜3を設けた反射面として活用可能としている。これにより部品点数等の削減によるコストダウンと、有効視界範囲の拡大とを実現可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鏡面作動ユニットに組付けられる反射鏡ユニットを、裏面に反射膜を蒸着した合成樹脂製の鏡体と、該鏡体を保持する合成樹脂製のホルダーと、で構成した車両用ドアミラーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−173469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示技術では、鏡体とホルダーとをそれぞれ別体に成形して、鏡体の周縁部とホルダーの開口周縁部とをレーザーにより溶着固定するため、反射鏡ユニットの形成工数が嵩んでコスト的に不利となってしまう。
【0005】
また、ホルダーの開孔周縁部を鏡体の周縁部の反射面側(表面側)に廻り込んで溶着固定するため、鏡体の反射面積が狭められてドアミラーの有効視界範囲が狭くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は鏡体自体が鏡面作動ユニットに対するホルダー機能を備えてコストダウンを実現できると共に、有効視界範囲を拡大することができる合成樹脂製の鏡体を備えた車両用ドアミラーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用ドアミラーにあっては、合成樹脂製の鏡体素地板の表面に反射膜を設けて鏡体を形成し、該鏡体の裏面に、鏡面作動ユニットに対する連結部を一体に突出成形して、該鏡体にホルダー機能を付与したことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、鏡体自体がホルダー機能を備えているので、部品点数,形成工数を削減できてコストダウンを実現することができる。
【0009】
また、鏡体は、鏡体素地板の表面に反射膜を設けて反射面としてあり、その周縁には従来のような専用のホルダーの周縁部が存在せず、全面を反射面とすることができるので、有効視界範囲を拡大できて、後写視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
図1に示す実施形態の鏡体1は、適宜の合成樹脂材をもって射出成形された透明な鏡体素地板2の表面に、反射膜3を設けて構成している。
【0013】
反射膜3は、例えば、鏡体素地板2の表面全体にクロムメッキコーティングして形成できるが、この他の汎用の鏡面形成手段を用いることができる。
【0014】
鏡体1の裏面には、ドアミラーD・Mに内蔵した図外の鏡面作動ユニットに対する左右一対の連結部4を一体に突出成形してある。
【0015】
連結部4は、鏡体1の裏面に突出したスペーサと補剛とを兼ねた補剛用基部4aと、該補剛用基部4aの突出方向頂部に突出した連結部材嵌合部4bとを備えている。
【0016】
この鏡体1は、鏡面作動ユニットにより支点Pを中心として回動する連結部材11の端部を連結部材嵌合部4bに嵌合,係着して、ドアミラーハウジング10に対して左右方向および上下方向に揺動調節可能に連結支持している。
【0017】
本実施形態にあっては、前記連結部4の補剛用基部4aは、鏡体素地板2の射出成形時にガスインジェクションによって肉抜きをして形成してある。
【0018】
また、鏡体1の周縁部の裏面側には、所要の突出高さでフランジ部5を一体に突出成形してある。
【0019】
このフランジ部5は、その形成位置を鏡体1の周縁端末よりも板面中央側にオフセットした位置に設定して、鏡体1の周縁端末とフランジ部5の成形基部との間に段差δを設けてある。
【0020】
以上の構成からなる本実施形態の車両用ドアミラーD・Mによれば、鏡体1自体が、その裏面に一体成形した連結部4を介して鏡面作動ユニットに連結するようにして、ホルダー機能を備えている。このため、反射鏡を構成する部品点数,形成工数を削減できてコストダウンを実現することができる。
【0021】
また、鏡体1は、鏡体素地板2の表面全体に反射膜3を設けて反射面としてあり、その周縁には従来のような専用のホルダーの周縁部が存在しないので、この反射膜3を設けた表面全体が有効反射面となる。従って、有効視界範囲を拡大できて、後写視認性を向上することができる。
【0022】
一方、鏡体1の周縁部裏面には、フランジ部5を一体に突出成形してあるので、鏡体1が左右方向あるいは上下方向に揺動した際でも、ドアミラーハウジング10の開口周縁部と鏡体1の周縁部との間に生じる間隙で、このフランジ部5が目隠し部材として機能する。
【0023】
これにより、ドアミラーD・Mの内部構造が上述の間隙を通して見えるのを防いで、見栄え、および品質感を高めることができる。
【0024】
また、このフランジ部5の成形基部と、鏡体1の周縁端末との間には段差δを設定してあるので、前述の鏡体素地板2の表面に反射膜3をメッキ加工する際に、加工面の見切りを付け易くなってメッキ処理作業性を向上することができる。
【0025】
更に、前述の連結部4の補剛用基部4aは、射出成形時におけるガスインジェクションにより肉抜きしてあるので、鏡体素地板2の表面にヒケ,歪み等を生じるのを抑制して、鏡面品質を高く保持することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…鏡体
2…鏡体素地板
3…反射膜
4…連結部
4a…補剛用基部
4b…連結部材嵌合部
5…フランジ部
10…ドアミラーハウジング
11…連結部材
D・M…ドアミラー
δ…段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の鏡体素地板の表面に反射膜を設けて鏡体を形成し、
該鏡体の裏面に、鏡面作動ユニットに対する連結部を一体に突出成形して、
該鏡体にホルダー機能を付与したことを特徴とする車両用ドアミラー。
【請求項2】
前記鏡体の周縁部の裏面側に、フランジ部を一体に突出成形したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアミラー。
【請求項3】
前記フランジ部の形成位置を、前記鏡体の周縁端末よりも板面中央側にオフセットした位置に設定し、鏡体の周縁端末とフランジ部の成形基部との間に段差を設けたことを特徴とする請求項2に記載の車両用ドアミラー。
【請求項4】
前記連結部は、鏡体裏面に突出した補剛用基部と、該補剛用基部の突出方向頂部に突出した連結部材嵌合部と、を備え、
前記補剛用基部は、前記鏡体素地板の成形時にガスインジェクションにより肉抜きをして成形してあることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の車両用ドアミラー。

【図1】
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【公開番号】特開2012−206529(P2012−206529A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71363(P2011−71363)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】