説明

車両用ドア構造

【課題】バックドアにウォッシャホースを配置するときの作業性を向上することを可能にするとともに、バックドアにウォッシャホースを配置したときに、見栄えよく配置することを可能にする。
【解決手段】車両10のドア開口部15に開閉自在に取付けられるドア本体22と、ドア本体22の窓開口部37を覆うようにドア本体22の外面に取付けられるウィンドウパネル23とを備え、ウィンドウパネル23には周縁部54に透視不可能とした不透明部52を備え、ドア本体22の外面と不透明部52との間にウォッシャ液を供給するウォッシャホース24を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部開口に開閉自在に取付けるバックドア(テールゲート)などの車両用ドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドア構造として、バックドアにウォッシャ液を供給するウォッシャホースを組み込んだものが知られている。
この種の車両用ドア構造は、バックドアが車体の後部開口に開閉自在に取付けてあるので、リヤワイパ装置を配置する場合には、ウォッシャホースをバックドアに沿わす必要性があった。
このような、車両用ドア構造として、バックドアのドアフレーム内にウォッシャホースを配置するもの、若しくはバックドアのヒンジの近傍を経由させたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
特許文献1の車両用ドア構造は、リヤピラーの上端に第1の貫通孔を形成し、この第1の貫通孔からウォッシャホースを引出し、バックドアのドアフレームに第2の貫通孔を設け、この第2の貫通孔からウォッシャホースをドアフレームの内部空間に配置するものである。
【0004】
特許文献2の車両用ドア構造は、ドア開ロにヒンジを介してバックドアを開閉自在に取付け、このバックドア側のヒンジにウォッシャホースを保持できるようにしたものである。
【0005】
しかし、特許文献1の車両用ドア構造では、ドアフレームの内部空間を通してウォッシャホースを配置するので、視認できない箇所にウォッシャホースを通す作業が発生する。従って、バックドアにウォッシャホースを組み付けるときの作業性が悪いという課題があった。
【0006】
また、特許文献2の車両用ドア構造では、バックドアの内側に沿ってウォッシャホースを配置するので、バックドアを開けたときにウォッシャホースが見えてしまい、見栄えが悪くなるということがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭62−20362号公報
【特許文献2】実開昭61−5223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、バックドアにウォッシャホースを配置するときの作業性を向上することができるとともに、バックドアにウォッシャホースを配置したときに、見栄えよく配置することができる車両用ドア構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、車両のドア開口部に開閉自在に取付けられるドア本体と、ドア本体の窓開口部を覆うようにドア本体の外面に取付けられるウィンドウパネルとを備え、ウィンドウパネルには周縁部に透視不可能とした不透明部を備え、ドア本体の外面と不透明部との間にウォッシャ液を供給するウォッシャホースを配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、ウォッシャホースが、ウィンドウパネルに取付けられることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、ウィンドウパネルは、ウォッシャホースを保持する保持部が設けられ、ドア本体の外面に、且つ保持部と対向する部位に開口部が設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、ウィンドウパネルが、ウォッシャホースが接続されるとともにウィンドウパネルの外面側に露出させるウォッシャノズルが設けられ、ウォッシャノズルと対向する位置に、ドア本体の車室側若しくは荷室側からドア本体の外面まで貫通するノズル側貫通孔を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、ウォッシャホースに、車体側のウォッシャ供給通路に接続されウォッシャ液が供給されるジョイントを備え、ジョイントに、ウィンドウパネルに取付けられる取付基部と、この取付基部からドア本体の車室側若しくは荷室側に突出するとともにウォッシャ供給通路と接続するジョイント部を備え、ドア本体に、ジョイント部が挿入されるとともに、ドア本体の車室側若しくは荷室側からドア本体の外面まで貫通するジョイント側貫通孔を備え、ウォッシャ供給通路に、ジョイント側貫通孔の車室側若しくは荷室側を覆うグロメットを備え、グロメットに、ウォッシャ液を流通するとともに、ジョイント部と係合する係合通路をウィンドウパネル側に突出させて設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、グロメットに、ジョイント側貫通孔に係合する係合フランジと、この係合フランジと係合通路とを接続するとともに可撓性を有する接続部とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、ジョイント部及び係合通路が、グロメットをジョイント側貫通孔に取付けるときの取付方向に延ばされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両のドア開口部に開閉自在に取付けられるドア本体と、ドア本体の窓開口部を覆うようにドア本体の外面に取付けられるウィンドウパネルとを備え、ウィンドウパネルには周縁部に透視不可能とした不透明部を備える。
ドア本体の外面と不透明部との間にウォッシャ液を供給するウォッシャホースを配置したので、例えば、ドア本体にウィンドウパネルを取付ける前に、ウィンドウパネル若しくはドア本体にウォッシャホースを取付けておくことができる。この結果、視認できない場所にウォッシャホースを配置する作業を回避することができ、ウォッシャホースの組立の作業性を向上することができる。
また、ドア本体の外面と不透明部との間にウォッシャ液を供給するウォッシャホースを配置したので、ドア本体にウィンドウパネルを取付けた後には、外部からウォッシャホースを隠すことができる。すなわち、ウォッシャホース廻りの見栄えの向上を図ることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、ウォッシャホースが、ウィンドウパネルに取付けられる。一般的に、車両の組立工程ではドア本体を含むボディの塗装が終了した後に、ウィンドウパネルやウォッシャホースが取付けられる。すなわち、ウォッシャホースを、ウィンドウパネルに取付けるようにすることで、予めウィンドウパネル側にウォッシャホースを取付けて一体化しておくことができる。これにより、ドア本体にウィンドウパネルとともに、ウォッシャホースを組付けることが可能となるので、ウィンドウパネル及びウォッシャホースの組立の作業性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、ウィンドウパネルに、ウォッシャホースを保持する保持部が設けられ、ドア本体の外面に、且つ保持部と対向する部位に開口部が設けられたので、開口部を通じて保持部をドア本体の外面よりも内方に収容することが可能となる。すなわち、ウィンドウパネルとドア本体の外面とを近づけて配置することができる。この結果、ウィンドウパネルを含めたドア本体の厚みを薄くすることができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、ウィンドウパネルに、ウォッシャホースが接続されるとともにウィンドウパネルの外面側に露出させるウォッシャノズルが設けられる。
ウォッシャノズルと対向する位置に、ドア本体の車室側若しくは荷室側からドア本体の外面まで貫通するノズル側貫通孔を備えるので、ウォッシャノズルからウォッシャホースを取り外すことができる。この結果、ウォッシャホースを交換することができる。すなわち、ウィンドウパネルをドア本体の外面から取り外すことなく、ウォッシャホースの交換が可能となる。
【0020】
請求項5に係る発明では、ウォッシャ供給通路に、ジョイント側貫通孔の車室側若しくは荷室側を覆うグロメットを備え、グロメットに、ウォッシャ液を流通するとともに、ジョイント部と係合する係合通路をウィンドウパネル側に突出させて設けたので、グロメットをジョイント側貫通孔に取付けると同時に、ジョイント部とウォッシャ供給通路とを容易に接続することができる。この結果、部品点数の削減を図ることができるとともに、グロメット及びウォッシャ供給通路の取付けの作業性が向上する。さらに、グロメットとジョイントとを直接係合しているので、グロメットの取付剛性が高まる。
【0021】
請求項6に係る発明では、グロメットに、ジョイント側貫通孔に係合する係合フランジと、この係合フランジと係合通路とを接続するとともに可撓性を有する接続部とを備えるので、ジョイントの取付け誤差やジョイント側貫通孔の加工誤差があっても、係合通路をジョイント部に係合させながら、確実に係合フランジをジョイント側貫通孔に係合させることができる。
【0022】
請求項7に係る発明では、ジョイント部及び係合通路が、グロメットをジョイント側貫通孔に取付けるときの取付方向に延ばされたので、グロメットの取付けと同時に係合通路をジョイント部に係合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る車両用ドア構造を採用した車両の背面図である。
【図2】本発明に係る車両用ドア構造の背面図である。
【図3】図2に示される車両用ドア構造の平面図である。
【図4】図2に示される車両用ドア構造のウォッシャノズル、ウォッシャホース及びジョイントの組立図である。
【図5】図2に示される車両用ドア構造のジョイントの底面図である。
【図6】図2に示される車両用ドア構造のジョイントの側面図である。
【図7】図3の7−7線断面図である。
【図8】図3の8−8線断面図である。
【図9】図3の9−9線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0025】
図1〜図3に示されたように、車両10は、車体11の後部を開放したドア開口部15と、このドア開口部15を開閉自在に覆うバックドア(テールゲート)16と、このバックドア16の下方に設けられた荷物スペースである荷室13と、この荷室13の前方に設けられ乗員スペースである車室12と、車室12の上部を覆うルーフ17とを備える。
【0026】
バックドア16は、車体11の後部にヒンジ21,21(一方不図示)を介して開閉自在に取付けられるドア本体22と、このドア本体22の窓開口部37を覆うように、ドア本体22の外面に取付けられるウィンドウパネル23と、これらのドア本体22とウィンドウパネル23との間に配置され、ウォッシャ液を供給するウォッシャホース24と、ウィンドウパネル23に設けられ且つウォッシャホース24の一端が接続され、ウィンドウパネル23にウォッシャ液を噴射するウォッシャノズル25と、ウィンドウパネル23の裏面に設けられ、ウォッシャホース24を保持する保持部26,26と、ウォッシャホース24の他端に設けられ、ウォッシャ供給通路28が接続されるジョイント31と、ドア本体22に取付けられるリヤワイパ装置32とを備える。
【0027】
車両用ドア構造20は、バックドア(テールゲート)16にウォッシャホース24を這わせる構造である。車両用ドア構造20では、ドア本体22の外面とウィンドウパネル23の不透明部52(図3参照)との間に、ウォッシャホース24が配置される。
【0028】
バックドア16は、ルーフ17と連続的に前後方向に延ばされている。
ドア本体22は、アウタパネル35(図7参照)とインナパネル36とから構成される。なお、ドア本体22の外面は、アウタパネル35の表面が相当する。
【0029】
図2及び図7〜図9に示されたように、ドア本体22は、先に示した窓開口部37と、ドア本体22の車室12側若しくは荷室13側から、ドア本体22の外面まで貫通するノズル側貫通孔38と、ウォッシャホース24を保持する保持部26,26と対向する部位に設けられる開口部39,39(一方不図示)と、ジョイント31の第1のジョイント部(ジョイント部)67が挿入されるとともに、ドア本体22の車室12側若しくは荷室13側から、ドア本体22の外面まで貫通するジョイント側貫通孔41とが形成される。
ノズル側貫通孔38は、ウォッシャノズル25と対向する位置に設けられる。
【0030】
窓開口部37は、ウィンドウパネル23を通して車室12から後方確認を可能とする部分である。
ノズル側貫通孔38は、アウタパネル35側に開けられた上部孔42と、インナパネル36側に開けられた下部孔43とから構成されている。
開口部39,39は、アウタパネル35側に開けられた部分である。
【0031】
ジョイント側貫通孔41は、アウタパネル35側に開けられ、第1のジョイント部67が貫通するジョイント孔44と、インナパネル36側に開けられ、グロメット71が嵌合するグロメット孔45とから構成される。
【0032】
図2〜図4に示されたように、ウィンドウパネル23は、ドア本体22の窓開口部37に沿わせて形成される透明部51と、ウィンドウパネル23の周縁部54に形成され、透視不可能とした不透明部(マスキング部)52と、この不透明部52に形成されウォッシャノズル25を臨ますノズル孔53(図7参照)と、不透明部52に形成されリヤワイパ装置32(図1参照)を臨ますワイパ孔55とを備える。
ウィンドウパネル23は、自動車用ガラスで形成されたウィンドウガラスである。
【0033】
ウォッシャホース24は、車幅方向に延出されるとともに、ドア本体22の外面とウィンドウパネル23の不透明部52との間に、且つウィンドウパネル23側に配置されている。さらに、一端が、ウォッシャノズル25に接続され、中間が、保持部26,26で保持され、他端がジョイント31(詳細には、第2のジョイント部68)に接続される。
【0034】
図4及び図7に示されたように、ウォッシャノズル25は、ノズル本体56と、このノズル本体56をウィンドウパネル23に止める止め具57とからなる。
ノズル本体56は、ウィンドウパネル23の表面に突出されウォッシャ液が噴射されるノズル部58と、ウィンドウパネル23の裏面に形成され、止め具57を嵌合する止め具嵌合部59と、この止め具嵌合部59からL字に延ばされ、ウォッシャホース24の一端が接続されるホース接続部61とからなる。ノズル部58には、複数のウォッシャ液の噴出孔62が形成される。
【0035】
図8に示されたように、保持部26は、ウィンドウパネル23の不透明部52の裏面に取付けられている。保持部26は、不透明部52(図3参照)に接着されるベース部63と、このベース部63に形成されウォッシャホース24を嵌め込むフック部64とからなる。
【0036】
図4〜図6に示されたように、ジョイント31は、ウィンドウパネル23の裏面に取付けられる(接着される)取付基部66と、この取付基部66からドア本体22の車室12側若しくは荷室13側に突出され、ウォッシャ供給通路28が接続される第1のジョイント部(ジョイント部)67と、取付基部66からウォッシャノズル25側に(車幅方向に)突出され、ウォッシャホース24の他端が接続される第2のジョイント部68とを備える。
【0037】
図9に示されたように、取付基部66は、ウィンドウパネル23の裏面に接着されている。第1のジョイント部67は、ドア本体22の開状態で車体水平面79に略垂直な方向に指向させた。第2のジョイント部68(図4参照)は、ウォッシャホース24の延出方向に沿わせて形成されている。車体水平面79は、車体フロアなどの地面に水平な面をいう。
また、第1のジョイント部67及び係合通路73は、グロメット71をジョイント側貫通孔41に取付けるときの取付方向に延ばされたものとも言える。
ウォッシャ供給通路28は、ジョイント31とウォッシャタンク(不図示)とを繋ぐ通路である。先端に、L字ジョイント69を介して接続されたグロメット71を備える。
【0038】
グロメット71は、ジョイント側貫通孔41の車室12側若しくは荷室13側を覆う部材でもある。グロメット71は、ジョイント側貫通孔41の一つであるグロメット孔45
の車室12側若しくは荷室13側の周縁部に係合する係合フランジ72と、ジョイント31の第1のジョイント部67と係合する係合通路73と、これらの係合フランジ72と係合通路73とを接続する、且つ可撓性を有する接続部74とを備える。すなわち、ウォッシャ供給通路28は、ジョイント31に接続誤差が吸収可能に接続されるとともに、ドア本体22に揺動可能に支持されている。
【0039】
係合通路73は、ウォッシャ液が流通されるとともに、接続部74からウィンドウパネル23側と、車室12側若しくは荷室13側とに突出させて設けられる。さらに、ドア本体22の開状態で車体水平面79に略垂直な方向に指向させた。
【0040】
車両用ドア構造20では、図1〜図3に示されたように、車両10のドア開口部15に開閉自在に取付けられるドア本体22と、ドア本体22の窓開口部37を覆うようにドア本体22の外面に取付けられるウィンドウパネル23とを備え、ウィンドウパネル23には周縁部54に透視不可能とした不透明部52を備える。
【0041】
ドア本体22の外面と不透明部52との間にウォッシャ液を供給するウォッシャホース24を配置したので、例えば、ドア本体22にウィンドウパネル23を取付ける前に、ウィンドウパネル23若しくはドア本体22にウォッシャホース24を取付けておくことができる。この結果、視認できない場所にウォッシャホース24を配置する作業を回避することができる。すなわち、ウォッシャホース24の組立の作業性を向上することができる。
【0042】
また、ドア本体22の外面と不透明部52との間にウォッシャ液を供給するウォッシャホース24を配置したので、ドア本体22にウィンドウパネル23を取付けた後には、外部からウォッシャホース24を隠すことができ、ウォッシャホース24廻りの見栄えの向上を図ることができる。
【0043】
ウォッシャホース24は、ウィンドウパネル23に取付けられる。一般的に、車両10(図1参照)の組立工程ではドア本体22を含むボディの塗装が終了した後に、ウィンドウパネル23やウォッシャホース24が取付けられる。
すなわち、ウォッシャホース24を、ウィンドウパネル23に取付けるようにすることで、予めウィンドウパネル23側にウォッシャホース24を取付けて一体化しておくことができる。これにより、ドア本体22にウィンドウパネル23とともに、ウォッシャホース24を組付けることが可能となるので、ウィンドウパネル23及びウォッシャホース24の組立の作業性の向上を図ることができる。
【0044】
車両用ドア構造20では、図3及び図8に示されるように、ウィンドウパネル23に、ウォッシャホース24を保持する保持部26,26が設けられ、ドア本体22の外面に、且つ保持部26,26と対向する部位に開口部39,39が設けられたので、開口部39,39を通じて保持部26,26をドア本体22の外面よりも内方に収容することが可能となる。すなわち、ウィンドウパネル23とドア本体22の外面とを近づけて配置することができる。この結果、ウィンドウパネル23を含めたドア本体22の厚みを薄くすることができる。
【0045】
車両用ドア構造20では、図7に示されたように、ウィンドウパネル23に、ウォッシャホース24が接続されるとともにウィンドウパネル23の外面側に露出させるウォッシャノズル25が設けられる。
【0046】
ウォッシャノズル25と対向する位置に、ドア本体22の車室12側若しくは荷室13側から、ドア本体22の外面まで貫通するノズル側貫通孔38を備えるので、ウォッシャノズル25からウォッシャホース24を取り外すことができる。この結果、ウォッシャホース24を交換することができる。すなわち、ウィンドウパネル23をドア本体22の外面から取り外すことなく、ウォッシャホース24の交換が可能となる。ウォッシャホース24交換の場合は、新しいウォッシャホースを古いウォッシャホースに繋げてから、古いウォッシャホースを引き出して交換可能である。
また、ウォッシャノズル25も交換可能であり、例えば、ウォッシャノズル25のみの交換の場合は、アウタパネル35側に開けられた上部孔42、若しくはインナパネル36側に開けられた下部孔43から交換可能である。
【0047】
車両用ドア構造20では、図9に示されたように、ウォッシャ供給通路28に、ジョイント側貫通孔41の車室12側若しくは荷室13側を覆うグロメット71を備え、グロメット71に、ウォッシャ液を流通するとともに、第1のジョイント部(ジョイント部)67と係合する係合通路73をウィンドウパネル23側に突出させて設けたので、グロメット71をジョイント側貫通孔41に取付けると同時に、第1のジョイント部(ジョイント部)67とウォッシャ供給通路28とを容易に接続することができる。
【0048】
この結果、部品点数の削減を図ることができるとともに、グロメット71及びウォッシャ供給通路28の取付けの作業性が向上する。さらに、グロメット71とジョイント31とを直接係合しているので、グロメット71の取付剛性が高まる。
【0049】
さらに、グロメット71に、ジョイント側貫通孔41に係合する係合フランジ72と、この係合フランジ72と係合通路73とを接続するとともに可撓性を有する接続部74とを備えるので、ジョイント31の取付け誤差やジョイント側貫通孔41の加工誤差があっても、係合通路73を第1のジョイント部(ジョイント部)67に係合させながら、確実に係合フランジ72をジョイント側貫通孔41(グロメット孔45)に係合させることができる。
【0050】
第1のジョイント部(ジョイント部)67及び係合通路73は、ドア本体22の開状態で車体水平面79に略垂直な方向に指向させたので、例えば、ドア本体22の開状態にすれば、グロメット71をジョイント側貫通孔41に容易に取付けることができるとともに、第1のジョイント部(ジョイント部)67と係合通路73との係合を容易に行うことができる。この結果、車両用ドア構造20のさらなる作業性の向上を図ることができる。
さらに、第1のジョイント部67及び係合通路73は、グロメット71をジョイント側貫通孔41に取付けるときの取付方向に延ばされたので、グロメット71の取付けと同時に係合通路73を第1のジョイント部(ジョイント部)67に係合することができる。
【0051】
尚、本発明に係る車両用ドア構造は、図3に示すように、ウィンドウパネル23は、自動車用ガラスで形成されたウィンドウガラスであったが、これに限るものではなく、透明樹脂で形成されたボードでもよい。
【0052】
本発明に係る車両用ドア構造では、図9に示すように、係合フランジ72と係合通路73とを接続する接続部74は可撓性があればよく、薄肉に形成したものでもよく又は蛇腹状に形成するものであってもよい。これにより、十分にジョイント31の取付け誤差やジョイント側貫通孔41の取付け誤差や加工誤差を吸収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る車両用ドア構造は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0054】
10…車両、11…車体、12…車室、15…ドア開口部、20…車両用ドア構造、22…ドア本体、23…ウィンドウパネル、24…ウォッシャホース、25…ウォッシャノズル、26…保持部、28…ウォッシャ供給通路、31…ジョイント、37…窓開口部、38…ノズル側貫通孔、39…開口部、41…ジョイント側貫通孔、52…不透明部、54…周縁部、66…取付基部、67…ジョイント部(第1のジョイント部)、71…グロメット、72…係合フランジ、73…係合通路、74…接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開口部に開閉自在に取付けられるドア本体と、ドア本体の窓開口部を覆うようにドア本体の外面に取付けられるウィンドウパネルとを備え、
前記ウィンドウパネルには周縁部に透視不可能とした不透明部を備え、
前記ドア本体の外面と前記不透明部との間にウォッシャ液を供給するウォッシャホースを配置したことを特徴とする車両用ドア構造。
【請求項2】
前記ウォッシャホースは、前記ウィンドウパネルに取付けられることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア構造。
【請求項3】
前記ウィンドウパネルは、前記ウォッシャホースを保持する保持部が設けられ、前記ドア本体の外面に、且つ前記保持部と対向する部位に開口部が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用ドア構造。
【請求項4】
前記ウィンドウパネルは、前記ウォッシャホースが接続されるとともに前記ウィンドウパネルの外面側に露出させるウォッシャノズルが設けられ、前記ウォッシャノズルと対向する位置に、前記ドア本体の車室側若しくは荷室側から前記ドア本体の外面まで貫通するノズル側貫通孔を備えることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両用ドア構造。
【請求項5】
前記ウォッシャホースは、車体側のウォッシャ供給通路に接続されウォッシャ液が供給されるジョイントを備え、前記ジョイントは、前記ウィンドウパネルに取付けられる取付基部と、この取付基部から前記ドア本体の車室側若しくは荷室側に突出するとともに前記ウォッシャ供給通路と接続するジョイント部を備え、
前記ドア本体は、前記ジョイント部が挿入されるとともに、前記ドア本体の車室側若しくは荷室側から前記ドア本体の外面まで貫通するジョイント側貫通孔を備え、
前記ウォッシャ供給通路は、前記ジョイント側貫通孔の前記車室側若しくは荷室側を覆うグロメットを備え、
前記グロメットに、ウォッシャ液を流通するとともに、前記ジョイント部と係合する係合通路を前記ウィンドウパネル側に突出させて設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用ドア構造。
【請求項6】
前記グロメットは、前記ジョイント側貫通孔に係合する係合フランジと、この係合フランジと前記係合通路とを接続するとともに可撓性を有する接続部とを備えることを特徴とする請求項5記載の車両用ドア構造。
【請求項7】
前記ジョイント部及び前記係合通路は、前記グロメットを前記ジョイント側貫通孔に取付けるときの取付方向に延ばされたことを特徴とする請求項6記載の車両用ドア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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