説明

車両用バンパ

【課題】軽微衝突時において、特に照明器具および照明器具のハーネスの破損を防ぐことが可能な車両用バンパを提供する。
【解決手段】リアバンパ102は、フォグランプが取り付けられる車内側に窪んだ照明取付部100を有する。照明取付部100は、車内側へ隆起した背面部112を有する。背面部112は、フォグランプのハーネス114を通す配線孔を有し、側縁128a、128bが円弧形状となっている。さらに照明取付部100は、少なくとも円弧形状の側縁128a、128bの車両幅方向の頂点P1、P2を含んで円弧形状の側縁128a、128bに沿って設けられ、背面部112から車内側へ突出するガイドリブ122a、122bとを備えている。ガイドリブ122a、122bは、外側に勾配を設けたテーパ形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォグランプ等の照明器具が取り付けられる車両用バンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バンパは車両の前部および後部に設置される衝撃緩和装置であり、その安全性の評価基準としてはECE(欧州経済委員会)のR42(Regulation NO.42)が有名である。ECE・R42には、比較的遅い速度における衝突を模擬した試験(軽微衝突試験)が規定されている。現在の多くのバンパがECE・R42を満たすよう設計されている。
【0003】
バンパにはフォグランプに代表される照明器具が備えられている。バンパの照明が取り付けられる部位(照明取付部)は車内側へ窪んだ形状となっていて、奥には照明器具のハーネスを通す孔が設けられている(例えば特許文献1)。
【0004】
現在では、ECE・R42を満たすだけでなく、衝突時の損害がより抑えられるような構成のバンパが望まれている。例えば特許文献2には、軽微衝突時におけるキーレスエントリー用のアンテナユニットの破損を防止する取付構造が開示されている。特許文献2では、アンテナユニットはバンパの車内側に取り付けられていて、衝撃を受けると車内側へ外れる構成となっている。したがってアンテナユニットの破損を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−230442号公報
【特許文献2】特開2007−261386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
照明器具においても、照明器具が破損しなければ継続して走行が可能であり、また再利用したほうが損害額を低減できる。照明器具を再利用可能に保護するためには、背面側(車内側)に設けられている照明器具のハーネスも保護する必要がある。しかしバンパに変形が生じると、照明器具および照明器具のハーネスは他の構造物との間に挟まれるなどして容易に破損してしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、軽微衝突時において、特に照明器具および照明器具のハーネスの破損を防ぐことが可能な車両用バンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで発明者らは鋭意検討し、照明取付部の車内側におけるクリアランスについて検討した。部材同士の衝突を防ぐためにクリアランスを確保することは一般的な措置である。しかし、車両はデザイン上および内部構造物のレイアウト上の問題から、十全なクリアランスの確保が非常に困難である。そこで、最小限のクリアランスで破損が防止可能な構成についてさらに検討し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用バンパの代表的な構成は、照明器具が取り付けられる車内側に窪んだ照明取付部を有する車両用バンパにおいて、照明取付部は、車内側へ隆起した背面部であり、照明器具のハーネスを通す配線孔を有し、側縁が円弧形状の背面部と、少なくとも円弧形状の側縁の車両幅方向の頂点を含んで円弧形状の側縁に沿って設けられ、背面部から車内側へ突出するガイドリブとを備え、ガイドリブは、外側に勾配を設けたテーパ形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
車両用バンパの具体例としてリアバンパを例に挙げる。上記背面部に対向する車内側の位置に他の構造物が存在していて、他の構造物間の間隔を背面部の車両幅方向のサイズに対して最小限のクリアランスとした場合を想定する。すなわち、水平面において背面部の車両前方のみにクリアランスが存在し、左右前方には他の構造物が存在している状況である。この状況において車両後方から荷重を受けた場合、背面部の左右前方の構造物への衝突を避けるためには、背面部が車両前方のクリアランスへ正確に向かうように変形を生じさせなければならない。しかし、衝突時のバンパの変形挙動を直接制御することは困難である。そこで上記構成では背面部の側縁にガイドリブを設けている。テーパ形状を有するガイドリブによれば、背面部が左右前方の構造物へ向かうような変形挙動が発生したとしても、構造部をテーパ形状で受け流し、車両前方のクリアランスへ向かって逃げるような変形挙動を生じさせることができる。これにより、最小限のクリアランスであっても背面部は前方へ移動でき、背面部が他の構造物に当たって停止することはなくなる。したがって、背面部や照明器具および照明器具のハーネスの破損を防ぐことができる。
【0011】
また上記構成では、ハーネスはガイドリブの上側または下側の端を通るように配線すると、より効率よくハーネスの破損が防止できる。ガイドリブは背面部の側縁に沿った円弧を描いていて、背面部を車内側の正面から見て、ガイドリブの上下の端は車幅方向の円弧の頂点よりも背面部の中心側に位置している。そのため、背面部が上述のクリアランスへ移動する際、ガイドリブの上下の端は左右前方の構造物に触れるおそれが少なく、この上下の端にハーネスを通すことでハーネスの破損を効率よく防止できる。
【0012】
上記ガイドリブは、背面部の上側または下側に照明器具のハーネスを通す切欠部を有するとよい。この構成であれば、上述したガイドリブの上下の端の位置でのハーネスの保護をより効率よく達成することが可能である。
【0013】
当該照明取付部は、背面部の上縁または下縁に沿って背面部から車内側へ突出するサポートリブをさらに備え、サポートリブは、外側に勾配を設けたテーパ形状を有するとよい。
【0014】
上記背面部の車内側の位置に、背面部の車両幅方向だけでなく上下方向のサイズに対しても最小限となるクリアランスを設けた場合を想定する。車両後方から荷重を受けた場合、背面部の車内側へ向かう変形挙動は上下左右に偏るおそれがある。すると、背面部はクリアランスに向かって傾いて入り込んでしまう。これでは背面部がクリアランスの上下左右に存在する他の構造物に当たってしまい、前方へ移動できなくなって背面部や照明器具および照明器具のハーネス破損が回避しきれなくなるおそれがある。そこで上記構成ではガイドリブに加え、背面部の上縁または下縁にテーパ形状のサポートリブを設けている。このサポートリブが上方または下方の構造物に干渉することで荷重をさらに効率よく受け流し、背面部は前方への移動が可能となる。これにより車両後方からの荷重を分散させ、背面部や照明器具および照明器具のハーネスの破損を防ぐことができる。これらのように、上記構成であれば上下左右への荷重の集中を防いでなるべく均等にさせ、背面部のクリアランスへの効率のよい逃げ込みが可能になる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用バンパの他の代表的な構成は、照明器具が取り付けられる車内側に窪んだ照明取付部を有する車両用バンパにおいて、照明取付部は、車内側へ隆起した背面部であり、照明器具のハーネスを通す配線孔を有し、上下の縁が円弧形状の背面部と、少なくとも円弧形状の上下の縁の上下方向の頂点を含んで円弧形状の上下の縁に沿って設けられ、背面部から車内側へ突出するガイドリブとを備え、ガイドリブは、外側に勾配を設けたテーパ形状を有することを特徴とする。
【0016】
上記の車両用バンパにおいてもリアバンパを具体例に挙げ、背面部の車内側に背面部の上下方向のサイズに対して最小限のクリアランスを設けた場合を想定する。すなわち、鉛直面において背面部の車両前方のみにクリアランスが存在し、上下前方には他の構造物が存在している状況である。この状況において上記構成であれば、テーパ形状を有するガイドリブによって、背面部に上下前方の構造物へ向かう変形挙動が発生したとしても、構造部をテーパ形状によって受け流し、車両前方のクリアランスへ向かって逃げるような変形挙動を生じさせることができる。これにより、最小限のクリアランスであっても背面部は前方へ移動でき、背面部が他の構造物に当たって停止することはなくなる。したがって、背面部や照明器具および照明器具のハーネスの破損を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる照明取付部を適用したリアバンパを示す図である。
【図2】図1に示す各部材と組み合わせたリアバンパの照明取付部を示す図である。
【図3】図2の背面部の車内側からの正面図である。
【図4】図3の背面部の各断面図である。
【図5】図4のリアバンパに車両後方から荷重を加えた状態を示している。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる照明取付部を示す図である。
【図7】各実施形態のガイドリブまたはサポートリブの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる車両用バンパを示す図である。本実施形態では、当該車両用バンパをリアバンパ102として実施している。図1に示すように、リアバンパ102は照明取付部100を備えている。照明取付部100はリアバンパ102から車内側へ窪んだ部位として、リアバンパ102と一体に形成されている。照明取付部100には照明器具として、車外側から補助前照灯の一種であるフォグランプ104が取り付けられる。なお、リアバンパ102の有する技術的思想は、フロントバンパ(不図示)においても実施可能である。
【0020】
リアバンパ102はテールスカートパネル(以下、「パネル部106」と記載する。)の車外側に設置される。パネル部106は、車体後部の骨格をなす部材である。パネル部106の車内側には、整備作業時等にジャッキアップのポイントとなるジャッキングマウント(以下、「マウント部108」と記載する)およびジャッキマウントリーンフォース110が取り付けられる。なお、これらパネル部106やマウント部108等は、リアバンパ102の車内側に存在する構造物の代表例として例示したに過ぎない。
【0021】
図2は、図1に示す各部材と組み合わせたリアバンパ102の照明取付部100を示す図である。図2は、照明取付部100の車内側である背面部112を拡大して示している。図2に示すように、背面部112は車内側に隆起していて、フォグランプ104(図1参照)のハーネス114を通す配線孔116が設けられている。
【0022】
背面部112には、車内側へ突出する複数の各種リブが設けられている。配線孔116の周囲には、配線孔116を囲うようにリブ118が設けられている。また配線孔116の下方にはリブ120が設けられていて、ハーネス114はリブ118とリブ120との間を通って車両幅方向中央側(図中左側)へ延びている。さらに、背面部112の側部にはガイドリブ122a、122b(図3参照)が設けられていて、上部にはサポートリブ126が設けられている。
【0023】
図3は、図2の背面部112の車内側からの正面図である。図3に示すように、背面部112の側縁128a、128bは円弧形状となっている。ガイドリブ122a、122bは、少なくとも円弧形状の側縁128a、128bの車両幅方向の頂点P1、P2をそれぞれ含んで側縁128a、128bに沿って設けられている。
【0024】
ガイドリブ122aはガイドリブ122bよりも長く、背面部112の側縁128aから下縁130にかけて設けられている。ガイドリブ122aにおける背面部112の下側の位置には切欠部132が設けられている。切欠部132が設けられることで、ガイドリブ122aは主要部134と副部136とに分けられている。切欠部132にはハーネス114が通される。ハーネス114を切欠部132に通すことで、走行中におけるハーネス114の揺動やたるみが抑えられる。
【0025】
図4は図3の背面部112の各断面図である。図4(a)はA−A断面図である。図4(a)に示すように、ガイドリブ122a、122bはテーパ形状であって、先端に向かって細くなっている。勾配を設けたテーパ面138a、138bは、図3に示すような背面部112を車内側の正面から見た場合の外側に形成されている(図3においてテーパ面138a、138bは図示省略)。
【0026】
図3に示すように本実施形態では、サポートリブ126は、背面部112の上縁140に沿って設けられている。図4(b)は、図3のB−B断面図である。図4(b)に示すように、サポートリブ126もまたテーパ形状であって、勾配を設けたテーパ面142は図3のように背面部112を車内側の正面から見た場合の外側に形成されている(図3においてテーパ面142は図示省略)。本実施形態ではサポートリブを3つ設けているが、サポートリブの設置数は適宜変更してよい。
【0027】
以下、図4のリアバンパ102に車両後方から荷重が加えられた場合の変形挙動について説明する。当該リアバンパ102は上述したテーパ形状のガイドリブ122a、122bおよびサポートリブ126によって、最小限のクリアランスでフォグランプ104、背面部112およびハーネス114の破損を防ぐことが可能となっている。
【0028】
本実施形態では、背面部112に対向する車内側の位置に、背面部112の車両幅方向のサイズW1(図4(a)参照)および高さH1(図4(b)参照)に対して最小限のクリアランスE1を設けている。この状態では、図4(a)に示すA―A断面のような略水平面において、背面部112の車両前方(図中下方)のみにクリアランスE1が存在し、左右前方(図中左右下方)には他の構造物(マウント部108およびパネル部106)が存在している。また、図4(b)に示すB−B断面のような略鉛直面において、背面部112の車両前方(図中左方向)のみにクリランスE1が存在し、上側前方(図中左情報)にはパネル部106が存在している。
【0029】
図5は、図4のリアバンパ102に車両後方から荷重を加えた状態を示している。図5(a)および図5(b)は、図4(a)および図4(b)にそれぞれ対応している。図4(a)において、リアバンパ102が変形して照明取付部100に車両前方(車内側)へ向かう変形挙動が生じた場合、背面部112の左右前方のマウント部108およびパネル部106への衝突を避けるためには、背面部112が車両前方のクリアランスE1へ正確に向かうように変形を生じさせなければならない。しかし、衝突時のリアバンパ102の変形挙動を直接制御することは困難である。そこで照明取付部100では、ガイドリブ122a、122bを設けることで変形挙動を制御している。
【0030】
図5(a)に示すように、テーパ形状を有するガイドリブ122a、122bによれば、仮に背面部112に左右前方のマウント部108またはパネル部106へ向かうような変形挙動が発生したとしても、テーパ面138a、138bによってマウント部108またはパネル部106を受け流し、車両前方のクリアランスE1へ向かって逃げるような変形挙動を生じさせることができる。したがって、背面部112のマウント部108およびパネル部106への直接の衝突を回避し、フォグランプ104、背面部112およびハーネス114の破損を防ぐことができる。
【0031】
ここで、図5(a)のように車両後方から荷重を受けた場合、背面部112の車内側へ向かう移動は左右どちらか一方のガイドリブに偏るおそれがある。すると、背面部112はクリアランスE1に向かって傾いて入り込んでしまい、荷重の受け流しが効率よく行えなくなってしまう。そこで図5(b)に示すように、照明取付部100では上縁140にサポートリブ126を設けている。このサポートリブ126のテーパ面142が上方のパネル部106に干渉することで、パネル部106との干渉による荷重をさらに効率よく受け流すことが可能になる。これにより、背面部112がパネル部106に当たって停止することは防がれ、背面部112は前方へ移動する。これにより車両後方からの荷重を分散させ、フォグランプ104、背面部112およびハーネス114の破損を防止できる。このとき、図5(b)に示すように、照明取付部100はサポートリブ126を中心にして車両前後方向に若干傾く。そして、左右どちらか一方のガイドリブへの荷重の集中を防止し、図5(a)に示すように、背面部112のクリアランスE1への逃げ込みが可能となる。
【0032】
また本実施形態では、ガイドリブ122aの切欠部132にハーネス114を通している(図2参照)。切欠部132は、ガイドリブ122aの背面部112に対して下側に設けられている。ガイドリブ122aは背面部112の側縁128aに沿った円弧を描いていて、図3に示すように、ガイドリブ122aの下側である切欠部132は車幅方向の円弧の頂点P1よりも背面部112の中心側へ離れている。そのため、背面部112がクリアランス(図3におけるマウント部108とパネル部106との間)へ向かって変形する際、ガイドリブ122aの切欠部付近はマウント部108に触れるおそれが少ない。すなわち、切欠部付近であれば、ハーネス114が背面部112とマウント部108とに挟まれて切断されるおそれが少ない。したがって、切欠部132にハーネス114を通すことでハーネス114の破損を効率よく防止できる。
【0033】
以上説明したように、当該照明取付部100であれば、軽微衝突時において、フォグランプ104を再利用可能に保護して損害額を抑えることが可能となる。また、背面部112の破損のおそれが低下しているため、従来よりもクリアランスの設定に精度を求める必要がなくなる。したがって、製造作業が容易となり、コスト削減に資することができる。
【0034】
なお図3に示すように、切欠部132とサポートリブ126とは背面部112の上下反対側に設けるとよい。これによりサポートリブ126が図5(b)に示したようにパネル部106へ干渉するとき、ハーネス114はサポートリブ126の反対側(図5(b)の背面部112の下側)でクリアランスE1へ向かって移動する。これによってハーネス114の他の構造物への接触を防ぎ、ハーネス114の破損を回避することができる。
【0035】
また、背面部112とマウント部108とによるハーネス114の挟み込みを防ぐためには、切欠部132は必ずしも設ける必要はない。例えば、ハーネス114にガイドリブ122a、122bどちらかの下端を通過させて配線することでも、上記効果を得ることが可能である。
【0036】
さらに本実施形態では、図4(a)に示すように、照明取付部100の壁面部144にも若干テーパ形状を設けている。上述したクリアランスE1へ向かう変形挙動をより効率よく生じさせるよう、壁面部144のテーパは適宜調節することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態にかかる車両用バンパを示す図である。図6に示す車両用バンパは、リアバンパ201として実施されている。リアバンパ202の有する照明取付部200は、背面部202の車内側から見た上縁204および下縁206にガイドリブ208a、208bを有する点で、図3の照明取付部100と異なる。
【0038】
図6に示すように、背面部202の上縁204および下縁206は円弧形状となっていて、ガイドリブ208a、208bは少なくとも円弧形状の上下方向の頂点P3,P4を含んでそれぞれ上縁204および下縁206に沿って設けられている。ガイドリブ208a、208bはテーパ形状であって、図6に示すように背面部202を車内側の正面から見た場合の外側に、勾配を設けたテーパ面(図示省略)を有している。
【0039】
背面部202の車内側に背面部202の上下方向のサイズに対して最小限のクリアランスを設けた場合を想定する。すなわち図5(b)のように、略鉛直面において背面部202の車両前方のみにクリアランスE1が存在し、上下前方には他の構造物が存在している状況である。この状況において、照明取付部200であれば、テーパ形状を有するガイドリブ208a、208bによって、背面部202に上下前方の構造物へ向かう変形挙動が発生したとしても、構造部を受け流し、車両前方のクリアランスへ向かって逃げるような変形挙動を生じさせることができる。このようにして、第2実施形態にかかる照明取付部200によっても、背面部202および構造物の両方の荷重を減らし、最小限のクリアランスであってもフォグランプ104、背面部202およびハーネス114の破損を防ぐことができる。
【0040】
(変形例)
図7は、各実施形態のガイドリブまたはサポートリブの変形例を示す図である。図7に示すガイドリブ300は、図3のガイドリブ122aの副部136を変形させたリブであって、図4(b)と同じく縦断面として示している。
【0041】
図7に示すように、ガイドリブ300の断面は背面部112側にL字形状となっていて、ハーネス114を取り付けることが可能となっている。このガイドリブ300によれば、走行中のハーネス114の揺動やたわみを防いでハーネス114の取付け当初の姿勢を維持することができる。したがってハーネス114が切欠部132(図3参照)から外れるおそれをなくし、さらに効率よく破損防止を図ることが可能となっている。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。例えば、図4(a)の背面部112の左右のサイズW1、もしくは図4(b)の背面部112の高さH1に対してクリアランスE1が若干大きい場合でも、リアバンパ102の取付には公差があるためガイドリブ122a、122b等が上下左右にずれてマウント部108もしくはパネル部106等に当たる可能性がある。しかし、この場合でもテーパ面138a、138b等によってパネル部106等との接触の際の荷重を受け流し、背面部112は停止することなく前方へ移動する。したがって車両後方からの荷重は分散され、フォグランプ104、背面部112およびハーネス114の破損は防止される。このように、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、フォグランプ等の照明器具が取り付けられる車両用バンパとして利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
100 …照明取付部、102、202 …リアバンパ、104 …フォグランプ、106 …パネル部、108 …マウント部、110 …ジャッキマウントリーンフォース、112、202 …背面部、114 …ハーネス、116 …配線孔、118、120 …リブ、122a、122b、208a、208b、300 …ガイドリブ、126 …サポートリブ、128a、128b …側縁、130、206 …下縁、132 …切欠部、134 …主要部、136 …副部、138a、138b、142 …テーパ面、140、204 …上縁、144 …壁面部、200 …照明取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具が取り付けられる車内側に窪んだ照明取付部を有する車両用バンパにおいて、
前記照明取付部は、
車内側へ隆起した背面部であり、前記照明器具のハーネスを通す配線孔を有し、側縁が円弧形状の背面部と、
少なくとも前記円弧形状の側縁の車両幅方向の頂点を含んで該円弧形状の側縁に沿って設けられ、前記背面部から車内側へ突出するガイドリブとを備え、
前記ガイドリブは、外側に勾配を設けたテーパ形状を有することを特徴とする車両用バンパ。
【請求項2】
前記ガイドリブは、前記背面部の上側または下側に前記照明器具のハーネスを通す切欠部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパ。
【請求項3】
前記背面部の上縁または下縁に沿って該背面部から車内側へ突出するサポートリブをさらに備え、
前記サポートリブは、外側に勾配を設けたテーパ形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用バンパ。
【請求項4】
照明器具が取り付けられる車内側に窪んだ照明取付部を有する車両用バンパにおいて、
前記照明取付部は、
車内側へ隆起した背面部であり、前記照明器具のハーネスを通す配線孔を有し、上下の縁が円弧形状の背面部と、
少なくとも前記円弧形状の上下の縁の上下方向の頂点を含んで該円弧形状の上下の縁に沿って設けられ、前記背面部から車内側へ突出するガイドリブとを備え、
前記ガイドリブは、外側に勾配を設けたテーパ形状を有することを特徴とする車両用バンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−116247(P2012−116247A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265669(P2010−265669)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)