説明

車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置

車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置(1)にあっては、回動装置により中心軸(X)に沿って回動する回転テーブル(20)上に配置された、ハブ孔嵌合片(28)により径方向位置を定められたディスク(72)と、該ディスク(72)上に配され、リム位置拘束手段によりリムドロップ部(78)を拘束して径方向位置が定められたリム(71)とを、リム支持片(15)によりリムフランジ部(73)を下方へ押圧しつつ、ロッド連結手段により回転テーブル(20)と連結した芯出ロッド(11)をフルフェイスホイールの中心軸(X)に沿って上方へ引張することによって、ディスク支持片(23)とリム支持片(15)とにより挟
圧して圧着状態とするものである。このリムディスク組付装置(1)により、径方向位置を高精度で定めたディスク(72)とリム(71)とを、強い挟圧力により圧着状態とすることができ、かつ、両者を安定的に回転させることができるため、熱歪みを抑制し、均一かつ正確な溶接を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、車両用フルフェイスホイールの製造に用いられ、ディスクとリムとの溶接時に組み付けを行う車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置に関する。
【背景技術】
車両用フルフェイスホイールは、タイヤのビードを側方から保持するディスクフランジ部が外周に形成されてなるディスクと、一方の開口に、該ディスクの背面に溶接される接合開口周端が形成され、他方にリムフランジ部が形成されたリムとからなる。ここで、ディスクとリムとは、リムの接合開口周端を、ディスク背面の所定位置に当接させた状態で、周方向に亘って外側から隅肉溶接されることが一般的である。
このディスクとリムとを溶接する場合にあっては、ディスクとリムとをそれぞれ、各径方向の中心が一致するように、両者の径方向位置を定めることが必要であり、この径方向位置を高精度に定めることが求められている。仮に、この径方向位置の精度が低い場合には、溶接されたフルフェイスホイールの振れ精度が低下し、当該ホイールを取り付けた車両が所望の走行性能を発揮できないこととなり得る。また、ディスクとリムとの溶接は、両者を比較的強い力により組み付けて圧着させた状態で行う必要がある。これは、ディスクとリムとを圧着することにより、溶接時に発生する溶接熱による熱歪みを抑制し、該熱歪みによって振れ精度の低下を防ぐものである。
このように、ディスクとリムとの各径方向位置を精度良く定め、かつ、熱歪みを抑制することを可能としたリムディスク組付装置として、例えば、日本国特許第2793001号公報に記載の装置が提案されている。このリムディスク組付装置にあっては、回転テーブル上に設けたハブ孔ガイドに、ディスクのハブ孔を嵌合させ、前記ハブ孔ガイドの中央に設けられたセンタリングポールをガイドとして、リムと当接可能なリムクランプを、このディスク上に配置されたリムに押圧させるようにした構成が提案されている。
ここで、ハブ孔ガイドにハブ孔を嵌合することによりディスクの径方向の位置決めを行うようにしている。さらに、リムクランプをリムに押圧することにより、回転テーブル上に配してディスクと該リムとを圧着状態とすると共に、リムクランプの外周テーパー面がくさび効果により、リムの径方向の位置決めを行うようにしている。これにより、リムとディスクとの径方向位置を精度良く定め、かつ、両者を圧着状態とすることができるようになっている。
ところで、上述のリムディスク組付装置では、前記ディスクとリムとを圧着状態とするリムクランプによる押圧力が、溶接時に回動させる回転テーブルに直接作用する負荷となる。このため、回転テーブルを回動させる駆動モータ等は、前記負荷が該駆動モータに作用しないように、駆動モータの回動をギア等の伝達部材を介在させ、かつ、該回転テーブルの回転軸と、該駆動モータの回動軸とが同軸線上とならないように設置されることとなっている。ここで、ギア等の伝達部材にあっては、回動をスムーズに伝達するために、例えば、ギアとギアとの噛み合いに僅かに隙間、いわゆるバックラッシュを設けることが一般的である。ところが、このバックラッシュにより、駆動モータの回動が、回動開始時や回動停止時に、回転テーブルに正確に伝達されない。このため、溶接時におけるディスクとリムとを安定して回転させることが難しく、溶接品質の安定化に限界を生じている。
また、このように前記ディスクとリムとを圧着させる押圧力は、回転テーブルを支える軸受け等にも負荷として直接作用することとなる。このため、ディスクやリムがそれぞれの製造上有する誤差によって、この軸受けに局所的な応力集中を生じる。この応力集中により、回転テーブルや軸受けは、その強度や耐久性が低下することとなり得る。さらには、このような問題を低減するために、上述したリムディスク取付装置は、ディスクとリムとを圧着する押圧力の強さを制限しなければならず、充分な圧着状態で溶接することができない。したがって、溶接時に生じる熱歪みを抑制することに限界がある。
本発明は、上述の問題点を解決し、ディスクとリムとの径方向位置を高精度に定めることができると共に、溶接時に生じる熱歪みを充分に抑制することができるようにした車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置を提案することを目的とする。
【発明の開示】
本発明は、フルフェイスホイールの中心軸に沿って昇降作動する芯出ロッドと、回動手段によって、前記中心軸を回転中心として回動する回転テーブルと、該回転テーブル上に配設され、ディスクのハブ孔と嵌合し、該ディスクの径方向位置を定めるハブ孔嵌合片と、該回転テーブル上に配設され、ディスクを、リムとの接合領域の意匠面側から支持するディスク支持片と、前記芯出ロッドと共に中心軸に沿って降動し、前記ハブ孔支持片及びディスク支持片により支持されたディスク上に配置されたリムを、そのリムフランジ部の上方から押圧支持するリム支持片と、該芯出ロッドを中心としてリムドロップ部の内周面を径方向に拘束し、リムの径方向位置を定めるリム位置拘束手段と、前記中心軸に沿って降動した芯出ロッドを、前記回転テーブルと連結状態とするロッド連結手段とを備え、前記リム支持片によりリムフランジ部を下方へ押圧しつつ、ロッド連結手段により回転テーブルと連結した芯出ロッドを上方へ引張することによって、ハブ孔嵌合片により径方向位置が定められたディスクと、リム位置拘束手段により径方向位置が定められたリムとを、ディスク支持片とリム支持片とにより挟圧して圧着状態とするようにしたものであることを特徴とする車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置である。
かかる構成にあっては、径方向位置を定めたディスクとリムとを、リム支持片による下方への押圧と、ディスク支持片による上方への引張とにより、挟圧して圧着状態とするようにしたものである。これにより、前記押圧する力(以下、押圧力)と引張する力(以下、引張力)とは、ディスクとリムとを挟圧する力(以下、挟圧力)として働き、該回転テーブルを回動させる回動手段に強い負荷が作用することを防ぎ得る。ここで、押圧力に比して、引張力を強くすることにより、回動手段に負荷が直接作用しないこととなる。また、この押圧力と引張力とをほぼ同じ強さとすることにより、これらの合力がほぼ全て挟圧力に使われることとなり、ディスクとリムとを挟圧する作動域以外に負荷が作用することを防止できる。
したがって、この回動手段は、リムとディスクとが圧着状態にある場合でも、回転テーブルを安定的かつ適正に回動させることができる。さらに、回動手段に強い負荷が作用しないことから、ディスクとリムとを、溶接時に生じる熱歪みを充分に抑制可能な圧着状態とするように、押圧力と引張力とを強く作用させることができる。これにより、ディスクとリムとの溶接品質を向上でき、かつ安定化させることができる。而して、上述した従来構成のリムディスク組付装置に比して、高い振れ精度を有し、優れた振動特性や低騒音性等を発揮し得る車両用フルフェイスホイールを製造することができる。
また、ディスクとリムとを挟圧した状態で、回転テーブルを下方から支持する支持部材にも負荷が作用しないことから、該支持部材に局所的な応力集中が生じることを防止でき、多数の組付作業を行っても、安定的かつ適正な回転を維持することが可能である。
ここで、本発明にあっては、リムの径方向位置を、リムドロップ部をリム位置拘束手段によって拘束することにより定めるようにしている。ここで、リムドロップ部は、リムの製品上、一般的に最も精度良く成形される部位である。したがって、本リムディスク組付装置は、リムの径方向位置を高い精度で定めることができる。
一方、本発明は、ディスクとリムとの接合領域に対して、その略垂直上下方向に、ディスク支持片とリム支持片とを配するようにしている。これにより、ディスクとリムとを挟圧する挟圧力が、この接合領域に直接的に働き、両者の圧着状態を効率的に生じさせることができる。さらに、リム位置拘束手段がリムドロップ部を径方向に拘束することから、ディスクとリムとの挟圧力により、該リムドロップ部が径内方向に屈曲変形することを抑制している。したがって、押圧力及び引張力を強くした場合にあっても、挟圧力はディスクとリムとの圧着に適正に作用することとなり、強い圧着状態を形成することができる。
また、このような車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置にあって、ロッド連結手段が、芯出ロッドの先端に形成されたクランプ部と、回転テーブルの中心に形成され、該芯出ロッドが挿入されるロッド挿入孔と、回転テーブルの下面に配設され、該ロッド挿入孔から挿入されて下面側に突出した芯出ロッドのクランプ部を把持固定して、該回転テーブル及び芯出ロッドを一体的に動作可能な連結状態とするロッド把持装置とを備えている構成が提案される。
かかる構成にあって、ロッド把持装置が芯出ロッドと回転テーブルとを連結状態とすることにより、該芯出ロッドの引張作動に従って、該回転テーブルを中心軸に沿って上方へ平行的に引張作動させ得る。したがって、ディスク支持片を周方向に亘って均等に上方へ引張でき、ディスクとリムとを周方向で等しく挟圧することができる。そして、このロッド把持装置にあっては、比較的容易かつ適正に、本発明にかかるディスクとリムとの圧着状態を生成することができ得るものである。ここで、ロッド把持装置としては、芯出ロッドのクランプ部を、径方向で対向する二方、周方向に等間隔の三方等、複数方向から把持する構成とすることが好適である。
また、このような車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置にあって、芯出ロッドを引張作動させるロッド引張装置、リム支持片、及びリム位置拘束手段が装架された昇降回転ユニットと、該昇降回転ユニットが回転可能かつ一体的に昇降作動するように連結され、この昇降作動を駆動実行する昇降駆動装置に連結された昇降フレームとを備え、ロッド引張装置により、芯出ロッドと連結した回転テーブルを引張作動させて、ディスクとリムとを挟圧し圧着状態とした場合に、前記昇降回転ユニットを、該回転テーブルと一体的に回動させるようにした構成が提案される。
かかる構成にあっては、昇降駆動装置の駆動により、昇降回転ユニットを一体的に昇降作動させると共に、圧着状態とした場合に、回動手段により、昇降回転ユニットを回転テーブルと一体的に、昇降フレームに対して回動させ得るようにしたものである。さらに、昇降駆動装置による昇降作動とは別に独立して、ロッド引張装置により芯出ロッドを引張作動させ得る。すなわち、比較的容易かつ簡便な構成により、上述したように、ディスクとリムとを強い挟圧力によって精度良く圧着状態とし、かつ当該ディスクとリムとを安定的に回転させる本発明の作用効果を、適正に発揮させ得る。而して、車両用フルフェイスホイールの溶接品質を向上させ、かつ安定化させることができる。
このような車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置にあって、昇降回転ユニットが、その下面にリム支持片とリム位置拘束手段とを装架すると共に、その上部にロッド引張装置を配設してなり、その中央に芯出ロッドを昇降移動可能に挿通するロッド通入孔が形成された昇降架台を備えている構成が提案される。かかる構成にあっては、上述した昇降回転ユニットとして、昇降架台をユニットの中核として配し、該昇降架台に、リム支持片、リム位置拘束手段、芯出ロッド、ロッド引張装置を適正に配置したものである。これにより、昇降回転ユニットを、このユニット単位で、上述した、昇降駆動装置の駆動による昇降作動と、回転テーブルとの一体的な回転作動とを、正確かつ容易に行い得る。したがって、上述したように、ディスクとリムとを精度良く圧着状態とでき、安定的に回転させる本発明の作用効果を、一層適正に発揮させることができる。
ここで、リム位置拘束手段が、昇降架台に、下方付勢されかつ上下移動可能に吊持された保持筐体と、該保持筐体に、径方向移動可能かつ径内方向へ付勢されて装着され、内端に被圧部を、外端にリムドロップ部の内周面に当接される当接部を備える押圧子とを具備してなり、昇降架台に芯出ロッドの周囲でほぼ等角度間隔に配設された複数の径方向拘束部材と、昇降架台に吊持され、該昇降架台の降動に伴って、前記押圧子の被圧部に当接して、該押圧子を径外方向へ進出させ、リム支持片がリムフランジ部に上方から当接した位置で、押圧子の当接部をリムドロップ部の内周面に圧接させる変換案内部材とで構成されるものとすることが提案される。
かかる構成にあっては、昇降架台の降動を、変換案内部材により、径方向拘束部材に配された押圧子の径外方向進出作動に変換するようにしたものである。そして、この径方向拘束部材を周囲でほぼ等角度間隔に複数配設することにより、リムドロップ部を周方向で均一に拘束することができ、リムの径方向位置を高い精度で定めることができる。また、リム支持片がリムフランジ部に上方から当接した位置で、該リムドロップ部を拘束するようにしていることから、高い精度で径方向位置を定めたリムと、ディスクとを適正に挟圧させることができる。一方、昇降架台を昇動させ、変換案内部材が径方向拘束部材に対して昇動することにより、径外方向に進出した押圧子が径内方向への付勢力に従って退避する。これにより、リムドロップ部の拘束が解放されることとなる。このように、かかる構成は、リムの径方向位置を高い精度で定め、かつこれを、リムとディスクとの溶接が終了するまで、維持するものであり、溶接品質の向上と安定化とを一層高め得る。そして、かかる構成は、リム位置拘束手段を比較的シンプルな機構により構成したものであり、その作動を安定的に行うことができる。また、メンテナンスや交換も容易であり、これにかかる費用を低減できるという優れた利点もある。
一方、上述した回動手段が、回転テーブルの下方に、中心軸に沿って回動軸が配され、該回転テーブルを回動させる回動装置である構成が提案される。かかる構成としては、回転テーブルの回転中心と回動装置の回動軸とを中心軸の軸線上に配し、回動装置と回転テーブルとの間に、減速機やギア等を介在させることなく、回動装置が直接的に回動テーブルを回動させるようにしたものとできる。これは、上述したように、本発明がディスクとリムとを挟圧した場合に、回転テーブルの下方に強い負荷が作用しないことによって、容易に構成可能となったものである。かかる構成により、回動装置は、回転テーブルを中心軸を回転中心として安定して回動させることができる。さらに、減速機やギア等が有するバックラッシュも無く、回動開始時点や停止時点にあっても、回転テーブルの回動が適正化され得る。したがって、圧着状態としたディスクとリムとの溶接を周方向に亘って一層均一に行うことができ、溶接品質を一層向上させ得る。
ここで、回動装置が、ダイレクトドライブモータである構成が提案される。このダイレクトドライブモータは、連続的に大きなトルクを発生することができると共に、電流−トルク特性が直線的に変化することから、その回動制御を高精度に行うことができる。そして、このダイレクトドライブモータが、回転テーブルを直接的に回動させることにより、強い挟圧力により圧着状態にあるディスクとリムとを、一層安定して回転させることができる。また、回動開始時点や停止時点にあっても、その回動が高精度に制御されることとなるから、回動開始から停止に至るまで、回転テーブルを安定して正確かつスムーズに回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1を表す概念図である。図2は、本発明にかかる、車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1を表す正面図である。図3は、車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1の、ディスク72とリム71とを圧着させる部分を表す拡大断面図である。図4は、変換案内部材35と径方向拘束部材14とを表す拡大断面図である。図5は、車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1に、ディスク72とリム71とを配置した状態を表す説明図である。図6は、昇降駆動装置3による昇降回転ユニット7の降下中を表す説明図である。図7は、図6から続く、昇降回転ユニット7が降下した状態を表す説明図である。図8は、自動車用フルフェイスホイール70を表す縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1の概念図を図1に示す。そして、一実施形態例として、自動車用フルフェイスホイールを組み付けるために用いる、車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1を図2〜図4に示す。
この車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1によって、例えば図8に示す自動車用フルフェイスホイール70を、ディスク72とリム71とを組み付け、溶接することにより製造できる。この自動車用フルフェイスホイール70にあっては、一方の開口周端に形成されたリムフランジ部73と、他方の開口周端に形成された接合開口周端74とを備えたリム71を、外周にディスクフランジ部75が周成されたディスク72の背面に、該リム71の接合開口周端74が隅肉溶接されることにより一体化してなるものである。ここで、本実施形態例では、隅肉溶接にアーク溶接を用いている。尚、隅肉溶接には、その他、レーザー溶接等の公知技術を用いることも可能である。
このリム71は、ホイール軸方向裏側に開口する開口周縁にタイヤのビードを側方から保持するリムフランジ部73が形成され、該リムフランジ部73のホイール軸方向意匠面側に、タイヤのビードを着座させるビードシート部76が連成されている。さらに、このビードシート部76に連成されてレッジ部77が形成され、該レッジ部77には、タイヤ装着時にタイヤのビードを落とすためのリムドロップ部78が連成されている。一方、ホイール軸方向意匠面側の開口周端には、上記した接合開口周端74が形成され、そのホイール軸方向裏側に、タイヤのビードを着座させるビードシート部79が連成されている。そして、このビードシート部79は、前記リムドロップ部78に連成されている。尚、ホイール軸方向裏側は、自動車用フルフェイスホイール70にあって、ディスク72の意匠面側の反対となる背面方向を表している。
一方、ディスク72は、中心にハブ孔80を有し、その半径方向外側に、裏面に自動車のハブが接合されるハブ取付部81が形成されている。このハブ取付部81には、ボルト孔(図示省略)も設けられている。そして、このハブ取付部81の半径方向外側から、外方向に向かって隆起する形状となる隆起部82が形成されている。また、この隆起部82から半径方向外側に向かって傾斜する傾斜面には、周方向に等間隔で複数個の飾り孔(図示省略)が設けられている。さらに、当該ディスク72の外周にディスクフランジ部75が形成されている。
次に、本発明の要部にかかる車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1を説明する。以下の説明は、本発明のリムディスク組付装置1の概念図を表す図1を参照している。
車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1は、図2のように、ベースフレーム2により当該装置全体が支えられており、このベースフレーム2の上側にエアシリンダー式の昇降駆動装置3が配設されている。そして、この昇降駆動装置3には、昇降駆動する昇降軸4を介して昇降フレーム5が連結されている。この昇降フレーム5は、ベースフレーム2に垂直状に設けられたガイドレール6,6に案内され、該昇降駆動装置3の昇降駆動に従って、フルフェイスホイールの中心軸Xに沿った上下方向に昇降する。また、この昇降フレーム5には、クロスローラーベアリング9を介して昇降回転フレーム8が連結されている。この昇降回転フレーム8は、昇降フレーム5に対して回転可能であると共に、一体的に昇降作動するようになっている。
ここで、この昇降回転フレーム8には、当該フレーム上部に油圧シリンダー式のロッド引張装置12が装架されている。このロッド引張装置12は、フルフェイスホイールの中心軸Xに沿って垂下する芯出ロッド11を上方へ引張作動させる。すなわち、この芯出ロッド11は、他の昇降回転ユニット7や昇降フレーム5と別に、単独で引張作動される。そして、この芯出ロッド11は、昇降駆動装置3の駆動により、昇降回転フレーム8と一体的に、中心軸Xの軸線上を昇降作動する。また、この芯出ロッド11の先端には、後述するロッド連結装置24(図3参照)により把持されるクランプ部25が形成されている。
さらにこの昇降回転フレーム8の下部には、昇降架台13が装架されている。この昇降架台13には、図3のように、その中央に、前記芯出ロッド11を上下方向に挿通するロッド通入孔45が形成されており、該芯出ロッド11を該ロッド通入孔45内で上下方向へ移動可能としている。また、この昇降架台13の下面には、リム71の径方位置を定めるリム位置拘束手段として、周方向でほぼ等角度間隔に四個の径方向拘束部材14及び変換案内部材35が配設されている。さらに、リム71のリムフランジ部73を上方から支持するリム支持片15も配設されている。このリム支持片15は、リムフランジ部73を周方向に亘って均等に支持するように、中心軸Xを中心とする円環状に設けられている。これら昇降回転フレーム8と、該昇降回転フレーム8に装架されたロッド引張装置12及び昇降架台13と、該昇降架台13に配された径方向拘束部材14、変換案内部材35、リム支持片15とにより昇降回転ユニット7が構成されている。
一方、上記したベースフレーム2の下部には、図2及び図3に示すように、ダイレクトドライブモータ(回動装置)17が、その回動軸18と中心軸Xとが同軸線上となるように配設されている。そして、この回動軸18には、回動フレーム19を介して、回転テーブル20が連接されており、ダイレクトドライブモータ17が、該回転テーブル20を直接的に回動させるようになっている。このように、回転テーブル20は、ダイレクトドライブモータ17と連接されていることから、ギア等に存在するバックラッシュが無いという利点を有している。また、このダイレクトドライブモータ17は、大きなトルクを連続的に発生でき、かつ、回動を高精度に制御することができるものであるから、回動開始から停止に至るまで、安定して回転テーブル20を回動することができる。
また、上述した回転テーブル20には、図3に示すように、その中央に中心軸X上を昇降作動する芯出ロッド11が挿入されるロッド挿入孔21が形成されている。この回転テーブル20の上面には、フルフェイスホイールの中心軸Xを中心として形成され、ディスク72のハブ孔80が嵌合されることにより該ディスク72の径方向位置を高精度に定め得るハブ孔嵌合片28が配設されている。このハブ孔嵌合片28は、同じく中心軸Xを中心として形成され、ディスク72のハブ取付部81をホイール軸方向意匠面側から支持するディスク中央支持部22に配されている。ここで、前記ハブ孔嵌合片28及びディスク中央支持部22には、各中央に芯出ロッド11が挿通する孔(図示省略)が形成されている。これにより、芯出ロッド11は、ハブ孔嵌合片28、ディスク中央支持部22、及び回転テーブル20のロッド挿入孔21を介して、該回転テーブル20の上方から下方へ挿通することができるようになっている。
さらに、この回転テーブル20の上面には、上記したディスク中央支持部22の径方向外側に、ディスク支持片23が、中心軸Xを中心としてホイール周方向に亘って周成されている。このディスク支持片23は、ホイール軸方向意匠面側から、ディスク72の、リム71の接合開口周端74が接合される領域を支持する位置に配設されている。そして、このディスク支持片23と、上述したリム支持片15とは、径方向にあって、上下にほぼ対向するように設けられている。これにより、ディスク72とリム71の接合開口周端74との接合領域に挟圧力が直接的に働くようにしている。
この回転テーブル20の下面には、ロッド挿入孔21の径方向外側に、該ロッド挿入孔21から下方へ突出した芯出ロッド11のクランプ部25を把持するロッド連結装置24が配設されている。このロッド連結装置24は、互いに対向し、径方向に沿って内外方向へ進退作動する把持アーム26,26を、外側の退避位置から径内方向に進出させて、芯出ロッド11のクランプ部25を両側から把持するものである。これにより、回転テーブル20と芯出ロッド11とが一体的に動作するように連結される。ここで、ロッド連結装置24は、把持アーム26,26をエアシリンダ27,27により進退作動させている。
一方、リム71の径方向位置を定めるリム位置拘束手段として、図3に示すように、径方向拘束部材14が、上述したように、昇降架台13の下面に、ロッド通入孔45の周囲に周方向でほぼ等角度間隔に四個吊持されて配設されている。この径方向拘束部材14にあっては、ストリッパーボルト42と、該ストリッパーボルト42を巻回するように配され、下方付勢する保持バネ37とにより昇降架台13に吊持された保持筐体38を備え、該保持筐体38に、径方向移動可能に装着された押圧子34を備えてなる(図4参照)。ここで、この保持筐体38は、該ストリッパーボルト42の可動長に従って上下方向移動可能となっている。すなわち、保持筐体38は、下方からの圧力に従って、保持バネ37が弾性収縮することにより、昇降架台13との上下方向距離が短縮する。さらに、この下方からの圧力が解除されると、当該弾性収縮が開放され、短縮した上下方向距離が伸張することとなる。
またここで、押圧子34は、図4に示すように、上記保持筐体38と一体的に上下方向へ移動するように、該保持筐体38に装着されている。この押圧子34は、内端に被圧部44を備え、外端にリムドロップ部78の内周面に当接される当接部30を備えている。ここで、被圧部44は、上方へ径外方向に傾斜する傾斜面を有している。さらに、この被圧部44と当接部30の間には、径方向に沿ってバネ溝40が形成されており、該バネ溝40内に、伸縮方向が径方向に沿うように押圧バネ33が配置されている。この押圧バネ33は、その径方向内端が溝内側面(図示省略)により支持され、径方向外端が、保持筐体38からバネ溝40内に突成されたバネ係止片39により支持されている。この押圧バネ33により、押圧子34は、保持筐体38に対して径内方向に付勢されており、径外方向への圧力によって該押圧バネ33が弾性収縮して、径外方向へ進出移動し、該圧力が解除されることにより、当該弾性収縮が解放されて径内方向へ退避移動する。
また、この昇降架台13の下面には、図3及び図4に示すように、変換案内部材35が、ストリッパーボルト41と、該ストリッパーボルト41に巻回され、下方付勢する案内バネ36とにより吊持されている。この変換案内部材35は、外側に、上方へ向かって径外方向に傾斜する案内面43を備え、該案内面43が、上記した押圧子34の被圧部44と当接する形状となっている。そして、この変換案内部材35は、上記径方向拘束部材14の内側に、案内面43と被圧部44とが当接可能となるように、ロッド通入孔45の周囲に配設されている。一方、変換案内部材35は、吊持された高さ位置が、上記の径方向拘束部材14に比して高くなるように、配設されている。そして、この変換案内部材35も、上述した保持筐体38と同様に、ストリッパーボルト41の可動長に従って上下方向移動可能となっている。すなわち、下方からの圧力に従って、昇降架台13との上下方向距離が短縮し、また、この圧力が解除されると、短縮した上下方向距離が伸張することとなる。
ここで、変換案内部材35の案内バネ36は、上記した径方向拘束部材14の保持バネ37に比して、バネ定数を高く設定して弾性収縮し難くなっており、変換案内部材35が、径方向拘束部材14に比して上方へ移動し難くしている。すなわち、径方向拘束部材14を、下方からの圧力によって、昇降架台13との上下方向距離を短縮させると、押圧子34の被圧部44が変換案内部材35の案内面43に当接する。この時、変換案内部材35は上方へ移動し難いことから、押圧子34が、被圧部44と案内面43との傾斜角に沿うように径外方向に進出移動し、当該径方向拘束部材14と昇降架台13との距離が短縮していくこととなる。一方、下方からの圧力を解除することによって、径方向拘束部材14は、保持バネ37が弾性伸張して、昇降架台13との上下方向距離が伸張すると共に、案内バネ36も弾性伸張して、押圧子34が径内方向に退避移動することとなる。尚、本実施形態例にあっては、案内バネ36のバネ定数を、保持バネ37に比して、かなり高く設定しているため、該案内バネ36の弾性収縮量は極めて小さい。
そして、これら径方向拘束部材14及び変換案内部材35を、それぞれ保持バネ37及び案内バネ36により配設することによって、押圧子34によるリムドロップ部78の内周面を拘束する圧接力が、該リムドロップ部78が径外方向に変形するような大きな力とならないように、各弾性収縮により緩和されるようになっている。
このように、押圧子34が進出移動することによって、当接部30がリムドロップ部78の内周面に圧接させて拘束する。ここで、四個の径方向拘束部材14にあって、全て同様に、各押圧子34を進出移動させ、各当接部30をリムドロップ部78の内周面に圧接させることによって、該リムドロップ部78を、中心軸Xとリム71の中心とが一致する径方向位置で拘束することができる。而して、上述した径方向拘束部材14、変換案内部材35から構成される、本発明にかかるリム位置拘束手段によって、リム71の径方位置が高い精度で定めることができる。
上述したように、本発明にかかる車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1にあっては、フルフェイスホイールの中心軸Xに沿って、上述した各構成が設けられており、該中心軸Xに沿った昇降作動と、該中心軸Xを中心とした回動及び径方向作動とを行うようになっている。したがって、ディスク72とリム71とを、これらの中心が中心軸Xと一致する径方向位置に高い精度で定めること、及び、強い挟圧力により圧着状態とすることを容易かつ安定して行うことができる。
一方、本実施形態例の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1には、図2のように、ベースフレーム2の下部に、当該リムディスク組付装置1により圧着状態としたディスク72とリム71とを隅肉溶接するための、溶接装置50が配設されている。この溶接装置50は、回転テーブル20の径方向外側に配設されており、エアシリンダ52の進退駆動により、溶接トーチ51を径方向に沿って内外方向に進退作動させる。そして、リム71とディスク72とが圧着状態となると、溶接トーチ51を進出位置に進出させ、ダイレクトドライブモータ17の回動と同期して、アーク溶接を行うように制御している。
次に、上述した車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1により、自動車用フルフェイスホイール70を組み付け、溶接する過程を説明する。
図5のように、ディスク72を、そのハブ孔80がハブ孔嵌合片28に嵌合するように配置する。この時、ディスク72は、そのハブ取付部81の意匠面がディスク中央支持部22の上面で支持されると共に、リム71の接合開口周端74と接合される領域が意匠面からディスク支持片23により下方から支持される。このディスク72は、ハブ孔80をハブ孔嵌合片28に嵌合することにより、該ディスク72の中心と中心軸Xとが一致する径方向位置を定める。そして、このディスク72上に、リム71を、大まかに接合する径方向位置となるように配置する。
そして、昇降駆動装置3を駆動して、昇降フレーム5と昇降回転ユニット7とを一体的に降動させる。昇降回転ユニット7が降動していくに従って、芯出ロッド11がハブ孔嵌合片28及びディスク中央支持部22の中央に設けられた孔に挿入していく。さらに、径方向拘束部材14は、図6のように、その保持筐体38の底面がディスク72のハブ取付部81の裏側面に当接し、その下方移動が停止する。尚、この停止位置で、径方向拘束部材14は、その押圧子34の当接部30がリムドロップ部78の内周面に対して内側で、ほぼ同じ高さ位置となる。
この後も、昇降駆動装置3は駆動を継続し、昇降回転ユニット7の、径方向拘束部材14以外の部材は降動する。このため、上述したように、径方向拘束部材14の保持バネ37が弾性収縮し、該径方向拘束部材14と、降動する昇降架台13との上下方向距離が短縮していく(図6から図7を参照)。そして、この昇降架台13の降動に従って変換案内部材35も降動し、該変換案内部材35の案内面43が、径方向拘束部材14の押圧子34の被圧部44に当接する。ここで、上述のように、径方向拘束部材14の保持バネ37は、変換案内部材35の案内バネ36に比して、バネ定数が低く設定されていることから、該案内バネ36は弾性収縮し難い。このため、この昇降架台13の降動に従って、押圧子34の被圧部44は、変換案内部材35の案内面43に沿うように、径外方向に移動する。これにより、径方向拘束部材14の保持バネ37はさらに弾性収縮することとなる。すなわち、変換案内部材35は、径方向拘束部材14に対して、降動する。そして、保持筐体38に対して、径外方向に移動する押圧子34は、その当接部30をリムドロップ部78の内周面に当接させていく(図7参照)。このような径方向拘束部材14は、上述したように、周方向でほぼ等角度間隔に四個配設されており、各押圧子34の当接部30がほぼ均一にリムドロップ部78と当接し、該リムドロップ部78を拘束することとなる。これによって、リム71は、その中心が中心軸Xと一致する径方向位置に定められる。さらに押圧子34が径外方向に進出しようとすることにより、当接部30がリムドロップ部78の内周面には圧接され、当該径方向位置が保持されることとなる。尚、押圧子34のバネ溝40内に配された押圧バネ33は、該押圧子34の径外方向移動に従って弾性収縮する。
一方、昇降回転ユニット7の降動に従って、昇降架台13の下面に配設されたリム支持片15が、リムフランジ部73に上方から当接する。また、芯出ロッド11が回転テーブル20のロッド挿入孔21を挿通し、該芯出ロッド11のクランプ部25が該回転テーブル20の下方に突出する。そして、リム支持片15が、リムフランジ部73を所定の押圧力で押圧すると、昇降駆動装置3の駆動を停止する(図7参照)。ここで、リム支持片15がリムフランジ部73と当接する位置で、上述した押圧子34の当接部30をリムドロップ部78と当接させるようにしている。これにより、径方向位置が定められたリム71を、さらなる昇降回転ユニット7の降動に従って、リム支持片15が押圧すると共に、押圧子34が径方向位置を保持する。
尚、ここで、リム支持片15からリム71に掛かる押圧力は、回転テーブル20を介して、ダイレクトドライブモータ17にも作用することとなる。しかしながら、この押圧力は、上述した径方向拘束部材14がリム71の径方向位置を定めるように作動することができる程度であるため、この後にリム71とディスク72とを挟圧する挟圧力に比して充分に小さい。このため、ダイレクトドライブモータ17に作用する押圧力は、該ダイレクトドライブモータ17の駆動に影響を及ぼさない程度に軽微であり、問題とならない。
上述のように、昇降駆動装置3の駆動を停止した(図7参照)後、ロッド連結装置24のエアシリンダ27,27を駆動して、把持アーム26,26を径内方向に進出作動させる。そして、図3に示すように、この把持アーム26,26により、回転テーブル20の下方に突出した芯出ロッド11のクランプ部25を、径方向両外側から把持し、該芯出ロッド11と回転テーブル20とを連結する。これにより、この芯出ロッド11と回転テーブル20とを一体的に動作可能とする。
この後、ロッド引張装置12を駆動して、芯出ロッド11を上方へ引張作動させると共に、昇降駆動装置3を再駆動して、リム支持片15がリムフランジ部73を下方へ押圧する。ここで、芯出ロッド11が、上述のように回転テーブル20と連結されていることから、回転テーブル20も上方へ引張作動する。これにより、回転テーブル20上に配設されているディスク支持片23が、ディスク72の接合領域を上方へ引張する。また、ディスク中央支持部22によっても、ディスク72のハブ取付部81も上方へ引張する。ここで、ロッド引張装置12の駆動による引張力と、昇降駆動装置3の駆動による押圧力とをほぼ同じ力とすることにより、両力がディスク72とリム71とを挟圧する挟圧力にほぼ全て利用される。このため、回動フレーム19及びダイレクトドライブモータ17には、このような挟圧による負荷が作用しないこととなる。
このように、リム支持片15がリムフランジ部73を下方へ押圧し、ディスク支持片23がディスク72の接合領域を上方へ引張することにより、それぞれ径方向位置が高精度に定められたリム71とディスク72とを中心軸Xに沿って上下方向から挟圧する。ここで、リム71とディスク72とを挟圧する力は、該リム71とディスク72の接合する部位に直接的に作用することとなる。さらに、上述のように、リム71はリムドロップ部78が径方向拘束部材14により径外方向に拘束されていることから、径方向への変形が抑制されており、接合領域に挟圧力が適切に作用することを助けている。
またここで、上述したように、リム71とディスク72とを挟圧するために要する押圧力及び引張力は、回転テーブル20を回動させるダイレクトドライブモータ17に作用しない。このため、昇降駆動装置3による押圧力と、ロッド引張装置12による引張力とを一層強くして、リム71とディスク72とを圧着させる挟圧力をさらに強くすることができる。これにより、リム71とディスク72とは、強い挟圧力によって圧着された状態となる。ここで、この挟圧力が、後述する溶接時に、溶接熱により生ずる熱歪みを完全に抑制し得る強い力となるように、前記押圧力及び引張力を設定する。
そして、このようにリム71とディスク72とを、それぞれ高精度で径方向位置を定め、強い挟圧力により圧着状態とした後、両者をアーク溶接により接合する。すなわち、上述した溶接装置50のエアシリンダ52を駆動することにより、溶接トーチ51をリム71とディスク72とを溶接可能な位置まで進出させて停止する(図2参照)。そして、ダイレクトドライブモータ17を所定回転速度で駆動して、回転テーブル20を回転させると同期して、この溶接トーチ51がアーク溶接を開始する。これにより、圧着状態にあるリム71とディスク72とが周方向に亘って溶接されていく。尚ここで、この回転テーブル20の回転に従って、上述した昇降回転ユニット7全体が、昇降フレーム5に対して回転する。そして、この溶接トーチ51に対して、回転テーブル20がほぼ一周すると、ダイレクトドライブモータ17を駆動停止すると共に、該溶接トーチ51による溶接を停止する。この溶接時には、上述したように、リム71とディスク72とが強い挟圧力により圧着された状態が維持されていることから、溶接熱により生ずる熱歪みをほぼ完全に抑制することができる。また、ダイレクトドライブモータ17により回転テーブル20を直接的に回動させていることから、バックラッシュが無く、かつ、大トルクを連続して安定的に制御発生させ、該回転テーブル20を均一かつ滑らかに回転させ得る。而して、リム71とディスク72との溶接品質が向上し、かつ、安定化することとなる。
このように、溶接装置50により溶接を行った後、溶接トーチ51を退避作動する。そして、ロッド引張装置12の引張作動を停止し、負荷を除去する。これにより、ディスク72とリム71とに作用する挟圧力が解除される。さらに、ロッド連結装置24の把持アーム26を退避作動して、芯出ロッド11と回転テーブル20の連結状態を開放する。この後、昇降駆動装置3を駆動して、昇降フレーム5を昇動させることにより、昇降回転ユニット7を上方へ移動させる。ここで、昇降架台13が昇動するに従って、径方向拘束部材14の保持バネ37が弾性伸張して、該昇降架台13との距離が拡がる。そして、変換案内部材35も昇動することから、押圧子34が、押圧バネ33の弾性収縮が解放されていき、径内方向に移動する。これにより、押圧子34の当接部30が、リムドロップ部78の内周面から離れ、径方向拘束部材14によるリムドロップ部78の拘束が解除される。
さらに昇降回転ユニット7が昇動するに伴って、ストリッパーボルト42の最大可動長となると、径方向拘束部材14は昇降架台13と共に昇動する。こうして、昇降回転ユニット7が、全体的に上方へ移動して停止する(図4参照)。この後、回転テーブル20に在る、ディスク72とリム71とが溶接されてなる自動車用フルフェイスホイール70を取り外して、組み付け溶接作業を終了する。
このように本実施形態例の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置1によって、ディスク72とリム71の各中心が高精度で一致し、かつ、溶接による熱歪みを抑制された隅肉溶接してなる自動車用フルフェイスホイール70が製造される。さらに、この溶接品質が、高品質となると共に、この高品質を安定して生じさせ得る。このような自動車用フルフェイスホイール70は、高い振れ精度を有し、かつ優れた振動特性や低騒音性等を発揮し得る製品となる。
【産業上の利用可能性】
A 本発明の車両用フルフェイスホイールリムのリムディスク組付装置は、回動装置により回動する回転テーブル上に配された、ハブ孔嵌合片により径方向位置が定められたディスクと、該ディスク上に配され、リム位置拘束手段によりリムドロップ部を拘束して径方向位置が定められたリムとを、リム支持片によりリムフランジ部を下方へ押圧しつつ、ロッド連結手段により回転テーブルと連結した芯出ロッドをフルフェイスホイールの中心軸Xに沿って上方へ引張することによって、ディスク支持片とリム支持片とにより挟圧して圧着状態とするようにしたリムディスク組付装置であるから、次の効果がある。
a ディスクとリムとを挟圧して圧着状態とした場合に、回転テーブルを回動させる回動手段や該回転テーブルを支持する支持部材等に負荷が直接作用しないため、回転テーブルを安定して回動させることができ、均一かつ正確な溶接を行うことができる。
b 回動手段に負荷が作用しないことにより、溶接時に生じる熱歪みを充分に抑制できる強い挟圧力によって、ディスクとリムとを圧着状態とすることができる。
c 一般的に最も精度良く成形されるリムドロップ部を拘束することによって、リムの径方向位置を高い精度で定めることができる。
d ディスクとリムとを、その接合領域の略垂直上下方向から挟圧することによって、挟圧力が接合部に直接的に働き、強い圧着状態を効率的かつ適正に生じさせ得る。
e 而して、上述した従来構成のリムディスク組付装置に比して、高い振れ精度を有し、優れた振動特性や低騒音性等を発揮し得る車両用フルフェイスホイールを製造することができる。
B ロッド連結手段が、回転テーブルのロッド挿入孔を挿通した芯出ロッドのクランプ部を、該回転テーブルの下面に配設されたロッド把持装置により把持固定し、回転テーブルと芯出ロッドとを一体的に動作可能な連結状態とするものとしたリムディスク組付装置にあっては、芯出ロッドの引張作動に従って、該回転テーブルを中心軸に沿って上方へ平行的に引張作動できるため、ディスク支持片を周方向に亘って均等に上方へ引張でき、リムとディスクとを周方向で等しく挟圧することができる。
C 芯出ロッドを引張作動させるロッド引張装置、リム支持片、及びリム位置拘束手段が装架された昇降回転ユニットと、該昇降回転ユニットが回転可能かつ一体的に昇降作動するように連結され、この昇降作動を駆動実行する昇降駆動装置に連結された昇降フレームとを備え、ディスクとリムとを圧着状態とした場合に、前記昇降回転ユニットを、該回転テーブルと一体的に回動させるようにしたリムディスク組付装置にあっては、上述したように、ディスクとリムとを強い挟圧力によって精度良く圧着状態とし、かつこれらを安定的に回転させる本発明の作用効果を、適正かつ容易に発揮させることができ、溶接品質を向上させかつ安定化させ得る。
D 昇降回転ユニットが、リム支持片とリム位置拘束手段とを下面に装架すると共に、ロッド引張装置を上部に配設してなり、その中央に芯出ロッドを昇降移動可能に挿通するロッド通入孔が形成された昇降架台を備えるようにしたリムディスク組付装置にあっては、昇降回転ユニットを、このユニット単位で、昇降駆動装置の駆動による昇降作動と、回転テーブルとの一体的な回転作動とを、正確かつ容易に行い得る。これにより、上述した本発明の作用効果を、一層適正に発揮させることができる。
E リム位置拘束手段が、昇降架台の降動に伴って、押圧子の被圧部が変換案内部材に当接することにより、周方向にほぼ頭角度間隔で配接された径方向拘束部材の押圧子が径外方向へ進出し、リム支持片がリムフランジ部に上方から当接した位置で、押圧子の当接部をリムドロップ部の内周面に圧接させるようにしたリムディスク組付装置にあっては、リムの径方向位置を高い精度で定め、かつこれを、リムとディスクとの溶接が終了するまで、維持するものであり、溶接品質の向上と安定化とを一層高め得る。さらに、比較的シンプルな機構により構成されていることから、リムを拘束する作動を安定的に行うことができる。また、メンテナンスや交換も容易に行うことが可能である。
F 上述した回動手段が、回転テーブルの下方に、中心軸に沿って回動軸が配され、該回転テーブルを回動させる回動装置であるとしたリムディスク組付装置にあっては、減速機やギア等を介在させることなく、回動装置と回転テーブルとを直接連結する構成とできるから、中心軸を回転中心として回転テーブルを安定して回動させることができ、圧着状態のディスクとリムとを、周方向に亘って一層均一に溶接でき、溶接品質をさらに向上させ得る。
G ここで、回動装置が、ダイレクトドライブモータであるとしたリムディスク組付装置にあっては、強い挟圧力により圧着状態にあるディスクとリムとを回転させる回転テーブルを、回動開始から停止に至るまで、安定して正確かつスムーズに回動させることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルフェイスホイールの中心軸に沿って昇降作動する芯出ロッドと、
回動手段によって、前記中心軸を回転中心として回動する回転テーブルと、
該回転テーブル上に配設され、ディスクのハブ孔と嵌合し、該ディスクの径方向位置を定めるハブ孔嵌合片と、
該回転テーブル上に配設され、ディスクを、リムとの接合領域の意匠面側から支持するディスク支持片と、
前記芯出ロッドと共に中心軸に沿って降動し、前記ハブ孔支持片及びディスク支持片により支持されたディスク上に配置されたリムを、そのリムフランジ部の上方から押圧支持するリム支持片と、
該芯出ロッドを中心としてリムドロップ部の内周面を径方向に拘束し、リムの径方向位置を定めるリム位置拘束手段と、
前記中心軸に沿って降動した芯出ロッドを、前記回転テーブルと連結状態とするロッド連結手段とを備え、
前記リム支持片によりリムフランジ部を下方へ押圧しつつ、ロッド連結手段により回転テーブルと連結した芯出ロッドを上方へ引張することによって、ハブ孔嵌合片により径方向位置が定められたディスクと、リム位置拘束手段により径方向位置が定められたリムとを、ディスク支持片とリム支持片とにより挟圧して圧着状態とするようにしたものであることを特徴とする車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置。
【請求項2】
ロッド連結手段が、
芯出ロッドの先端に形成されたクランプ部と、
回転テーブルの中心に形成され、該芯出ロッドが挿入されるロッド挿入孔と、
回転テーブルの下面側に配設され、該ロッド挿入孔から挿入されて下面側に突出した芯出ロッドのクランプ部を把持固定して、該回転テーブル及び芯出ロッドを一体的に動作可能な連結状態とするロッド把持装置とを備えていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置。
【請求項3】
芯出ロッドを引張作動させるロッド引張装置、リム支持片、及びリム位置拘束手段が装架された昇降回転ユニットと、
該昇降回転ユニットが回転可能かつ一体的に昇降作動するように連結され、この昇降作動を駆動実行する昇降駆動装置に連結された昇降フレームとを備え、
ロッド引張装置により、芯出ロッドと連結した回転テーブルを引張作動させて、ディスクとリムとを挟圧し圧着状態とした場合に、前記昇降回転ユニットを、該回転テーブルと一体的に回動させるようにしたことを特徴とする請求の範囲第1項又は請求の範囲第2項に記載の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置。
【請求項4】
昇降回転ユニットが、
その下面にリム支持片とリム位置拘束手段とを装架すると共に、
その上部にロッド引張装置を配設してなり、
その中央に芯出ロッドを昇降移動可能に挿通するロッド通入孔が形成された昇降架台を備えていることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置。
【請求項5】
リム位置拘束手段が、
昇降架台に、下方付勢されかつ上下移動可能に吊持された保持筐体と、
該保持筐体に、径方向移動可能かつ径内方向へ付勢されて装着され、内端に被圧部を、外端にリムドロップ部の内周面に当接される当接部を備える押圧子とを具備してなり、昇降架台に芯出ロッドの周囲でほぼ等角度間隔に配設された複数の径方向拘束部と、
昇降架台に吊持され、該昇降架台の降動に伴って、前記押圧子の被圧部に当接して、該押圧子を径外方向へ進出させ、リム支持片がリムフランジ部に上方から当接した位置で、押圧子の当接部をリムドロップ部の内周面に圧接させる変換案内部材と
で構成したことを特徴とする請求の範囲第4項に記載の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置。
【請求項6】
回動手段が、回転テーブルの下方に、中心軸に沿って回動軸が配され、
該回転テーブルを回動させる回動装置であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至請求の範囲第5項のいずれかに記載の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置。
【請求項7】
回動装置が、ダイレクトドライブモータであることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の車両用フルフェイスホイールのリムディスク組付装置。

【国際公開番号】WO2005/065969
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513097(P2005−513097)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016927
【国際出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(391006430)中央精機株式会社 (128)
【Fターム(参考)】