説明

車両用ブレーキ装置

【課題】機械式のブレーキアシスト機構を備えるブレーキブースタを備える車両用ブレーキ装置において、車両停止時の機械式のブレーキアシスト機構の磨耗を抑制すること。
【解決手段】車両用ブレーキ装置1は、機械式のブレーキアシスト機構を備えるブレーキブースタ80を備える。機械式のブレーキアシスト機構は、スプリング62によりエアバルブの開度を開く方向Y2に付勢されたスライドバルブ60に設けられるフック64aと、パワーピストン30側に設けられ、係合時にフック64aの方向Y2への移動を係止するフック係合部64aとを含み、フック64aとフック係合部64aとの係合は、入力ロッド40とパワーピストン30との間に相対変位が発生した際に外れるように構成される。車両用ブレーキ装置1は、更に、車両停止時に前記ブレーキアシスト機構の作動を抑制する抑制手段6,7,8,9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式のブレーキアシスト機構を備えるブレーキブースタを備える車両用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機械式のブレーキアシスト機構を備えるブレーキブースタを備える車両用ブレーキ装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。このブレーキアシスト機構では、プランジャがパワーピストンに対して所定値より大きく前進すると、プランジャの押動斜面によって係止部材の受動斜面が径外方に押動されて、係止部材のフックがスライドバルブのフックから離脱し、これによりブレーキアシストが実現されている。
【特許文献1】特開2005−138612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、機械式のブレーキアシスト機構は、ブレーキペダルを速く踏んだ時(操作速度が大きいとき)にパワーピストンと入力ロッド(及びプランジャ)に相対変位が生じることを利用して作動しているが、かかる相対変位は、ブレーキペダルをゆっくり強く踏んだときにも生じる。一般的に、車両走行中はブレーキペダルを強く踏むと急ブレーキになるため、運転者が不必要なときにブレーキペダルを強く踏むことが無いが、車両停止時には、減速度が発生しないため、車両停止後に更に運転者がブレーキペダルをゆっくり強く踏むことがある。従って、上述の特許文献1に記載の発明では、車両停止時においても、運転者がブレーキペダルをゆっくり強く踏むことで、機械式のブレーキアシスト機構が作動してしまう虞がある。車両停止時に機械式のブレーキアシスト機構が作動しても、安全上全く支障は無いが、ブレーキアシスト機構が機械式の機構であるが故に、作動時に機構部の磨耗が伴うので、機械式のブレーキアシスト機構の耐久性にとって不利である。
【0004】
そこで、本発明は、機械式のブレーキアシスト機構を備えるブレーキブースタを備える車両用ブレーキ装置において、車両停止時の機械式のブレーキアシスト機構の磨耗を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る車両用ブレーキ装置は、機械式のブレーキアシスト機構を備えるブレーキブースタと、
車両停止時に前記ブレーキアシスト機構の作動を抑制する抑制手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係る車両用ブレーキ装置において、
前記機械式のブレーキアシスト機構は、弾性部材によりエアバルブの開度を開く方向(以下、第1方向という)に付勢されたスライドバルブに設けられるフックと、パワーピストン側に設けられ、係合時に前記フックの前記第1方向への移動を係止するフック係合部とを含み、前記フックと前記フック係合部との係合は、入力ロッドとパワーピストンとの間に相対変位が発生した際に外れるように構成されており、
前記抑制手段は、車両停止時にブレーキ操作時の入力ロッドの動きに連動して、前記スライドバルブを、前記弾性部材による付勢力に対抗する方向(以下、第2方向という)に付勢する手段であることを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第2の発明に係る車両用ブレーキ装置において、
前記抑制手段は、車両停止時に、前記フックが前記フック係合部に対して前記第2方向に離間する位置まで、前記スライドバルブを前記第2方向に移動させることを特徴とする。
【0008】
第4の発明は、第1の発明に係る車両用ブレーキ装置において、
前記抑制手段は、車両停止時に、ブレーキペダルの踏み込み力に対して作用する減衰力を増加させる手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機械式のブレーキアシスト機構を備えるブレーキブースタを備える車両用ブレーキ装置において、車両停止時の機械式のブレーキアシスト機構の磨耗を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1による車両用ブレーキ装置1の主要断面を示す図である。図2は、図1のA部の拡大図である。車両用ブレーキ装置1は、主に、ブレーキブースタ80と、ブレーキアシスト作動抑制手段6と、ブレーキペダル5とを備える。
【0012】
ブレーキブースタ80は、負圧式倍力装置であり、主に、ハウジング10と、可動隔壁20と、パワーピストン30と、ブレーキペダル5に連動して軸方向に沿って前後方向(図のY1,Y2方向)に移動する入力ロッド40と、出力部材50と、スライドバルブ60と、コントロールバルブ70を備える。
【0013】
可動隔壁20は、金属製のプレート21とゴム製のダイアフラム22とからなる。ダイアフラム22は、その外周縁に形成されたビード部にて、後方シェル12の外周縁に設けられた折り返し部と前方シェル11とにより気密的に挟持されている。また、ダイアフラム22は、その内周縁に形成されたビード部にて、パワーピストン30の前方フランジ部外周に設けられた溝に、プレート21とともに気密的に固定されている。
【0014】
ハウジング10は、前方シェル11と後方シェル12を備えている。ハウジング10の内部は、可動隔壁20により定圧室R1と変圧室R2とに区画されている。定圧室R1には、負圧導入管13を通して負圧源(例えば、吸気マニホールド)が常時連通されている。
【0015】
パワーピストン30は、可動隔壁20に結合された中空状のピストンである。パワーピストン30は、パワーピストン30は、ハウジング10の前方シェル11との間に介装されたスプリング31によって後方(図のY2方向)に付勢されている。パワーピストン30には、コントロールバルブ70の負圧弁部70cが着座・離座可能な円弧状の負圧弁座30kが設けられる。
【0016】
入力ロッド40は、パワーピストン30の中空部32内にて同パワーピストン30に対し前後進可能に設置される。入力ロッド40の先端部(図のY1方向の先端)は、エアバルブを構成するプランジャ41に連結される。プランジャ41は、その先端にてリアクションゴムディスク82に係合可能であり、その後端にはコントロールバルブ70の大気弁部70bが着座可能な環状の大気弁座41aが形成されている。
【0017】
出力部材50は、その先端にてブレーキマスタシリンダ((図示せず)におけるピストン(図示せず)に押動可能に当接している。出力部材50は、入力ロッド40、プランジャ41及びリアクションゴムディスク82を介して、ブレーキペダル5に連動して軸方向(図のY1,Y2方向)に移動する。
【0018】
コントロールバルブ70は、大気弁部70b及び負圧弁部70cを有する環状の可動部74と、パワーピストン30に形成された段部に気密的に嵌合固定された環状の固定部75と、環状の可動部74と環状の固定部75を連結する円筒状の蛇腹部73によって構成されている。環状の可動部74は、入力ロッド40間に介装したスプリング71によって前方に向けて付勢されていて、前後方向に移動可能である。環状の固定部75は、入力ロッド40間に介装したスプリング72によって前方に向けて付勢されていて、パワーピストン30に固定されている。
【0019】
コントロールバルブ70の負圧弁部70cは、パワーピストン30に形成された負圧弁座30kに着座・離座可能であり、負圧弁座30kへの着座によって定圧室R1と変圧室R2の連通を遮断し、負圧弁座30kからの離座によって定圧室R1と変圧室R2を連通させる。コントロールバルブ70の大気弁部70bは、プランジャ41に形成された環状の大気弁座41aに着座・離座可能であり、環状の大気弁座41aへの着座によって変圧室R2と大気の連通を遮断し、環状の大気弁座41aからの離座によって変圧室R2と大気を連通させる。
【0020】
スライドバルブ60は、パワーピストン30と入力ロッド40間にてパワーピストン30に気密用シールリング61を介して同軸的かつ前後進可能(軸方向移動可能)に設けられる。スライドバルブ60は、パワーピストン30とスライドバルブ60間に介装したスプリング62により後方に付勢されており、その後端にはコントロールバルブ70の負圧弁部70cに着座可能な負圧弁座60aが形成されている。また、スライドバルブ60は、後述の如く、その軸方向移動位置がパワーピストン30に組付けたキー部材63、係止部材64等によって規定されるように構成されている。
【0021】
また、スライドバルブ60は、その前端部外周に環状のフック60bを有している。環状のフック60bは、径方向外向きに突出して形成されている。環状のフック60bは、後述の係止部材64の円弧状のフック64aと共に、機械式のブレーキアシスト機構の構成要素となる。
【0022】
キー部材63は、パワーピストン30に対するプランジャ41とスライドバルブ60の軸方向移動を規定するために、パワーピストン30に形成された径方向のキー部材挿通孔30iに挿通されている。キー部材63の前後方向の肉厚寸法は、キー部材挿通孔30iの前後方向寸法よりも小さく、キー部材63は、パワーピストン30に対して所定量だけ前後方向に移動可能である。
【0023】
キー部材63は、パワーピストン30から径外方に突出した両端部の後端面にて後方シェル12に当接可能であり、ハウジング10に対するパワーピストン30の後方への移動限界位置は、キー部材挿通孔30iの前方壁がキー部材63の前端面に当接しかつキー部材63の両端部の後端面が後方シェル12に当接した位置である。キー部材63は、その中央部にて、プランジャ41の中央部に形成された環状溝の前後両端面41b,41cに当接可能であり、パワーピストン30に対するプランジャ41の後方への移動限界位置は、環状溝の前端面41bがキー部材63の前端面に当接しかつキー部材63の後端面がキー部材挿通孔30iの後方壁に当接した位置である。また、パワーピストン30に対するプランジャ41の前方への移動限界位置は、環状溝の後端面41cがキー部材63の後端面に当接しかつキー部材63の前端面がキー部材挿通孔30iの前方壁に当接した位置である。
【0024】
また、キー部材63は、その中央部前面にて、スライドバルブ60の中間部に形成された係止面60eに当接可能であり、キー部材63がスライドバルブ60に当接した状態では、キー部材63とスライドバルブ60は一体的に前方(図中のY1方向)に移動する。また、キー部材63は、その外周部にて後述のプッシュロッド701が接続される。キー部材63は、プッシュロッド701等と協働して、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの嵌合部の磨耗を抑制する機能を果たす。この機能については後に詳説する。
【0025】
係止部材64は、円筒状の部材であり、前端側がパワーピストン30に対して結合されている。係止部材64は、後端に円弧状のフック64aが形成されている。係止部材64は、プランジャ41に形成された環状の押動斜面41dが当接可能な円弧状の受動斜面64cを有する。係止部材64は、受動斜面64cにプランジャ41の押動斜面41dが当接して更にプランジャ41が前方に相対移動した場合に、その後端側が径方向外側に広がるように構成される。係止部材64の後端側が径方向外側に広がっていない通常状態(図1に示す状態)では、係止部材64のフック64aは、スライドバルブ60のフック60bの軸方向後方への移動を係止することができる。一方、係止部材64の後端側が径方向外側に広がると、係止部材64のフック64aは、スライドバルブ60のフック60bの軸方向後方への移動を係止することができなくなる。
【0026】
次に、上述のブレーキブースタ80の作動について説明する。
【0027】
通常ブレーキ時には、入力ロッド40とパワーピストン30との相対移動量(パワーピストン30に対する入力ロッド40の前進量)が所定値以下となる。この場合、プランジャ41に形成された押動斜面41dが係止部材64の受動斜面64cに当接せず、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aの係合が保持され、図1に示したように、スライドバルブ60が前方所定位置に保持される。したがって、このときには、スライドバルブ60がパワーピストン30に対して移動せず、通常ブレーキ作動が得られる。
【0028】
一方、運転者が走行中にブレーキペダル5を強く踏み込む時には、入力ロッド40とパワーピストン30との相対移動量が所定値よりも大きくなる。プランジャ41のパワーピストン30に対する前進量が所定値より大きい場合には、プランジャ41に形成された押動斜面41dが係止部材64の受動斜面64cに当接して、係止部材64が半径方向外方に押動される。このため、図3に示すように、スライドバルブ60のフック60bが係止部材64のフック64aとの係合を解かれて離脱し、スライドバルブ60がスプリング62により後方位置に移動させられ、スライドバルブ60の後端に形成された負圧弁座60aがコントロールバルブ70の負圧弁部70cに着座する。これにより、定圧室R1と変圧室R2との連通が遮断される。更に、負圧弁座60aがコントロールバルブ70の負圧弁部70cに着座した状態を維持しつつ、スプリング62による付勢力により負圧弁座60aがコントロールバルブ70の負圧弁部70cを後方(図中のY2方向)に押すことで、コントロールバルブ70が後方に移動される。これにより、プランジャ41の後端に形成された環状の大気弁座41aとコントロールバルブ70の大気弁部70bとが通常より離れた状態で、変圧室R2が大気と連通する。その結果、通常ブレーキ動作に比べ、変圧室R2と大気との連通が増大し、通常ブレーキ時より大きな推進力(ブレーキアシスト)を得ることが可能となる。このようにして、機械式のブレーキアシスト機構が作動することになる。
【0029】
ところで、上述の運転者が走行中にブレーキペダル5を強く踏み込む時には、図4(A)に示すように、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの係合部に、スプリング62の反発力に起因した荷重Fが負荷された状態で、図4(B)に示すように、フック60bが径方向外側に移動することになる。従って、この際、フック60bとフック64aとの係合部(図4(B)のX1,X2)は、荷重Fが付与された状態で摺動するので、磨耗を受けやすくなる。
【0030】
この点、車両走行中は、運転者がブレーキペダル5を速く踏んだ時には機械式のブレーキアシスト機構の作動が必要であるので、フック60bとフック64aとの係合部の磨耗が生じても問題は無い(かかる磨耗を考慮して、フック60bとフック64aとの係合部の耐久性を確保すればよい。)しかしながら、車両停止時には、機械式のブレーキアシスト機構の作動が必要でないにも拘らず、運転者がブレーキペダル5をゆっくり強く踏むことで同様の磨耗が生ずるのは、フック60bとフック64aとの係合部の磨耗に対する耐久性を必要以上に高くする必要を生むので好ましくない。
【0031】
そこで、本実施例の車両用ブレーキ装置1は、以下で詳説する特徴的な構成を備えることで、車両停止時において運転者がブレーキペダル5をゆっくり強く踏んだ場合に生じうる磨耗を効果的に抑制する。以下、主に、本実施例の車両用ブレーキ装置1の特徴的な構成を説明する。
【0032】
本実施例の車両用ブレーキ装置1は、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの嵌合部の磨耗を抑制する手段(ブレーキアシスト作動抑制手段6)として、主に、プッシュロッド701と、プッシュロッド701を前方(図のY1方向)に送り出すプッシュロッド駆動手段720と、クラッチ手段710と、コントローラ750とを備える。
【0033】
プッシュロッド駆動手段720及びクラッチ手段710は、収納ボックス730に収容される。収納ボックス730は、車体(ボデー)に剛結されてもよいが、好ましくは、図1に示すように、ゴムブッシュ732を介して車体に連結される。この場合、ゴムブッシュ732は、クラッチ手段710の係合時に入力ロッド40が前方に移動した場合にクラッチ手段710を介して入力ロッド40から受ける力に起因して、前方(図のY1方向)に所定量(例えば1mm)撓むことが可能なように構成される。尚、収納ボックス730自体は、入力ロッド40に対して何ら拘束しない。即ち、クラッチ手段710の非係合時に入力ロッド40が前方に移動した場合でも、ゴムブッシュ732が撓むことはない。
【0034】
プッシュロッド701は、図1に示すように、入力ロッド40と略平行に延在する棒状の部材であり、先端部704を含む先端側を除いて、ハウジング10の外部に配置される。プッシュロッド701の先端側は、グロメット706により気密的に摺動可能な態様で、ハウジング10の内部空間に挿入される。プッシュロッド701の先端部704は、上述の如く、キー部材63の外周部に接続される。尚、プッシュロッド701の先端部704は、キー部材63と一体的に形成されてもよいし、図示の例のように、キー部材63とは別の部材により形成されてもよい。また、プッシュロッド701の先端部704は、必ずしもキー部材63の外周部に接続される必要はなく、プッシュロッド701が前方に送り出されたときにキー部材63に当接してキー部材63を前方に移動させることができればよい。
【0035】
プッシュロッド駆動手段720は、クラッチ手段710の係合時に、入力ロッド40の動きをプッシュロッド701に伝達する部材であってよい。この場合、クラッチ手段710には、コントローラ750が通信可能に接続され、クラッチ手段710の係合/非係合状態が当該コントローラ750により制御される。
【0036】
コントローラ750には、車輪速センサ760が接続される。コントローラ750は、車輪速センサ760の出力信号に基づいて、車両が停止状態にあるか否かを判定し、車両が停止状態にある場合には、クラッチ手段710の係合状態を形成する。尚、車両が停止状態にあるか否かは、車輪速センサ760の出力信号の他、トランスミッションの出力軸の回転数やGPS測位結果に基づいて判定されてもよい。或いは、コントローラ750は、車輪速センサ760の出力信号やGPS測位結果等に基づいて導出される車速がゼロであり、且つ、ブレーキペダル5の操作量が所定値以上である場合に、車両が停止状態にあると判定してもよい。クラッチ手段710の係合状態が形成されると、入力ロッド40とプッシュロッド701とが結合した状態が形成され、入力ロッド40が前方に移動した場合にそれに伴ってプッシュロッド701が前方に移動させる。
【0037】
尚、コントローラ750は、車輪速センサ760に基づいて、運転者によりブレーキペダル5の踏み込みが解除されたことを検出すると、クラッチ手段710の非係合状態を形成する。これにより、プッシュロッド701が元の位置に復帰した際に、入力ロッド40との接続状態が解除される。
【0038】
上述の本実施例の特徴的な構成によれば、車両停止時に、運転者がブレーキペダル5をゆっくり強く踏むと、図5に示すように、入力ロッド40と共にプッシュロッド701がプッシュロッド駆動手段720により前方(図のY1方向)に送り出される。尚、プッシュロッド701が前方に送り出されても、グロメット706によりハウジング10の気密が保持されている。プッシュロッド701が前方に送り出されると、プッシュロッド701の先端部704を介してキー部材63が前方に押し付けられて前方に移動される。これにより、キー部材63とスライドバルブ60が一体となって前方に押し付けられる。従って、このときの押し付け力をF1とすると、図6(A)に示すように、図4(A)に示した場合とは対照的に、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの係合部に、スプリング62の反発力に起因した荷重から押し付け力F1を差し引いた荷重(=F−F1)が負荷された状態となる。他言すると、スプリング62の反力の少なくとも一部をプッシュロッド701が受け持つことで、スライドバルブ60に軸方向に作用するスプリング62の反力を低減することができる。このため、その後、更に、運転者がブレーキペダル5を踏み込んで入力ロッド40とパワーピストン30との間に相対変位が生じ、フック60bが径方向外側に移動しても、フック60bとフック64aとの係合部にかかる軸方向の荷重が押し付け力F1分だけ低減された状態で、フック60bが径方向外側に移動することになる。これにより、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を効果的に低減することができる。
【0039】
以上説明した実施例1による車両用ブレーキ装置1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0040】
先ず、車両停止時に、フック60bが径方向外側に移動する際の、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの係合部にかかる軸方向の荷重を低減できるので、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を効果的に低減することができる。
【0041】
また、上述の如くゴムブッシュ732を介してプッシュロッド701を支持する更に好ましい実施例では、ゴムブッシュ732が所定量(例えば1mm)撓むことで、その分だけ大きくプッシュロッド701が入力ロッド40よりも前方に変位する。これに伴い、キー部材63及びスライドバルブ60がゴムブッシュ732の撓み量だけ前方にプッシュロッド701に対して相対変位する。これにより、図6(B)に示すように、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの嵌合部に隙間Δが発生するので(即ち、スライドバルブ60のフック60bがゴムブッシュ732の撓み量だけ前方に係止部材64のフック64aに対して相対変位するので)、その後、更に、運転者がブレーキペダル5を踏み込んで入力ロッド40とパワーピストン30との間に相対変位が生じ、フック60bが径方向外側に移動しても、フック60bとフック64aとの係合部には磨耗が一切生じない。即ち、車両停止時に、フック60bが径方向外側に移動する際の、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの係合部にかかる軸方向の荷重をゼロにできるので、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を更に効果的に低減することができる。
【0042】
また、車両停止時に、プッシュロッド701が入力ロッド40と係合した状態が形成されるので、プッシュロッド701が入力ロッド40と係合していない状態に比べて、同一ストローク移動させるのに必要なブレーキペダル5の操作力が大きくなる。これによっても、車両停止時における運転者によるブレーキペダル5に対する強い踏み込みが抑制されるので(抵抗が増えるが故に運転者のブレーキペダル5を更に踏み込もうとする意識が抑制されるので)、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を効果的に低減することができる。
【0043】
尚、以上説明した実施例1に対しては、以下のような変形例が考えられる。
【0044】
例えば、上述の実施例1においては、プッシュロッド701は、入力ロッド40に連動するように構成されているが、プッシュロッド701は、同様のクラッチ手段を介して、クラッチ手段の係合時にブレーキペダル5に連動して前方に移動するように構成されてもよい。
【実施例2】
【0045】
図7は、本発明の実施例2による車両用ブレーキ装置2の主要断面を示す図である。車両用ブレーキ装置2は、上述した実施例1に対して、プッシュロッド駆動手段722として、電子制御可能なアクチュエータが用いられる点が異なる。その他、上述した実施例1と同様であってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0046】
本実施例の車両用ブレーキ装置2は、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの嵌合部の磨耗を抑制する手段(ブレーキアシスト作動抑制手段7)として、主に、プッシュロッド702と、プッシュロッド702を前方(図のY1方向)に送り出すプッシュロッド駆動手段722と、コントローラ752とを備える。
【0047】
プッシュロッド駆動手段720として例えばソレノイドを用いた場合、プッシュロッド702は、磁性体で形成されたプランジャから構成される。尚、プッシュロッド駆動手段722は、コントローラ752による制御下で、プッシュロッド702を前方に移動させることができる構成であれば、ソレノイドの他、例えば電気モータや液圧式アクチュエータ等であってもよい。
【0048】
プッシュロッド駆動手段720には、コントローラ752が通信可能に接続され、プッシュロッド702の前方移動態様(移動量等)が当該コントローラ752により制御される。この場合、上述した実施例1において存在するクラッチ手段710は不要とされてよい。また、収容ボックス731は、車体に対してゴムブッシュを介せずに固定されてもよい。これは、プッシュロッド駆動手段720として電子制御可能なアクチュエータを用いることにより、後述の如く入力ロッド40に対するプッシュロッド702の前方相対移動量を任意に制御できるからである。
【0049】
コントローラ752には、車輪速センサ760に加えて、ブレーキペダル5の操作量を検出する操作ストローク検出センサ762が接続される。コントローラ752は、操作ストローク検出センサ762の出力信号に基づいて、ブレーキペダル5の操作に伴う入力ロッド40の前方移動量を検知する。尚、操作ストローク検出センサ762の出力信号に代えて、踏力検出スイッチやマスタシリンダ圧センサ等の出力信号に基づいて、ブレーキペダル5の操作に伴う入力ロッド40の前方移動量を検知してもよい。
【0050】
コントローラ752は、車輪速センサ760の出力信号に基づいて、車両が停止状態にあるか否かを判定する。コントローラ752は、車両が停止状態にあると判定した場合には、操作ストローク検出センサ762の出力信号に基づいて、入力ロッド40の前方移動に同期させてプッシュロッド702を前方に移動させる。プッシュロッド702が前方に移動されると、上述の実施例1と同様、プッシュロッド702の先端部704を介してキー部材63が前方に押し付けられて前方に移動される。これにより、キー部材63とスライドバルブ60が一体となって前方に押し付けられる。従って、運転者がブレーキペダル5を更に強く踏み込んだ場合でも、図6(A)に示したように、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの係合部にかかる軸方向の荷重が押し付け力F1分だけ低減された状態で、フック60bが径方向外側に移動することになる。これにより、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を効果的に低減することができる。
【0051】
また、コントローラ752は、入力ロッド40の前方移動に同期させてプッシュロッド702を前方に移動させる際、好ましくは、プッシュロッド駆動手段720を制御して、プッシュロッド702を入力ロッド40よりも所定量(例えば1mm)だけ前方に変位させる。即ち、プッシュロッド702の前方移動量を、入力ロッド40の前方移動量よりも所定量だけ大きくする。これに伴い、キー部材63及びスライドバルブ60が所定量だけ前方にプッシュロッド702に対して相対変位する。これにより、上述の実施例1においてゴムブッシュ732を設けた場合と同様に、図6(B)に示したように、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの嵌合部に隙間Δ(即ち上記の所定量に相当する隙間Δ)が発生するので、その後、更に、運転者がブレーキペダル5を踏み込んで入力ロッド40とパワーピストン30との間に相対変位が生じ、フック60bが径方向外側に移動しても、フック60bとフック64aとの係合部には磨耗が一切生じない。従って、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を更に効果的に低減することができる。
【0052】
以上説明した実施例2による車両用ブレーキ装置2によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0053】
先ず、車両停止時に、フック60bが径方向外側に移動する際の、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの係合部にかかる軸方向の荷重を低減できるので、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を効果的に低減することができる。
【0054】
また、上述の如くプッシュロッド702の前方移動量を入力ロッド40の前方移動量よりも所定量だけ大きくする更に好ましい実施例では、車両停止時に、フック60bが径方向外側に移動する際の、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの係合部にかかる軸方向の荷重をゼロにできるので、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を更に効果的に低減することができる。
【実施例3】
【0055】
図8は、本発明の実施例3による車両用ブレーキ装置3の主要断面を示す図である。車両用ブレーキ装置3は、上述した実施例1に対して、減衰力を電子制御可能なダンパ780を利用して車両停止時のブレーキペダル5の更なる踏み込みを抑制することで、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を抑制する点が異なる。その他、上述した実施例1と同様であってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0056】
実施例3におけるブレーキブースタ81は、キー部材63の外周部には、上述の実施例1において用いられたプッシュロッド701が接続されず(即ちプッシュロッド701が存在せず)、それに伴い、ハウジング10には、上述の実施例1において用いられたグロメット706を嵌め込むための穴が存在しない点が異なる。
【0057】
本実施例の車両用ブレーキ装置3は、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの嵌合部の磨耗を抑制する手段(ブレーキアシスト作動抑制手段8)として、主に、ダンパ780と、コントローラ753とを備える。
【0058】
ダンパ780は、磁性流体を収容する収容室788を画成するシリンダボデー784と、ピストン785と、磁性流体の粘度を変化させるためのコイル782とを備える。シリンダボデー784は、車体に固定される。磁性流体は、例えばフェライトに代表される強磁性材料の微粒子を水や有機溶媒に溶かした流体であってよい。コイル782は、シリンダボデー784に埋設されてよい。コイル782に印加される電流は、コントローラ753により制御される。コイル782に印加される電流が変化されると、それに伴いコイル782により収容室788内に形成される磁場が変化し、それに伴い磁性流体の粘度が変化する。ピストン785は、例えば入力ロッド40と同様の連結形態で、ブレーキペダル5に連結される。ブレーキペダル5が踏み込まれると、ピストン785が前方(図のY1方向)に移動し、それに伴い磁性流体がピストン785のオリフィス786を通過し、その際の粘性抵抗により減衰効果が奏される。このときの減衰力は、上述の如く磁性流体の粘度をコイル782に対する印加電流を変化させることにより制御可能である。
【0059】
コントローラ753は、車輪速センサ760の出力信号に基づいて、車両が停止状態にあるか否かを判定する。コントローラ753は、車両が停止状態にあると判定した場合には、コイル782に対する印加電流を変化させて、磁性流体の粘度を通常値よりも高い所定値に変化させる。磁性流体の粘度の通常値は、例えば減衰力が実質的に発生しないような値に設定され、走行中のブレーキペダル5に対する所望の操作フィーリングを確保する。磁性流体の粘度の所定値は、運転者が車両停止状態から更にブレーキペダル5を踏み込むことが困難又は実質的に不能となるような値に設定される。
【0060】
図9は、ブレーキペダル5のストローク(ペダルストローク)に対するブレーキペダル5の操作力(ペダル踏力)の関係を示す特性図である。図10に示すように、車両停止時の特性は、ブレーキペダル5のストロークが所定値Thまでは、通常時(車両走行中)の特性と同様であるが、ブレーキペダル5のストロークが所定値Thを超えると、通常時の特性よりもペダルストロークに対するペダル踏力の増加率が大きくなる。かかる車両停止時の特性は、例えば磁性流体の粘度がコイル印加電流の増加と共に増加するものであれば、車両停止時にブレーキペダル5のストロークが所定値Thを超えた場合に、コイル印加電流を、ストロークに応じた所定の目標値まで増加することで実現される。所定値Thは、車両を停止状態まで減速するのに必要なストローク量又は車両を停止状態に維持するのに必要な最小限のストローク量に対応してよい。尚、所定値Thは、道路勾配や現在の車速等に依存して可変されてもよい。
【0061】
以上説明した本実施例3による車両用ブレーキ装置3によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0062】
車両停止時に、ダンパ780の減衰力を高めることでブレーキペダル5を踏み込みに対する抵抗が増大されるので、かかるダンパ780が存在しない構成に比べて、同一ストローク移動させるのに必要なブレーキペダル5の操作力が大きくなる。これにより、車両停止時における運転者によるブレーキペダル5に対する強い踏み込みが抑制されるので(抵抗が増えるが故に運転者のブレーキペダル5を更に踏み込もうとする意識が抑制されるので)、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を効果的に低減することができる。
【実施例4】
【0063】
図10は、本発明の実施例4による車両用ブレーキ装置4の主要断面を示す図である。車両用ブレーキ装置4は、上述した実施例3に対して、ダンパ790を利用して車両停止時のブレーキペダル5の更なる踏み込みを抑制することで、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を抑制する点で共通するが、ダンパ790の減衰力を車両の減速度の変化を利用して機構的に可変させる点が異なる。その他、上述した実施例3と同様であってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0064】
本実施例の車両用ブレーキ装置4は、スライドバルブ60のフック60bと係止部材64のフック64aとの嵌合部の磨耗を抑制する手段(ブレーキアシスト作動抑制手段9)として、主に、ダンパ790と、振り子型の磁石792とを備える。
【0065】
ダンパ790自体の構成は、上述した実施例3におけるダンパ780に対して、上述した実施例3におけるダンパ780で用いられたコイル782が存在しない点だけが異なり、他の構成要素は同様であってよい。尚、磁性流体は、印加される磁力が大きいほど粘度が大きくなる特性を有している。
【0066】
振り子型の磁石792は、例えばシリンダボデー784の内部空間に、収容室788に隣接して設けられる。振り子型の磁石792は、シリンダボデー784の内部空間の上壁にピン等を介して回転可能に支持される。振り子型の磁石792は、適切なマス(質量)を有し、車両に発生する減速度に応じて慣性力を受けて振り子式に回転する。
【0067】
車両停止時には、車両に発生する減速度がゼロとなるので、磁石792は、図10にて実線で示すように、鉛直方向に位置する。この位置では、磁石792は収容室788内に所定の磁場を形成し、それに伴い収容室788内の磁性流体の粘度が大きくなる。従って、車両停止時には、上述した実施例3と同様、ダンパ790の減衰力が高くなる。即ち、車両停止時には、ブレーキペダル5を踏み込みに対する抵抗が増大される
一方、車両走行中に運転者がブレーキペダル5を踏み込んだ場合には、車両に減速度が発生するので、磁石792は、図10にて点線で示すように、前方に振られた位置に移動する。この前方位置では、磁石792は収容室788に対して隣接せず前方側に離反しているので、収容室788内には実質的に磁場が形成されない。従って、収容室788内の磁性流体の粘度が低下する。このため、車両走行中に運転者がブレーキペダル5を踏み込んだ場合には、ダンパ790の減衰力が高くならず、走行中のブレーキペダル5に対する所望の操作フィーリングが確保される。
【0068】
以上説明した本実施例4による車両用ブレーキ装置4によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0069】
振り子型の磁石792を利用することで、走行中の制動時のダンパ782の減衰力を機構的に弱め、車両停止時のダンパ782の減衰力を機構的に高めることができる。これにより、車両停止時に、ダンパ782の減衰力を高めることでブレーキペダル5を踏み込みに対する抵抗が増大されるので、車両停止時における運転者によるブレーキペダル5に対する強い踏み込みが抑制され、車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗を効果的に低減することができる。また、振り子型の磁石792によりダンパ782の減衰力を可変する構成とすることで、ダンパ782の減衰力を可変制御するコントローラを不要とすることができる。
【0070】
尚、以上説明した各実施例においては、「係止部材64のフック64a」が、添付の特許請求の範囲における「フック係合部」に対応し、「Y2方向」が、同請求の範囲における「第1方向」に対応し、「Y1方向」が、同請求の範囲における「第2方向」に対応する。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例1による車両用ブレーキ装置1の主要断面を示す図である。
【図2】図1のA部の拡大図である。
【図3】車両走行中における機械式のブレーキアシスト機構の作動状態を示す図であり、ブレーキブースタ80の関連する一部のみを示す断面図である。
【図4】車両走行中における機械式のブレーキアシスト機構の作動時のフック60bとフック64aとの係合部の磨耗の発生原理の説明図である。
【図5】車両停止時に運転者がブレーキペダル5をゆっくり強く踏んだ際のプッシュロッド701が移動した状態を示す図である。
【図6】車両停止時におけるフック60bとフック64aとの係合部の磨耗の低減原理の説明図である。
【図7】本発明の実施例2による車両用ブレーキ装置2の主要断面を示す図である。
【図8】本発明の実施例3による車両用ブレーキ装置3の主要断面を示す図である。
【図9】ペダルストロークに対するペダル踏力の関係を示す図である。
【図10】本発明の実施例4による車両用ブレーキ装置4の主要断面を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1,2,3,4 車両用ブレーキ装置
5 ブレーキペダル
6,7,8,9 ブレーキアシスト作動抑制手段
10 ハウジング
20 可動隔壁
30 パワーピストン
40 入力ロッド
41 プランジャ
50 出力部材
60 スライドバルブ
60b フック
62 スプリング
63 キー部材
64 係止部材
64a フック
70 コントロールバルブ
80,81 ブレーキブースタ
R1 定圧室
R2 変圧室
701,702 プッシュロッド
704 先端部
706 グロメット
710 クラッチ手段
720 プッシュロッド駆動手段
730 収納ボックス
732 ゴムブッシュ
750,752,763 コントローラ
760 車輪速センサ
762 操作ストローク検出センサ
780,790 ダンパ
782 コイル
784 シリンダボデー
785 ピストン
786 オリフィス
788 収容室
792 振り子型の磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式のブレーキアシスト機構を備えるブレーキブースタと、
車両停止時に前記ブレーキアシスト機構の作動を抑制する抑制手段とを備えることを特徴とする、車両用ブレーキ装置。
【請求項2】
前記機械式のブレーキアシスト機構は、弾性部材によりエアバルブの開度を開く方向(以下、第1方向という)に付勢されたスライドバルブに設けられるフックと、パワーピストン側に設けられ、係合時に前記フックの前記第1方向への移動を係止するフック係合部とを含み、前記フックと前記フック係合部との係合は、入力ロッドとパワーピストンとの間に相対変位が発生した際に外れるように構成されており、
前記抑制手段は、車両停止時にブレーキ操作時の入力ロッドの動きに連動して、前記スライドバルブを、前記弾性部材による付勢力に対抗する方向(以下、第2方向という)に付勢する手段である、請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項3】
前記抑制手段は、車両停止時に、前記フックが前記フック係合部に対して前記第2方向に離間する位置まで、前記スライドバルブを前記第2方向に移動させる、請求項2に記載の車両用ブレーキ装置。
【請求項4】
前記抑制手段は、車両停止時に、ブレーキペダルの踏み込み力に対して作用する減衰力を増加させる手段である、請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−162431(P2008−162431A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354610(P2006−354610)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】