説明

車両用ミラー装置

【課題】 フレームの保持剛性を向上させた車両用ミラー装置を得る。
【解決手段】 車両用ドアミラー装置10は、フレーム18と、ケースロア32と、ケースアッパ34とを備える。ここで、一対の下ネジ48がケースロア32に貫通されてフレーム18の下螺合孔50に螺合されると共に、上ネジ54がケースアッパ34のフレーム保持片52に貫通されてフレーム18の上螺合孔56に螺合されている。このようにして、フレーム18がケースロア32とケースアッパ34との双方に取り付けられている。これにより、フレーム18は、ケースロア32とケースアッパ34との2つの部材によって保持されるため、フレーム18の保持剛性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ミラー装置、例えば電動格納式の車両用ドアミラー装置が従来より提案されており、その一例が下記特許文献1に開示されている。
【0003】
車両用ミラー装置には、支持軸が設けられており、支持軸は、車体に固定されている。この支持軸には、ケース部材が、回動可能に支持されている。
【0004】
また、ケース部材には、フレームが取り付けられており、これにより、フレームはケース部材によって保持されている。
【0005】
フレームにはミラーが連結されており、ケース部材が一方に回動されることでミラーが格納位置に移動されると共に、ケース部材が他方に回動されることでミラーが起立位置に移動される。
【0006】
しかしながら、このような車両用ミラー装置では、フレームがケース部材下側のケースロアのみに取り付けられて、ケースロアのみによって保持される構成である。このため、フレームの保持剛性が低い。
【特許文献1】特開2004−243799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、フレームの保持剛性を向上させた車両用ミラー装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る車両用ミラー装置は、車体に固定された支持軸と、ミラーに連結されたフレームと、前記支持軸に回動可能に支持され、前記フレームに取り付けられ、一方に回動されることで前記ミラーを格納位置に移動させると共に、他方に回動されることで前記ミラーを起立位置に移動させるケースロアと、前記ケースロアに結合され、前記フレームに取り付けられることで前記ケースロアと共に前記フレームを保持したケースアッパと、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の発明に係る車両用ミラー装置では、支持軸が車体に固定されている。そして、この支持軸には、ケースロアが回動可能に支持されている。また、ケースロアには、ケースアッパが結合されており、ケースロア及びケースアッパの各々は、フレームに取り付けられている。フレームはミラーに連結されており、ケースロア及びケースアッパが一方に回動されることでミラーが格納位置に移動されると共に、ケースロア及びケースアッパが他方に回動されることでミラーが起立位置に移動される。
【0010】
ここで、請求項1記載の車両用ミラー装置では、フレームがケースロアとケースアッパとの双方に取り付けられている。これにより、フレームはケースロアとケースアッパとの2つの部材で保持されているため、フレームの保持剛性を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明に係る車両用ミラー装置は、請求項1記載の発明において、前記ケースロアと前記ケースアッパとが、前記ケースロア又は前記ケースアッパの前記フレームへの取付位置の両側で結合された、ことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明に係る車両用ミラー装置では、ケースロアとケースアッパとがケースロア又はケースアッパのフレームへの取付位置の両側で結合されている。このため、ケースロア又はケースアッパのフレームへの取付位置でのケースロアとケースアッパとの結合剛性が高められる。この結果、ケースロア又はケースアッパのフレームへの取付位置の剛性が高められる。従って、フレームの保持剛性を一層向上させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る車両用ミラー装置は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記ケースロアと前記ケースアッパとが、前記ケースロア又は前記ケースアッパの前記フレームへの取付位置側及び当該取付位置側の反対側で結合された、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明に係る車両用ミラー装置では、ケースロアとケースアッパとがケースロア又はケースアッパのフレームへの取付位置側及びこの取付位置側の反対側で結合されている。このため、ケースロアとケースアッパとの結合剛性が高められる。この結果、ケースロア及びケースアッパの剛性が高められる。従って、フレームの保持剛性を一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した如く本発明に係る車両用ミラー装置は、フレームの保持剛性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1には、本発明の実施の形態に係る車両用ミラー装置としての車両用ドアミラー装置10の概略が分解斜視図にて示されており、図2には、車両用ドアミラー装置10の主要部が分解斜視図にて示されている。
【0017】
車両用ドアミラー装置10は、ドアミラーステー12を備えており、ドアミラーステー12は、車両のドア(車体)に固定されている。
【0018】
ドアミラーステー12には、例えば円筒状の支持軸14が立設されており、これにより、支持軸14は車両のドアに固定されている。
【0019】
支持軸14には、ミラー格納機構としての電動格納機構16が回動可能に支持されている。この電動格納機構16は、略板状のフレーム18の車両内側部に取り付けられている。そして、フレーム18の車両後側には、保持部材20が取り付けられている。さらに、保持部材20の車両後側には車両後方視認用のミラー22が連結されており、これにより、フレーム18はミラー22に連結されると共に、ミラー22が起立位置(通常位置)に配置されている。
【0020】
以上説明したようなフレーム18、保持部材20、及び電動格納機構16は、ドアミラーバイザー24に収容されている。ドアミラーバイザー24は、車両前側のバイザーカバー26と、車両後側のバイザーリム28とが互いに嵌合されて構成されている。これらのバイザーカバー26とバイザーリム28とは共にフレーム18に固定されている。
【0021】
電動格納機構16には、略楕円柱形箱状のケース部材30が設けられている。ケース部材30は、下側のケースロア32と、上側のケースアッパ34とを有している。これらのケースロア32及びケースアッパ34は共に強化樹脂(例えば、ナイロン入りの強化材質)で形成されており、ケースロア32の上端と、ケースアッパ34の下端とは、ケースロア32がケースアッパ34の内周側に配置された状態で嵌合されている。
【0022】
図3にも詳細に示されるように、ケースロア32の上端近傍には、車両内側部分において、略三角柱状の内締結柱36が一体に設けられており、内締結柱36はケースロア32から車両内側へ張り出している。
【0023】
また、ケースロア32の上端近傍には、車両外側部分において、略四角柱形箱状の外締結箱38が一体に設けられており、外締結箱38は、ケースロア32から車両外側へ張り出している。外締結箱38は、車両内側壁及び底壁が設けられておらず、外締結箱38の車両内側の部分はケースロア32によって閉じられると共に、外締結箱38の車両下側の部分は開放されている。
【0024】
図4にも詳細に示されるように、ケースアッパ34の下端近傍には、車両内側部分において、略三角形板状の内締結板40が一体に設けられており、内締結板40はケースアッパ34から車両内側へ張り出している。
【0025】
また、ケースアッパ34の下端近傍には、車両外側部分において、一対の略矩形板状の外締結板42が車両前後方向に並んで一体に設けられており、外締結板42はケースアッパ34から車両外側へ張り出している。
【0026】
ケースロア32の内締結柱36とケースアッパ34の内締結板40とは、内ネジ44によって締結されると共に、ケースロア32の外締結箱38とケースアッパ34の一対の外締結板42とは、一対の外ネジ46によって締結されており、これによって、ケースロア32とケースアッパ34とが結合(締結)されている。
【0027】
このように、ケースロア32とケースアッパ34とが、車両内側(内締結柱36、内締結板40)で内ネジ44によって結合されると共に車両外側(外締結箱38、一対の外締結板42)で外ネジ46によって結合されている。
【0028】
また、ケースロア32の下部には、車両内側部分及び車両外側部分のそれぞれにおいて、下ネジ48が貫通されており、一対の下ネジ48の先端がフレーム18の車両内側部下端に形成された一対の下螺合孔50にそれぞれ螺合されて、一対の下ネジ48の頭部とフレーム18との間にケースロア32が挟持されることで、ケースロア32がフレーム18に取り付けられている(締結されている)。
【0029】
そして、ケースアッパ34の車両外側部分には、略四角柱状のフレーム保持片52が一体に設けられており、フレーム保持片52は、その車両内側の側面全体がケースアッパ34に密着した状態でケースアッパ34から車両外側に突出している。このフレーム保持片52の下端は、一対の外締結板42と一体とされており、フレーム保持片52の車両前後方向両側には、外締結板42が1枚ずつ配置されている。またさらに、フレーム保持片52の上部には、上ネジ54が貫通されており、上ネジ54の先端がフレーム18の車両内側部上部に形成された上螺合孔56に螺合されて、上ネジ54の頭部とフレーム18との間にフレーム保持片52が挟持されることで、ケースアッパ34がフレーム18に取り付けられている(締結されている)。
【0030】
以上説明したように、ケース部材30のケースロア32及びケースアッパ34がフレーム18に取り付けられることで、ケース部材30において電動格納機構16がフレーム18に取り付けられている。
【0031】
また、ケースロア32の底壁の車両内側部分には、ドアミラーステー12の支持軸14が貫通されると共に支持軸14が嵌合されている。これにより、ケース部材30内に支持軸14が挿入されると共に、ケース部材30において、電動格納機構16が支持軸14に回動可能に支持されている。
【0032】
ケース部材30には、モータ58が固定された状態で収容されており、モータ58の回転軸60は、ケースロア32内に配置されている。図3にも示されるように、モータ58の回転軸60には、ウォーム62が取り付けられている。このウォーム62には、ヘリカルギヤ64が噛み合わされている。そして、ヘリカルギヤ64には、シャフトウォーム66の中心軸68が挿通されており、シャフトウォーム66はヘリカルギヤ64に対して相対回転不能とされている。このシャフトウォーム66には、ウォームギヤ70が噛み合わされている。従って、モータ58の駆動力(モータ58の回転軸60の回転力)がウォーム62、ヘリカルギヤ64、及びシャフトウォーム66を介してウォームギヤ70に伝達されるようになっている。
【0033】
また、ウォームギヤ70には前述のドアミラーステー12の支持軸14が挿通されており、ウォームギヤ70は支持軸14に対して相対回転できないようにされている。このため、モータ58の駆動力がウォーム62、ヘリカルギヤ64、及びシャフトウォーム66を介してウォームギヤ70(さらに言えば、支持軸14)に伝達されると、ウォームギヤ70の周りをシャフトウォーム66が回動し、これにより、モータ58、ひいてはケースロア32(さらに言えば、ケース部材30)がモータ58の駆動力の反力をウォームギヤ70側から受けて支持軸14の軸周りに回動する。
【0034】
ケース部材30は、前述の如くフレーム18に取り付けられており、これにより、ケース部材30とミラー22とが連結されている。このため、モータ58が例えば正転することで生じたモータ58の駆動力(ここでは、モータ58の回転軸60の正方向の回転力)の反力によってケース部材30の車両外側の部分が車両後側へ回動されるとミラー22が起立位置から格納位置に移動されると共に、モータ58が例えば逆転することで生じたモータ58の駆動力(ここでは、モータ58の回転軸60の逆方向の回転力)の反力によって上記のケース部材30の車両外側の部分(モータ58の正転により車両外側から車両後側へ回動された部分)が車両外側へ回動されるとミラー22が格納位置から起立位置に移動(復帰)される。
【0035】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0036】
車両用ドアミラー装置10では、例えばモータ58が正転すると、ケース部材30の車両外側の部分が車両後側へ回動され、これにより、ミラー22が起立位置から格納位置に移動される。
【0037】
次いで、モータ58が逆転すると、ケース部材30の上記の車両外側の部分(モータ58の正転により車両外側から車両後側へ回動された部分)が車両外側へ回動され、これにより、ミラー22が格納位置から起立位置に移動(復帰)される。
【0038】
ここで、車両用ドアミラー装置10では、ケースロア32がフレーム18に一対の下ネジ48によって取り付けられると共にケースアッパ34がフレーム18に上ネジ54によって取り付けられている。これにより、フレーム18はケースロア32とケースアッパ34との2つの部材で保持されるため、フレーム18の保持剛性を向上させることができる。またこのため、フレーム18、ひいてはミラー22の所謂びびりの発生を抑制できる。
【0039】
また、図2及び図4に示されるように、車両用ドアミラー装置10では、車両外側部分において、ケースロア32の外締結箱38とケースアッパ34の一対の外締結板42とがケースアッパ34のフレーム保持片52(ケースアッパ34のフレーム18への取付位置)の両側で一対の外ネジ46によって結合されている。このため、ケースアッパ34のフレーム保持片52でのケースロア32とケースアッパ34との結合剛性が高められる。この結果、フレーム保持片52の剛性が高められる。従って、フレーム18の保持剛性を一層向上させることができる。
【0040】
これに加えて、本車両用ドアミラー装置10では、車両内側部分において、ケースロア32の内締結柱36とケースアッパ34の内締結板40とが内ネジ44によって結合されている。このように、車両用ドアミラー装置10では、ケースロア32とケースアッパ34とが、ケースアッパ34のフレーム保持片52側(車両外側)及びこのフレーム保持片52側の反対側(車両内側)、言い換えれば車両内外方向の両端側で結合されている。このため、ケースロア32とケースアッパ34との結合剛性が高められる。この結果、ケース部材30の剛性が高められる。従って、フレーム18の保持剛性を一層向上させることができる。
【0041】
ここで、仮に、フレーム18をケースロア32のみで保持する場合を考える。この場合、ケースロア32によるフレーム18の保持剛性を高めるためには、ケースロア32をケースアッパ34の傍らに延出させて、この延出部分を前述のフレーム保持片52の代わりとしてケースアッパ34の傍らでフレーム18に取り付け、フレーム18の保持領域(ケースロア32のフレーム18への取付位置の3点を結ぶことで得られる三角形)を大きく確保すればよい。しかしながら、このような構成では、ケースロア32の延出部分とケースアッパとの間に隙間ができてこの延出部分の剛性が低くなってしまい、この結果、フレーム18の保持剛性を高めることは難しい。このため、ケースアッパ34の延出部分のサイズを拡大させたり質量を増加させてこの延出部分の剛性を高める必要がある。
【0042】
この点、本発明に係る車両用ドアミラー装置10では、前述の如くケースロア32とケースアッパ34との2つの部材によってフレーム18を保持する構成であるため、フレーム18の保持領域(ケースロア32及びケースアッパ34のフレーム18への取付位置の3点を結ぶことで得られる三角形)を大きく確保できるだけでなく、フレーム保持片52(さらに言えば、フレーム保持片52の車両内側の側面全体)がケースアッパ34と一体とされていることからフレーム保持片52の剛性も高めることができる。従って、ケースロア32のサイズを拡大したり質量を増加させたりしなくても、フレーム18の保持剛性を向上させることができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、車両外側において、ケースロア32とケースアッパ34とが、ケースアッパ34のフレーム保持片52の両側で一対の外ネジ46によって締結されるものとしたが、本発明はこれに限らない。本発明は、ケースロア32とケースアッパ34との2つの部材でフレーム18を保持する構成とした上で、例えば、ケースロア32とケースアッパ34とが、ケースロア32のフレーム18への取付位置の両側で結合されるようにしてもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、本発明を車両用ドアミラー装置10に適用した構成について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明は、例えば、車両用フェンダーミラー装置等の他の車両用ミラー装置に適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の概略を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の要部を示す分解斜視図である。
【図3】図2の3−3線に沿ったケースロアの平断面図である。
【図4】ケースアッパの平面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
14 支持軸
18 フレーム
22 ミラー
32 ケースロア
34 ケースアッパ
36 内締結柱
38 外締結箱
40 内締結板
42 外締結板
52 フレーム保持片(ケースアッパのフレームへの取付位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定された支持軸と、
ミラーに連結されたフレームと、
前記支持軸に回動可能に支持され、前記フレームに取り付けられ、一方に回動されることで前記ミラーを格納位置に移動させると共に、他方に回動されることで前記ミラーを起立位置に移動させるケースロアと、
前記ケースロアに結合され、前記フレームに取り付けられることで前記ケースロアと共に前記フレームを保持したケースアッパと、
を備えた車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記ケースロアと前記ケースアッパとが、前記ケースロア又は前記ケースアッパの前記フレームへの取付位置の両側で結合された、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記ケースロアと前記ケースアッパとが、前記ケースロア又は前記ケースアッパの前記フレームへの取付位置側及び当該取付位置側の反対側で結合された、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−83792(P2007−83792A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272922(P2005−272922)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】