説明

車両用ランプ

【課題】インナレンズのレンズカット、アウタレンズのレンズカットあるいはリフレクタの反射面の配光制御による外側への配光制御は不十分であった。
【解決手段】車両用ランプはハウジング400及びハウジング400に固定されたアウタレンズ500によって規定される灯室に配置され、ハウジング400に設けられた光源11、光源11を中心として光源を囲むリフレクタ12、リフレクタ12とアウタレンズ500との間に位置するカット入りインナレンズ13a、インナレンズ13aをハウジング400に支持する仕切壁としてのエクステンション14よりなる。リフレクタ12及びエクステンション14に開口100aを設け、光源11からの光線の一部を開口100aから漏光せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向車、追従車、歩行者等が車両の前後、側方から視認できる車両用ランプに関する。この車両用ランプは、たとえば、複数のランプが1つの灯室内に設けられたコンビネーションランプにおけるクリアランスランプ、コーナリングランプ、サイドターンシグナルランプとして用いられる。
【背景技術】
【0002】
図3は従来の車両用ランプを含むコンビネーションランプを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は斜視図である。尚、コンビネーションランプについては、特許文献1を参照されたし。
【0003】
図3においては、3つのランプ、すなわち、フロントターンシグナルランプ100、ハイビーム用ヘッドランプ200及びロービーム用ヘッドランプ300が1つの灯室内に設けられている。つまり、ハウジング400(図3に図示せず、図4、図5、図6に図示)及びハウジング400に固定されたアウタレンズ500はフロントターンシグナルランプ100、ハイビーム用ヘッドランプ200及びロービーム用ヘッドランプ300に共通である。
【0004】
フロントターンシグナルランプ100、ハイビーム用ヘッドランプ200及びロービーム用ヘッドランプ300の順に隅にかつ後方に配置されている。また、フロントターンシグナルランプ100等の機能ランプは、車両の運転状況を対向車、追従車、歩行者等に知らせるために、車両の側方から視認できるように配光制御されている。
【0005】
従来の車両用ランプとしての図3のフロントターンシグナルランプ100の配光制御を図4、図5、図6を用いて説明する。
【0006】
図4は第1の従来の車両用ランプたとえば図3のフロントターンシグナルランプを示す断面図である。
【0007】
図4の車両用ランプはハウジング400及びハウジング400に固定されたアウタレンズ500によって規定される灯室に配置され、ハウジング400に設けられた光源11、光源11を中心として光源を囲むリフレクタ12、リフレクタ12とアウタレンズ500との間に位置するレンズカット131入りインナレンズ13a、インナレンズ13aをハウジング400に支持する仕切壁としてのエクステンション14よりなる。
【0008】
図4のインナレンズ13aにレンズカット131をすることによりリフレクタ12からの反射光を配光制御する。
【0009】
図4の車両用ランプによれば、光源11の法線方向を0°とした場合、内側45°方向から外側80°方向の発光範囲が得られる。
【0010】
図5は第2の従来の車両用ランプたとえば図3のフロントターンシグナルランプを示す断面図である。
【0011】
図5においては、図4のカット入りインナレンズ13aをカットなしのインナレンズ13とし、その代りに、図4のアウタレンズ500をレンズカット501入りアウタレンズ500aとした。
【0012】
図5のアウタレンズ500aにレンズカット501をすることによりリフレクタ12からの反射光を配光制御する。
【0013】
図5の車両用ランプによれば、光源11の法線方向を0°とした場合、内側45°方向から外側80°方向の発光範囲が得られる。
【0014】
図6は第3の従来の車両用ランプたとえば図3のフロントターンシグナルランプを示す断面図である。
【0015】
図6においては、図4のカット入りインナレンズ13aをカットなしのインナレンズ13とし、その代りに、図4のリフレクタ12の一部にたとえば拡散反射面(図示せず)を配置したリフレクタ12aとした。
【0016】
図6においては、リフレクタ12aからの反射光を直接配光制御する。
【0017】
図6の車両用ランプによれば、光源11の法線方向を0°とした場合、内側45°方向から外側80°方向の発光範囲が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−56623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上述の第1の従来の車両用ランプにおいては、インナレンズのレンズカットのみでは、発光範囲(-45°〜+80°)特に外側80°は実際にはインナレンズ及び光源の制約から達成し得ず、また、上述の第2の従来の車両用ランプにおいても、アウタレンズのレンズカットのみでは、発光範囲(-45°〜+80°)特に外側80°は実際にはアウタレンズ及び光源の制約から達成し得ず、さらに、上述の第3の従来の車両用ランプにおいても、アウタレンズのレンズカットのみでは、発光範囲(-45°〜+80°)特に外側80°は実際にはエクステンションの制約から達成し得ず、この結果、車両の側方から視認しにくいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の課題を解決するために、本発明に係る車両用ランプは、ハウジングと、ハウジングに固定されたアウタレンズと、ハウジングに設けられた光源と、光源を中心に光源を囲むリフレクタと、リフレクタとアウタレンズとの間に設けられたインナレンズと、リフレクタの主反射面以外の領域を隠蔽する仕切壁として作用するエクステンションとを具備し、リフレクタ及びエクステンションに開口を設け、光源の光線の一部を開口より漏光せしめるようにしたものである。これにより、インナレンズの拡散光及び開口からの漏光による配光制御が行われる。
【0021】
また、車両用ランプがコンビネーションランプの1つのランプであり、光源の光線の漏光がコンビネーションランプの隣接する他のランプのインナレンズと上述のアウタレンズとの間に照射されるようにした。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両側方からの視認への配光制御の制約がなくなるので、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る車両用ランプを含むコンビネーションランプを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用ランプの実施の形態を示す断面図である。
【図3】従来の車両用ランプを含むコンビネーションランプを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は斜視図である。
【図4】第1の従来の車両用ランプを示す断面図である。
【図5】第2の従来の車両用ランプを示す断面図である。
【図6】第3の従来の車両用ランプを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明に係る車両用ランプを含むコンビネーションランプを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は斜視図である。
【0025】
図1においては、図3のフロントターンシグナルランプ100の代りに、ハイビーム用ヘッドランプ200側に開口100aを有するフロントターンシグナルランプ100’を設けてある。これにより、フロントターンシグナルランプ100’からの漏光がハイビーム用ヘッドランプ200及びロービーム用ヘッドランプ300側に照射され、車両の側方で視認できるようになる。
【0026】
図2は本発明に係る車両用ランプたとえば図1のフロントターンシグナルランプの実施の形態を示す断面図である。
【0027】
図2においては、図4のカット入りインナレンズ13aをカットなしのインナレンズ13とし、その代りに、図4のリフレクタ12及びエクステンション14に図1の開口100aを設けた。
【0028】
図2においては、光源11からの光線L1のインナレンズ13による拡散可能範囲は、
α+β
但し、αはインナレンズ13への入射角、
βはインナレンズ13の拡散角
で定まり、他方、光源11からの光線L2の開口100aからの漏光は、外側85°方向が可能となる。従って、図2の車両用ランプによれば、インナレンズ13及び光源11の制約を受けずに、内側45°方向から外側85°方向の発光範囲が得られ、車両の側方からの視認は容易となる。
前記開口にはさらに、拡散作用を含む配光制御機能を備えたレンズやプリズム、拡散板などを備えることで、側方からの視認性を向上することもできる。
【0029】
上述の実施の形態によれば、車両用ランプ内の熱を開口100aを介して逃がすことができるので、車両用ランプの温度を下げることができ、この結果、車両用ランプに耐熱性の比較的低い材料を選択可能とし製造コストを低減できるほか、熱ストレスの軽減から耐久性を向上することができる。このとき前記配光制御機能を備えたレンズやプリズム、拡散板などは、たとえば鎧戸状、パンチ板状、スリット状、ドーナツ状などの開口を備えた形状であることが好ましい。
【符号の説明】
【0030】
11:光源
12、12a:リフレクタ
13、13a:インナレンズ
14:エクステンション
100、100’:フロントターンシグナルランプ
200:ハイビーム用ヘッドランプ
300:ロービーム用ヘッドランプ
400:ハウジング
500、500a:アウタレンズ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジングに固定されたアウタレンズと、
前記ハウジングに設けられた光源と、
該光源を中心に該光源を囲むリフレクタと、
該リフレクタと前記アウタレンズとの間に設けられたインナレンズと、
前記リフレクタの主反射面以外の領域を隠蔽する仕切壁として作用するエクステンションとを具備し、
前記リフレクタ及び前記エクステンションに開口を設け、前記光源の光線の一部を該開口より漏光せしめるようにした車両用ランプ。
【請求項2】
前記車両用ランプがコンビネーションランプの1つのランプであり、前記光源の光線の前記漏光が該コンビネーションランプの隣接する他のランプのインナレンズと前記アウタレンズとの間に照射される請求項1に記載の車両用ランプ。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate