説明

車両用リモート格納ドアミラー装置

【課題】ミラー格納スイッチが、ドアのアームレスト部分に設置されている車両において、ドアハーネスのGNDラインを切断することなく、ドアミラーのリモート格納動作時に、他の負荷やスイッチの操作に支障を及ぼさず、ドアミラーのリモート格納動作が確実に行えると共に、後付け等ができて汎用性に優れ、かつコスト的に有利な車両用リモート格納ドアミラー装置を提供する。
【解決手段】ドアミラーを格納させるミラー格納モータと、ドアのアームレスト部分に取り付けられミラー格納モータを駆動させるミラー格納スイッチと、これらを制御する制御装置と、を備え、ミラー格納モータの接続を切り離すためのリレーをドア内部に設置すると共に、制御装置の制御信号により前記リレーを駆動させて、ミラー格納スイッチとミラー格納モータとの接続を一時的に遮断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四輪自動車等の車両用のリモート格納ドアミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、四輪自動車等の車両のドアに設けられるドアミラーとして、リモートコントロールによって操作可能なリモコンミラーが使用されている。このリモコンミラーにおいては、ミラー格納スイッチをリモコンでリモート操作する必要があるが、ドアミラーを格納するためのミラー格納スイッチは、通常、ドアのアームレスト部分に設置されている。そして、このミラー格納スイッチは、プッシュロック方式で、かつ、ミラー格納スイッチと左右のミラー格納モータとに直結されると共に、ミラー格納スイッチと運転席側のミラー格納モータが、運転席側のドア内でドアハーネスによって接続されている。なお、ドアミラーのリモートコントロール構造に関する公報としては、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−95019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のリモート格納ドアミラー装置においては、ドアミラーをリモート格納動作させる際に、ドアミラーが展開側にあるミラー格納スイッチに、展開側とは逆の電流を流して、ミラー格納モータを格納側に動作させる必要がある。この動作をするためには、ドアハーネスのミラー格納スイッチに接続されている電源ライン(ACC、GND)を切り離し、ミラー格納モータに逆電圧が加わるように接続することでリモート格納動作を可能にし得るが、このような接続にすると、ドア内のGNDラインが、他の負荷(例えばウィンカーランプ)や他の操作スイッチ(例えば携帯リモコンスイッチやリクエストスイッチ)と共通になっていることから、これらの動作や操作に支障をきたすことになる。
【0005】
その結果、ミラー格納モータをリモート動作させるには、ミラー格納スイッチとの接続を切り離すためのリレーが必要となり、このリレーの電線をドアハーネスに追加配線しなければならないが、ドアと車室内との接続となるため、配線に防水処理が必要で配線作業等が繁雑となり、また、ドアと車室内の接続にコネクタが使用されている場合には、電線の追加が不可能になる等、例えば既存の車両に容易に対応することが困難で汎用性の面で劣る。
【0006】
また、近年、ドアミラーにウィンカーランプが埋め込まれた車両が開発されているが、このような車両の場合に、ハザードランプを消し忘れて点滅している状態で、リモート格納ドアミラー装置が動作してドアミラーを格納してしまうと、ドアミラーの前方からの視認性が悪くなり、点滅状態を確実に視認できない虞があり好ましくない。さらに、ドアをロックするリモートドアロックのアンサーバックが、ハザードランプが点滅していると誤認し易く、ハザードランプの消し忘れに気が付かない場合もある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ミラー格納スイッチがドアのアームレスト部分に設置されている車両において、ドアハーネスのGNDライン等を切断することなく、他の負荷やスイッチの操作に支障を及ぼさず、ドアミラーのリモート格納動作を確実に行うことができると共に、装置の後付け等が容易にできて汎用性に優れ、かつコスト的に有利な車両用リモート格納ドアミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、ドアミラーを格納させるミラー格納モータと、ドアのアームレスト部分に取り付けられ前記ミラー格納モータを駆動させるミラー格納スイッチと、これらを制御する制御装置と、を備え、前記ミラー格納モータの接続を切り離すためのリレーを前記ドアの内部に設置し、前記制御装置の制御信号により前記リレーを駆動させて、前記ミラー格納スイッチとミラー格納モータとの接続を一時的に遮断することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記リレーの制御用電源が、前記ドアミラーの格納動作中に使用されない他の負荷を駆動させるためのドアハーネスの電線を時分割で使用することを特徴とする。さらに、請求項3に記載の発明は、前記制御装置が、該制御装置に接続されたハザードスイッチの操作でハザードランプが点滅中は、前記ミラー格納モータの駆動を禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、ミラー格納モータの接続を切り離すためのリレーをドアのアームレスト部分の内部に設置し、このリレーを制御装置の制御信号により駆動させて、ミラー格納スイッチとミラー格納モータの接続を一時的に遮断するため、ドアハーネスのGNDライン等を切断、すなわち、ドアハーネスを変更することなく、ドアミラーのリモート格納動作時に、例えばドアミラー内蔵のウィンカーランプ等の各種負荷や、携帯リモコンスイッチ、あるいは車両外側のドア取手近辺に設置されるリクエストスイッチ等の各種スイッチの機能を損なうことを防止して、これらの正常動作機能を確保することができる。また、ドアミラーを備えた既存の車両にも後付け等で容易に対応できる等、汎用性に優れると共にコスト的に安価な装置を得ることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、リレーの制御用電源が、ドアミラーの格納動作中に使用されない他の負荷を駆動させるためのドアハーネスの電線を時分割で使用しているため、使用される電線数の増加を抑えて、装置の設置作業を容易に行ったり、部材コストを低減させて、より安価な装置を得ることができる。
【0012】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、ハザードスイッチの操作でハザードランプが点滅中は、制御装置によりミラー格納モータの駆動が禁止されるため、ハザードランプの視認性に支障が生じることがなく、該ランプの消し忘れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係わる車両用リモート格納ドアミラー装置を使用したシステム図
【図2】同リモート格納ドアミラー装置の構成を示すブロック図
【図3】同その回路図
【図4】同その動作を示すフローチャート
【図5】同ドアミラーの格納動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明に係わるリモート格納ドアミラー装置の一実施形態を示している。図1のシステム図に示すように、リモート格納ドアミラー装置(以下、単にドアミラー装置という)は、運転席側のドア2に、運転席側のミラー格納モータ5aの正転もしくは逆転により、運転席側のドアミラー4aが格納もしくは展開可能に取り付けられている。また、ドア2のアームレスト部分にはミラー格納スイッチ6と切り離し用リレー7が設置されると共に、ドア2には、ミラー角度調整スイッチ8が設置されている。
【0015】
一方、助手席側のドア3には、助手席側のミラー格納モータ5bの正転もしくは逆転により、助手席側のドアミラー4bが格納もしくは展開可能に取り付けられると共に、ミラー角度調整モータ9が設置されている。前記ミラー格納スイッチ6は、一対のa接点とb接点を有するプッシュロック式のスイッチが使用され、運転席側のドアミラー4a及び助手席側のドアミラー4bを格納もしくは展開のどちらか一方の状態に保持するように構成されている。また、前記運転席側のミラー格納モータ5a及び助手席側のミラー格納モータ5bは、ポリスイッチ等により、格納や展開の動作端に達すると、モータコイルへの電源供給が遮断されて、各ミラー格納モータ5a、5bが停止するようになっている。
【0016】
前記ミラー格納スイッチ6には、ミラー制御装置10が接続されている。このミラー制御装置10には、ハザードスイッチ11が接続されると共に、バッテリー12に接続されたイグニッションスイッチ13、前記ミラー角度調整スイッチ8、ミラー角度調整モータ9、及び後述するBCM14等が接続されている。なお、前記ミラー制御装置10やハザードスイッチ11等は、車体のフロアー等の適宜位置に設置される。
【0017】
前記イグニッションスイッチ13は、IGON13a、ACC13b、OFF13cの3つの接点(端子)を有し、前記ドアミラー装置1はACC電源によって動作するようになっている。すなわち、イグニッションスイッチ13がACC13bに設定(ACC13bがON)されると、ミラー格納モータ5a、5bがミラー格納スイッチ6の状態に応じて、格納側(ミラー格納スイッチ6の両接点がa接点側の場合)もしくは展開側(ミラー格納スイッチ6の両接点がb接点側の場合)に駆動開始し、格納端もしくは展開端で停止するようになっている。
【0018】
前記切り離しリレー7は、前記ミラー格納スイッチ6のACC側の共通接点とミラー格納モータ5a、5bの一方の端子との間に接続された常閉接点7aと、ミラー格納スイッチ6のGND側の共通接点とミラー格納モータ5a、5bの他方の端子との間に接続された常閉接点7bと、ミラー制御装置10とGND間に接続されたリレーコイル7cを有している。そして、ミラー制御装置10からの制御信号により、リレーコイル7cに電源が供給されて切り離しリレー7が駆動すると、常閉接点7a、7bが開いてミラー格納スイッチ6と各ミラー格納モータ5a、5b間のACCライン及びGNDラインが遮断(切り離し)されるようになっている。
【0019】
ところで、この切り離しリレー7をミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5b間に接続した訳は次の理由による。すなわち、ミラー格納モータ5a、5bを外部(車外)から動作させるには、助手席側のミラー格納モータ5bに接続されている電線に電圧を印加すればよいが、この場合、ミラー格納スイッチ6を介して電源が短絡してしまうため、ドアハーネスのACCラインとGNDラインを切り離すか、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5bを切り離さなければならない。
【0020】
この切り離しは、ドアミラー4a、4bにウィンカーランプが設置されている車両の場合、ドアハーネスのGNDラインを切り離すと、トランスミッタでドアを施錠もしくは開錠した際のアンサーバックであるハザードランプの点滅、すなわち、ミラーウィンカーランプの点滅に支障が生じる。また、ドアの施錠、開錠用のリクエストスイッチや携帯リモコンスイッチが設置されている車両の場合には、ドアハーネスのGNDラインを切り離すと、リクエストスイッチ等による施錠、開錠ができなくなってしまう。
【0021】
そこで、前記ドアミラー装置1の場合、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bとの接続を切り離す構造として、前記切り離しリレー7をミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5b間に直列的に接続すると共に、ドアのアームレスト部分の内部に設置するようにしている。なお、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bの接続ラインを、一旦車室内に取り込んで、スイッチと負荷を個別の電線とする構成も考えられるが、このような場合、ドアハーネスの電線の本数が増えてしまうし、ユーザーの要求によりこの種の装置を後付けする場合に、ドアハーネスへの電線の追加は困難で対応することができない。
【0022】
これに対して、前記ドアミラー装置1の場合、切り離しリレー7をドア内部に設置しても、この切り離しリレー7を制御するための電線を追加しなければならないが、ドアミラー4a、4bが機能するのは、ユーザーが車両を離れる際、トランスミッタの使用、もしくは携帯リモコンスイッチの操作やリクエストスイッチの押下でドアを施錠した時なので、イグニッションスイッチ13はOFF状態であることから、これらを電源とする負荷のワイヤーハーネス(電線)は未使用である。そこで、前記ミラー格納装置1は、この未使用の電線であるミラー角度調整モータ9用の電線を、ミラー角度調整モータ9が動作していない時に使用、すなわち電線を時分割で使用することにより、使用される電線数の増加を低減させるようにしている。
【0023】
図2は、前記ドアミラー装置1の構成を示すブロック図であり、以下、図1に示す部位と同一部位については、同一符号を付して説明する。前記ミラー制御装置10の入力側には、IGON13a、ACC13b、ハザードスイッチ11、リモート操作によるドアロックのアンサーバック信号S1等の各種信号を出力するBCM14等が接続されている。アンサーバック信号は、通常、ウィンカーランプの点滅信号かブザーの継続音信号等である。このとき、方向指示器によるウィンカーランプの点滅か、アンサーバックでのウィカンカーランプの点滅かを判断するために、IGON13aの状態を監視しているが、ACC13bを代用することも可能である。また、ミラー制御装置10の出力側には、前記ミラー格納モータ5a、5bと切り離しリレー7(リレーコイル7c)及びミラー格納スイッチ6が接続されている。
【0024】
そして、前記ミラー制御装置10は、図3に示すように、CPU16を有し、このCPU16に接続された駆動用リレー17及び中継用リレー18とトランジスタ19等で構成されている。前記駆動用リレー17は、一対の常開接点とリレーコイルを有し、常開接点がミラー格納モータ5aに接続されている。また、前記中継用リレー18は、一つの常閉接点とリレーコイルを有し、常閉接点が前記ミラー格納スイッチ6に接続されている。また、前記トランジスタ19は、そのエミッタが前記切り離しリレー7のリレーコイル7cに接続され、トランジスタ19がオンすることにより、CPU16からリレーコイル7cに駆動信号が出力されるようになっている。なお、ミラー格納モータ5aへのACCラインの供給を強制的に遮断するための前記中継リレー18は、必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。
【0025】
また、前記CPU16には、前記IGON13a、ACC13b、常開接点を有するハザードスイッチ11が接続されると共に、前記BCM14からアンサーバック信号S1等が入力されるようになっている。なお、ミラー制御装置10の各種リレー17、18やトランジスタ19の構成は、図示した例に限定されず、所定の仕様を満たせば、安価な部品を選択使用することができる。また、CPU16の電源のレギュレーション回路、入出力の保護回路が必要であるが、これらは使用されるCPU16に応じて、最適な回路や部品を使用すればよく、図面上では割愛してある。
【0026】
また、ミラー制御装置10は、駆動用リレー17と中継用リレー18及びトランジスタ19を動作させるために常時使用可能な電源を必要とするが、図3の回路では、車両のバッテリー12を使用している。この場合、車両のバッテリー12の負荷を軽減するため、ドアミラー4a、4bのリモート格納動作時以外、CPU10は省電力モードを維持し、また、CPU10のレギュレーション回路等は、自己消費電流が極小となるように設定されている。
【0027】
次に、このように構成されたドアミラー装置1の動作の一例を、図4及び図5のフローチャートに基づいて説明する。図4に示すように、ドアミラー装置1は、車両に設置されてイグニッションスイッチ13のACCライン等が接続されると、プログラムがスタート(S100)し、先ず、判断1(S101)が実行される。この判断S101は、アンサーバック信号の入力に基づいて、ハザードスイッチ11、ACC13b、IGON13aの入力条件から、リモートドアロックされたか否かの判断、すなわち、トランスミッタでドアロックされたかの判断1aと、携帯リモコンスイッチやリクエストスイッチでドアロックされたかの判断1bの、2つの判断1a、1bのうち、いずれか一方の判断1a、1bで「YES」となった場合に「YES」と判断されるようになっており、この判断S101は「YES」になるまで繰り返される。
【0028】
判断S101で「YES」になると、ハザードスイッチ11が押下されたか否かが判断(S102)され、この判断S102で「ON」の場合、すなわち、ドアロック状態でハザードスイッチ11が押下されたONした場合は、プログラムがエンド(S104)となる。一方、判断S102で「OFF」の場合、すなわち、ドアロック状態でハザードスイッチ11が押下されない場合は、ミラー格納動作(S103)が実行される。
【0029】
このミラー格納動作は、図5に示すように、ミラー格納動作のプログラムがスタート(S1030)すると、ミラー制御装置10からトランジスタ19にオン信号が出力され、中継用リレー18を介してリレーコイル7cに駆動電源が供給されて切り離しリレー7が駆動し、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bの回路が、リレー接点7a、7bのOFFで機械的に切り離され(S1031)、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bが分離する。
【0030】
ステップS1031でミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bが分離したら、駆動用リレー17を動作させてミラー格納モータ5a、5bを駆動(S1032)させ、ドアミラー4a、4bの格納動作が開始される。そして、ドアミラー4a、4bの格納動作が開始されると、ACC13bの入力状態が判断(S1033)されて、もし格納動作中にACC13bの入力が「ON」になった場合、すなわちユーザーが車内にいて、イグニッションスイッチ13を操作してONした場合は、直ちにドアミラー4a、4bの格納動作、すなわちミラー格納モータ5a、5bが停止(S1035)する。このときの停止動作は、CPU16の制御信号により駆動用リレー13を即座にOFFにすることによって行われる。
【0031】
一方、判断S1033で「OFF」の場合、すなわちドアミラー4a、4bの格納動作中にACC入力がOFFの場合は、ドアミラー4a、4bが格納端か否かが判断(S1034)され、この判断S1034で「NO」の場合、すなわちドアミラー4a、4bが格納端まで格納されていない場合は、判断S1033に戻り、該判断S1033以降を繰り返す。一方、判断S1034で「YES」の場合、すなわちドアミラー4a、4bが格納端まで格納された場合は、前記ステップS1035に移行し、ミラー格納モータ5a、5bを停止させる。その後、CPU16の制御信号により、切り離しリレー7を駆動させてその接点7a、7bを常閉接点側にし、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bを接続(S1037)し、プログラムがエンド(S1038)となる。
【0032】
つまり、前記ドアミラー装置1の場合、運転席側のドア2の内部に設置されるミラー格納スイッチ6とドア2、3に設けられるミラー格納モータ5a、5bとの間に、切り離しリレー7を接続し、そのリレーコイル7cに接続したトランジスタ19をオン(もしくはオフ)させることで、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bのACCライン及びGNDラインを機械的にかつ一時的に切り離しできることになる。
【0033】
このように、前記ドアミラー装置1によれば、ミラー格納モータ5a、5bの接続を切り離すための切り離しリレー7を、運手席側のドア2のアームレスト部分の内部に設置し、この切り離しリレー7をミラー制御装置10の制御信号により駆動させて、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bの接続を切り離す等の制御をするため、ドアハーネスのGNDライン等を切断、すなわち車両側のハーネス配線類を変更することなく対応できて、格納ミラーを備えた既存の車両であっても、容易に後付けできる等、各種車両に対応できて汎用性に優れると共に、取り付け時間を短縮させたり構成を簡略化して、コスト的に安価な装置1を提供することが可能となる。
【0034】
また、ミラー制御装置10のCPU16により切り離しリレー7が駆動して、ミラー格納スイッチ6とミラー格納モータ5a、5bが機械的かつ自動的に分離(回路が遮断)するため、従来のようにミラー格納スイッチ6を介して電源ラインが短絡することがなくなり、例えばドアミラー4a、4bにウィンカーランプが内蔵されている車両の場合であっても、従来ミラー格納中は点滅しなかったシステムを、ドアミラー4a、4bの格納中でも通常の点滅機能を保持できるシステムとし、ウィンカーランプの消し忘れを防止することができる。
【0035】
また、携帯リモコンスイッチや、車両外側のドア2の取手部近辺に設置されるリクエストスイッチを備えた車両の場合であっても、ミラー格納中にこれらのスイッチの動作機能が損なわれることがなく、通常の動作機能を確保することができる。これらにより、前記ドアミラー装置1を車両に装着しても、車両に装備されているリクエストスイッチ機能、携帯リモコン機能、ドアミラーに内蔵された右側ウィンカーランプ点滅機能等、これらの全てに通常の動作機能を確保、すなわち、各種負荷や各種スイッチの機能に支障を及ぼすことなく使用することが可能となる。
【0036】
さらに、切り離しリレー7の制御用電源が、ドアミラー4a、4bの格納動作中に使用されない、他の負荷を駆動させるためのドアハーネスのミラー格納モータ5b用の電線を時分割で使用しているため、使用される電線数の増加を抑えることができて、装置1の設置・取り付け作業を一層容易に行うことができると共に、部材コストを低減させて、より安価な装置1を得ることが可能となる。
【0037】
また、ミラー制御装置10により、ハザードスイッチ11の操作でハザードランプが点滅中は、ミラー格納モータ5a、5bの駆動が禁止されるため、ハザードランプの視認性に支障をきたすことがなくなり、ハザードランプの消し忘れを防止して、バッテリー12上がりの発生等を抑えることが可能となる。
【0038】
なお、前記実施形態における、ドアミラー装置1やミラー制御装置10、あるいは切り離しリレー7、駆動用リレー17、中継用リレー18の接点構成、使用するトランジスタ19の形態等は一例であって、同等の機能が得られる他の適宜の構成を採用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、リモート操作で格納及び展開可能なドアミラーを備えた全ての車両に利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・・・・・・リモート格納ドアミラー装置
2・・・・・・・・(運転席側)ドア
3・・・・・・・・(助手席側)ドア
4a、4b・・・・ドアミラー
5a、5b・・・・ミラー格納モータ
6・・・・・・・・ミラー格納スイッチ
7・・・・・・・・切り離しリレー
7a、7b・・・・常閉接点
7c・・・・・・・リレーコイル
8・・・・・・・・ミラー角度調整スイッチ
9・・・・・・・・ミラー角度調整モータ
10・・・・・・・ミラー制御装置
11・・・・・・・ハザードスイッチ
13・・・・・・・イグニッションスイッチ
13a・・・・・・IGON
13b・・・・・・ACC
13c・・・・・・OFF
14・・・・・・・BCM
16・・・・・・・CPU
17・・・・・・・駆動用リレー
18・・・・・・・中継用リレー
19・・・・・・・トランジスタ
S1・・・・・・・アンサーバック信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアミラーを格納させるミラー格納モータと、ドアのアームレスト部分に取り付けられ前記ミラー格納モータを駆動させるミラー格納スイッチと、これらを制御する制御装置と、を備え、
前記ミラー格納モータへの接続を切り離すためのリレーを前記ドアの内部に設置し、前記制御装置の制御信号により前記リレーを駆動させて、前記ミラー格納スイッチとミラー格納モータとの接続を一時的に遮断することを特徴とする車両用リモート格納ドアミラー装置。
【請求項2】
前記リレーの制御用電源は、前記ドアミラーの格納動作中に使用されない他の負荷を駆動させるためのドアハーネスの電線を時分割で使用することを特徴とする請求項1に記載の車両用リモート格納ドアミラー装置。
【請求項3】
前記制御装置は、該制御装置に接続されたハザードスイッチの操作でハザードランプが点滅中は、前記ミラー格納モータの駆動を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用リモート格納ドアミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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