説明

車両用主電動機の軸受構造

【課題】油溜め部に入れた潤滑油の油面を適正に保ち,良好な潤滑性能を持った軸受け構造を備える車両用電動機を提供することにある。
【解決手段】車両の台車内に据え付けられている主電動機に有する、軸受周り構造の油溜め部の内部に設置した,水平方向且つ平行に複数枚の仕切り板は、等間隔に空けられた複数の穴を持つ板または金網により形成され,その隣り合う仕切り板の穴は互いにずれて設置されていることにより潤滑油の油面を適正に保ち,軸受けの潤滑を良好な状態にし,主電動機を常に良好な条件で運転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,車両用主電動機に係わり,軸受の潤滑のために潤滑油を使用する軸受周り構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用主電動機は,車両の台車部に設置されているため,車両の走行中は常に振動を受けており、油溜め部に入れられている潤滑油の油面は振動により上下に変動している。図2はその従来の一例を示す説明図であり,1は軸受,2は軸受箱,3は軸受ふた,4,5は軸受け押え,6は掻揚げ円板,7は油溜め部,8は潤滑油である。
【特許文献1】特開2003−32946公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,このような手段では,次のような課題があった。軸受の中に流れ込む潤滑油の量は一定量に近く保つことが望ましいが,車両の走行に伴う振動により,軸受部に入れられている潤滑油が揺すられ,油面が一定量に近く保つことができないことがある。
このため,掻揚げ円板により掻揚げられる潤滑油の量が適正量とならず,油面が低くなった場合は潤滑油不足となり,油面が高くなりすぎると軸受の中に必要以上に流れ込んだ潤滑油により攪拌熱が発生し,軸受部の温度が上昇して潤滑油の寿命の低下を招いたり,軸受の損傷に繋がる場合がある。これを解消するためには,油溜め部に,潤滑油の油面の変動を抑える構造を設ける必要がある。本発明は,上述した点に鑑みて創案されたもので,その目的とするところは,油溜め部に入れた潤滑油の油面を適正に保ち,良好な潤滑性能を持った軸受け構造を備える車両用電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
つまり,その目的を達成するための手段は,車両の台車内に据え付けられている主電動機において、軸受周り構造の油溜め部の内部に、水平方向且つ平行に複数枚の仕切り板を設置する。その仕切り板は,等間隔に空けられた複数の穴を持つ板または金網により形成され,隣り合う仕切り板の穴は互いにずれて設置されているものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば,油溜め部に設置された仕切り板により、油溜め部の油面を適正に保つことができ,軸受けの潤滑が良好な状態で運転することができるため,実用上極めて有用性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は本発明の一実施例を示す説明図である。
【実施例1】
【0007】
図1において,9は仕切り板である。図3及び4は,隣り合う仕切り板9の配置を示している。なお,図2と同符号のものは,同じ構成,機能を有する部分である。図1において,鉄道車両の台車に据え付けられている主電動機に備え付けられている油潤滑の軸受周り構造の油溜め部7において,仕切り板9が,油溜め部7内の潤滑油8の油面が大きく変動しない役目を果たしている。また,隣り合う仕切り板9を互い違いに配置することで,油の動きを抑制することができる。
【0008】
以上のごとく構成された主電動機において,仕切り板9により,油溜め部7の中に入れられた潤滑油8の油面が適正に保たれ,掻揚げ円板6により掻揚げられる潤滑油8の量が適正に保たれることで,軸受1の潤滑が良好な状態で運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例を示す説明図である。
【図2】従来の一例を示す説明図である
【図3】隣り合う仕切り板の配置を示す説明図である。
【図4】隣り合う仕切り板の配置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0010】
1 軸受
2 軸受箱
3 軸受ふた
4 軸受け押え
5 軸受け押え
6 掻揚げ円板
7 油溜め
8 潤滑油
9 仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の台車内に据え付けられている主電動機において、軸受の潤滑に潤滑油を使用する軸受周り構造を備える該主電動機であって、該軸受周り構造に備えられる該潤滑油を溜めるための油溜め部に,水平方向かつ互いに平行に設置された複数枚の仕切り板を備え,隣り合う該仕切り板に明けられた複数の穴が互い違いに設けられていることを特徴とする車両用主電動機の軸受構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−273269(P2009−273269A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122413(P2008−122413)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】