車両用保護フィルムの型取り方法、及び、車両用保護フィルムの製造方法
【課題】車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムにおいて、高精度な型取りを行うと共に車両用保護フィルムを安価にする。
【解決手段】車両用保護フィルムの型取り方法は、パーツに型取りシートを当て、パーツのエッジに沿って型取りシートにマーキングするシートマーキング工程(S1)と、伸縮性を有する平面形状の型取りフィルムを、マーキングされた領域以上の大きさに切り取るフィルム切り取り工程(S3)と、切り取られた型取りフィルムを、しわ又は寄りを伸ばしながらパーツに貼り付けるフィルム貼り付け工程(S4)と、貼り付けられた型取りフィルムに、パーツのエッジに沿ってマーキングするフィルムマーキング工程(S5)と、マーキングされた型取りフィルムをパーツから剥離させるフィルム剥離工程(S6)と、剥離させた型取りフィルムを平面形状に変形させるフィルム平面化工程(S7)と、を含む。
【解決手段】車両用保護フィルムの型取り方法は、パーツに型取りシートを当て、パーツのエッジに沿って型取りシートにマーキングするシートマーキング工程(S1)と、伸縮性を有する平面形状の型取りフィルムを、マーキングされた領域以上の大きさに切り取るフィルム切り取り工程(S3)と、切り取られた型取りフィルムを、しわ又は寄りを伸ばしながらパーツに貼り付けるフィルム貼り付け工程(S4)と、貼り付けられた型取りフィルムに、パーツのエッジに沿ってマーキングするフィルムマーキング工程(S5)と、マーキングされた型取りフィルムをパーツから剥離させるフィルム剥離工程(S6)と、剥離させた型取りフィルムを平面形状に変形させるフィルム平面化工程(S7)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムの型取りを行う車両用保護フィルムの型取り方法、及び、車両用保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1記載の保護粘着フィルムの貼付方法は、穴あき粘着フィルムを、その穴部が保護粘着フィルムの被覆が必要でない箇所に位置するように貼り付けた後、塗膜一時保護粘着フィルムを貼り付け、この塗膜一時保護フィルムのうち上記の穴あき粘着フィルムの穴部上の部分を取り除くものである。
【0003】
また、特許文献2記載のフィルム積層体は、フィルムを複数枚積層してなり、車両被覆部と、剥離用非粘着部と、これらの間の変形防止部とが設けられている。更には、特許文献2記載のフィルム積層体では、車両被覆部と変形防止部とが隣接する位置に切断用のミシン目が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−237935号公報
【特許文献2】特開2007−50622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1及び2に記載されるような車両用保護フィルムは、ワンオフでのオーダーでしか対応できず、量販効果が望めず、価格的にも法外なものが横行しているのが現状である。
【0006】
また、車両のパーツは、複雑な立体形状などの非平面形状を有するため、高精度な型取りを行うことが困難である。
本発明の目的は、高精度な型取りを行うことができると共に車両用保護フィルムを安価にすることができる車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用保護フィルムの型取り方法は、車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムの型取りを行う車両用保護フィルムの型取り方法において、上記パーツに型取りシートを当て、上記パーツのエッジに沿って上記型取りシートにマーキングするシートマーキング工程と、伸縮性を有する平面形状の型取りフィルムを、上記シートマーキング工程でマーキングされた領域以上の大きさに切り取るフィルム切り取り工程と、上記フィルム切り取り工程で切り取られた型取りフィルムを、しわ又は寄りを伸ばしながら上記パーツに貼り付けるフィルム貼り付け工程と、上記フィルム貼り付け工程で貼り付けられた型取りフィルムに、上記パーツのエッジに沿ってマーキングするフィルムマーキング工程と、上記フィルムマーキング工程でマーキングされた型取りフィルムを上記パーツから剥離させるフィルム剥離工程と、上記フィルム剥離工程で剥離させた型取りフィルムを平面形状に変形させるフィルム平面化工程と、を含む。
【0008】
また、上記フィルム平面化工程で平面形状に変形した型取りフィルムのうち少なくとも上記フィルムマーキング工程でマーキングされた領域の形状データを、スキャナを用いて読み取る形状データ読み取り工程を更に含むようにしてもよい。
【0009】
また、上記フィルムマーキング工程では、上記型取りフィルムに上記パーツのエッジに沿って点線でマーキングするようにしてもよい。
本発明の車両用保護フィルムは、車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムにおいて、上記車両用保護フィルムの型取り方法によって型取りされた形状に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高精度な型取りを行うことができると共に車両用保護フィルムを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法の流れを表すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その1)である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その2)である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その3)である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その4)である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その5)である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その6)である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その7)である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その8)である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その9)である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その10)である。
【図12】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その11)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムについて、図面を参照しながら説明する。
自動車等の車両は、車種ごとに各パーツが違う形状であることはもちろん、同一車種であってもグレードにより各パーツが違う形状・仕様で発売されている。そのため、本実施の形態では、車両用保護フィルムをパーツに貼り付ける際に、上記の形状の違いに画一的に対応できて、顧客ニーズに沿い、且つ、各パーツ外周のエッジから例えば1mm以内の範囲での完成品精度を持った、車種・パーツ毎の車両用保護フィルムを製作、販売するために好適な車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムについて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法の流れを表すフローチャートである。
本実施の形態の車両用保護フィルムの型取り方法は、大きく分けて、シートマーキング工程(ステップS1)と、シート切り取り工程(ステップS2)と、フィルム切り取り工程(ステップS3)と、フィルム貼り付け工程(ステップS4)と、フィルムマーキング工程(ステップS5)と、フィルム剥離工程(ステップS6)と、フィルム平面化工程(ステップS7)と、形状データ読み取り工程(ステップS8)とを含む。
【0014】
シートマーキング工程(ステップS1)では、図2に示すように、作業者1は、まず、自動車(車両)2の非平面形状のパーツの一例であるボンネットに、型取りシートの一例の例えば模造紙である型取り用紙3を当てる。そして、作業者1は、図3に示すようにボンネットのエッジに沿って黒のマーカー4で型取り用紙3に実線L1でマーキングする。これにより、図4に示すように、型取り用紙3に実線L1でマーキングされた領域がボンネットの形状になる。
【0015】
なお、マーキングは、黒のマーカー4による実線L1でなく、白その他の色のマーカー或いは断続的な線や点によるものであってもよく、エッジの位置を表すことができれば代用することができる。
【0016】
また、型取りシートとしては、用紙が安価ではあるが、布状のシート、合成樹脂製のシートなどその他のシートを用いることもできる。
シート切り取り工程(ステップS2)では、図5に示すように、作業者1は、例えば鋏5を用いて上記の実線L1でマーキングされた領域の例えば5cm程度外側で型取り用紙3を切り取る。
【0017】
型取り用紙3を切り取る大きさは、後述する型取りフィルム6を切り取る大きさと同じ大きさ(マーキングされた領域以上の大きさ)に切り取るとよい。なお、ここで型取り用紙3を切り取らなくとも、マーキング位置に基づき後述する型取りフィルム6を切り取ることができるため、シート切り取り工程(ステップS2)を省略することも可能である。但し、型取り用紙3を切り取ることで、型取りフィルム6の切り取りを容易にすることができる。
【0018】
フィルム切り取り工程(S3)では、作業者1は、図6に示すように、例えば、切り取られた型取り用紙3と同じ大きさに、伸縮性を有する平面形状の型取りフィルム6を例えばカッターナイフで切り取る。その際には、作業者1は、切り取った型取り用紙3を、平面状に広げた型取りフィルム6の上面に載せてから、型取りフィルム6を切り取るとよい。
【0019】
なお、型取りフィルム6としては、例えば、「7510CC」(Venture Tape社製,ポリウレタン,フィルム厚さ165μm,伸長率410%,4層構造(保護フィルム,フィルム本体,接着剤層,ライナー(台紙)))、「Protection Film PREMIUM」(XPEL社製,ポリウレタン,フィルム厚さ152μm,伸長率435%,4層構造(保護フィルム,フィルム本体,接着剤層,ライナー(台紙)))、「NTECH Protection Film」(Neo Tech社製,ポリウレタン,フィルム厚さ163μm,伸長率400%,3層構造(フィルム本体,接着剤層,ライナー(台紙)))などを用いることができるが、少なからず伸縮性を有し、ボンネット(パーツ)に貼り付けられるものであれば代用可能である。
【0020】
フィルム貼り付け工程(ステップS4)では、作業者1は、滑らし剤として、例えば、液状の「FILM-ON」(CPFilms社製)水溶液を、型取りフィルム6の貼り付け側の面とボンネットとの間に万遍なく滴るくらいに噴霧し、型取りフィルム6をボンネットに載せる。このようにボンネットに載せられるときの型取りフィルム6は、例えば、上記の「7510CC」や「Protection Film PREMIUM」の場合、保護フィルム及びライナー(台紙)を剥がした状態のフィルム本体及び接着剤層からなる。なお、液状の「FILM-ON」ではなくジェル(例えばEXPEL社製)を塗布してもよい。
【0021】
そして、作業者1は、上記の「FILM-ON」を型取りフィルム6の表面にも噴霧し、図7に示すように、スキージ7で型取りフィルム6の表面をしごいて型取りフィルム6をボンネットに貼り付けていく。その際、型取りフィルム6とボンネットとの間に溜まっている上記の「FILM-ON」水溶液を貼り付け面の外にかき出すようにしごいて貼り付けていくとよい。
【0022】
貼り付け対象のパーツ(ここではボンネット)の形状にもよるが、基本的な貼り付け順序は、型取りフィルム6の中心部分から周辺部分へスキージ7でしごきながら、貼り付け面の水溶液・気泡をかき出していくとよい。同様に、作業者1は、ボンネットの外周エッジまで型取りフィルム6を貼り付けていく。
【0023】
貼り付けの際に、ボンネットの造形上平面でない複雑なR形状をした部分及びその周辺、並びに外周のエッジ部分には特に、図8に示すように型取りフィルム6にシワ(又は寄り)6aが発生する。
【0024】
このシワ6aの発生を最小限とするため、及び、完成品である車両用保護フィルムと型取りフィルム6との大きさの差異を最小限とするため、作業者1は、上述のように貼り付けを行い、型取りフィルム6の外周周辺部にできた余剰部分をカットしていく。目安は、ボンネットのエッジから外周側に、例えば2cm程度の大きさである。
【0025】
それでも発生するシワ6aへの対応として、作業者1は、型取りフィルム6自体が有する伸縮性を利用し、周辺部分に型取りフィルム6を伸ばしながらシワ6aを分散させて貼り付けていく。ここで、伸ばした部位とその周辺とに加わる張力により、型取りフィルム6のボンネットへの接着性が不足し、型取りフィルム6が浮き上がってしまう。
【0026】
その際、図9に示すように、イソプロピルアルコール水溶液(スプレー8)を接着不足箇所の型取りフィルム6とボンネットとの間に噴霧し、再度スキージ7を使い、貼り付け面外側に上記水溶液をかき出すように型取りフィルム6をしごいで貼り付けることで、強固な接着性が得られる。図10に示すように全てのシワ6aを消すことによって貼り付けが完了する。
【0027】
なお、特にボンネット以外のパーツは、複雑なR形状をした部分などを有する場合があるが、このような場合には、型取りフィルム6に切り込みを入れて上記の曲面形状を再現できるようにしてもよい。
【0028】
フィルムマーキング工程(ステップS5)では、作業者1は、図11に示すように、型取りフィルム6に、ボンネットのエッジに沿って黒のマーカー4で例えば5mmピッチPの点線L2でマーキングする。これにより、図12に示すように、型取りフィルム6に点線L2でマーキングされた領域がボンネットの形状になる。なお、上記の点線L2は、後に実線で結ばれてボンネットの外周線となる。
【0029】
なお、マーキングは、黒のマーカー4による点線L2でなく、白その他の色のマーカー或いは連続的若しくは断続的な線によるものであってもよく、エッジの位置を表すことができれば代用することができる。但し、マーキングを点線L2によるものとすることで、ボンネットのエッジを正確に表すことができる。
【0030】
点線L2を書き込む際には、点線L2を可能な限りボンネットのエッジに近づけるために、マーカー4をエッジの部分に斜め45度の角度(ボンネットの表面に対する角度)から当て、点線L2を書き込むことにより点の直径による狂いを抑え、より均一なエッジに近い線となる。
【0031】
また、ボンネットのエッジが直線ではなく曲線状の場合は、点線L2を5mmより密接に書き込んでいき、最終的に実線で結んだ際に形状を明確に表示できるようにするとよい。
【0032】
また、点線L2を書き込んだ後に、車両用保護フィルムをボンネットに張り込む際の手順を想定し、部分的な貼り付け順位や、エッジ部分の仕上げ方など(例えば、エッジ止か或いは裏まで折り返して張り込むラップ形式か)の技術情報を型取りフィルム6の表面に直接書き込むとよい。
【0033】
フィルム剥離工程(ステップS6)では、作業者1は、点線L2でマーキングされた型取りフィルム6をボンネットから剥離させる。この際は例えば60℃以上の温水を型取りフィルム6の表面に噴霧すると、型取りフィルム6の粘着力が弱まり、剥離が容易になる。それでも型取りフィルム6の張力により発生する型取りフィルム6の伸びによる点線L2の位置の狂いを最小限とするため、ボンネットに対して型取りフィルム6を45度以上の角度で持ち上げるような動作で剥離を行うとよい。
【0034】
フィルム平面化工程(ステップS7)では、剥離させた型取りフィルム6を平面形状に変形させる。具体的には、作業者1は、型取りフィルム6の貼り付け面に対向し型取りフィルム6が置かれる仮置きシートの上に上記の「FILM-ON」を十分に噴霧し、仮置きシートの上に型取りフィルム6を載せる。なお、仮置きシートは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂からなる透明な非伸縮性のシートである。
【0035】
そして、作業者1は、上記の「FILM-ON」を型取りフィルム6の表面にも噴霧し、上記のスキージ7で余分な力を加えずに表面を滑らすようにならしていく。この際に生じている、型取りフィルム6の浮きや張力をかけたことによる寄りなどは、無理にしごかずに、例えば、15℃〜25℃の温度環境で、例えば、30〜60分程度放置するとよい。
【0036】
時間の経過と共に、型取りフィルム6が有する伸縮性により、伸ばされていた部分などが貼り付け前と同じ凹凸のない平面形状に戻っていく。この状態になったら、作業者1は、再度型取りフィルム6の表面に上記の「FILM-ON」を噴霧し、スキージ7で型取りフィルム6をしごきながら仮置きシート上に完全に貼り付け、平面状態とさせる。
【0037】
形状データ読み取り工程(ステップS8)では、作業者1は、平面形状に変形した型取りフィルム6のうち、少なくともマーキングされた領域の形状データを、スキャナを用いて読み取る。
【0038】
例えば、作業者1は、フラットヘッドスキャナを用いて型取りフィルム6をスキャニングし、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記す。)に取り込む。多様な大きさのパーツが存在するため、ボンネットなどは、分割された形でのスキャニングデータとなるが、PC内で画像を例えばフォトショップ(登録商標:アドビシステムズ社製)で合成し、1つのパーツに組み直すとよい。その後、車両用保護フィルムのカットラインを作るために、例えばイラストレーター(アドビシステムズ社製)を使いトレースする(点線L2に合わせて外周のラインを守る作業)。なお、全て拡大・縮小無しの原寸を守った作業とするとよい。
【0039】
上述のように組み直されたデータ(型取りされたデータ)を基に、車両用保護フィルム用のフィルム(例えば、型取りフィルム6と同様のポリウレタン或いはその他の合成樹脂など)をセットした大型カッティングプロッタを用いて車両用保護フィルムが切り出される。
【0040】
作業者1は、切り出した車両用保護フィルムを用いて再度実車への貼り付けを行い、貼り付け時精度の確認と最終的な修正とを行う。この一連の手順を踏むことにより各パーツのエッジに対して例えば最大誤差1mm程度の精度を持った車種・パーツ毎の車両用保護フィルムが完成となる。
【0041】
以上説明した本実施の形態では、車両用保護フィルムの型取り方法は、シートマーキング工程(ステップS1)と、フィルム切り取り工程(ステップS3)と、フィルム貼り付け工程(ステップS4)と、フィルムマーキング工程(ステップS5)と、フィルム剥離工程(ステップS6)と、フィルム平面化工程(ステップS7)とを含む。
【0042】
そのため、複雑な立体形状などの非平面形状を有するパーツであっても、高精度な型取りを行うことができる。また、フィルム平面化工程(ステップS7)で平面形状に変形した型取りフィルムを基に、形状データを読み取ったり或いは平面状の型を作成したりすることで、車両用保護フィルムを複数回製造することができる。
【0043】
よって、本実施の形態によれば、高精度な型取りを行うことができると共に車両用保護フィルムを安価にすることができる。
更には、本実施の形態の車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムは、出願人の販売努力により市場認知度を高め、需要を喚起することにより、車両の保護性が高まり、結果的に保有年数の長期化にも繋がり、資源保護の観点からもマイナス要素のないものである。
【0044】
また、本実施の形態の車両用保護フィルムの型取り方法は、フィルム平面化工程で平面形状に変形した型取りフィルム6のうち少なくともフィルムマーキング工程でマーキングされた領域の形状データを、スキャナを用いて読み取る形状データ読み取り工程を更に含む。なお、平面形状に変形した型取りフィルム6から平面状の型を作成してもよいが、形状データとして取りこむことで、上記の平面状の型を作成する工程をも省略することができる。また、形状データを用いることによって、車両用保護フィルムの製造箇所の全てに上記の型を配置する必要もなくなる。
【0045】
また、本実施の形態では、フィルムマーキング工程では、型取りフィルム6にボンネット(パーツ)のエッジに沿って点線L2でマーキングが行われる。そのため、車両用保護フィルムの型取りをより一層高精度に行うことができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、車両の一例として自動車2を例に説明したが、本実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムは、自動二輪車、自転車などの他の車両にも当然に適用可能である。
【0047】
また、本実施の形態では、非平面形状のパーツとしてボンネットを例に説明したが、非平面形状のパーツとしては、例えば、バンパー、スポイラー、ラジエターグリル、ヘッドライト、フォグライト、ルーフ前面、ドアミラー、フロントフェンダー、Aピラー、Bピラー、ドアアウターハンドル下、ドアロア部、ドアエッジ、ドアステップ、クォーターパネル、フェールフィラーリッド及びその周辺、ロッカーパネル、リアゲート、リアバンパーゲートステップ、リアバンパートランクステップ、リアバンパーサイド部、リアロアスポイラー、リアアウターハンドルなどの他のパーツを用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 作業者
2 自動車(車両)
3 型取り用紙(型取りシート)
4 マーカー
5 鋏
6 型取りフィルム
6a シワ(又は寄り)
7 スキージ
8 スプレー
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムの型取りを行う車両用保護フィルムの型取り方法、及び、車両用保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1記載の保護粘着フィルムの貼付方法は、穴あき粘着フィルムを、その穴部が保護粘着フィルムの被覆が必要でない箇所に位置するように貼り付けた後、塗膜一時保護粘着フィルムを貼り付け、この塗膜一時保護フィルムのうち上記の穴あき粘着フィルムの穴部上の部分を取り除くものである。
【0003】
また、特許文献2記載のフィルム積層体は、フィルムを複数枚積層してなり、車両被覆部と、剥離用非粘着部と、これらの間の変形防止部とが設けられている。更には、特許文献2記載のフィルム積層体では、車両被覆部と変形防止部とが隣接する位置に切断用のミシン目が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−237935号公報
【特許文献2】特開2007−50622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1及び2に記載されるような車両用保護フィルムは、ワンオフでのオーダーでしか対応できず、量販効果が望めず、価格的にも法外なものが横行しているのが現状である。
【0006】
また、車両のパーツは、複雑な立体形状などの非平面形状を有するため、高精度な型取りを行うことが困難である。
本発明の目的は、高精度な型取りを行うことができると共に車両用保護フィルムを安価にすることができる車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用保護フィルムの型取り方法は、車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムの型取りを行う車両用保護フィルムの型取り方法において、上記パーツに型取りシートを当て、上記パーツのエッジに沿って上記型取りシートにマーキングするシートマーキング工程と、伸縮性を有する平面形状の型取りフィルムを、上記シートマーキング工程でマーキングされた領域以上の大きさに切り取るフィルム切り取り工程と、上記フィルム切り取り工程で切り取られた型取りフィルムを、しわ又は寄りを伸ばしながら上記パーツに貼り付けるフィルム貼り付け工程と、上記フィルム貼り付け工程で貼り付けられた型取りフィルムに、上記パーツのエッジに沿ってマーキングするフィルムマーキング工程と、上記フィルムマーキング工程でマーキングされた型取りフィルムを上記パーツから剥離させるフィルム剥離工程と、上記フィルム剥離工程で剥離させた型取りフィルムを平面形状に変形させるフィルム平面化工程と、を含む。
【0008】
また、上記フィルム平面化工程で平面形状に変形した型取りフィルムのうち少なくとも上記フィルムマーキング工程でマーキングされた領域の形状データを、スキャナを用いて読み取る形状データ読み取り工程を更に含むようにしてもよい。
【0009】
また、上記フィルムマーキング工程では、上記型取りフィルムに上記パーツのエッジに沿って点線でマーキングするようにしてもよい。
本発明の車両用保護フィルムは、車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムにおいて、上記車両用保護フィルムの型取り方法によって型取りされた形状に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高精度な型取りを行うことができると共に車両用保護フィルムを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法の流れを表すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その1)である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その2)である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その3)である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その4)である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その5)である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その6)である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その7)である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その8)である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その9)である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その10)である。
【図12】本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法を説明するための説明図(その11)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムについて、図面を参照しながら説明する。
自動車等の車両は、車種ごとに各パーツが違う形状であることはもちろん、同一車種であってもグレードにより各パーツが違う形状・仕様で発売されている。そのため、本実施の形態では、車両用保護フィルムをパーツに貼り付ける際に、上記の形状の違いに画一的に対応できて、顧客ニーズに沿い、且つ、各パーツ外周のエッジから例えば1mm以内の範囲での完成品精度を持った、車種・パーツ毎の車両用保護フィルムを製作、販売するために好適な車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムについて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法の流れを表すフローチャートである。
本実施の形態の車両用保護フィルムの型取り方法は、大きく分けて、シートマーキング工程(ステップS1)と、シート切り取り工程(ステップS2)と、フィルム切り取り工程(ステップS3)と、フィルム貼り付け工程(ステップS4)と、フィルムマーキング工程(ステップS5)と、フィルム剥離工程(ステップS6)と、フィルム平面化工程(ステップS7)と、形状データ読み取り工程(ステップS8)とを含む。
【0014】
シートマーキング工程(ステップS1)では、図2に示すように、作業者1は、まず、自動車(車両)2の非平面形状のパーツの一例であるボンネットに、型取りシートの一例の例えば模造紙である型取り用紙3を当てる。そして、作業者1は、図3に示すようにボンネットのエッジに沿って黒のマーカー4で型取り用紙3に実線L1でマーキングする。これにより、図4に示すように、型取り用紙3に実線L1でマーキングされた領域がボンネットの形状になる。
【0015】
なお、マーキングは、黒のマーカー4による実線L1でなく、白その他の色のマーカー或いは断続的な線や点によるものであってもよく、エッジの位置を表すことができれば代用することができる。
【0016】
また、型取りシートとしては、用紙が安価ではあるが、布状のシート、合成樹脂製のシートなどその他のシートを用いることもできる。
シート切り取り工程(ステップS2)では、図5に示すように、作業者1は、例えば鋏5を用いて上記の実線L1でマーキングされた領域の例えば5cm程度外側で型取り用紙3を切り取る。
【0017】
型取り用紙3を切り取る大きさは、後述する型取りフィルム6を切り取る大きさと同じ大きさ(マーキングされた領域以上の大きさ)に切り取るとよい。なお、ここで型取り用紙3を切り取らなくとも、マーキング位置に基づき後述する型取りフィルム6を切り取ることができるため、シート切り取り工程(ステップS2)を省略することも可能である。但し、型取り用紙3を切り取ることで、型取りフィルム6の切り取りを容易にすることができる。
【0018】
フィルム切り取り工程(S3)では、作業者1は、図6に示すように、例えば、切り取られた型取り用紙3と同じ大きさに、伸縮性を有する平面形状の型取りフィルム6を例えばカッターナイフで切り取る。その際には、作業者1は、切り取った型取り用紙3を、平面状に広げた型取りフィルム6の上面に載せてから、型取りフィルム6を切り取るとよい。
【0019】
なお、型取りフィルム6としては、例えば、「7510CC」(Venture Tape社製,ポリウレタン,フィルム厚さ165μm,伸長率410%,4層構造(保護フィルム,フィルム本体,接着剤層,ライナー(台紙)))、「Protection Film PREMIUM」(XPEL社製,ポリウレタン,フィルム厚さ152μm,伸長率435%,4層構造(保護フィルム,フィルム本体,接着剤層,ライナー(台紙)))、「NTECH Protection Film」(Neo Tech社製,ポリウレタン,フィルム厚さ163μm,伸長率400%,3層構造(フィルム本体,接着剤層,ライナー(台紙)))などを用いることができるが、少なからず伸縮性を有し、ボンネット(パーツ)に貼り付けられるものであれば代用可能である。
【0020】
フィルム貼り付け工程(ステップS4)では、作業者1は、滑らし剤として、例えば、液状の「FILM-ON」(CPFilms社製)水溶液を、型取りフィルム6の貼り付け側の面とボンネットとの間に万遍なく滴るくらいに噴霧し、型取りフィルム6をボンネットに載せる。このようにボンネットに載せられるときの型取りフィルム6は、例えば、上記の「7510CC」や「Protection Film PREMIUM」の場合、保護フィルム及びライナー(台紙)を剥がした状態のフィルム本体及び接着剤層からなる。なお、液状の「FILM-ON」ではなくジェル(例えばEXPEL社製)を塗布してもよい。
【0021】
そして、作業者1は、上記の「FILM-ON」を型取りフィルム6の表面にも噴霧し、図7に示すように、スキージ7で型取りフィルム6の表面をしごいて型取りフィルム6をボンネットに貼り付けていく。その際、型取りフィルム6とボンネットとの間に溜まっている上記の「FILM-ON」水溶液を貼り付け面の外にかき出すようにしごいて貼り付けていくとよい。
【0022】
貼り付け対象のパーツ(ここではボンネット)の形状にもよるが、基本的な貼り付け順序は、型取りフィルム6の中心部分から周辺部分へスキージ7でしごきながら、貼り付け面の水溶液・気泡をかき出していくとよい。同様に、作業者1は、ボンネットの外周エッジまで型取りフィルム6を貼り付けていく。
【0023】
貼り付けの際に、ボンネットの造形上平面でない複雑なR形状をした部分及びその周辺、並びに外周のエッジ部分には特に、図8に示すように型取りフィルム6にシワ(又は寄り)6aが発生する。
【0024】
このシワ6aの発生を最小限とするため、及び、完成品である車両用保護フィルムと型取りフィルム6との大きさの差異を最小限とするため、作業者1は、上述のように貼り付けを行い、型取りフィルム6の外周周辺部にできた余剰部分をカットしていく。目安は、ボンネットのエッジから外周側に、例えば2cm程度の大きさである。
【0025】
それでも発生するシワ6aへの対応として、作業者1は、型取りフィルム6自体が有する伸縮性を利用し、周辺部分に型取りフィルム6を伸ばしながらシワ6aを分散させて貼り付けていく。ここで、伸ばした部位とその周辺とに加わる張力により、型取りフィルム6のボンネットへの接着性が不足し、型取りフィルム6が浮き上がってしまう。
【0026】
その際、図9に示すように、イソプロピルアルコール水溶液(スプレー8)を接着不足箇所の型取りフィルム6とボンネットとの間に噴霧し、再度スキージ7を使い、貼り付け面外側に上記水溶液をかき出すように型取りフィルム6をしごいで貼り付けることで、強固な接着性が得られる。図10に示すように全てのシワ6aを消すことによって貼り付けが完了する。
【0027】
なお、特にボンネット以外のパーツは、複雑なR形状をした部分などを有する場合があるが、このような場合には、型取りフィルム6に切り込みを入れて上記の曲面形状を再現できるようにしてもよい。
【0028】
フィルムマーキング工程(ステップS5)では、作業者1は、図11に示すように、型取りフィルム6に、ボンネットのエッジに沿って黒のマーカー4で例えば5mmピッチPの点線L2でマーキングする。これにより、図12に示すように、型取りフィルム6に点線L2でマーキングされた領域がボンネットの形状になる。なお、上記の点線L2は、後に実線で結ばれてボンネットの外周線となる。
【0029】
なお、マーキングは、黒のマーカー4による点線L2でなく、白その他の色のマーカー或いは連続的若しくは断続的な線によるものであってもよく、エッジの位置を表すことができれば代用することができる。但し、マーキングを点線L2によるものとすることで、ボンネットのエッジを正確に表すことができる。
【0030】
点線L2を書き込む際には、点線L2を可能な限りボンネットのエッジに近づけるために、マーカー4をエッジの部分に斜め45度の角度(ボンネットの表面に対する角度)から当て、点線L2を書き込むことにより点の直径による狂いを抑え、より均一なエッジに近い線となる。
【0031】
また、ボンネットのエッジが直線ではなく曲線状の場合は、点線L2を5mmより密接に書き込んでいき、最終的に実線で結んだ際に形状を明確に表示できるようにするとよい。
【0032】
また、点線L2を書き込んだ後に、車両用保護フィルムをボンネットに張り込む際の手順を想定し、部分的な貼り付け順位や、エッジ部分の仕上げ方など(例えば、エッジ止か或いは裏まで折り返して張り込むラップ形式か)の技術情報を型取りフィルム6の表面に直接書き込むとよい。
【0033】
フィルム剥離工程(ステップS6)では、作業者1は、点線L2でマーキングされた型取りフィルム6をボンネットから剥離させる。この際は例えば60℃以上の温水を型取りフィルム6の表面に噴霧すると、型取りフィルム6の粘着力が弱まり、剥離が容易になる。それでも型取りフィルム6の張力により発生する型取りフィルム6の伸びによる点線L2の位置の狂いを最小限とするため、ボンネットに対して型取りフィルム6を45度以上の角度で持ち上げるような動作で剥離を行うとよい。
【0034】
フィルム平面化工程(ステップS7)では、剥離させた型取りフィルム6を平面形状に変形させる。具体的には、作業者1は、型取りフィルム6の貼り付け面に対向し型取りフィルム6が置かれる仮置きシートの上に上記の「FILM-ON」を十分に噴霧し、仮置きシートの上に型取りフィルム6を載せる。なお、仮置きシートは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂からなる透明な非伸縮性のシートである。
【0035】
そして、作業者1は、上記の「FILM-ON」を型取りフィルム6の表面にも噴霧し、上記のスキージ7で余分な力を加えずに表面を滑らすようにならしていく。この際に生じている、型取りフィルム6の浮きや張力をかけたことによる寄りなどは、無理にしごかずに、例えば、15℃〜25℃の温度環境で、例えば、30〜60分程度放置するとよい。
【0036】
時間の経過と共に、型取りフィルム6が有する伸縮性により、伸ばされていた部分などが貼り付け前と同じ凹凸のない平面形状に戻っていく。この状態になったら、作業者1は、再度型取りフィルム6の表面に上記の「FILM-ON」を噴霧し、スキージ7で型取りフィルム6をしごきながら仮置きシート上に完全に貼り付け、平面状態とさせる。
【0037】
形状データ読み取り工程(ステップS8)では、作業者1は、平面形状に変形した型取りフィルム6のうち、少なくともマーキングされた領域の形状データを、スキャナを用いて読み取る。
【0038】
例えば、作業者1は、フラットヘッドスキャナを用いて型取りフィルム6をスキャニングし、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記す。)に取り込む。多様な大きさのパーツが存在するため、ボンネットなどは、分割された形でのスキャニングデータとなるが、PC内で画像を例えばフォトショップ(登録商標:アドビシステムズ社製)で合成し、1つのパーツに組み直すとよい。その後、車両用保護フィルムのカットラインを作るために、例えばイラストレーター(アドビシステムズ社製)を使いトレースする(点線L2に合わせて外周のラインを守る作業)。なお、全て拡大・縮小無しの原寸を守った作業とするとよい。
【0039】
上述のように組み直されたデータ(型取りされたデータ)を基に、車両用保護フィルム用のフィルム(例えば、型取りフィルム6と同様のポリウレタン或いはその他の合成樹脂など)をセットした大型カッティングプロッタを用いて車両用保護フィルムが切り出される。
【0040】
作業者1は、切り出した車両用保護フィルムを用いて再度実車への貼り付けを行い、貼り付け時精度の確認と最終的な修正とを行う。この一連の手順を踏むことにより各パーツのエッジに対して例えば最大誤差1mm程度の精度を持った車種・パーツ毎の車両用保護フィルムが完成となる。
【0041】
以上説明した本実施の形態では、車両用保護フィルムの型取り方法は、シートマーキング工程(ステップS1)と、フィルム切り取り工程(ステップS3)と、フィルム貼り付け工程(ステップS4)と、フィルムマーキング工程(ステップS5)と、フィルム剥離工程(ステップS6)と、フィルム平面化工程(ステップS7)とを含む。
【0042】
そのため、複雑な立体形状などの非平面形状を有するパーツであっても、高精度な型取りを行うことができる。また、フィルム平面化工程(ステップS7)で平面形状に変形した型取りフィルムを基に、形状データを読み取ったり或いは平面状の型を作成したりすることで、車両用保護フィルムを複数回製造することができる。
【0043】
よって、本実施の形態によれば、高精度な型取りを行うことができると共に車両用保護フィルムを安価にすることができる。
更には、本実施の形態の車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムは、出願人の販売努力により市場認知度を高め、需要を喚起することにより、車両の保護性が高まり、結果的に保有年数の長期化にも繋がり、資源保護の観点からもマイナス要素のないものである。
【0044】
また、本実施の形態の車両用保護フィルムの型取り方法は、フィルム平面化工程で平面形状に変形した型取りフィルム6のうち少なくともフィルムマーキング工程でマーキングされた領域の形状データを、スキャナを用いて読み取る形状データ読み取り工程を更に含む。なお、平面形状に変形した型取りフィルム6から平面状の型を作成してもよいが、形状データとして取りこむことで、上記の平面状の型を作成する工程をも省略することができる。また、形状データを用いることによって、車両用保護フィルムの製造箇所の全てに上記の型を配置する必要もなくなる。
【0045】
また、本実施の形態では、フィルムマーキング工程では、型取りフィルム6にボンネット(パーツ)のエッジに沿って点線L2でマーキングが行われる。そのため、車両用保護フィルムの型取りをより一層高精度に行うことができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、車両の一例として自動車2を例に説明したが、本実施の形態に係る車両用保護フィルムの型取り方法及び車両用保護フィルムは、自動二輪車、自転車などの他の車両にも当然に適用可能である。
【0047】
また、本実施の形態では、非平面形状のパーツとしてボンネットを例に説明したが、非平面形状のパーツとしては、例えば、バンパー、スポイラー、ラジエターグリル、ヘッドライト、フォグライト、ルーフ前面、ドアミラー、フロントフェンダー、Aピラー、Bピラー、ドアアウターハンドル下、ドアロア部、ドアエッジ、ドアステップ、クォーターパネル、フェールフィラーリッド及びその周辺、ロッカーパネル、リアゲート、リアバンパーゲートステップ、リアバンパートランクステップ、リアバンパーサイド部、リアロアスポイラー、リアアウターハンドルなどの他のパーツを用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 作業者
2 自動車(車両)
3 型取り用紙(型取りシート)
4 マーカー
5 鋏
6 型取りフィルム
6a シワ(又は寄り)
7 スキージ
8 スプレー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムの型取りを行う車両用保護フィルムの型取り方法において、
前記パーツに型取りシートを当て、前記パーツのエッジに沿って前記型取りシートにマーキングするシートマーキング工程と、
伸縮性を有する平面形状の型取りフィルムを、前記シートマーキング工程でマーキングされた領域以上の大きさに切り取るフィルム切り取り工程と、
前記フィルム切り取り工程で切り取られた型取りフィルムを、しわ又は寄りを伸ばしながら前記パーツに貼り付けるフィルム貼り付け工程と、
前記フィルム貼り付け工程で貼り付けられた型取りフィルムに、前記パーツのエッジに沿ってマーキングするフィルムマーキング工程と、
前記フィルムマーキング工程でマーキングされた型取りフィルムを前記パーツから剥離させるフィルム剥離工程と、
前記フィルム剥離工程で剥離させた型取りフィルムを平面形状に変形させるフィルム平面化工程と、
を含むことを特徴とする車両用保護フィルムの型取り方法。
【請求項2】
前記フィルム平面化工程で平面形状に変形した型取りフィルムのうち少なくとも前記フィルムマーキング工程でマーキングされた領域の形状データを、スキャナを用いて読み取る形状データ読み取り工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の車両用保護フィルムの型取り方法。
【請求項3】
前記フィルムマーキング工程では、前記型取りフィルムに前記パーツのエッジに沿って点線でマーキングすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用保護フィルムの型取り方法。
【請求項4】
車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムにおいて、
請求項1から請求項3のいずれか1項記載の車両用保護フィルムの型取り方法によって型取りされた形状に形成された、
ことを特徴とする車両用保護フィルム。
【請求項1】
車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムの型取りを行う車両用保護フィルムの型取り方法において、
前記パーツに型取りシートを当て、前記パーツのエッジに沿って前記型取りシートにマーキングするシートマーキング工程と、
伸縮性を有する平面形状の型取りフィルムを、前記シートマーキング工程でマーキングされた領域以上の大きさに切り取るフィルム切り取り工程と、
前記フィルム切り取り工程で切り取られた型取りフィルムを、しわ又は寄りを伸ばしながら前記パーツに貼り付けるフィルム貼り付け工程と、
前記フィルム貼り付け工程で貼り付けられた型取りフィルムに、前記パーツのエッジに沿ってマーキングするフィルムマーキング工程と、
前記フィルムマーキング工程でマーキングされた型取りフィルムを前記パーツから剥離させるフィルム剥離工程と、
前記フィルム剥離工程で剥離させた型取りフィルムを平面形状に変形させるフィルム平面化工程と、
を含むことを特徴とする車両用保護フィルムの型取り方法。
【請求項2】
前記フィルム平面化工程で平面形状に変形した型取りフィルムのうち少なくとも前記フィルムマーキング工程でマーキングされた領域の形状データを、スキャナを用いて読み取る形状データ読み取り工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の車両用保護フィルムの型取り方法。
【請求項3】
前記フィルムマーキング工程では、前記型取りフィルムに前記パーツのエッジに沿って点線でマーキングすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用保護フィルムの型取り方法。
【請求項4】
車両の非平面形状のパーツに貼り付けられる車両用保護フィルムにおいて、
請求項1から請求項3のいずれか1項記載の車両用保護フィルムの型取り方法によって型取りされた形状に形成された、
ことを特徴とする車両用保護フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−101772(P2012−101772A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254537(P2010−254537)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【特許番号】特許第4792124号(P4792124)
【特許公報発行日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(301020282)エフイートレード株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【特許番号】特許第4792124号(P4792124)
【特許公報発行日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(301020282)エフイートレード株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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