説明

車両用入出力装置

【課題】スペースを有効に活用することができる車両用入出力装置を提供する。
【解決手段】投影先6に情報29を投影する投影部2と、前記投影先6における入力操作を検出する撮像部3と、前記撮像部3で検出された前記入力操作の内容に応じて情報処理を行い、当該情報処理の結果を前記投影部に出力する制御ユニット5とを備え、前記情報29を車室4の上方から座席6周辺に投影し、前記座席6周辺における空間において前記入力操作が可能なことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用入出力装置に関し、特に投影された情報を利用して入力操作を行う車両用入出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示画面および操作キーを平面上に投影する投影手段と、平面上に投影された表示画面または操作キーに対して操作者が行う入力操作を撮影する撮像手段と、撮像手段が撮影した画像を解析して、操作者が行った入力操作を識別する画像識別手段と、識別した入力操作に応じた処理を行い、投影手段を制御して表示画面の表示に処理結果を反映させる処理手段とを設けた入出力装置が開示されている(例えば、特許文献1)。この入出力装置によれば、投影画像上で入出力が行われるため、平面上、例えば机上のスペースを占有せずに済む、という効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−298544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、表示画面または操作キーを投影する平面が必須となるため、よりスペースが限られる車室内で使用する場合、スペースを有効に活用することができない、という問題があった。また、上記特許文献1では、表示画面とは別に同時に平面上に投影される操作キーは位置や大きさが限定されるので、増加する一方の車室内の機能や情報を十分に処理することが困難であると共に、表示内容、表示方法などが限られてしまう、という問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、スペースを有効に活用することができる車両用入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明は、車室の天井に設けられ、投影先に情報を投影する投影部と、前記投影先における入力操作を検出する撮像部と、前記撮像部で検出された前記入力操作の内容に応じて情報処理を行い、当該情報処理の結果を前記投影部から投影させる制御ユニットとを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、前記投影部は、前記投影先において区画された複数の認識領域毎に第1の情報を表示し、前記制御ユニットは、前記撮像部が前記認識領域内において入力操作を検出した時に、当該認識領域における前記第1の情報を第2の情報に切り替えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る発明は、前記撮像部は、前記認識領域内における操作者の指の動作を検出することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る発明は、前記撮像部は、操作者の指に装着される着色された2つの先端部の、色と位置を検出することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る発明は、複数の前記第1の情報が、上面視において車両の左右方向に対し斜めに配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6に係る発明は、前記撮像部は、操作者毎に設けられ、各操作者毎の指に装着される着色された2つの先端部の、色と位置を検出することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7に係る発明は、前記制御ユニットは、一方の操作者の前記先端部と他方の操作者の前記先端部の少なくとも一部が重なった場合に、前記一方の操作者の手に投影されていた前記情報を、拡大して投影させることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項8に係る発明は、前記制御ユニットは、拡大して投影した前記情報を、前記一方の操作者の前記先端部と前記他方の操作者の前記先端部が離れたときに、前記他方の操作者の手のみに前記情報を縮小して投影させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1によれば、座席周辺における空間において入力操作を行うことができるので、従来のように表示画面または操作キーを投影する平面を必要としない分、構成を簡略化でき、スペースを有効に活用することができる。
【0015】
本発明の請求項2によれば、表示される情報の構成を簡素化することができるため、操作性を向上することができる。
【0016】
本発明の請求項3によれば、認識領域内において投影された情報に対し直接的な操作が可能となるため、操作性を向上することができる。
【0017】
本発明の請求項4によれば、操作者による入力操作をより確実に検出することができるので、操作性をより向上することができる。
【0018】
本発明の請求項5によれば、操作者が肘を中心に腕を回動させるだけで、各認識領域へ手をスムーズに移動させ、これにより、第1の情報を第2の情報に切替えて表示させることができるので、操作性を向上することができる。
【0019】
本発明の請求項6によれば、複数の操作者による操作を識別して検出することができる。
【0020】
本発明の請求項7によれば、複数の操作者により投影先が広がることを有効活用し画像の見易さを向上することができる。
【0021】
本発明の請求項8によれば、一方の操作者から他方の操作者へ画像が移るように表示させることができるので、操作者同士のコミュニケーションを多様化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る車両用入出力装置1の全体構成の模式図である。
【図2】制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】先端部の構成を示す上面図であり、第1の入力操作を示す図である。
【図4】先端部の構成を示す上面図であり、第2の入力操作を示す図である。
【図5】車両用入出力装置1の使用状態(1)を示す上面図である。
【図6】車両用入出力装置1の使用状態(2)を示す上面図である。
【図7】車両用入出力装置1の使用状態(3)を示す上面図である。
【図8】車両用入出力装置1の使用状態を段階的に示す図であり、(A)第2領域、(B)第3領域、(C)第4領域、(D)第5領域で第1の入力操作がされた状態を示す図である。
【図9】投影先に投影される情報と操作者の手の位置関係を示す模式図である。
【図10】車両用入出力装置1の使用状態(4)を示す上面図であり、(A)第1の入力操作、(B)第2の入力操作、(C)メニュー起動の状態を示す図である。
【図11】車両用入出力装置1の使用状態(5)を示す上面図であり、(A)第1の入力操作、(B)第2の入力操作、(C)メニュー起動の状態を示す図である。
【図12】車両用入出力装置1の使用状態(6)を示す上面図であり、(A)操作者同士が手を近づけた状態、(B)画像が拡大表示された状態、(C)他の操作者の手に画像が移った状態を示す図である。
【図13】車両用入出力装置1の使用状態(7)を示す上面図であり、(A)第1の入力操作、(B)第2の入力操作の状態を示す図である。
【図14】使用状態(7)における下層メニューを示す図であり、(A)ペイント、(B)リラックス、(C)ゲームメニューを示す図である。
【図15】使用状態(7)において「リラックス」を選択した結果を示す斜視図である。
【図16】車両用入出力装置1の使用状態(8)を示す上面図であり、(A)第1の入力操作、(B)第2の入力操作の状態を示す図である。
【図17】使用状態(8)における下層メニューを示す図であり、(A)スクロール表示、(B)第2の入力操作、(C)再生中を示す図である。
【図18】車両用入出力装置1の使用状態(9)を示す上面図であり、(A)第1の入力操作、(B)第2の入力操作の状態を示す図である。
【図19】使用状態(9)における下層メニューを示す図であり、(A)エアコン、(B)ミュージック、(C)休憩メニューを示す図である。
【図20】使用状態(9)において「休憩」を選択した結果を示す斜視図である。
【図21】本実施形態に係る入出力処理手順を示すフローチャートである。
【図22】他の実施形態に係る入力操作を示す上面図であり、(A)第1の入力操作、(B)第2の入力操作を示す図である。
【図23】他の実施形態に係る車両用入出力装置1の使用状態(1)を示す上面図である。
【図24】他の実施形態に係る車両用入出力装置1の使用状態(2)を示す上面図である。
【図25】他の実施形態に係る車両用入出力装置1の使用状態(3)を示す上面図である。
【図26】他の実施形態に係る車両用入出力装置1の使用状態(4)を示す上面図である。
【図27】他の実施形態に係る車両用入出力装置1の使用状態(5)を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(1)全体構成
図1に示す車両用入出力装置1は、投影部としてのプロジェクタ2と、撮像部としてのカメラ3とが車室4の天井22に取付けられると共に、制御ユニット5が車室4の床23に配置される。プロジェクタ2は、車室4の上方から投影先としての座席6に向かって情報を投影する。カメラ3は、前記投影先の映像を撮像する。本実施形態の場合、プロジェクタ2は、レンズ7が車両の前方に向かって情報を投影し得るように配置されており、当該レンズ7の前方に配置された反射鏡8により、前記情報を90度曲げて座席6上に投影する。
【0024】
図2は、車両用入出力装置1の機能構成を模式的に示したブロック図である。この図2に示すように、車両用入出力装置1は、全体の動作の統括的制御や情報処理を行う制御ユニット5と、入出力部10とで構成される。
【0025】
入出力部10は、入力部としてのカメラ3と、出力部としてのプロジェクタ2を含む。本発明はこれに限らず、例えば、入力部としてマイクロホン11や、出力部として車両に予め設置されているオーディオシステム12やナビゲーションシステム13をさらに含めることとしてもよい。
【0026】
制御ユニット5は、図2に示すように、メイン・コントローラとしてのCPU(Central Processing Unit)14が、記憶回路部15、などの各装置とバス接続された構成となっている。バス16は、データ・バス、アドレス・バス、コントロール・バスなどを含む伝送路である。バス16上の各装置にはそれぞれ固有のアドレスが割り当てられている。CPU14は、アドレスを指定することによって、バス16上の特定の装置と通信することができる。
【0027】
記憶回路部15は、RAM(Random Access Memory)18とROM(Read Only Memory)17とで構成されている。RAM18は、DRAM(Dynamic RAM)などの揮発性メモリで構成された書き込み可能メモリであり、CPU14が実行するプログラム・コードをロードしたり、実行プログラムによる作業データの一時的な保存のために使用される。ROM17は、プログラムやデータを恒久的に格納する読み出し専用メモリである。ROM17に格納されるプログラム・コードには、車両用入出力装置1の電源投入時に実行する入出力プログラムや、各メニューを実行するメニュー実行プログラムなどが挙げられる。
【0028】
インターフェース19は、制御ユニット5外の機器と相互接続し、データ交換を可能にするための装置である。インターフェース19は、例えば、入出力部10内のカメラ3やプロジェクタ2、マイクロホン11、オーディオシステム12、ナビゲーションシステム13などとの間でデータ入出力を行う。また、インターフェース19は、電源部としての車両用バッテリー21に電気的に接続されている。
【0029】
さらに、制御ユニット5は、ネットワーク・インターフェース・カード(NIC)20を含み、インターネットなどの広域ネットワークを経由して、外部のさまざまなホスト・コンピュータとデータ通信を行う。
【0030】
カメラ3は、図3に示すように、操作者の指に装着した先端部を検出する。本実施形態の場合、先端部は、袋状の部材で構成され、操作者の第1指24に装着された第1先端部25と、第2指26に装着された第2先端部27とからなり、それぞれ第1関節を被覆している。第1先端部25と、第2先端部27とは、それぞれ異なる色で着色されており、カメラ3でその位置および色が検出される。カメラ3は、撮像した第1先端部25と第2先端部27の色および位置を先端部信号としてインターフェース19を通じて制御ユニット5に出力する。
【0031】
これにより、制御ユニット5は、先端部信号を受取ると、例えば、操作者が手を開いて手の平を上方に向けて、第1先端部25と第2先端部27が離れている状態を、第1の入力操作として認識する。また、制御ユニット5は、図4に示すように、操作者が第1指24と第2指26でつまむような動作をして、第1先端部25と第2先端部27が当接している状態を、第2の入力操作として認識する。このときに認識音を出し操作者に操作の完了を知らせる。
【0032】
プロジェクタ2は、図6に示すように、情報としてのアイコン28を天井22から投影先としての座席6へ向かって投影する。車両用入出力装置1は、投影されたアイコン28のうち、操作者が所望のアイコン28を選択することにより、当該アイコン28に割り当てられている機能をプロジェクタ2に指示するように構成されている。この車両用入出力装置1では、操作者の操作によって投影内容を変更し得ると共に、アイコン28をグループ化してなるメニューを階層的に表示することにより、操作性を向上している。
【0033】
アイコン28は、最初に投影されている第1の情報29と、当該第1の情報29を選択することにより投影される第2の情報(本図には図示しない)を備える。本実施形態の場合、第1の情報29はドットで構成されている。本図では、第1の情報29が5個、上面視において左上から右下へ連設されており、各第1の情報29同士が線部30で接続された状態で表示されている。
【0034】
制御ユニット5は、第1の情報29毎にそれぞれ認識領域を対応付け、当該認識領域内における第1先端部25および第2先端部27の色および位置を検出する。本実施形態の場合、認識領域は、上面視において矩形状に区画されており、左上から右下へ順に配置された第1領域31、第2領域32、第3領域33、第4領域34、第5領域35を含み、その略中心にそれぞれ第1情報を配置するように構成されている。なお、本図においては説明の便宜上図示しているが、実際にはこの認識領域は操作者が視認することはできない。
【0035】
制御ユニット5は、いずれかの認識領域内で第1の入力操作を検出した場合、すなわち操作者が手を開いて手の平を上方に向けた場合、当該認識領域における第1の情報29が選択されたと認識する。そうすると制御ユニット5は、当該認識領域における第1の情報29を第2の情報に切替える。このとき、図6に示すように、第2の情報36は、操作者の手の平に表示される。本図では、第1領域31に割り当てられた『テンションモニター』アイコン37が表示される。
【0036】
第2の情報36は、『テンションモニター』アイコン37の他に、図7に示すように、第2領域32に割り当てられた『メディアビューア』アイコン38、第3領域33に割り当てられた『エンタメ』アイコン39、第4領域34に割り当てられた『シートインフォ』アイコン40、第5領域35に割り当てられた『ドライバーホットライン』アイコン41を備える。
【0037】
また、本図に示すように、プロジェクタ2は、隣り合う一対の座席6全面を投影先44とし得るように構成されており、本実施形態では、第1の情報29を着座面上に投影している。カメラ3は、少なくとも、隣り合う一対の座席6の着座面上を撮像範囲45とする。この場合、カメラ3は、座席ごとに設けることが好ましいが、単一のカメラで構成することとしてもよい。
【0038】
このように構成された入出力装置は、図8に示すように、操作者が手を移動させて、各領域において第1の入力操作を検出すると、当該領域における第1の情報29を第2の情報36に切替えて表示する。
【0039】
図9に示すように、入出力装置は、第1の情報29を上面視において左上から右下へ連設して表示するように構成したから、操作者が左手を肘を中心に回動させるだけで、第1領域31から第5領域35へ手をスムーズに移動させ、これにより、第1の情報29を第2の情報36に切替えて表示させることができる。
【0040】
各アイコンは、選択されることにより、アイコンをグループ化してなるメニューが階層的に表示され得る。例えば、図10に示すように、第1領域31において第1の入力操作が検出された場合、第2の情報36として『テンションモニター』アイコン37が表示される(本図(A))。この場合、『テンションモニター』は、車室4内の盛り上がり度を数値化して点数表示させる機能を有する。『テンションモニター』アイコン37が表示された状態でさらに第2の入力操作(本図(B))が検出されると、実行結果37Aが表示される(本図(C))。この場合、車両用入出力装置1は、マイクロホン11で検出された乗員の声量を測定した結果を数値やグラフなどで表示することができる。
【0041】
また、図11に示すように、第2領域32において第1の入力操作が検出された場合、第2の情報36として『メディアビューア』アイコン38が表示される(本図(A))。この場合、『メディアビューア』は、ROMに予め格納された画像と音声、インターネットを通じて取得した画像と音声を出力する機能を有する。『メディアビューア』アイコン38が表示された状態でさらに第2の入力操作(本図(B))が検出されると、『メディアビューア』の実行結果が表示される(本図(C))。この場合、車両用入出力装置1は、ROMに格納された画像50を表示することができる。
【0042】
ここで、図12に示すように、車両用入出力装置1は、隣り合う操作者同士が互いの手を近づけて、第1指24に装着した第1先端部25A,25B同士が当接した場合(本図(A))、一方の操作者の手の平のみに表示されていた上記画像50を、当接した2名の乗員の手の平に拡大した画像50Aとして表示させることができる(本図(B))。さらに、車両用入出力装置1は、操作者が互いの手を再び離した場合、他の操作者の手の平のみに元の大きさの上記画像50を表示させることもできる(本図(C))。このように構成したことにより、車両用入出力装置1は、一方の操作者から他方の操作者へ画像50と音声が移るように表示させることができるので、操作者同士のコミュニケーションを多様化することができる。
【0043】
また、図13に示すように、第3領域33において第1の入力操作が検出された場合、第2の情報36として『エンタメ』アイコン39が表示される(本図(A))。この場合、『エンタメ』は、投影先においてお絵描きしたり、座席6全面に画像を投影したり、ゲームを行ったりできる機能を有する。『エンタメ』アイコン39が表示された状態でさらに第2の入力操作(本図(B))が検出されると、下層のメニューが表示される(図14)。この場合のメニューとしては、例えば、「ペイント」51(本図(A))、「リラックス」52(本図(B))、「ゲーム」53(本図(C))などが考えられ、各メニューが一定時間でスクロール表示される。この場合、車両用入出力装置1は、例えば「リラックス」52が表示されている状態で第2の入力操作を検出した場合、ROMに格納されたテーマに応じた設定画像と効果音、例えば「海」をテーマにした画像54と波の音を座席6上に投影、再生させることができる(図15)。
【0044】
また、図16に示すように、第4領域34において第1の入力操作が検出された場合、第2の情報36として『シートインフォ』アイコン40が表示される(本図(A))。この場合、『シートインフォ』は、音楽を再生したり、エアコンを調節したりする機能を有する。『シートインフォ』アイコン40が表示された状態でさらに第2の入力操作(本図(B))が検出されると、下層の音楽再生メニュー55が表示される(図17)。本図に示す音楽再生メニュー55は、複数の曲名を縦方向に並べて表示しており、各曲名が一定時間でスクロール表示される(本図(A))。所望の曲名がスクロール表示された時に操作者は第2の入力操作を行い選曲する(本図(B))。そうすると、車両用入出力装置1は、当該第2の入力操作を検出し、該当する曲をオーディオシステム12に再生させ、処理結果として再生中であることを報知するアイコン56を投影する(本図(C))。
【0045】
図18に示すように、第5領域35において第1の入力操作が検出された場合、第2の情報36として『ドライバーホットライン』アイコン41が表示される(本図(A))。この場合、『ドライバーホットライン』は、後部座席6に着座している操作者の意思、例えば、「エアコンの調節を頼みたい」、「オーディオを操作したい」、「休憩したい」などの意思を車両に予め設置されているナビゲーションシステム13の表示画面に表示させる機能を有する。『ドライバーホットライン』アイコン41が表示された状態でさらに第2の入力操作(本図(B))が検出されると、下層の伝達メニュー57が表示される(図19)。本図に示す伝達メニュー57は、「エアコン」57A(本図(A))、「ミュージック」57B(本図(B))、「休憩」57C(本図(C))からなり、一定時間でスクロール表示される。所望のメニューがスクロール表示された時に操作者は第2の入力操作を行い、選択する。そうすると、車両用入出力装置1は、当該第2の入力操作を検出し、該当するメニュー、例えば「休憩」が選択された場合、ナビゲーションシステム13の表示画面58に「休憩」アイコン57Cを表示させ、後部座席6の操作者の意思を運転者59へ伝達する。
(2)フローチャート
次に、入出力プログラムにしたがって実行される入出力処理について、図21のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
制御ユニット5は、電源がONされると入出力処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0047】
ステップSP1において、制御ユニット5は、記憶回路部におけるRAMに記憶されている情報を一旦消去し、次のステップSP2へ移る。ステップSP2において、制御ユニット5は、記憶回路部においてROMに格納されている入出力プログラムや、各メニューを実行するメニュー実行プログラムをRAMへロードし、次のステップSP3へ移る。ステップSP3において、制御ユニット5は、インターフェース19およびNICを初期化し、次のステップSP4へ移る。
【0048】
ステップSP4において、制御ユニット5は、天井22に配置されたプロジェクタ2から投影先である座席6上に向かって第1の情報29を投影させ、次のステップSP5へ移る。ステップSP5において、制御ユニット5は、カウンタnの値を「1」とし、次のステップSP6へ移る。ステップSP6において、制御ユニット5は、カメラ3から投影先の画像情報の取得を開始し、次のステップSP7へ移る。
【0049】
ステップSP7において、制御ユニット5は、第1領域31内において、第1の入力操作を検出したか否かを判定する。ここで、肯定結果が得られた場合、制御ユニット5は、次のステップSP8へ移る。
【0050】
ステップSP8において、制御ユニット5は、第1領域31に表示されている第1の情報29を第2の情報36、すなわち、『テンションモニター』アイコン37に切替えて表示し、次のステップSP9へ移る。ステップSP9において第1の領域における第2の入力操作を検出したか否かを判定する。ここで、肯定結果が得られた場合、このことは『テンションモニター』メニューが選択されたことを意味し、制御ユニット5は、次のステップSP10へ移る。一方、否定結果が得られた場合、制御ユニット5は、ステップSP6へ戻る。
【0051】
ステップSP10において、制御ユニット5は、『テンションモニター』メニューを起動し、次のステップSP11へ移る。この場合、制御ユニット5は、グループ化された『テンションモニター』メニューを操作者の操作に対応して順次、階層的に表示する。
【0052】
ステップSP11において、制御ユニット5は、第2の入力操作を検出したか否かを判定し、肯定結果を得ると、ステップSP12に移り、当該第2の入力操作が一定時間、例えば数秒間継続しているか否かを判定する。ここで、肯定結果が得られると、次のステップSP13へ移り、『テンションモニター』メニューを終了して次のステップSP14へ移る。
【0053】
ステップSP11において、否定結果が得られた場合、制御ユニット5は、ステップSP11に戻り、肯定結果が得られるまで待ち受ける。また、ステップSP12において否定結果が得られた場合、制御ユニット5は、ステップSP16へ移り、選択されたメニュー、この場合『テンションモニター』メニューの下層のメニューを表示し、ステップSP11へ戻る。
【0054】
ステップSP14において、制御ユニット5は、カウンタnの値に1を加算し(この場合「2」となる)、次のステップSP15へ移る。
【0055】
ステップSP15において、制御ユニット5は、カウンタnの値が5より大きいか否かを判定する。ここで肯定結果が得られた場合、このことは第5領域35まで処理が終了したことを意味し、制御ユニット5は、ステップSP5へ戻る。一方、否定結果が得られた場合、制御ユニット5は、ステップSP6へ戻り、カウンタnの値が「5」になるまで、すなわち、第5領域35まで順に処理を繰り返す。
(3)動作および効果
以上の構成において、車両用入出力装置1では、投影先として車両の座席6上や、操作者の手の平に各種のアイコンを投影させ、当該投影先における入力操作を検出し、当該入力操作に対応して前記アイコンを切替えて各メニューを実行する。
【0056】
したがって、車両用入出力装置1は、操作者の手の平を投影先とすることができ、さらに操作者の指の動きによって入力操作を行うことができるので、従来のように表示画面または操作キーを投影する平面を必要としない分、構成を簡略化でき、スペースを有効に活用することができる。
【0057】
また、車両用入出力装置1では、操作者の指に装着した先端部の位置によって入力操作を検出することにより、表示するアイコンを切替えるので、従来のように表示画面および操作キーを別個表示させる必要がない分、表示される情報の構成を簡素化することができると共に、直接的な操作が可能となるため、操作性を向上することができる。
(4)他の実施形態
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、操作者の指に装着した先端部を認識することにより、第1の入力操作および第2の入力操作を検出する構成について説明したが、本発明はこれに限らず、図22に示すように、操作者の手60の形状を認識することにより、第1の入力操作および第2の入力操作を検出することとしてもよい。例えば、手60を開いた状態の手の形状(本図(A))を第1の入力操作と認識し、手60を閉じて第1指24と第2指26を当接させた形状(本図(B))を第2の入力操作と認識することとしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、操作者の一方の手の平にアイコンを表示させると共に、当該一方の手によって第1の入力操作および第2の入力操作を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、図23に示すように、一方の手61の平に表示させたアイコンを他方の手62の指で指示することにより、第2の入力操作を行うこととしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、隣り合う操作者同士が互いの手を近づけて当接した場合、当接した2名の乗員の手の平に画像を拡大して表示させる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、図24に示すように、一対の第1指24と第2指26とで囲まれた範囲内に画像を縮小または拡大して表示することとしてもよい。これにより、一対の第1指24と第2指26の位置を適宜変更することにより、画像のサイズを変更することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、第1の情報29および第2の情報36を上面視において左上から右下へ連設して表示するように構成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第1の情報29および第2の情報36を右上から左下へ連設して表示するように構成してもよい。さらに、第2の情報36は、マトリックス状に表示したり(図25)や、縦方向に並べて表示したり(図26)、環状に並べて表示したり(図27)してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、プロジェクタ2は、レンズ7が車両の前方に向かって情報を投影し得るように配置されており、当該レンズ7の前方に配置された反射鏡8により、前記情報を90度曲げて座席6上に投影する場合について説明したが本発明はこれに限らず、レンズ7が車両の下方に向かって情報を投影し得るように配置することにより、反射鏡8を省略することとしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、先端部は、袋状の部材で構成された場合について説明したが、本発明はこれに限らず、カメラ3で色および位置を認識できれば足り、筒状の部材や、手袋で構成されてもよい。また、先端部は操作者の第1指および第2指に装着する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、操作者が操作しやすい指に装着すれば足り、例えば第1指と第3指、第1指と第4指、第2指と第3指など、適宜組み合わせを変えて装着してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、操作者の手の平に第1の情報および第2の情報を投影する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、操作者の手の甲に第1の情報および第2の情報を投影してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 車両用入出力装置
2 プロジェクタ(投影部)
3 カメラ(撮像部)
4 車室
5 制御ユニット
6 座席(投影先)
25 第1先端部(先端部)
27 第2先端部(先端部)
29 第1の情報
31 第1認識領域(認識領域)
32 第2認識領域(認識領域)
33 第3認識領域(認識領域)
34 第4認識領域(認識領域)
35 第5認識領域(認識領域)
36 第2の情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の天井に設けられ、投影先に情報を投影する投影部と、
前記投影先における入力操作を検出する撮像部と、
前記撮像部で検出された前記入力操作の内容に応じて情報処理を行い、当該情報処理の結果を前記投影部から投影させる制御ユニットと
を備えることを特徴とする車両用入出力装置。
【請求項2】
前記投影部は、前記投影先において区画された複数の認識領域毎に第1の情報を表示し、
前記制御ユニットは、前記撮像部が前記認識領域内において入力操作を検出した時に、当該認識領域における前記第1の情報を第2の情報に切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の車両用入出力装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記認識領域内における操作者の指の動作を検出することを特徴とする請求項2記載の車両用入出力装置。
【請求項4】
前記撮像部は、操作者の指に装着される着色された2つの先端部の、色と位置を検出することを特徴とする請求項3記載の車両用入出力装置。
【請求項5】
複数の前記第1の情報が、上面視において車両の左右方向に対し斜めに配置されていることを特徴とする請求項2記載の車両用入出力装置。
【請求項6】
前記撮像部は、操作者毎に設けられ、各操作者毎の指に装着される着色された2つの先端部の、色と位置を検出することを特徴とする請求項1記載の車両用入出力装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、一方の操作者の前記先端部と他方の操作者の前記先端部の少なくとも一部が重なった場合に、前記一方の操作者の手に投影されていた前記情報を、拡大して投影させることを特徴とする請求項6記載の車両用入出力装置。
【請求項8】
前記制御ユニットは、拡大して投影した前記情報を、前記一方の操作者の前記先端部と前記他方の操作者の前記先端部が離れたときに、前記他方の操作者の手のみに前記情報を縮小して投影させることを特徴とする請求項7記載の車両用入出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図15】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−89079(P2012−89079A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237606(P2010−237606)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】