説明

車両用制御装置、及び車両用制御方法

【課題】ブレーキによる影響が周辺に及ぶことを抑制する車両用制御装置、及び車両用制御方法を提供すること。
【解決手段】ブレーキ装置やランプを制御する車両用制御装置10であって、前方車両Bの外部から視認可能なランプLS(及び/又はランプLH)の点滅を検出する点滅検出手段11と、点滅検出手段11により前方車両BのランプLS(及び/又はランプLH)の点滅が検出されると、ブレーキ装置40を作動させるブレーキ制御手段12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ装置やランプを制御する車両用制御装置、及び車両用制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を減速させるためブレーキペダルが操作されると、車体後部に設置されたストップランプが自動的に点灯される。これにより、後続車両の運転者の注意を喚起することができる。また、後続車両の運転者の注意を喚起するため、緊急時や停車時にユーザによるスイッチ操作に応じて、車体後部に設置されたハザードランプが点滅されることがある。
【0003】
このような、後続車両の運転者の注意を喚起する車載装置として、従来から、急ブレーキ時にストップランプを自動的に点滅させる緊急ブレーキシグナル(Emergency Braking Signal)システム(以下、「EBSシステム」という)が知られている(例えば、特許文献1参照)。急ブレーキ時にストップランプを自動的に点滅させることにより、急ブレーキによる影響が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【特許文献1】特開2002−52977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の車載装置のように、ブレーキによる影響が周辺に及ぶことを抑制する発明がこれまでにもなされているが、現在もなお、より効果的に、ブレーキによる影響が周辺に及ぶことを抑制する車両用制御装置、及び車両用制御方法が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ブレーキによる影響が周辺に及ぶことを抑制する車両用制御装置、及び車両用制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、第1の発明は、前方車両の外部から視認可能なランプの点滅を検出する点滅検出手段と、
前記点滅検出手段により前記前方車両の前記ランプの点滅が検出されると、ブレーキ装置を作動させるブレーキ制御手段と、
を備える車両用制御装置である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に係る車両用制御装置であって、前記前方車両との距離を検出する距離検出手段を更に備え、
前記ブレーキ制御手段は、前記点滅検出手段により前記前方車両の前記ランプの点滅が検出されると、前記距離検出手段により検出される前記距離に応じて前記ブレーキ装置を作動させる。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る車両用制御装置であって、前記ブレーキ制御手段により前記ブレーキ装置が作動されると、自車両の外部から視認可能なランプを点滅させるランプ制御手段を更に備える。
【0009】
第4の発明は、第3の発明に係る車両用制御装置であって、前記ランプ制御手段は、前記ブレーキ制御手段により前記ブレーキ装置が作動されると、急ブレーキ時とは異なる周期で前記自車両の前記ランプを点滅させる。
【0010】
第5の発明は、第3又は第4の発明に係る車両用制御装置であって、前記前方車両との距離を検出する距離検出手段を更に備え、
前記ランプ制御手段は、前記ブレーキ制御手段により前記ブレーキ装置が作動されると、前記距離検出手段により検出される前記距離に応じた周期で前記自車両の前記ランプを点滅させる。
【0011】
第6の発明は、第4又は第5の発明に係る車両用制御装置であって、前記点滅検出手段は、前記前方車両の前記ランプの点滅と、該点滅の前記前方車両の走行状態に応じた周期とを検出し、
前記ブレーキ制御手段は、前記点滅検出手段により前記前方車両の前記ランプの点滅が検出されると、前記点滅検出手段により検出される前記周期に応じて前記ブレーキ装置を作動させる。
【0012】
第7の発明は、第1〜第6のいずれか1つの発明に係る車両用制御装置であって、ブレーキペダルの操作を検出するペダル操作検出手段と、
前記ペダル操作検出手段により前記ブレーキペダルの操作が検出されると前記ブレーキ制御手段によるブレーキ制御を解除するブレーキ制御解除手段と、
を更に備える。
【0013】
第8の発明は、第3〜第5のいずれか1つの発明に係る車両用制御装置であって、ハザードランプのスイッチ操作を検出するスイッチ操作検出手段と、
前記スイッチ操作検出手段により前記スイッチ操作が検出されると前記ランプ制御手段によるランプ制御を解除するランプ制御解除手段と、
を更に備える。
【0014】
第9の発明は、第1〜第8のいずれか1つの発明に係る車両用制御装置であって、前記ランプは、車体後部に設置されるストップランプ及び/又はハザードランプである。
【0015】
第10の発明は、前方車両の外部から視認可能なランプの点滅を検出する点滅検出ステップと、
前記点滅検出ステップにより前記前方車両の前記ランプの点滅が検出されると、ブレーキ装置を作動させるブレーキ制御ステップと、
を備える車両用制御方法である。
【0016】
第11の発明は、第10の発明に係る車両用制御方法であって、前記ブレーキ制御ステップにより前記ブレーキ装置が作動されると、自車両の外部から視認可能なランプを点滅させるランプ制御ステップを更に備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ブレーキによる影響が周辺に及ぶことを抑制する車両用制御装置、及び車両用制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0019】
図1は、本発明の車両用制御装置に関連する車載システムの一実施例を示す機能ブロック図である。車両用制御装置10は、車両のブレーキ装置や車両の外部から視認可能なランプを制御するものであり、所定のスイッチ操作(例えば、エンジンのイグニションスイッチのオン操作)に応じてオン状態にされる。車両用制御装置10は、車両に搭載されるマイクロコンピュータを中心に構成される。この車両用制御装置10には、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等の車内ネットワークを介して、車外カメラ20、無線通信機30、ブレーキ装置40、踏力スイッチ50、ストップランプ60、ハザードランプ70、ハザードランプスイッチ80、距離検出センサ90が接続されている。
【0020】
車両用制御装置10は、例えば、CPU、制御プログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、時間を計測するタイマ、演算等の処理の回数を計測するカウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。この車両用制御装置10は、点滅検出手段11、ブレーキ制御手段12、距離検出手段13、ランプ制御手段14、ペダル操作検出手段15、ブレーキ制御解除手段16、スイッチ操作検出手段17、ランプ制御解除手段18に対応するプログラムをROM等の記録媒体に格納し、それらプログラムの処理をCPUに実行させて各種手段を実現する。各種手段の詳細については後述する。
【0021】
図2は、車両用制御装置10を搭載した自車両の走行状態例を模式的に示す上面図である。図2において、Aは自車両、Bは前方車両、Cは後続車両であり、各車両A、B、Cは同一車線上を同一方向に向かって走行している。また、各車両A、B、Cは、それぞれ、急ブレーキ時にストップランプを自動的に点滅させるEBSシステムを搭載している。
【0022】
車外カメラ20は、車両進行方向を撮像するものであり、前方車両Bを含む方向を撮像するよう設置される。例えば、車外カメラ20は、ボディパネル、バンパー、フロントグリル、ナンバープレート付近に設置されるCCDカメラやCMOSカメラであり、広角撮像が可能な魚眼カメラや全方位カメラ、夜間での撮像が可能な赤外線カメラ等であってもよい。また、この車外カメラ20は、単一のカメラであっても、複数のカメラであってもよい。
【0023】
図3は、車外カメラ20により撮像される映像例を示す模式図である。この映像には、前方車両Bの後部が撮像されている。図3において、LSはストップランプ、LHはハザードランプ、LBはブレーキランプである。また、図3において、前方車両BのストップランプLSは、EBSシステムにより自動的に点滅されている。つまり、前方車両Bでは、急ブレーキが駆けられている。
【0024】
無線通信機30は、一般的な構成であってよく、前方車両Bが提供する情報を取得する。この無線通信機30は、例えば、前方車両Bに搭載された無線通信機と交信して、前方車両BのランプLS(及び/又はランプLH)の表示状態に関する情報を取得する。
【0025】
ブレーキ装置40は、例えば、ディスクブレーキ装置であって、車輪と共に回転する円盤状のディスクロータと、ディスクロータに接離される左右一対の摩擦パッドとを含み構成される。運転者がブレーキペダルを踏むと、その踏力は、ブレーキ液の液圧に変換され、ブレーキ液の配管を介して、液圧室に伝達され、左右一対の摩擦パッドをディスクロータに押圧させる動きに変換される。左右一対の摩擦パッドによりディスクロータを押圧挟持する際の摩擦力により、制動力が発現される。
【0026】
踏力スイッチ50は、運転者によるブレーキペダルの踏力を感知するものである。
【0027】
ストップランプ60は、ブレーキペダル操作に応じて点灯され、後続車両Cの運転者の注意を喚起するものである。このストップランプ60は、外部から視認可能な位置、より好ましくは、後続車両Cから視認可能な位置に設置される。例えば、ストップランプ60は、図3に示すように、車体の後部中央のリアウインドウに設置されたり、リアスポイラーに設置されたりする。
【0028】
また、ストップランプ60は、急ブレーキなど、通常より強い力でブレーキペダルが踏み込まれる場合、EBSシステムにより所定周期(例えば、3Hz)で点滅される。この場合、後続車両Cの運転者の視覚を強く刺激して、運転者を覚醒させることができる。
【0029】
ハザードランプ70は、緊急時や停車時にユーザによるスイッチ操作に応じて所定周期(例えば、2Hz)で点滅され、後続車両Cの運転者の注意を喚起させるものである。ハザードランプ70は、外部から視認可能な位置、より好ましくは、後続車両Cから視認可能な位置に設置される。例えば、ハザードランプ70は、図3に示すように、車体の後部(及び前部)に左右一対設置され、左右同時に点滅される。ハザードランプ70は、ウインカーと兼用されてもよい。
【0030】
距離検出センサ90は、前方車両Bとの距離Dを検出するセンサであり、例えば、周知のレーダセンサで構成される。このレーダセンサ90は、パルス状のレーザを発信する発信回路と、障害物に反射して戻ってきたパルスレーザを受信する回路と、発信から受信までの時間を計測するタイマ回路、及び、計測された時間に基づき障害物までの距離を算出するマイコン等により構成される。レーダセンサ90は、車両進行方向の所定範囲をレーザが操作するように、レーザパルスの発信方向を変えながら連続的にレーザパルスを発信する。したがって、車両進行方向の所定範囲内に前方車両Bがいる場合、自車両Aと前方車両Bとの距離Dを感知することができる。
【0031】
ここで、車両用制御装置10が有する各種手段11乃至18について説明する。
【0032】
点滅検出手段11は、前方車両Bの外部から視認可能なランプLS(及び/又はランプLH)の点滅を検出する手段である。例えば、点滅検出手段11は、車外カメラ20で撮像された周辺映像や、無線通信機30を介して前方車両Bから提供された情報に基づいて、前方車両BのランプLS、LHの点滅を検出する。
【0033】
周辺映像に基づいてランプLS、LHの点滅を検出する場合、点滅検出手段11は、最初に、周辺映像を画像処理して、周辺映像でのランプLS、LH、及びその座標位置(画素)を検出する。画像処理には、例えば、予め登録されたランプLS、LHの標準画像データによるマッチング処理を行う方法、カラーの周辺映像を用いて赤色(ランプLSの色)や黄色(ランプLHの色)のランプLS、LHの領域を検出する方法等がある。続いて、点滅検出手段11は、ランプLS、LHの座標位置における輝度が周期的に変化するか否かに基づいて、ランプLS、LHの点滅を検出する。
【0034】
また、点滅検出手段11は、ランプLS、LHの点滅を検出する他、ランプLS、LHの点滅の前方車両Bの走行状態に応じた周期Tbを検出してもよい。点滅の周期Tbは、例えば、周辺画像でのランプLS、LHの座標位置での輝度の周期をタイマで計測して検出される。これにより、前方車両Bの走行状態を検知することができる。
【0035】
更に、点滅検出手段11は、ランプLS、LHの点滅を検出する他、複数のランプLHが同時に点滅されているか否かを検出してもよい。これにより、ハザードランプLHの点滅とウインカーの点滅とを識別することができる。
【0036】
ブレーキ制御手段12は、点滅検出手段11により前方車両BのランプLS(及び/又はランプLH)の点滅が検出されると、ブレーキ装置40を作動させる手段である。ブレーキ装置40を作動させる場合、例えば、ブレーキ制御手段12は、ブレーキ装置40内に装備された油圧ポンプを作動させてブレーキ液の液圧を高め、制動力を発現させる。
【0037】
これにより、前方車両Bの急ブレーキ時に自動的に自車両Aを減速させることができ、自車両Aと前方車両Bとの異常接近を防止又は抑制することができる。したがって、より効果的に、前方車両Bの急ブレーキの影響が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【0038】
また、ブレーキ制御手段12は、点滅検出手段11により検出される点滅の周期Tbに応じてブレーキ装置40を作動させてもよい。この点滅の周期Tbは、上述したように、前方車両Bの走行状態に応じたものである。
【0039】
これにより、前方車両Bの走行状態を考慮して自車両Aを適切に減速させることができ、自車両Aの減速の影響(つまり、前方車両Bの急ブレーキの影響)が周辺に及ぶことを抑制することができる。例えば、自車両Aを緩やかに減速させて、自車両Aと後続車両Cとの衝突を抑制したり、渋滞の発生を抑制したりすることができる。
【0040】
更に、ブレーキ制御手段12は、後述の距離検出手段13により検出される距離Dに応じてブレーキ装置40を作動させてもよい。例えば、自車両Aと前方車両Bとの距離Dが所定値Do(例えば、100m)以上の場合、ブレーキ装置40を作動させず、距離Dが所定値Do未満の場合、ブレーキ装置40を作動させてもよい。また、距離Dが短くなるほど減速度が大きくなるようブレーキ装置40を作動させてもよい。
【0041】
これにより、自車両Aと前方車両Bとの距離Dが十分長い場合に、自車両Aを緩やかに減速させることができる。自車両Aの急ブレーキを低減することができるので、自車両Aと後続車両Cとの衝突を抑制することができる。
【0042】
なお、所定値Doは、固定されてもよいが、自車両Aの車速に応じて、十分な制動距離が得られるよう、変更されてもよい。
【0043】
距離検出手段13は、前方車両Bとの距離Dを検出する手段である。例えば、距離検出手段13は、距離検出センサ90からの距離Dに応じた電気信号に基づいて距離Dを検出する。また、車外カメラ20が一対のステレオカメラで構成される場合、一対の周辺画像におけるランプLS(及び/又はランプLH)の視差に基づいて距離Dを検出してもよい。
【0044】
ランプ制御手段14は、ブレーキ制御手段12によりブレーキ装置40が作動されると、自車両Aのランプ60(及び/又はランプ70)を点滅させる手段である。
【0045】
これにより、自車両Aの自動減速時に自動的に自車両Aのランプ60(及び/又はランプ70)を点滅させることができ、後続車両Cの運転者の注意を喚起することができる。したがって、自車両Aの自動減速の影響(つまり、前方車両Bの急ブレーキの影響)が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【0046】
また、ランプ制御手段14は、ブレーキ制御手段12によりブレーキ装置40が作動されると、急ブレーキ時(EBSシステム作動時)とは異なる周期Taで自車両Aのランプ60(及び/又はランプ70)を点滅させてもよい。例えば、EBSシステム作動時よりも長い周期Taで点滅させて、後続車両Cの運転者の視覚を弱く刺激する。
【0047】
自車両Aのランプ60、70を見た後続車両Cの運転者は、自車両Aでは自動減速がなされており、急ブレーキ時のブレーキペダル操作がなされていないことを認識できる。これにより、自車両Aの減速度(走行状態)を考慮して後続車両Cを適切に減速でき、後続車両Cの減速の影響(つまり、前方車両Bの急ブレーキの影響)が周辺に及ぶことを抑制することができる。例えば、後続車両Cを緩やかに減速させて、衝突事故や渋滞の発生を抑制することができる。
【0048】
後続車両Cは、車両用制御装置10を搭載する場合、点滅検出手段11により、自車両Aのランプ60(及び/又はランプ70)の点滅の周期Taを監視しており、ブレーキ制御手段12により、点滅の周期Taに応じてブレーキ装置40を作動させる。これにより、自車両Aの減速度(走行状態)を考慮して後続車両Cを適切に減速でき、後続車両Cの減速の影響(つまり、前方車両Bの急ブレーキの影響)が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【0049】
更に、ランプ制御手段14は、ブレーキ制御手段12によりブレーキ装置40が作動されると、距離検出手段13により検出される距離Dに応じた周期Taで自車両Aのランプ60(及び/又はランプ70)を点滅させてもよい。例えば、自車両Aと前方車両Bとの距離Dが短い場合、自車両Aの減速度が大きくなる傾向があるので、自車両Aのランプ60、70を短い周期Taで点滅させて、後続車両Cの運転者の視覚を強く刺激する。
【0050】
自車両Aのランプ60、70を見た後続車両Cの運転者は、点滅の周期Taから自車両Aの減速度を推測できる。これにより、自車両Aの減速度(走行状態)を考慮して後続車両Cを適切に減速することができ、後続車両Cの減速の影響(つまり、前方車両Bの急ブレーキの影響)が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【0051】
後続車両Cは、車両用制御装置10を搭載する場合、点滅検出手段11により、自車両Aのランプ60(及び/又はランプ70)の点滅の周期Taを監視しており、ブレーキ制御手段12により、点滅の周期Taに応じてブレーキ装置40を作動させる。これにより、自車両Aの減速度(走行状態)を考慮して後続車両Cを適切に減速することができ、後続車両Cの減速の影響(つまり、前方車両Bの急ブレーキの影響)が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【0052】
ペダル操作検出手段15は、ブレーキペダルの操作を検出する手段である。例えば、ペダル操作検出手段15は、踏力スイッチ50からの電気信号に基づいてブレーキペダルの操作を検出する。
【0053】
ブレーキ制御解除手段16は、ペダル操作検出手段15によりブレーキペダルの操作が検出されると、ブレーキ制御手段12によるブレーキ制御を解除させる手段である。
【0054】
これにより、ブレーキペダルの操作時に、ブレーキペダルの操作量に応じて自車両Aを減速させることができる。つまり、運転者の意思により自車両Aを適切に減速させることができる。
【0055】
尚、ブレーキペダルの操作時に、ブレーキ制御を解除させると同時に、ランプ制御を解除させてもよい。この場合に、急ブレーキなど、通常より強い力でブレーキペダルが踏み込まれていると、EBSシステムにより、ストップランプ60が所定周期で点滅される。
【0056】
スイッチ操作検出手段17は、ハザードランプ70のスイッチ操作を検出する手段であり、ハザードランプスイッチ80からの電気信号に基づいてスイッチ操作を検出する。
【0057】
ランプ制御解除手段18は、スイッチ操作検出手段17によりスイッチ操作が検出されると、ランプ制御手段14によるランプ制御を解除させる手段である。例えば、ランプ制御解除手段18は、ハザードランプスイッチ80がオンに操作されると、ランプ制御手段14によるランプ制御を解除させる。
【0058】
これにより、ハザードランプスイッチ80のスイッチ操作時に、スイッチ操作に応じてランプ60、70の表示状態を切り替えることができる。つまり、運転者の意思によりランプ60、70を適切な表示状態に切り替えることができる。
【0059】
ここで、図4を参照しながら車両用制御装置10が行う処理の一例を説明する。車両用制御装置10は、図4に示すステップS101以降の処理を所定時間毎に実行する。
【0060】
最初に、車両用制御装置10は、点滅検出手段11により、前方車両Bの外部から視認可能なストップランプLS及びハザードランプLHの少なくともいずれかの点滅が検出された場合(ステップS101、YES)、距離検出手段13により、自車両Aと前方車両Bとの距離Dを検出させる(ステップS102)。その後、ブレーキ制御手段12により、距離Dが所定値Do未満である場合(ステップS103、YES)、ブレーキ装置40を作動させる(ステップS104)。
【0061】
一方、ランプLS、LHの点滅が検出されなかった場合(ステップS101、NO)、及び、距離Dが所定値Do以上である場合(ステップS103、NO)、ブレーキ装置40を作動させず、今回の処理を終了する。
【0062】
車両用制御装置10は、ブレーキ装置40を作動させた後(ステップS104)、ランプ制御手段14により、自車両Aの外部から視認可能なストップランプ60(及び/又はハザードランプ70)を点滅させる(ステップS105)。
【0063】
続いて、車両用制御装置10は、ペダル操作検出手段15により、ブレーキペダルの操作が検出されると(ステップS106、YES)、ブレーキ制御解除手段16により、ブレーキ制御を解除させる(ステップS107)。
【0064】
一方、ブレーキペダルの操作が検出されなかった場合(ステップS106、NO)、今回の処理を終了する。
【0065】
最後に、車両用制御装置10は、スイッチ操作検出手段17により、ハザードランプスイッチ80のオン操作が検出されると(ステップS108、YES)、ランプ制御解除手段18により、ランプ制御を解除させ(ステップS109)、今回の処理を終了する。
【0066】
一方、スイッチ80のオン操作が検出されなかった場合(ステップS108、NO)、今回の処理を終了する。
【0067】
以上の構成により、本実施例の車両用制御装置10、及び車両用制御方法は、前方車両Bの急ブレーキ時に自動的に自車両Aを減速させることができ、自車両Aと前方車両Bとの異常接近を防止又は抑制することができる。したがって、より効果的に、前方車両Bの急ブレーキの影響が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【0068】
また、自車両Aの自動減速時に自動的に自車両Aのランプ60(及び/又はランプ70)を点滅させることができ、後続車両Cの運転者の注意を喚起することができる。したがって、自車両Aの自動減速の影響(つまり、前方車両Bの急ブレーキの影響)が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0070】
例えば、本実施例の車両用制御装置10は、上記ブレーキ制御の他、周知のABS(Antilock Brake System)制御、発進時や加速時の駆動輪のスリップを低減するトラクションコントロール制御、急なハンドル操作などで発生する横すべりを抑制するスタビリティコントロール制御を行うものであってもよい。
【0071】
また、本実施例の点滅検出手段11は、前方車両BのストップランプLS(及び/又はハザードランプLH)の点滅を検出するとしたが、急ブレーキに関連するランプの点滅を検出することができる限り、検出するランプの種類に制限はなく、例えば、ブレーキランプLBの点滅を検出してもよい。尚、急ブレーキに関連するランプの点滅には、EBSシステムによるストップランプLS等の点滅の他、ランプ制御手段14によるストップランプ60等の点滅が含まれる。
【0072】
また、本実施例の点滅手段11は、上記急ブレーキに関連するランプの点滅を検出する他、前方車両Bのウインカーランプの点滅を検出してもよく、この場合、前方車両Bの比較的緩やかなブレーキの影響が周辺に及ぶことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の車両用制御装置に関連する車載システムの一実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】車両用制御装置10を搭載した自車両の走行状態例を模式的に示す上面図である。
【図3】車外カメラ20により撮像される映像例を示す模式図である。
【図4】本発明の車両用制御方法の処理の一実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
10 車両用制御装置
11 点滅検出手段
12 ブレーキ制御手段
13 距離検出手段
14 ランプ制御手段
15 ペダル操作検出手段
16 ブレーキ制御解除手段
17 スイッチ操作検出手段
18 ランプ制御解除手段
20 車外カメラ
30 無線通信機
40 ブレーキ装置
50 踏力スイッチ
60 ストップランプ
70 ハザードランプ
80 ハザードランプスイッチ
90 距離検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方車両の外部から視認可能なランプの点滅を検出する点滅検出手段と、
前記点滅検出手段により前記前方車両の前記ランプの点滅が検出されると、ブレーキ装置を作動させるブレーキ制御手段と、
を備える車両用制御装置。
【請求項2】
前記前方車両との距離を検出する距離検出手段を更に備え、
前記ブレーキ制御手段は、前記点滅検出手段により前記前方車両の前記ランプの点滅が検出されると、前記距離検出手段により検出される前記距離に応じて前記ブレーキ装置を作動させる請求項1記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記ブレーキ制御手段により前記ブレーキ装置が作動されると、自車両の外部から視認可能なランプを点滅させるランプ制御手段を更に備える請求項1又は2記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記ランプ制御手段は、前記ブレーキ制御手段により前記ブレーキ装置が作動されると、急ブレーキ時とは異なる周期で前記自車両の前記ランプを点滅させる請求項3記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記前方車両との距離を検出する距離検出手段を更に備え、
前記ランプ制御手段は、前記ブレーキ制御手段により前記ブレーキ装置が作動されると、前記距離検出手段により検出される前記距離に応じた周期で前記自車両の前記ランプを点滅させる請求項3又は4記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記点滅検出手段は、前記前方車両の前記ランプの点滅と、該点滅の前記前方車両の走行状態に応じた周期とを検出し、
前記ブレーキ制御手段は、前記点滅検出手段により前記前方車両の前記ランプの点滅が検出されると、前記点滅検出手段により検出される前記周期に応じて前記ブレーキ装置を作動させる請求項4又は5記載の車両用制御装置。
【請求項7】
ブレーキペダルの操作を検出するペダル操作検出手段と、
前記ペダル操作検出手段により前記ブレーキペダルの操作が検出されると、前記ブレーキ制御手段によるブレーキ制御を解除させるブレーキ制御解除手段と、
を更に備える請求項1〜6いずれか一項記載の車両用制御装置。
【請求項8】
ハザードランプのスイッチ操作を検出するスイッチ操作検出手段と、
前記スイッチ操作検出手段により前記スイッチ操作が検出されると、前記ランプ制御手段によるランプ制御を解除させるランプ制御解除手段と、
を更に備える請求項3〜5いずれか一項記載の車両用制御装置。
【請求項9】
前記ランプは、車体後部に設置されるストップランプ及び/又はハザードランプである請求項1〜8いずれか一項記載の車両用制御装置。
【請求項10】
前方車両の外部から視認可能なランプの点滅を検出する点滅検出ステップと、
前記点滅検出ステップにより前記前方車両の前記ランプの点滅が検出されると、ブレーキ装置を作動させるブレーキ制御ステップと、
を備える車両用制御方法。
【請求項11】
前記ブレーキ制御ステップにより前記ブレーキ装置が作動されると、自車両の外部から視認可能なランプを点滅させるランプ制御ステップを更に備える請求項10記載の車両用制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−255614(P2009−255614A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103769(P2008−103769)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】