車両用変速装置
【課題】オイルストレーナの耐久性の低下が抑制された車両用変速装置を提供する。
【解決手段】ストレーナ接続穴34は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴34の軸心C1方向に形成された切欠溝36を備え、オイルストレーナ28の接続管26の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、上記切欠溝36との周方向位置が一致する状態でストレーナ接続穴34に挿入可能、且つ流入油路30内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路30の側面32と係合可能に設けられた係合突部56を備え、オイルストレーナ28は、その係合突部56が流入油路30の側面32と係止させられることでストレーナ接続穴34から抜出不能とされることから、スクリーン24に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ28の耐久性の低下が抑制される。
【解決手段】ストレーナ接続穴34は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴34の軸心C1方向に形成された切欠溝36を備え、オイルストレーナ28の接続管26の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、上記切欠溝36との周方向位置が一致する状態でストレーナ接続穴34に挿入可能、且つ流入油路30内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路30の側面32と係合可能に設けられた係合突部56を備え、オイルストレーナ28は、その係合突部56が流入油路30の側面32と係止させられることでストレーナ接続穴34から抜出不能とされることから、スクリーン24に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ28の耐久性の低下が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルストレーナの耐久性を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケース内に貯溜されたオイルを吸入するためのオイル吸入部と、そのオイル吸入部に基端部が接続された接続管とを有するオイルストレーナが知られている。例えば、特許文献1乃至3に記載されたものがそれである。そして、特許文献3には、上記オイルストレーナと、前記ケースの壁内に形成され、オイルストレーナからのオイルが流入させられる流入油路と、その流入油路の側面に連通した状態で前記ケースの内壁面に開口し、前記接続管の先端部が開口内に挿入されるストレーナ接続穴とを、備えたエンジン用のオイルストレーナ装置が記載されている。この特許文献3のオイルストレーナ装置において、オイルストレーナは、ケースの壁に外側から螺合され、オイル吸入部および接続管をテーパ状に形成されたストレーナ接続穴に向けて付勢するための弾発ばねが装着されたボルトを備えている。これにより、オイルストレーナの接続管は、その先端部がテーパ状のストレーナ接続穴に向けて押し付けられてそのストレーナ接続穴から抜け止めされている。なお、このようなオイルストレーナ装置は、車両用変速装置にも用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−150022号公報
【特許文献2】特開2002−364325号公報
【特許文献3】特開平10−311209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のオイルストレーナを有する車両用変速装置においては、オイルストレーナがケースに組み付けられる際に、ボルトとオイル吸入部との間に設けられた弾発ばねによりオイル吸入部および接続管がテーパ状のストレーナ接続穴に向けて付勢された状態で、ボルトがケースに螺合される。そのため、接続管の先端部がテーパ状のストレーナ接続穴の内周面と係合させられつつ、オイル吸入部および接続管が複数回回転させられる。したがって、例えば樹脂製や金属製の円筒状の網目織状部材等から成る比較的強度が低い前記オイル吸入部が捩られて、その耐久性が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、オイルストレーナの耐久性の低下が抑制された車両用変速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a-1) ケース内に貯溜されたオイルを吸入するためのオイル吸入部と、そのオイル吸入部に基端部が接続された接続管とを有するオイルストレーナと、(a-2) 前記ケースの壁内に形成され、前記オイルストレーナからのオイルが流入させられる流入油路と、(a-3) その流入油路の側面に連通した状態で前記ケースの内壁面に開口し、前記接続管の先端部がその開口内に挿入されるストレーナ接続穴とを、備えた車両用変速装置であって、(b) 前記ストレーナ接続穴は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴の軸心方向に形成された切欠溝を備え、(c) 前記接続管の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、前記ストレーナ接続穴の切欠溝との周方向位置が一致する状態でそのストレーナ接続穴に挿入可能、且つ前記流入油路内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路の内壁面と係合可能に設けられた係合突部を備え、(d) 前記オイルストレーナは、その係合突部が前記流入油路の内壁面と係止させられることで前記ストレーナ接続穴から抜出不能とされることにある。
【0007】
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1にかかる発明において、前記接続管の先端部および係合突部を含む径方向距離は、前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置する周方向位置の径方向距離よりも小さく、且つ前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置しない周方向位置の径方向距離よりも大きくなるように設定されていることにある。
【0008】
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2にかかる発明において、(a) 前記流入油路の内壁面は、前記係合突部がその流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部の外周面との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、(b) 前記接続管は、前記係合突部の外周面が前記流入油路の内壁面と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されることにある。
【0009】
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項3にかかる発明において、(a) 前記流入油路の内壁面は、前記係合突部がその流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、前記軸心方向における前記係合突部の外周面との間の軸心方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、(b) 前記接続管は、前記係合突部の外周面が前記流入油路の内壁面と摩擦係合されることで前記軸心方向の移動不能に固定されることにある。
【0010】
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項3または4にかかる発明において、(a) 前記接続管は、屈曲させられており、(b) 前記ケースは、複数の分割ケース部から成る分割式のものであり、前記接続管が軸まわりの回動不能に固定された状態で各分割ケース部が相互に組み付けられることにある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、ストレーナ接続穴は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴の軸心方向に形成された切欠溝を備え、接続管の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、ストレーナ接続穴の切欠溝との周方向位置が一致する状態でそのストレーナ接続穴に挿入可能、且つ流入油路内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路の内壁面と係合可能に設けられた係合突部を備え、オイルストレーナは、その係合突部が流入油路の内壁面と係止させられることでストレーナ接続穴から抜出不能とされることから、オイルストレーナの接続管の先端部がストレーナ接続穴に挿入された状態において、接続管が、係合突部と切欠溝との周方向位置を異ならせる程度に例えば90度程度軸まわりに回動されることにより、オイルストレーナがストレーナ接続穴から抜け止めされるので、上記オイル吸入部に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナの耐久性の低下が抑制される。
【0012】
また、請求項2にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、前記接続管の先端部および係合突部を含む径方向距離は、前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置する周方向位置の径方向距離よりも小さく、且つ前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置しない周方向位置の径方向距離よりも大きくなるように設定されていることから、係合突部と切欠溝との周方向位置が異なるように接続管が回動させられていれば、ストレーナ接続穴に挿入されたオイルストレーナの接続管が径方向に移動させられても係合突部が流入油路の内壁面に必ず係止させられるので、オイルストレーナが確実にストレーナ接続穴から抜け止めされる。
【0013】
また、請求項3にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、前記流入油路の内壁面は、前記係合突部がその流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部の外周面との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、前記接続管は、前記係合突部の外周面が前記流入油路の内壁面と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されることから、ストレーナ接続穴に挿入されたオイルストレーナの接続管が軸まわりに回動することが抑制され、係合突部とストレーナ接続穴の切欠溝との周方向位置が一致することが抑制されるので、係合突部が流入油路の内壁面に係止可能な状態が維持され、オイルストレーナが確実にストレーナ接続穴から抜け止めされる。
【0014】
また、請求項4にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、前記流入油路の内壁面は、前記係合突部がその流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、前記軸心方向における前記係合突部の外周面との間の軸心方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、前記接続管は、前記係合突部の外周面が前記流入油路の内壁面と摩擦係合されることで前記軸心方向の移動不能に固定されることから、オイルストレーナのオイル吸入部側の端部を固定しなくてもオイルストレーナがストレーナ接続穴から抜け止めされた状態が維持されるので、上記オイルストレーナのオイル吸入部側の端部を固定するための構成が不要となり、オイルストレーナを安価に製造することができる。
【0015】
また、請求項5にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、前記接続管は、屈曲させられており、前記ケースは、複数の分割ケース部から成る分割式のものであり、前記接続管が軸まわりの回動不能に固定された状態で各分割ケース部が相互に組み付けられることから、各分割ケース部内に内蔵物が組み込まれた状態において、オイルストレーナが所定の分割ケース部内に軸まわりの回動不能に組み付けられてから各分割ケースが相互に組み付けられる場合には、そのオイルストレーナが各分割ケース部の内蔵物に干渉することなく組み付けることができるので、オイルストレーナが内蔵物に干渉することによる耐久性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例の車両用変速装置の一部を切欠いて断面で示した図である。
【図2】図1において切欠いて示された車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】図2のIII-III矢視部断面を示す断面図である。
【図4】図2のIV-IV矢視部断面を示す断面図である。
【図5】オイルストレーナがカバー部に組み付けられる際に、接続管の先端部がストレーナ接続穴内に挿入された状態を示す断面図である。
【図6】図5のVI-VI矢視部断面を示す断面図である。
【図7】内蔵物が予め組み付けられて開口部が上向きにされた第2ケース部に対してカバー部が上から被せられて組み付けられる途中の様子を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施例の車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。
【図9】図8のIX-IX矢視部断面を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例の車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。
【図11】図10のXI-XI矢視部断面を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施例の車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図であり、実施例2における図8に相当するものである。
【図13】図12のXIII-XIII矢視部断面を示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施例の車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本実施例の車両用変速装置10の一部を切欠いて断面で示した図である。図1に示すように、車両用変速装置10は、第1ケース部12、第2ケース部14、およびカバー部16から成る3分割式のケース20内に、図示しない良く知られた遊星歯車式の変速機構を備えて構成されている。上記第1ケース部12および第2ケース部14は、それぞれ筒状に形成されており、第1ケース部12の一方の開口部がエンジン18に固定され、第1ケース部12の他方の開口部と第2ケース部14の一方の開口部とが相互に固定されている。そして、上記カバー部16は、有底筒状に形成されており、開口部が第2ケース部14の他方の開口部に固定されている。このように構成されるケース20の内部空間の下部には、オイルが貯溜されており、このオイルは、カバー部16の底壁部(壁)16aの略中央付近に配設されたオイルポンプ22により吸い上げられて、ケース20内の各潤滑部位や各油圧作動装置などへ圧送されるようになっている。なお、上記第1ケース部12、第2ケース部14、およびカバー部16は、アルミダイカスト製である。
【0019】
図2は、図1において切欠いて示された車両用変速装置10の一部を拡大して示す断面図である。図2に示すように、車両用変速装置10は、ケース20内の底部に貯溜されたオイルを吸入するためのスクリーン(オイル吸入部)24と、そのスクリーン24に基端部が接続された接続管26とを有するオイルストレーナ28と、図1に示すオイルポンプ22の吸入ポートに連通した状態でカバー部16の底壁部16a内に形成され、オイルストレーナ28からのオイルが流入させられる流入油路30と、その流入油路30の側面32に開口して流入油路30に連通した状態でカバー部16の底壁部16aの内壁面に開口し、オイルストレーナ28の接続管26の先端部が開口内に挿入されるストレーナ接続穴34とを、備えている。
【0020】
図3は、図2のIII-III矢視部断面を示す断面図である。図3に示すように、上記流入油路30は、流通方向に直交する方向の断面形状が矩形状となるように形成されている。上記流通方向は、ストレーナ接続穴34の軸心C1方向に略直交する方向であり、流通油路30は、カバー部16の底壁部16aの外周部から内周部(中央部)に向かうように形成されている。また、上記矩形状のうち、ストレーナ接続穴34が開口させられた側面32は、軸心C1に直交するように設けられている。この流通油路30は、例えば、所定の中子(鋳抜ピン)がセットされた金型に対して溶融金属が注湯されるダイカスト工程を経てカバー部16が成型される際に、上記中子が抜き取られる鋳抜きによって形成される。
【0021】
図2に戻って、前記ストレーナ接続穴34は、カバー部16の底壁部16aの内壁面に開口し、後述の接続管26のシール部46が嵌め入れられた大径部34aと、その大径部34aと同心となり且つ大径部34aよりも小径となるように、大径部34aの底面および流入油路30の側面32にそれぞれ開口させられた小径部34bとを有している。図4は、図2のIV-IV矢視部断面を示すストレーナ接続穴34等の断面図である。図4に示すように、ストレーナ接続穴34の小径部34bは、その内周面の周方向の一部にストレーナ接続穴34の軸心C1方向に形成された切欠溝36を備えている。この切欠溝36は、切削加工により形成されるが、その他にも例えばカバー部16のダイカスト工程においてそのカバー部16と共に成型されてもよい。
【0022】
図2に戻って、前記スクリーン24は、その内外を連通させるために側面に複数の開口が形成された合成樹脂製の円筒状の保護部材24aと、円筒状に巻かれて上記保護部材24aの内周面に貼着された合成樹脂製の網目織状のメッシュ部材24bとを備えている。ケース20内の底部に貯溜されたオイルは、メッシュ部材24bの複数の網目をそれぞれ通じてスクリーン24の内側へ吸入可能となっている。なお、ケース20内の底部に貯溜されたオイルに含まれる比較的大きな異物は、メッシュ部材24bの網目を通過できず、スクリーン24内に吸入されないようになっている。また、第2ケース部14は、その内壁面から内周側へ突設され、カバー部16の底壁部16aとの対向面に嵌合穴38が形成された内壁部14aを有しており、スクリーン24は、保護部材24aから突設されて上記嵌合穴38内に挿入された突起40を備えている。この突起40の外周には、例えば合成ゴムから成るリング部材42が装着されており、スクリーン24は、そのリング部材42を介して上記内壁部14aに径方向において支持されている。
【0023】
前記接続管26は、スクリーン24の保護部材24aと一体的に設けられており、その接続管26内は、保護部材24aおよびメッシュ部材24bの内部空間と連通させられている。図3に示すように、接続管26の先端部のうちの流入油路30内に有る一部には、その側面に開口して接続管26内と流入油路30内とを連通させ、接続管26内のオイルを流入油路30へ流出させるための流出孔44が形成されている。図2に戻って、接続管26の先端部の一部は、それの先端側よりも大径となるように形成され、ストレーナ接続穴34の大径部34aに嵌め入れられたシール部46を有している。このシール部46の外周面には、Oリング溝48が形成されており、このOリング溝48には、シール部46とストレーナ接続穴34の大径部34aとの間の隙間を油密に封止する合成ゴム製のOリング50が装着されている。
【0024】
また、図2および図4に示すように、接続管26の先端部は、その外周面のうちの流出孔44とは反対側から径方向外側へ突設された係合突部56を備えている。図5は、オイルストレーナ28がカバー部16に組み付けられる際に、接続管26の先端部がストレーナ接続穴34内に挿入された状態を示す断面図である。また、図6は、図5のVI-VI矢視部断面を示す断面図である。図5および図6に示すように、上記係合突部56は、それとストレーナ接続穴34の切欠溝36との軸心C1まわりの周方向位置が一致する状態で接続管26がストレーナ接続穴34に挿入可能なように設けられている。図6に示すように、軸心C1から係合突部56の外周面58までの径方向の長さは、軸心C1から切欠溝36の底面までの径方向の長さよりも小さくなるように形成されている。また、図示しないが、ストレーナ接続穴34の大径部34aの内周面は、上記切欠溝36の底面よりも外周側に位置するように設定されている。
【0025】
また、係合突部56は、図6に矢印aで示すように、その係合突部56の全部が流入油路30内に有る状態で接続管26が周方向に回動させられることにより、図4に示すように、流入油路30の側面(内壁面)32と係合可能に設けられている。図4において、接続管26の先端部および係合突部56を含む径方向距離R1は、ストレーナ接続穴34のうちの切欠溝36が位置する周方向位置の径方向距離R2よりも小さく、且つストレーナ接続穴34のうちの切欠溝36が位置しない周方向位置の径方向距離R3よりも大きくなるように設定されている。オイルストレーナ28は、図2に示すように、係合突部56が流入油路30の側面32と係止させられることで、ストレーナ接続穴34から抜出不能とされている。
【0026】
上記のように構成されるオイルストレーナ28は、ケース20に組み付けられる際に、先ず、図5および図6に示すようにカバー部16の底壁部16aに形成されたストレーナ接続穴34内に接続管26の先端部が挿入されてから、接続管26の係合突部56の全部が流入油路30内に有る状態で図6に矢印aで示すように接続管26が周方向に回動させられることにより、図2に示すように係合突部56が流入油路30の側面(内壁面)32と係合可能な状態とされる。上記接続管26の周方向の回動角度は、係合突部56の周方向位置を切欠溝36の周方向位置と一致しない状態とするために、例えば90度程度に設定される。上記接続管26が周方向に回動されるときにおいて、オイルストレーナ28のスクリーン24側の端部は自由状態であるために、スクリーン24にそれを捩るような力は作用しない。
【0027】
次いで、図7に示すように、内蔵物が予め組み付けられて前記他方の開口部が上向きにされた第2ケース部14に対して、図7に矢印bで示すようにカバー部16が上から被せられて組み付けられることにより、オイルストレーナ28の突起40が第2ケース部14の内壁部14aの嵌合穴38内に挿入される。このようにカバー部16がその開口を下向きとした状態で第2ケース部14に組み付けられるときには、ストレーナ接続穴34の軸心C1方向が鉛直方向と略一致させられる。このとき、オイルストレーナ28は、自重によりストレーナ接続穴34から抜け出そうとするが、接続管26の係合突部56が流入油路30の側面32と係止することでそのオイルストレーナ28の抜け出しが防止されるようになっている。
【0028】
因みに、従来のオイルストレーナは、そのオイルストレーナの例えば接続管に一体的に設けられたブラケットが用いられてボルトによりカバー部16に締結されることによって、ケース20に組み付けられていた。これに対して、カバー部16および第2ケース部14の内壁面間で上記オイルストレーナを挟み込んでそのオイルストレーナを固定することにより、上記ブラケットおよびボルトを廃止してコスト低減することが考えられる。しかしながら、これによると、開口が上向きとされた状態で内蔵物が組み付けられた第2ケース部14に対してカバー部16が上から被せられて組み付けられる際に、そのカバー部16のストレーナ接続穴に挿入されたオイルストレーナがその自重によりストレーナ接続穴から抜け出てしまう可能性があった。その際、オイルストレーナがストレーナ接続穴に挿入された状態は、オイルストレーナの接続管に装着されたOリングによりある程度維持することが可能であるが、必ずしも充分でなかった。そして、第2ケース部14およびカバー部16が相互に組み付けられた状態においては、オイルストレーナがストレーナ接続穴から抜け出ていないかを確認することが困難であるという問題があった。
【0029】
また、別の従来例として、ケース20の外側から螺合され、スクリーンおよび接続管をテーパ状に形成されたストレーナ接続穴に向けて付勢するための弾発ばねが装着されたボルトを備えるオイルストレーナがある。このオイルストレーナは、その接続管の先端部がテーパ状のストレーナ接続穴に向けて押し付けられることでストレーナ接続穴から抜け止めされている。このようなオイルストレーナは、それがケース20に組み付けられる際に、上記ボルトとスクリーンとの間に設けられた上記弾発ばねによりスクリーンおよび接続管がテーパ状のストレーナ接続穴に向けて付勢された状態で、上記ボルトがケース20に螺合される。そのため、接続管の先端部がテーパ状のストレーナ接続穴の内周面と係合させられつつ、スクリーンおよび接続管が複数回回転させられる。したがって、例えば樹脂製や金属製の円筒状の網目織状部材等から成る比較的強度が低いスクリーンが捩られて、その耐久性が低下する可能性があった。
【0030】
本実施例の車両用変速装置10によれば、ストレーナ接続穴34は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴34の軸心C1方向に形成された切欠溝36を備え、オイルストレーナ28の接続管26の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、上記切欠溝36との周方向位置が一致する状態でストレーナ接続穴34に挿入可能、且つ流入油路30内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路30の側面(内壁面)32と係合可能に設けられた係合突部56を備え、オイルストレーナ28は、その係合突部56が流入油路30の側面32と係止させられることでストレーナ接続穴34から抜出不能とされることから、オイルストレーナ28のスクリーン24側の端部が自由状態であり且つオイルストレーナ28の接続管26の先端部がストレーナ接続穴34に挿入された状態において、接続管26が、係合突部56と切欠溝36との周方向位置を異ならせる程度に90度程度軸まわりに90度程度回動されることにより、オイルストレーナ28がストレーナ接続穴34から抜け止めされるので、スクリーン24に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ28の耐久性の低下が抑制される。
【0031】
また、本実施例の車両用変速装置10によれば、接続管26の先端部および係合突部56を含む径方向距離R1は、ストレーナ接続穴34のうちの切欠溝36が位置する周方向位置の径方向距離R2よりも小さく、且つストレーナ接続穴34のうちの切欠溝36が位置しない周方向位置の径方向距離R3よりも大きくなるように設定されていることから、係合突部56と切欠溝36との周方向位置が異なるように接続管26が回動させられていれば、ストレーナ接続穴34に挿入されたオイルストレーナ28の接続管26の先端部が径方向に移動させられても係合突部56が流入油路30の側面32に必ず係止させられるので、オイルストレーナ28が確実にストレーナ接続穴34から抜け止めされる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の実施例の説明において、実施例相互に重複する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図8は、本発明の他の実施例の車両用変速装置60の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。図9は、図8のIX-IX矢視部断面を示す断面図である。図8および図9に示すように、本実施例の車両用変速装置60は、実施例1の流入油路30に代えて、流入油路62を備えている。この流通油路62は、流通方向に直交する方向の断面形状が矩形状となるように形成されている。また、この流入油路62のうち、底壁部16aの外周部に位置する外周側端部の内壁面64は、図9に示すように、軸心C1に直交する方向の断面形状が、軸心C1に対して切欠溝36側へ離れて位置させられた曲率中心線C2を有する半円筒状となるように形成され、図9に矢印cで示すように、係合突部56がその流入油路62内に有り且つ係合突部56と切欠溝36との周方向位置が一致する状態から係合突部56が周方向に90度程度回動させられるにしたがって、その係合突部56の外周面58との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成されている。そして、接続管26は、係合突部56の外周面58が流入油路62の内壁面64と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されている。この流通油路62は、例えば、所定の中子(鋳抜ピン)がセットされた金型に対して溶融金属が注湯されるダイカスト工程を経てカバー部16が成型される際に、上記中子が抜き取られる鋳抜きによって形成される。
【0034】
本実施例の車両用変速装置60によれば、上記以外の構成は実施例1と同様であり、ストレーナ接続穴34は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴34の軸心C1方向に形成された切欠溝36を備え、オイルストレーナ28の接続管26の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、上記切欠溝36との周方向位置が一致する状態でストレーナ接続穴34に挿入可能、且つ流入油路62内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路62の側面(内壁面)32と係合可能に設けられた係合突部56を備え、オイルストレーナ28は、その係合突部56が流入油路62の側面32と係止させられることでストレーナ接続穴34から抜出不能に固定されることから、オイルストレーナ28のスクリーン24側の端部が自由状態であり且つオイルストレーナ28の接続管26の先端部がストレーナ接続穴34に挿入された状態において、接続管26が、係合突部56と切欠溝36との周方向位置を異ならせる程度に90度程度軸まわりに90度程度回動されることにより、オイルストレーナ28がストレーナ接続穴34から抜け止めされるので、実施例1と同様に、スクリーン24に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ28の耐久性の低下が抑制される。
【0035】
また、本実施例の車両用変速装置60によれば、流入油路62の外周側端部の内壁面64は、軸心C1に直交する方向の断面形状が、軸心C1に対して切欠溝36側へ離れて位置させられた曲率中心線C2を有する半円筒状となるように形成され、係合突部56がその流入油路62内に有り且つ係合突部56と切欠溝36との周方向位置が一致する状態から係合突部56が周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部56の外周面58との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成されており、接続管26は、係合突部56の外周面58が流入油路62の内壁面64と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されることから、係合突部56とストレーナ接続穴34の切欠溝36との周方向位置が一致することが抑制されるので、係合突部56が流入油路62の側面32に係止可能な状態が維持され、オイルストレーナ28が確実にストレーナ接続穴34から抜け止めされる。
【実施例3】
【0036】
図10は、本発明の他の実施例の車両用変速装置70の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。図11は、図10のXI-XI矢視部断面を示す断面図である。図10および図11に示すように、本実施例の車両用変速装置70は、実施例1のオイルストレーナ28および流入油路30に代えて、オイルストレーナ72および流入油路74を備えている。
【0037】
上記オイルストレーナ72は、実施例1における保護部材24aおよびメッシュ部材24bとそれぞれ同じ構成の保護部材76aおよびメッシュ部材76bを有するスクリーン76と、そのスクリーン76に基端部が接続され、流出孔44およびシール部46が設けられた接続管78とを備えている。上記接続管78の先端部は、その外周面のうちの流出孔44とは反対側から径方向外側へ突設された係合突部80を備えている。上記係合突部80は、その係合突部80の全部が流入油路74内に有る状態で、図11に矢印dで示すように接続管78が周方向に90度程度回動させられることにより、図10に示すように、流入油路74の外周側端部の内壁面82と係合可能に設けられている。オイルストレーナ72は、係合突部80が流入油路74の内壁面82と係止させられることで、ストレーナ接続穴34から抜出不能とされている。
【0038】
前記流通油路74は、流通方向に直交する方向の断面形状が矩形状となるように形成されている。また、流入油路74のうち、底壁部16aの外周部に位置する外周側端部の内壁面82は、係合突部80がその流入油路74内に有り且つ係合突部80と前記切欠溝36との周方向位置が一致する状態から係合突部80が図11に矢印dで示すように周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部80の外周面84との間の径方向間隔と、軸心C1方向における係合突部80の外周面84との間の軸心方向間隔とがそれぞれ徐々に小さくなるように形成されている。具体的には、図10に示すように、流通油路74の外周側端部のストレーナ接続穴34側に位置する内壁面82は、軸心C1に平行な断面の形状が、軸心C1を中心とした径方向外側へ向かうほどストレーナ接続穴34から離間するように傾斜させられている。また、図11に示すように、内壁面82は、軸心C1に平行な一対の側面32のうち、2点鎖線で示すように前記ストレーナ接続穴34の切欠溝36と周方向位置が一致させられた係合突部80側に位置する一方に側面32から、他方の側面32に向かうほど、接続管78側へ接近するように傾斜させられている。そして、接続管78は、係合突部80の外周面84が流入油路74の内壁面82と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に且つ軸心C1方向の移動不能に固定されている。この流通油路74は、例えば、所定の中子(鋳抜ピン)がセットされた金型に対して溶融金属が注湯されるダイカスト工程を経てカバー部16が成型される際に、上記中子が抜き取られる鋳抜きによって形成される。
【0039】
本実施例の車両用変速装置70によれば、上記以外の構成は実施例1と同様であることから、オイルストレーナ72のスクリーン76側の端部が自由状態であり且つオイルストレーナ72の接続管78の先端部がストレーナ接続穴34に挿入された状態においてその接続管78が軸まわりに90度程度回動させられることにより、オイルストレーナ72がストレーナ接続穴34から抜け止めされるので、実施例1と同様に、スクリーン76に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ72の耐久性の低下が抑制される。
【0040】
また、本実施例の車両用変速装置70によれば、流入油路74のうち、底壁部16aの外周部に位置する外周側端部の内壁面82は、係合突部80がその流入油路74内に有り且つ係合突部80と切欠溝36との周方向位置が一致する状態から係合突部80が図11に矢印dで示すように周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部80の外周面84との間の軸心C1を中心とした径方向間隔と、軸心C1方向における係合突部80の外周面84との間の軸心方向間隔とがそれぞれ徐々に小さくなるように形成され、接続管78は、係合突部80の外周面84が流入油路74の内壁面82と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に且つ軸心C1方向の移動不能に固定されていることから、オイルストレーナ72のスクリーン76側の端部を固定しなくともオイルストレーナ72がストレーナ接続穴34から抜け止めされた状態が維持されるので、上記オイルストレーナ72のスクリーン76側の端部を固定するための構成が不要となり、オイルストレーナ72を安価に製造することができる。
【実施例4】
【0041】
図12は、本発明の他の実施例の車両用変速装置90の一部を拡大して示す断面図であり、実施例2における図8に相当するものである。図13は、図12のXIII-XIII矢視部断面を示す断面図である。図12および図13に示すように、本実施例の車両用変速装置90は、スクリーン24と、そのスクリーン24に基端部が接続され、流出孔44、シール部46、および係合突部56が設けられ、スクリーン24とシール部46との間で屈曲させられた接続管92とを有するオイルストレーナ94を備えている。このオイルストレーナ94の接続管92は、係合突部56の外周面58が流入油路62の内壁面64と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されている。
【0042】
上記のように構成されるオイルストレーナ94は、ケース20に組み付けられる際に、先ず、カバー部16の底壁部16aに形成されたストレーナ接続穴34内に接続管92の先端部が挿入されてから、その接続管26の係合突部56の全部が流入油路30内に有る状態でその接続管26が図13に矢印eで示すように周方向に90度程度回動させられることにより、係合突部56の外周面58が流入油路62の内壁面64と摩擦係合されて軸まわりの回動不能に固定される。次いで、内蔵物が予め組み付けられて前記他方の開口部が上向きにされた第2ケース部14に対してカバー部16が上から被せられて組み付けられることにより、オイルストレーナ94のスクリーン24が上記内蔵物と干渉せずにケース20内における所定の場所に配置させられる。
【0043】
本実施例の車両用変速装置90によれば、上記以外の構成は実施例2と同様であることから、オイルストレーナ94のスクリーン24側の端部が自由状態であり且つオイルストレーナ94の接続管92の先端部がストレーナ接続穴34に挿入された状態においてその接続管78が軸まわりに90度程度回動させられることにより、オイルストレーナ94がストレーナ接続穴34から抜け止めされるので、実施例2と同様に、スクリーン24に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ94の耐久性の低下が抑制される。
【0044】
また、本実施例の車両用変速装置90によれば、オイルストレーナ94の接続管92は、スクリーン24とシール部46との間で屈曲させられており、ケース20は、複数の分割ケース部としての第1ケース部12、第2ケース部14、およびカバー部16から成る分割式のものであり、予め内蔵物が組み付けられた第2ケース部14に対して、接続管92が軸まわりの回動不能に固定されたカバー部16が組み付けられることから、第2ケース部14とカバー部16との組み付けに際してオイルストレーナ94が各分割ケース部の内蔵物に干渉することなく組み付けることができるので、オイルストレーナ94が内蔵物に干渉することによる耐久性の低下を抑制することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0046】
例えば、実施例1において、流入油路30は、鋳抜きにより形成され、長手方向の断面形状が矩形状となるように形成されていたが、これに限らず、例えば、切削加工により形成されてもよいし、長手方向の断面形状が円形や楕円形等に形成されてもよい。例えば、図14に示すように、ドリルにより切削加工され、長手方向の断面形状が円形状となるように形成された流入油路100が設けられてもよい。
【0047】
また、車両用変速装置10(60、70、90)は、遊星歯車式の変速機構を備える遊星歯車式変速機であったが、これに限らず、ベルト式やトロイダル型の無段変速機、或いは常時噛合型平行軸式の変速機などの他の形式の変速装置であってもよい。
【0048】
また、ケース20を構成する第1ケース部12、第2ケース部14、およびカバー部16は、アルミダイカスト製であったが、必ずしもアルミ合金製でなくてもよく、またダイカスト製でなくてもよい。
【0049】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
10,60,70,90:車両用変速装置
12:第1ケース部(分割ケース部)
14:第2ケース部(分割ケース部)
16:カバー部(分割ケース部)
16a:底壁部(壁)
20:ケース
24,76:スクリーン(オイル吸入部)
26,78,92:接続管
28,72,94:オイルストレーナ
30,62,74:流入油路
32:側面
34:ストレーナ接続穴
36:切欠溝
56,80:係合突部
C1:軸心
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルストレーナの耐久性を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケース内に貯溜されたオイルを吸入するためのオイル吸入部と、そのオイル吸入部に基端部が接続された接続管とを有するオイルストレーナが知られている。例えば、特許文献1乃至3に記載されたものがそれである。そして、特許文献3には、上記オイルストレーナと、前記ケースの壁内に形成され、オイルストレーナからのオイルが流入させられる流入油路と、その流入油路の側面に連通した状態で前記ケースの内壁面に開口し、前記接続管の先端部が開口内に挿入されるストレーナ接続穴とを、備えたエンジン用のオイルストレーナ装置が記載されている。この特許文献3のオイルストレーナ装置において、オイルストレーナは、ケースの壁に外側から螺合され、オイル吸入部および接続管をテーパ状に形成されたストレーナ接続穴に向けて付勢するための弾発ばねが装着されたボルトを備えている。これにより、オイルストレーナの接続管は、その先端部がテーパ状のストレーナ接続穴に向けて押し付けられてそのストレーナ接続穴から抜け止めされている。なお、このようなオイルストレーナ装置は、車両用変速装置にも用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−150022号公報
【特許文献2】特開2002−364325号公報
【特許文献3】特開平10−311209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のオイルストレーナを有する車両用変速装置においては、オイルストレーナがケースに組み付けられる際に、ボルトとオイル吸入部との間に設けられた弾発ばねによりオイル吸入部および接続管がテーパ状のストレーナ接続穴に向けて付勢された状態で、ボルトがケースに螺合される。そのため、接続管の先端部がテーパ状のストレーナ接続穴の内周面と係合させられつつ、オイル吸入部および接続管が複数回回転させられる。したがって、例えば樹脂製や金属製の円筒状の網目織状部材等から成る比較的強度が低い前記オイル吸入部が捩られて、その耐久性が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、オイルストレーナの耐久性の低下が抑制された車両用変速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a-1) ケース内に貯溜されたオイルを吸入するためのオイル吸入部と、そのオイル吸入部に基端部が接続された接続管とを有するオイルストレーナと、(a-2) 前記ケースの壁内に形成され、前記オイルストレーナからのオイルが流入させられる流入油路と、(a-3) その流入油路の側面に連通した状態で前記ケースの内壁面に開口し、前記接続管の先端部がその開口内に挿入されるストレーナ接続穴とを、備えた車両用変速装置であって、(b) 前記ストレーナ接続穴は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴の軸心方向に形成された切欠溝を備え、(c) 前記接続管の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、前記ストレーナ接続穴の切欠溝との周方向位置が一致する状態でそのストレーナ接続穴に挿入可能、且つ前記流入油路内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路の内壁面と係合可能に設けられた係合突部を備え、(d) 前記オイルストレーナは、その係合突部が前記流入油路の内壁面と係止させられることで前記ストレーナ接続穴から抜出不能とされることにある。
【0007】
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1にかかる発明において、前記接続管の先端部および係合突部を含む径方向距離は、前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置する周方向位置の径方向距離よりも小さく、且つ前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置しない周方向位置の径方向距離よりも大きくなるように設定されていることにある。
【0008】
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2にかかる発明において、(a) 前記流入油路の内壁面は、前記係合突部がその流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部の外周面との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、(b) 前記接続管は、前記係合突部の外周面が前記流入油路の内壁面と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されることにある。
【0009】
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項3にかかる発明において、(a) 前記流入油路の内壁面は、前記係合突部がその流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、前記軸心方向における前記係合突部の外周面との間の軸心方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、(b) 前記接続管は、前記係合突部の外周面が前記流入油路の内壁面と摩擦係合されることで前記軸心方向の移動不能に固定されることにある。
【0010】
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項3または4にかかる発明において、(a) 前記接続管は、屈曲させられており、(b) 前記ケースは、複数の分割ケース部から成る分割式のものであり、前記接続管が軸まわりの回動不能に固定された状態で各分割ケース部が相互に組み付けられることにある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、ストレーナ接続穴は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴の軸心方向に形成された切欠溝を備え、接続管の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、ストレーナ接続穴の切欠溝との周方向位置が一致する状態でそのストレーナ接続穴に挿入可能、且つ流入油路内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路の内壁面と係合可能に設けられた係合突部を備え、オイルストレーナは、その係合突部が流入油路の内壁面と係止させられることでストレーナ接続穴から抜出不能とされることから、オイルストレーナの接続管の先端部がストレーナ接続穴に挿入された状態において、接続管が、係合突部と切欠溝との周方向位置を異ならせる程度に例えば90度程度軸まわりに回動されることにより、オイルストレーナがストレーナ接続穴から抜け止めされるので、上記オイル吸入部に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナの耐久性の低下が抑制される。
【0012】
また、請求項2にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、前記接続管の先端部および係合突部を含む径方向距離は、前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置する周方向位置の径方向距離よりも小さく、且つ前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置しない周方向位置の径方向距離よりも大きくなるように設定されていることから、係合突部と切欠溝との周方向位置が異なるように接続管が回動させられていれば、ストレーナ接続穴に挿入されたオイルストレーナの接続管が径方向に移動させられても係合突部が流入油路の内壁面に必ず係止させられるので、オイルストレーナが確実にストレーナ接続穴から抜け止めされる。
【0013】
また、請求項3にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、前記流入油路の内壁面は、前記係合突部がその流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部の外周面との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、前記接続管は、前記係合突部の外周面が前記流入油路の内壁面と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されることから、ストレーナ接続穴に挿入されたオイルストレーナの接続管が軸まわりに回動することが抑制され、係合突部とストレーナ接続穴の切欠溝との周方向位置が一致することが抑制されるので、係合突部が流入油路の内壁面に係止可能な状態が維持され、オイルストレーナが確実にストレーナ接続穴から抜け止めされる。
【0014】
また、請求項4にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、前記流入油路の内壁面は、前記係合突部がその流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、前記軸心方向における前記係合突部の外周面との間の軸心方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、前記接続管は、前記係合突部の外周面が前記流入油路の内壁面と摩擦係合されることで前記軸心方向の移動不能に固定されることから、オイルストレーナのオイル吸入部側の端部を固定しなくてもオイルストレーナがストレーナ接続穴から抜け止めされた状態が維持されるので、上記オイルストレーナのオイル吸入部側の端部を固定するための構成が不要となり、オイルストレーナを安価に製造することができる。
【0015】
また、請求項5にかかる発明の車両用オイル吸入装置によれば、前記接続管は、屈曲させられており、前記ケースは、複数の分割ケース部から成る分割式のものであり、前記接続管が軸まわりの回動不能に固定された状態で各分割ケース部が相互に組み付けられることから、各分割ケース部内に内蔵物が組み込まれた状態において、オイルストレーナが所定の分割ケース部内に軸まわりの回動不能に組み付けられてから各分割ケースが相互に組み付けられる場合には、そのオイルストレーナが各分割ケース部の内蔵物に干渉することなく組み付けることができるので、オイルストレーナが内蔵物に干渉することによる耐久性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例の車両用変速装置の一部を切欠いて断面で示した図である。
【図2】図1において切欠いて示された車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】図2のIII-III矢視部断面を示す断面図である。
【図4】図2のIV-IV矢視部断面を示す断面図である。
【図5】オイルストレーナがカバー部に組み付けられる際に、接続管の先端部がストレーナ接続穴内に挿入された状態を示す断面図である。
【図6】図5のVI-VI矢視部断面を示す断面図である。
【図7】内蔵物が予め組み付けられて開口部が上向きにされた第2ケース部に対してカバー部が上から被せられて組み付けられる途中の様子を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施例の車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。
【図9】図8のIX-IX矢視部断面を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例の車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。
【図11】図10のXI-XI矢視部断面を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施例の車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図であり、実施例2における図8に相当するものである。
【図13】図12のXIII-XIII矢視部断面を示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施例の車両用変速装置の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本実施例の車両用変速装置10の一部を切欠いて断面で示した図である。図1に示すように、車両用変速装置10は、第1ケース部12、第2ケース部14、およびカバー部16から成る3分割式のケース20内に、図示しない良く知られた遊星歯車式の変速機構を備えて構成されている。上記第1ケース部12および第2ケース部14は、それぞれ筒状に形成されており、第1ケース部12の一方の開口部がエンジン18に固定され、第1ケース部12の他方の開口部と第2ケース部14の一方の開口部とが相互に固定されている。そして、上記カバー部16は、有底筒状に形成されており、開口部が第2ケース部14の他方の開口部に固定されている。このように構成されるケース20の内部空間の下部には、オイルが貯溜されており、このオイルは、カバー部16の底壁部(壁)16aの略中央付近に配設されたオイルポンプ22により吸い上げられて、ケース20内の各潤滑部位や各油圧作動装置などへ圧送されるようになっている。なお、上記第1ケース部12、第2ケース部14、およびカバー部16は、アルミダイカスト製である。
【0019】
図2は、図1において切欠いて示された車両用変速装置10の一部を拡大して示す断面図である。図2に示すように、車両用変速装置10は、ケース20内の底部に貯溜されたオイルを吸入するためのスクリーン(オイル吸入部)24と、そのスクリーン24に基端部が接続された接続管26とを有するオイルストレーナ28と、図1に示すオイルポンプ22の吸入ポートに連通した状態でカバー部16の底壁部16a内に形成され、オイルストレーナ28からのオイルが流入させられる流入油路30と、その流入油路30の側面32に開口して流入油路30に連通した状態でカバー部16の底壁部16aの内壁面に開口し、オイルストレーナ28の接続管26の先端部が開口内に挿入されるストレーナ接続穴34とを、備えている。
【0020】
図3は、図2のIII-III矢視部断面を示す断面図である。図3に示すように、上記流入油路30は、流通方向に直交する方向の断面形状が矩形状となるように形成されている。上記流通方向は、ストレーナ接続穴34の軸心C1方向に略直交する方向であり、流通油路30は、カバー部16の底壁部16aの外周部から内周部(中央部)に向かうように形成されている。また、上記矩形状のうち、ストレーナ接続穴34が開口させられた側面32は、軸心C1に直交するように設けられている。この流通油路30は、例えば、所定の中子(鋳抜ピン)がセットされた金型に対して溶融金属が注湯されるダイカスト工程を経てカバー部16が成型される際に、上記中子が抜き取られる鋳抜きによって形成される。
【0021】
図2に戻って、前記ストレーナ接続穴34は、カバー部16の底壁部16aの内壁面に開口し、後述の接続管26のシール部46が嵌め入れられた大径部34aと、その大径部34aと同心となり且つ大径部34aよりも小径となるように、大径部34aの底面および流入油路30の側面32にそれぞれ開口させられた小径部34bとを有している。図4は、図2のIV-IV矢視部断面を示すストレーナ接続穴34等の断面図である。図4に示すように、ストレーナ接続穴34の小径部34bは、その内周面の周方向の一部にストレーナ接続穴34の軸心C1方向に形成された切欠溝36を備えている。この切欠溝36は、切削加工により形成されるが、その他にも例えばカバー部16のダイカスト工程においてそのカバー部16と共に成型されてもよい。
【0022】
図2に戻って、前記スクリーン24は、その内外を連通させるために側面に複数の開口が形成された合成樹脂製の円筒状の保護部材24aと、円筒状に巻かれて上記保護部材24aの内周面に貼着された合成樹脂製の網目織状のメッシュ部材24bとを備えている。ケース20内の底部に貯溜されたオイルは、メッシュ部材24bの複数の網目をそれぞれ通じてスクリーン24の内側へ吸入可能となっている。なお、ケース20内の底部に貯溜されたオイルに含まれる比較的大きな異物は、メッシュ部材24bの網目を通過できず、スクリーン24内に吸入されないようになっている。また、第2ケース部14は、その内壁面から内周側へ突設され、カバー部16の底壁部16aとの対向面に嵌合穴38が形成された内壁部14aを有しており、スクリーン24は、保護部材24aから突設されて上記嵌合穴38内に挿入された突起40を備えている。この突起40の外周には、例えば合成ゴムから成るリング部材42が装着されており、スクリーン24は、そのリング部材42を介して上記内壁部14aに径方向において支持されている。
【0023】
前記接続管26は、スクリーン24の保護部材24aと一体的に設けられており、その接続管26内は、保護部材24aおよびメッシュ部材24bの内部空間と連通させられている。図3に示すように、接続管26の先端部のうちの流入油路30内に有る一部には、その側面に開口して接続管26内と流入油路30内とを連通させ、接続管26内のオイルを流入油路30へ流出させるための流出孔44が形成されている。図2に戻って、接続管26の先端部の一部は、それの先端側よりも大径となるように形成され、ストレーナ接続穴34の大径部34aに嵌め入れられたシール部46を有している。このシール部46の外周面には、Oリング溝48が形成されており、このOリング溝48には、シール部46とストレーナ接続穴34の大径部34aとの間の隙間を油密に封止する合成ゴム製のOリング50が装着されている。
【0024】
また、図2および図4に示すように、接続管26の先端部は、その外周面のうちの流出孔44とは反対側から径方向外側へ突設された係合突部56を備えている。図5は、オイルストレーナ28がカバー部16に組み付けられる際に、接続管26の先端部がストレーナ接続穴34内に挿入された状態を示す断面図である。また、図6は、図5のVI-VI矢視部断面を示す断面図である。図5および図6に示すように、上記係合突部56は、それとストレーナ接続穴34の切欠溝36との軸心C1まわりの周方向位置が一致する状態で接続管26がストレーナ接続穴34に挿入可能なように設けられている。図6に示すように、軸心C1から係合突部56の外周面58までの径方向の長さは、軸心C1から切欠溝36の底面までの径方向の長さよりも小さくなるように形成されている。また、図示しないが、ストレーナ接続穴34の大径部34aの内周面は、上記切欠溝36の底面よりも外周側に位置するように設定されている。
【0025】
また、係合突部56は、図6に矢印aで示すように、その係合突部56の全部が流入油路30内に有る状態で接続管26が周方向に回動させられることにより、図4に示すように、流入油路30の側面(内壁面)32と係合可能に設けられている。図4において、接続管26の先端部および係合突部56を含む径方向距離R1は、ストレーナ接続穴34のうちの切欠溝36が位置する周方向位置の径方向距離R2よりも小さく、且つストレーナ接続穴34のうちの切欠溝36が位置しない周方向位置の径方向距離R3よりも大きくなるように設定されている。オイルストレーナ28は、図2に示すように、係合突部56が流入油路30の側面32と係止させられることで、ストレーナ接続穴34から抜出不能とされている。
【0026】
上記のように構成されるオイルストレーナ28は、ケース20に組み付けられる際に、先ず、図5および図6に示すようにカバー部16の底壁部16aに形成されたストレーナ接続穴34内に接続管26の先端部が挿入されてから、接続管26の係合突部56の全部が流入油路30内に有る状態で図6に矢印aで示すように接続管26が周方向に回動させられることにより、図2に示すように係合突部56が流入油路30の側面(内壁面)32と係合可能な状態とされる。上記接続管26の周方向の回動角度は、係合突部56の周方向位置を切欠溝36の周方向位置と一致しない状態とするために、例えば90度程度に設定される。上記接続管26が周方向に回動されるときにおいて、オイルストレーナ28のスクリーン24側の端部は自由状態であるために、スクリーン24にそれを捩るような力は作用しない。
【0027】
次いで、図7に示すように、内蔵物が予め組み付けられて前記他方の開口部が上向きにされた第2ケース部14に対して、図7に矢印bで示すようにカバー部16が上から被せられて組み付けられることにより、オイルストレーナ28の突起40が第2ケース部14の内壁部14aの嵌合穴38内に挿入される。このようにカバー部16がその開口を下向きとした状態で第2ケース部14に組み付けられるときには、ストレーナ接続穴34の軸心C1方向が鉛直方向と略一致させられる。このとき、オイルストレーナ28は、自重によりストレーナ接続穴34から抜け出そうとするが、接続管26の係合突部56が流入油路30の側面32と係止することでそのオイルストレーナ28の抜け出しが防止されるようになっている。
【0028】
因みに、従来のオイルストレーナは、そのオイルストレーナの例えば接続管に一体的に設けられたブラケットが用いられてボルトによりカバー部16に締結されることによって、ケース20に組み付けられていた。これに対して、カバー部16および第2ケース部14の内壁面間で上記オイルストレーナを挟み込んでそのオイルストレーナを固定することにより、上記ブラケットおよびボルトを廃止してコスト低減することが考えられる。しかしながら、これによると、開口が上向きとされた状態で内蔵物が組み付けられた第2ケース部14に対してカバー部16が上から被せられて組み付けられる際に、そのカバー部16のストレーナ接続穴に挿入されたオイルストレーナがその自重によりストレーナ接続穴から抜け出てしまう可能性があった。その際、オイルストレーナがストレーナ接続穴に挿入された状態は、オイルストレーナの接続管に装着されたOリングによりある程度維持することが可能であるが、必ずしも充分でなかった。そして、第2ケース部14およびカバー部16が相互に組み付けられた状態においては、オイルストレーナがストレーナ接続穴から抜け出ていないかを確認することが困難であるという問題があった。
【0029】
また、別の従来例として、ケース20の外側から螺合され、スクリーンおよび接続管をテーパ状に形成されたストレーナ接続穴に向けて付勢するための弾発ばねが装着されたボルトを備えるオイルストレーナがある。このオイルストレーナは、その接続管の先端部がテーパ状のストレーナ接続穴に向けて押し付けられることでストレーナ接続穴から抜け止めされている。このようなオイルストレーナは、それがケース20に組み付けられる際に、上記ボルトとスクリーンとの間に設けられた上記弾発ばねによりスクリーンおよび接続管がテーパ状のストレーナ接続穴に向けて付勢された状態で、上記ボルトがケース20に螺合される。そのため、接続管の先端部がテーパ状のストレーナ接続穴の内周面と係合させられつつ、スクリーンおよび接続管が複数回回転させられる。したがって、例えば樹脂製や金属製の円筒状の網目織状部材等から成る比較的強度が低いスクリーンが捩られて、その耐久性が低下する可能性があった。
【0030】
本実施例の車両用変速装置10によれば、ストレーナ接続穴34は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴34の軸心C1方向に形成された切欠溝36を備え、オイルストレーナ28の接続管26の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、上記切欠溝36との周方向位置が一致する状態でストレーナ接続穴34に挿入可能、且つ流入油路30内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路30の側面(内壁面)32と係合可能に設けられた係合突部56を備え、オイルストレーナ28は、その係合突部56が流入油路30の側面32と係止させられることでストレーナ接続穴34から抜出不能とされることから、オイルストレーナ28のスクリーン24側の端部が自由状態であり且つオイルストレーナ28の接続管26の先端部がストレーナ接続穴34に挿入された状態において、接続管26が、係合突部56と切欠溝36との周方向位置を異ならせる程度に90度程度軸まわりに90度程度回動されることにより、オイルストレーナ28がストレーナ接続穴34から抜け止めされるので、スクリーン24に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ28の耐久性の低下が抑制される。
【0031】
また、本実施例の車両用変速装置10によれば、接続管26の先端部および係合突部56を含む径方向距離R1は、ストレーナ接続穴34のうちの切欠溝36が位置する周方向位置の径方向距離R2よりも小さく、且つストレーナ接続穴34のうちの切欠溝36が位置しない周方向位置の径方向距離R3よりも大きくなるように設定されていることから、係合突部56と切欠溝36との周方向位置が異なるように接続管26が回動させられていれば、ストレーナ接続穴34に挿入されたオイルストレーナ28の接続管26の先端部が径方向に移動させられても係合突部56が流入油路30の側面32に必ず係止させられるので、オイルストレーナ28が確実にストレーナ接続穴34から抜け止めされる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の実施例の説明において、実施例相互に重複する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図8は、本発明の他の実施例の車両用変速装置60の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。図9は、図8のIX-IX矢視部断面を示す断面図である。図8および図9に示すように、本実施例の車両用変速装置60は、実施例1の流入油路30に代えて、流入油路62を備えている。この流通油路62は、流通方向に直交する方向の断面形状が矩形状となるように形成されている。また、この流入油路62のうち、底壁部16aの外周部に位置する外周側端部の内壁面64は、図9に示すように、軸心C1に直交する方向の断面形状が、軸心C1に対して切欠溝36側へ離れて位置させられた曲率中心線C2を有する半円筒状となるように形成され、図9に矢印cで示すように、係合突部56がその流入油路62内に有り且つ係合突部56と切欠溝36との周方向位置が一致する状態から係合突部56が周方向に90度程度回動させられるにしたがって、その係合突部56の外周面58との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成されている。そして、接続管26は、係合突部56の外周面58が流入油路62の内壁面64と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されている。この流通油路62は、例えば、所定の中子(鋳抜ピン)がセットされた金型に対して溶融金属が注湯されるダイカスト工程を経てカバー部16が成型される際に、上記中子が抜き取られる鋳抜きによって形成される。
【0034】
本実施例の車両用変速装置60によれば、上記以外の構成は実施例1と同様であり、ストレーナ接続穴34は、その内周面の周方向の一部にそのストレーナ接続穴34の軸心C1方向に形成された切欠溝36を備え、オイルストレーナ28の接続管26の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、上記切欠溝36との周方向位置が一致する状態でストレーナ接続穴34に挿入可能、且つ流入油路62内に有る状態で周方向に回動させられることによりその流入油路62の側面(内壁面)32と係合可能に設けられた係合突部56を備え、オイルストレーナ28は、その係合突部56が流入油路62の側面32と係止させられることでストレーナ接続穴34から抜出不能に固定されることから、オイルストレーナ28のスクリーン24側の端部が自由状態であり且つオイルストレーナ28の接続管26の先端部がストレーナ接続穴34に挿入された状態において、接続管26が、係合突部56と切欠溝36との周方向位置を異ならせる程度に90度程度軸まわりに90度程度回動されることにより、オイルストレーナ28がストレーナ接続穴34から抜け止めされるので、実施例1と同様に、スクリーン24に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ28の耐久性の低下が抑制される。
【0035】
また、本実施例の車両用変速装置60によれば、流入油路62の外周側端部の内壁面64は、軸心C1に直交する方向の断面形状が、軸心C1に対して切欠溝36側へ離れて位置させられた曲率中心線C2を有する半円筒状となるように形成され、係合突部56がその流入油路62内に有り且つ係合突部56と切欠溝36との周方向位置が一致する状態から係合突部56が周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部56の外周面58との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成されており、接続管26は、係合突部56の外周面58が流入油路62の内壁面64と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されることから、係合突部56とストレーナ接続穴34の切欠溝36との周方向位置が一致することが抑制されるので、係合突部56が流入油路62の側面32に係止可能な状態が維持され、オイルストレーナ28が確実にストレーナ接続穴34から抜け止めされる。
【実施例3】
【0036】
図10は、本発明の他の実施例の車両用変速装置70の一部を拡大して示す断面図であり、実施例1における図2に相当するものである。図11は、図10のXI-XI矢視部断面を示す断面図である。図10および図11に示すように、本実施例の車両用変速装置70は、実施例1のオイルストレーナ28および流入油路30に代えて、オイルストレーナ72および流入油路74を備えている。
【0037】
上記オイルストレーナ72は、実施例1における保護部材24aおよびメッシュ部材24bとそれぞれ同じ構成の保護部材76aおよびメッシュ部材76bを有するスクリーン76と、そのスクリーン76に基端部が接続され、流出孔44およびシール部46が設けられた接続管78とを備えている。上記接続管78の先端部は、その外周面のうちの流出孔44とは反対側から径方向外側へ突設された係合突部80を備えている。上記係合突部80は、その係合突部80の全部が流入油路74内に有る状態で、図11に矢印dで示すように接続管78が周方向に90度程度回動させられることにより、図10に示すように、流入油路74の外周側端部の内壁面82と係合可能に設けられている。オイルストレーナ72は、係合突部80が流入油路74の内壁面82と係止させられることで、ストレーナ接続穴34から抜出不能とされている。
【0038】
前記流通油路74は、流通方向に直交する方向の断面形状が矩形状となるように形成されている。また、流入油路74のうち、底壁部16aの外周部に位置する外周側端部の内壁面82は、係合突部80がその流入油路74内に有り且つ係合突部80と前記切欠溝36との周方向位置が一致する状態から係合突部80が図11に矢印dで示すように周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部80の外周面84との間の径方向間隔と、軸心C1方向における係合突部80の外周面84との間の軸心方向間隔とがそれぞれ徐々に小さくなるように形成されている。具体的には、図10に示すように、流通油路74の外周側端部のストレーナ接続穴34側に位置する内壁面82は、軸心C1に平行な断面の形状が、軸心C1を中心とした径方向外側へ向かうほどストレーナ接続穴34から離間するように傾斜させられている。また、図11に示すように、内壁面82は、軸心C1に平行な一対の側面32のうち、2点鎖線で示すように前記ストレーナ接続穴34の切欠溝36と周方向位置が一致させられた係合突部80側に位置する一方に側面32から、他方の側面32に向かうほど、接続管78側へ接近するように傾斜させられている。そして、接続管78は、係合突部80の外周面84が流入油路74の内壁面82と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に且つ軸心C1方向の移動不能に固定されている。この流通油路74は、例えば、所定の中子(鋳抜ピン)がセットされた金型に対して溶融金属が注湯されるダイカスト工程を経てカバー部16が成型される際に、上記中子が抜き取られる鋳抜きによって形成される。
【0039】
本実施例の車両用変速装置70によれば、上記以外の構成は実施例1と同様であることから、オイルストレーナ72のスクリーン76側の端部が自由状態であり且つオイルストレーナ72の接続管78の先端部がストレーナ接続穴34に挿入された状態においてその接続管78が軸まわりに90度程度回動させられることにより、オイルストレーナ72がストレーナ接続穴34から抜け止めされるので、実施例1と同様に、スクリーン76に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ72の耐久性の低下が抑制される。
【0040】
また、本実施例の車両用変速装置70によれば、流入油路74のうち、底壁部16aの外周部に位置する外周側端部の内壁面82は、係合突部80がその流入油路74内に有り且つ係合突部80と切欠溝36との周方向位置が一致する状態から係合突部80が図11に矢印dで示すように周方向に回動させられるにしたがって、その係合突部80の外周面84との間の軸心C1を中心とした径方向間隔と、軸心C1方向における係合突部80の外周面84との間の軸心方向間隔とがそれぞれ徐々に小さくなるように形成され、接続管78は、係合突部80の外周面84が流入油路74の内壁面82と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に且つ軸心C1方向の移動不能に固定されていることから、オイルストレーナ72のスクリーン76側の端部を固定しなくともオイルストレーナ72がストレーナ接続穴34から抜け止めされた状態が維持されるので、上記オイルストレーナ72のスクリーン76側の端部を固定するための構成が不要となり、オイルストレーナ72を安価に製造することができる。
【実施例4】
【0041】
図12は、本発明の他の実施例の車両用変速装置90の一部を拡大して示す断面図であり、実施例2における図8に相当するものである。図13は、図12のXIII-XIII矢視部断面を示す断面図である。図12および図13に示すように、本実施例の車両用変速装置90は、スクリーン24と、そのスクリーン24に基端部が接続され、流出孔44、シール部46、および係合突部56が設けられ、スクリーン24とシール部46との間で屈曲させられた接続管92とを有するオイルストレーナ94を備えている。このオイルストレーナ94の接続管92は、係合突部56の外周面58が流入油路62の内壁面64と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されている。
【0042】
上記のように構成されるオイルストレーナ94は、ケース20に組み付けられる際に、先ず、カバー部16の底壁部16aに形成されたストレーナ接続穴34内に接続管92の先端部が挿入されてから、その接続管26の係合突部56の全部が流入油路30内に有る状態でその接続管26が図13に矢印eで示すように周方向に90度程度回動させられることにより、係合突部56の外周面58が流入油路62の内壁面64と摩擦係合されて軸まわりの回動不能に固定される。次いで、内蔵物が予め組み付けられて前記他方の開口部が上向きにされた第2ケース部14に対してカバー部16が上から被せられて組み付けられることにより、オイルストレーナ94のスクリーン24が上記内蔵物と干渉せずにケース20内における所定の場所に配置させられる。
【0043】
本実施例の車両用変速装置90によれば、上記以外の構成は実施例2と同様であることから、オイルストレーナ94のスクリーン24側の端部が自由状態であり且つオイルストレーナ94の接続管92の先端部がストレーナ接続穴34に挿入された状態においてその接続管78が軸まわりに90度程度回動させられることにより、オイルストレーナ94がストレーナ接続穴34から抜け止めされるので、実施例2と同様に、スクリーン24に対してそれが捩られるような力が作用せず、オイルストレーナ94の耐久性の低下が抑制される。
【0044】
また、本実施例の車両用変速装置90によれば、オイルストレーナ94の接続管92は、スクリーン24とシール部46との間で屈曲させられており、ケース20は、複数の分割ケース部としての第1ケース部12、第2ケース部14、およびカバー部16から成る分割式のものであり、予め内蔵物が組み付けられた第2ケース部14に対して、接続管92が軸まわりの回動不能に固定されたカバー部16が組み付けられることから、第2ケース部14とカバー部16との組み付けに際してオイルストレーナ94が各分割ケース部の内蔵物に干渉することなく組み付けることができるので、オイルストレーナ94が内蔵物に干渉することによる耐久性の低下を抑制することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0046】
例えば、実施例1において、流入油路30は、鋳抜きにより形成され、長手方向の断面形状が矩形状となるように形成されていたが、これに限らず、例えば、切削加工により形成されてもよいし、長手方向の断面形状が円形や楕円形等に形成されてもよい。例えば、図14に示すように、ドリルにより切削加工され、長手方向の断面形状が円形状となるように形成された流入油路100が設けられてもよい。
【0047】
また、車両用変速装置10(60、70、90)は、遊星歯車式の変速機構を備える遊星歯車式変速機であったが、これに限らず、ベルト式やトロイダル型の無段変速機、或いは常時噛合型平行軸式の変速機などの他の形式の変速装置であってもよい。
【0048】
また、ケース20を構成する第1ケース部12、第2ケース部14、およびカバー部16は、アルミダイカスト製であったが、必ずしもアルミ合金製でなくてもよく、またダイカスト製でなくてもよい。
【0049】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
10,60,70,90:車両用変速装置
12:第1ケース部(分割ケース部)
14:第2ケース部(分割ケース部)
16:カバー部(分割ケース部)
16a:底壁部(壁)
20:ケース
24,76:スクリーン(オイル吸入部)
26,78,92:接続管
28,72,94:オイルストレーナ
30,62,74:流入油路
32:側面
34:ストレーナ接続穴
36:切欠溝
56,80:係合突部
C1:軸心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に貯溜されたオイルを吸入するためのオイル吸入部と、該オイル吸入部に基端部が接続された接続管とを有するオイルストレーナと、
前記ケースの壁内に形成され、該オイルストレーナからのオイルが流入させられる流入油路と、
該流入油路の側面に連通した状態で前記ケースの内壁面に開口し、前記接続管の先端部が該開口内に挿入されるストレーナ接続穴と
を、備えた車両用変速装置であって、
前記ストレーナ接続穴は、その内周面の周方向の一部に該ストレーナ接続穴の軸心方向に形成された切欠溝を備え、
前記接続管の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、前記ストレーナ接続穴の切欠溝との周方向位置が一致する状態で該ストレーナ接続穴に挿入可能、且つ前記流入油路内に有る状態で周方向に回動させられることにより該流入油路の内壁面と係合可能に設けられた係合突部を備え、
前記オイルストレーナは、該係合突部が該流入油路の内壁面と係止させられることで該ストレーナ接続穴から抜出不能とされること
を、特徴とする車両用変速装置。
【請求項2】
前記接続管の先端部および係合突部を含む径方向距離は、前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置する周方向位置の径方向距離よりも小さく、且つ該ストレーナ接続穴のうちの該切欠溝が位置しない周方向位置の径方向距離よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1の車両用変速装置。
【請求項3】
前記流入油路の内壁面は、前記係合突部が該流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、該係合突部の外周面との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、
前記接続管は、該係合突部の外周面が該流入油路の内壁面と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されること
を特徴とすることを特徴とする請求項1または2の車両用変速装置。
【請求項4】
前記流入油路の内壁面は、前記係合突部が該流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、前記軸心方向における該係合突部の外周面との間の軸心方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、
前記接続管は、該係合突部の外周面が該流入油路の内壁面と摩擦係合されることで前記軸心方向の移動不能に固定されること
を特徴とすることを特徴とする請求項3の車両用変速装置。
【請求項5】
前記接続管は、屈曲させられており、
前記ケースは、複数の分割ケース部から成る分割式のものであり、該接続管が軸まわりの回動不能に固定された状態で各分割ケース部が相互に組み付けられること
を特徴とする請求項3または4の車両用変速装置。
【請求項1】
ケース内に貯溜されたオイルを吸入するためのオイル吸入部と、該オイル吸入部に基端部が接続された接続管とを有するオイルストレーナと、
前記ケースの壁内に形成され、該オイルストレーナからのオイルが流入させられる流入油路と、
該流入油路の側面に連通した状態で前記ケースの内壁面に開口し、前記接続管の先端部が該開口内に挿入されるストレーナ接続穴と
を、備えた車両用変速装置であって、
前記ストレーナ接続穴は、その内周面の周方向の一部に該ストレーナ接続穴の軸心方向に形成された切欠溝を備え、
前記接続管の先端部は、その外周面から径方向外側へ突設され、前記ストレーナ接続穴の切欠溝との周方向位置が一致する状態で該ストレーナ接続穴に挿入可能、且つ前記流入油路内に有る状態で周方向に回動させられることにより該流入油路の内壁面と係合可能に設けられた係合突部を備え、
前記オイルストレーナは、該係合突部が該流入油路の内壁面と係止させられることで該ストレーナ接続穴から抜出不能とされること
を、特徴とする車両用変速装置。
【請求項2】
前記接続管の先端部および係合突部を含む径方向距離は、前記ストレーナ接続穴のうちの前記切欠溝が位置する周方向位置の径方向距離よりも小さく、且つ該ストレーナ接続穴のうちの該切欠溝が位置しない周方向位置の径方向距離よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1の車両用変速装置。
【請求項3】
前記流入油路の内壁面は、前記係合突部が該流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、該係合突部の外周面との間の径方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、
前記接続管は、該係合突部の外周面が該流入油路の内壁面と摩擦係合されることで軸まわりの回動不能に固定されること
を特徴とすることを特徴とする請求項1または2の車両用変速装置。
【請求項4】
前記流入油路の内壁面は、前記係合突部が該流入油路内に有り且つ前記切欠溝との周方向位置が一致する状態から周方向に回動させられるにしたがって、前記軸心方向における該係合突部の外周面との間の軸心方向間隔が徐々に小さくなるように形成され、
前記接続管は、該係合突部の外周面が該流入油路の内壁面と摩擦係合されることで前記軸心方向の移動不能に固定されること
を特徴とすることを特徴とする請求項3の車両用変速装置。
【請求項5】
前記接続管は、屈曲させられており、
前記ケースは、複数の分割ケース部から成る分割式のものであり、該接続管が軸まわりの回動不能に固定された状態で各分割ケース部が相互に組み付けられること
を特徴とする請求項3または4の車両用変速装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−13166(P2012−13166A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151072(P2010−151072)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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