車両用外装部材
【課題】外装部材の強度を高めた車両用外装部材を提供する。
【解決手段】車両用外装部材(外装飾部材)27は、車両のドア12の外面53に連続して外面27aを形成した意匠部165と、意匠部165から延びて外観を構成しない非意匠部184と、非意匠部184の縁185に連なり一直線に成形された折り曲げ部186と、折り曲げ部186を折り曲げることで、意匠部165の裏面177に自由端部(接合フランジ部)124のみが重なり、且つ意匠部165とで第1閉断面部187を形成している内側壁188と、意匠部165とは別に樹脂成形され、第1閉断面部187に連続した第2閉断面部197を意匠部165とで形成している別体内側壁部品115と、を備える。
【解決手段】車両用外装部材(外装飾部材)27は、車両のドア12の外面53に連続して外面27aを形成した意匠部165と、意匠部165から延びて外観を構成しない非意匠部184と、非意匠部184の縁185に連なり一直線に成形された折り曲げ部186と、折り曲げ部186を折り曲げることで、意匠部165の裏面177に自由端部(接合フランジ部)124のみが重なり、且つ意匠部165とで第1閉断面部187を形成している内側壁188と、意匠部165とは別に樹脂成形され、第1閉断面部187に連続した第2閉断面部197を意匠部165とで形成している別体内側壁部品115と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに設けた車両用外装部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用外装部材には、ドアに設けられたものがある。
このドアの外装部材(外装部品)は、外側部の下部のフランジ部に折り部(薄肉ヒンジ部)を介して内側部を形成し、折り部(薄肉ヒンジ部)を折って外側部に内側部を接合することで、閉断面部を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、長尺な外装部材が湾曲した形状の場合、例えば、両端から中央に向かって幅(車幅方向の長さ、図の左右方向の長さ)が漸減する形状では、一直線に形成した折り部(薄肉ヒンジ部)に連続したフランジ部の幅が中央で小さくなる。小さいフランジ部には、樹脂成形用金型内への樹脂材料の供給口を配置することができないため、外装部材全体(特に折り部を介して内側部側)に樹脂材料を供給することが難しい。その結果、内側部(閉断面部)を車幅方向全体に連続して形成することは難しく、外装部材の強度を高めること、または強度を確保することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−186093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外装部材の強度を高めた車両用外装部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車体に設けたドアに取付けられて、ドアの外面に連続して外面を形成している樹脂製の車両用外装部材であって、外装部材は、外観を構成する意匠部と、意匠部から車体へ向かって延びて縁を形成するとともに外観を構成しない非意匠部と、非意匠部の縁に連なり一体に一直線に成形された折り曲げ部と、折り曲げ部に連なり、折り曲げ部を折り曲げることで、意匠部の裏面に自由端部のみが重なり、且つ意匠部とで第1閉断面部を形成している内側壁と、を備え、非意匠部は、意匠部とで形成される境界角部から折り曲げ部までの距離が漸減し、所望の距離までの範囲に形成され、非意匠部が形成されていない残りの範囲に意匠部とは別に樹脂成形された別体内側壁部品が、第1閉断面部に連続した第2閉断面部を意匠部とで形成する形状で取付けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、別体内側壁部品は、内側壁に重なり結合している重合部を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、内側壁は、意匠部の裏面に自由端部が接着され、重合部は、内側壁に重なり機械的結合によって結合していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、重合部は、第1閉断面部の内部に配置されて内側壁に重なり接触していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、重合部の近傍に配置されて、意匠部と別体内側壁部品とを結合している別体部品結合機構を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明では、別体部品結合機構は、意匠部の下端から膨出した折返し係止爪と、折返し係止爪のうち意匠部の裏面へ向いている係止面に係止する形状で別体内側壁部品に形成された係止部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明では、係止部は、係止面に当接する面を凹ませて折返し係止爪を収納可能な凹形状に形成した部位であることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明では、外装部材は、一端、他端のうち、少なくとも一方の端に、意匠部の一方の縁に連ねて車両の内側へ向け延びて、第1閉断面部の一方の開口を覆う端壁部を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明では、意匠部と車体とを結合する意匠端接合部が設けられ、内側壁の折り曲げ部側とは反対側の端部には、意匠部と結合される自由端部が設けられ、自由端部には、内側壁を折り曲げ部を中心として回転させたときに意匠端接合部と干渉する位置に退避部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明では、退避部と意匠部の裏面との間の隙間を塞ぐ遮蔽壁を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、外装部材は、外観を構成する意匠部と、意匠部から車体へ向かって延びて外観を構成しない非意匠部と、非意匠部の縁に連なり一体に一直線に成形された折り曲げ部と、折り曲げ部に連なり、折り曲げ部を折り曲げることで、意匠部の裏面に自由端部のみが重なり、且つ意匠部とで第1閉断面部を形成している内側壁と、を備え、非意匠部は、意匠部とで形成される境界角部から折り曲げ部までの距離が漸減し、所望の距離までの範囲に形成され、非意匠部が形成されていない残りの範囲に意匠部とは別に樹脂成形された別体内側壁部品が、第1閉断面部に連続した第2閉断面部を意匠部とで形成する形状で取付けられているので、内側壁を形成できない部位に別体内側壁部品を取付けることによって、第1閉断面部に第2閉断面部を連続させて、外装部材の強度を高めることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、別体内側壁部品は、内側壁に重なり結合している重合部を備えているので、重合部が延びる別体内側壁部品の端と内側壁の端との隙間に重合部が重なり、第1閉断面部と第2閉断面部との間に隙間が形成されることを防止することができる。
【0018】
また、内側壁および別体内側壁部品の取付け強度が高まる。
さらに、内側壁に対し、別体内側壁部品の位置ずれを抑制することができ、閉断面を隙間なく連続させることができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、内側壁は、意匠部の裏面に自由端部が接着され、重合部は、内側壁に重なり機械的結合によって結合しているので、意匠部に内側壁の自由端部を固定するための台座などの部位を形成する必要がなく、意匠部の外観を形成する意匠面(裏面に対する表面)にひけが発生しない。
【0020】
内側壁に重合部を機械的結合することによって、ひけを気にする必要のない部位に接着よりも強固に結合することができ、内側壁に別体内側壁部品をより確実に固定することができる。
【0021】
請求項4に係る発明では、重合部は、第1閉断面部の内部に配置されて内側壁に重なり接触しているので、まず、意匠部に別体内側壁部品を取付け、その後、別体内側壁部品の重合部に内側壁を当接させて案内するように折り曲げ部を折り曲げることによって、重ねて接触させることができる。従って、内側壁を回動させて結合する内側壁の組み付け作業は容易になり、且つ作業性が向上する。
【0022】
また、重合部が第1閉断面部の内部に配置されると、外装部材(意匠部、非意匠部、内側壁)から別体内側壁部品が脱落することを抑制するという利点がある。
【0023】
請求項5に係る発明では、重合部の近傍に配置されて、意匠部と別体内側壁部品とを結合している別体部品結合機構を有しているので、重合部の近傍で意匠部と別体内側壁部品とを結合することができ、別体内側壁部品の撓みを抑制することができる。従って、内側壁に別体内側壁部品をより確実に固定することができる。
【0024】
請求項6に係る発明では、別体部品結合機構は、意匠部の下端から膨出した折返し係止爪と、折返し係止爪のうち意匠部の裏面へ向いている係止面に係止する形状で別体内側壁部品に形成された係止部と、を備えているので、意匠部の外観を形成する意匠面(裏面に対する表面)へのひけの影響を無くしながら、意匠部の下端からドアへ向かって突出する量を最小にして、別体部品結合機構を実現することができる。
【0025】
請求項7に係る発明では、係止部は、係止面に当接する面を凹ませて折返し係止爪を収納可能な凹形状に形成した部位なので、折返し係止爪を意匠部の裏面に近づけて配置することができ、意匠部からドアへ向かって突出する量をより小さくすることができる。
【0026】
また、別体内側壁部品が折り曲げ部の長手方向(車両前後方向)へ向けて移動すると、凹形状の係止部に収納した意匠部の係止爪が当接するため、別体内側壁部品が長手方向(車両前後方向)へ移動することを防止することができる。
【0027】
請求項8に係る発明では、外装部材は、一端、他端のうち、少なくとも一方の端に、意匠部の一方の縁に連ねて車両の内側へ向け延びて、第1閉断面部の一方の開口を覆う端壁部を備えているので、少なくとも、第1閉断面部の一方の開口から第1閉断面部の内部に雨水が浸入することを防止するという利点がある。
また、一方の開口から第1閉断面部の内部で反響した反響音が漏れることを防止するという利点がある。
当然、他方の開口を覆う端壁部を備えると、他方の開口から雨水が浸入すること、反響音が漏れることを防止することができる。
【0028】
請求項9に係る発明では、意匠部と車体とを結合する意匠端接合部が設けられ、内側壁の折り曲げ部側とは反対側の端部には、意匠部と結合される自由端部が設けられ、自由端部には、内側壁を折り曲げ部を中心として回転させたときに意匠端接合部と干渉する位置に退避部が設けられているので、退避部を設けることで意匠端接合部をより意匠部の下端側(折り曲げ部の軸線)に近づけて配置できる。その結果、外装部材の取付け強度が高まる。
【0029】
請求項10に係る発明では、退避部と意匠部の裏面との間の隙間を塞ぐ遮蔽壁を設けているので、第1閉断面部の内部への水等の浸入および第1閉断面部の内部の反響音の漏れを遮蔽壁で防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例に係る車両用外装部材を採用したドアの側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】車両用外装部材を採用したドアの内側側面図である。
【図4】図3の4矢視図である。
【図5】図3の5矢視図である。
【図6】図1の6−6線断面図である。
【図7】実施例に係る車両用外装部材を取り外した状態を示す側面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】図7の9−9線断面図である。
【図10】図7の10−10線断面図である。
【図11】図7の11−11線断面図である。
【図12】外装部材の側面図で、(a)裏側を示す図、(b)分解図である。
【図13】実施例に係る外装部材の斜視図である。
【図14】図12(a)の14矢視図である。
【図15】図13の15部詳細図である。
【図16】図13の16部詳細図である。
【図17】図16の17−17線断面図である。
【図18】図16の18−18線断面図である。
【図19】図16の19−19線断面図である。
【図20】図12(b)の20矢視図である。
【図21】図12(b)の21矢視図である。
【図22】図12(b)の22矢視図である。
【図23】図22の23矢視図である。
【図24】図22の24矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0032】
車両11は、図1に示すように、4ドア車で、車両用ドア12を備える。この車両用ドア12に実施例に係る車両11用外装部材(外装飾部材)27を設けている。
【0033】
車両用ドア12は、左前ドアである。図1〜図6に示すように、車体13に開閉自在に取り付けたドア本体15と、ドア本体15に取り付けた内装部材(図に示していない)と、ドア本体15の上部に取り付けたサッシュ17と、サッシュ17に支持されるガラス18と、を備える。
【0034】
ドア本体15は、アウタパネル(ドアアウタパネル)21と、インナパネル(ドアインナパネル)22とからなり、アウタパネル21とインナパネル22の縁を結合し、中空(中空部23)を形成している。
【0035】
ここで、車両11前後方向をX軸方向とし、車両11幅方向(または車幅方向)をY軸方向とし、車両上下方向をZ軸方向とする。
車内側とは、車両11幅方向(Y軸方向)における車内側(図6の矢印a1方向)とし、車外側とは、車両11幅方向(Y軸方向)における車外側(矢印a2方向)とする。
【0036】
車両用ドア12は、ドア本体15の下部25の外側(車外側(矢印a2方向))に取り付けた外装部材であるところの外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27と、ドア本体15の内側(車内側)に取り付けられ車体13に接触するシール部材(ドアシール)28と、を備える。
【0037】
車体13は、サイドボデー31に形成された乗降口枠部(ドア開口枠部)32を有する。
乗降口枠部32は、フロントピラー33やセンタピラー34やサイドシル35(図6も参照)で形成され、乗降口枠部32の下枠部はサイドシル35である。35aはサイドシル35に含めたサイドシルカバーである。
【0038】
乗降口枠部32は、前乗降口枠部(左前乗降口枠部44、右前乗降口枠部からなる)41と、後乗降口枠部(左後乗降口枠部、右後乗降口枠部からなる)42と、からなる。
【0039】
左前乗降口枠部44には車両用ドア(左前ドア)12が取り付けられている。
右前乗降口枠部(図に示していない)には右前ドアが取り付けられている。右前ドアは左前ドア12とほぼ対称であり、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27とシール部材28を備える。
【0040】
左後ドア46および右後ドア(図に示していない)は、ドア本体47の外側(車外側)に外装飾部材48、ドア本体47の内側(車内側)にシール部材51を設けている。
外装飾部材48、シール部材51は、車両用ドア12の外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27、シール部材28とほぼ同様である。
【0041】
次に、車両用ドア12の概要を図1〜図13で説明する。
車両用ドア12は、車体13の乗降口枠部(左前乗降口枠部)44に支持された中空のドア本体15を備える。
【0042】
そして、ドア本体15の車外側の外面53の下部25に重なり覆うとともに、ドア本体15の下縁(縁)54よりも下方に延びた外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27と、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27のドア本体15の下縁54よりも下方に延びた部位(装飾下部55)に取付けられ、ドア12を閉じると(図6)乗降口枠部(左前乗降口枠部)44に接触しているシール部材28と、を備える。
【0043】
ドア本体15に、ドア本体15内に流入した水Wを排出する水抜き穴57が開けられている。
【0044】
シール部材28は、水抜き穴57と対向すると共に、少なくとも水抜き穴57よりも車内側において下方から上方に向かうにつれて車内側に傾く傾斜部58aを備えている。
【0045】
具体的には、シール部材28は、水抜き穴57から排出された水Wを下方で、下縁54から次第に離れ乗降口枠部(左前乗降口枠部)44の下枠部(サイドシル)35まで斜めに延びて導く(矢印a3の方向)傾斜部58と、傾斜部58に連なり下枠部(サイドシル)35に密着する枠シール部61と、を備えている。
【0046】
水抜き穴57は、ドア本体15の下縁54よりも車内側(矢印a1方向)に距離E(図8)だけ離して設けられている。
また、シール部材28は、傾斜部58aから下縁54まで延びて水抜き穴57の下方に配置されている排水路シール部62を備えている。
【0047】
そして、排水路シール部62に連なり下縁54よりも車外側(図9の矢印a2方向)に形成されて下縁54近傍の外面53a(図6〜図9)に外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27で押圧されることによって密着している下部外面シール部64を有している。
【0048】
外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、排水路シール部62の裏面65に当接し、装飾下部55に連続している平坦なシールバックアップ部66を有している。
「排水路シール部62の裏面65」とは、車両の下方へ向いている面とする。
【0049】
また、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、シールバックアップ部66を水平に配置し、シールバックアップ部66のうち乗降口枠部(左前乗降口枠部)44へ向く端67(図9、図10)から下方に延ばした壁部68を有している。
【0050】
「水平に配置し」とは、車両11を水平に置いた状態で、車両11前後方向(X軸方向)がほぼ水平な状態である。
【0051】
さらに、シール部材28は、壁部68の乗降口枠部(左前乗降口枠部)44へ向く内側面71(図9)に当接して取付けられるシール取付部72を有している。
【0052】
その上、シール部材28は、シール取付部72と排水路シール部62とで形成される角部73から傾斜部58が延出されている。
【0053】
さらにその上、シール部材28は、シール取付部72のうち角部73よりも下方の部位(下端75)から乗降口枠部(左前乗降口枠部)44まで斜め上方へ向け延出され、車両11下方へ表面76を向け枠シール部61に連続した別の傾斜部77(図6、図9)を有する。
【0054】
具体的には、シール部材28は、シール取付部72のうち外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27の壁部68の下端74に当接している取付け下端75から乗降口枠部(左前乗降口枠部)44まで斜め上方へ向け延出され、車両11下方へ表面76を向け枠シール部61に連続した別の傾斜部77(図6、図9)を有する。
【0055】
別の傾斜部77と枠シール部61と傾斜部58とシール取付部72とで中空シール部81が形成されている。
【0056】
次に、車両11用ドア12の主要構成を図1〜図11で説明する。
車両11用外装部材(外装飾部材)27は、車体13に設けたドア12に取付けられて、ドア12の外面53に連続して外面27aを形成し、樹脂製である。
【0057】
外装部材(外装飾部材)27は、外観を構成する意匠部165と、意匠部165の下端204から車体13へ向かって略水平に延びて縁185を形成するとともに外観を構成しない非意匠部184と、非意匠部184の縁185に連なり一体に一直線に成形された折り曲げ部186と、折り曲げ部186に連なり、折り曲げ部186を折り曲げることで、意匠部165の裏面177に自由端部(接合フランジ部)124のみが重なり、且つ意匠部165とで第1閉断面部187を形成している内側壁188と、を備える。189は非意匠部184の始縁(境界角部)である(図17)。
【0058】
「外装部材(外装飾部材)27の外面27a」は、意匠部165の外面であり、非意匠部184の外面である。言い換えると、外面27aは外装部材(外装飾部材)27の表面である。また、意匠部165の外面(表面)は意匠面である。
【0059】
「外観を構成しない非意匠部184」とは、車両側面視(図1の視点)、死角の範囲にある部位である。
第1閉断面部187は閉断面部166のうちの一方の部位187aと、他方の部位187bである。
内側壁188は一方の第1内側壁191、他方の第2内側壁192とからなる。
【0060】
非意匠部184は、図14、図17に示す通り、意匠部165とで形成される境界角部(始縁)189から折り曲げ部186までの距離βf、βrが中央(中央部)193へ向かって距離β1、β2まで漸減し、所望の距離β1、β2までの範囲に形成されている。
【0061】
非意匠部184が形成されていない範囲(残部195)に意匠部165とは別に樹脂成形された別体内側壁部品115が、第1閉断面部187に連続した第2閉断面部197を意匠部165とで形成する形状で取付けられている。
「非意匠部184が形成されていない範囲(残部195)」とは、距離が所望の距離β1、β2に達しない(未満)範囲である。
【0062】
別体内側壁部品115は、内側壁188に重なり結合している重合部201を備えている。
「結合」とは、接着による結合、機械的結合(後で説明する)による結合、これらの両方による結合である。
【0063】
内側壁188は、意匠部165の裏面177に自由端部(接合フランジ部)124が接着されている。
重合部201は、内側壁188に重なり機械的結合(後で説明する)されている。
【0064】
重合部201は、図17に示す通り、第1閉断面部187の内部に配置されて内側壁188に重なり接触している。
重合部201の近傍に配置されて、意匠部165と別体内側壁部品115とを結合している別体部品結合機構203を有している。
【0065】
別体部品結合機構203は、意匠部165の下端204から膨出した折返し係止爪205と、折返し係止爪205のうち意匠部165の裏面177へ向いている係止面206(図19、図20)に係止する形状で別体内側壁部品115に形成された係止部207と、を備えている。
【0066】
係止部207は、係止面206に当接する面211を凹ませて折返し係止爪205を収納可能な凹形状に形成した部位である。
【0067】
なお、係止部207は、凹形状に限定されず、凹形状を形成しない平板状でもよく、係止爪205に当接する突出部(リブ)を備える形状でもよい。
【0068】
また、外装部材(外装飾部材)27は、一端215、他端216のうち、少なくとも一方の端(一端215)に、意匠部165の一方の縁に連ねて車両11の内側(車内側(矢印a1方向))へ向け延びて、第1閉断面部187の一方の開口218(図22)を覆う端壁部221を備えている。
【0069】
意匠部165と車体13とを結合する意匠端接合部252、253が設けられ、内側壁188の折り曲げ部186側とは反対側の端部には、意匠部165と結合される自由端部(接合フランジ部)124が設けられている。
自由端部(接合フランジ部)124には、内側壁188を折り曲げ部186を中心として回転させたときに意匠端接合部252、253と干渉する位置に退避部255が設けられている。
退避部255と意匠部165の裏面との間の隙間を塞ぐ遮蔽壁257を設けている。
【0070】
次に、車両用ドア12を具体的に説明する。
インナパネル22は、図8に示す通り、インナ下部重ね接合部(インナ周縁部)85が形成され、インナ下部重ね接合部85に連ねてインナ膨出部87(第1曲げ成形部91、第2曲げ成形部92、インナ曲面部93からなる)が車両11の内側(矢印a1方向)へ向かって押し出されている。
インナ曲面部93には、孔94がねじ部材95を通す径で開けられている。
【0071】
アウタパネル21は、図6、図8に示す通り、アウタ下部重ね接合部(アウタ周縁部163)97が形成され、アウタ下部重ね接合部97に連ねて第1アウタ膨出部98(第1曲げ成形部101、第2曲げ成形部102、アウタ第1曲面部103からなる)、第2アウタ膨出部104(第3曲げ成形部105、第4曲げ成形部106、第5曲げ成形部107、第6曲げ成形部108からなる)が車両11の外側(矢印a2方向)へ向かって押し出されている。
【0072】
アウタ第1曲面部103には、クリップ孔111が開けられている(図7も参照)。
第5曲げ成形部107には、図7、図11に示す通り、クリップ孔112がほぼ等間隔で開けられている。
そして、第1アウタ膨出部98、第2アウタ膨出部104が外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27でカバーされている。
【0073】
外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、図7、図9〜図11に示す通り、装飾本体114と、中央ブラケット(別体内側壁部品)115と、サイドブラケット116からなる。
【0074】
装飾本体114は、車両11正面視(図8、図10、図11の視点)、膨出したアウタパネル21の第6曲げ成形部108からドア本体15の下縁54の下方へ向かって下縁54の下に入り込むように曲面に形成されている。
【0075】
そして、アウタパネル21のクリップ孔112(図11)に装飾本体114のラグ117がクリップ118で取り付けられている。
アウタパネル21のクリップ孔111にクリップ122(図9)を嵌め、クリップ122を中央ブラケット(別体内側壁部品)115にねじ部材95で締結している。
【0076】
また、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、図10に示す通り、装飾本体114に内側の中央ブラケット(別体内側壁部品)115をねじ部材121で締結している。さらに、図11に示す通り、装飾本体114に一体に樹脂成形されたサイドブラケット116を折り曲げ、装飾本体114に内側のサイドブラケット116の接合フランジ部124を接着剤で接合している。
【0077】
中央ブラケット(別体内側壁部品)115は、図9〜図10に示す通り、装飾本体114とは別に樹脂成形されたものである。第1締結部127、第2締結部128が形成され、これら127、128に連ねて順にシールバックアップ部66、壁部68が形成されている。
【0078】
シールバックアップ部66に連ねアウタパネル21のアウタ下部重ね接合部97に向け膨出させたシール押さえ部(接続リブ)129が形成されて、下部外面シール部64を押圧して把持している。シール押さえ部129は板状で複数形成されている。
【0079】
シールバックアップ部66は、ドア本体15の前部131から後部132まで延びて、一直線に形成され、車両11正面視、幅(車幅方向(Y軸方向))がシール部材28の排水路シール部62とほぼ同じに形成されている。
【0080】
シール部材28は、中空シール部81をドア本体15の前部131から後部132まで形成し、中空シール部81の前端134が開口し(図2、図4)、後端135が封じられている(図5)。中空シール部81のうちのシール取付部72は、壁部68に向く面に凹部137が形成され、この凹部137(図9)に孔138(図10)がクリップ141を把持する径、厚さで形成されている。
【0081】
次に、車両11用外装部材(外装飾部材)27を詳しく説明していく。
外装部材(外装飾部材)27は、意匠部165、非意匠部184、折り曲げ部186、内側壁188、別体内側壁部品115を備え、別体内側壁部品115を除いて、図に示していない樹脂成形金型で一体に成形されたものである。なお、金型から取り出したものを単品外装部材223とする(図12(b)、図17)。
【0082】
なお、樹脂成形金型では、非意匠部184を形成する型(キャビティ)に、射出成形機のノズルから直接樹脂が流入する流路(スプール)に連通したゲートが形成されている。つまり、非意匠部184に成形時のゲートの跡が残る。
別体内側壁部品115は、別の樹脂成形金型で成形している。
【0083】
ここで、外装部材(外装飾部材)27の組み立て要領を簡単に説明する。
まず、樹脂成形後、単品外装部材223に別体内側壁部品115を別体部品結合機構203で組み付ける。
【0084】
具体的には、別体部品結合機構203では、意匠部165の裏面177に一体に形成した第1U字規制部224、第2U字規制部225に別体内側壁部品115の第1当接規制部226、第2当接規制部227を嵌める(図16、図18)。
【0085】
ほぼ同時に、別体部品結合機構203では、意匠部165の折返し係止爪205に別体内側壁部品115の係止部207を係止する(図19)。
これで第2閉断面部197が形成される。
【0086】
その次に、図17に二点鎖線で示す内側壁188の接合フランジ部124に接着剤228を塗布する。接着剤228を用いずに接着テープを貼り付けてもよい。
【0087】
引き続き、図17に示す通り、折り曲げ部186を矢印b1のように折り、意匠部165の裏面177に内側壁188の接合フランジ部124を接着する。
その際、別体内側壁部品115の重合部201に内側壁188が重なるので、機械的結合によって結合する。具体的には、別体内側壁部品115の重合部201に開けた開口係止部231(図12)に内側壁188の内方へ張り出した張り出し爪部232が掛かる。これで第1閉断面部187が形成されて、第2閉断面部197に連通し、外装部材(外装飾部材)27の組み立ては完了する。
【0088】
「機械的結合」は、この一例では張り出し爪部232による結合としたが、張り出し爪部232による結合以外に、ナットにボルトをねじ込む、つまりねじによる結合(締結)、リベットによる結合、リベットのように軸にねじを形成せずに係止するクリップなど鋲による結合、圧入による結合、帯鋼板や鋼線を用いたバンドによる結合、ばねによる結合、止め輪による結合、クリップやクランプなどの挟み金具による結合を挙げることができる。
【0089】
内側壁188は、図11〜図13、図17に示すように、既に説明した壁部68、シールバックアップ部66、接合フランジ部124と、壁部68に開けられてクリップ141が挿入される第1シール固定クリップ孔234と、接続リブ129と、を備える。
【0090】
折り曲げ部186は、非意匠部184の厚さtn、内側壁188の厚さtdに比べ、厚さが薄い。
【0091】
接続リブ129は、図13に示す通り、非意匠部184の幅が漸減する(図14)のに伴い、長さLrが漸減するものである。
接続リブ129の高さHr(図17、図18)は、下部外面シール部64の高さより低く、約60%である。その結果、軽量化を損なうことなく、下部外面シール部64を押さえて保持することができる。
【0092】
別体内側壁部品115は、既に説明した壁部68に含まれる壁部68aと、シールバックアップ部66に含まれるシールバックアップ部66aと、接合フランジ部124に含まれる接合フランジ部124aと、を備える。
【0093】
また、別体内側壁部品115は、図12、図13に示す通り、接合フランジ部124aに連続し意匠部165の裏面177に重なり延びる内壁ドア接合部237と、内壁ドア接合部237に設けた第1締結部127、第2締結部128と、シール押さえ部(接続リブ)129と、壁部68aに開けられてクリップ141が挿入される第2シール固定クリップ孔238と、を備える。
【0094】
さらに、内壁ドア接合部237の縁に縁リブ241を形成している。その結果、ドア12に車両11の外側から衝撃(荷重)が入力されると(例えば、側面衝突の場合)、縁リブ241に荷重が分散されるので、別体内側壁部品115の強度、車両11用外装部材(外装飾部材)27の強度を高めることができる。
【0095】
外装部材(外装飾部材)27は、他方の端(他端216)に、意匠部165の他方の縁に連ねて車両11の内側(車内側(矢印a1方向))へ向け延びて、第1閉断面部187の他方の開口248(図13)を覆う端壁部251を備えている。
「開口218、248を覆う」とは、開口218、248を数10%閉じることも含める。
【0096】
外装部材(外装飾部材)27では、図13に示す通り、一端215(及び端壁部221)、他端216(及び端壁部251)に意匠端接合部252、253を両面テープ254で形成している。
一端215には、ドア本体15との干渉を避ける退避部255を形成した(図22も参照)。
【0097】
次に、実施例に係る車両11用外装部材(外装飾部材)27の作用を説明する。
外装部材(外装飾部材)27では、図14に示す通り、非意匠部184の幅がβfからβ1に、βrからβ2に漸減しても、漸減した範囲(β1の位置からβ2の位置まで)に別体内側壁部品115を取付けることによって、第1閉断面部187に第2閉断面部197を連続させることができ、外装部材(外装飾部材)27の強度を高めることができる。
【0098】
また、別体内側壁部品115の端243、244と内側壁188の端245、246との隙間に重合部201が重なり、第1閉断面部187と第2閉断面部197との間に隙間が形成されることを防止することができる。
【0099】
さらに、別体内側壁部品115に外力(荷重)が入力さると(例えば、ドア12を開閉するときの力)、別体内側壁部品115の重合部201から内側壁188に荷重を伝えるので、別体内側壁部品115の位置ずれを抑制することができる。従って、閉断面部を隙間(荷重を伝達できない隙間)なく連続させることができる。
【0100】
尚、本発明の車両用外装部材は、実施の形態では前ドア12や後ドア46などのサイドドアに採用されているが、サイドドアに限定されるものではない。
車両用外装部材は、ドア本体15の下部25の外側に取り付けられているが、下部25だけに限定されない。外装部材を前端や後端や上端等に取付けてもよい。
【0101】
別体内側壁部品115は、車両前後方向(長手方向)の中央部に配置されているが、車両前後方向の中央部に限定されるものではない。例えば、車両用外装部材の前部でもよく、車両用外装部材の後部でもよく、このように片側に偏って配置してもよい。また、前部および中央部など複数のカ所に配置してもよい。
【0102】
「機械的結合」は、既に説明したように、張り出し爪部232による結合に限定するものではない。例えば、ナットにボルトをねじ込む、つまりねじによる結合(締結)、リベットによる結合、リベットのように軸にねじを形成せずに係止するクリップなど鋲による結合、圧入による結合、帯鋼板や鋼線を用いたバンドによる結合、ばねによる結合、止め輪による結合、クリップやクランプなどの挟み金具による結合でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の車両用外装部材は、自動車に好適である。
【符号の説明】
【0104】
11…車両、12…ドア、13…車体、27…外装部材、27a…外装部材の外面、53…ドアの外面、124…自由端部(接合フランジ部)、165…意匠部、177…意匠部の裏面、184…非意匠部、185…非意匠部の縁、186…折り曲げ部、187…第1閉断面部、188…内側壁、189…境界角部(始縁)、195…残りの範囲(残部)、115…別体内側壁部品、197…第2閉断面部、201…重合部、203…別体部品結合機構、204…意匠部の下端、205…折返し係止爪、206…折返し係止爪の係止面、207…係止部、211…係止面に当接する面、215…外装部材の一端、216…外装部材の他端、218…第1閉断面部の一方の開口、221…端壁部、βf、βr…境界角部から折り曲げ部までの距離、β1、β2…所望の距離。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに設けた車両用外装部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用外装部材には、ドアに設けられたものがある。
このドアの外装部材(外装部品)は、外側部の下部のフランジ部に折り部(薄肉ヒンジ部)を介して内側部を形成し、折り部(薄肉ヒンジ部)を折って外側部に内側部を接合することで、閉断面部を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、長尺な外装部材が湾曲した形状の場合、例えば、両端から中央に向かって幅(車幅方向の長さ、図の左右方向の長さ)が漸減する形状では、一直線に形成した折り部(薄肉ヒンジ部)に連続したフランジ部の幅が中央で小さくなる。小さいフランジ部には、樹脂成形用金型内への樹脂材料の供給口を配置することができないため、外装部材全体(特に折り部を介して内側部側)に樹脂材料を供給することが難しい。その結果、内側部(閉断面部)を車幅方向全体に連続して形成することは難しく、外装部材の強度を高めること、または強度を確保することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−186093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外装部材の強度を高めた車両用外装部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車体に設けたドアに取付けられて、ドアの外面に連続して外面を形成している樹脂製の車両用外装部材であって、外装部材は、外観を構成する意匠部と、意匠部から車体へ向かって延びて縁を形成するとともに外観を構成しない非意匠部と、非意匠部の縁に連なり一体に一直線に成形された折り曲げ部と、折り曲げ部に連なり、折り曲げ部を折り曲げることで、意匠部の裏面に自由端部のみが重なり、且つ意匠部とで第1閉断面部を形成している内側壁と、を備え、非意匠部は、意匠部とで形成される境界角部から折り曲げ部までの距離が漸減し、所望の距離までの範囲に形成され、非意匠部が形成されていない残りの範囲に意匠部とは別に樹脂成形された別体内側壁部品が、第1閉断面部に連続した第2閉断面部を意匠部とで形成する形状で取付けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、別体内側壁部品は、内側壁に重なり結合している重合部を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、内側壁は、意匠部の裏面に自由端部が接着され、重合部は、内側壁に重なり機械的結合によって結合していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、重合部は、第1閉断面部の内部に配置されて内側壁に重なり接触していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、重合部の近傍に配置されて、意匠部と別体内側壁部品とを結合している別体部品結合機構を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明では、別体部品結合機構は、意匠部の下端から膨出した折返し係止爪と、折返し係止爪のうち意匠部の裏面へ向いている係止面に係止する形状で別体内側壁部品に形成された係止部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明では、係止部は、係止面に当接する面を凹ませて折返し係止爪を収納可能な凹形状に形成した部位であることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明では、外装部材は、一端、他端のうち、少なくとも一方の端に、意匠部の一方の縁に連ねて車両の内側へ向け延びて、第1閉断面部の一方の開口を覆う端壁部を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明では、意匠部と車体とを結合する意匠端接合部が設けられ、内側壁の折り曲げ部側とは反対側の端部には、意匠部と結合される自由端部が設けられ、自由端部には、内側壁を折り曲げ部を中心として回転させたときに意匠端接合部と干渉する位置に退避部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明では、退避部と意匠部の裏面との間の隙間を塞ぐ遮蔽壁を設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、外装部材は、外観を構成する意匠部と、意匠部から車体へ向かって延びて外観を構成しない非意匠部と、非意匠部の縁に連なり一体に一直線に成形された折り曲げ部と、折り曲げ部に連なり、折り曲げ部を折り曲げることで、意匠部の裏面に自由端部のみが重なり、且つ意匠部とで第1閉断面部を形成している内側壁と、を備え、非意匠部は、意匠部とで形成される境界角部から折り曲げ部までの距離が漸減し、所望の距離までの範囲に形成され、非意匠部が形成されていない残りの範囲に意匠部とは別に樹脂成形された別体内側壁部品が、第1閉断面部に連続した第2閉断面部を意匠部とで形成する形状で取付けられているので、内側壁を形成できない部位に別体内側壁部品を取付けることによって、第1閉断面部に第2閉断面部を連続させて、外装部材の強度を高めることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、別体内側壁部品は、内側壁に重なり結合している重合部を備えているので、重合部が延びる別体内側壁部品の端と内側壁の端との隙間に重合部が重なり、第1閉断面部と第2閉断面部との間に隙間が形成されることを防止することができる。
【0018】
また、内側壁および別体内側壁部品の取付け強度が高まる。
さらに、内側壁に対し、別体内側壁部品の位置ずれを抑制することができ、閉断面を隙間なく連続させることができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、内側壁は、意匠部の裏面に自由端部が接着され、重合部は、内側壁に重なり機械的結合によって結合しているので、意匠部に内側壁の自由端部を固定するための台座などの部位を形成する必要がなく、意匠部の外観を形成する意匠面(裏面に対する表面)にひけが発生しない。
【0020】
内側壁に重合部を機械的結合することによって、ひけを気にする必要のない部位に接着よりも強固に結合することができ、内側壁に別体内側壁部品をより確実に固定することができる。
【0021】
請求項4に係る発明では、重合部は、第1閉断面部の内部に配置されて内側壁に重なり接触しているので、まず、意匠部に別体内側壁部品を取付け、その後、別体内側壁部品の重合部に内側壁を当接させて案内するように折り曲げ部を折り曲げることによって、重ねて接触させることができる。従って、内側壁を回動させて結合する内側壁の組み付け作業は容易になり、且つ作業性が向上する。
【0022】
また、重合部が第1閉断面部の内部に配置されると、外装部材(意匠部、非意匠部、内側壁)から別体内側壁部品が脱落することを抑制するという利点がある。
【0023】
請求項5に係る発明では、重合部の近傍に配置されて、意匠部と別体内側壁部品とを結合している別体部品結合機構を有しているので、重合部の近傍で意匠部と別体内側壁部品とを結合することができ、別体内側壁部品の撓みを抑制することができる。従って、内側壁に別体内側壁部品をより確実に固定することができる。
【0024】
請求項6に係る発明では、別体部品結合機構は、意匠部の下端から膨出した折返し係止爪と、折返し係止爪のうち意匠部の裏面へ向いている係止面に係止する形状で別体内側壁部品に形成された係止部と、を備えているので、意匠部の外観を形成する意匠面(裏面に対する表面)へのひけの影響を無くしながら、意匠部の下端からドアへ向かって突出する量を最小にして、別体部品結合機構を実現することができる。
【0025】
請求項7に係る発明では、係止部は、係止面に当接する面を凹ませて折返し係止爪を収納可能な凹形状に形成した部位なので、折返し係止爪を意匠部の裏面に近づけて配置することができ、意匠部からドアへ向かって突出する量をより小さくすることができる。
【0026】
また、別体内側壁部品が折り曲げ部の長手方向(車両前後方向)へ向けて移動すると、凹形状の係止部に収納した意匠部の係止爪が当接するため、別体内側壁部品が長手方向(車両前後方向)へ移動することを防止することができる。
【0027】
請求項8に係る発明では、外装部材は、一端、他端のうち、少なくとも一方の端に、意匠部の一方の縁に連ねて車両の内側へ向け延びて、第1閉断面部の一方の開口を覆う端壁部を備えているので、少なくとも、第1閉断面部の一方の開口から第1閉断面部の内部に雨水が浸入することを防止するという利点がある。
また、一方の開口から第1閉断面部の内部で反響した反響音が漏れることを防止するという利点がある。
当然、他方の開口を覆う端壁部を備えると、他方の開口から雨水が浸入すること、反響音が漏れることを防止することができる。
【0028】
請求項9に係る発明では、意匠部と車体とを結合する意匠端接合部が設けられ、内側壁の折り曲げ部側とは反対側の端部には、意匠部と結合される自由端部が設けられ、自由端部には、内側壁を折り曲げ部を中心として回転させたときに意匠端接合部と干渉する位置に退避部が設けられているので、退避部を設けることで意匠端接合部をより意匠部の下端側(折り曲げ部の軸線)に近づけて配置できる。その結果、外装部材の取付け強度が高まる。
【0029】
請求項10に係る発明では、退避部と意匠部の裏面との間の隙間を塞ぐ遮蔽壁を設けているので、第1閉断面部の内部への水等の浸入および第1閉断面部の内部の反響音の漏れを遮蔽壁で防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例に係る車両用外装部材を採用したドアの側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】車両用外装部材を採用したドアの内側側面図である。
【図4】図3の4矢視図である。
【図5】図3の5矢視図である。
【図6】図1の6−6線断面図である。
【図7】実施例に係る車両用外装部材を取り外した状態を示す側面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】図7の9−9線断面図である。
【図10】図7の10−10線断面図である。
【図11】図7の11−11線断面図である。
【図12】外装部材の側面図で、(a)裏側を示す図、(b)分解図である。
【図13】実施例に係る外装部材の斜視図である。
【図14】図12(a)の14矢視図である。
【図15】図13の15部詳細図である。
【図16】図13の16部詳細図である。
【図17】図16の17−17線断面図である。
【図18】図16の18−18線断面図である。
【図19】図16の19−19線断面図である。
【図20】図12(b)の20矢視図である。
【図21】図12(b)の21矢視図である。
【図22】図12(b)の22矢視図である。
【図23】図22の23矢視図である。
【図24】図22の24矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0032】
車両11は、図1に示すように、4ドア車で、車両用ドア12を備える。この車両用ドア12に実施例に係る車両11用外装部材(外装飾部材)27を設けている。
【0033】
車両用ドア12は、左前ドアである。図1〜図6に示すように、車体13に開閉自在に取り付けたドア本体15と、ドア本体15に取り付けた内装部材(図に示していない)と、ドア本体15の上部に取り付けたサッシュ17と、サッシュ17に支持されるガラス18と、を備える。
【0034】
ドア本体15は、アウタパネル(ドアアウタパネル)21と、インナパネル(ドアインナパネル)22とからなり、アウタパネル21とインナパネル22の縁を結合し、中空(中空部23)を形成している。
【0035】
ここで、車両11前後方向をX軸方向とし、車両11幅方向(または車幅方向)をY軸方向とし、車両上下方向をZ軸方向とする。
車内側とは、車両11幅方向(Y軸方向)における車内側(図6の矢印a1方向)とし、車外側とは、車両11幅方向(Y軸方向)における車外側(矢印a2方向)とする。
【0036】
車両用ドア12は、ドア本体15の下部25の外側(車外側(矢印a2方向))に取り付けた外装部材であるところの外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27と、ドア本体15の内側(車内側)に取り付けられ車体13に接触するシール部材(ドアシール)28と、を備える。
【0037】
車体13は、サイドボデー31に形成された乗降口枠部(ドア開口枠部)32を有する。
乗降口枠部32は、フロントピラー33やセンタピラー34やサイドシル35(図6も参照)で形成され、乗降口枠部32の下枠部はサイドシル35である。35aはサイドシル35に含めたサイドシルカバーである。
【0038】
乗降口枠部32は、前乗降口枠部(左前乗降口枠部44、右前乗降口枠部からなる)41と、後乗降口枠部(左後乗降口枠部、右後乗降口枠部からなる)42と、からなる。
【0039】
左前乗降口枠部44には車両用ドア(左前ドア)12が取り付けられている。
右前乗降口枠部(図に示していない)には右前ドアが取り付けられている。右前ドアは左前ドア12とほぼ対称であり、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27とシール部材28を備える。
【0040】
左後ドア46および右後ドア(図に示していない)は、ドア本体47の外側(車外側)に外装飾部材48、ドア本体47の内側(車内側)にシール部材51を設けている。
外装飾部材48、シール部材51は、車両用ドア12の外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27、シール部材28とほぼ同様である。
【0041】
次に、車両用ドア12の概要を図1〜図13で説明する。
車両用ドア12は、車体13の乗降口枠部(左前乗降口枠部)44に支持された中空のドア本体15を備える。
【0042】
そして、ドア本体15の車外側の外面53の下部25に重なり覆うとともに、ドア本体15の下縁(縁)54よりも下方に延びた外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27と、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27のドア本体15の下縁54よりも下方に延びた部位(装飾下部55)に取付けられ、ドア12を閉じると(図6)乗降口枠部(左前乗降口枠部)44に接触しているシール部材28と、を備える。
【0043】
ドア本体15に、ドア本体15内に流入した水Wを排出する水抜き穴57が開けられている。
【0044】
シール部材28は、水抜き穴57と対向すると共に、少なくとも水抜き穴57よりも車内側において下方から上方に向かうにつれて車内側に傾く傾斜部58aを備えている。
【0045】
具体的には、シール部材28は、水抜き穴57から排出された水Wを下方で、下縁54から次第に離れ乗降口枠部(左前乗降口枠部)44の下枠部(サイドシル)35まで斜めに延びて導く(矢印a3の方向)傾斜部58と、傾斜部58に連なり下枠部(サイドシル)35に密着する枠シール部61と、を備えている。
【0046】
水抜き穴57は、ドア本体15の下縁54よりも車内側(矢印a1方向)に距離E(図8)だけ離して設けられている。
また、シール部材28は、傾斜部58aから下縁54まで延びて水抜き穴57の下方に配置されている排水路シール部62を備えている。
【0047】
そして、排水路シール部62に連なり下縁54よりも車外側(図9の矢印a2方向)に形成されて下縁54近傍の外面53a(図6〜図9)に外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27で押圧されることによって密着している下部外面シール部64を有している。
【0048】
外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、排水路シール部62の裏面65に当接し、装飾下部55に連続している平坦なシールバックアップ部66を有している。
「排水路シール部62の裏面65」とは、車両の下方へ向いている面とする。
【0049】
また、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、シールバックアップ部66を水平に配置し、シールバックアップ部66のうち乗降口枠部(左前乗降口枠部)44へ向く端67(図9、図10)から下方に延ばした壁部68を有している。
【0050】
「水平に配置し」とは、車両11を水平に置いた状態で、車両11前後方向(X軸方向)がほぼ水平な状態である。
【0051】
さらに、シール部材28は、壁部68の乗降口枠部(左前乗降口枠部)44へ向く内側面71(図9)に当接して取付けられるシール取付部72を有している。
【0052】
その上、シール部材28は、シール取付部72と排水路シール部62とで形成される角部73から傾斜部58が延出されている。
【0053】
さらにその上、シール部材28は、シール取付部72のうち角部73よりも下方の部位(下端75)から乗降口枠部(左前乗降口枠部)44まで斜め上方へ向け延出され、車両11下方へ表面76を向け枠シール部61に連続した別の傾斜部77(図6、図9)を有する。
【0054】
具体的には、シール部材28は、シール取付部72のうち外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27の壁部68の下端74に当接している取付け下端75から乗降口枠部(左前乗降口枠部)44まで斜め上方へ向け延出され、車両11下方へ表面76を向け枠シール部61に連続した別の傾斜部77(図6、図9)を有する。
【0055】
別の傾斜部77と枠シール部61と傾斜部58とシール取付部72とで中空シール部81が形成されている。
【0056】
次に、車両11用ドア12の主要構成を図1〜図11で説明する。
車両11用外装部材(外装飾部材)27は、車体13に設けたドア12に取付けられて、ドア12の外面53に連続して外面27aを形成し、樹脂製である。
【0057】
外装部材(外装飾部材)27は、外観を構成する意匠部165と、意匠部165の下端204から車体13へ向かって略水平に延びて縁185を形成するとともに外観を構成しない非意匠部184と、非意匠部184の縁185に連なり一体に一直線に成形された折り曲げ部186と、折り曲げ部186に連なり、折り曲げ部186を折り曲げることで、意匠部165の裏面177に自由端部(接合フランジ部)124のみが重なり、且つ意匠部165とで第1閉断面部187を形成している内側壁188と、を備える。189は非意匠部184の始縁(境界角部)である(図17)。
【0058】
「外装部材(外装飾部材)27の外面27a」は、意匠部165の外面であり、非意匠部184の外面である。言い換えると、外面27aは外装部材(外装飾部材)27の表面である。また、意匠部165の外面(表面)は意匠面である。
【0059】
「外観を構成しない非意匠部184」とは、車両側面視(図1の視点)、死角の範囲にある部位である。
第1閉断面部187は閉断面部166のうちの一方の部位187aと、他方の部位187bである。
内側壁188は一方の第1内側壁191、他方の第2内側壁192とからなる。
【0060】
非意匠部184は、図14、図17に示す通り、意匠部165とで形成される境界角部(始縁)189から折り曲げ部186までの距離βf、βrが中央(中央部)193へ向かって距離β1、β2まで漸減し、所望の距離β1、β2までの範囲に形成されている。
【0061】
非意匠部184が形成されていない範囲(残部195)に意匠部165とは別に樹脂成形された別体内側壁部品115が、第1閉断面部187に連続した第2閉断面部197を意匠部165とで形成する形状で取付けられている。
「非意匠部184が形成されていない範囲(残部195)」とは、距離が所望の距離β1、β2に達しない(未満)範囲である。
【0062】
別体内側壁部品115は、内側壁188に重なり結合している重合部201を備えている。
「結合」とは、接着による結合、機械的結合(後で説明する)による結合、これらの両方による結合である。
【0063】
内側壁188は、意匠部165の裏面177に自由端部(接合フランジ部)124が接着されている。
重合部201は、内側壁188に重なり機械的結合(後で説明する)されている。
【0064】
重合部201は、図17に示す通り、第1閉断面部187の内部に配置されて内側壁188に重なり接触している。
重合部201の近傍に配置されて、意匠部165と別体内側壁部品115とを結合している別体部品結合機構203を有している。
【0065】
別体部品結合機構203は、意匠部165の下端204から膨出した折返し係止爪205と、折返し係止爪205のうち意匠部165の裏面177へ向いている係止面206(図19、図20)に係止する形状で別体内側壁部品115に形成された係止部207と、を備えている。
【0066】
係止部207は、係止面206に当接する面211を凹ませて折返し係止爪205を収納可能な凹形状に形成した部位である。
【0067】
なお、係止部207は、凹形状に限定されず、凹形状を形成しない平板状でもよく、係止爪205に当接する突出部(リブ)を備える形状でもよい。
【0068】
また、外装部材(外装飾部材)27は、一端215、他端216のうち、少なくとも一方の端(一端215)に、意匠部165の一方の縁に連ねて車両11の内側(車内側(矢印a1方向))へ向け延びて、第1閉断面部187の一方の開口218(図22)を覆う端壁部221を備えている。
【0069】
意匠部165と車体13とを結合する意匠端接合部252、253が設けられ、内側壁188の折り曲げ部186側とは反対側の端部には、意匠部165と結合される自由端部(接合フランジ部)124が設けられている。
自由端部(接合フランジ部)124には、内側壁188を折り曲げ部186を中心として回転させたときに意匠端接合部252、253と干渉する位置に退避部255が設けられている。
退避部255と意匠部165の裏面との間の隙間を塞ぐ遮蔽壁257を設けている。
【0070】
次に、車両用ドア12を具体的に説明する。
インナパネル22は、図8に示す通り、インナ下部重ね接合部(インナ周縁部)85が形成され、インナ下部重ね接合部85に連ねてインナ膨出部87(第1曲げ成形部91、第2曲げ成形部92、インナ曲面部93からなる)が車両11の内側(矢印a1方向)へ向かって押し出されている。
インナ曲面部93には、孔94がねじ部材95を通す径で開けられている。
【0071】
アウタパネル21は、図6、図8に示す通り、アウタ下部重ね接合部(アウタ周縁部163)97が形成され、アウタ下部重ね接合部97に連ねて第1アウタ膨出部98(第1曲げ成形部101、第2曲げ成形部102、アウタ第1曲面部103からなる)、第2アウタ膨出部104(第3曲げ成形部105、第4曲げ成形部106、第5曲げ成形部107、第6曲げ成形部108からなる)が車両11の外側(矢印a2方向)へ向かって押し出されている。
【0072】
アウタ第1曲面部103には、クリップ孔111が開けられている(図7も参照)。
第5曲げ成形部107には、図7、図11に示す通り、クリップ孔112がほぼ等間隔で開けられている。
そして、第1アウタ膨出部98、第2アウタ膨出部104が外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27でカバーされている。
【0073】
外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、図7、図9〜図11に示す通り、装飾本体114と、中央ブラケット(別体内側壁部品)115と、サイドブラケット116からなる。
【0074】
装飾本体114は、車両11正面視(図8、図10、図11の視点)、膨出したアウタパネル21の第6曲げ成形部108からドア本体15の下縁54の下方へ向かって下縁54の下に入り込むように曲面に形成されている。
【0075】
そして、アウタパネル21のクリップ孔112(図11)に装飾本体114のラグ117がクリップ118で取り付けられている。
アウタパネル21のクリップ孔111にクリップ122(図9)を嵌め、クリップ122を中央ブラケット(別体内側壁部品)115にねじ部材95で締結している。
【0076】
また、外装飾部材(ドアロアガーニッシュ)27は、図10に示す通り、装飾本体114に内側の中央ブラケット(別体内側壁部品)115をねじ部材121で締結している。さらに、図11に示す通り、装飾本体114に一体に樹脂成形されたサイドブラケット116を折り曲げ、装飾本体114に内側のサイドブラケット116の接合フランジ部124を接着剤で接合している。
【0077】
中央ブラケット(別体内側壁部品)115は、図9〜図10に示す通り、装飾本体114とは別に樹脂成形されたものである。第1締結部127、第2締結部128が形成され、これら127、128に連ねて順にシールバックアップ部66、壁部68が形成されている。
【0078】
シールバックアップ部66に連ねアウタパネル21のアウタ下部重ね接合部97に向け膨出させたシール押さえ部(接続リブ)129が形成されて、下部外面シール部64を押圧して把持している。シール押さえ部129は板状で複数形成されている。
【0079】
シールバックアップ部66は、ドア本体15の前部131から後部132まで延びて、一直線に形成され、車両11正面視、幅(車幅方向(Y軸方向))がシール部材28の排水路シール部62とほぼ同じに形成されている。
【0080】
シール部材28は、中空シール部81をドア本体15の前部131から後部132まで形成し、中空シール部81の前端134が開口し(図2、図4)、後端135が封じられている(図5)。中空シール部81のうちのシール取付部72は、壁部68に向く面に凹部137が形成され、この凹部137(図9)に孔138(図10)がクリップ141を把持する径、厚さで形成されている。
【0081】
次に、車両11用外装部材(外装飾部材)27を詳しく説明していく。
外装部材(外装飾部材)27は、意匠部165、非意匠部184、折り曲げ部186、内側壁188、別体内側壁部品115を備え、別体内側壁部品115を除いて、図に示していない樹脂成形金型で一体に成形されたものである。なお、金型から取り出したものを単品外装部材223とする(図12(b)、図17)。
【0082】
なお、樹脂成形金型では、非意匠部184を形成する型(キャビティ)に、射出成形機のノズルから直接樹脂が流入する流路(スプール)に連通したゲートが形成されている。つまり、非意匠部184に成形時のゲートの跡が残る。
別体内側壁部品115は、別の樹脂成形金型で成形している。
【0083】
ここで、外装部材(外装飾部材)27の組み立て要領を簡単に説明する。
まず、樹脂成形後、単品外装部材223に別体内側壁部品115を別体部品結合機構203で組み付ける。
【0084】
具体的には、別体部品結合機構203では、意匠部165の裏面177に一体に形成した第1U字規制部224、第2U字規制部225に別体内側壁部品115の第1当接規制部226、第2当接規制部227を嵌める(図16、図18)。
【0085】
ほぼ同時に、別体部品結合機構203では、意匠部165の折返し係止爪205に別体内側壁部品115の係止部207を係止する(図19)。
これで第2閉断面部197が形成される。
【0086】
その次に、図17に二点鎖線で示す内側壁188の接合フランジ部124に接着剤228を塗布する。接着剤228を用いずに接着テープを貼り付けてもよい。
【0087】
引き続き、図17に示す通り、折り曲げ部186を矢印b1のように折り、意匠部165の裏面177に内側壁188の接合フランジ部124を接着する。
その際、別体内側壁部品115の重合部201に内側壁188が重なるので、機械的結合によって結合する。具体的には、別体内側壁部品115の重合部201に開けた開口係止部231(図12)に内側壁188の内方へ張り出した張り出し爪部232が掛かる。これで第1閉断面部187が形成されて、第2閉断面部197に連通し、外装部材(外装飾部材)27の組み立ては完了する。
【0088】
「機械的結合」は、この一例では張り出し爪部232による結合としたが、張り出し爪部232による結合以外に、ナットにボルトをねじ込む、つまりねじによる結合(締結)、リベットによる結合、リベットのように軸にねじを形成せずに係止するクリップなど鋲による結合、圧入による結合、帯鋼板や鋼線を用いたバンドによる結合、ばねによる結合、止め輪による結合、クリップやクランプなどの挟み金具による結合を挙げることができる。
【0089】
内側壁188は、図11〜図13、図17に示すように、既に説明した壁部68、シールバックアップ部66、接合フランジ部124と、壁部68に開けられてクリップ141が挿入される第1シール固定クリップ孔234と、接続リブ129と、を備える。
【0090】
折り曲げ部186は、非意匠部184の厚さtn、内側壁188の厚さtdに比べ、厚さが薄い。
【0091】
接続リブ129は、図13に示す通り、非意匠部184の幅が漸減する(図14)のに伴い、長さLrが漸減するものである。
接続リブ129の高さHr(図17、図18)は、下部外面シール部64の高さより低く、約60%である。その結果、軽量化を損なうことなく、下部外面シール部64を押さえて保持することができる。
【0092】
別体内側壁部品115は、既に説明した壁部68に含まれる壁部68aと、シールバックアップ部66に含まれるシールバックアップ部66aと、接合フランジ部124に含まれる接合フランジ部124aと、を備える。
【0093】
また、別体内側壁部品115は、図12、図13に示す通り、接合フランジ部124aに連続し意匠部165の裏面177に重なり延びる内壁ドア接合部237と、内壁ドア接合部237に設けた第1締結部127、第2締結部128と、シール押さえ部(接続リブ)129と、壁部68aに開けられてクリップ141が挿入される第2シール固定クリップ孔238と、を備える。
【0094】
さらに、内壁ドア接合部237の縁に縁リブ241を形成している。その結果、ドア12に車両11の外側から衝撃(荷重)が入力されると(例えば、側面衝突の場合)、縁リブ241に荷重が分散されるので、別体内側壁部品115の強度、車両11用外装部材(外装飾部材)27の強度を高めることができる。
【0095】
外装部材(外装飾部材)27は、他方の端(他端216)に、意匠部165の他方の縁に連ねて車両11の内側(車内側(矢印a1方向))へ向け延びて、第1閉断面部187の他方の開口248(図13)を覆う端壁部251を備えている。
「開口218、248を覆う」とは、開口218、248を数10%閉じることも含める。
【0096】
外装部材(外装飾部材)27では、図13に示す通り、一端215(及び端壁部221)、他端216(及び端壁部251)に意匠端接合部252、253を両面テープ254で形成している。
一端215には、ドア本体15との干渉を避ける退避部255を形成した(図22も参照)。
【0097】
次に、実施例に係る車両11用外装部材(外装飾部材)27の作用を説明する。
外装部材(外装飾部材)27では、図14に示す通り、非意匠部184の幅がβfからβ1に、βrからβ2に漸減しても、漸減した範囲(β1の位置からβ2の位置まで)に別体内側壁部品115を取付けることによって、第1閉断面部187に第2閉断面部197を連続させることができ、外装部材(外装飾部材)27の強度を高めることができる。
【0098】
また、別体内側壁部品115の端243、244と内側壁188の端245、246との隙間に重合部201が重なり、第1閉断面部187と第2閉断面部197との間に隙間が形成されることを防止することができる。
【0099】
さらに、別体内側壁部品115に外力(荷重)が入力さると(例えば、ドア12を開閉するときの力)、別体内側壁部品115の重合部201から内側壁188に荷重を伝えるので、別体内側壁部品115の位置ずれを抑制することができる。従って、閉断面部を隙間(荷重を伝達できない隙間)なく連続させることができる。
【0100】
尚、本発明の車両用外装部材は、実施の形態では前ドア12や後ドア46などのサイドドアに採用されているが、サイドドアに限定されるものではない。
車両用外装部材は、ドア本体15の下部25の外側に取り付けられているが、下部25だけに限定されない。外装部材を前端や後端や上端等に取付けてもよい。
【0101】
別体内側壁部品115は、車両前後方向(長手方向)の中央部に配置されているが、車両前後方向の中央部に限定されるものではない。例えば、車両用外装部材の前部でもよく、車両用外装部材の後部でもよく、このように片側に偏って配置してもよい。また、前部および中央部など複数のカ所に配置してもよい。
【0102】
「機械的結合」は、既に説明したように、張り出し爪部232による結合に限定するものではない。例えば、ナットにボルトをねじ込む、つまりねじによる結合(締結)、リベットによる結合、リベットのように軸にねじを形成せずに係止するクリップなど鋲による結合、圧入による結合、帯鋼板や鋼線を用いたバンドによる結合、ばねによる結合、止め輪による結合、クリップやクランプなどの挟み金具による結合でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の車両用外装部材は、自動車に好適である。
【符号の説明】
【0104】
11…車両、12…ドア、13…車体、27…外装部材、27a…外装部材の外面、53…ドアの外面、124…自由端部(接合フランジ部)、165…意匠部、177…意匠部の裏面、184…非意匠部、185…非意匠部の縁、186…折り曲げ部、187…第1閉断面部、188…内側壁、189…境界角部(始縁)、195…残りの範囲(残部)、115…別体内側壁部品、197…第2閉断面部、201…重合部、203…別体部品結合機構、204…意匠部の下端、205…折返し係止爪、206…折返し係止爪の係止面、207…係止部、211…係止面に当接する面、215…外装部材の一端、216…外装部材の他端、218…第1閉断面部の一方の開口、221…端壁部、βf、βr…境界角部から折り曲げ部までの距離、β1、β2…所望の距離。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けたドアに取付けられて、前記ドアの外面に連続して外面を形成している樹脂製の車両用外装部材であって、
前記外装部材は、外観を構成する意匠部と、該意匠部から前記車体へ向かって延びて縁を形成するとともに外観を構成しない非意匠部と、該非意匠部の前記縁に連なり一体に一直線に成形された折り曲げ部と、該折り曲げ部に連なり、前記折り曲げ部を折り曲げることで、前記意匠部の裏面に自由端部のみが重なり、且つ前記意匠部とで第1閉断面部を形成している内側壁と、を備え、
前記非意匠部は、前記意匠部とで形成される境界角部から前記折り曲げ部までの距離が漸減し、所望の距離までの範囲に形成され、
前記非意匠部が形成されていない残りの範囲に前記意匠部とは別に樹脂成形された別体内側壁部品が、前記第1閉断面部に連続した第2閉断面部を前記意匠部とで形成する形状で取付けられていることを特徴とする車両用外装部材。
【請求項2】
前記別体内側壁部品は、前記内側壁に重なり結合している重合部を備えていることを特徴とする請求項1記載の車両用外装部材。
【請求項3】
前記内側壁は、前記意匠部の前記裏面に前記自由端部が接着され、
前記重合部は、前記内側壁に重なり機械的結合によって結合していることを特徴とする請求項2記載の車両用外装部材。
【請求項4】
前記重合部は、前記第1閉断面部の内部に配置されて前記内側壁に重なり接触していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用外装部材。
【請求項5】
前記重合部の近傍に配置されて、前記意匠部と前記別体内側壁部品とを結合している別体部品結合機構を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用外装部材。
【請求項6】
前記別体部品結合機構は、前記意匠部の下端から膨出した折返し係止爪と、該折返し係止爪のうち前記意匠部の裏面へ向いている係止面に係止する形状で前記別体内側壁部品に形成された係止部と、を備えていることを特徴とする請求項5記載の車両用外装部材。
【請求項7】
前記係止部は、前記係止面に当接する面を凹ませて前記折返し係止爪を収納可能な凹形状に形成した部位であることを特徴とする請求項6記載の車両用外装部材。
【請求項8】
前記外装部材は、一端、他端のうち、少なくとも一方の端に、前記意匠部の一方の縁に連ねて車両の内側へ向け延びて、前記第1閉断面部の一方の開口を覆う端壁部を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の車両用外装部材。
【請求項9】
前記意匠部と前記車体とを結合する意匠端接合部が設けられ、
前記内側壁の前記折り曲げ部側とは反対側の端部には、前記意匠部と結合される自由端部が設けられ、
前記自由端部には、前記内側壁を前記折り曲げ部を中心として回転させたときに前記意匠端接合部と干渉する位置に退避部が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両用外装部材。
【請求項10】
前記退避部と前記意匠部の裏面との間の隙間を塞ぐ遮蔽壁を設けていることを特徴とする請求項9記載の車両用外装部材。
【請求項1】
車体に設けたドアに取付けられて、前記ドアの外面に連続して外面を形成している樹脂製の車両用外装部材であって、
前記外装部材は、外観を構成する意匠部と、該意匠部から前記車体へ向かって延びて縁を形成するとともに外観を構成しない非意匠部と、該非意匠部の前記縁に連なり一体に一直線に成形された折り曲げ部と、該折り曲げ部に連なり、前記折り曲げ部を折り曲げることで、前記意匠部の裏面に自由端部のみが重なり、且つ前記意匠部とで第1閉断面部を形成している内側壁と、を備え、
前記非意匠部は、前記意匠部とで形成される境界角部から前記折り曲げ部までの距離が漸減し、所望の距離までの範囲に形成され、
前記非意匠部が形成されていない残りの範囲に前記意匠部とは別に樹脂成形された別体内側壁部品が、前記第1閉断面部に連続した第2閉断面部を前記意匠部とで形成する形状で取付けられていることを特徴とする車両用外装部材。
【請求項2】
前記別体内側壁部品は、前記内側壁に重なり結合している重合部を備えていることを特徴とする請求項1記載の車両用外装部材。
【請求項3】
前記内側壁は、前記意匠部の前記裏面に前記自由端部が接着され、
前記重合部は、前記内側壁に重なり機械的結合によって結合していることを特徴とする請求項2記載の車両用外装部材。
【請求項4】
前記重合部は、前記第1閉断面部の内部に配置されて前記内側壁に重なり接触していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用外装部材。
【請求項5】
前記重合部の近傍に配置されて、前記意匠部と前記別体内側壁部品とを結合している別体部品結合機構を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用外装部材。
【請求項6】
前記別体部品結合機構は、前記意匠部の下端から膨出した折返し係止爪と、該折返し係止爪のうち前記意匠部の裏面へ向いている係止面に係止する形状で前記別体内側壁部品に形成された係止部と、を備えていることを特徴とする請求項5記載の車両用外装部材。
【請求項7】
前記係止部は、前記係止面に当接する面を凹ませて前記折返し係止爪を収納可能な凹形状に形成した部位であることを特徴とする請求項6記載の車両用外装部材。
【請求項8】
前記外装部材は、一端、他端のうち、少なくとも一方の端に、前記意匠部の一方の縁に連ねて車両の内側へ向け延びて、前記第1閉断面部の一方の開口を覆う端壁部を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の車両用外装部材。
【請求項9】
前記意匠部と前記車体とを結合する意匠端接合部が設けられ、
前記内側壁の前記折り曲げ部側とは反対側の端部には、前記意匠部と結合される自由端部が設けられ、
前記自由端部には、前記内側壁を前記折り曲げ部を中心として回転させたときに前記意匠端接合部と干渉する位置に退避部が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両用外装部材。
【請求項10】
前記退避部と前記意匠部の裏面との間の隙間を塞ぐ遮蔽壁を設けていることを特徴とする請求項9記載の車両用外装部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−218649(P2012−218649A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88503(P2011−88503)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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