説明

車両用室内灯

【課題】その輝度が選択可能な車両用室内灯を簡単な構成で実現する。
【解決手段】車両用室内灯が、輝度が異なる複数の光源と、発光する光源を手動操作により選択可能なスイッチと、を備える。また、望ましくは、複数の光源は電源に並列的に接続され、スイッチは、前記複数の光源のうち選択された光源を電源に接続する。これにより複雑な制御回路や放熱スペースを要する制限抵抗等が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の天井等の壁に取り付けられ、かつ、その輝度が選択可能な車両用室内灯に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の室内灯として、(数Wクラスの)バルブ光源が用いられている(特許文献1)。この室内灯は、夜間走行におけるフロントガラスへの映り込みによる運転者への影響に配慮され、一般的に暗い(特許文献2)。このような暗い室内灯で、読書等をするのは不便である。
【0003】
このため、室内灯に対して高輝度化を望むユーザがいる。その一方で、室内灯の高輝度化を望まないユーザもいる。したがって、車両用室内灯は、その汎用性をより高めるために、ユーザの好みに合わせた輝度に適宜選択可能であることが望ましい。一般的に、照明の輝度を選択する構成として、PWM(pulse width modulation)を用いた構成や制限抵抗を用いた構成により光源に供給される電流を制御する構成が知られている(特許文献3及び4)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−247174号公報
【特許文献2】特開2002−114091号公報
【特許文献3】特開平04−160795号公報
【特許文献4】特開平07−242146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に記載されているPWMを用いた構成では、任意のデューティー比のパルス波形を生成する必要がある。しかしながら、このようなパルス波形を生成する波形発生回路は、マイコンや波形発生回路等が必要となるため大規模になりがちであり、また、費用もかかる。
【0006】
また、特許文献4に記載されている制限抵抗を用いた構成では、光源となるバルブ光源の消費電力が大きいため、制限抵抗で消費される電力も大きくなる。また、抵抗で消費される電力は、熱になる。したがって、特許文献2に記載されている構成のように、制限抵抗により室内灯の輝度を選択可能な構成にすると、何らかの放熱手段が必要となり、室内灯を大規模化させてしまう。また、このような室内灯の大規模化は、設置する壁のスペースに制限がある場合(例えば天井等に設ける場合)、好ましくない。本発明の目的は、その輝度が選択可能な車両用室内灯を簡単な構成で実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車室内の壁に取り付け可能な構造を有し、かつ、その輝度が選択可能な車両用室内灯であって、輝度が異なる複数の光源と、発光する光源を手動操作により選択可能なスイッチと、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記複数の光源は電源に並列的に接続され、前記スイッチは、前記複数の光源のうち選択された光源を電源に接続することが望ましい。
【0009】
また、本発明は、前記複数の光源が、高い輝度で発光する高輝度光源と、前記高輝度光源よりも低い輝度で発光する低輝度光源と、を含み、各々の光源は、同一筐体内に設けられていることが望ましい。
【0010】
また、本発明は、低輝度光源が、発光ダイオードであることが望ましい。
【0011】
また、本発明は、高輝度光源は、バルブ光源であることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、その輝度が選択可能な車両用室内灯を簡単な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態で説明する車両用室内灯は、車室内の天井に取り付けられているものとする。なお、車両用室内灯は、インスツルメントパネルやドアトリムに取り付けられても良い。図1は、本実施形態に係る車両用室内灯1の構成を示す図である((a)は正面図であり、(b)は断面図である)。
【0014】
図1に示す車両用室内灯1は、前述したように車室内の天井に取り付けられている。取り付け方としては、天井表面に取り付けても良いし、埋め込んで取り付けても良い。また、取り付け手段としては、ネジ止めタイプのものを用いても良いし、嵌め合わせるタイプのものであっても良い。
【0015】
図1に示すように、車両用室内灯1は、フロントパネル2、壁3、隔壁4、透光性を有するカバー5及びパネル6によって、その筐体が構成されている。なお、カバー5は、曇りガラスで構成しても良いし、レンズによって構成しても良い。
【0016】
また、前述した筐体内には、高輝度光源7a及び低輝度光源8aと、高輝度光源7b及び低輝度光源8bと、が(パネル6に)隔壁4を挟んで左右対称に設けられている。また、高輝度光源7a(又は7b)と、低輝度光源8a(又は8b)と、は近接して設けられている。したがって、高輝度光源7a(又は7b)と、低輝度光源8a(又は8b)と、は比較的近い場所を照らすことができ、後述するスイッチが操作されることにより、その場所の明るさを選択することができる。
【0017】
ここで、高輝度光源7a及び7bはバルブ光源であり、低輝度光源8a及び8bは発光ダイオードである。また、ここで言うバルブ光源とはフィラメントタイプの光源のことである。低輝度光源8a及び8bが発光ダイオードで構成されることにより、車両用室内灯1は、放熱スペースを要する制限抵抗を設けることなく輝度を選択する構成を実現することができる。また、車両用室内灯1は、高輝度光源7a及び7bがバルブ光源により構成されることにより、高輝度発光ダイオード等の他の光源を用いるよりもより比較的低コストでその輝度が選択可能な構成にすることができる。
【0018】
各々の低輝度光源8a及び8bには、後述する電気回路(1)及び(2)に示すように、抵抗13a及び13bが設けられている。このような抵抗13a及び13bにより、低輝度光源8a及び8bが発光ダイオードよって構成された場合に、その発光ダイオードに過電流が流れるのを防止することができる。この高輝度光源7a及び7b(又は、低輝度光源8a及び8b)は、後述するスイッチが手動操作されることにより、左右の座席を、各々が照らす。
【0019】
また、フロントパネル2には、スイッチ9a,9b,10a,10bが設けられている。各々のスイッチは、ユーザの手動操作により、各々の光源と後述する電源との接続が選択され、発光する光源を選択する。これにより、本実施形態に係る車両用室内灯1は、ユーザの好みに合わせて輝度を選択することができる。なお、スイッチ9a,9b,10a,10bと、各々の光源及び電源12と、の接続は、後述する電気回路((1)及び(2))の通りである。
【0020】
図2は、図1に示した車両用室内灯を実現するための電気回路(1)を示す図である。図2において、各々の光源は、(車両用の12V又は24Vの)電源12に並列に接続されている。なお、この電源12は、車両用の12V又は24Vの電源から供給されるものであっても良いし、車両用の電源から供給された電圧が変圧されて供給されたものであっても良い。
【0021】
図2に示す電気回路(1)おいて、スイッチ9aは、高輝度光源7a又は低輝度光源8aを選択する選択スイッチである。同様に、スイッチ9bは、高輝度光源7b又は低輝度光源8bを選択する選択スイッチである。この選択スイッチにより、ユーザは自分の好みに合わせた輝度を選択することができる。
【0022】
また、図2に示す電気回路(1)において、スイッチ10aは、スイッチ9aによって選択された高輝度光源7a又は低輝度光源8aへの電源供給のオン/オフを選択する電源スイッチである。同様に、スイッチ10bは、スイッチ9bによって選択された高輝度光源7b又は低輝度光源8bへの電源供給のオン/オフを選択する電源スイッチである。
【0023】
これにより、図2に示す電気回路(1)は、各々の座席を照らす輝度を2段階で選択することができ、ユーザの好みに応じた車両用室内灯を簡単な構成で実現することができる。また、車両用室内灯1は、電源12からの電源供給が、高輝度光源7a(7b)又は低輝度光源8a(8b)における発光以外(例えば制限抵抗等)で消費されることが少なく、発熱量を少なく抑えることができる。さらに、ユーザは自分の座席のみを照らすことを選択することができる。このように、自分の座席のみを照らすことを選択することができるため、本実施形態に係る車両用室内灯は、例えば、座席を(明るく)照らして読書等をしたいユーザと、座席を暗くして寝る等をしたいユーザと、が隣り合わせたときにも好適である。また、車両用室内灯は、座席の左右だけでなく、前後(すなわち、運転席及び助手席と、後部座席と、)を照らすよう取り付けられても良い。
【0024】
また、図1に示した車両用室内灯1を、図3に示す電気回路(2)で実現しても良い。図3においても同様に、各々の光源は、電源12に並列に接続されている。図3に示す電気回路(2)において、各々のスイッチは、各々の光源への電源供給のオン/オフを制御するスイッチである。
【0025】
すなわち、スイッチ9aは、高輝度光源7aへの電源供給のオン/オフを選択する。また、スイッチ9bは、高輝度光源7bへの電源供給のオン/オフを選択する。さらに、スイッチ10aは、低輝度光源8aへの電源供給のオン/オフを選択する。また、スイッチ10bは、低輝度光源8bへの電源供給のオン/オフを選択する。これにより、図3に示す電気回路(2)は、各々の座席を照らす輝度を3段階で選択することができ、よりユーザの好みに応じた車両用室内灯を簡単な構成で実現することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用室内灯は、輝度が異なる複数の光源と、発光する光源を手動操作により選択可能なスイッチと、を備えることにより、簡単な構成で、その輝度が選択可能な車両用室内灯を実現することができる。すなわち、輝度を選択可能な車両用室内灯を、光源に供給される電流を制御するものに比べて簡単な回路構成で実現することができ、また、放熱のためのスペースを減らすこともできる。
【0027】
また、上述したような光源は、一実施形態であって、他の光源を用いても良いことは言うまでもない。さらに、高輝度光源は、高輝度の発光ダイオードで構成しても良い。また、低輝度光源は、複数の発光ダイオードで構成しても良い。また、低輝度光源は、消費電力の小さなバルブ光源でも良い。また、ユーザによる輝度選択可能な数は、3を超えても良い。この場合、高輝度光源と低輝度光源との組を、さらに、追加することにより実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る車両用室内灯の構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る車両用室内灯を実現するための電気回路(1)を示す図である。
【図3】本実施形態に係る車両用室内灯を実現するための電気回路(2)を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 車両用室内灯、2 フロントパネル、3 壁、4 隔壁、5 カバー、6 パネル、7a,7b 高輝度光源、8a,8b 低輝度光源、9a,9b,10a,10b スイッチ、12 電源、13a,13b 抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の壁に取り付け可能な構造を有し、かつ、その輝度が選択可能な車両用室内灯であって、
輝度が異なる複数の光源と、
発光する光源を手動操作により選択可能なスイッチと、
を備えることを特徴とする車両用室内灯。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用室内灯であって、
前記複数の光源は電源に並列的に接続され、
前記スイッチは、前記複数の光源のうち選択された光源を電源に接続することを特徴とする車両用室内灯。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用室内灯であって、
前記複数の光源は、高い輝度で発光する高輝度光源と、前記高輝度光源よりも低い輝度で発光する低輝度光源と、を含み、
各々の光源は、同一筐体内に設けられていることを特徴とする車両用室内灯。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用室内灯であって、
前記低輝度光源は、発光ダイオードであることを特徴とする車両用室内灯。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用室内灯であって、
前記高輝度光源は、バルブ光源であることを特徴とする車両用室内灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−131126(P2007−131126A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325541(P2005−325541)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】