説明

車両用操作入力装置および車両用操作入力システム

【課題】ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことを低コストで可能にする。
【解決手段】
車載器に対する操作入力を行うための操作用画像をディスプレイ1に表示する表示制御部41と、ディスプレイ1とは別体に設けられた操作デバイス2のスイッチからの信号に応じて操作用画像を選択する画面操作部42と、操作デバイス2のスイッチの故障を検知する故障検知部43とを備え、故障検知部43でスイッチの故障を検知した場合に、故障が検知されたスイッチからの操作情報に代わって、ミラーSW3の鏡面調整SW31からの操作情報に応じて操作用画像を選択する代替を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GUI(Graphical UserInterface)に用いられる車両用操作入力装置および車両用操作入力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のHMI(Human Machine Interface)として、ディスプレイの画面上にカーエアコンやカーオーディオ等の車載器の機能を示すアイコンやボタン等のグラフィックを集約して表示するとともに、ユーザが操作デバイスによって目的の機能を示すグラフィックを選択することで各車載器の操作を行うことが可能なGUIが知られている。
【0003】
このようなGUIでは、操作デバイスの故障によって目的の機能を示すグラフィックが選択できなくなると、目的の機能が利用できなくなるという課題があった。そこで、この課題を解決する手段として、例えば特許文献1には、タッチパネルを含む操作入力系に異常が生じた場合に、異常によって利用不可となったタッチパネルの範囲を避けた位置に操作キーの表示位置が変更されるように画面レイアウトを変更する技術が開示されている。他にも、特許文献2には、タッチパネルに故障が生じた場合に、表示面のうち異常箇所に対応する位置に表示されていた操作ボタンを正常部分に対応する位置に表示させる技術が開示されている。
【0004】
また、車両のGUIとして、タッチパネルのようにディスプレイと操作デバイスとが一体となったもの以外のGUIも知られている。例えば、ディスプレイとしてヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いる一方、操作デバイスとしてセンターコンソールやステアリングに設けたスイッチを用いるといったように、ドライバの視線移動を最小限に抑えるためにディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−119931号公報
【特許文献2】特開2009−3756号公報
【特許文献3】特開2001−337761号公報
【特許文献4】特開平6−286534号公報
【特許文献5】特開2010−157362号公報
【特許文献6】特開平7−71572号公報
【特許文献7】特開2007−285969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいては、タッチパネルのタッチスイッチとは異なって、キースイッチやボタンスイッチ等の固定されたスイッチを用いることになるので、特許文献1および特許文献2に開示の技術を適用することは出来ないという課題があった。また、故障に備えて操作デバイスに予め余分なスイッチを設けることも考えられるが、余分なスイッチを新たに設ける分のコストの増加が生じるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことを低コストで可能にする車両用操作入力装置および車両用操作入力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の車両用操作入力装置においては、車載器に対する操作入力を行うための画像(以下、操作用画像)をディスプレイに表示する表示制御手段と、ディスプレイとは別体に設けられた操作デバイスのスイッチからの信号に応じて操作用画像を選択する選択手段と、スイッチの故障を検知する故障検知手段とを備える。そして、選択手段は、故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、故障が検知されたスイッチからの信号に代わって、操作デバイスのスイッチ以外の車両に予め設けられているスイッチからの信号に応じて操作用画像を選択する代替を行うことになる。
【0009】
これによれば、操作デバイスのスイッチによって操作用画像を選択することが出来なくなった場合でも、当該スイッチ以外の車両に予め設けられているスイッチによって操作用画像を選択することが可能になる。また、車両に予め設けられているスイッチによって代替を行うので、余分なスイッチを設けるコストがかからない。その結果、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが低コストで可能となる。
【0010】
請求項2の構成においては、操作デバイスのスイッチおよび車両に予め設けられているスイッチのうちの少なくともいずれかで規定の操作が行われたことを検出する特殊コマンド検出手段を備え、選択手段は、故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合であって、特殊コマンド検出手段で規定の操作が行われたことを検出した場合に前述の代替を行うことになる。これによれば、規定の操作が行われた場合にのみ代替が行われるので、規定の操作が行われるまでは、車両に予め設けられているスイッチに本来の役割を担わせることが可能になる。
【0011】
請求項3の構成によれば、表示制御手段は、故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、ディスプレイに当該スイッチの故障を示す表示を行うので、当該スイッチによって操作用画像を選択することが出来ないことをユーザが迅速に認識することが可能になる。
【0012】
請求項3のようにする場合には、請求項4のように、故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、表示制御手段がディスプレイに当該スイッチの故障を示す表示を行うとともに、前述の代替を行うための方法を説明する表示を行う態様とすることが好ましい。これによれば、当該スイッチによって操作用画像を選択することが出来ないことをユーザが迅速に認識することが可能となるとともに、代替を行う方法をユーザが予め覚えておかなくても容易に代替を行うことが可能となる。例えば、前述の規定の操作の方法や操作デバイスのスイッチの代わりに操作すべきスイッチの種類等の説明をユーザが受け、容易に代替に必要な操作を行うことが可能になる。
【0013】
請求項5の構成によれば、車両に予め設けられているスイッチからの信号に応じて操作用画像を選択してから所定時間以上が空いた場合に代替を解除することになる。よって、当該スイッチを代替して用いた操作用画像の選択が行われなくなってから所定時間が経過するまでは代替を継続する一方、所定時間が経過した後は自動的に代替を解除する。従って、以上の構成によれば、必要なときだけ一時的に代替を行い、代替を行っているとき以外は車両に予め設けられているスイッチに本来の役割を担わせることが可能になる。
【0014】
請求項6の構成においては、選択手段は、故障検知手段で操作デバイスの4方向についてのスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、故障が検知された方向についてのスイッチからの信号に代わって、車両の電動ミラーの鏡面調整スイッチにおける当該方向に対応した方向についての信号に応じて操作用画像を選択する代替を行うことになる。電動ミラーの鏡面調整スイッチは、上下左右の4方向についての操作が可能となっているため、代替が行われる場合にも、操作デバイスにおいて方向を指定する操作を行うのと似た感覚で、鏡面調整スイッチにおいて方向を指定する操作を行うことが可能となる。よって、請求項6の構成によれば、代替が行われる場合であっても、ユーザが操作用画像を選択する操作が行い易くなる。
【0015】
請求項7の構成のように、選択手段は、故障検知手段で複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、その一部のスイッチについては前述の代替を行う一方、故障を検知しなかったスイッチについては代替を行わない態様としてもよい。
【0016】
請求項8の車両用操作入力システムにおいては、車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を表示するディスプレイと、複数のスイッチからなるとともにディスプレイとは別体に設けられた操作デバイスと、前記のいずれかに記載の車両用操作入力装置とを含むことなる。従って、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが低コストで可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】車両用操作入力システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】操作デバイス2の概略的な構成を説明するための模式図である。
【図3】ミラーSW3の概略的な構成を説明するための模式図である。
【図4】制御装置4の概略的な構成を示すブロック図である。
【図5】ディスプレイ1に表示される選択画面の一例を示す図である。
【図6】制御装置4での代替処理に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図7】操作デバイス2の故障時用の通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された車両用操作入力システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す車両用操作入力システム100は、車両に搭載されるものであり、ディスプレイ1、操作デバイス2、ミラーSW3、および制御装置4を含んでいる。また、少なくともミラーSW3と制御装置4とは、CAN(controller areanetwork)などの通信プロトコルに準拠した車載LAN5で接続されている。
【0019】
車両用操作入力システム100では、GUIを採用しており、ディスプレイ1の画面上にカーエアコンやカーオーディオ等の車載器の機能を示すアイコンやボタン等のグラフィック(つまり、車載器に対する操作入力を行うための操作用画像)を集約して表示するとともに、ユーザが操作デバイス2によって目的の機能を示す操作用画像を選択することで各車載器の操作を行うことが可能となっている。
【0020】
ディスプレイ1は、制御装置4の指示に従った画像を表示するものであり、車室内に設けられている。例えばディスプレイ1としては、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いる構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置に用いられるディスプレイを利用する構成としてもよい。また、車載ナビゲーション装置に用いられるディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
【0021】
操作デバイス2は、ディスプレイ1の画面上の操作用画像を選択するために用いられるポインティングデバイスであって、ディスプレイ1とは別体に設けられる。操作デバイス2は、例えば車両のステアリングやセンターコンソール等に設けられる構成とすればよい。
【0022】
また、操作デバイス2はスイッチ(SW)からなっており、複数の方向を指定可能となっている。例えば操作デバイス2は、プッシュSWやロータリSWやチルトSW等のスイッチからなる構成としてもよいし、これらを組み合わせたものからなる構成としてもよい。一例としては、指定する方向ごとの複数のプッシュSWからなる構成としてもよいし、指定する方向ごとの接点を有するロータリSWからなる構成としてもよい。
【0023】
本実施形態では、操作デバイス2は、「上方向」、「下方向」、「左方向」、「右方向」、「決定」、「戻る」の6種類のプッシュSWからなる場合を例に挙げて以降の説明を続ける。ここで、図2を用いて操作デバイス2の概略的な構成について説明を行う。図2は、操作デバイス2の概略的な構成を説明するための模式図である。
【0024】
操作デバイス2は、図2に示すように、上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24、決定SW25、および戻るSW26の6種類のスイッチからなっている。
【0025】
上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24は、それぞれディスプレイ1の画面上の上下左右の各方向を指定して操作用画像を選択するためのスイッチである。以下では、上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24の4つのスイッチを4方向操作キーと呼ぶ。決定SW25は、選択中の操作用画像が示す機能の実行を決定するためのスイッチである。戻るSW26は、操作用画像の選択によって更なる選択を行うための画面に遷移した場合に、遷移前の画面に戻るためのスイッチである。
【0026】
操作デバイス2のスイッチをユーザが操作した場合には、操作したスイッチに対応する信号(つまり、操作情報)が制御装置4に送られる。例えば、スイッチごとに信号を伝達するための信号線がそれぞれ設けられており、その信号線を介して操作情報が制御装置4に送られるものとする。
【0027】
図1に戻って、ミラーSW3は、車両の電動ミラーの調整や格納を行うための公知のスイッチである。ここで、図3を用いて、ミラーSW3の概略的な構成について説明を行う。図3は、ミラーSW3の概略的な構成を説明するための模式図である。
【0028】
ミラーSW3は、図3に示すように、電動ミラーの鏡面角度を調整するための鏡面調整SW31、左右のどちらの電動ミラーを調整するかを選択するためのメインSW32、電動ミラーの格納と復帰とを切り替えるための格納SW33からなっている。
【0029】
鏡面調整SW31は、上下左右の4方向をそれぞれ指定して電動ミラーの鏡面角度を調整するためのスイッチである。メインSW32は、例えばスライドスイッチであって、中立位置が無選択の状態であり、中立位置から左にスライドさせると左の電動ミラーの鏡面調整が可能となり、中立位置から右にスライドさせると右の電動ミラーの鏡面調整が可能となる。格納SW33は、例えばプッシュSWであって、押すごとに電動ミラーの格納と復帰とを切り替えることが可能となっている。
【0030】
ミラーSW3の鏡面調整SW31、メインSW32、格納SW33をユーザが操作した場合には、操作したスイッチに対応する信号(つまり、操作情報)が車載LAN5に出力される。鏡面調整SW31を例に挙げると、図3に示す鏡面調整SW31の上下左右の矢印のいずれか側を押す操作をユーザが行った場合には、押された方向に応じた操作情報が車載LAN5に出力される。例えば、上や下の矢印側を押す操作をユーザが行った場合には、上下方向に鏡面角度を調整する制御信号が出力され、左や右の矢印側を押す操作をユーザが行った場合には、左右方向に鏡面角度を調整する制御信号が出力される。
【0031】
また、ミラーSW3から車載LAN5に出力された操作情報は、図示しないミラーECUで取得される。そして、ミラーSW3からの操作情報を取得したミラーECUでは、当該操作情報に応じて、電動ミラーの鏡面角度の調整や電動ミラーの格納・復帰を制御することになる。
【0032】
図1に戻って、制御装置4は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、操作デバイス2やミラーSW3から入力される情報をもとにROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、操作用画像の選択に関する処理、操作用画像が示す車載器の機能の実行に関する処理、操作デバイス2の故障時の代替処理等の各種の処理を実行する。なお、制御装置4が請求項の車両用操作入力装置に相当する。
【0033】
ここで、図4を用いて、制御装置4の概略的な構成について説明を行う。図4は、制御装置4の概略的な構成を示すブロック図である。図4に示すように制御装置4は、表示制御部41、画面操作部42、故障検知部43、および特殊コマンド検出部44を備えている。
【0034】
表示制御部41は、例えば図5に示すように、操作デバイス2の4方向操作キーの各方向に応じた位置に操作用画像が配置された選択画面をディスプレイ1で表示させる。よって、表示制御部41が請求項の表示制御手段に相当する。図5は、ディスプレイ1に表示される選択画面の一例を示す図である。図5中の機能A〜Dの表示が操作用画像に該当する。図5に示す選択画面の例では、上方向に機能A、右方向に機能B、下方向に機能C、左方向に機能Dが配置されている。
【0035】
また、表示制御部41は、画面操作部42において操作用画像の選択が行われた場合に、その操作用画像について更なる選択画面を表示させる必要がある場合には、新たな選択画面に遷移させる。他にも、表示制御部41は、故障検知部43から指示があった場合に、操作デバイス2の故障時用の通知画面を表示させる。なお、故障時用の通知画面の詳細については後述する。
【0036】
画面操作部42は、操作デバイス2の4方向操作キーからの操作情報に従って操作用画像の選択を行う。よって、画面操作部42が請求項の選択手段に相当する。詳しくは、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、選択画面の上方向に配置されている操作用画像を選択し、下方向SW22からの操作情報が入力された場合には、選択画面の下方向に配置されている操作用画像を選択する。また、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、選択画面の左方向に配置されている操作用画像を選択し、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、選択画面の右方向に配置されている操作用画像を選択する。
【0037】
操作用画像について更なる選択画面が表示されない状況において決定SW25からの操作情報が入力された場合には、当該操作用画像が示す機能の実行を決定する。そして、当該機能を実行させる指示を対象となる車載器に送って、目的の機能を実行させる。また、操作用画像の選択によって更なる選択を行うための画面に遷移した状況において、戻るSW26からの操作情報が入力された場合には、遷移前の画面に戻す指示を表示制御部41に送って、遷移前の画面に戻させる。
【0038】
画面操作部42は、故障検知部43で操作デバイス2の4方向操作キーのうちの少なくともいずれかの故障を検知するとともに、特殊コマンド検出部44で特殊コマンドの入力を検出した場合に、代替処理を行う。代替処理とは、故障が検知された操作デバイス2のスイッチからの操作情報に代わって、ミラーSW3の鏡面調整SW31からの操作情報に応じて操作用画像を選択する代替を行う処理を示す。
【0039】
ここで、図6を用いて、制御装置4での代替処理に関連する処理についての説明を行う。図6は、制御装置4での代替処理に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。なお、本フローは、例えば自車両のACC電源がオンになったときに開始され、ACC電源がオフになったときに終了する。
【0040】
まず、ステップS1では、故障検知部43で4方向操作キーに故障があるか否かの故障判定を行ってステップS2に移る。故障判定は、故障検知部43で故障を検知したか否かに応じて行う。よって、故障検知部43が請求項の故障検知手段に相当する。故障には、例えばプッシュSWが押し込まれたまま復帰しない固着や4方向操作キーと制御装置4とを接続する信号線の断線等がある。また、4方向操作キーから出力される信号のオンオフがユーザ操作の限界を超えた速度で切り替わる異常や4方向操作キーが有接点スイッチである場合には接点部分の破損等もある。
【0041】
例えば固着については、4方向操作キーから出力される信号が一定時間以上オンであり続けることをもとにして検知する構成とすればよい。4方向操作キーから出力される信号のオンオフがユーザ操作の限界を超えた速度で切り替わる異常については、オンオフの切り替えの頻度をもとに検知する構成とすればよい。断線や接点部分の破損については、電流の通電状態をもとに検知する構成とすればよい。また、故障検知部43での故障の検知は、特許文献3〜7に開示されているような公知の方法を利用して行う構成としてもよい。
【0042】
ステップS2では、故障判定で故障があると判定した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。また、故障判定で故障があると判定しなかった場合(ステップS2でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0043】
ステップS3では、故障検知部43から表示制御部41に指示を行って操作デバイス2の故障時用の通知画面をディスプレイ1に表示させ、ステップS4に移る。故障時用の通知画面では、操作デバイス2のスイッチの故障を示す表示や前述の代替を行うための方法を説明する表示を行う。
【0044】
例えば図7に示すように「操作デバイスの故障」等の操作デバイス2のスイッチの故障を示すテキスト表示を行うことによって、操作デバイス2のスイッチの故障をユーザに通知する。これによれば、当該スイッチによって操作用画像を選択することが出来ないことをユーザが迅速に認識することが可能になる。図7は、操作デバイス2の故障時用の通知画面の一例を示す図である。
【0045】
また、代替を行うための方法を説明する表示としては、例えば図7に示すように「ミラーSWを4方向操作キーとして利用可能」等の操作デバイス2のスイッチに代替するスイッチの種類を示すテキスト表示を行い、操作デバイス2の代わりに操作すべきスイッチをユーザに通知する。他にも、代替を行うための方法を説明する表示としては、例えば図7に示すように「メインスイッチを中立の位置にする」および「「決定」+「戻る」キーを同時に押す」等の代替を行うための手順を示すテキスト表示や画像表示を行い、代替を行うための規定の操作(特殊コマンドの入力)の方法をユーザに通知する。これによれば、代替を行う方法をユーザが予め覚えておかなくても容易に代替を行うことが可能となる。
【0046】
ステップS4では、特殊コマンドの入力を受け付けたか否かを判定する特殊コマンド受付判定を行い、ステップS5に移る。特殊コマンド受付判定は、特殊コマンド検出部44で特殊コマンドの入力を検出したか否かに応じて行う。よって、特殊コマンド検出部44が請求項の特殊コマンド検出手段に相当する。本実施形態の例では、ミラーSW3のメインSW32を中立位置にし、操作デバイス2の決定SW25と戻るSW26とを同時押しすることが特殊コマンドであるものとする。
【0047】
特殊コマンド検出部44では、メインSW32が中立位置にあること示す操作情報の入力を受けている状況で、決定SW25と戻るSW26との両方から操作情報の入力を受けた場合に、特殊コマンドの入力を受け付けたと判定する。
【0048】
そして、ステップS5では、特殊コマンドの入力を受け付けたと判定した場合、つまり、特殊コマンドありの場合(ステップS5でYES)には、ステップS6に移る。また、特殊コマンドの入力を受け付けたと判定しなかった場合、つまり、特殊コマンドありでない場合(ステップS5でNO)には、ステップS4に戻ってフローを繰り返す。
【0049】
ステップS6では、画面操作部42が代替処理を行って、ステップS7に移る。代替処理では、操作デバイス2の4方向操作キーからの操作情報に代わって、ミラーSW3の鏡面調整SW31からの操作情報に応じて操作用画像を選択するようにプログラムを切り替える。具体的には、上方向SW21や下方向SW22からの制御信号に代わり、鏡面調整SW31の上下方向に鏡面角度を調整する制御信号に従って、ディスプレイ1の画面上の上下方向を指定して操作用画像を選択するようにプログラムを切り替える。また、左方向SW23や右方向SW24からの制御信号に代わり、鏡面調整SW31の左右方向に鏡面角度を調整する制御信号に従って、ディスプレイ1の画面上の左右方向を指定して操作用画像を選択するようにプログラムを切り替える。
【0050】
一例としては、ディスプレイ1の画面上で指定する各方向と上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24の制御信号とを対応付けたテーブルとディスプレイ1の画面上で指定する各方向と鏡面調整SW31の上下方向や左右方向についての制御信号とを対応付けたテーブルとを予め保持しておき、参照するテーブルを切り替えることで代替処理を行うようにする構成としてもよい。
【0051】
ステップS7では、タイマによる計時を開始し、ステップS8に移る。タイマは、制御装置4の図示しないタイマ回路等を用いる構成とすればよい。ステップS8では、ミラーSW3の鏡面調整SW31に操作が行われたか否かを判定する操作受付判定を行い、ステップS9に移る。操作受付判定は、画面操作部42で鏡面調整SW31から出力された制御信号を検出したか否かに応じて行う。
【0052】
そして、鏡面調整SW31に操作が行われたと判定した場合、つまり、ミラーSW3の操作ありの場合(ステップS9でYES)には、ステップS10に移る。また、鏡面調整SW31に操作が行われたと判定しなかった場合、つまり、ミラーSW3の操作ありでない場合(ステップS9でNO)には、ステップS11に移る。
【0053】
ステップS10では、鏡面調整SW31からの制御信号に応じて画面操作部42が操作用画像の選択(つまり、ミラーSW3による操作用画像の選択)を行う。そして、タイマをリセットしてステップS7に戻り、フローを繰り返す。ステップS11では、タイマの計時時間が所定時間以上(つまり、タイムアウト)となっていた場合(ステップS11でYES)には、画面操作部42が代替を解除し、ステップS4に戻ってフローを繰り返す。また、タイムアウトとなっていなかった場合(ステップS11でNO)には、ステップS8に戻ってフローを繰り返す。
【0054】
ここで言うところの所定時間とは、任意に設定可能な時間であって、例えば5秒とすればよい。また、代替の解除とは、例えば鏡面調整SW31からの制御信号に代わり、4方向操作キーからの制御信号に従って操作用画像を選択するようにプログラムを切り替えることを示す。
【0055】
以上の構成によれば、操作デバイス2のスイッチによって操作用画像を選択することが出来なくなった場合でも、ミラーSW3によって操作用画像を選択することが可能になる。また、車両に予め設けられているミラーSW3によって代替を行うので、余分なスイッチを設けるコストがかからない。その結果、ディスプレイ1と操作デバイス2とが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイス2の故障によって操作デバイス2によるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが低コストで可能となる。
【0056】
また、ミラーSW3の鏡面調整SW31によって代替を行うので、代替が行われる場合にも、操作デバイス2において方向を指定する操作を行うのと似た感覚で、鏡面調整SW31において方向を指定する操作を行うことが可能となる。従って、代替が行われる場合であっても、ユーザが操作用画像を選択する操作が行い易くなる。
【0057】
さらに、以上の構成によれば、ミラーSW3を4方向操作キーに代替して用いた操作用画像の選択が行われなくなってから所定時間が経過するまでは代替を継続する一方、所定時間が経過した後は自動的に代替を解除する。従って、必要なときだけ一時的に代替を行い、代替を行っているとき以外はミラーSW3に本来の役割を担わせることが可能になる。
【0058】
本実施形態では、操作デバイス2についての規定の操作とミラーSW3についての規定の操作とを特殊コマンドとする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操作デバイス2についての規定の操作とミラーSW3以外の車両に予め設けられているスイッチについての規定の操作とを特殊コマンドとする構成としてもよい。他にも、操作デバイス2についての規定の操作のみを特殊コマンドとする構成としてもよいし、ミラーSW3についての規定の操作のみを特殊コマンドとする構成としてもよいし、ミラーSW3以外の車両に予め設けられているスイッチについての規定の操作のみを特殊コマンドとする構成としてもよい。
【0059】
本実施形態では、ミラーSW3を4方向操作キーに代替して用いた操作用画像の選択が行われなくなってから所定時間が経過した場合に自動的に代替を解除する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操作デバイス2やミラーSW3やミラーSW3以外の車両に予め設けられているスイッチについて規定の操作が行われたことを、これらのスイッチからの操作情報をもとに検出した場合に、代替を解除する構成としてもよい。一例としては、特殊コマンドの入力を再度検出した場合に代替を解除する構成としてもよいし、メインSW32を中立位置から左右にスライドさせるなどの規定の操作が行われたことを検出した場合に代替を解除する構成としてもよい。
【0060】
本実施形態では、操作デバイス2の4方向操作キーのうちの一部のスイッチに故障が生じた場合に、4方向操作キーの全てのスイッチを鏡面調整SW31で代替する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、4方向操作キーのうちの故障が生じたスイッチのみを鏡面調整SW31で代替する構成としてもよい。
【0061】
また、操作デバイス2の決定SW25や戻るSW26の故障を故障検知部43で検知した場合には、決定SW25や戻るSW26を、ミラーSW3の格納SW33で代替する構成としてもよい。
【0062】
前述の実施形態では、操作デバイス2の4方向操作キーや決定SW25や戻るSW26をミラーSW3で代替する構成を示したが、必ずしもこれに限らず、操作デバイス2のスイッチの一部や全部をミラーSW3以外の車両に予め設けられているスイッチで代替する構成としてもよい。
【0063】
例えば、カーオーディオやカーエアコン等の車載器のスイッチやワイヤレスキーのスイッチ、ハザードSW、ドアロックSW、パワーウィンドウSW等で代替する構成としてもよい。また、これらのスイッチを組み合わせて代替する構成としてもよい。一例としては、4方向操作キーをカーオーディオのスイッチで代替する一方、決定SW25や戻るSW26をハザードSWで代替するなどの構成が挙げられる。
【0064】
また、前述の実施形態では、操作デバイス2が上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24の4方向についてのスイッチを備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操作デバイス2が4方向以外の複数方向についてのスイッチを備える構成としてもよい。
【0065】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 ディスプレイ、2 操作デバイス、3 ミラーSW(車両に予め設けられているスイッチ)、4 制御装置(車両用操作入力装置)、5 車載LAN、21 上方向SW、22 下方向SW、23 左方向SW、24 右方向SW、25 決定SW、26 戻るSW、31 鏡面調整SW、32 メインSW、33 格納SW、41 表示制御部(表示制御手段)、42 画面操作部(選択手段)、43 故障検知部(故障検知手段)、44 特殊コマンド検出部(特殊コマンド検出手段)、100 車両用操作入力システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を、車両に設けられたディスプレイに表示する表示制御手段と、
ユーザによって操作されるスイッチからなるとともに前記ディスプレイとは別体に設けられている操作デバイスの当該スイッチからの信号に応じて、前記操作用画像を選択する選択手段とを備える車両用操作入力装置であって、
前記スイッチの故障を検知する故障検知手段を備え、
前記選択手段は、前記故障検知手段で前記スイッチの故障を検知した場合に、故障を検知したスイッチからの信号に代わって、前記操作デバイスのスイッチ以外の前記車両に予め設けられているスイッチからの信号に応じて前記操作用画像を選択する代替を行うことを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記操作デバイスのスイッチおよび前記操作デバイスのスイッチ以外の前記車両に予め設けられているスイッチのうちの少なくともいずれかで規定の操作が行われたことを検出する特殊コマンド検出手段を備え、
前記選択手段は、前記故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合であって、前記特殊コマンド検出手段で規定の操作が行われたことを検出した場合に、前記代替を行うことを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、前記ディスプレイに当該スイッチの故障を示す表示を行うことを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、前記ディスプレイに当該スイッチの故障を示す表示を行うとともに、前記代替を行うための方法を説明する表示を行うことを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記選択手段は、前記操作デバイスのスイッチ以外の前記車両に予め設けられているスイッチからの信号に応じて前記操作用画像を選択してから所定時間以上が空いた場合に前記代替を解除することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記操作デバイスは少なくとも上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであり、
前記故障検知手段は、前記4方向についてのスイッチの個々の故障を検知するものであって、
前記選択手段は、前記故障検知手段で前記4方向についてのスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、故障が検知された方向についてのスイッチからの信号に代わって、前記車両の電動ミラーの鏡面調整スイッチにおける当該方向に対応した方向についての信号に応じて前記操作用画像を選択する代替を行うことを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記操作デバイスは複数のスイッチからなるものであり、
前記故障検知手段は、前記複数のスイッチの個々の故障を検知するものであって、
前記選択手段は、前記故障検知手段で複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、その一部のスイッチについては前記代替を行う一方、故障を検知しなかったスイッチについては前記代替を行わないことを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項8】
車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を表示するディスプレイと、
ユーザによって操作されるスイッチからなるとともに前記ディスプレイとは別体に設けられた操作デバイスと、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置とを含む車両用操作入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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