説明

車両用時計および車両用時計の製造方法

【課題】発振器の精度にかかわらず高精度に時刻を計時することができる車両用時計、および車両用時計の製造方法を提供する。
【解決手段】車両用時計10は、時刻を表示する表示器12と、発振器14と、補正値が記憶された記憶素子13と、発振器14の周波数を補正値によって補正した補正後の周波数に基づいて、時刻を計時し、計時した時刻を表示するように表示器12を制御するマイコン15と、を含む。一方、製造設備11は、周波数測定器16および演算装置17から構成され、周波数測定器16には、発振器14のクロックパルスが入力され、マイコン15から与えられたクロックパルスと、基準発振器が出力する基準のクロックパルスとを比較し、測定結果を演算装置17に与える。演算装置17は、比較結果に基づいて、発振器14の周波数を基準周波数に補正するための補正値を演算し、補正値を記憶素子13に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度に時刻を計時する車両用時計、および車両用時計の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の車両用表示装置に用いられる車両用時計は、発振器の発振周波数に基づいて時刻を計時し、計時した時刻を表示している。したがって発振器の発振周波数が正確でないと計時した時刻に誤差が生じる。このような誤差を補正する方法の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の誤差補正方法は、発振周波数が互いに異なる2つの発振器を用いて、車両用表示装置が省電力状態である場合に実施される。省電力状態では、発振周波数が小さい発振器、すなわち消費電力が小さい発振器を用いて時刻を計時するが、発振周波数が小さいと誤差が生じやすいので、定期的に発振周波数が大きい発振器、すなわち消費電力が大きい発振器を動作し、2つの発振周波数の差に基づいて補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−304007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように時計の精度は、周波数発振器の精度に依存するので、時計の精度を向上するためには高精度の周波数発振器を用いる必要がある。しかし、このような高精度の周波数発振器を使用するためには、部品選別などの必要があり、部品選別に要する時間によって製造時間が長くなるという問題がある。また部品選別によって基準を満たさない周波数発振器は使用できないので、製造コストがかかるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、周波数発振器の精度にかかわらず高精度に時刻を計時することができる車両用時計、および車両用時計の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、発振器および記憶手段を有し、発振器の周波数に基づいて時刻を計時する車両用時計の製造方法であって、
発振器の周波数を取得する取得工程と、
取得した周波数と、発振器の基準になる基準周波数とを比較する比較工程と、
比較工程の比較結果に基づいて、発振器の周波数を基準周波数に補正するための補正値を演算する演算工程と、
演算工程にて演算された補正値を記憶手段に書き込む書込工程と、を含むことを特徴とする車両用時計の製造方法である。
【0009】
請求項1に記載の発明に従えば、車両用時計の製造方法によって、車両用時計の記憶手段には補正値が書き込まれる。補正値は、車両用時計が有する発振器の周波数を、発振器の基準になる基準周波数に補正するための値である。したがって車両用時計は、記憶手段に書き込まれた補正値に基づいて、発振器の周波数を補正することによって、発振精度が低い発振器であっても高精度の発振器と同様に時刻を計時することができる。これによって発振器の発振精度にかかわらず、発振器を車両用時計に用いることができる。したがって発振器を選別する必要がないので、製造時間を短くすることができる。また従来技術で基準を満たさず用いられていなかった発振器を、本発明では用いることができるので、製造コストを低減することができる。
【0010】
また請求項2に記載の発明では、取得工程では、発振器の予め定める基準振動回数の振動時間を取得し、
比較工程では、取得した振動時間と、基準振動回数に対応する基準振動時間とを比較し、
演算工程では、比較工程の比較結果に基づいて、振動時間を基準振動時間に補正するための補正値を演算することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明に従えば、補正値は、発振器の基準振動回数の振動時間を、基準振動回数に対応する基準振動時間に補正するための値である。したがって発振器の振動時間を基準振動時間に補正することができるので、車両用時計の時刻を確実に補正することができる。
【0012】
さらに請求項3に記載の発明では、取得工程では、予め定める基準振動時間における発振器の振動回数を取得し、
比較工程では、取得した振動回数と、基準振動時間に対応する基準振動回数とを比較し、
演算工程では、比較工程の比較結果に基づいて、振動回数を基準振動回数に補正するための補正値を演算することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明に従えば、補正値は、発振器の基準振動時間の振動回数を、基準振動時間に対応する基準振動回数に補正するための値である。したがって発振器の振動回数を基準振動回数に補正することができるので、車両用時計の時刻を確実に補正することができる。
【0014】
さらに請求項4に記載の発明では、時刻を表示する表示手段と、
発振器と、
発振器の周波数を発振器の基準になる基準周波数に補正するための補正値が記憶された記憶手段と、
発振器の周波数を補正値によって補正した補正後の周波数に基づいて、時刻を計時し、計時した時刻を表示するように表示手段を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明に従えば、車両用時計の記憶手段には補正値が記憶されている。補正値は、車両用時計が有する発振器の周波数を、発振器の基準になる基準周波数に補正するための値である。したがって制御手段は、記憶手段が記憶している補正値に基づいて、発振器の周波数を補正することによって、発振精度が低い発振器であっても高精度の発振器と同様に時刻を計時することができる。これによって発振器の発振精度にかかわらず、発振器を車両用時計に用いることができる。したがって発振器を選別する必要がないので、製造時間を短くすることができる。また従来技術で基準を満たさず用いられていなかった発振器を、本発明では用いることができるので、製造コストを低減することができる。
【0016】
さらに請求項5に記載の発明では、記憶手段に記憶された補正値は、発振器の予め定める基準振動回数の振動時間と、基準振動回数に対応する基準振動時間とに基づいて、振動時間を基準振動時間に補正するための値であることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明に従えば、補正値は、発振器の基準振動回数の振動時間を、基準振動回数に対応する基準振動時間に補正するための値である。したがって発振器の振動時間を基準振動時間に補正することができるので、制御手段は時刻を確実に補正することができる。
【0018】
さらに請求項6に記載の発明では、記憶手段に記憶された補正値は、発振器の予め定める基準振動時間の振動回数と、基準振動時間に対応する基準振動回数とに基づいて、振動回数を基準振動回数に補正するための値であることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明に従えば、補正値は、発振器の基準振動時間の振動回数を、基準振動時間に対応する基準振動回数に補正するための値である。したがって発振器の振動回数を基準振動回数に補正することができるので、制御手段は時刻を確実に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】車両用時計10と、車両用時計10を製造する製造設備11との電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図2】車両用時計10におけるマイコン15による製造時の処理を示すフローチャートである。
【図3】製造設備11における演算装置17による製造時の処理を示すフローチャートである。
【図4】マイコン15の補正方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図4を用いて説明する。図1は、車両用時計10と、車両用時計10を製造する製造設備11との電気的構成を簡略化して示すブロック図である。車両用時計10は、車両の車室内に設けられたインスツルメントパネル(図示せず)内に収容され、時刻を表示する画面(図示せず)を運転席側に向けて配置されている。車両用時計10は、たとえば車両用表示装置と一体に構成され、表示手段として機能する液晶ディスプレイによって現在時刻および車両の状態を示す車両状態値を表示する。車両状態値は、たとえば車両の車速値である。車両用時計10は、表示器12、記憶素子13、発振器14およびマイクロコンピュータ15(以下、「マイコン15」と称する)を含んで構成される。
【0022】
表示器12は、時刻を表示する表示手段として機能する。表示器12は、前述のように車両用時計10が車両用表示装置と一体に構成される場合には、車両用表示装置を構成する液晶ディスプレイによって実現される。液晶ディスプレイは、画像を表示する表示手段であって、マトリクス状に配された複数の画素を有するドットマトリクス型のTFT透過液晶パネルが用いられる。液晶ディスプレイは、マイコン15から取得した階調データに基づいて各画素を駆動させることで、画像の表示を実現する。また液晶ディスプレイは、表示方向裏面側にバックライト(図示せず)を具備しており、裏面側から透過照明することによって画像を発光表示することができる。
【0023】
発振器14は、周期的な信号であるクロックパルスを出力する。発振器14は、マイコン15に電気的に接続され、クロックパルスをマイコン15に与える。発振器14は、振動子として、たとえば水晶振動子およびセラミック発振子を利用した発振回路を用いてクロックパルスを発生させる。発振器14は、たとえば振動子と発振回路を1個のパッケージに内蔵し、電源(図示せず)を接続するだけでクロックパルスを出力するクロック・モジュールと呼ばれる電子部品が用いられる。
【0024】
記憶素子13は、記憶手段であって、各種情報が記憶される。記憶素子13には、発振器14のクロックパルスを補正するための補正値が記憶される。記憶素子13は、マイコン15と電気的に接続される。記憶素子13は、たとえばROMによって実現される。
【0025】
マイコン15は、プログラムの演算処理を実行するための制御手段であって、記憶素子13、発振器14および表示器12と電気的に接続される。マイコン15は、図示を省略するが、中央演算処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)、ランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory:略称RAM)、およびリード・オンリー・メモリ(Read-Only Memory:略称ROM)を含んで構成される。ROMは、不揮発性の半導体メモリであって、CPUによって演算処理されるプログラム等を記憶している。RAMは、プロセッサの演算処理に必要な情報を一時的に記憶している。CPUは、必要な情報をRAMから読み出し、ROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0026】
CPUは、発振器14から与えられるクロックパルスを分周して時刻データを生成する。またCPUは、発振器14のクロックパルスをカウントし、カウントしたカウント数をRAMに書き込む。CPUは、カウント値に基づく時刻データを、補正値を用いて補正し、補正後の時刻データが表示されるように、表示器12を制御する。したがってCPUは、時刻データを補正する場合は、記憶素子13に記憶される補正値を読み出す。
【0027】
次に、製造設備11に関して説明する。製造設備11は、車両用時計10を製造する装置である。図1に示す製造設備11は、車両用時計10を製造する工程のうち、車両用時計10の記憶素子13に補正値を書き込む工程を実行するための装置である。したがって車両用時計10は、図1に示す製造設備11だけでなく、他の製造設備を用いることによって製造される。製造設備11は、周波数測定器16および演算装置17を含んで構成される。製造設備11は、車両用時計10を製造する場合には、車両用時計10と電気的に接続される。
【0028】
周波数測定器16は、車両用時計10の発振器14の周波数を測定する測定手段である。周波数測定器16は、発振器14よりも発振精度が優れる基準発振器(図示せず)を有する。周波数測定器16は、マイコン15に電気的に接続され、マイコン15を介して発振器14のクロックパルスが入力される。周波数測定器16は、マイコン15から与えられたクロックパルスと、基準発振器が出力する基準のクロックパルスとを比較し、発振器14の周波数を測定する。周波数測定器16は、演算装置17と電気的に接続され、測定結果を演算装置17に与える。
【0029】
演算装置17は、与えられる発振器14の周波数と実時間との差分を演算し、差分が0になるように補正する補正値を演算する。換言すると、演算装置17は、比較結果に基づいて、発振器14の周波数を基準周波数に補正するための補正値を演算する。演算装置17は、記憶素子13に電気的に接続され、演算した補正値を記憶素子13に書き込む。これによって車両用時計10の記憶素子13には、補正値が記憶される。
【0030】
次に、製造設備11による製造方法に関して図2および図3を用いて説明する。図2は、車両用時計10におけるマイコン15による製造時の処理を示すフローチャートである。図3は、製造設備11における演算装置17による製造時の処理を示すフローチャートである。図2および図3に示す処理は、車両用時計10と製造設備11とが電源投入状態であり、かつ両者が図1に示すように電気的に接続された状態で開始される。図2および図3に示す製造方法は、たとえば製造設備11の操作者が製造開始操作を行うことによって開始される。
【0031】
ステップa1では、マイコン15の要求に基づいて、発振器14の発振が開始され、ステップa2に移る。したがってマイコン15には、クロックパルスが与えられる。ステップa2では、発振器14の基準の時間、たとえば1秒を周波数測定器16に出力し、ステップa3に移る。ここで発振器14の基準の時間とは、発振器14の製造時に設計仕様などに基づくものであり、振動子の個体差などに起因して、1秒に対する誤差が生じることがある。具体的には、発振器14には、1秒に対する予め定める基準振動回数が設定され、誤差が全くない場合であれば、基準振動回数の振動時間は、基準振動時間、たとえば1秒であり、誤差がある場合は、基準振動回数の振動時間は基準振動時間(1秒)に対する誤差が生じる。
【0032】
次に、図3のステップb1では、周波数測定器16から測定結果が与えられ、ステップb2に移る。換言すると、ステップb1は、発振器14の周波数を示す振動時間を取得する取得工程である。したがって、ステップb1では、周波数測定器16はマイコン15から与えられた1秒の精度を測定し、測定結果を演算装置17に与える。ここで周波数測定器16は、基準発振器の1秒の時間と、マイコン15から与えられる1秒との長さを比較し、比較結果を測定結果として演算装置17に与える。
ステップb2では、基準発振器の1秒に対して誤差(ずれ)がある場合には、ステップb3に移り、誤差がない場合は、本フローは終了する。したがってステップb2は、ステップb1にて取得した発振器14の周波数と、発振器14の基準になる基準周波数とを比較する比較工程である。
【0033】
ステップb3では、基準発振器の1秒に対する誤差があるので、誤差を補正する補正値を演算し、ステップb4に移る。したがってステップb3は、比較結果に基づいて、発振器14の周波数を基準周波数に補正するための補正値を演算する演算工程である。ステップb4では、演算した補正値を記憶素子13に出力し、本フローを終了する。したがってステップb4は、演算された補正値を記憶素子13に書き込む書込工程である。
【0034】
次に、図2のステップa3にて、補正値を演算装置17から受信した否かを判断し、予め定める時間経過しても補正値を受信しなかった場合は、発振器14の誤差がないと判断し、本フローを終了する。ステップa3にて、補正値を演算装置17から受信した場合は、ステップa4に移る。ステップa4では、受信した補正値が記憶素子13に書き込まれ、本フローを終了する。
【0035】
これによって、車両用時計10の発振器14に発振誤差がある場合には、記憶素子13に発振誤差に対する補正値が書き込まれ、発振誤差がない場合には、記憶素子13には補正値が記憶されない。
【0036】
次に、車両用時計10の動作時の時刻の補正方法に関して、図4を用いて説明する。図4は、マイコン15の補正方法を示すフローチャートである。図4に示すフローは、車両用時計10が車両に搭載され、車両用時計10が電源投入状態において、マイコン15によって短時間に繰返し実行される。換言すると、発振器14の発振子が発振している状態で、図4に示すフローによって補正が定期的に、たとえば0.5秒毎に行われる。
【0037】
ステップc1では、記憶素子13に補正値が記憶されているか否かを確認し、補正値がない場合には、ステップc2に移り、補正値がある場合には、ステップc3に移る。ステップc2では、補正値が記憶されていないので、発振器14から与えられるクロックパルスに基づいて時刻データを生成し、ステップc4に移る。ステップc3では、補正値が記憶されているので、時刻データをカウント値によって補正し、ステップc4に移る。ステップc4では、時刻データを表示器12に出力し、本フローを終了する。したがって表示器12には、0.5秒ごとに補正された時刻データに基づく時刻が表示される。したがって図4に示すフローが実行されてから、次の補正が実施されるまでの間である0.5秒間は補正が実行されないが、この0.5秒間の間に0.5秒以上の誤差が生じる可能性は極めて少ないので、発振器14の発振に基づいて時刻データを高精度に生成することができる。
【0038】
以上説明したように本実施の形態の車両用時計10の製造方法では、車両用時計10の記憶素子13には補正値が書き込まれる。したがって車両用時計10の記憶素子13には、補正値が記憶されている。補正値は、車両用時計10が有する発振器14の周波数を、発振器14の基準になる基準周波数に補正するための値である。したがって車両用時計10は、記憶素子13に書き込まれた補正値に基づいて、発振器14の周波数を補正することによって、発振精度が低い発振器14であっても高精度の発振器と同様に時刻を計時することができる。これによって発振器14の発振精度にかかわらず、発振器14を車両用時計10に用いることができる。したがって発振器14を選別する必要がないので、製造時間を短くすることができる。また従来技術で基準を満たさず用いられていなかった発振器14を、本発明では用いることができるので、製造コストを低減することができる。
【0039】
また本実施の形態では、補正値は、発振器14の基準振動回数の振動時間を、基準振動回数に対応する基準振動時間に補正するための値である。したがって発振器14の振動時間を基準振動時間に補正することができるので、車両用時計10の時刻を確実に補正することができる。
【0040】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0041】
前述の第1実施形態では、周波数測定器16は、発振器14の基準振動回数における振動時間に基づいて、演算装置17が補正値を演算していたが、このような発振器14の基準振動回数に限るものではなく、発振器14の基準振動時間に基づいて、補正値を演算してもよい。具体的には、発振器14の基準振動時間における振動回数を取得し、取得した振動回数と、基準振動時間に対応する基準振動回数を比較し、比較結果に基づいて、発振器14の振動回数を基準振動回数に補正するための補正値を演算してもよい。これによって前述の第1実施形態と同様の作用および効果を達成することができる。
【0042】
また前述の第1実施形態では、記憶素子13は、マイコン15とは別体に構成されるが、このような構成に限るものではなく、マイコン15のROMを補正値が記憶される記憶手段として用いてもよい。またマイコン15は、車両用時計10専用のマイコン15に限るものではなく、車両に搭載される他の電子装置、たとえば車両用表示装置の電子制御装置を用いてもよい。
【0043】
また前述の第1実施形態では、車両用時計10を製造するときに、記憶素子13に補正値を書き込む工程を実施しているが、このような時期に限るものではなく、たとえば車両用時計10の出荷検査を行う検査設備に図1に示す製造設備11と同様の構成を付加してもよい。これによって車両用時計10の出荷検査時に、計時精度に対する誤差を検査し、検査結果に対する補正値を検査設備によって書き込むことができる。
【符号の説明】
【0044】
10…車両用時計
11…製造設備
12…表示器(表示手段)
13…記憶素子(記憶手段)
14…発振器
15…マイコン(制御手段)
16…周波数測定器
17…演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振器および記憶手段を有し、前記発振器の周波数に基づいて時刻を計時する車両用時計の製造方法であって、
前記発振器の周波数を取得する取得工程と、
取得した前記周波数と、前記発振器の基準になる基準周波数とを比較する比較工程と、
前記比較工程の比較結果に基づいて、前記発振器の周波数を前記基準周波数に補正するための補正値を演算する演算工程と、
前記演算工程にて演算された補正値を前記記憶手段に書き込む書込工程と、を含むことを特徴とする車両用時計の製造方法。
【請求項2】
前記取得工程では、前記発振器の予め定める基準振動回数の振動時間を取得し、
前記比較工程では、取得した前記振動時間と、前記基準振動回数に対応する基準振動時間とを比較し、
前記演算工程では、前記比較工程の比較結果に基づいて、前記振動時間を前記基準振動時間に補正するための補正値を演算することを特徴とする請求項1に記載の車両用時計の製造方法。
【請求項3】
前記取得工程では、予め定める基準振動時間における前記発振器の振動回数を取得し、
前記比較工程では、取得した前記振動回数と、前記基準振動時間に対応する基準振動回数とを比較し、
前記演算工程では、前記比較工程の比較結果に基づいて、前記振動回数を前記基準振動回数に補正するための補正値を演算することを特徴とする請求項1に記載の車両用時計の製造方法。
【請求項4】
時刻を表示する表示手段と、
発振器と、
前記発振器の周波数を前記発振器の基準になる基準周波数に補正するための補正値が記憶された記憶手段と、
前記発振器の周波数を前記補正値によって補正した補正後の周波数に基づいて、時刻を計時し、計時した時刻を表示するように前記表示手段を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする車両用時計。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶された補正値は、前記発振器の予め定める基準振動回数の振動時間と、前記基準振動回数に対応する基準振動時間とに基づいて、前記振動時間を前記基準振動時間に補正するための値であることを特徴とする請求項4に記載の車両用時計。
【請求項6】
前記記憶手段に記憶された補正値は、前記発振器の予め定める基準振動時間の振動回数と、前記基準振動時間に対応する基準振動回数とに基づいて、前記振動回数を前記基準振動回数に補正するための値であることを特徴とする請求項4に記載の車両用時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−256240(P2010−256240A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108140(P2009−108140)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】