説明

車両用灯具クリーナー装置

【課題】 簡単な構造で車両用灯具の着雪や着氷を除去することができる車両用灯具クリーナー装置を提供すること。
【解決手段】 ヘッドランプクリーナー1では、洗浄液を貯留する貯留タンク5と洗浄液をヘッドランプ3に向けて噴射する噴射ノズル装置6との間の洗浄液流路上にヒータ16が設けられ、貯留タンク5からの洗浄液Wがヒータ16によって加熱されて噴射ノズル装置6へ供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液を噴射してヘッドランプ等の車両用灯具を洗浄する車両用灯具クリーナー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用灯具クリーナー装置として、自動車等の車両に搭載されて、貯留タンクに貯留された洗浄液をノズルからヘッドランプ等に噴射して洗浄するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のクリーナー装置では、車両の各ヘッドランプに対応して左右一対の噴射ノズルが設けられるとともに、これらの噴射ノズルに洗浄液を配管ホースを介して供給するためのポンプ装置が貯留タンクに設けられ、ドライバー等の乗員がスイッチを操作してポンプ装置が作動すると、ポンプ装置によって圧送された洗浄液が各噴射ノズルに供給されて、噴射ノズルからそれぞれ対応するヘッドランプへ向けて洗浄液が噴射されるようになっている。
【0004】
このような従来のクリーナー装置では、洗浄液の噴射によってヘッドランプの汚れを落とし洗浄することが可能なため、ヘッドランプのアウターレンズ表面を払拭するワイパーが不要で構造を簡単にすることができる一方で、レンズ表面に雪が降り積もったり、雨が凍って氷となって付着したりしてもこの雪や氷を除去することが難しいという問題があった。
【特許文献1】特開2003−54385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みて為されたもので、簡単な構造で車両用灯具の着雪や着氷を除去することができる車両用灯具クリーナー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、洗浄液を貯留する貯留タンクと洗浄液を車両用灯具に向けて噴射する噴射ノズルとの間の洗浄液流路上に加熱手段が設けられ、前記貯留タンクからの洗浄液が前記加熱手段によって加熱されて前記噴射ノズルへ供給されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記貯留タンクから前記噴射ノズルへ供給される洗浄液を一時的に貯留するヒートタンクが設けられ、該ヒートタンクが前記加熱手段を有して、該ヒートタンク内において洗浄液が加熱されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ヒートタンクの内部に蛇腹状の洗浄液流路が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記ヒートタンクが前記噴射ノズルに近接して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な構造で車両用灯具の着雪や着氷を除去することができる車両用灯具クリーナー装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用灯具クリーナー装置としてのヘッドランプクリーナーが搭載された車両を示す。このヘッドランプクリーナー1は、自動車等の車両2に搭載されて、車両用灯具としてのヘッドランプ3のアウターレンズ4を洗浄液によって洗浄するものである。
【0013】
ヘッドランプクリーナー1は、図2に示すように、貯留タンク5と、一対の噴射ノズルとしての噴射ノズル装置6と、一対のヒートタンク7とを備えている(図2では、噴射ノズル装置6とヒートタンク7とをそれぞれ一つずつ示す。後述の図3、図4及び図5も同様である。)。
【0014】
貯留タンク5は、例えば車両2のエンジンルーム(図示略)に設置され、ヘッドランプ3を洗浄するための洗浄液が充填されてこの洗浄液を貯留するようになっている。また、貯留タンク5はポンプ8を有し、このポンプ8が貯留タンク5内の洗浄液を噴射ノズル装置6に圧送するようになっている。ポンプ8は、車両2の車室内に設けられたスイッチ(図示略)をドライバー等の乗員が操作することによって作動する。
【0015】
一対の噴射ノズル装置6は、車両2の左右のヘッドランプ3に対応してそれぞれヘッドランプ3の前方のバンパー9等に設けられ、シリンダ10と、ピストン11と、ノズルヘッド12とを備えている。ノズルヘッド12は、シリンダ10に対して伸縮自在に支持されている。そして、乗員がスイッチ操作を行うと、貯留タンク5から圧送された洗浄液がシリンダ10内に充填されて、この圧力に応じたピストン11の移動によって、ノズルヘッド12がヘッドランプ3の対向する位置まで伸長させられるとともに(図3参照)、洗浄液をヘッドランプ3のアウターレンズ4に向けて噴射するようになっている。
【0016】
貯留タンク5から噴射ノズル装置6まではホース13を介して連通して接続され、貯留タンク5から噴射ノズル装置6に圧送される洗浄液の流路が形成されている。
【0017】
ヒートタンク7は、この貯留タンク5から噴射ノズル装置6までの洗浄液の流路途中に設けられ、貯留タンク5から圧送された洗浄液を、噴射ノズル装置6に到達する前に一時的に貯留する。具体的には、ヒートタンク7は噴射ノズル装置6に近接して設けられ、カバー14がヒートタンク7と噴射ノズル装置6とを一体に覆っている。そして、ヒートタンク7では、洗浄液の入口側がホース13を介して貯留タンク5に接続される一方、洗浄液の出口側が噴射ノズル装置6のシリンダ10の下部に接続されている。なお、ヒートタンクは必ずしも噴射ノズル装置に近接して設けられていなくてもよく、この場合はヒートタンクを一対としなくてもかまわない。ただし、この実施の形態に係るヘッドランプクリーナー1では、ヒートタンク7が噴射ノズル装置6に近接して設けられているので、ヒートタンク7からの漏れ熱によって噴射ノズル装置6をも暖めることが可能となり、噴射ノズル装置6の凍結も防止することができる。
【0018】
ヒートタンク7は、その内部の入口側と出口側とにそれぞれ整流リブ15を有し、この整流リブ15によってヒートタンク7内の洗浄液の流れが規制される。また、ヒートタンク7はその内部にマイクロセラミックヒータ等の加熱手段としてのヒータ16を有し、このヒータ16はヒートタンク7に一時的に貯留された洗浄液を加熱するようになっている。このヒータ16の加熱によって、貯留タンク5からの洗浄液は加熱されその温度が上昇した状態で噴射ノズル装置6に供給されるようになる。
【0019】
ヒートタンク7の貯留容量は、貯留タンク5の貯留容量よりも少なく、ここでは、噴射ノズル装置6から噴射される洗浄液の量の数回分に相当する量であって、貯留タンク5から圧送されてヒートタンク7内に流入した洗浄液が連続的に噴射ノズル装置6に向かって流出する際に適温まで加熱可能な程度の量となっている。ここで、適温とは、噴射ノズル装置6が洗浄液を噴射した際にその洗浄液によってヘッドランプ3のアウターレンズ4に付着する雪や氷を溶融できる程度の温度をいう。
【0020】
このヘッドランプクリーナー1でヘッドランプ3を洗浄する場合は、まず乗員がスイッチを操作する。このスイッチ操作に基づいて、ポンプ8が作動して貯留タンク5内の図3に示す洗浄液Wが噴射ノズル装置6に向けて圧送される。この圧送された洗浄液Wはホース13を経由して入口側からヒートタンク7内に流入し、ここで一時的に貯留されながらヒータ16によって加熱されつつ出口側へと向かう。そして、洗浄液Wは適温まで加熱された状態でヒートタンク7から噴射ノズル装置6へ流入し、シリンダ10内に充填される。これによりピストン11が圧し上げられて、ノズルヘッド12が所定の位置まで伸長するとともに、洗浄液Wをヘッドランプ3のアウターレンズ4に向けて噴射する。そして、ヘッドランプクリーナー1は、この洗浄液Wの噴射によってヘッドランプ3の汚れを落とし洗浄するとともに、適温に過熱された洗浄液Wによってヘッドランプ3のアウターレンズ4に付着した雪や氷等を溶融しヘッドランプ3から雪等を除去する。
【0021】
この実施の形態に係るヘッドランプクリーナー1では、貯留タンク5と噴射ノズル装置6との洗浄液流路上にヒータ16が設けられ、貯留タンク5からの洗浄液がヒータ16によって加熱されて噴射ノズル装置6へ供給されるので、ヘッドランプ3の洗浄の際に適温に暖められた洗浄液がヘッドランプ3に噴射され、ヘッドランプ3に雪や氷等が付着している場合には洗浄と同時にこれらを溶融する。これによって、ワイパー等を備えることなく簡単な構造でヘッドランプ3の着雪や着氷を除去することが可能となる。
【0022】
また、ヒータ16を備え、洗浄に必要な量であって、かつ貯留タンク5の貯留容量よりも少ない量の洗浄液を一時的に貯留し加熱するヒートタンク7が設けられているので、貯留タンク5内で洗浄液を加熱するよりも少ない熱量で効率よく必要な量の洗浄液を適温まで加熱することができる。
【0023】
変形例として、図4に示すヘッドランプクリーナー1’では、加熱手段としてのパイプヒータ17が蛇腹状に重ねられて内部が形成されたヒートタンク7’が用いられている。パイプヒータ17は筒状パイプの周壁がヒータとなっているもので、洗浄液がパイプヒータ17内部を流れる際にこの洗浄液を周壁のヒータによって加熱するようになっている。ヒートタンク7’では、洗浄液がパイプヒータ17の内部を蛇行しながら噴射ノズル装置6に向かって流れるようになっており、この間にパイプヒータ17の熱がヒートタンク7’内の洗浄液に伝わるようになっている。
【0024】
このヘッドランプクリーナー1’では、ヒートタンク7’の内部を洗浄液が蛇行しながら流れるようヒートタンク7’内の流路が蛇腹状に形成されているので、ヒートタンク7’の小型化を実現しつつ洗浄液の受熱面積を十分に確保することができ、熱交換効率の向上を図ることができる。
【0025】
なお、この変形例においては、パイプヒータによってヒートタンク内の流路を蛇腹状に形成するようにしたが、このようなパイプヒータ以外にも、例えば図5に示すヘッドランプクリーナー1’’のように、ヒータ(図示略)を有するヒートタンク7’’の内部に複数の整流リブ15’を設けることによって、ヒートタンク内を洗浄液が蛇行しながら流れるように規制するようにしてもかまわない。
【0026】
以上、本発明に係る車両用灯具クリーナー装置としてヘッドランプクリーナーを、図面を用いて説明したが、本発明に係る車両用灯具クリーナー装置は上述したものに限定されるものではなく、例えば車両用灯具クリーナー装置が洗浄する車両用灯具はヘッドランプの他、リアランプ等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るヘッドランプクリーナーが搭載された車両の正面図である。
【図2】図1のヘッドランプクリーナーを示す模式図である。
【図3】図1のヘッドランプクリーナーのノズルヘッドが伸長した状態を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るヘッドランプクリーナーの他の例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るヘッドランプクリーナーのさらに他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0028】
1、1’、1’’ ヘッドランプクリーナー(車両用灯具クリーナー装置)
3 ヘッドランプ(車両用灯具)
5 貯留タンク
6 噴射ノズル装置(噴射ノズル)
7、7’、7’’ ヒートタンク
16 ヒータ(加熱手段)
17 パイプヒータ(加熱手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を貯留する貯留タンクと洗浄液を車両用灯具に向けて噴射する噴射ノズルとの間の洗浄液流路上に加熱手段が設けられ、前記貯留タンクからの洗浄液が前記加熱手段によって加熱されて前記噴射ノズルへ供給されることを特徴とする車両用灯具クリーナー装置。
【請求項2】
前記貯留タンクから前記噴射ノズルへ供給される洗浄液を一時的に貯留するヒートタンクが設けられ、
該ヒートタンクが前記加熱手段を有して、該ヒートタンク内において洗浄液が加熱されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具クリーナー装置。
【請求項3】
前記ヒートタンクの内部に蛇腹状の洗浄液流路が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具クリーナー装置。
【請求項4】
前記ヒートタンクが前記噴射ノズルに近接して設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用灯具クリーナー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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