説明

車両用灯具システム、車両用灯具の制御装置および車両用灯具

【課題】対向車や後続車の運転者に、車両走行に支障をきたす可能性のある物体の存在を知らせる。
【解決手段】車両用灯具システム10は、車両側方へ光を照射可能な側方照射用灯具ユニット30と、車両前方に存在する、車両走行に支障をきたす可能性のある物体を検知する物体検知部16と、物体検知部16により該物体が検知された場合、車両が該物体を通り過ぎるときに、該物体に光が照射されるよう側方照射用灯具ユニット30を制御する制御部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用灯具システム、車両用灯具の制御装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラ等のセンサによって先行車や対向車、歩行者等の存否を検出し、その検出結果に基づいて配光パターンを変化させる構成とした車両用前照灯が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような車両用前照灯においては、例えば、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等を検出した場合には、グレアを防止するために、ロービーム配光パターンが形成される。また、例えば自車の前方に先行車や対向車、歩行者等を検出しない場合には、運転者の視界を向上させるために、ハイビーム配光パターンが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−086863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行中においては、歩道からはみ出して車道を歩いている歩行者が存在したり、車道の落下物が存在したりする場合がある。このような歩行者や落下物は、車両の走行に支障をきたすおそれがある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、対向車や後続車の運転者に、車両走行に支障をきたす可能性のある物体の存在を知らせることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用灯具システムは、車両側方へ光を照射可能な車両用灯具と、車両前方に存在する、車両走行に支障をきたす可能性のある物体を検知する物体検知手段と、物体検知手段により物体が検知された場合、車両が物体を通り過ぎるときに、物体に光が照射されるよう車両用灯具を制御する制御手段とを備える。
【0007】
この態様によると、対向車や後続車に対して該物体の存在を知らせることができる。これにより、対向車や後続車の運転者は、車両走行に支障をきたす可能性のある物体を早期に認識することができ、該物体回避のための行動を早期にとることができる。
【0008】
対向車および後続車の少なくとも一方を検知する他車両検知手段をさらに備え、制御手段は、物体検知手段により物体が検知され、且つ他車両検知手段により対向車および後続車の少なくとも一方が検知された場合、車両が物体を通り過ぎるときに、物体に光が照射されるよう車両用灯具を制御してもよい。
【0009】
車両用灯具は、後続車を検知したときに光を照射する第1灯具ユニットと、対向車を検知したときに光を照射する第2灯具ユニットとを備えてもよい。
【0010】
車両用灯具は、車両の真横方向の照射領域の光度に対して、該真横方向から車両の前および/または後方向に向かうほど照射領域の光度が高くなる配光パターンを有してもよい。
【0011】
車両用灯具は、車両の真横方向の照射領域の鉛直高さが最も高く、真横方向から車両の前および/または後方向に向かうほど照射領域の鉛直高さが低くなる配光パターンを有してもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、車両用灯具の制御装置である。この装置は、車両前方に車両走行に支障をきたす可能性のある物体が検知された場合、車両が物体を通り過ぎるときに、物体に光が照射されるよう制御信号を出力する。
【0013】
この態様によると、対向車や後続車に対して該物体の存在を知らせることができる。これにより、対向車や後続車の運転者は、車両走行に支障をきたす可能性のある物体を早期に認識することができ、該物体回避のための行動を早期にとることができる。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、車両用灯具である。この車両用灯具は、車両前方に車両走行に支障をきたす可能性のある物体が検知された場合、車両が物体を通り過ぎるときに、物体に光を照射する。
【0015】
この態様によると、対向車や後続車に対して該物体の存在を知らせることができる。これにより、対向車や後続車の運転者は、車両走行に支障をきたす可能性のある物体を早期に認識することができ、該物体回避のための行動を早期にとることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対向車や後続車の運転者に、車両走行に支障をきたす可能性のある物体の存在を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具システムの構成を説明するための図である。
【図2】車両用前照灯の概略水平断面図である。
【図3】図3(a)(b)は、車両用灯具システムの動作を説明するための図である。
【図4】側方ビームの配光パターンを説明するための図である。
【図5】変形例に係る車両用前照灯の概略水平断面図である。
【図6】第1灯具ユニットによって形成される配光パターンを示す図である。
【図7】第2灯具ユニットによって形成される配光パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る車両用灯具システムは、車道を歩いている歩行者等の車両走行に支障をきたす可能性のある物体(以下、適宜「走行支障物体」と呼ぶ)を検知し、且つ対向車または後続車を検知した場合に、自車両が物体を通り過ぎるときに、走行支障物体に光を照射する。これにより、対向車や後続車の運転者は、走行支障物体を早期に認識することができ、走行支障物体回避のための行動を早期にとることができる。
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用灯具システム10の構成を説明するための図である。車両用灯具システム10は、前方カメラ12と、後方カメラ14と、物体検知部16と、他車両検知部18と、制御部20と、車速センサ22と、車両用前照灯24とを備える。
【0021】
なお、本明細書において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
前方カメラ12は、自車前方を撮像する機能を有する。前方カメラ12で撮像された画像データは、物体検知部16と、他車両検知部18とに送られる。
【0023】
後方カメラ14は、自車後方を撮像する機能を有する。後方カメラ14で撮像された画像データは、他車両検知部18に送られる。
【0024】
なお、対向車や後続車を検出する手段は適宜変更可能であり、前方カメラ12、後方カメラ14に代えて、例えばミリ波レーダや赤外線レーダなど他の検出手段を用いてもよい。また、それらを組み合わせてもよい。
【0025】
物体検知部16は、前方カメラ12からの画像データに基づいて、自車前方に存在する走行支障物体を検知する。ここでいう「走行支障物体」とは、例えば、歩道からはみ出して車道を歩いている歩行者、車道の落下物等である。これらの物体は、公知の画像認識技術を用いて検知できる。検知された走行支障物体の情報は、制御部20に送られる。
【0026】
他車両検知部18は、前方カメラ12および後方カメラ14で撮像された画像データに基づいて、自車の周囲に存在する対向車および後続車を検知する。対向車や後続車は、例えば、ヘッドランプやテールランプに対応する高輝度点を画像中から検出することにより、検知することができる。検知された対向車および後続車の情報は、制御部20に送られる。
【0027】
車速センサ22は、自車の車速を検知する機能を有する。検知された車速情報は、制御部20に送られる。
【0028】
車両用前照灯24は、ハイビーム照射用灯具ユニット26と、ロービーム照射用灯具ユニット28と、側方照射用灯具ユニット30とを備える。図2は、車両用前照灯24の概略水平断面図である。図2に示す車両用前照灯24は、車両の車幅方向の左右に1灯ずつ配置される前照灯であり、その構造は実質的に左右同等なので代表して車両右側に配置される車両用前照灯の構造を説明する。
【0029】
図2に示すように、車両用前照灯24は、ランプボディ32と、ランプボディ32の前端開口部に取り付けられた透光カバー34とで形成される灯室36内に、ハイビーム照射用灯具ユニット26、ロービーム照射用灯具ユニット28、および側方照射用灯具ユニット30が収容された構成となっている。各灯具ユニットは、それぞれ図示しない支持部材によって、ランプボディ32に取り付けられている。また、灯具の存在領域に開口部を有するエクステンション部材38がランプボディ32または透光カバー34に固定され、ランプボディ32の前面開口部と灯具との間の領域が前方に対して覆われている。
【0030】
ロービーム照射用灯具ユニット28は、従来周知の反射型の灯具ユニットであり、光源バルブ40と、リフレクタ42とを有する。ロービーム照射用灯具ユニット28は、光源バルブ40から出射した光をリフレクタ42に反射させて、リフレクタ42から前方に向かう光の一部を図示しない遮光板でカットして所定のカットオフラインを有するロービーム用の配光パターンを形成する。光源バルブ40の先端には光源バルブ40から直接前方に出射する光をカットするシェード44が設けられている。なお、ロービーム照射用灯具ユニットの構成は特にこれに限定されない。
【0031】
ハイビーム照射用灯具ユニット26もまた、反射型の灯具ユニットであり、光源バルブ46と、リフレクタ48とを有する。ハイビーム照射用灯具ユニット26は、光源バルブ46から出射した光をリフレクタ48に反射させて、ハイビーム用の配光パターンを形成する。なお、ハイビーム照射用灯具ユニットの構成は特にこれに限定されない。
【0032】
側方照射用灯具ユニット30もまた、反射型の灯具ユニットであり、光源バルブ50と、リフレクタ52とを有する。側方照射用灯具ユニット30は、光源バルブ50から出射した光をリフレクタ52に反射させて、車両側方へ光を照射する(以下、適宜「側方ビーム」と称する)。なお、側方照射用灯具ユニット30の構成は特にこれに限定されない。
【0033】
図1に戻り、制御部20は、車両用前照灯24の各灯具ユニットの点灯制御を行う。本実施形態に係る車両用灯具システム10は、車両周囲の状況を各種センサで検出して、車両周囲状況に最適な配光パターンを形成可能である。例えば、他車両検知部18により対向車が検知された場合、制御部20は、対向車へのグレアを防止するべきであると判断して、ロービーム配光パターンが形成されるようロービーム照射用灯具ユニット28を点灯させる。また、対向車が存在しないことが検知できた場合、制御部20は、運転者の視界を向上させるべきであると判断して、ハイビーム配光パターンが形成されるようハイビーム照射用灯具ユニット26を点灯させる。
【0034】
また、制御部20は、物体検知部16により走行支障物体が検知され、且つ他車両検知部18により対向車または後続車が検知された場合、車両が走行支障物体を通り過ぎるときに、該走行支障物体に光が照射されるよう側方照射用灯具ユニット30を制御する。これにより、対向車や後続車に対して走行支障物体の存在を知らせることができる。
【0035】
図3(a)(b)は、車両用灯具システム10の動作を説明するための図である。ここでは、図3(a)に示すように、自車54前方の対向車線に歩行者58が存在し、自車54の後方に後続車56が存在する場合を想定する。自車54には、本実施形態に係る車両用灯具システム10が搭載されている。図3(a)(b)において、符号60は、自車54の照射ビームであり、符号62は、後続車56の照射ビームである。
【0036】
図3(a)の状態において、物体検知部16により歩行者58が検知され、且つ他車両検知部18により後続車56が検知されたとする。その後、図3(b)に示すように自車54が歩行者58を通り過ぎるとき、制御部20は、側方照射用灯具ユニット30に点灯を指示する制御信号を出力し、歩行者58に側方ビーム64を照射させる。これにより、後続車56に対して歩行者58の存在を知らせることができる。自車54が歩行者58を通り過ぎるタイミングは、画像認識により歩行者58を検知したときに得られる歩行者58までの距離と、車速センサ22からの車速情報とに基づいて算出することができる。また、前方カメラ12からの画像データのみに基づいて歩行者58を通過するタイミングを取得してもよい。
【0037】
例えば、制御部20は、自車54が歩行者58の真横を通り過ぎる数秒(例えば2〜3秒)前から側方照射用灯具ユニット30の点灯を開始し、通り過ぎた数秒(例えば2〜3秒)後に消灯させる。
【0038】
後続車56は、先行車(ここでは自車54)が存在する場合、通常はロービームを照射している。従って、後続車56の運転者は、遠方に存在する歩行者58の認識が遅れてしまうおそれがある。本実施形態に係る車両用灯具システム10によれば、自車54が歩行者58を通過する際に側方ビームにより歩行者58が照らされるので、後続車56の運転者は、歩行者58を早期に認識することができる。これにより、後続車56の運転手は、例えば減速する等の歩行者58を回避するための措置を早期にとることができる。
【0039】
図3(a)(b)では、自車54後方に後続車56が存在する場合について説明したが、自車前方に対向車が存在する場合も同様に、制御部20は、自車が歩行者を通り過ぎるときに側方ビームを照射する。これにより、対向車の運転手は、歩行者を早期に認識することができ、歩行者を回避するための措置を早期にとることができる。
【0040】
図4は、側方ビームの配光パターンを説明するための図である。図4における垂直線Vは車両正面方向を表しており、垂直線R90°は車両の右真横方向を表しており、垂直線R180°は、車両の背面方向を表している。
【0041】
図4に示すように側方ビームの配光パターン66は、車両前方から大きく後方に回り込んでいる。側方ビームの配光パターン66は、車両側方を均一に照射するために、車両の真横方向の照射領域の光度が最も低く、該真横方向から車両の前後方向に向かうほど照射領域の光度が高くなる配光パターンとなっている。図4において、配光パターン66の両端部に位置する斜線領域68,70の光度が最も高く、垂直線R90°近傍が最も光度が低い。例えば、斜線領域68,70の光度は、5000〜6000cdであり、垂直線R90°近傍の光度は、1000〜2000cdである。なお、ハイビーム照射用灯具ユニット26やロービーム照射用灯具ユニット28の照射するビームの光度は、10万cd近い非常に高い光度である。側方照射用灯具ユニット30の照射する側方ビームの光度は、これらに比べて非常に小さいので、歩行者58にグレアを与える虞は少ない。
【0042】
また、図4において、破線72は、歩行者58のアイポイントを示す。図4に示すように、自車の右前方および右後方に存在する歩行者58のアイポイントは低く、右真横に近づくにつれ、歩行者58のアイポイントは高くなる。従って、側方ビームの配光パターン66は、車両側方の歩行者等を適切に照明するために、車両の真横方向の照射領域の鉛直高さが最も高く、真横方向から車両の前後方向に向かうほど照射領域の鉛直高さが低くなる配光パターンとなっている。なお、図4に示すような配光パターンは、側方照射用灯具ユニット30のリフレクタ52の形状を調整することにより実現できる。
【0043】
以上、本実施形態に係る車両用灯具システム10について説明した。車両用灯具システム10によれば、走行支障物体を検知し、且つ対向車または後続車を検知した場合に、自車両が物体を通り過ぎるときに走行支障物体に側方ビームを照射することにより、対向車や後続車に対して走行支障物体の存在を知らせることができる。これにより、対向車や後続車の運転者は、走行支障物体を早期に認識することができ、走行支障物体回避のための行動を早期にとることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る車両用灯具システム10では、「走行支障物体の検知」と「対向車または後続車を検知」が両方とも発生した場合に、側方ビームを照射する構成としたので、走行支障物体を知らせるべき対向車や後続車が存在しないのに、側方ビームが照射されるような事態を回避できる。
【0045】
図5は、車両用前照灯24の変形例を説明するための概略水平断面図である。図5に示す車両用前照灯24において、図2と同様または対応する構成要素については同一の符号を付すと共に、詳細な説明は適宜省略する。
【0046】
図5に示す車両用前照灯24は、車両側方に光を照射するために、第1灯具ユニット30aと第2灯具ユニット30bの2つの灯具ユニットを備える点が、図2に示す車両用前照灯24と異なる。本実施形態では、第1灯具ユニット30aおよび第2灯具ユニット30bは、反射型の灯具ユニットであるが、灯具ユニットの構成は特に限定されない。
【0047】
図5に示すように、第1灯具ユニット30aは、後続車が検知されたときに光を照射する灯具ユニットであり、主に車両の真横から前方にかけて光を照射するように配置されている。また、第2灯具ユニット30bは、対向車が検知されたときに光を照射する灯具ユニットであり、主に車両の真横から後方にかけて光を照射するように配置されている。
【0048】
図6は、第1灯具ユニット30aによって形成される配光パターン74を示す。この配光パターン74において、斜線領域76は、最も光度が高い領域である。図6に示すように、第1灯具ユニット30aによって形成される配光パターン74は、真横方向の照射領域の光度が最も低く、該真横方向から車両前方に向かうほど照射領域の光度が高くなる配光パターンとなっている。また、配光パターン74は、車両の真横方向の照射領域の鉛直高さが最も高く、真横方向から車両の前方向に向かうほど照射領域の鉛直高さが低くなる配光パターンとなっている。このような配光パターンの側方ビームを照射することで、後続車の運転者に対して適切に走行支障物体に存在を知らせることができる。
【0049】
図7は、第2灯具ユニット30bによって形成される配光パターン78を示す。この配光パターン78において、斜線領域80は、最も光度が高い領域である。図7に示すように、第2灯具ユニット30bによって形成される配光パターン78は、真横方向の照射領域の光度が最も低く、該真横方向から車両後方に向かうほど照射領域の光度が高くなる配光パターンとなっている。また、配光パターン78は、車両の真横方向の照射領域の鉛直高さが最も高く、真横方向から車両の後方向に向かうほど照射領域の鉛直高さが低くなる配光パターンとなっている。このような配光パターンの側方ビームを照射することで、対向者の運転者に対して適切に走行支障物体に存在を知らせることができる。
【0050】
このように、自車の周囲に存在する車両が対向車であるか後続車であるかに応じて、点灯させる灯具ユニットを切り替えることで、照射が不要な領域への光の照射が低減され、例えば他の歩行者にグレアを与える事態を回避できる。
【0051】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0052】
上述の実施形態では、走行支障物体が検知され、且つ対向車または後続車が検知された場合に、車両が走行支障物体を通り過ぎるときに、該走行支障物体に光を照射するよう車両用灯具システムを構成した。しかしながら、対向車や後続車の有無に関係なく、物体検知部16により走行支障物体が検知された場合に、車両が該走行支障物体を通り過ぎるときに、該走行支障物体に光をが照射するよう車両用灯具システムを構成してもよい。この場合でも、対向車や後続車に走行支障物体の存在を知らせることができる。
【0053】
また上述の実施形態では、他車両検知部は、自車の周囲に存在する対向車および後続車の両方を検出する構成としたが、対向車と後続車のどちらか一方を検出する構成であってもよい。この場合、検出対象とした車両に足して、走行支障物体の存在を知らせることができる。
【0054】
また上述の実施形態では、側方照射用灯具ユニットは車両用前照灯内に設けたが、車両用前照灯の外部、例えばサイドミラーまたはその近傍に設けてもよい。また、コーナリングランプを装着する車両においては、コーナリングランプの光軸や、一部の照射光の向きを変えて、側方照射用灯具として使用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 車両用灯具システム、 12 前方カメラ、 14 後方カメラ、 16 物体検知部、 18 他車両検知部、 20 制御部、 22 車速センサ、 24 車両用前照灯、 26 ハイビーム照射用灯具ユニット、 28 ロービーム照射用灯具ユニット、 30 側方照射用灯具ユニット、 30a 第1灯具ユニット、 30b 第2灯具ユニット、 54 自車、 56 後続車、 58 歩行者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側方へ光を照射可能な車両用灯具と、
車両前方に存在する、車両走行に支障をきたす可能性のある物体を検知する物体検知手段と、
前記物体検知手段により前記物体が検知された場合、車両が前記物体を通り過ぎるときに、前記物体に光が照射されるよう前記車両用灯具を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用灯具システム。
【請求項2】
対向車および後続車の少なくとも一方を検知する他車両検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記物体検知手段により前記物体が検知され、且つ前記他車両検知手段により対向車および後続車の少なくとも一方が検知された場合、車両が前記物体を通り過ぎるときに、前記物体に光が照射されるよう前記車両用灯具を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具システム。
【請求項3】
前記車両用灯具は、後続車を検知したときに光を照射する第1灯具ユニットと、対向車を検知したときに光を照射する第2灯具ユニットとを備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具システム。
【請求項4】
車両前方に車両走行に支障をきたす可能性のある物体が検知された場合、車両が前記物体を通り過ぎるときに、前記物体に光が照射されるよう制御信号を出力することを特徴とする車両用灯具の制御装置。
【請求項5】
車両前方に車両走行に支障をきたす可能性のある物体が検知された場合、車両が前記物体を通り過ぎるときに、前記物体に光を照射することを特徴とする車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−71674(P2012−71674A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217567(P2010−217567)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】