車両用灯具
【課題】リフレックスリフレクターの反射光量を保持しつつ、造形自由度を向上させる車両用灯具を提供する。
【解決手段】制動灯5、後退灯6及び方向指示灯7などの光源が取り付けられたハウジング1と、このハウジング1に取り付けられて入射した光を車両後方及び車両側方に向けて光を反射させる前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bの複数個からなるリフレックスリフレクター2と、ハウジング1に装着されるアウターレンズ4と、を備え、前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bを階段状に配置した。そして、車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター2B1を、他のリフレックスリフレクターに対して異なる角度で配置させた。
【解決手段】制動灯5、後退灯6及び方向指示灯7などの光源が取り付けられたハウジング1と、このハウジング1に取り付けられて入射した光を車両後方及び車両側方に向けて光を反射させる前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bの複数個からなるリフレックスリフレクター2と、ハウジング1に装着されるアウターレンズ4と、を備え、前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bを階段状に配置した。そして、車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター2B1を、他のリフレックスリフレクターに対して異なる角度で配置させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフレックスリフレクターを有した車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のリフレックスリフレクターを配置した車両用灯具が開示されている(例えば、特許文献1等に記載)。
【0003】
かかる特許文献1に記載の車両用灯具では、複数のリフレックスリフレクターをアウターレンズ中央の水平面に配置させた構造となっている。
【特許文献1】実開平7−18305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、アウターレンズにリフレックスリフレクターを配するための水平部が必要になり、アウターレンズの形状の造形自由度が劣るという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、アウターレンズの形状の造形自由度を向上できる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用灯具は、光源が取り付けられたハウジングと、ハウジングに取り付けられ、平面視で湾曲する曲率部を有するアウターレンズと、ハウジングとアウターレンズとで形成される中空空間に配されて、表面に凹凸が設けられて、ハウジング外方からアウターレンズを通過して中空空間に入射される光を反射するリフレックスリフレクターと、から構成される。そして、この車両用灯具では、リフレックスリフレクターは、車両左右方向に面するように配される左右方向リフレックスリフレクターと、車両前後方向に面するように配される前後方向リフレックスリフレクターと、を有する。また、左右方向リフレックスリフレクターと前後方向リフレックスリフレクターを平面視略L字状とし、その平面視略L字状とした複数組によって、リフレックスリフレクターをアウターレンズの曲率部に沿った階段状とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用灯具によれば、左右方向リフレックスリフレクターと前後方向リフレックスリフレクターを平面視略L字状とし、その平面視略L字状とした複数組によってリフレックスリフレクターをアウターレンズの曲率部に沿った階段状としたことにより、アウターレンズにリフレックスリフレクターを配するための水平部を設ける必要がなく、アウターレンズの形状の造形自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
「車両用灯具の構成説明」
先ず、本発明を適用した車両用灯具の具体的な構成について説明する。図1から図11は本実施形態の車両用灯具の一例を示す図である。本実施形態の車両用灯具は、例えば車両の後面から側面に亘って延在し平面視で曲率のかかる形状とされた灯具であり、車両後部に取り付けられ、制動灯5、後退灯6、方向指示灯7を有するコンビネーションランプとされる。
【0010】
本実施形態の車両用灯具は、光源が取り付けられるハウジング1と、このハウジング1に取り付けられて平面視で湾曲する曲率部14を有するアウターレンズ4と、ハウジング1とアウターレンズ4とで形成される中空空間15に配されて、ハウジング1外方からアウターレンズ4を通過して中空空間15に入射される光を車両後方及び車両外方に向けて光を反射させるリフレックスリフレクター2と、同じくハウジング1とアウターレンズ4とで形成される中空空間15に配されて、前記光源5,6,7からの光をハウジング外方へ反射させるリフレクター3とを備えている。
【0011】
ハウジング1の内面は、リフレクター3によって複数の領域に区画されており、例えば赤色LEDからなる尾灯としても機能する制動灯5が配置され、ハウジング1の側面上部から後面下部へ延在する上段領域と、夜間、灯火の消えている車両を認識し易くするために、表面に凹凸が形成され、光を当てると赤色の反射光を発する反射板であるリフレックスリフレクター2が配置され、ハウジング1の側面下部から後面へ延在する下段領域と、クリア色からなる後退灯6と、アンバー色(琥珀色)からなる方向指示灯7からなる各光源が配置され、ハウジング1の上段領域と下段領域との間に延在する中段領域と、を有する。
【0012】
制動灯5は、複数個のLEDからなり、上段領域に形成されるそれぞれの制動灯取付け部8に取り付けられている。各制動灯5は、そのバルブの向きを車両後方へ向けて配置されている。
【0013】
後退灯6は、中段領域の車両内側に形成される後退灯取付け部9に取り付けられている。
【0014】
方向指示灯7は、前記後退灯取付け部9が設けられる中段領域の車両外側に形成された方向指示灯取付け部10に取り付けられている。
【0015】
リフレックスリフレクター2は、車両前後方向に面するように配されて、車両後方に向けて光を反射させる前後方向リフレックスリフレクター2Aと、車両左右方向に面するように配されて、車両側方に向けて光を反射させる左右方向リフレックスリフレクター2Bとからなる。前後方向リフレックスリフレクター2Aは、その反射面を車両後方正面に向けて配置されている。一方、左右方向リフレックスリフレクター2Bは、その反射面を車両側方正面に向けて配置されている。そして、これら前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bは、平面視略L字状に組み合わされ、その平面視略L字状とした複数組によって全体のリフレックスリフレクター形状を階段状としている。
【0016】
さらに、この階段状に形成されたリフレックスリフレクター2は、平面視略L字状の角部16を、アウターレンズ4の曲率部14に沿うように、ハウジング1の後面から側面にかけて、徐々に車両前方に位置するように形成されている。つまり、前後方向リフレックスリフレクター2Aは、車両内側から外側にいくにつれて、徐々に車両前方に位置するように形成されている。
【0017】
これら複数個の前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bを組み合わせてなるリフレックスリフレクター2は、例えば射出成形によって一体化されている。
【0018】
また、左右方向リフレックスリフレクター2Bのうち車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1は、他の左右方向リフレックスリフレクター2B及び前後方向リフレックスリフレクター2Aに対して異なる角度θ1で配置されている。具体的には、車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター2B1は、他の前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bとのなす角度θを略90度としたときにそれよりも大きな鈍角となる角度θ1で、その前端を前記車両外方寄りに傾いている。
【0019】
つまり、車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1は、他の左右方向リフレックスリフレクター2Bの反射面よりも車両前後方向に面する方向で、かつ前後方向リフレックスリフレクター2Aの反射面よりも車両左右方向に面する方向に面するように配置されている。
【0020】
さらに、車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1の反射面は、車両上下方向に略平行な角度で配される他の左右方向リフレックスリフレクター2B及び前後方向リフレックスリフレクター2Aの反射面に対して、その上端を前記車両内方寄りに傾けている。
【0021】
このように構成されたリフレックスリフレクター2は、下段領域に設けられたリフレックスリフレクター取付け部11に取り付けられている。リフレックスリフレクター取付け部11は、リフレックスリフレクター2と同様、階段状に形成され、前記後退灯取付部8と方向指示灯取付け部9と分離された別区画とされている。
【0022】
また、車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1には、一部凹凸のないフラット面12が形成されている。このフラット面12は、サイドマーカーとして機能するようになっている。この左右方向リフレックスリフレクター2B1と対応するリフレックスリフレクター取付け部11には、クリア色からなるサイドマーカー灯13が取り付けられている。したがって、このサイドマーカー灯13で点灯された光が前記透過窓となるフラット面12を透過してランプ外へと照射される。
【0023】
インナーレンズ17は、複数個のLEDからなる制動灯5が取り付けられた部分とアウターレンズ4との間に配置される。
【0024】
アウターレンズ4は、尾灯としても機能する制動灯5の赤色とされた第1アウターレンズ4Aと、後退灯6及び方向指示灯7用のクリア色とされた第2アウターレンズ4Bとを有し、これらが接合されて構成されている。なお、インナーレンズ17と重なる部分は2重構造となっている。第2アウターレンズ4Bは、後退灯6及び方向指示灯7が設けられる中央領域に設けられており、この第2アウターレンズ4Bの周囲全体が第1アウターレンズ4Aとされている。
【0025】
以上のように構成された車両用灯具では、車両後方から入射された光は、車両後方正面に向けて配置された各前後方向リフレックスリフレクター2Aによって車両後方へと反射され、車両後方にいる人に自車の存在を認識させる。また、この車両用灯具では、車両側方から入射された光は、車両側方正面に向けて配置された各左右方向リフレックスリフレクター2Bによって車両側方へと反射され、車両側方にいる人に自車の存在を認識させる。また、この車両用灯具では、車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1に入射された光は、他の左右方向リフレックスリフレクター2Bと前後方向リフレックスリフレクター2Aとは異なる方向に反射され、歩行者に車両の最外部を認識させる。
【0026】
「作用効果の説明」
次に、本実施形態の車両用灯具の作用効果について説明する。本実施形態の車両用灯具によれば、複数のリフレックスリフレクター2A,2Bをハウジング2に対して階段状に配置したので、複数のリフレックスリフレクターを一列に配置した場合に比べて、アウターレンズ4に水平部を設ける必要がなく、アウターレンズ4の造形自由度を向上させることができる。また、前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bを交互に配置してアウターレンズ4の曲率部14に沿った階段状としているため、アウターレンズ4の曲率に沿った配置ができ、アウターレンズ4からの反射面までの距離も遠くならず反射する光が遮られることもない。このようにリフレックスリフレクター2をアウターレンズ4の曲率部14に沿った階段状とすることによって、リフレックスリフレクター2A,2Bの反射光量を保持しつつ、アウターレンズ4の造形自由度を向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター2B1を、他のリフレックスリフレクター2A,2Bに対して異なる角度で配置したので、他のリフレックスリフレクター2A,2Bと異なる反射光を、車両後方及び車両側方へ反射させることができ、延いては車両最外部を認識し易くできる。
【0028】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター2B1を、左右方向リフレックスリフレクター2Bよりも車両前後方向に面する方向で、かつ前後方向リフレックスリフレクター2Aよりも車両左右方向に面する方向に面するように配置したので、左右方向リフレックスリフレクター2B及び前後方向リフレックスリフレクター2Aと異なる反射光を、車両後方及び車両側方へ反射させることができ、延いては車両最外部を認識し易くできる。
【0029】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、車両最外位置に配置したリフレックスリフレクター2B1には、一部凹凸のないフラット面12を設けたサイドマーカーを形成しているので、このフラット面12を通してサイドマーカー灯13からの光を車両後方及び車両側方へ放射させることができる。これにより、サイドマーカーの光を車両後方及び車両側方の両方から確認でき、車両最外部をより明確に認識できるようになる。
【0030】
なお、サイドマーカーは、エンジン停止時には点灯しない。そのため、例えば夜間にエンジンを停止して駐車した時には、車両最外位置のリフレックスリフレクター2B1によって車両最外部を認識させ、エンジンを停止せずに停車した時はサイドマーカーが点灯し、車両最外位置のリフレックスリフレクター2B1とこのサイドマーカーとで車両最外部をより明確に認識させることができる。
【0031】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、車両後方に向けて光りを反射させる前後方向リフレックスリフレクター2Aと車両側方に向けて光を反射させる左右方向リフレックスリフレクター2Bを平面視略L字状とし、その平面視略L字状とした複数組によってアウターレンズ4の曲率部14に沿った階段状としたので、曲率を有したアウターレンズ4に対する各リフレックスリフレクター2A,2Bの反射面までの距離を短くでき、反射光の損失を抑制できる。
【0032】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bからなる複数のリフレックスリフレクター2を一体化させたので、ユニットとしてハウジング1に組み付け易くなる。
【0033】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、リフレックスリフレクター2をハウジング1内で制動灯5、後退灯6及び方向指示灯7などの光源と別区画としたので、制動灯5などの光量を減少させずに済む。リフレックスリフレクター2は、制動灯5のレンズに取り付けられることがあるが、リフレックスリフレクター2が取り付けられた部分は内部からの光(制動灯5)が乱反射し、そのため後方へ向かう光量が減少してしまう。そのため、リフレックスリフレクター2をこれら光源とハウジング1内で別区画としてしまえば、制動灯5の光量減少を抑えることが可能となる。
【0034】
以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は本実施形態の車両用灯具の斜視図である。
【図2】図2は図1のA−A線位置における断面図である。
【図3】図3は図1のB−B線位置における断面図である。
【図4】図4はハウジングにリフレックスリフレクターを取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図5】図5はリフレックスリフレクターが取り付けられたハウジングにインナーレンズを装着させたときの斜視図である。
【図6】図6は車両用灯具を上面から見た図であり、(A)はその平面図、(B)はアウターレンズ及びインナーレンズを外したときの平面図である。
【図7】図7は車両用灯具を後方から見たときの正面図である。
【図8】図8(A)は図7のC−C線位置における断面図、図8(B)は図7のD−D線位置における断面図である。
【図9】図9は図8の車両用灯具からアウターレンズを外した状態を示す正面図である。
【図10】図10は車両用灯具を側面から見たときの図であり、(A)はその正面図、(B)はアウターレンズを外したときの正面図である。
【図11】図11は本実施形態の車両用灯具におけるリフレックスリフレクターの配置状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0036】
1…ハウジング
2…リフレックスリフレクター
2A…前後方向リフレックスリフレクター
2B…左右方向リフレックスリフレクター
2B1…車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター
3…リフレクター
4…アウターレンズ
4A…第1アウターレンズ
4B…第2アウターレンズ
5…制動灯(光源)
6…後退灯(光源)
7…方向指示灯(光源)
8…制動灯取付け部
9…後退灯取付け部
10…方向指示灯取付け部
12…フラット面(サイドマーカー)
14…曲率部
15…中空空間
17…インナーレンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフレックスリフレクターを有した車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のリフレックスリフレクターを配置した車両用灯具が開示されている(例えば、特許文献1等に記載)。
【0003】
かかる特許文献1に記載の車両用灯具では、複数のリフレックスリフレクターをアウターレンズ中央の水平面に配置させた構造となっている。
【特許文献1】実開平7−18305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、アウターレンズにリフレックスリフレクターを配するための水平部が必要になり、アウターレンズの形状の造形自由度が劣るという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、アウターレンズの形状の造形自由度を向上できる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用灯具は、光源が取り付けられたハウジングと、ハウジングに取り付けられ、平面視で湾曲する曲率部を有するアウターレンズと、ハウジングとアウターレンズとで形成される中空空間に配されて、表面に凹凸が設けられて、ハウジング外方からアウターレンズを通過して中空空間に入射される光を反射するリフレックスリフレクターと、から構成される。そして、この車両用灯具では、リフレックスリフレクターは、車両左右方向に面するように配される左右方向リフレックスリフレクターと、車両前後方向に面するように配される前後方向リフレックスリフレクターと、を有する。また、左右方向リフレックスリフレクターと前後方向リフレックスリフレクターを平面視略L字状とし、その平面視略L字状とした複数組によって、リフレックスリフレクターをアウターレンズの曲率部に沿った階段状とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用灯具によれば、左右方向リフレックスリフレクターと前後方向リフレックスリフレクターを平面視略L字状とし、その平面視略L字状とした複数組によってリフレックスリフレクターをアウターレンズの曲率部に沿った階段状としたことにより、アウターレンズにリフレックスリフレクターを配するための水平部を設ける必要がなく、アウターレンズの形状の造形自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
「車両用灯具の構成説明」
先ず、本発明を適用した車両用灯具の具体的な構成について説明する。図1から図11は本実施形態の車両用灯具の一例を示す図である。本実施形態の車両用灯具は、例えば車両の後面から側面に亘って延在し平面視で曲率のかかる形状とされた灯具であり、車両後部に取り付けられ、制動灯5、後退灯6、方向指示灯7を有するコンビネーションランプとされる。
【0010】
本実施形態の車両用灯具は、光源が取り付けられるハウジング1と、このハウジング1に取り付けられて平面視で湾曲する曲率部14を有するアウターレンズ4と、ハウジング1とアウターレンズ4とで形成される中空空間15に配されて、ハウジング1外方からアウターレンズ4を通過して中空空間15に入射される光を車両後方及び車両外方に向けて光を反射させるリフレックスリフレクター2と、同じくハウジング1とアウターレンズ4とで形成される中空空間15に配されて、前記光源5,6,7からの光をハウジング外方へ反射させるリフレクター3とを備えている。
【0011】
ハウジング1の内面は、リフレクター3によって複数の領域に区画されており、例えば赤色LEDからなる尾灯としても機能する制動灯5が配置され、ハウジング1の側面上部から後面下部へ延在する上段領域と、夜間、灯火の消えている車両を認識し易くするために、表面に凹凸が形成され、光を当てると赤色の反射光を発する反射板であるリフレックスリフレクター2が配置され、ハウジング1の側面下部から後面へ延在する下段領域と、クリア色からなる後退灯6と、アンバー色(琥珀色)からなる方向指示灯7からなる各光源が配置され、ハウジング1の上段領域と下段領域との間に延在する中段領域と、を有する。
【0012】
制動灯5は、複数個のLEDからなり、上段領域に形成されるそれぞれの制動灯取付け部8に取り付けられている。各制動灯5は、そのバルブの向きを車両後方へ向けて配置されている。
【0013】
後退灯6は、中段領域の車両内側に形成される後退灯取付け部9に取り付けられている。
【0014】
方向指示灯7は、前記後退灯取付け部9が設けられる中段領域の車両外側に形成された方向指示灯取付け部10に取り付けられている。
【0015】
リフレックスリフレクター2は、車両前後方向に面するように配されて、車両後方に向けて光を反射させる前後方向リフレックスリフレクター2Aと、車両左右方向に面するように配されて、車両側方に向けて光を反射させる左右方向リフレックスリフレクター2Bとからなる。前後方向リフレックスリフレクター2Aは、その反射面を車両後方正面に向けて配置されている。一方、左右方向リフレックスリフレクター2Bは、その反射面を車両側方正面に向けて配置されている。そして、これら前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bは、平面視略L字状に組み合わされ、その平面視略L字状とした複数組によって全体のリフレックスリフレクター形状を階段状としている。
【0016】
さらに、この階段状に形成されたリフレックスリフレクター2は、平面視略L字状の角部16を、アウターレンズ4の曲率部14に沿うように、ハウジング1の後面から側面にかけて、徐々に車両前方に位置するように形成されている。つまり、前後方向リフレックスリフレクター2Aは、車両内側から外側にいくにつれて、徐々に車両前方に位置するように形成されている。
【0017】
これら複数個の前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bを組み合わせてなるリフレックスリフレクター2は、例えば射出成形によって一体化されている。
【0018】
また、左右方向リフレックスリフレクター2Bのうち車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1は、他の左右方向リフレックスリフレクター2B及び前後方向リフレックスリフレクター2Aに対して異なる角度θ1で配置されている。具体的には、車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター2B1は、他の前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bとのなす角度θを略90度としたときにそれよりも大きな鈍角となる角度θ1で、その前端を前記車両外方寄りに傾いている。
【0019】
つまり、車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1は、他の左右方向リフレックスリフレクター2Bの反射面よりも車両前後方向に面する方向で、かつ前後方向リフレックスリフレクター2Aの反射面よりも車両左右方向に面する方向に面するように配置されている。
【0020】
さらに、車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1の反射面は、車両上下方向に略平行な角度で配される他の左右方向リフレックスリフレクター2B及び前後方向リフレックスリフレクター2Aの反射面に対して、その上端を前記車両内方寄りに傾けている。
【0021】
このように構成されたリフレックスリフレクター2は、下段領域に設けられたリフレックスリフレクター取付け部11に取り付けられている。リフレックスリフレクター取付け部11は、リフレックスリフレクター2と同様、階段状に形成され、前記後退灯取付部8と方向指示灯取付け部9と分離された別区画とされている。
【0022】
また、車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1には、一部凹凸のないフラット面12が形成されている。このフラット面12は、サイドマーカーとして機能するようになっている。この左右方向リフレックスリフレクター2B1と対応するリフレックスリフレクター取付け部11には、クリア色からなるサイドマーカー灯13が取り付けられている。したがって、このサイドマーカー灯13で点灯された光が前記透過窓となるフラット面12を透過してランプ外へと照射される。
【0023】
インナーレンズ17は、複数個のLEDからなる制動灯5が取り付けられた部分とアウターレンズ4との間に配置される。
【0024】
アウターレンズ4は、尾灯としても機能する制動灯5の赤色とされた第1アウターレンズ4Aと、後退灯6及び方向指示灯7用のクリア色とされた第2アウターレンズ4Bとを有し、これらが接合されて構成されている。なお、インナーレンズ17と重なる部分は2重構造となっている。第2アウターレンズ4Bは、後退灯6及び方向指示灯7が設けられる中央領域に設けられており、この第2アウターレンズ4Bの周囲全体が第1アウターレンズ4Aとされている。
【0025】
以上のように構成された車両用灯具では、車両後方から入射された光は、車両後方正面に向けて配置された各前後方向リフレックスリフレクター2Aによって車両後方へと反射され、車両後方にいる人に自車の存在を認識させる。また、この車両用灯具では、車両側方から入射された光は、車両側方正面に向けて配置された各左右方向リフレックスリフレクター2Bによって車両側方へと反射され、車両側方にいる人に自車の存在を認識させる。また、この車両用灯具では、車両最外位置に配置された左右方向リフレックスリフレクター2B1に入射された光は、他の左右方向リフレックスリフレクター2Bと前後方向リフレックスリフレクター2Aとは異なる方向に反射され、歩行者に車両の最外部を認識させる。
【0026】
「作用効果の説明」
次に、本実施形態の車両用灯具の作用効果について説明する。本実施形態の車両用灯具によれば、複数のリフレックスリフレクター2A,2Bをハウジング2に対して階段状に配置したので、複数のリフレックスリフレクターを一列に配置した場合に比べて、アウターレンズ4に水平部を設ける必要がなく、アウターレンズ4の造形自由度を向上させることができる。また、前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bを交互に配置してアウターレンズ4の曲率部14に沿った階段状としているため、アウターレンズ4の曲率に沿った配置ができ、アウターレンズ4からの反射面までの距離も遠くならず反射する光が遮られることもない。このようにリフレックスリフレクター2をアウターレンズ4の曲率部14に沿った階段状とすることによって、リフレックスリフレクター2A,2Bの反射光量を保持しつつ、アウターレンズ4の造形自由度を向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター2B1を、他のリフレックスリフレクター2A,2Bに対して異なる角度で配置したので、他のリフレックスリフレクター2A,2Bと異なる反射光を、車両後方及び車両側方へ反射させることができ、延いては車両最外部を認識し易くできる。
【0028】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター2B1を、左右方向リフレックスリフレクター2Bよりも車両前後方向に面する方向で、かつ前後方向リフレックスリフレクター2Aよりも車両左右方向に面する方向に面するように配置したので、左右方向リフレックスリフレクター2B及び前後方向リフレックスリフレクター2Aと異なる反射光を、車両後方及び車両側方へ反射させることができ、延いては車両最外部を認識し易くできる。
【0029】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、車両最外位置に配置したリフレックスリフレクター2B1には、一部凹凸のないフラット面12を設けたサイドマーカーを形成しているので、このフラット面12を通してサイドマーカー灯13からの光を車両後方及び車両側方へ放射させることができる。これにより、サイドマーカーの光を車両後方及び車両側方の両方から確認でき、車両最外部をより明確に認識できるようになる。
【0030】
なお、サイドマーカーは、エンジン停止時には点灯しない。そのため、例えば夜間にエンジンを停止して駐車した時には、車両最外位置のリフレックスリフレクター2B1によって車両最外部を認識させ、エンジンを停止せずに停車した時はサイドマーカーが点灯し、車両最外位置のリフレックスリフレクター2B1とこのサイドマーカーとで車両最外部をより明確に認識させることができる。
【0031】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、車両後方に向けて光りを反射させる前後方向リフレックスリフレクター2Aと車両側方に向けて光を反射させる左右方向リフレックスリフレクター2Bを平面視略L字状とし、その平面視略L字状とした複数組によってアウターレンズ4の曲率部14に沿った階段状としたので、曲率を有したアウターレンズ4に対する各リフレックスリフレクター2A,2Bの反射面までの距離を短くでき、反射光の損失を抑制できる。
【0032】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、前後方向リフレックスリフレクター2Aと左右方向リフレックスリフレクター2Bからなる複数のリフレックスリフレクター2を一体化させたので、ユニットとしてハウジング1に組み付け易くなる。
【0033】
また、本実施形態の車両用灯具によれば、リフレックスリフレクター2をハウジング1内で制動灯5、後退灯6及び方向指示灯7などの光源と別区画としたので、制動灯5などの光量を減少させずに済む。リフレックスリフレクター2は、制動灯5のレンズに取り付けられることがあるが、リフレックスリフレクター2が取り付けられた部分は内部からの光(制動灯5)が乱反射し、そのため後方へ向かう光量が減少してしまう。そのため、リフレックスリフレクター2をこれら光源とハウジング1内で別区画としてしまえば、制動灯5の光量減少を抑えることが可能となる。
【0034】
以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は本実施形態の車両用灯具の斜視図である。
【図2】図2は図1のA−A線位置における断面図である。
【図3】図3は図1のB−B線位置における断面図である。
【図4】図4はハウジングにリフレックスリフレクターを取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図5】図5はリフレックスリフレクターが取り付けられたハウジングにインナーレンズを装着させたときの斜視図である。
【図6】図6は車両用灯具を上面から見た図であり、(A)はその平面図、(B)はアウターレンズ及びインナーレンズを外したときの平面図である。
【図7】図7は車両用灯具を後方から見たときの正面図である。
【図8】図8(A)は図7のC−C線位置における断面図、図8(B)は図7のD−D線位置における断面図である。
【図9】図9は図8の車両用灯具からアウターレンズを外した状態を示す正面図である。
【図10】図10は車両用灯具を側面から見たときの図であり、(A)はその正面図、(B)はアウターレンズを外したときの正面図である。
【図11】図11は本実施形態の車両用灯具におけるリフレックスリフレクターの配置状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0036】
1…ハウジング
2…リフレックスリフレクター
2A…前後方向リフレックスリフレクター
2B…左右方向リフレックスリフレクター
2B1…車両最外位置に配されたリフレックスリフレクター
3…リフレクター
4…アウターレンズ
4A…第1アウターレンズ
4B…第2アウターレンズ
5…制動灯(光源)
6…後退灯(光源)
7…方向指示灯(光源)
8…制動灯取付け部
9…後退灯取付け部
10…方向指示灯取付け部
12…フラット面(サイドマーカー)
14…曲率部
15…中空空間
17…インナーレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が取り付けられたハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、平面視で湾曲する曲率部を有するアウターレンズと、
前記ハウジングと前記アウターレンズとで形成される中空空間に配され、表面に凹凸が設けられて、前記ハウジング外方から前記アウターレンズを通過して前記中空空間に入射される光を反射するリフレックスリフレクターと、を有する車両用灯具において、
前記リフレックスリフレクターは、車両左右方向に面するように配される左右方向リフレックスリフレクターと、車両前後方向に面するように配される前後方向リフレックスリフレクターと、を有し、
前記左右方向リフレックスリフレクターと前記前後方向リフレックスリフレクターを平面視略L字状とし、その平面視略L字状とした複数組によって、前記アウターレンズの曲率部に沿った階段状とした
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用灯具であって、
複数の前記リフレックスリフレクターのうち車両最外位置に配されたリフレックスリフレクターを、他のリフレックスリフレクターに対して異なる角度で配置した
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用灯具であって、
前記車両最外位置に配されたリフレックスリフレクターは、前記左右方向リフレックスリフレクターよりも車両前後方向に面する方向で、かつ前記前後方向リフレックスリフレクターよりも車両左右方向に面する方向に面するように配置した
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用灯具であって、
前記車両最外位置に配されたリフレックスリフレクターには、一部凹凸のないフラット面を設けた
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両用灯具であって、
前記前後方向リフレックスリフレクターと前記左右方向リフレックスリフレクターからなる複数のリフレックスリフレクターを一体化させた
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の車両用灯具であって、
前記ハウジング内を複数の領域に区画し、
前記リフレックスリフレクターを、前記ハウジング内で前記光源と別区画とした
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項1】
光源が取り付けられたハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、平面視で湾曲する曲率部を有するアウターレンズと、
前記ハウジングと前記アウターレンズとで形成される中空空間に配され、表面に凹凸が設けられて、前記ハウジング外方から前記アウターレンズを通過して前記中空空間に入射される光を反射するリフレックスリフレクターと、を有する車両用灯具において、
前記リフレックスリフレクターは、車両左右方向に面するように配される左右方向リフレックスリフレクターと、車両前後方向に面するように配される前後方向リフレックスリフレクターと、を有し、
前記左右方向リフレックスリフレクターと前記前後方向リフレックスリフレクターを平面視略L字状とし、その平面視略L字状とした複数組によって、前記アウターレンズの曲率部に沿った階段状とした
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用灯具であって、
複数の前記リフレックスリフレクターのうち車両最外位置に配されたリフレックスリフレクターを、他のリフレックスリフレクターに対して異なる角度で配置した
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用灯具であって、
前記車両最外位置に配されたリフレックスリフレクターは、前記左右方向リフレックスリフレクターよりも車両前後方向に面する方向で、かつ前記前後方向リフレックスリフレクターよりも車両左右方向に面する方向に面するように配置した
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用灯具であって、
前記車両最外位置に配されたリフレックスリフレクターには、一部凹凸のないフラット面を設けた
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両用灯具であって、
前記前後方向リフレックスリフレクターと前記左右方向リフレックスリフレクターからなる複数のリフレックスリフレクターを一体化させた
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の車両用灯具であって、
前記ハウジング内を複数の領域に区画し、
前記リフレックスリフレクターを、前記ハウジング内で前記光源と別区画とした
ことを特徴とする車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−152044(P2009−152044A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328607(P2007−328607)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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