車両用灯具
【課題】 発光素子で発生する熱のヒートシンクへの伝熱効率を高めて放熱効果を高めることを可能にした小型の車両用灯具を得る。
【解決手段】 発光素子30を搭載した回路基板3をヒートシンク2に支持し、発光素子30から出射した光を反射するリフレクタ4を備える。回路基板3は表面に発光素子30を搭載するとともに当該発光素子30に接続された導電膜32を備え、導電膜32はヒートシンク2に密接した状態で支持される。発光素子30の熱は導電膜32からヒートシンク2に伝熱されて放熱される。導電膜30はヒートシンク2に密接されており、導電膜32からヒートシンク2への伝熱性が高められ、放熱性が向上される。
【解決手段】 発光素子30を搭載した回路基板3をヒートシンク2に支持し、発光素子30から出射した光を反射するリフレクタ4を備える。回路基板3は表面に発光素子30を搭載するとともに当該発光素子30に接続された導電膜32を備え、導電膜32はヒートシンク2に密接した状態で支持される。発光素子30の熱は導電膜32からヒートシンク2に伝熱されて放熱される。導電膜30はヒートシンク2に密接されており、導電膜32からヒートシンク2への伝熱性が高められ、放熱性が向上される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED(発光ダイオード)等の発光素子を光源とする車両用灯具に関し、特に発光素子の放熱効果を高めた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両用灯具として光源にLEDを採用するものが提供されている。LEDは半導体で形成されているため発光時に発生する熱によってLED自体の温度が上昇すると発光特性が低下し、灯具全体の光度が低下してしまう。また、LEDが劣化して寿命が短くなるおそれもある。そのため、従来からLEDの放熱効果を高めるようにした種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、LEDをヒートシンクの表面に搭載してホルダで固定することで、LEDで発生した熱を直接ヒートシンクに伝達して放熱を行う技術が提案されている。また、LEDに給電を行うためにヒートシンクの別の場所に給電用のプリント基板を搭載し、ホルダに設けた金属配線体によってLEDとプリント基板とを電気接続している。
【0003】
また、特許文献2では、LEDをプリント基板に搭載した上で、このプリント基板をヒートシンクに搭載し、LEDで発生した熱をプリント基板に伝熱し、さらにヒートシンクに伝達した上でヒートシンクから放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−186796号公報
【特許文献2】特開2004−55229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術はヒートシンク上にそれぞれLEDとプリント基板を搭載し、LEDとプリント基板とをホルダの金属配線体で電気接続しているため、構成部品点数が多くなるとともにヒートシンクにはこれらLEDとプリント基板を搭載するための面積を確保する必要がありヒートシンクが大型化し、小型の灯具には適用が難しい。特許文献2の技術は部品点数の削減とヒートシンクの小型化を図る上では有利であるが、プリント基板は絶縁板を主体に構成されているため、LEDからプリント基板、さらにヒートシンクに向けての熱の伝達効率が低く、十分な放熱効果が得られないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、プリント基板等の回路基板にLED等の発光素子を搭載して小型化を実現する一方で発光素子からヒートシンクへの伝熱効率を高めて放熱効果を高めることを可能にした車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光源としての発光素子と、発光素子を搭載した回路基板と、回路基板を支持するヒートシンクとを備える車両用灯具であって、回路基板は表面に発光素子を搭載するとともに当該発光素子に接続された導電膜を備え、当該導電膜がヒートシンクに密接した状態で当該ヒートシンクに支持されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、次の形態とすることが好ましい。
(1)ヒートシンクには発光素子を露呈させるための窓が開口されており、露呈された発光素子から出射される光を反射するリフレクタがヒートシンクに支持される。
(2)回路基板の表面には発光素子以外の電子素子が搭載されていない。
(3)導電膜は伝熱性のある絶縁層を介してヒートシンクに密接される。
【0009】
また、本発明は、ランプハウジング内に複数のランプが内装された複合型の車両用灯具であって、少なくとも1つのランプを前記本発明の灯具で構成し、当該1つのランプは他のランプから出射される光を邪魔しない位置に配設される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発光素子で発生した熱は回路基板の導電膜に伝熱され、さらにヒートシンクに伝熱されてヒートシンクから放熱される。導電膜はヒートシンクに密接した状態とされるため、導電膜からヒートシンクへの伝熱性が高められ、放熱性が向上される。
【0011】
ここで、回路基板に搭載された発光素子はヒートシンクに設けた窓を通して露呈され、発光した光をヒートシンクに支持したリフレクタによって反射して光照射が可能になる。回路基板の表面には発光素子以外の電子素子を搭載していないので、導電膜の全面をヒートシンクに密接でき、伝熱性を高めて放熱性を向上する。導電膜は伝熱性のある絶縁膜を介してヒートシンクに密接されるので、伝熱効果を高める一方で導電膜がヒートシンクに電気的に短絡することはない。
【0012】
本発明によれば、本発明のランプを含む複数のランプで複合型のランプを構成した場合でも、本発明のランプ及び他のランプのそれぞれから照射される光の配光に影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1のデイタイムランニングランプを備えるヘッドランプの一部を破断した概略正面図。
【図2】図1のII−II線に沿う概略断面図。
【図3】図1のIII − III線に沿う概略断面図。
【図4】デイタイムランニングランプの一部の概略構成を示す外観斜視図。
【図5】デイタムランニングランプのランプユニットの部分分解斜視図。
【図6】ランプユニットの拡大断面図。
【図7】実施形態2の断面図。
【図8】実施形態3の断面図。
【図9】実施形態4の断面図。
【図10】実施形態5の断面図。
【図11】実施形態6の概略構成を示す部分分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明を自動車のヘッドランプHLに適用した実施形態1の概略正面図、図2は図1のII−II線に沿う概略断面図、図3は図1のIII − III線に沿う概略断面図である。容器状をしたランプボディ11と、ランプボディ11の前面開口に取着された透明樹脂からなる前面カバー12とでランプハウジング1が構成されており、このランプハウジング1の内部にハイビームランプHiLとロービームランプLoLとデイタイムランニングランプDRLが内装されている。ハイビームランプHiLはハロゲンバルブを光源としたプロジェクタ型ランプとして構成され、ロービームランプLoLは放電バルブを光源とした同じくプロジェクタ型ランプとして構成されており、いずれも発光素子を光源とする本発明との関係が少ないのでこれらの内部構成についての詳細な説明は省略する。これらハイビームランプHiLとロービームランプLoLはランプハウジング1内に配設された疑似リフレクタとしてのエクステンション13に左右に並んで開口された2つの円形窓13a,13bにそれぞれ臨んで配設されている。前記デイタイムランニングランプ(以下、DRランプと称する)DRLは本発明が適用されたランプであり、前記エクステンション13に下辺に沿って開口された横長のランプ開口窓13cに臨んで配設されている。このDRランプDRLはハイビームランプHiLやロービームランプLoLを点灯したときに、これらのランプHiL,LoLから出射される光が自動車の前方を照射する際の邪魔にならない位置に配設されている。
【0015】
前記DRランプDRLは、図2に示すように、複数個、ここでは8個のランプユニットLUをヘッドランプHLのランプ光軸Lxと垂直な水平方向に沿って配列した構成であり、図4にその一部の外観斜視図を示すように、各ランプユニットLUをヘッドランプHLの前面形状に沿ってランプ光軸Lxに段階的にずらして配置している。図5はこれらランプユニットLUのうち、1つのランプユニットLUの部分分解斜視図、図6は拡大断面図である。アルミニウム等の熱伝導性の高い金属板を加工したヒートシンク2と、このヒートシンク2の下側に支持されて光源としてのLED30を搭載したプリント基板3と、前記ヒートシンク2の上側に支持されたリフレクタ4とで構成されている。ヒートシンク2は矩形の金属板の後縁部22を上方に曲げたL字断面形状に形成しており、この後端部22において前記ランプボディ11の一部にネジ23によって固定支持されている。前記ヒートシンク2の平面部21の所定位置には板厚方向に貫通されたLED窓24が開口されている。
【0016】
前記プリント基板3は所要形状をした絶縁板31の表裏両面にそれぞれ銅箔等からなる導電膜32,33が一体に形成されている。また、プリント基板3の表面には前記ヒートシンク2のLED窓24に対応して光源としてのLED30が搭載され、表面の導電膜32に半田付け等によって電気接続され、この導電膜32を通してLED30への給電が行われる。ここで、表面の導電膜3は絶縁板31の上面の可及的に広い範囲にわたって形成されている。前記絶縁板31には板厚方向に貫通する複数のスルーホール34が形成されており、表面の導電膜32と裏面の導電膜33とを相互に電気接続している。なお、表面の導電膜32には伝熱性の高い絶縁膜35、例えば絶縁レジスト膜や伝熱性の高い絶縁シートを被着状態に形成しており、導電膜32の表面を絶縁保護している。
【0017】
そして、前記プリント基板3は、前記ヒートシンク2の平面部21の下面に沿って配設された状態でヒートシンク2にネジ36とナット37とで固定支持されている。この支持された状態ではプリント基板3の表面に搭載されたLED30は前記ヒートシンク2のLED窓24内に配置され、LED30の発光面はヒートシンク2の上面側に露呈される。また、プリント基板3の表面の導電膜32は絶縁膜35を介してヒートシンク2の平面部21の下面に密接されるが、絶縁膜35によって導電膜32とヒートシンク2との電気的な短絡は防止される。
【0018】
前記リフレクタ4は前記ヒートシンク2の上面に前記プリント基板3と共に前記ネジ36とナット37により固定支持されている。リフレクタ4はヒートシンク2に固定支持したときにLED30を焦点とする回転放物面を一部に有し、前面側を開口したやや偏平な半割り容器状をしたリフレクタ部41と、このリフレクタ部41から後方に向けて突出されたフランジ部42とを備えており、このフランジ部42において前記ヒートシンク2に固定支持されている。リフレクタ部41の内面は例えばアルミニウムめっき等の光反射面となるような表面処理が施されている。
【0019】
なお、ここで前記LED30の給電回路を構成するのに必要とされる複数の抵抗器は前記プリント基板3には搭載しておらず、これらの抵抗器は、図1に示すように、別に設けた第2のプリント基板5に搭載して前記プリント基板3に対して電気コード6で電気接続している。また、図示は省略するが8個のランプユニットLUの各プリント基板3は相互に電気コードで接続され、前記第2のプリント基板5に電気接続され、この第2のプリント基板5を介して車載バッテリに電気接続されている。そのため、各ランプユニットLUにおいては、プリント基板3の少なくとも表面の導電膜32にはLED30以外の電子部品は搭載されておらず、表面は平坦にされ前記ヒートシンク2の下面に対して密接される。前記第2のプリント基板5はヘッドランプHLの外部に露見されることがないように前記エクステンション13によって覆い隠されるランプハウジング1内の空いたスペースにおいてランプボディ11に固定支持されている。
【0020】
このヘッドランプHLによれば、昼間走行時にDRライトDRLを点灯すると、8個のランプユニットLUの各LED30は発光され、図6に示すように、各LED30から出射された光はそれぞれLED窓24を通してリフレクタ4の内面に投射され、ここで反射されてランプ光軸Lxに沿った自動車の前方に向けて出射される。これらの光はエクステンション13に設けたランプ開口窓13cを通して自動車の前方に照射される。LED30の発光に伴って各LED30には熱が発生するが、発生した熱の一部は輻射熱としてリフレクタ4に伝熱され、リフレクタ4の外面から放熱されるとともにリフレクタ4を固定しているヒートシンク2に伝熱され、ヒートシンク2から放熱される。また、LED30で発生した熱の他の一部は搭載しているプリント基板3に伝熱され、さらにプリント基板3を固定しているヒートシンク2に伝熱され、ヒートシンク2から放熱される。ヒートシンク2は後縁部22を上方に曲げているることによりヒートシンク2の平面面積を小さくしながらもその一方で全体の表面積を大きくし、ヒートシンク2における放熱効果を高めることが可能である。
【0021】
ここで、LED30は表面の導電膜32に搭載されているので、LED30からの熱は効率良く表面の導電膜32に伝導熱されることになる。そして、表面の導電膜32に伝熱された熱はプリント基板3のほぼ全面にわたって拡散状態に伝熱されるとともに、表面の導電膜32はほぼ全面においてヒートシンク2の平面部21の下面に密接状態で対向されているのでヒートシンク2への伝熱性が高められ、放熱効果が高められる。このとき、プリント基板3の表面の導電膜32は絶縁膜35によりヒートシンク2との電気短絡が防止されているが、絶縁膜35を構成している絶縁レジストや絶縁シートは薄く、しかも伝熱性の高い素材を用いているのでプリント基板3からヒートシンク2への伝熱性が抑制されることはない。
【0022】
これに加えて、プリント基板3では表面の導電膜32に伝熱された熱の一部はスルーホール34を通して裏面の導電膜33に伝熱される。裏面の導電膜33はほぼ全面が露呈されているので、裏面の導電膜33に伝熱された熱はその表面の全面において放熱されることになり、放熱効果をさらに高めることになる。
【0023】
したがって、プリント基板3にLED30を搭載することでランプユニットLUないしはDRランプDRLの平面面積が増加することを防止する一方で、プリント基板3を介してのLED30の放熱効果を高めることができる。これにより、特許文献1に比較して部品点数を削減した小型のランプが構成できるとともに、特許文献2に比較して放熱効果の高いランプ、換言すればLEDの熱劣化による光度の低下が生じることがないランプが構成できる。
【0024】
(実施形態2)
図7は実施形態2の断面図であり、実施形態1と等価な部分には同一符号を付してある。実施形態2は、プリント基板3の裏面の導電膜33に絶縁膜38を介して金属板からなる第2のヒートシンク2Aを密接させ、これらをネジ36及びナット37によりヒートシンク2やリフレクタ4に共締めした構成とし、第2のヒートシンク2Aによる熱容量の増大と放熱面積の増大とによって裏面の導電膜33における放熱効果をさらに高めることが可能になる。この第2のヒートシンク2Aは絶縁性の接着剤によって裏面の導電膜33に接着してもよい。さらに、図示は省略するが、プリント基板3に形成するスルーホール34の数を増やして表面の導電膜32から裏面の導電膜33への伝熱経路数を増大して裏面の導電膜33への伝熱効率を高めて放熱効果を高めるようにしてもよい。
【0025】
(実施形態3)
図8は実施形態3の断面図であり、実施形態1と等価な部分には同一符号を付してある。実施形態3はプリント基板の表面の導電膜32のみでも十分な放熱が確保できる場合には、絶縁板31の表面にのみ導電膜32を有する片面プリント基板3Aで構成するようにしてもよい。この場合には、片面プリント基板3Aには裏面に導電膜が存在しないためこの裏面の導電膜による放熱効果は期待できないが、片面プリント基板3Aは低価格に構成できるため低価格のDRランプが実現できる。
【0026】
(実施形態4)
図9は実施形態4の断面図であり、実施形態1と等価な部分には同一符号を付してある。実施形態4はヒートシンク2Bをコ字状に曲げた金属板で形成し、その上面部25にLED窓24を開口するとともに、この上面部25の下面にLED30を搭載したプリント基板3を対向し、また上面部25の上面にリフレクタ4を載置し、これらをネジ36とナット37により締結して一体化している。また、ヒートシンク2Bの下面部26は支障のない範囲で面積を大きく形成し、その一部においてネジ23によりランプボディ11の一部に固定支持している。プリント基板3の構成は実施形態1と同じであり、図には表れないが絶縁板の表裏にそれぞれ導電膜を有しており、表面の導電膜はヒートシンク2Bの上面部25に密接されている。また、裏面の導電膜はヒートシンク2Bの下面部26に可及的に近接するように対向配置している。
【0027】
実施形態4では、LED30で発生した熱は実施形態1と同様にプリント基板3の表面の導電膜に伝熱され、さらにヒートシンク2Bの上面部25に伝熱されてヒートシンク2Bから放熱される。また、表面の導電膜からスルーホールを介して裏面の導電膜に伝熱され、裏面の導電膜から放熱されることも実施形態1と同じであるが、裏面の導電膜に伝熱された熱は裏面の導電膜に対向配置されているヒートシンク2Bの下面部26に輻射熱によって伝熱されるので、ヒートシンク2Bの下面部26の熱容量と放熱面積の増大とによって放熱効果を高めることが可能になる。
【0028】
(実施形態5)
図10は実施形態5の断面図であり、実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。実施形態5はヒートシンク2Cを逆L字状に曲げた金属板で形成し、その平面部27にLED窓24を開口するとともに、この平面部27の下面にLED30を搭載したプリント基板3を対向し、平面部27の上面にリフレクタ4を載置し、これらをネジ36とナット37により締結して一体化している。また、ヒートシンク2Cの前面部28は幾分下方に曲げ形成するとともに支障のない範囲で面積を大きく形成し、ランプハウンジグ1内に配設したエクステンション13の下辺部の裏面に微小間隔で対向配置している。プリント基板の構成は実施形態1と同じである。
【0029】
実施形態5では、LED30で発生した熱は実施形態1と同様にプリント基板3の表面の導電膜に伝熱され、さらにヒートシンク2Cの平面部27に伝熱されてヒートシンク2Cから放熱される。また、表面の導電膜からスルーホールを介して裏面の導電膜に伝熱され、裏面の導電膜から放熱されることも実施形態1と同じである。さらに、ヒートシンク2Cは前面部28が微小間隔をおいてエクステンション13に対向配置されているので、この前面部28に伝熱された熱は輻射熱によってエクステンション13に伝熱される。エクステンション13は絶縁樹脂で形成されているが表面にはアルミニウムめっきやアルミニウム塗装等の表面処理が施されており、これらのアルミニウム膜によって伝熱性が高められているので、これによりヒートシンク2Cの前面部28の実質的な熱容量と放熱面積がエクステンション13によって増大されることになり、放熱効果を高めることが可能になる。
【0030】
(実施形態6)
実施形態1〜5では1つのLEDでランプユニットLUを構成しているが、1つのランプユニットLUに複数のLEDを搭載した構成としてもよい。例えば、実施形態6は図11に示すように、4つのLEDでランプユニットLUを構成している。すなわち、ヒートシンク2Dは横長の金属板で形成され、平面部21には4個のLED窓24を開口している。プリント基板3Bもヒートシンクに対応して横長形状に形成され、前記LED窓24にそれぞれ対応する位置に4個のLED30を搭載している。また、リフレクタ4Aは実施形態1〜5と同じ構成をした4個のリフクレタ部41を横方向に連結して一体化した構成としている。そして、これらヒートシンク2Dとプリント基板3Bとリフレクタ4Aを図には表れないネジにより一体化する。
【0031】
実施形態6ではDRランプを構成するランプユニットの数を低減でき、構成の簡略化や低価格化を実現する上で有利になる。また、4個のLED30のそれぞれで発生する熱はプリント基板3Bの表面の導電膜に伝熱され、ここからヒートシンク2Dに伝熱されて放熱されることは実施形態1と同じである。特に実施形態6では、4個のLED30からの熱は一体化してプリント基板3Bからヒートシンク2Dに伝熱されて放熱されるので、各LED30における放熱効果を均一化し、ランプユニットLU全体の放熱効果を高めことが可能である。
【0032】
なお、実施形態1ではヘッドランプHL内にランプユニットLUを複数配置した例を示したが、この実施形態6の変形例として、1つのリフレクタに複数のヒートシンク及びLEDをそれぞれ搭載した複数のプリント基板を取り付けてヘッドランプHL内に配置するようにしてもよい。
【0033】
実施形態1〜6では光源にLEDを用いているが、レーザダイオード等のように発光したときに熱を発生し、この熱によって発光効率が低下する発光素子であればLED以外の他の発光素子を用いることも可能である。また、この種の発光素子を光源とするランプであれば、実施形態1〜3で示した自動車のDRランプに限られるものではない。例えば、自動車のクリアランスランプとして構成することも可能である。さらに、実施形態1〜3では8個のLEDで構成したランプに適用した例を示しているが、この数に限られるものではなく、構成するランプに要求される光度やサイズに応じて任意の数のLEDで構成することが可能である。
【0034】
本発明にかかるヒートシンクは実施形態1〜6の形状、構成に限られるものではなく、LEDをプリント基板の表面の導電膜上に搭載した上で、当該表面の導電膜を対向した状態で固定支持する構成のヒートシンクであれば、ランプの形状や、当該ランプを内装するランプハウジングの形状等に応じて適宜に変形することは可能である。
【0035】
また、本発明は発光素子を回路基板に搭載し、かつ回路基板を支持するヒートシンクを備える灯具であれば、発光素子から出射した光を直接照射するリフレクタを有しない構成の灯具においても同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は発光したときに熱を発生する発光素子を光源とする灯具であれば自動車のランプに限られるものではなく、種々の車両用の灯具として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ランプハウジング
2,2A〜2D ヒートシンク
3,3A,3B プリント基板
4,4A リフレクタ
5 第2のプリント基板
6 電気コード
11 ランプボディ
12 前面カバー
13 エクステンション
24 LED窓
30 LED
31 絶縁板
32 表面の導電膜
33 裏面の導電膜
HL ヘッドランプ
HiL ハイビームランプ
LoL ロービームランプ
DRL デイタイムランニングランプ
LU ランプユニット
【技術分野】
【0001】
本発明はLED(発光ダイオード)等の発光素子を光源とする車両用灯具に関し、特に発光素子の放熱効果を高めた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両用灯具として光源にLEDを採用するものが提供されている。LEDは半導体で形成されているため発光時に発生する熱によってLED自体の温度が上昇すると発光特性が低下し、灯具全体の光度が低下してしまう。また、LEDが劣化して寿命が短くなるおそれもある。そのため、従来からLEDの放熱効果を高めるようにした種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、LEDをヒートシンクの表面に搭載してホルダで固定することで、LEDで発生した熱を直接ヒートシンクに伝達して放熱を行う技術が提案されている。また、LEDに給電を行うためにヒートシンクの別の場所に給電用のプリント基板を搭載し、ホルダに設けた金属配線体によってLEDとプリント基板とを電気接続している。
【0003】
また、特許文献2では、LEDをプリント基板に搭載した上で、このプリント基板をヒートシンクに搭載し、LEDで発生した熱をプリント基板に伝熱し、さらにヒートシンクに伝達した上でヒートシンクから放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−186796号公報
【特許文献2】特開2004−55229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術はヒートシンク上にそれぞれLEDとプリント基板を搭載し、LEDとプリント基板とをホルダの金属配線体で電気接続しているため、構成部品点数が多くなるとともにヒートシンクにはこれらLEDとプリント基板を搭載するための面積を確保する必要がありヒートシンクが大型化し、小型の灯具には適用が難しい。特許文献2の技術は部品点数の削減とヒートシンクの小型化を図る上では有利であるが、プリント基板は絶縁板を主体に構成されているため、LEDからプリント基板、さらにヒートシンクに向けての熱の伝達効率が低く、十分な放熱効果が得られないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、プリント基板等の回路基板にLED等の発光素子を搭載して小型化を実現する一方で発光素子からヒートシンクへの伝熱効率を高めて放熱効果を高めることを可能にした車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光源としての発光素子と、発光素子を搭載した回路基板と、回路基板を支持するヒートシンクとを備える車両用灯具であって、回路基板は表面に発光素子を搭載するとともに当該発光素子に接続された導電膜を備え、当該導電膜がヒートシンクに密接した状態で当該ヒートシンクに支持されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、次の形態とすることが好ましい。
(1)ヒートシンクには発光素子を露呈させるための窓が開口されており、露呈された発光素子から出射される光を反射するリフレクタがヒートシンクに支持される。
(2)回路基板の表面には発光素子以外の電子素子が搭載されていない。
(3)導電膜は伝熱性のある絶縁層を介してヒートシンクに密接される。
【0009】
また、本発明は、ランプハウジング内に複数のランプが内装された複合型の車両用灯具であって、少なくとも1つのランプを前記本発明の灯具で構成し、当該1つのランプは他のランプから出射される光を邪魔しない位置に配設される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発光素子で発生した熱は回路基板の導電膜に伝熱され、さらにヒートシンクに伝熱されてヒートシンクから放熱される。導電膜はヒートシンクに密接した状態とされるため、導電膜からヒートシンクへの伝熱性が高められ、放熱性が向上される。
【0011】
ここで、回路基板に搭載された発光素子はヒートシンクに設けた窓を通して露呈され、発光した光をヒートシンクに支持したリフレクタによって反射して光照射が可能になる。回路基板の表面には発光素子以外の電子素子を搭載していないので、導電膜の全面をヒートシンクに密接でき、伝熱性を高めて放熱性を向上する。導電膜は伝熱性のある絶縁膜を介してヒートシンクに密接されるので、伝熱効果を高める一方で導電膜がヒートシンクに電気的に短絡することはない。
【0012】
本発明によれば、本発明のランプを含む複数のランプで複合型のランプを構成した場合でも、本発明のランプ及び他のランプのそれぞれから照射される光の配光に影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1のデイタイムランニングランプを備えるヘッドランプの一部を破断した概略正面図。
【図2】図1のII−II線に沿う概略断面図。
【図3】図1のIII − III線に沿う概略断面図。
【図4】デイタイムランニングランプの一部の概略構成を示す外観斜視図。
【図5】デイタムランニングランプのランプユニットの部分分解斜視図。
【図6】ランプユニットの拡大断面図。
【図7】実施形態2の断面図。
【図8】実施形態3の断面図。
【図9】実施形態4の断面図。
【図10】実施形態5の断面図。
【図11】実施形態6の概略構成を示す部分分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明を自動車のヘッドランプHLに適用した実施形態1の概略正面図、図2は図1のII−II線に沿う概略断面図、図3は図1のIII − III線に沿う概略断面図である。容器状をしたランプボディ11と、ランプボディ11の前面開口に取着された透明樹脂からなる前面カバー12とでランプハウジング1が構成されており、このランプハウジング1の内部にハイビームランプHiLとロービームランプLoLとデイタイムランニングランプDRLが内装されている。ハイビームランプHiLはハロゲンバルブを光源としたプロジェクタ型ランプとして構成され、ロービームランプLoLは放電バルブを光源とした同じくプロジェクタ型ランプとして構成されており、いずれも発光素子を光源とする本発明との関係が少ないのでこれらの内部構成についての詳細な説明は省略する。これらハイビームランプHiLとロービームランプLoLはランプハウジング1内に配設された疑似リフレクタとしてのエクステンション13に左右に並んで開口された2つの円形窓13a,13bにそれぞれ臨んで配設されている。前記デイタイムランニングランプ(以下、DRランプと称する)DRLは本発明が適用されたランプであり、前記エクステンション13に下辺に沿って開口された横長のランプ開口窓13cに臨んで配設されている。このDRランプDRLはハイビームランプHiLやロービームランプLoLを点灯したときに、これらのランプHiL,LoLから出射される光が自動車の前方を照射する際の邪魔にならない位置に配設されている。
【0015】
前記DRランプDRLは、図2に示すように、複数個、ここでは8個のランプユニットLUをヘッドランプHLのランプ光軸Lxと垂直な水平方向に沿って配列した構成であり、図4にその一部の外観斜視図を示すように、各ランプユニットLUをヘッドランプHLの前面形状に沿ってランプ光軸Lxに段階的にずらして配置している。図5はこれらランプユニットLUのうち、1つのランプユニットLUの部分分解斜視図、図6は拡大断面図である。アルミニウム等の熱伝導性の高い金属板を加工したヒートシンク2と、このヒートシンク2の下側に支持されて光源としてのLED30を搭載したプリント基板3と、前記ヒートシンク2の上側に支持されたリフレクタ4とで構成されている。ヒートシンク2は矩形の金属板の後縁部22を上方に曲げたL字断面形状に形成しており、この後端部22において前記ランプボディ11の一部にネジ23によって固定支持されている。前記ヒートシンク2の平面部21の所定位置には板厚方向に貫通されたLED窓24が開口されている。
【0016】
前記プリント基板3は所要形状をした絶縁板31の表裏両面にそれぞれ銅箔等からなる導電膜32,33が一体に形成されている。また、プリント基板3の表面には前記ヒートシンク2のLED窓24に対応して光源としてのLED30が搭載され、表面の導電膜32に半田付け等によって電気接続され、この導電膜32を通してLED30への給電が行われる。ここで、表面の導電膜3は絶縁板31の上面の可及的に広い範囲にわたって形成されている。前記絶縁板31には板厚方向に貫通する複数のスルーホール34が形成されており、表面の導電膜32と裏面の導電膜33とを相互に電気接続している。なお、表面の導電膜32には伝熱性の高い絶縁膜35、例えば絶縁レジスト膜や伝熱性の高い絶縁シートを被着状態に形成しており、導電膜32の表面を絶縁保護している。
【0017】
そして、前記プリント基板3は、前記ヒートシンク2の平面部21の下面に沿って配設された状態でヒートシンク2にネジ36とナット37とで固定支持されている。この支持された状態ではプリント基板3の表面に搭載されたLED30は前記ヒートシンク2のLED窓24内に配置され、LED30の発光面はヒートシンク2の上面側に露呈される。また、プリント基板3の表面の導電膜32は絶縁膜35を介してヒートシンク2の平面部21の下面に密接されるが、絶縁膜35によって導電膜32とヒートシンク2との電気的な短絡は防止される。
【0018】
前記リフレクタ4は前記ヒートシンク2の上面に前記プリント基板3と共に前記ネジ36とナット37により固定支持されている。リフレクタ4はヒートシンク2に固定支持したときにLED30を焦点とする回転放物面を一部に有し、前面側を開口したやや偏平な半割り容器状をしたリフレクタ部41と、このリフレクタ部41から後方に向けて突出されたフランジ部42とを備えており、このフランジ部42において前記ヒートシンク2に固定支持されている。リフレクタ部41の内面は例えばアルミニウムめっき等の光反射面となるような表面処理が施されている。
【0019】
なお、ここで前記LED30の給電回路を構成するのに必要とされる複数の抵抗器は前記プリント基板3には搭載しておらず、これらの抵抗器は、図1に示すように、別に設けた第2のプリント基板5に搭載して前記プリント基板3に対して電気コード6で電気接続している。また、図示は省略するが8個のランプユニットLUの各プリント基板3は相互に電気コードで接続され、前記第2のプリント基板5に電気接続され、この第2のプリント基板5を介して車載バッテリに電気接続されている。そのため、各ランプユニットLUにおいては、プリント基板3の少なくとも表面の導電膜32にはLED30以外の電子部品は搭載されておらず、表面は平坦にされ前記ヒートシンク2の下面に対して密接される。前記第2のプリント基板5はヘッドランプHLの外部に露見されることがないように前記エクステンション13によって覆い隠されるランプハウジング1内の空いたスペースにおいてランプボディ11に固定支持されている。
【0020】
このヘッドランプHLによれば、昼間走行時にDRライトDRLを点灯すると、8個のランプユニットLUの各LED30は発光され、図6に示すように、各LED30から出射された光はそれぞれLED窓24を通してリフレクタ4の内面に投射され、ここで反射されてランプ光軸Lxに沿った自動車の前方に向けて出射される。これらの光はエクステンション13に設けたランプ開口窓13cを通して自動車の前方に照射される。LED30の発光に伴って各LED30には熱が発生するが、発生した熱の一部は輻射熱としてリフレクタ4に伝熱され、リフレクタ4の外面から放熱されるとともにリフレクタ4を固定しているヒートシンク2に伝熱され、ヒートシンク2から放熱される。また、LED30で発生した熱の他の一部は搭載しているプリント基板3に伝熱され、さらにプリント基板3を固定しているヒートシンク2に伝熱され、ヒートシンク2から放熱される。ヒートシンク2は後縁部22を上方に曲げているることによりヒートシンク2の平面面積を小さくしながらもその一方で全体の表面積を大きくし、ヒートシンク2における放熱効果を高めることが可能である。
【0021】
ここで、LED30は表面の導電膜32に搭載されているので、LED30からの熱は効率良く表面の導電膜32に伝導熱されることになる。そして、表面の導電膜32に伝熱された熱はプリント基板3のほぼ全面にわたって拡散状態に伝熱されるとともに、表面の導電膜32はほぼ全面においてヒートシンク2の平面部21の下面に密接状態で対向されているのでヒートシンク2への伝熱性が高められ、放熱効果が高められる。このとき、プリント基板3の表面の導電膜32は絶縁膜35によりヒートシンク2との電気短絡が防止されているが、絶縁膜35を構成している絶縁レジストや絶縁シートは薄く、しかも伝熱性の高い素材を用いているのでプリント基板3からヒートシンク2への伝熱性が抑制されることはない。
【0022】
これに加えて、プリント基板3では表面の導電膜32に伝熱された熱の一部はスルーホール34を通して裏面の導電膜33に伝熱される。裏面の導電膜33はほぼ全面が露呈されているので、裏面の導電膜33に伝熱された熱はその表面の全面において放熱されることになり、放熱効果をさらに高めることになる。
【0023】
したがって、プリント基板3にLED30を搭載することでランプユニットLUないしはDRランプDRLの平面面積が増加することを防止する一方で、プリント基板3を介してのLED30の放熱効果を高めることができる。これにより、特許文献1に比較して部品点数を削減した小型のランプが構成できるとともに、特許文献2に比較して放熱効果の高いランプ、換言すればLEDの熱劣化による光度の低下が生じることがないランプが構成できる。
【0024】
(実施形態2)
図7は実施形態2の断面図であり、実施形態1と等価な部分には同一符号を付してある。実施形態2は、プリント基板3の裏面の導電膜33に絶縁膜38を介して金属板からなる第2のヒートシンク2Aを密接させ、これらをネジ36及びナット37によりヒートシンク2やリフレクタ4に共締めした構成とし、第2のヒートシンク2Aによる熱容量の増大と放熱面積の増大とによって裏面の導電膜33における放熱効果をさらに高めることが可能になる。この第2のヒートシンク2Aは絶縁性の接着剤によって裏面の導電膜33に接着してもよい。さらに、図示は省略するが、プリント基板3に形成するスルーホール34の数を増やして表面の導電膜32から裏面の導電膜33への伝熱経路数を増大して裏面の導電膜33への伝熱効率を高めて放熱効果を高めるようにしてもよい。
【0025】
(実施形態3)
図8は実施形態3の断面図であり、実施形態1と等価な部分には同一符号を付してある。実施形態3はプリント基板の表面の導電膜32のみでも十分な放熱が確保できる場合には、絶縁板31の表面にのみ導電膜32を有する片面プリント基板3Aで構成するようにしてもよい。この場合には、片面プリント基板3Aには裏面に導電膜が存在しないためこの裏面の導電膜による放熱効果は期待できないが、片面プリント基板3Aは低価格に構成できるため低価格のDRランプが実現できる。
【0026】
(実施形態4)
図9は実施形態4の断面図であり、実施形態1と等価な部分には同一符号を付してある。実施形態4はヒートシンク2Bをコ字状に曲げた金属板で形成し、その上面部25にLED窓24を開口するとともに、この上面部25の下面にLED30を搭載したプリント基板3を対向し、また上面部25の上面にリフレクタ4を載置し、これらをネジ36とナット37により締結して一体化している。また、ヒートシンク2Bの下面部26は支障のない範囲で面積を大きく形成し、その一部においてネジ23によりランプボディ11の一部に固定支持している。プリント基板3の構成は実施形態1と同じであり、図には表れないが絶縁板の表裏にそれぞれ導電膜を有しており、表面の導電膜はヒートシンク2Bの上面部25に密接されている。また、裏面の導電膜はヒートシンク2Bの下面部26に可及的に近接するように対向配置している。
【0027】
実施形態4では、LED30で発生した熱は実施形態1と同様にプリント基板3の表面の導電膜に伝熱され、さらにヒートシンク2Bの上面部25に伝熱されてヒートシンク2Bから放熱される。また、表面の導電膜からスルーホールを介して裏面の導電膜に伝熱され、裏面の導電膜から放熱されることも実施形態1と同じであるが、裏面の導電膜に伝熱された熱は裏面の導電膜に対向配置されているヒートシンク2Bの下面部26に輻射熱によって伝熱されるので、ヒートシンク2Bの下面部26の熱容量と放熱面積の増大とによって放熱効果を高めることが可能になる。
【0028】
(実施形態5)
図10は実施形態5の断面図であり、実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。実施形態5はヒートシンク2Cを逆L字状に曲げた金属板で形成し、その平面部27にLED窓24を開口するとともに、この平面部27の下面にLED30を搭載したプリント基板3を対向し、平面部27の上面にリフレクタ4を載置し、これらをネジ36とナット37により締結して一体化している。また、ヒートシンク2Cの前面部28は幾分下方に曲げ形成するとともに支障のない範囲で面積を大きく形成し、ランプハウンジグ1内に配設したエクステンション13の下辺部の裏面に微小間隔で対向配置している。プリント基板の構成は実施形態1と同じである。
【0029】
実施形態5では、LED30で発生した熱は実施形態1と同様にプリント基板3の表面の導電膜に伝熱され、さらにヒートシンク2Cの平面部27に伝熱されてヒートシンク2Cから放熱される。また、表面の導電膜からスルーホールを介して裏面の導電膜に伝熱され、裏面の導電膜から放熱されることも実施形態1と同じである。さらに、ヒートシンク2Cは前面部28が微小間隔をおいてエクステンション13に対向配置されているので、この前面部28に伝熱された熱は輻射熱によってエクステンション13に伝熱される。エクステンション13は絶縁樹脂で形成されているが表面にはアルミニウムめっきやアルミニウム塗装等の表面処理が施されており、これらのアルミニウム膜によって伝熱性が高められているので、これによりヒートシンク2Cの前面部28の実質的な熱容量と放熱面積がエクステンション13によって増大されることになり、放熱効果を高めることが可能になる。
【0030】
(実施形態6)
実施形態1〜5では1つのLEDでランプユニットLUを構成しているが、1つのランプユニットLUに複数のLEDを搭載した構成としてもよい。例えば、実施形態6は図11に示すように、4つのLEDでランプユニットLUを構成している。すなわち、ヒートシンク2Dは横長の金属板で形成され、平面部21には4個のLED窓24を開口している。プリント基板3Bもヒートシンクに対応して横長形状に形成され、前記LED窓24にそれぞれ対応する位置に4個のLED30を搭載している。また、リフレクタ4Aは実施形態1〜5と同じ構成をした4個のリフクレタ部41を横方向に連結して一体化した構成としている。そして、これらヒートシンク2Dとプリント基板3Bとリフレクタ4Aを図には表れないネジにより一体化する。
【0031】
実施形態6ではDRランプを構成するランプユニットの数を低減でき、構成の簡略化や低価格化を実現する上で有利になる。また、4個のLED30のそれぞれで発生する熱はプリント基板3Bの表面の導電膜に伝熱され、ここからヒートシンク2Dに伝熱されて放熱されることは実施形態1と同じである。特に実施形態6では、4個のLED30からの熱は一体化してプリント基板3Bからヒートシンク2Dに伝熱されて放熱されるので、各LED30における放熱効果を均一化し、ランプユニットLU全体の放熱効果を高めことが可能である。
【0032】
なお、実施形態1ではヘッドランプHL内にランプユニットLUを複数配置した例を示したが、この実施形態6の変形例として、1つのリフレクタに複数のヒートシンク及びLEDをそれぞれ搭載した複数のプリント基板を取り付けてヘッドランプHL内に配置するようにしてもよい。
【0033】
実施形態1〜6では光源にLEDを用いているが、レーザダイオード等のように発光したときに熱を発生し、この熱によって発光効率が低下する発光素子であればLED以外の他の発光素子を用いることも可能である。また、この種の発光素子を光源とするランプであれば、実施形態1〜3で示した自動車のDRランプに限られるものではない。例えば、自動車のクリアランスランプとして構成することも可能である。さらに、実施形態1〜3では8個のLEDで構成したランプに適用した例を示しているが、この数に限られるものではなく、構成するランプに要求される光度やサイズに応じて任意の数のLEDで構成することが可能である。
【0034】
本発明にかかるヒートシンクは実施形態1〜6の形状、構成に限られるものではなく、LEDをプリント基板の表面の導電膜上に搭載した上で、当該表面の導電膜を対向した状態で固定支持する構成のヒートシンクであれば、ランプの形状や、当該ランプを内装するランプハウジングの形状等に応じて適宜に変形することは可能である。
【0035】
また、本発明は発光素子を回路基板に搭載し、かつ回路基板を支持するヒートシンクを備える灯具であれば、発光素子から出射した光を直接照射するリフレクタを有しない構成の灯具においても同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は発光したときに熱を発生する発光素子を光源とする灯具であれば自動車のランプに限られるものではなく、種々の車両用の灯具として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ランプハウジング
2,2A〜2D ヒートシンク
3,3A,3B プリント基板
4,4A リフレクタ
5 第2のプリント基板
6 電気コード
11 ランプボディ
12 前面カバー
13 エクステンション
24 LED窓
30 LED
31 絶縁板
32 表面の導電膜
33 裏面の導電膜
HL ヘッドランプ
HiL ハイビームランプ
LoL ロービームランプ
DRL デイタイムランニングランプ
LU ランプユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としての発光素子と、前記発光素子を搭載した回路基板と、前記回路基板を支持するヒートシンクとを備える車両用灯具であって、前記回路基板は表面に前記発光素子を搭載するとともに当該発光素子に接続された導電膜を備え、当該導電膜が前記ヒートシンクに密接した状態で当該ヒートシンクに支持されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ヒートシンクには前記発光素子を露呈させるための窓が開口され、露呈された発光素子から出射される光を反射するリフレクタが前記ヒートシンクに支持されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記回路基板の表面には発光素子以外の電子素子が搭載されていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導電膜は伝熱性のある絶縁層を介して前記ヒートシンクに密接されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
ランプハウジング内に複数のランプが内装された複合型の車両用灯具であって、少なくとも1つのランプを請求項1〜4のいずれかの灯具で構成し、当該1つのランプは他のランプから出射される光を邪魔しない位置に配設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項1】
光源としての発光素子と、前記発光素子を搭載した回路基板と、前記回路基板を支持するヒートシンクとを備える車両用灯具であって、前記回路基板は表面に前記発光素子を搭載するとともに当該発光素子に接続された導電膜を備え、当該導電膜が前記ヒートシンクに密接した状態で当該ヒートシンクに支持されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ヒートシンクには前記発光素子を露呈させるための窓が開口され、露呈された発光素子から出射される光を反射するリフレクタが前記ヒートシンクに支持されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記回路基板の表面には発光素子以外の電子素子が搭載されていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導電膜は伝熱性のある絶縁層を介して前記ヒートシンクに密接されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
ランプハウジング内に複数のランプが内装された複合型の車両用灯具であって、少なくとも1つのランプを請求項1〜4のいずれかの灯具で構成し、当該1つのランプは他のランプから出射される光を邪魔しない位置に配設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−182486(P2010−182486A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23632(P2009−23632)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】
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