説明

車両用灯具

【課題】導光体の発光制御をし易くして、光源の光を導光体の入射部から末端まで効率良く導光させて、少ない光源数で発光面積を確保することができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具0の導光体20は、LED光源17の光軸方向と交差する方向に配置され、LED光源17の光α1を導光する湾曲した導光部22と、この導光部22の後面側に配置され、LED光源17の光α2を導光部22の前面26側から照射方向へ向けて内面反射させる拡散ステップ25とを有している。また、導光部22の端部に、LED光源17からの光を導光部22内へ導光させる入射光制御部21をLED光源17の光軸方向に沿って一体的に備えている。また、導光部22の端部又は端部近傍で且つLED光源17の前方に配置され、LED光源17からの光を拡散ステップ25へ向けて拡散するように全反射する凸面状の反射部24を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯具照射方向に向けて配置されたLED光源の光を、該LED光源の前方近傍に配置された導光体に入射させて該導光体を発光させる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用灯具一例として、ランプボディと前面カバーで画成された灯室内に、バルブとリフレクタによりストップランプ配光を形成するとともに、前面カバーに沿って配置されたLED光源と帯状の導光体によりテールランプ配光を形成した車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1、図14参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−146722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1に開示された従来の車両用灯具では、LED光源の出射方向が導光方向と同じ方向になるように、LED光源を導光体の一端近傍に配置しているので、LED光源の搭載スペースが必要であった。そのため、限られた灯具スペースで導光体の発光面積を確保することが難しかった。
【0005】
また、LED光源の光を導光体の一端から入射させて先端部まで均一発光させるために、導光体の裏面側に拡散ステップを設けるが、LED光源の光を直接入射させるため、LED光源近傍には拡散ステップを設けることができなかった。そのため、導光体端部に無発光部が出来てしまうとともに、導光体の発光制御をするのが難しかった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、導光体の発光制御をし易くして、光源の光を導光体の入射部から末端まで効率良く導光させて、少ない光源数で発光面積を確保することができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、光源と、該光源の光軸上に配置された入射部と、該光源の光軸方向と交差する方向に配置され、前記入射部から入った光を導光する導光部と、該導光部の後面側に配置され、光を前記導光部の前面側から灯具照射方向へ向けて内面反射するステップとを有する導光体と、該導光体の端部又は端部近傍に配置され、前記光源からの光を前記ステップへ向けて反射する反射部と、を備えることを特徴とする車両用灯具により達成される。
【0008】
上記構成の車両用灯具によれば、導光体の端部又は端部近傍に配置され、光源からの光をステップへ向けて反射する反射部を備えているので、導光体の発光制御をし易くして、光源の光を導光体の入射部から末端まで効率良く導光させて、少ない光源数で発光面積を確保することができる。
【0009】
また、上記構成の車両用灯具において、前記導光体は、少なくとも前記導光部の一端部に、前記光源からの光を入射させる前記入射部を有する入射光制御部を前記光源の光軸方向に沿って備えていることが望ましい。
【0010】
このような構成の車両用灯具によれば、導光部の一端部に、光源の光軸方向に沿って入射光制御部を備えているので、光源の光を効率良く導光部内へ導光させることができる。
【0011】
また、上記構成の車両用灯具において、前記入射光制御部は、楕円面を有していることが望ましい。
【0012】
このような構成の車両用灯具によれば、楕円面の第1焦点に光源を配置して、第2焦点を導光部の端部近傍に形成することができるので、光源の光を効率良く導光部内へ導光させることができる。
【0013】
また、上記構成の車両用灯具において、前記反射部は、前記導光部の端部近傍に配置した別部材であることが望ましい。
【0014】
このような構成の車両用灯具によれば、導光体の入射部から漏れた光を別部材によって再び導光体に入射させる。即ち、光源の光の一部を入射部から導光部内へ導光させ、一部を反射部で反射させてから導光部内へ入射させることができ、光源の光を無駄なく有効利用して、効率良く導光部内へ導光させることができる。
なお、別部材としては、エクステンション等の灯室内の被覆部材の裏面に設けた反射面であり、或いはリフレクタ等の専用の反射部材である。エクステンションの場合、光源をエクステンションによって隠すことができる。
【0015】
また、上記構成の車両用灯具において、前記反射部は、前記光源の前方に配置されていることが望ましい。
【0016】
このような構成の車両用灯具によれば、光源が反射部の後方に配置されるので、光源を隠すことができ、正面視の見栄えの向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車両用灯具によれば、導光体の端部又は端部近傍に配置され、光源からの光をステップへ向けて反射する反射部を備えているので、導光体の発光制御をし易くして、光源の光を導光体の入射部から末端まで効率良く導光させて、少ない光源数で発光面積を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第1実施形態の車両用灯具の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の車両用灯具の要部拡大図である。
【図5】本発明に係る第3実施形態の車両用灯具の要部拡大図である。
【図6】本発明に係る第4実施形態の車両用灯具の要部拡大図である。
【図7】本発明に係る第5実施形態の車両用灯具の要部拡大図である。
【図8】本発明に係る第6実施形態の車両用灯具の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る車両用灯具の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態である車両用灯具10は、車両後方側が開口された形状で車体側に固定される樹脂製のランプボディ11と、ランプボディ11の開口部に取り付けられた赤色透明や無色透明の前面カバー12とを備えているポジションランプやテールアンドストップランプ等の標識灯に適したものである。
【0021】
車両用灯具10は、ランプボディ11と前面カバー12とで画成された灯室13内に、中心部に配置されたバルブ14とリフレクタ15により、例えばストップランプ配光を形成している。また、前面カバー12に沿って正面視でコ字状に配置された帯状の3個の導光体20,21,22と、導光体20の両端裏面側の近傍に取付けられた固定部材16に配置された4個のLED光源17とを備えている。このLED光源17と導光体20により、例えばテールランプ配光を形成している。また、ランプボディ11の開口部周辺には、エクステンション18が配置されている。
【0022】
図3に示すように、導光体20は、LED光源17の光軸方向と交差する方向に配置され、LED光源17の光α1を導光する湾曲した導光部22と、この導光部22の後面側に配置され、LED光源17の光α2を導光部22の前面26側から照射方向へ向けて内面反射させる拡散ステップ25とを有している。
【0023】
導光体20は、導光部22の端部に、LED光源17からの光α1,α2を入射させる入射面23を有する入射光制御部21をLED光源17の光軸方向に沿って一体的に備えている。また、導光体20は、導光部22の端部又は端部近傍で且つLED光源17の前方に配置され、LED光源17からの光α1,α2を拡散ステップ25へ向けて拡散するように全反射する凸面状の反射部24を備えている。
【0024】
LED光源17からの光α1,α2は、入射光制御部21の入射面23で平行光に変換され、反射部24で全反射して導光部22内に導光される。導光された光α1は、さらに導光部22の他端部方向に向って導光される。また、導光された光α2は、拡散ステップ25で内面反射して前面26側から照射方向へ出射される。
【0025】
上述した本実施形態の導光体20によれば、導光部22内の発光制御をし易くして、LED光源17の光α1,α2を導光部22の末端まで効率良く導光させて、少ない光源数で発光面積を確保することができる。
また、入射光制御部21によりLED光源17の光α1,α2を効率良く導光部22内へ導光させることができる。更に、LED光源17が入射光制御部21或いは反射部24の後方に配置されるので、LED光源17を隠すことができ、正面視の見栄えの向上を図ることができる。
【0026】
次に、本発明に係る車両用灯具の第2実施形態を図4に基づいて説明する。なお、上記第1実施形態と同一又は類似構成の部分については、同一符号又は類似符号を付すことで構成及び作用効果の説明は省略する。また、以下で説明する他の実施形態についても同様である。
【0027】
図4に示すように、第2実施形態である車両用灯具の導光体20Aは、上記導光体20と異なり、反射部27は平面状のカット面であり、導光部22は直線状である。
本実施形態の導光体20Aによれば、LED光源17からの光α1,α2は、入射光制御部21の入射面23で平行光に変換され、平面反射部27で全反射して導光部22内に導光される。導光された光α1は、拡散ステップ25で内面反射して前面26側から照射方向へ出射され、導光された光α2は、導光部22の他端部方向に向かって導光される。
【0028】
次に、本発明に係る車両用灯具の第3実施形態を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、第3実施形態である車両用灯具の導光体30は、入射光制御部31が凹面状の入射面33を有する楕円面を有している。この楕円面は、第2焦点37を導光部32裏面の端部近傍に形成するように形成されており、第1焦点位置にLED光源17が配置される。また、導光部32の末端面に、凹面状のアルミ蒸着面である反射部34が形成されている。
【0029】
本実施形態の導光体30によれば、LED光源17からの光α1,α2は、入射光制御部31の入射面33から入射し、楕円面で内面反射して第2焦点37で疑似発光部を形成する。その後、第2焦点37を通過した光α1は、導光部32の前面36と拡散ステップ35とで内面反射してから照射方向へ出射される。また、第2焦点37を通過した光α2は、反射部34で全反射してから導光部32の他端部方向に向って導光される。このように楕円面状の入射光制御部31によって、LED光源17の光α1,α2を効率良く導光部32内へ導光させることができる。
【0030】
次に、本発明に係る車両用灯具の第4実施形態を図6に基づいて説明する。
図6に示すように、第4実施形態である車両用灯具の導光体30Aは、上記導光体30の反射部34と異なり、導光部32の末端部近傍に配置した別部材であるエクステンション18(図2参照)の裏面側に形成したアルミ蒸着面19を反射部として使用する。
【0031】
本実施形態の導光体30Aによれば、入射光制御部31の入射面33から入射し、楕円面で内面反射して第2焦点37を通過した光α1は、導光部32の前面36と拡散ステップ35とで内面反射してから照射方向へ出射される。また、第2焦点37を通過した光α2は、一度導光部32から反射部であるエクステンション18へ向けて出射され、エクステンション18裏面のアルミ蒸着面19で全反射してから再び導光部32に入射し、導光部32の他端部方向に向って導光される。
【0032】
このように楕円面状の入射光制御部31によって、LED光源17の光α1,α2を効率良く導光部32内へ導光させるとともに、エクステンション18裏面を有効活用して反射部を形成することで、灯具コストの低減を図ることができる。
また、導光部32から漏れた光α2をアルミ蒸着面19で拾って再び導光部32に入射させることもできるので、LED光源17の光α1,α2を無駄なく、一層効率良く導光部32内へ導光させることができる。更に、エクステンション18によってLED光源17を隠すことができ、正面視の見栄えを一層向上させることができる。
【0033】
次に、本発明に係る車両用灯具の第5実施形態を図7に基づいて説明する。
図7に示すように、第5実施形態である車両用灯具の導光体40は、上記各実施形態と異なり入射光制御部を備えず、導光部42の端部裏面に入射面43を備えている。また、凹面状のアルミ蒸着面である反射部44が導光部42の末端面で、入射面43の近傍に形成されている。
【0034】
本実施形態の導光体40によれば、LED光源17から出射された光α1は、入射面43から入射し、アルミ蒸着面である反射部44で全反射してから導光部42の他端部方向に向って導光される。また、LED光源17から出射された光α2は、導光部42の前面46と拡散ステップ45とで内面反射してから照射方向へ出射される。
このように導光体40は、入射光制御部を備えてなく、シンプルな導光部42とすることができるので、灯具コストの低減を図ることができる。
【0035】
次に、本発明に係る車両用灯具の第6実施形態を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、第6実施形態である車両用灯具の導光体40Aは、上記導光体40の反射部44と異なり、導光部42の末端部近傍に配置した別部材であるエクステンション18の裏面側に形成したアルミ蒸着面19を反射部として使用する。
【0036】
本実施形態の導光体40Aによれば、LED光源17から出射された光α1は、直接エクステンション18のアルミ蒸着面19で全反射してから導光部42に入射し、導光部42の他端部方向に向って導光される。また、導光部42の入射面43から入射した光α2は、導光部42の前面46と拡散ステップ45とで内面反射してから照射方向へ出射される。
【0037】
このようにエクステンション18裏面を有効活用して反射部を形成することで、灯具コストの低減を図ることができる。また、LED光源17の一部の光α2を入射面43から入射させて導光部42内へ導光するとともに、一部の光α1を反射部であるアルミ蒸着面19で反射させてから導光部42内へ入射させるので、LED光源17の光α1,α2を無駄なく有効利用して、効率良く導光部42内へ導光させることができる。更に、エクステンション18によってLED光源17を隠すことができ、正面視の見栄えを一層向上させることができる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0039】
10…車両用灯具
11…ランプボディ
12…前面カバー
17…LED光源
18…エクステンション
19…アルミ蒸着面
20、20A、30、30A、40、40A…導光体
21、31…入射光制御部
22、32、42…導光部
23、33、43…入射面
24、34、44…反射部
25、35、45…拡散ステップ
26、36、46…前面
27…平面反射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
該光源の光軸上に配置された入射部と、
該光源の光軸方向と交差する方向に配置され、前記入射部から入った光を導光する導光部と、該導光部の後面側に配置され、光を前記導光部の前面側から灯具照射方向へ向けて内面反射するステップとを有する導光体と、
該導光体の端部又は端部近傍に配置され、前記光源からの光を前記ステップへ向けて反射する反射部と、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光体は、少なくとも前記導光部の一端部に、前記光源からの光を入射させる前記入射部を有する入射光制御部を前記光源の光軸方向に沿って備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記入射光制御部は、楕円面を有していることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記反射部は、前記導光部の端部近傍に配置した別部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記反射部は、前記光源の前方に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−198536(P2011−198536A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62135(P2010−62135)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】