説明

車両用灯具

【課題】導光体からの出射光の利用効率を向上させた車両用灯具を提供する。
【解決手段】灯具1の灯室S内に柱状の導光体10を設け、該導光体10の側面周方向所定位置に、灯具前方へ向けて光を反射させる第1内面反射ステップ16と、第1内面反射ステップ16の形成位置とは異なる位置に第2内面反射ステップ18を、導光体10の延在方向に沿って形成した。
導光体10内の導光を出射させる内面反射ステップを、導光体側面周方向に増やしたことで、導光体10内を光入射端部12から他方の端部13に向かう導光は、第1内面反射ステップ16で捕捉されなくとも第2内面反射ステップ18で捕捉されることから、その分他方の端部13から出射する光が大幅に減少し、本来損失光となる光が有効に取り出される。そして、第2内面反射ステップ18も、灯具前方側へ光を反射する所定位置に設ければ、導光体10からの出射光が灯具1の発光に有効に利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光により発光する導光体を備えた車両用灯具に係り、特に、導光体の光入射端部に入射した光源光が、導光体内で内面反射を繰り返しながら導光されるとともに、導光体側面所定領域に形成した内面反射ステップで反射されて出射することで発光する車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具としては、特許文献1に示すように、アウターカバーとランプボディで画成された灯室内に、灯室内左右方向に延在し、その一方の端部(光入射端部)に光源が配設され、その背面に形成された内面反射ステップで反射されて灯具前方(アウターカバー方向)へ光が出射される柱状の導光体と、該導光体の前面と対峙して導光体に沿って配設された透光性面状発光体と、で構成されたものがある。係る灯具では、光入射端部から導光体内へ入射した光源光が他方の端部に向かって導光されるとともに、内面反射ステップで反射されて導光体前面から灯具前方へ出射されることで、柱状導光体がライン状に発光し、柱状導光体を光源として面状発光体が帯状に発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−285667号公報(段落0008、図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような導光体では、光入射端部から入射して他方の端部に向かう導光の一部が、導光体前面から出射されずに(灯具前方へ向かわずに)、他方の端部からそのまま灯室内左右方向へ出射していた。このような、灯具前方へ向かわない方向への光出射は、車両用灯具の発光に寄与しないため、その分灯具としての発光効率が低下していた。即ち、導光体からの出射光の利用効率(取り出し効率)が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、前記した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、導光体からの出射光の利用効率を向上させた車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に係る車両用灯具においては、側面所定位置に内面反射ステップが設けられた柱状の導光体と、前記導光体の光入射端部に正対して設けられた光源と、を備え、前記光入射端部から入射した光源光が導光体内を導光するとともに前記内面反射ステップによって反射されて出射する車両用灯具において、該導光体の側面周方向所定位置に、灯具前方へ向けて光を反射させる第1の内面反射ステップを導光体延在方向に沿って形成し、前記第1の内面反射ステップ形成位置とは異なる前記導光体の側面周方向所定位置に、第2の内面反射ステップを導光体延在方向に沿って形成した。
【0007】
(作用)従来構造では、内面反射ステップは、灯具前方(アウターカバー方向)へ光を出射させるよう導光体側面周方向一箇所に形成されており、係る内面反射ステップで捕捉されなかった導光は、光入射端部から入射したものの、そのまま他方の端部から出射してしまい、灯具前方へ向かうことが無いため、導光体を介することで光源光からの光の一部が損失されていた。
【0008】
しかし、本願発明では、第1の内面反射ステップ形成位置とは異なる導光体側面周方向所定位置に第2の内面反射ステップを設けて、導光を出射させる内面反射ステップを導光体側面周方向に増やしたことで、光入射端部から他方の端部に向かう導光は、第1の内面反射ステップで捕捉されなくとも第2の内面反射ステップで捕捉されることから、その分他方の端部から出射する光が大幅に減少し、それだけ導光体からの出射光の取り出し効率が向上する。
【0009】
そして、第2の内面反射ステップも、灯具前方側へ光を反射する所定位置に設ければ、その分灯具前方へ光が出射される確率が高まり、灯具の発光に寄与するため、出射光の利用効率が向上する。
【0010】
請求項2においては、請求項1に記載の車両用灯具において、前記柱状導光体側面の、前記第2の内面反射ステップ形成域と対向する位置には、板状の導光体が配設されるとともに、該板状導光体の背面には第3の内面反射ステップが形成され、前記第2の内面反射ステップで反射された導光が、前記板状導光体内を導光し、前記第3の内面反射ステップで反射されて灯具前方へ出射されるように構成した。
【0011】
(作用) 第1の内面反射ステップで捕捉された導光は、柱状導光体から灯具前方へ出射される。一方、第2の内面反射ステップで捕捉された導光は、第2の内面反射ステップと対向する位置に配設された板状導光体へ向けて反射され、板状導光体内を導光するとともに、板状導光体背面に形成された第3の内面反射ステップで反射され、灯具前方へ出射される。これにより、柱状導光体によるライン発光に加えて板状導光体による面発光が得られる。
【0012】
請求項3においては、請求項2に記載の車両用灯具において、前記柱状導光体と前記板状導光体を一体形成体で形成した。
【0013】
(作用) 柱状導光体と板状導光体を一体成形体とすることで、両者を単一の導光体とすることができる。
【0014】
さらに、柱状導光体と板状導光体が別体であると、柱状導光体からの出射光は一度大気中に出た後に板状導光体へ入射するため、柱状導光体の出射面と板状導光体の出射面とで2つの界面が存在することとなって、柱状導光体から板状導光体への光入射時に、光の散乱や反射が生じてしまう。しかし、一体成形体とすることで、前記界面の存在を無くし、散乱等による光の損失を防ぐことができる。
【0015】
請求項4においては、請求項1に記載の車両用灯具において、前記柱状導光体の延在方向に沿って、該柱状導光体の少なくとも前面側を覆う光拡散要素が配設され、前記柱状導光体からの出射光が前記光拡散要素を介して拡散されて灯具前方に出射されるように構成した。
【0016】
(作用) 第1及び第2の内面反射ステップで捕捉され出射した光が、柱状導光体の前面側を覆う位置に延設された光拡散要素で拡散した状態で灯具前方へ出射されるので、灯室内に延設された光拡散要素が均一に発光する。
【発明の効果】
【0017】
以上より、請求項1に係る発明によれば、第2の内面反射ステップによって、本来損失光となる光が有効に取り出されるので、導光体からの出射光の取り出し効率が向上する。
【0018】
第2の内面反射ステップも、灯具前方側へ向けて光反射する位置に設ければ、導光体からの出射光が灯具の発光に有効に利用されるので、その分灯具の輝度が向上し、被視認性に優れた車両用灯具を提供できる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、本来、柱状導光体において損失光となっていた光が板状導光体の面発光に有効に利用される。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、複数の導光体で一の発光体(導光体)を形成したい場合に、柱状導光体と板状導光体を一体成形体とすることで、発光体(導光体)の成形が容易となる。また、灯室内に組み付ける際に、柱状導光体と板状導光体の位置合わせする必要が無い分、配設も容易となる。
【0021】
また、一体成形体とすることで柱状導光体から板状導光体への光入射時の光の損失が無くなるため、いっそう光を有効に利用できる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、高輝度で均質感のある見映えの良い車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1〜4の実施例に係るランプを一体に収容する車両用灯具の正面図。
【図2】第1の実施例に係るバックアップランプの縦断面図(図1示す線II−IIに沿う断面図)。
【図3】第2の実施例に係るテールアンドストップランプの縦断面図(図1示す線III−IIIに沿う断面図)。
【図4】第3の実施例に係るテールランプの縦断面図(図1示す線IV−IVに沿う断面図)。
【図5】第4の実施例に係るターンシグナルランプの縦断面図(図1示す線V−Vに沿う断面図)。
【図6】同ターンシグナルランプの変形例の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1〜4の実施例に係るランプA,B,C,Dを一体に収容する車両用灯具の正面図である。なお、図1は、アウターカバーを介して透けて見える灯室内を実線で示す。また、光源であるLEDは、図示しないエクステンション等により灯具正面視には視認されない構成となっているため、破線で示す。また、後述の拡散レンズによって灯具正面視には視認されない柱状導光体、該柱状導光体の背面に形成された内面反射ステップも、破線で示す。
【0026】
車両用灯具1は、車両後方に設けられるリアコンビネーションランプである。符号Sは、ランプボディ2と透明なアウターカバー4で画成された灯具1の灯室である。ランプボディ2やアウターカバー4および灯室S内は、車体の流線形状に倣って車両中央部から車両側方に廻り込むように三次元的に湾曲に形成されている。灯室Sの下辺左側には、第1の実施例に係るバックアップランプAが、その右側から灯室Sの右辺にかけては、第2の実施例に係るテールアンドストップランプBが、灯室Sの上辺には、第3の実施例に係るテールランプCが、灯室Sの中央部には、第4の実施例に係るターンシグナルランプDが収容されている。
【0027】
第1の実施例は、図1における灯具1のバックアップランプAに係るものであって、図2は、該バックアップランプAの縦断面図(図1示す線II−IIに沿う断面図)である。図2における矢印は光線を示すものである。図1及び2において、ランプAは、灯室S内を車両左右方向に延在する柱状導光体10と光拡散要素としての拡散レンズ20から構成されている。
【0028】
柱状導光体10は、細長い円柱形状の透光性の合成樹脂製の光学部材である。該柱状導光体10の左側端部に正対して、光源であるLED6が配置されており、係る端部を光入射端部12として入射したLED6の光源光は、柱状導光体10の内面のあらゆる箇所で全反射を繰り返しながら他方の端部13へ向けて導光される。
【0029】
柱状導光体10の側面背面部17(図2における断面円形の右に対応する位置)には、灯具1の前方(アウターカバー4方向)へ向けて光を反射させる第1内面反射ステップ16が、柱状導光体10の延在方向に沿って全域に形成されている。さらに、第1内面反射ステップ16の形成位置と導光体側面周方向に90度異なる位置である、導光体側面下面部19(図2における断面円形の下に対応する位置)には、第2内面反射ステップ18が、同様に柱状導光体10の延在方向全域に亘って形成されており、灯室Sの上方へ向けて光を反射させる構成となっている。
【0030】
拡散レンズ20は、灯具正面視矩形で縦断面略L字形状に成形された透光性の光学部材であって、柱状導光体10の延在方向に沿って、柱状導光体10の前面及び上面を覆うように配設されている。拡散レンズ20の前面部22及び上面部23は、その外側面又は裏面の表面を粗面化したいわゆる“シボ加工”を施したり、拡散レンズ20の内部に光散乱粒子を添加して光散乱特性を付与させている。これにより、柱状導光体10からの出射光が該拡散レンズ20を通過する際に指向性の弱い拡散光として、該拡散レンズ20の表面から帯状に略均一に発光するように構成されている。また、拡散レンズ20の上面部23は、灯室前方から後方に向けて尻上がりに傾斜しており、灯具を前方から視認した場合に、より広い面積が発光して見えるように構成され、視認性を向上させている。
【0031】
光源であるLED6が点灯されると、光入射端部12から入射した光源光は、柱状導光体10内を全反射を繰り返しながら他方の端部13へ向けて導光される。係る導光のうち、第1内面反射ステップ16によって捕捉された導光は、灯具1の前方へ向けて反射され、拡散レンズ20の前面部22で上下左右方向に拡散されてアウターカバー4から灯具前方へ向けて出射される。一方、第2内面反射ステップ18によって捕捉された導光は、灯室Sの上方へ向けて反射され、拡散レンズ20の上面部23で拡散されるとともに、上面部23の傾斜によって係る拡散光のうちの一部が灯具前方側へ配光されて、主として灯具上方及び前方へ向けて出射される。この結果、灯具正面視には、拡散レンズ20(の前面部22及び上面部23)が広い面積で帯状に均一発光する。
【0032】
ここで、従来構造では、内面反射ステップは、灯具前方へ光を出射させるよう導光体側面の背面等に、導光体側面周方向一箇所形成されており、係る内面反射ステップで捕捉されなかった導光は、光入射端部から入射したものの、灯具前方へ向かうことなくそのまま他方の端部から灯具左右方向(灯室内)へ出射していた。このような他方の端部からの出射光は、灯具の発光に寄与することが無いことから、導光体を介することで光源光の一部が損失されていた。
【0033】
しかし、本実施例では、柱状導光体10の側面周方向に第1内面反射ステップ16とは異なる位置に第2内面反射ステップ18を設けて、導光を出射させる内面反射ステップを導光体側面周方向に増やしたことで、光入射端部12から他方の端部13に向かう導光は、第1内面反射ステップ16で捕捉されなくとも第2内面反射ステップ18で捕捉されて出射されることから、他方の端部13から出射する光は大幅に減少する。即ち、第2内面反射ステップ18の形成によって、本来損失光となる光が有効に取り出されている。
【0034】
そして、第2内面反射ステップ18によって取り出された出射光の一部は、拡散レンズ20の上面部23で拡散されて灯具前方側へ向けて配光され、灯具1の発光に有効に利用されているため、ランプAの輝度は従来よりも向上している。
【0035】
さらに、灯具1は通常、人間の目線で正面視されると、やや上方から見下ろされる位置に配設されているので、意匠上、上方からの見映えも要求される。本実施例では、第2内面反射ステップ18によって取り出された出射光の一部は灯室Sの上方へ向かうとともに拡散レンズ20で拡散されて出射し、上面部23が均一に発光するので、上方からの見映えも良い。この点からも、第2内面反射ステップ18によって本来損失光となる光が有効利用されている。
【0036】
以上により、ランプAは高輝度で均質感のある面発光を備えている。
【0037】
なお、本実施例において、第2内面反射ステップ18は、第1内面反射ステップ16に対して導光体側面周方向に90度異なる位置に形成されているが、従来よりも光の取り出し率を向上させるという観点からは、第2内面反射ステップ18は柱状導光体10の側面周方向いずれの箇所に形成されていても良い。
【0038】
また、光拡散要素は、アウターカバー4の一部にシボ加工を施すなどして形成しても良い。
【0039】
第2の実施例は、図1における灯具1のテールアンドストップランプBに係るものであって、図3は、該テールアンドストップランプBの縦断面図(図1示す線III−IIIに沿う断面図)である。図3における矢印は光線を示すものである。
【0040】
ランプBは、第1の実施例における拡散レンズ20が縦断面略U字形状に成形され(前面部22,上面部23に加えて、同様にシボ加工が施された下面部24が設けられて)、柱状導光体10の三方を囲う構成とした。これに対応して、柱状導光体10には、第1内面反射ステップ16の形成位置から導光体側面周方向に異なる位置に、第2内面反射ステップを増設した。詳しくは、導光体側面背面部17の上方に45度異なる位置に第2内面反射ステップ18aを、導光体側面背面部17の下方に45度異なる位置に第2内面反射ステップ18bを形成した(図3における断面円形の右上及び右下に対応する位置に形成した)。その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0041】
上記構成により、第2内面反射ステップ18bでの反射光は灯具前方上方側に向かって出射して上面部23に入射し、第2内面反射ステップ18aでの反射光は灯具前方下方側に向かって出射して下面部24に入射する。
【0042】
即ち、柱状導光体10内の導光は、第1内面反射ステップ16に加えて第2内面反射ステップ18a及び第2内面反射ステップ18bで捕捉されるため、柱状導光体10からの出射光の取り出し効率はさらに向上している。
【0043】
また、第2内面反射ステップ18a及び18bからの出射光は、いずれも灯具前方側へ向かうため、その分灯具前方へ光が出射される確率が高まって、柱状導光体10からの出射光がランプBの発光に有効に利用されて、ランプBの輝度が向上している。
【0044】
そして、第1の実施例と同様、柱状導光体10からの出射光は拡散レンズ20で拡散されるので、前面部22,上面部23,下面部24のいずれもが均一発光し、その結果、ランプBもまた、より広い面積で、灯具正面視にもやや上方視からも見映えが良い、高輝度で均質感のある面発光を備えている。
【0045】
なお、本実施例では、第2内面反射ステップ18bで取り出された導光により拡散レンズ20の上面部23が均一発光し、第2内面反射ステップ18aで取り出された導光により拡散レンズ20の下面部24が均一発光する構成となっている。即ち、第2内面反射ステップを増設することで、拡散レンズの発光面を増やすことができるし、拡散レンズの形状に対応して、第2内面反射ステップの導光体側面周方向の形成位置を決定すれば良いので、多彩な配光バリエーションの実現が可能である。
【0046】
第3の実施例は、図1における灯具1のテールランプCに係るものであって、図4は、テールランプCの縦断面図(図1示す線VI−VIに沿う断面図)である。図4における矢印は光線を示すものである。
【0047】
ランプCでは、第1の実施例における拡散レンズ20を設けず、その代わりに、柱状導光体10を縦断面円形から縦断面矩形状にし、その上面14を灯室前方から後方に向けて尻上がりに傾斜させ、かつ、係る柱状導光体10の上面14及び前面15の表面にシボ加工を施した。その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0048】
上記構成により、第1の実施例では、拡散レンズ20を設けることで柱状導光体10からの出射光を拡散し、拡散レンズ20の上面部23を傾斜させることで灯具前方側へ配光する構成としていたが、第3の実施例では、係る拡散レンズ20の機能を柱状導光体10の形状変更及び表面シボ加工によって実現した。よって、第1の実施例と同様の効果、即ち、柱状導光体10からの出射光の取り出し効率の向上、取り出した出射光の有効利用、ランプCの均一発光及びより広い面積発光、上方から視認された際の見映え向上が、柱状導光体10のみで(一部品で)実現されるため、第1の実施例に加えて、部品点数が削減できるという更なる効果が生じる。
【0049】
第4の実施例は、図1における灯具1のターンシグナルランプDに係るものであって、図5は、ターンシグナルランプDの縦断面図(図1示す線V−Vに沿う断面図)である。図5における矢印は光線を示すものである。
【0050】
ランプDでは、第1の実施例における柱状導光体10側面の、第2内面反射ステップ18の形成域と対向する位置に、灯室上方へ延出する板状導光体30を一体成形し、かつ、該板状導光体30の背面32全体に均等に円錐状に窪んだ形状(いわゆる点刻)の第3内面反射ステップ36を形成し、拡散レンズ20は除いた。その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0051】
上記構成により、第1の実施例と同様、第1内面反射ステップ16で捕捉された導光は、柱状導光体10から灯具前方へ出射し、柱状導光体10の発光に寄与する。一方、第2内面反射ステップ18で捕捉された導光は、第2内面反射ステップ18と対向する位置に延出形成された板状導光体30へ向けて反射され、板状導光体30の下面33に直交する方向から板状導光体30内へ入射し、内面反射を繰り返しながら他方の面34に向けて導光されるとともに、背面32に設けられた第3内面反射ステップ36で反射され、灯具前方へ出射される。
【0052】
これにより、従来通り第1内面反射ステップ16によって柱状導光体10がライン状に発光し、これに加えて、第2内面反射ステップ18及び第3内面反射ステップ36によって板状導光体30が面発光するので、本来、柱状導光体10において損失光となっていた光が取り出され、板状導光体30の面発光に有効に利用されている。
【0053】
また、柱状導光体10と板状導光体30を一体成形体としたことで、両者が単一の導光体となり、複数の導光体で一の発光体(導光体)を形成するランプDでは、発光体(導光体)の成形が容易となる。また、灯室S内にランプDを組み付ける際に、柱状導光体10と板状導光体30の位置合わせする必要が無い分、配設も容易となる。
【0054】
柱状導光体10と板状導光体30を別体に形成すると、柱状導光体10からの出射光は一度大気中に出た後に板状導光体30へ入射するため、柱状導光体10の出射面と板状導光体30の入射面とで2つの界面が存在することとなって、柱状導光体10から板状導光体30への光入射時に、光の散乱や反射が生じて光が損失されてしまうが、一体成形体とすると、柱状導光体10と板状導光体30間に上記界面は存在せず、光入射時に導光体間で光が損失しないため、光の有効利用に一層効果的である。
【0055】
一方、図6は同ターンシグナルランプの変形例の縦断面図であって、即ち、柱状導光体10と板状導光体30を別体にしたものである。この構成においても、第1内面反射ステップ16によって柱状導光体10がライン状発光し、第2内面反射ステップ18によって反射された光が該第2内面反射ステップ18に対向する位置に配設された板状導光体30に入射し、第3内面反射ステップ36によって灯具前方へ反射されて板状導光体30が面発光するので、損失光が有効利用されている。
【0056】
従来、柱状の導光体で得られる発光は細幅なライン発光に限定されていたが、本実施例及びその変形例のいずれの構成においても、柱状導光体に設けられる第2内面反射ステップとこれに対向して設けられる別の導光体の組み合わせによって、灯室S内における発光領域が拡大するとともに、ライン発光に限定されない様々な発光バリエーションが実現可能である。
【0057】
なお、前述の通り、第2内面反射ステップ18は柱状導光体10の側面周方向いずれの箇所に形成されていても良いが、灯具正面視にランプDの発光領域を拡大させるという観点からは、柱状導光体10の背面32に第1内面反射ステップ16を形成して柱状導光体10を効率良くライン発光させ、板状導光体30の前面31が広い面積で発光するよう、板状導光体30を柱状導光体10の側面上端部に対向する位置に配設する構成が好ましい。よって、第2内面反射ステップ18を第1内面反射ステップ16に対して90度の位置に配置すれば、第2内面反射ステップ18からの反射光の略全てが板状導光体30の下面33に直交する方向から効率良く入射して板状導光体30の面発光に寄与するので、最良の配置となる。
【0058】
以上により、灯具1に収容されたランプA〜Dはいずれも高輝度で均質感のある面発光を有しており、この結果、灯具1は被視認性に優れ、かつ外観品質の高い車両用灯具となっている。
【0059】
なお、リアコンビネーションランプである灯具1として第1〜4の実施例を用いたが、フロントランプにおいてクリアランスランプやデイタイムランニングランプとして用いても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用灯具
2 ランプボディ
4 アウターカバー
6 光源であるLED
10 柱状導光体
12 光入射端部
16 第1内面反射ステップ
18、18a、18b 第2内面反射ステップ
20 光拡散要素である拡散レンズ
30 板状導光体
36 第3内面反射ステップ
A バックアップランプ
B テールアンドストップランプ
C ターンシグナルランプ
D テールランプ
S 灯室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面所定位置に内面反射ステップが設けられた柱状の導光体と、前記導光体の光入射端部に正対して設けられた光源と、を備え、
前記光入射端部から入射した光源光が導光体内を導光するとともに前記内面反射ステップによって反射されて出射する車両用灯具において、
該導光体の側面周方向所定位置に、灯具前方へ向けて光を反射させる第1の内面反射ステップが導光体延在方向に沿って形成され、
前記第1の内面反射ステップ形成位置とは異なる前記導光体の側面周方向所定位置に、第2の内面反射ステップが導光体延在方向に沿って形成されたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記柱状導光体側面の、前記第2の内面反射ステップ形成域と対向する位置には、板状の導光体が配設されるとともに、該板状導光体の背面には第3の内面反射ステップが形成され、
前記第2の内面反射ステップで反射された導光が、前記板状導光体内を導光し、前記第3の内面反射ステップで反射されて灯具前方へ出射されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記柱状導光体と前記板状導光体は、一体形成体で形成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記柱状導光体の延在方向に沿って、該柱状導光体の少なくとも前面側を覆う光拡散要素が配設され、前記柱状導光体からの出射光が前記光拡散要素を介して拡散されて灯具前方に出射されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−190762(P2012−190762A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55675(P2011−55675)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】