車両用灯具
【課題】従来の車両用灯具では、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がある。
【解決手段】この発明は、2個のリフレクタ5L、5Rと、2個の半導体型光源2L、2Rと、1個のレンズ3と、を備える。1個のレンズ3は、両端部の非球面レンズ部3L、3Rと、中央部のシリンドリカルレンズ部3Cと、から構成されている。2個のリフレクタ5L、5Rの反射面の光軸Z1−Z1、Z2−Z2は、両端部の非球面レンズ部3L、3Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2上に位置する。2個のリフレクタ5L、5Rの反射面は、第1反射面91L、91Rと、第2反射面92L、92Rと、から一体に構成されている。この結果、この発明は、2個のランプユニット4L、4Rの位置相関性を高精度に維持する必要がない。
【解決手段】この発明は、2個のリフレクタ5L、5Rと、2個の半導体型光源2L、2Rと、1個のレンズ3と、を備える。1個のレンズ3は、両端部の非球面レンズ部3L、3Rと、中央部のシリンドリカルレンズ部3Cと、から構成されている。2個のリフレクタ5L、5Rの反射面の光軸Z1−Z1、Z2−Z2は、両端部の非球面レンズ部3L、3Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2上に位置する。2個のリフレクタ5L、5Rの反射面は、第1反射面91L、91Rと、第2反射面92L、92Rと、から一体に構成されている。この結果、この発明は、2個のランプユニット4L、4Rの位置相関性を高精度に維持する必要がない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とし、かつ、1個のレンズを共有する複数個のランプユニットから構成されている車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。従来の車両用灯具は、集光タイプの配光パターンを照射する第1ランプユニットと、拡散タイプの配光パターンを照射する第2ランプユニットおよび第3ランプユニットと、から構成されているものである。3個のランプユニットは、3個の半導体型光源と、楕円を基調とした自由曲面の反射面を有する3個のリフレクタと、1個のレンズと、1個のシェードと、を備えるものである。
【0003】
半導体型光源の光量は、ハロゲン電球やメタルハライド放電灯と比較して少ない。このために、従来の車両用灯具は、複数個のランプユニットから照射される複数の配光パターン(集光タイプの配光パターンおよび拡散タイプの配光パターン)を合成して、半導体型光源の少ない光量を補っている。
【0004】
従来の車両用灯具は、第1ランプユニットから照射される集光タイプの配光パターンと、第2ランプユニットおよび第3ランプユニットから照射される拡散タイプの配光パターンと、すなわち、複数の異なる配光パターンを合成して所定の配光パターン(たとえば、すれ違い用配光パターン)を形成するものである。このために、従来の車両用灯具においては、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−218964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用灯具においては、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がある、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、複数個のランプユニットが、少なくとも、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面をそれぞれ有する2個のリフレクタと、その2個のリフレクタの反射面の第1焦点(第1焦点およびその第1焦点近傍)に配置されている2個の半導体型光源と、その2個の半導体型光源からの光であって2個のリフレクタの反射面で反射された反射光を外部に照射する1個のレンズと、を備え、1個のレンズが、1個の非球面レンズを、レンズ軸(レンズ軸およびそのレンズ軸近傍)を含む平面で2分割してなる両端部の非球面レンズ部と、その両端部の非球面レンズ部の2分割平面の間に一体に設けられている中央部のシリンドリカルレンズ部と、から構成されていて、2個のリフレクタの反射面の光軸が、両端部の非球面レンズ部の2分割平面(2分割平面およびその2分割平面近傍)上に位置し、2個のリフレクタの反射面が、2個の半導体型光源からの光の一部を中央部のシリンドリカルレンズ部側に反射させて中央部のシリンドリカルレンズ部から拡散配光パターンを照射させる第1反射面と、2個の半導体型光源からの光の一部を両端部の非球面レンズ部側に反射させて両端部の非球面レンズ部から集光配光パターンを照射させる第2反射面と、から一体に構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項2にかかる発明)は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源と1個のレンズとの間に配置されていて、2個の半導体型光源からの光であって2個のリフレクタの反射面で反射された反射光の一部を遮蔽してカットオフラインを有する配光パターンを形成する1個のシェードを、備える、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項3にかかる発明)は、1個のシェードには、対向車線側の第1水平カットオフラインを形成する第1水平エッジと、その第1水平エッジよりも下位に位置していて走行車線側の第2水平カットオフラインを形成する第2水平エッジと、中央斜めカットオフラインを形成する中央斜めエッジと、がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズとを備える複数個のランプユニットから照射される複数の配光パターン(集光タイプの配光パターンおよび拡散タイプの配光パターン)を合成するものであるから、半導体型光源の少ない光量を補うことができる。
【0011】
その上、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源に対して、レンズを共有化すなわち1個に一体化することができるので、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源の位置相関性を向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0012】
特に、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、2個の半導体型光源からの光が2個のリフレクタの反射面(第1反射面と第2反射面とが一体に構成されている反射面)でそれぞれ反射してかつ1個のレンズを透過することにより、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとが合成された2個の同一系統の配光パターンをそれぞれ形成することができる。すなわち、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズとを備える同一系統の複数個のランプユニットから、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとが合成された2個の同一系統の配光パターンをそれぞれ照射することができる。このために、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、前記の従来の車両用灯具のように、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がないので、設計および生産管理が前記の従来の車両用灯具と比較して容易であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0013】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズと1個のシェードとを備える同一系統の複数個のランプユニットから、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとが合成された2個の同一系統の配光パターンであってカットオフラインを有する配光パターンをそれぞれ照射することができる。
【0014】
その上、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源に対して、シェードを共有化すなわち1個に一体化することができるので、同じく共有化すなわち1個に一体化したレンズと共に、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源の位置相関性をさらに向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数をさらに軽減することができ、その分、製造コストをさらに安価にすることができる。
【0015】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズと1個のシェードとを備える同一系統の複数個のランプユニットから、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとが合成された2個の同一系統の配光パターンであって、対向車線側の第1水平カットオフラインと走行車線側の第2水平カットオフラインと中央斜めカットオフラインとを有する配光パターンすなわちすれ違い用配光パターンをそれぞれ照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す斜視図である。
【図2】図2は、同じく、要部の水平断面図(要部の横断面図、図1におけるII−II線断面図)である。
【図3】図3は、同じく、2個のランプユニットからそれぞれ照射されるすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図4】図4は、同じく、2個のランプユニットからそれぞれ照射されるすれ違い用配光パターンを合成したすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図5】図5は、同じく、要部の正面図(図1におけるV矢視図)である。
【図6】図6は、同じく、要部の垂直断面図(要部の縦断面図、図1におけるVI−VI線断面図)である。
【図7】図7は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す要部の正面図(図5に対応する正面図)である。
【図8】図8は、同じく、2個のランプユニットからそれぞれ照射されるすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図9】図9は、同じく、2個のランプユニットからそれぞれ照射されるすれ違い用配光パターンを合成したすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図10】図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す要部の水平断面図(要部の横断面図、図2に対応する断面図)である。
【図11】図11は、この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す要部の水平断面図(要部の横断面図、図2に対応する断面図)である。
【図12】図12は、この発明にかかる車両用灯具の実施例5を示す要部の水平断面図(要部の横断面図、図2に対応する断面図)である。
【図13】図13は、この発明にかかる車両用灯具の実施例6を示す要部の水平断面図(要部の横断面図、図2に対応する断面図)である。
【図14】図14は、この発明にかかる車両用灯具の実施例7を示すフォグ用配光パターンの説明図(図3および図4に対応する説明図)である。
【図15】図15は、この発明にかかる車両用灯具の実施例8を示す走行用配光パターンの説明図(図3および図4に対応する説明図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの8例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例および変形例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「F」は、車両の前方向側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両の後方向側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方向側を見た上方向側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方向側を見た下方向側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方向側を見た場合の左方向側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方向側を見た場合の右方向側を示す。前記の前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。また、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。さらに、図3、図4、図8、図9、図14、図15は、スクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。
【実施例1】
【0018】
(構成の説明)
図1〜図6は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用灯具の構成について説明する。この例は、たとえば、自動車用前照灯のヘッドランプについて説明する。この実施例1の車両用灯具は、左側通行の車両用灯具について説明する。右側通行の車両用灯具は、この実施例1の車両用灯具とほぼ左右逆の配光パターンとなる。
【0019】
図において、符号1は、この実施例1における車両用灯具である。前記車両用灯具1は、図に示すように、半導体型光源2L、2Rを光源とし、かつ、1個のレンズ3を共有する複数個、この例では2個のランプユニット4L、4Rから構成されている。
【0020】
前記2個のランプユニット4L、4Rは、プロジェクタタイプのランプユニットから構成されている。前記2個のランプユニット4L、4Rは、図示しない自動車用前照灯のランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)により区画されている灯室(図示せず)内に光軸調整機構(図示せず)を介して光軸調整可能に配置されている。前記2個のランプユニット4L、4Rは、車両の幅方向(左右方向)に配置されている。
【0021】
前記2個のランプユニット4L、4Rは、少なくとも、2個のリフレクタ5L、5Rと、2個の前記半導体型光源2L、2Rと、1個の前記レンズ3と、1個のシェード6と、1個のヒートシンク部材7(なお、図2、図5において図示を省略してある)と、2個の保持部材8L、8R(なお、図2、図5、図6において図示を省略してある)と、を備える。
【0022】
前記ヒートシンク部材7は、たとえば、樹脂や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高い材料からなる。前記ヒートシンク部材7は、中央部分の垂直板部と、中央部分から前側部分にかけての水平板部と、中央部分から後側部分にかけて縦形のフィン形状部と、から構成されている。
【0023】
前記2個のリフレクタ5L、5Rは、一体構造をなす。前記2個のリフレクタ5L、5Rは、たとえば、樹脂部材や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高くかつ光不透過性の材料からなる。前記2個のリフレクタ5L、5Rは、前記ヒートシンク部材7の水平板部の上面に固定されている。前記2個のリフレクタ5L、5Rは、前側部分および下側部分が開口し、かつ、後側部分および上側部分および左右両側部分が閉塞した中空形状をなす。前記2個のリフレクタ5L、5Rの閉塞部分の凹内面には、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面91L、92L、91R、92Rがそれぞれ設けられている。
【0024】
前記反射面91L、92L、91R、92Rは、自由曲面から構成されている。このために、前記反射面91L、92L、91R、92Rの第1焦点F1L、F1Rおよび第2焦点(図示せず)においては、厳密な意味での単一の焦点を有していないが、複数の反射面相互の焦点距離の差異が僅少であり、ほぼ同一の焦点を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に第1焦点および第2焦点と称する。また、同様に、前記反射面91L、92L、91R、92Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2においては、厳密な意味での単一の光軸を有していないが、複数の反射面相互の光軸の差異が僅少であり、ほぼ同一の光軸を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に光軸と称する。
【0025】
前記2個の半導体型光源2L、2Rは、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例1ではLED)の半導体型光源を使用する。前記2個の半導体型光源2L、2Rは、前記ヒートシンク部材7の水平板部の上面であって、前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rの第1焦点(第1焦点およびその第1焦点近傍)F1L、F1Rに左右にそれぞれ配置されている。
【0026】
前記1個のレンズ3は、たとえば、PC材、PMMA材、PCO材などの樹脂製のレンズからなるものである。すなわち、前記2個の半導体型光源2L、2Rから放射される光は、高い熱を持たないので、前記1個のレンズ3として樹脂製のレンズを使用することができる。前記1個のレンズ3は、前記保持部材8L、8Rを介して前記ヒートシンク部材7の水平板部に保持されている。前記1個のレンズ3は、前記2個の半導体型光源2L、2Rおよび前記2個のリフレクタ5L、5Rの前側に配置されていて、前記2個の半導体型光源2L、2Rからの光であって前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rで反射された反射光L1L、L2L、L1R、L2Rを外部に照射する。
【0027】
前記1個のレンズ3は、両端部の非球面レンズ部3L、3Rと、中央部のシリンドリカルレンズ部3Cと、から一体に構成されている。前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rは、1個の非球面レンズを、レンズ軸(レンズ軸およびそのレンズ軸近傍)Z1−Z1、Z2−Z2を含む平面(図5において、一点鎖線で示す垂直平面)V1、V2で2分割してなるものである。前記中央部のシリンドリカルレンズ部3Cは、前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rの2分割平面V1、V2の間に一体に設けられているものである。
【0028】
前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2は、前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rのレンズ軸Z1−Z1、Z2−Z2と一致もしくはほぼ一致する。前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2は、前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rの2分割平面V1、V2上に位置する。前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rの第2焦点は、前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rの図示していないレンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)に一致もしくはほぼ一致する。
【0029】
前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rは、それぞれ、第1反射面91L、91Rと、第2反射面92L、92Rと、から一体に構成されている。左側のリフレクタ5Lの前記第1反射面91Lおよび前記第2反射面92Lと、右側のリフレクタ5Rの前記第1反射面91Rおよび前記第2反射面92Rとは、左右が反転している。
【0030】
前記第1反射面91L、91Rは、回転楕円面に近似した自由曲面からなる。前記第1反射面91L、91Rは、それぞれ、前記2個のリフレクタ5L、5Rの外側に位置する。すなわち、左側の第1ランプユニット4Lのリフレクタ5Lの第1反射面91Lは、前記リフレクタ5Lの左側に位置し、右側の第1ランプユニット4Rのリフレクタ5Rの第1反射面91Rは、前記リフレクタ5Rの右側に位置する。前記第1反射面91L、91Rは、前記2個の半導体型光源2L、2Rからの光の一部(図2において、点線矢印で示す光L1L、L1R)を前記中央部のシリンドリカルレンズ部3C側に反射させて前記中央部のシリンドリカルレンズ部3Cから拡散タイプの配光パターン(以下、単に「拡散配光パターン」と称する)WPL、WPR(図3参照)を照射させるものである。
【0031】
前記第2反射面92L、92Rは、回転楕円面を左右方向(水平方向)に光軸Z1−Z1、Z2−Z2から遠ざかる方向に広げた自由曲面からなる。前記第2反射面92L、92Rは、それぞれ、前記2個のリフレクタ5L、5Rの内側に位置する。すなわち、左側の第1ランプユニット4Lのリフレクタ5Lの第2反射面92Lは、前記リフレクタ5Lの右側に位置し、右側の第1ランプユニット4Rのリフレクタ5Rの第2反射面92Rは、前記リフレクタ5Rの左側に位置する。前記第2反射面92L、92Rは、前記2個の半導体型光源2L、2Rからの光の一部(図2において、実線矢印で示す光L2L、L2R)を前記両端部の非球面レンズ部3L、3R側に反射させて前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rから集光タイプの配光パターン(以下、単に「集光配光パターン」と称する)SPL、SPR(図3参照)を照射させるものである。
【0032】
前記1個のレンズ3の前記中央部のシリンドリカルレンズ部3Cの左右方向(水平方向)の長さ(幅)は、左右の前記2個のリフレクタ5L、5Rが相互に干渉しない程度、あるいは、一方の前記第1反射面91Lからの反射光L1L(あるいは、前記第1反射面91Rからの反射光L1R)が他方の前記非球面レンズ部3R(あるいは、前記非球面レンズ部3L)に入射しない程度、とする。
【0033】
前記1個のシェード6は、前記2個のリフレクタ5L、5Rおよび前記2個の半導体型光源2L、2Rと前記1個のレンズ3との間に配置されている。前記1個のシェード6は、前記2個の半導体型光源2L、2Rからの光であって前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rで反射された反射光L1L、L2L、L1R、L2Rの一部を遮蔽してカットオフラインCL1、CL2、CL3およびエルボー点Eを有する配光パターン(すなわち、図3(A)に示す配光パターンWPLおよびSPLと、図3(B)に示す配光パターンWPRおよびSPRと、を合成した(重畳した)図4に示すすれ違い用配光パターンLP)を形成する。
【0034】
前記1個のシェード6には、第1水平エッジ61と、第2水平エッジ62と、中央斜めエッジ63と、がそれぞれ設けられている。前記第1水平エッジ61は、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1を形成する。前記第2水平エッジ62は、前記第1水平エッジ61よりも下位に位置し、前記第1水平カットオフラインCL1よりも上位に位置する走行車線側の第2水平カットオフラインCL2を形成する。前記中央斜めエッジ63は、前記第1エッジ61と前記第2エッジ62との間に位置し、前記第1水平カットオフラインCL1と前記第2水平カットオフラインCL2との間に位置する中央斜めカットオフラインCL3を形成する。前記第2水平エッジ62および前記中央斜めエッジ63は、左側のランプユニット4Lに対応して、前記1個のシェード6の左側の部分に設けられている。前記1個のシェード6の左側の部分の前記第1水平エッジ61と前記中央斜めエッジ63との間の角部は、前記エルボー点Eを形成する。
【0035】
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0036】
(作用の説明)
車両用灯具1の2個の半導体型光源2L、2Rを点灯発光させる。すると、2個の半導体型光源2L、2Rから光が放射される。この2個の半導体型光源2L、2Rから放射される光は、2個のリフレクタ5L、5Rの反射面91L、92L、91R、92Rで反射される。この反射光L1L、L1R、L2L、L2Rの一部は、シェード6によりカットオフされる。一方、シェード6によりカットオフされなかった反射光L1L、L1R、L2L、L2Rの残りは、1個のレンズ3の両端部の非球面レンズ部3L、3Rおよび中央部のシリンドリカルレンズ部3Cを透過して、図3(A)に示す配光パターンWPLおよびSPLと図3(B)に示す配光パターンWPRおよびSPRとが合成された(重畳された)図4に示すすれ違い用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。
【0037】
すなわち、左側のランプユニット4Lの第1反射面91Lで反射された反射光L1Lは、図2中の左側の点線矢印に示すように、1個のレンズ3の中央部のシリンドリカルレンズ部3Cの左側の部分を透過して、図3(A)の右側に示すように、第1水平カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPLとして車両の前方に照射される。
【0038】
また、左側のランプユニット4Lの第2反射面92Lで反射された反射光L2Lは、図2中の左側の実線矢印に示すように、1個のレンズ3の左端部の非球面レンズ部3Lを透過して、図3(A)の左側に示すように、第2水平カットオフラインCL2および中央斜めカットオフラインCL3を有する集光配光パターンSPLとして車両の前方に照射される。
【0039】
一方、右側のランプユニット4Rの第1反射面91Rで反射された反射光L1Rは、図2中の右側の点線矢印に示すように、1個のレンズ3の中央部のシリンドリカルレンズ部3Cの右側の部分を透過して、図3(B)の左側に示すように、第1水平カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPRとして車両の前方に照射される。
【0040】
また、右側のランプユニット4Rの第2反射面92Rで反射された反射光L2Rは、図2中の右側の実線矢印に示すように、1個のレンズ3の右端部の非球面レンズ部3Lを透過して、図3(B)の右側に示すように、第1水平カットオフラインCL1を有する集光配光パターンSPRとして車両の前方に照射される。
【0041】
そして、図3(A)に示す配光パターンWPLおよびSPLと、図3(B)に示す配光パターンWPRおよびSPRとが合成され(重畳され)、図4に示すように、第1水平カットオフラインCL1および第2水平カットオフラインCL2および中央斜めカットオフラインCL3およびエルボー点Eを有するすれ違い用配光パターンLPが車両の前方に照射される。
【0042】
(効果の説明)
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0043】
この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rと2個の半導体型光源2L、2Rと1個のレンズ3とを備える2個のランプユニット4L、4Rから照射される2つの配光パターン(図3(A)に示す、左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す、右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRと)を合成するものであるから、半導体型光源2L、2Rの少ない光量を補うことができる。
【0044】
その上、この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rおよび2個の半導体型光源2L、2Rに対して、レンズ3を共有化すなわち1個に一体化することができるので、2個のリフレクタ5L、5Rおよび2個の半導体型光源2L、2Rの位置相関性を向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0045】
特に、この実施例1における車両用灯具1は、2個の半導体型光源2L、2Rからの光が2個のリフレクタ5L、5Rの反射面(第1反射面91L、91Rと第2反射面92L、92Rとが一体に構成されている反射面)でそれぞれ反射してかつ1個のレンズ3を透過することにより、集光配光パターンSPL、SPRと拡散配光パターンWPL、WPRとが合成された2個の同一系統の配光パターン(図3(A)に示す左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRと)をそれぞれ形成することができる。すなわち、この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rと2個の半導体型光源2L、2Rと1個のレンズ3とを備える同一系統の2個のランプユニット4L、4Rから、集光配光パターンSPL、SPRと拡散配光パターンWPL、WPRとが合成された2個の同一系統の配光パターン(図3(A)に示す左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRと)をそれぞれ照射することができる。このために、この実施例1における車両用灯具1は、前記の従来の車両用灯具のように、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がないので、設計および生産管理が前記の従来の車両用灯具と比較して容易であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0046】
この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rと2個の半導体型光源2L、2Rと1個のレンズ3と1個のシェード6とを備える同一系統の2個のランプユニット4L、4Rから、集光配光パターンSPL、SPRと拡散配光パターンWPL、WPRとが合成された2個の同一系統の配光パターンであってカットオフラインCL1、CL2、CL3を有する配光パターンをそれぞれ照射することができる。
【0047】
その上、この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rおよび2個の半導体型光源2L、2Rに対して、シェード6を共有化すなわち1個に一体化することができるので、同じく共有化すなわち1個に一体化したレンズ3と共に、2個のリフレクタ5L、5Rおよび2個の半導体型光源2L、2Rの位置相関性をさらに向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数をさらに軽減することができ、その分、製造コストをさらに安価にすることができる。
【0048】
この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rと2個の半導体型光源2L、2Rと1個のレンズ3と1個のシェード6とを備える同一系統の2個のランプユニット4L、4Rから、集光配光パターンSPL、SPRと拡散配光パターンWPL、WPRとが合成された2個の同一系統の配光パターンであって、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する配光パターンすなわち図4に示すすれ違い用配光パターンLPをそれぞれ照射することができる。
【0049】
この実施例1における車両用灯具1は、左側のリフレクタ5Lの第1反射面91Lおよび第2反射面92Lと、右側のリフレクタ5Rの第1反射面91Rおよび第2反射面92Rとが、左右反転した形状で形成されているので、左側のリフレクタ5Lの第1反射面91Lおよび第2反射面92Lと、右側のリフレクタ5Rの第1反射面91Rおよび第2反射面92Rとを、簡単に形成することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【実施例2】
【0050】
(実施例2の説明)
図7〜図9は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。図中、図1〜図6と同符号は、同一のものを示す。
【0051】
前記の実施例1における車両用灯具1は、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を左側のランプユニット4Lに対応して1個のシェード6の左側の部分に設けたものである。これに対して、この実施例2における車両用灯具100は、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を右側のランプユニット4Rに対応して1個のシェード6の右端部に設けたものである。
【0052】
この実施例2における車両用灯具100は、前記の実施例1における車両用灯具1の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例3】
【0053】
(実施例3の説明)
図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す。図中、図1〜図9と同符号は、同一のものを示す。
【0054】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸(図示せず)と平行もしくはほぼ平行である。これに対して、この実施例3における車両用灯具101は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1が車両の進行軸に対して内側(車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合においては内側で、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては外側)に向き、かつ、右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2が車両の進行軸に対して外側(車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合においては外側で、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては内側)に向いているものである。
【0055】
この実施例3における車両用灯具101は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例3における車両用灯具101は、1個のレンズ3の表面の意匠形状を立体的に形成することができる。
【実施例4】
【0056】
(実施例4の説明)
図11は、この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す。図中、図1〜図10と同符号は、同一のものを示す。
【0057】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸と平行もしくはほぼ平行である。これに対して、この実施例4における車両用灯具102は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1が車両の進行軸に対して外側(車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合においては外側で、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては内側)に向き、かつ、右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2が車両の進行軸に対して内側(車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合においては内側で、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては外側)に向いているものである。
【0058】
この実施例4における車両用灯具102は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例4における車両用灯具102は、前記の実施例3における車両用灯具101と同様に、1個のレンズ3の表面の意匠形状を立体的に形成することができる。
【実施例5】
【0059】
(実施例5の説明)
図12は、この発明にかかる車両用灯具の実施例5を示す。図中、図1〜図11と同符号は、同一のものを示す。
【0060】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸と平行もしくはほぼ平行である。これに対して、この実施例5における車両用灯具103は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1が車両の進行軸と平行もしくはほぼ平行であり、かつ、右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2が車両の進行軸に対して外側に向いているものである。なお、この実施例5における車両用灯具103は、車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合であって、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては、この実施例5における車両用灯具103と左右が反転する。
【0061】
この実施例5における車両用灯具103は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例5における車両用灯具103は、車両の前部の左右両側の部分が上から見て(平面視)湾曲スラントしている車体に適している。
【実施例6】
【0062】
(実施例6の説明)
図13は、この発明にかかる車両用灯具の実施例6を示す。図中、図1〜図12と同符号は、同一のものを示す。
【0063】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸と平行もしくはほぼ平行である。これに対して、この実施例6における車両用灯具104は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸に対して外側に向いているものである。なお、この実施例6における車両用灯具104は、車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合であって、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては、この実施例6における車両用灯具104と左右が反転する。
【0064】
この実施例6における車両用灯具104は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例6における車両用灯具104は、前記の実施例5における車両用灯具103と同様に、車両の前部の左右両側の部分が上から見て(平面視)湾曲スラントしている車体に適している。
【実施例7】
【0065】
(実施例7の説明)
図14は、この発明にかかる車両用灯具の実施例7を示す。図中、図1〜図13と同符号は、同一のものを示す。
【0066】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、1個のシェード6に第1水平エッジ61、第2水平エッジ62、中央斜めエッジ63を設けて、図3(A)に示す左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRとを合成して、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する図4に示すすれ違い用配光パターンLPを、車両の前方に照射するものである。これに対して、この実施例7における車両用灯具は、1個のシェードに同レベルもしくはほぼ同レベルの水平エッジを設けて、図14(A)に示す左側の集光配光パターンSPL1および右側の拡散配光パターンWPL1と、図14(B)に示す右側の集光配光パターンSPR1および左側の拡散配光パターンWPR1とを合成して、同レベルもしくはほぼ同レベルの水平カットオフラインCLを有する図14(C)に示すフォグ用配光パターンFPを、車両の前方に照射するものである。
【0067】
この実施例7における車両用灯具は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例8】
【0068】
(実施例8の説明)
図15は、この発明にかかる車両用灯具の実施例8を示す。図中、図1〜図14と同符号は、同一のものを示す。
【0069】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、1個のシェード6に第1水平エッジ61、第2水平エッジ62、中央斜めエッジ63を設けて、図3(A)に示す左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRとを合成して、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する図4に示すすれ違い用配光パターンLPを、車両の前方に照射するものである。これに対して、この実施例8における車両用灯具は、1個のシェードを使用せずに、図15(A)に示す左側の集光配光パターンSPL2および右側の拡散配光パターンWPL2と、図15(B)に示す右側の集光配光パターンSPR2および左側の拡散配光パターンWPR2とを合成して、図15(C)に示す走行用配光パターンHPを、車両の前方に照射するものである。
【0070】
この実施例8における車両用灯具は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0071】
(実施例以外の例の説明)
なお、前記の実施例においては、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を左側のランプユニット4Lに対応して1個のシェード6の左側の部分に設けたものであり、また、前記の実施例2においては、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を右側のランプユニット4Rに対応して1個のシェード6の右端部に設けたものである。ところが、この発明においては、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を、左側のランプユニット4Lに対応して1個のシェード6の左側の部分に、および、右側のランプユニット4Rに対応して1個のシェード6の右端部に、それぞれ設けたものであっても良い。この場合においては、すれ違い用配光パターンLPのエルボー点Eから中央カットオフラインCL3にかけての部分の光度が高くなるので、走行車線側の遠方の視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【0072】
また、前記の実施例においては、2個のランプユニット4L、4Rを使用するものである。ところが、この発明においては、2個のランプユニット4L、4Rにその他のランプユニット、たとえば、半導体型光源を一体構造のリフレクタ5L、5Rもしくは1個のシェード6もしくはヒートシンク部材7に取り付けて、その半導体型光源からの光を、1個のレンズ3の中央部のシリンドリカルレンズ部3Cを透過させて、オーバーヘッドサイン用配光パターンやクリアランス用配光パターンなどを車両の前方や外部に照射するようにしても良い。
【符号の説明】
【0073】
1、100、101、102、103、104 車両用灯具
2L、2R 半導体型光源
3 レンズ
3L、3R 両端部の非球面レンズ部
3C 中央部のシリンドリカルレンズ部
4L、4R ランプユニット
5L、5R リフレクタ
6 シェード
61 第1水平エッジ
62 第2水平エッジ
63 中央斜めエッジ
7 ヒートシンク部材
8L、8R 保持部材
91L、91R 第1反射面
92L、92R 第2反射面
F 前
B 後
U 上
D 下
L 左
R 右
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
F1L、F1R 第1焦点
Z1−Z1 反射面の光軸、レンズ軸
Z2−Z2 反射面の光軸、レンズ軸
L1L、L1R 第1反射面からの反射光
L2L、L2R 第2反射面からの反射光
V1、V2 平面
SPL、SPR、SPL1、SPR1、SPL2、SPR2 集光配光パターン
WPL、WPR、WPL1、WPR1、WPL2、WPR2 拡散配光パターン
CL1 第1水平カットオフライン
CL2 第2水平カットオフライン
CL3 中央斜めカットオフライン
E エルボー点
CL 水平カットオフライン
LP すれ違い用配光パターン
FP フォグ用配光パターン
HP 走行用配光パターン
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とし、かつ、1個のレンズを共有する複数個のランプユニットから構成されている車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。従来の車両用灯具は、集光タイプの配光パターンを照射する第1ランプユニットと、拡散タイプの配光パターンを照射する第2ランプユニットおよび第3ランプユニットと、から構成されているものである。3個のランプユニットは、3個の半導体型光源と、楕円を基調とした自由曲面の反射面を有する3個のリフレクタと、1個のレンズと、1個のシェードと、を備えるものである。
【0003】
半導体型光源の光量は、ハロゲン電球やメタルハライド放電灯と比較して少ない。このために、従来の車両用灯具は、複数個のランプユニットから照射される複数の配光パターン(集光タイプの配光パターンおよび拡散タイプの配光パターン)を合成して、半導体型光源の少ない光量を補っている。
【0004】
従来の車両用灯具は、第1ランプユニットから照射される集光タイプの配光パターンと、第2ランプユニットおよび第3ランプユニットから照射される拡散タイプの配光パターンと、すなわち、複数の異なる配光パターンを合成して所定の配光パターン(たとえば、すれ違い用配光パターン)を形成するものである。このために、従来の車両用灯具においては、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−218964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用灯具においては、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がある、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、複数個のランプユニットが、少なくとも、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面をそれぞれ有する2個のリフレクタと、その2個のリフレクタの反射面の第1焦点(第1焦点およびその第1焦点近傍)に配置されている2個の半導体型光源と、その2個の半導体型光源からの光であって2個のリフレクタの反射面で反射された反射光を外部に照射する1個のレンズと、を備え、1個のレンズが、1個の非球面レンズを、レンズ軸(レンズ軸およびそのレンズ軸近傍)を含む平面で2分割してなる両端部の非球面レンズ部と、その両端部の非球面レンズ部の2分割平面の間に一体に設けられている中央部のシリンドリカルレンズ部と、から構成されていて、2個のリフレクタの反射面の光軸が、両端部の非球面レンズ部の2分割平面(2分割平面およびその2分割平面近傍)上に位置し、2個のリフレクタの反射面が、2個の半導体型光源からの光の一部を中央部のシリンドリカルレンズ部側に反射させて中央部のシリンドリカルレンズ部から拡散配光パターンを照射させる第1反射面と、2個の半導体型光源からの光の一部を両端部の非球面レンズ部側に反射させて両端部の非球面レンズ部から集光配光パターンを照射させる第2反射面と、から一体に構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項2にかかる発明)は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源と1個のレンズとの間に配置されていて、2個の半導体型光源からの光であって2個のリフレクタの反射面で反射された反射光の一部を遮蔽してカットオフラインを有する配光パターンを形成する1個のシェードを、備える、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項3にかかる発明)は、1個のシェードには、対向車線側の第1水平カットオフラインを形成する第1水平エッジと、その第1水平エッジよりも下位に位置していて走行車線側の第2水平カットオフラインを形成する第2水平エッジと、中央斜めカットオフラインを形成する中央斜めエッジと、がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズとを備える複数個のランプユニットから照射される複数の配光パターン(集光タイプの配光パターンおよび拡散タイプの配光パターン)を合成するものであるから、半導体型光源の少ない光量を補うことができる。
【0011】
その上、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源に対して、レンズを共有化すなわち1個に一体化することができるので、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源の位置相関性を向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0012】
特に、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、2個の半導体型光源からの光が2個のリフレクタの反射面(第1反射面と第2反射面とが一体に構成されている反射面)でそれぞれ反射してかつ1個のレンズを透過することにより、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとが合成された2個の同一系統の配光パターンをそれぞれ形成することができる。すなわち、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズとを備える同一系統の複数個のランプユニットから、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとが合成された2個の同一系統の配光パターンをそれぞれ照射することができる。このために、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、前記の従来の車両用灯具のように、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がないので、設計および生産管理が前記の従来の車両用灯具と比較して容易であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0013】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズと1個のシェードとを備える同一系統の複数個のランプユニットから、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとが合成された2個の同一系統の配光パターンであってカットオフラインを有する配光パターンをそれぞれ照射することができる。
【0014】
その上、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源に対して、シェードを共有化すなわち1個に一体化することができるので、同じく共有化すなわち1個に一体化したレンズと共に、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源の位置相関性をさらに向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数をさらに軽減することができ、その分、製造コストをさらに安価にすることができる。
【0015】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズと1個のシェードとを備える同一系統の複数個のランプユニットから、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとが合成された2個の同一系統の配光パターンであって、対向車線側の第1水平カットオフラインと走行車線側の第2水平カットオフラインと中央斜めカットオフラインとを有する配光パターンすなわちすれ違い用配光パターンをそれぞれ照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す斜視図である。
【図2】図2は、同じく、要部の水平断面図(要部の横断面図、図1におけるII−II線断面図)である。
【図3】図3は、同じく、2個のランプユニットからそれぞれ照射されるすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図4】図4は、同じく、2個のランプユニットからそれぞれ照射されるすれ違い用配光パターンを合成したすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図5】図5は、同じく、要部の正面図(図1におけるV矢視図)である。
【図6】図6は、同じく、要部の垂直断面図(要部の縦断面図、図1におけるVI−VI線断面図)である。
【図7】図7は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す要部の正面図(図5に対応する正面図)である。
【図8】図8は、同じく、2個のランプユニットからそれぞれ照射されるすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図9】図9は、同じく、2個のランプユニットからそれぞれ照射されるすれ違い用配光パターンを合成したすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図10】図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す要部の水平断面図(要部の横断面図、図2に対応する断面図)である。
【図11】図11は、この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す要部の水平断面図(要部の横断面図、図2に対応する断面図)である。
【図12】図12は、この発明にかかる車両用灯具の実施例5を示す要部の水平断面図(要部の横断面図、図2に対応する断面図)である。
【図13】図13は、この発明にかかる車両用灯具の実施例6を示す要部の水平断面図(要部の横断面図、図2に対応する断面図)である。
【図14】図14は、この発明にかかる車両用灯具の実施例7を示すフォグ用配光パターンの説明図(図3および図4に対応する説明図)である。
【図15】図15は、この発明にかかる車両用灯具の実施例8を示す走行用配光パターンの説明図(図3および図4に対応する説明図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの8例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例および変形例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「F」は、車両の前方向側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両の後方向側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方向側を見た上方向側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方向側を見た下方向側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方向側を見た場合の左方向側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方向側を見た場合の右方向側を示す。前記の前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。また、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。さらに、図3、図4、図8、図9、図14、図15は、スクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。
【実施例1】
【0018】
(構成の説明)
図1〜図6は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用灯具の構成について説明する。この例は、たとえば、自動車用前照灯のヘッドランプについて説明する。この実施例1の車両用灯具は、左側通行の車両用灯具について説明する。右側通行の車両用灯具は、この実施例1の車両用灯具とほぼ左右逆の配光パターンとなる。
【0019】
図において、符号1は、この実施例1における車両用灯具である。前記車両用灯具1は、図に示すように、半導体型光源2L、2Rを光源とし、かつ、1個のレンズ3を共有する複数個、この例では2個のランプユニット4L、4Rから構成されている。
【0020】
前記2個のランプユニット4L、4Rは、プロジェクタタイプのランプユニットから構成されている。前記2個のランプユニット4L、4Rは、図示しない自動車用前照灯のランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)により区画されている灯室(図示せず)内に光軸調整機構(図示せず)を介して光軸調整可能に配置されている。前記2個のランプユニット4L、4Rは、車両の幅方向(左右方向)に配置されている。
【0021】
前記2個のランプユニット4L、4Rは、少なくとも、2個のリフレクタ5L、5Rと、2個の前記半導体型光源2L、2Rと、1個の前記レンズ3と、1個のシェード6と、1個のヒートシンク部材7(なお、図2、図5において図示を省略してある)と、2個の保持部材8L、8R(なお、図2、図5、図6において図示を省略してある)と、を備える。
【0022】
前記ヒートシンク部材7は、たとえば、樹脂や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高い材料からなる。前記ヒートシンク部材7は、中央部分の垂直板部と、中央部分から前側部分にかけての水平板部と、中央部分から後側部分にかけて縦形のフィン形状部と、から構成されている。
【0023】
前記2個のリフレクタ5L、5Rは、一体構造をなす。前記2個のリフレクタ5L、5Rは、たとえば、樹脂部材や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高くかつ光不透過性の材料からなる。前記2個のリフレクタ5L、5Rは、前記ヒートシンク部材7の水平板部の上面に固定されている。前記2個のリフレクタ5L、5Rは、前側部分および下側部分が開口し、かつ、後側部分および上側部分および左右両側部分が閉塞した中空形状をなす。前記2個のリフレクタ5L、5Rの閉塞部分の凹内面には、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面91L、92L、91R、92Rがそれぞれ設けられている。
【0024】
前記反射面91L、92L、91R、92Rは、自由曲面から構成されている。このために、前記反射面91L、92L、91R、92Rの第1焦点F1L、F1Rおよび第2焦点(図示せず)においては、厳密な意味での単一の焦点を有していないが、複数の反射面相互の焦点距離の差異が僅少であり、ほぼ同一の焦点を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に第1焦点および第2焦点と称する。また、同様に、前記反射面91L、92L、91R、92Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2においては、厳密な意味での単一の光軸を有していないが、複数の反射面相互の光軸の差異が僅少であり、ほぼ同一の光軸を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に光軸と称する。
【0025】
前記2個の半導体型光源2L、2Rは、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例1ではLED)の半導体型光源を使用する。前記2個の半導体型光源2L、2Rは、前記ヒートシンク部材7の水平板部の上面であって、前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rの第1焦点(第1焦点およびその第1焦点近傍)F1L、F1Rに左右にそれぞれ配置されている。
【0026】
前記1個のレンズ3は、たとえば、PC材、PMMA材、PCO材などの樹脂製のレンズからなるものである。すなわち、前記2個の半導体型光源2L、2Rから放射される光は、高い熱を持たないので、前記1個のレンズ3として樹脂製のレンズを使用することができる。前記1個のレンズ3は、前記保持部材8L、8Rを介して前記ヒートシンク部材7の水平板部に保持されている。前記1個のレンズ3は、前記2個の半導体型光源2L、2Rおよび前記2個のリフレクタ5L、5Rの前側に配置されていて、前記2個の半導体型光源2L、2Rからの光であって前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rで反射された反射光L1L、L2L、L1R、L2Rを外部に照射する。
【0027】
前記1個のレンズ3は、両端部の非球面レンズ部3L、3Rと、中央部のシリンドリカルレンズ部3Cと、から一体に構成されている。前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rは、1個の非球面レンズを、レンズ軸(レンズ軸およびそのレンズ軸近傍)Z1−Z1、Z2−Z2を含む平面(図5において、一点鎖線で示す垂直平面)V1、V2で2分割してなるものである。前記中央部のシリンドリカルレンズ部3Cは、前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rの2分割平面V1、V2の間に一体に設けられているものである。
【0028】
前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2は、前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rのレンズ軸Z1−Z1、Z2−Z2と一致もしくはほぼ一致する。前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2は、前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rの2分割平面V1、V2上に位置する。前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rの第2焦点は、前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rの図示していないレンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)に一致もしくはほぼ一致する。
【0029】
前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rは、それぞれ、第1反射面91L、91Rと、第2反射面92L、92Rと、から一体に構成されている。左側のリフレクタ5Lの前記第1反射面91Lおよび前記第2反射面92Lと、右側のリフレクタ5Rの前記第1反射面91Rおよび前記第2反射面92Rとは、左右が反転している。
【0030】
前記第1反射面91L、91Rは、回転楕円面に近似した自由曲面からなる。前記第1反射面91L、91Rは、それぞれ、前記2個のリフレクタ5L、5Rの外側に位置する。すなわち、左側の第1ランプユニット4Lのリフレクタ5Lの第1反射面91Lは、前記リフレクタ5Lの左側に位置し、右側の第1ランプユニット4Rのリフレクタ5Rの第1反射面91Rは、前記リフレクタ5Rの右側に位置する。前記第1反射面91L、91Rは、前記2個の半導体型光源2L、2Rからの光の一部(図2において、点線矢印で示す光L1L、L1R)を前記中央部のシリンドリカルレンズ部3C側に反射させて前記中央部のシリンドリカルレンズ部3Cから拡散タイプの配光パターン(以下、単に「拡散配光パターン」と称する)WPL、WPR(図3参照)を照射させるものである。
【0031】
前記第2反射面92L、92Rは、回転楕円面を左右方向(水平方向)に光軸Z1−Z1、Z2−Z2から遠ざかる方向に広げた自由曲面からなる。前記第2反射面92L、92Rは、それぞれ、前記2個のリフレクタ5L、5Rの内側に位置する。すなわち、左側の第1ランプユニット4Lのリフレクタ5Lの第2反射面92Lは、前記リフレクタ5Lの右側に位置し、右側の第1ランプユニット4Rのリフレクタ5Rの第2反射面92Rは、前記リフレクタ5Rの左側に位置する。前記第2反射面92L、92Rは、前記2個の半導体型光源2L、2Rからの光の一部(図2において、実線矢印で示す光L2L、L2R)を前記両端部の非球面レンズ部3L、3R側に反射させて前記両端部の非球面レンズ部3L、3Rから集光タイプの配光パターン(以下、単に「集光配光パターン」と称する)SPL、SPR(図3参照)を照射させるものである。
【0032】
前記1個のレンズ3の前記中央部のシリンドリカルレンズ部3Cの左右方向(水平方向)の長さ(幅)は、左右の前記2個のリフレクタ5L、5Rが相互に干渉しない程度、あるいは、一方の前記第1反射面91Lからの反射光L1L(あるいは、前記第1反射面91Rからの反射光L1R)が他方の前記非球面レンズ部3R(あるいは、前記非球面レンズ部3L)に入射しない程度、とする。
【0033】
前記1個のシェード6は、前記2個のリフレクタ5L、5Rおよび前記2個の半導体型光源2L、2Rと前記1個のレンズ3との間に配置されている。前記1個のシェード6は、前記2個の半導体型光源2L、2Rからの光であって前記2個のリフレクタ5L、5Rの前記反射面91L、92L、91R、92Rで反射された反射光L1L、L2L、L1R、L2Rの一部を遮蔽してカットオフラインCL1、CL2、CL3およびエルボー点Eを有する配光パターン(すなわち、図3(A)に示す配光パターンWPLおよびSPLと、図3(B)に示す配光パターンWPRおよびSPRと、を合成した(重畳した)図4に示すすれ違い用配光パターンLP)を形成する。
【0034】
前記1個のシェード6には、第1水平エッジ61と、第2水平エッジ62と、中央斜めエッジ63と、がそれぞれ設けられている。前記第1水平エッジ61は、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1を形成する。前記第2水平エッジ62は、前記第1水平エッジ61よりも下位に位置し、前記第1水平カットオフラインCL1よりも上位に位置する走行車線側の第2水平カットオフラインCL2を形成する。前記中央斜めエッジ63は、前記第1エッジ61と前記第2エッジ62との間に位置し、前記第1水平カットオフラインCL1と前記第2水平カットオフラインCL2との間に位置する中央斜めカットオフラインCL3を形成する。前記第2水平エッジ62および前記中央斜めエッジ63は、左側のランプユニット4Lに対応して、前記1個のシェード6の左側の部分に設けられている。前記1個のシェード6の左側の部分の前記第1水平エッジ61と前記中央斜めエッジ63との間の角部は、前記エルボー点Eを形成する。
【0035】
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0036】
(作用の説明)
車両用灯具1の2個の半導体型光源2L、2Rを点灯発光させる。すると、2個の半導体型光源2L、2Rから光が放射される。この2個の半導体型光源2L、2Rから放射される光は、2個のリフレクタ5L、5Rの反射面91L、92L、91R、92Rで反射される。この反射光L1L、L1R、L2L、L2Rの一部は、シェード6によりカットオフされる。一方、シェード6によりカットオフされなかった反射光L1L、L1R、L2L、L2Rの残りは、1個のレンズ3の両端部の非球面レンズ部3L、3Rおよび中央部のシリンドリカルレンズ部3Cを透過して、図3(A)に示す配光パターンWPLおよびSPLと図3(B)に示す配光パターンWPRおよびSPRとが合成された(重畳された)図4に示すすれ違い用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。
【0037】
すなわち、左側のランプユニット4Lの第1反射面91Lで反射された反射光L1Lは、図2中の左側の点線矢印に示すように、1個のレンズ3の中央部のシリンドリカルレンズ部3Cの左側の部分を透過して、図3(A)の右側に示すように、第1水平カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPLとして車両の前方に照射される。
【0038】
また、左側のランプユニット4Lの第2反射面92Lで反射された反射光L2Lは、図2中の左側の実線矢印に示すように、1個のレンズ3の左端部の非球面レンズ部3Lを透過して、図3(A)の左側に示すように、第2水平カットオフラインCL2および中央斜めカットオフラインCL3を有する集光配光パターンSPLとして車両の前方に照射される。
【0039】
一方、右側のランプユニット4Rの第1反射面91Rで反射された反射光L1Rは、図2中の右側の点線矢印に示すように、1個のレンズ3の中央部のシリンドリカルレンズ部3Cの右側の部分を透過して、図3(B)の左側に示すように、第1水平カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPRとして車両の前方に照射される。
【0040】
また、右側のランプユニット4Rの第2反射面92Rで反射された反射光L2Rは、図2中の右側の実線矢印に示すように、1個のレンズ3の右端部の非球面レンズ部3Lを透過して、図3(B)の右側に示すように、第1水平カットオフラインCL1を有する集光配光パターンSPRとして車両の前方に照射される。
【0041】
そして、図3(A)に示す配光パターンWPLおよびSPLと、図3(B)に示す配光パターンWPRおよびSPRとが合成され(重畳され)、図4に示すように、第1水平カットオフラインCL1および第2水平カットオフラインCL2および中央斜めカットオフラインCL3およびエルボー点Eを有するすれ違い用配光パターンLPが車両の前方に照射される。
【0042】
(効果の説明)
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0043】
この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rと2個の半導体型光源2L、2Rと1個のレンズ3とを備える2個のランプユニット4L、4Rから照射される2つの配光パターン(図3(A)に示す、左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す、右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRと)を合成するものであるから、半導体型光源2L、2Rの少ない光量を補うことができる。
【0044】
その上、この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rおよび2個の半導体型光源2L、2Rに対して、レンズ3を共有化すなわち1個に一体化することができるので、2個のリフレクタ5L、5Rおよび2個の半導体型光源2L、2Rの位置相関性を向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0045】
特に、この実施例1における車両用灯具1は、2個の半導体型光源2L、2Rからの光が2個のリフレクタ5L、5Rの反射面(第1反射面91L、91Rと第2反射面92L、92Rとが一体に構成されている反射面)でそれぞれ反射してかつ1個のレンズ3を透過することにより、集光配光パターンSPL、SPRと拡散配光パターンWPL、WPRとが合成された2個の同一系統の配光パターン(図3(A)に示す左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRと)をそれぞれ形成することができる。すなわち、この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rと2個の半導体型光源2L、2Rと1個のレンズ3とを備える同一系統の2個のランプユニット4L、4Rから、集光配光パターンSPL、SPRと拡散配光パターンWPL、WPRとが合成された2個の同一系統の配光パターン(図3(A)に示す左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRと)をそれぞれ照射することができる。このために、この実施例1における車両用灯具1は、前記の従来の車両用灯具のように、複数の異なる配光パターンをそれぞれ照射する複数系統の複数個のランプユニットの位置相関性を高精度に維持する必要がないので、設計および生産管理が前記の従来の車両用灯具と比較して容易であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0046】
この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rと2個の半導体型光源2L、2Rと1個のレンズ3と1個のシェード6とを備える同一系統の2個のランプユニット4L、4Rから、集光配光パターンSPL、SPRと拡散配光パターンWPL、WPRとが合成された2個の同一系統の配光パターンであってカットオフラインCL1、CL2、CL3を有する配光パターンをそれぞれ照射することができる。
【0047】
その上、この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rおよび2個の半導体型光源2L、2Rに対して、シェード6を共有化すなわち1個に一体化することができるので、同じく共有化すなわち1個に一体化したレンズ3と共に、2個のリフレクタ5L、5Rおよび2個の半導体型光源2L、2Rの位置相関性をさらに向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数をさらに軽減することができ、その分、製造コストをさらに安価にすることができる。
【0048】
この実施例1における車両用灯具1は、2個のリフレクタ5L、5Rと2個の半導体型光源2L、2Rと1個のレンズ3と1個のシェード6とを備える同一系統の2個のランプユニット4L、4Rから、集光配光パターンSPL、SPRと拡散配光パターンWPL、WPRとが合成された2個の同一系統の配光パターンであって、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する配光パターンすなわち図4に示すすれ違い用配光パターンLPをそれぞれ照射することができる。
【0049】
この実施例1における車両用灯具1は、左側のリフレクタ5Lの第1反射面91Lおよび第2反射面92Lと、右側のリフレクタ5Rの第1反射面91Rおよび第2反射面92Rとが、左右反転した形状で形成されているので、左側のリフレクタ5Lの第1反射面91Lおよび第2反射面92Lと、右側のリフレクタ5Rの第1反射面91Rおよび第2反射面92Rとを、簡単に形成することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【実施例2】
【0050】
(実施例2の説明)
図7〜図9は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。図中、図1〜図6と同符号は、同一のものを示す。
【0051】
前記の実施例1における車両用灯具1は、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を左側のランプユニット4Lに対応して1個のシェード6の左側の部分に設けたものである。これに対して、この実施例2における車両用灯具100は、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を右側のランプユニット4Rに対応して1個のシェード6の右端部に設けたものである。
【0052】
この実施例2における車両用灯具100は、前記の実施例1における車両用灯具1の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例3】
【0053】
(実施例3の説明)
図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す。図中、図1〜図9と同符号は、同一のものを示す。
【0054】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸(図示せず)と平行もしくはほぼ平行である。これに対して、この実施例3における車両用灯具101は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1が車両の進行軸に対して内側(車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合においては内側で、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては外側)に向き、かつ、右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2が車両の進行軸に対して外側(車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合においては外側で、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては内側)に向いているものである。
【0055】
この実施例3における車両用灯具101は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例3における車両用灯具101は、1個のレンズ3の表面の意匠形状を立体的に形成することができる。
【実施例4】
【0056】
(実施例4の説明)
図11は、この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す。図中、図1〜図10と同符号は、同一のものを示す。
【0057】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸と平行もしくはほぼ平行である。これに対して、この実施例4における車両用灯具102は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1が車両の進行軸に対して外側(車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合においては外側で、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては内側)に向き、かつ、右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2が車両の進行軸に対して内側(車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合においては内側で、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては外側)に向いているものである。
【0058】
この実施例4における車両用灯具102は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例4における車両用灯具102は、前記の実施例3における車両用灯具101と同様に、1個のレンズ3の表面の意匠形状を立体的に形成することができる。
【実施例5】
【0059】
(実施例5の説明)
図12は、この発明にかかる車両用灯具の実施例5を示す。図中、図1〜図11と同符号は、同一のものを示す。
【0060】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸と平行もしくはほぼ平行である。これに対して、この実施例5における車両用灯具103は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1が車両の進行軸と平行もしくはほぼ平行であり、かつ、右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2が車両の進行軸に対して外側に向いているものである。なお、この実施例5における車両用灯具103は、車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合であって、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては、この実施例5における車両用灯具103と左右が反転する。
【0061】
この実施例5における車両用灯具103は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例5における車両用灯具103は、車両の前部の左右両側の部分が上から見て(平面視)湾曲スラントしている車体に適している。
【実施例6】
【0062】
(実施例6の説明)
図13は、この発明にかかる車両用灯具の実施例6を示す。図中、図1〜図12と同符号は、同一のものを示す。
【0063】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸と平行もしくはほぼ平行である。これに対して、この実施例6における車両用灯具104は、左側のランプユニット4Lの光軸Z1−Z1と右側のランプユニット4Rの光軸Z2−Z2とが車両の進行軸に対して外側に向いているものである。なお、この実施例6における車両用灯具104は、車両の前部の右側に搭載する車両用灯具の場合であって、車両の前部の左側に搭載する車両用灯具の場合においては、この実施例6における車両用灯具104と左右が反転する。
【0064】
この実施例6における車両用灯具104は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例6における車両用灯具104は、前記の実施例5における車両用灯具103と同様に、車両の前部の左右両側の部分が上から見て(平面視)湾曲スラントしている車体に適している。
【実施例7】
【0065】
(実施例7の説明)
図14は、この発明にかかる車両用灯具の実施例7を示す。図中、図1〜図13と同符号は、同一のものを示す。
【0066】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、1個のシェード6に第1水平エッジ61、第2水平エッジ62、中央斜めエッジ63を設けて、図3(A)に示す左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRとを合成して、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する図4に示すすれ違い用配光パターンLPを、車両の前方に照射するものである。これに対して、この実施例7における車両用灯具は、1個のシェードに同レベルもしくはほぼ同レベルの水平エッジを設けて、図14(A)に示す左側の集光配光パターンSPL1および右側の拡散配光パターンWPL1と、図14(B)に示す右側の集光配光パターンSPR1および左側の拡散配光パターンWPR1とを合成して、同レベルもしくはほぼ同レベルの水平カットオフラインCLを有する図14(C)に示すフォグ用配光パターンFPを、車両の前方に照射するものである。
【0067】
この実施例7における車両用灯具は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例8】
【0068】
(実施例8の説明)
図15は、この発明にかかる車両用灯具の実施例8を示す。図中、図1〜図14と同符号は、同一のものを示す。
【0069】
前記の実施例1、2における車両用灯具1、100は、1個のシェード6に第1水平エッジ61、第2水平エッジ62、中央斜めエッジ63を設けて、図3(A)に示す左側の集光配光パターンSPLおよび右側の拡散配光パターンWPLと、図3(B)に示す右側の集光配光パターンSPRおよび左側の拡散配光パターンWPRとを合成して、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する図4に示すすれ違い用配光パターンLPを、車両の前方に照射するものである。これに対して、この実施例8における車両用灯具は、1個のシェードを使用せずに、図15(A)に示す左側の集光配光パターンSPL2および右側の拡散配光パターンWPL2と、図15(B)に示す右側の集光配光パターンSPR2および左側の拡散配光パターンWPR2とを合成して、図15(C)に示す走行用配光パターンHPを、車両の前方に照射するものである。
【0070】
この実施例8における車両用灯具は、前記の実施例1、2における車両用灯具1、100の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0071】
(実施例以外の例の説明)
なお、前記の実施例においては、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を左側のランプユニット4Lに対応して1個のシェード6の左側の部分に設けたものであり、また、前記の実施例2においては、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を右側のランプユニット4Rに対応して1個のシェード6の右端部に設けたものである。ところが、この発明においては、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を、左側のランプユニット4Lに対応して1個のシェード6の左側の部分に、および、右側のランプユニット4Rに対応して1個のシェード6の右端部に、それぞれ設けたものであっても良い。この場合においては、すれ違い用配光パターンLPのエルボー点Eから中央カットオフラインCL3にかけての部分の光度が高くなるので、走行車線側の遠方の視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【0072】
また、前記の実施例においては、2個のランプユニット4L、4Rを使用するものである。ところが、この発明においては、2個のランプユニット4L、4Rにその他のランプユニット、たとえば、半導体型光源を一体構造のリフレクタ5L、5Rもしくは1個のシェード6もしくはヒートシンク部材7に取り付けて、その半導体型光源からの光を、1個のレンズ3の中央部のシリンドリカルレンズ部3Cを透過させて、オーバーヘッドサイン用配光パターンやクリアランス用配光パターンなどを車両の前方や外部に照射するようにしても良い。
【符号の説明】
【0073】
1、100、101、102、103、104 車両用灯具
2L、2R 半導体型光源
3 レンズ
3L、3R 両端部の非球面レンズ部
3C 中央部のシリンドリカルレンズ部
4L、4R ランプユニット
5L、5R リフレクタ
6 シェード
61 第1水平エッジ
62 第2水平エッジ
63 中央斜めエッジ
7 ヒートシンク部材
8L、8R 保持部材
91L、91R 第1反射面
92L、92R 第2反射面
F 前
B 後
U 上
D 下
L 左
R 右
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
F1L、F1R 第1焦点
Z1−Z1 反射面の光軸、レンズ軸
Z2−Z2 反射面の光軸、レンズ軸
L1L、L1R 第1反射面からの反射光
L2L、L2R 第2反射面からの反射光
V1、V2 平面
SPL、SPR、SPL1、SPR1、SPL2、SPR2 集光配光パターン
WPL、WPR、WPL1、WPR1、WPL2、WPR2 拡散配光パターン
CL1 第1水平カットオフライン
CL2 第2水平カットオフライン
CL3 中央斜めカットオフライン
E エルボー点
CL 水平カットオフライン
LP すれ違い用配光パターン
FP フォグ用配光パターン
HP 走行用配光パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源を光源とし、かつ、1個のレンズを共有する複数個のランプユニットから構成されている車両用灯具において、
前記複数個のランプユニットは、少なくとも、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面をそれぞれ有する2個のリフレクタと、前記2個のリフレクタの前記反射面の第1焦点に配置されている2個の半導体型光源と、前記2個の半導体型光源からの光であって前記2個のリフレクタの前記反射面で反射された反射光を外部に照射する1個のレンズと、を備え、
前記1個のレンズは、1個の非球面レンズを、レンズ軸を含む平面で2分割してなる両端部の非球面レンズ部と、前記両端部の非球面レンズ部の2分割平面の間に一体に設けられている中央部のシリンドリカルレンズ部と、から構成されていて、
前記2個のリフレクタの前記反射面の光軸は、前記両端部の非球面レンズ部の2分割平面上に位置し、
前記2個のリフレクタの前記反射面は、前記2個の半導体型光源からの光の一部を前記中央部のシリンドリカルレンズ部側に反射させて前記中央部のシリンドリカルレンズ部から拡散配光パターンを照射させる第1反射面と、前記2個の半導体型光源からの光の一部を前記両端部の非球面レンズ部側に反射させて前記両端部の非球面レンズ部から集光配光パターンを照射させる第2反射面と、から一体に構成されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記2個のリフレクタおよび前記2個の半導体型光源と前記1個のレンズとの間に配置されていて、前記2個の半導体型光源からの光であって前記2個のリフレクタの前記反射面で反射された反射光の一部を遮蔽してカットオフラインを有する配光パターンを形成する1個のシェードを、備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記1個のシェードには、対向車線側の第1水平カットオフラインを形成する第1水平エッジと、前記第1水平エッジよりも下位に位置していて走行車線側の第2水平カットオフラインを形成する第2水平エッジと、中央斜めカットオフラインを形成する中央斜めエッジと、がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項1】
半導体型光源を光源とし、かつ、1個のレンズを共有する複数個のランプユニットから構成されている車両用灯具において、
前記複数個のランプユニットは、少なくとも、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面をそれぞれ有する2個のリフレクタと、前記2個のリフレクタの前記反射面の第1焦点に配置されている2個の半導体型光源と、前記2個の半導体型光源からの光であって前記2個のリフレクタの前記反射面で反射された反射光を外部に照射する1個のレンズと、を備え、
前記1個のレンズは、1個の非球面レンズを、レンズ軸を含む平面で2分割してなる両端部の非球面レンズ部と、前記両端部の非球面レンズ部の2分割平面の間に一体に設けられている中央部のシリンドリカルレンズ部と、から構成されていて、
前記2個のリフレクタの前記反射面の光軸は、前記両端部の非球面レンズ部の2分割平面上に位置し、
前記2個のリフレクタの前記反射面は、前記2個の半導体型光源からの光の一部を前記中央部のシリンドリカルレンズ部側に反射させて前記中央部のシリンドリカルレンズ部から拡散配光パターンを照射させる第1反射面と、前記2個の半導体型光源からの光の一部を前記両端部の非球面レンズ部側に反射させて前記両端部の非球面レンズ部から集光配光パターンを照射させる第2反射面と、から一体に構成されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記2個のリフレクタおよび前記2個の半導体型光源と前記1個のレンズとの間に配置されていて、前記2個の半導体型光源からの光であって前記2個のリフレクタの前記反射面で反射された反射光の一部を遮蔽してカットオフラインを有する配光パターンを形成する1個のシェードを、備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記1個のシェードには、対向車線側の第1水平カットオフラインを形成する第1水平エッジと、前記第1水平エッジよりも下位に位置していて走行車線側の第2水平カットオフラインを形成する第2水平エッジと、中央斜めカットオフラインを形成する中央斜めエッジと、がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−238450(P2012−238450A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106062(P2011−106062)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
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