説明

車両用灯具

【課題】車両用灯具において、灯具意匠の斬新性を高める。
【解決手段】透光カバー14の本体部14Aを、灯具前後方向に延びる基準軸線Axを中心とする環状曲面に沿って形成された構成とする。その際、この環状曲面の基準軸線Axを含む断面形状を、灯具前方へ向けて基準軸線Axから離れる方向へ延びる凸曲線形状に設定しておく。そして、この本体部14Aの前面14aに、灯具正面視において基準軸線Axを中心にして放射状に延びる複数のリブ状突起部14bが形成された構成とする。さらに、これら各リブ状突起部14bの先端面に複数の拡散レンズ素子14s1が形成された構成とする。これにより、灯具点灯時、各リブ状突起部14bの先端面が複数箇所において光って見えるようにし、かつ、灯具正面視と斜め方向から観察したときとで、各リブ状突起部14bの先端面の光り方を異なったものとし、車両用灯具10の見え方に奥行感を持たせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ランプボディとその前方側に配置された透光カバーとで形成される灯室内に、透光カバーから灯具前方へ向けて光を出射させるための光源が配置されてなる車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テールランプ等の車両用灯具においては、ランプボディとその前方側に配置された透光カバーとで形成される灯室内に、透光カバーから灯具前方へ向けて光を出射させるための光源が配置された構成となっている場合が多い。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具において、その透光カバーに複数の拡散レンズ素子が形成された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−75025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、その透光カバーに形成された複数の拡散レンズ素子により、光源からの光を拡散させる構成となっているので、透光カバーが複数箇所において光って見えるようにすることが可能となる。
【0006】
しかしながら、この「特許文献1」に記載された車両用灯具は、その透光カバーが平面状に形成されているので、灯具点灯時の見え方が平凡なものとなってしまい、灯具意匠の斬新性に乏しい、という問題がある。
【0007】
なお、このような車両用灯具において、その透光カバーを車体の表面形状等に沿って自由曲面状に形成したとしても、灯具点灯時の見え方を大きく変化させることはできず、灯具意匠の斬新性を高めることは困難である。
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ランプボディとその前方側に配置された透光カバーとで形成される灯室内に、透光カバーから灯具前方へ向けて光を出射させるための光源が配置されてなる車両用灯具において、灯具意匠の斬新性を高めることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、透光カバーの形状に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0010】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
ランプボディとこのランプボディの前方側に配置された透光カバーとで形成される灯室内に、上記透光カバーから灯具前方へ向けて光を出射させるための光源が配置されてなる車両用灯具において、
上記透光カバーが、灯具前後方向に延びる基準軸線を中心とする環状曲面に沿って形成されており、
上記環状曲面の上記基準軸線を含む断面形状が、灯具前方へ向けて該基準軸線から離れる方向へ延びる凸曲線形状に設定されており、
上記透光カバーの前面または後面に、灯具正面視において上記基準軸線を中心にして放射状に延びる複数のリブ状突起部が形成されており、
上記各リブ状突起部の先端面に、該先端面に到達した上記光源からの光を拡散させる複数の拡散レンズ素子が形成されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
上記「車両用灯具」は、特定種類の車両用灯具に限定されるものではなく、例えば、テールランプ、ストップランプ、クリアランスランプ、ハイマウントストップランプ等が採用可能である。
【0012】
上記「光源」は、透光カバーから灯具前方へ向けて光を出射させるように構成されているが、その際、この「光源」からの出射光を、直射光として透光カバーに到達させる灯具構成となっていてもよいし、反射光等の間接光として透光カバーに到達させる灯具構成となっていてもよい。
【0013】
上記「光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば、発光ダイオード等の発光素子やハロゲンバルブのフィラメント等が採用可能である。
【0014】
上記「光源」は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0015】
上記「基準軸線」は、灯具前後方向に延びる軸線であれば、光源との位置関係については特に限定されるものではない。
【0016】
上記「環状曲面」の基準軸線を含む断面形状を構成する「凸曲線形状」は、基準軸線に関して全周にわたって同一の曲率で形成されていてもよいし、周方向の位置によって異なる曲率で形成されていてもよい。
【0017】
上記「複数のリブ状突起部」は、灯具正面視において基準軸線を中心にして放射状に延びるように形成されていれば、これら各リブ状突起部相互間の間隔は必ずしも等角度間隔に設定されていなくてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、その透光カバーが、灯具前後方向に延びる基準軸線を中心とする環状曲面に沿って形成されており、この環状曲面の基準軸線を含む断面形状が、灯具前方へ向けて基準軸線から離れる方向へ延びる凸曲線形状に設定されており、その上で、この透光カバーの前面または後面には、灯具正面視において基準軸線を中心にして放射状に延びる複数のリブ状突起部が形成されており、そして、これら各リブ状突起部の先端面には、該先端面に到達した光源からの光を拡散させる複数の拡散レンズ素子が形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0019】
すなわち、各リブ状突起部の先端面に複数の拡散レンズ素子が形成されていることにより、灯具点灯時、これら各リブ状突起部の先端面が複数箇所において光って見えることとなる。その際、これら各リブ状突起部は、上記凸曲線形状の断面形状を有する環状曲面に沿って形成された透光カバーの前面または後面に、灯具正面視において基準軸線を中心にして放射状に延びるように形成されているので、灯具正面方向から透光カバーを観察したときには、各リブ状突起部の先端面が放射状に光って見える一方、灯具正面方向から外れた斜め方向から透光カバーを観察したときには、各リブ状突起部の先端面が、放射状ではあるものの、その周方向の位置によって互いに異なる曲線に沿って光って見えることとなる。このため、車両用灯具の見え方に奥行感を持たせることができ、これにより灯具意匠の斬新性を高めることができる。
【0020】
このように本願発明によれば、ランプボディとその前方側に配置された透光カバーとで形成される灯室内に、透光カバーから灯具前方へ向けて光を出射させるための光源が配置されてなる車両用灯具において、灯具意匠の斬新性を高めることができる。
【0021】
しかも、本願発明に係る車両用灯具は、その透光カバーが上記凸曲線形状の断面形状を有する環状曲面に沿って形成されているので、これを灯具正面方向から外れた斜め方向から観察したときであっても、その発光面積を十分に確保することができ、これにより車両用灯具の被視認性を高めることができる。
【0022】
上記構成において、各リブ状突起部の先端面に形成された複数の拡散レンズ素子の各々が、光源からの光を基準軸線に関して径方向へ拡散させるように形成された構成とする一方、透光カバーの前面または後面における各リブ状突起部相互間に位置する各扇形領域に、光源からの光を基準軸線に関して周方向へ拡散させる複数の拡散レンズ素子が形成された構成とすれば、透光カバーの見え方を、各リブ状突起部と各扇形領域とで全く異なったものとすることができ、これにより灯具意匠の斬新性をより高めることができる。
【0023】
上記構成において、光源として複数の発光素子を備えた構成とした上で、これら複数の発光素子が、基準軸線の周囲に、該基準軸線に関して周方向に所定間隔をおいて灯具前方へ向けて配置された構成とすれば、各発光素子からの出射光の多くを透光カバーに到達させることができる。そしてこれにより、透光カバーを明るく光って見えるようにすることができるとともに、光源光束を有効に利用することができる。その際、これら「複数の発光素子」の数は、複数のリブ状突起部と同数であってもよいし、異なる数であってもよい。
【0024】
この場合において、透光カバーにおける上記基準軸線近傍の中心領域が、素通し部として構成されたものとした上で、ランプボディにおける各発光素子の外周側に位置する部分に、該発光素子からの光を基準軸線近傍へ向けて反射させる第1反射面がそれぞれ形成されるとともに、ランプボディにおける基準軸線近傍に位置する部分に、各第1反射面で反射した各発光素子からの光を透光カバーの素通し部へ向けて反射させる第2反射面が形成された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0025】
すなわち、各発光素子から透光カバー以外の方向へ向かう出射光についても、そのうちの何割かを、各第1反射面および各第2反射面を介して透光カバーの中心領域に到達させることができ、これにより光源光束を有効に利用することができる。しかもその際、透光カバーの中心領域は素通し部として構成されているので、灯具正面視において複数の第2反射面がこの素通し部に明るく映り込んで見えるようにすることができ、これにより奥行感をさらに強調して灯具意匠の斬新性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す斜視図
【図2】図1のII方向矢視部分断面図
【図3】図2のIII−III線断面図
【図4】上記実施形態の第1変形例に係る車両用灯具を示す、図3と同様の図
【図5】上記実施形態の第2変形例に係る車両用灯具を示す、図1と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す斜視図である。また、図2は、図1のII方向矢視部分断面図であり、図3は、図2のIII−III線断面図である。
【0029】
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両右後端部に配置されるテールランプであって、ランプボディ12と透光カバー14とで形成される灯室16内に、透光カバー14から灯具前方(車両としては後方、以下同様)へ向けて光を出射させるための光源として、8個の発光素子18が配置された構成となっている。
【0030】
これら8個の発光素子18は、いずれも赤色発光ダイオードであって、灯具前後方向に延びる基準軸線Axの周囲に、該基準軸線Axに関して周方向に等間隔をおいて灯具前方へ向けて配置されている。
【0031】
ランプボディ12は、8個の発光素子18を支持する光源支持プレート22と、この光源支持プレート22の前面に取り付けられた第1および第2反射部材24、26とからなっている。
【0032】
光源支持プレート22は、基準軸線Axと直交する平面に沿った配置されており、基準軸線Axを中心とする円形の外形形状を有している。そして、8個の発光素子18は、この光源支持プレート22における外周縁に比較的近い位置に配置されている。
【0033】
第1反射部材24は、光源支持プレート22の外周縁に沿って円環状に延びるように配置された部材であって、光源支持プレート22と同一の外形形状を有しており、光源支持プレート22の前面に固定支持されている。
【0034】
この第1反射部材24には、各発光素子18の外周側に位置する部分に、該発光素子18からの光を基準軸線Ax近傍へ向けて反射させる第1反射面24aがそれぞれ形成されている。
【0035】
第2反射部材26は、基準軸線Ax近傍に配置された段付き円錐状の部材であって、光源支持プレート22の前面に固定支持されている。
【0036】
この第2反射部材26は、その前面が鏡面として形成されており、その中央に位置する円錐面およびその外周側に隣接する円錐台面は、第1反射部材24の各第1反射面24aで反射した各発光素子18からの光を、基準軸線Axと略平行な光として灯具前方へ向けて反射させる第2反射面26aとして構成されている。
【0037】
透光カバー14は、無色透明の合成樹脂成形品であって、本体部14Aと支持部14Bとからなっている。
【0038】
本体部14Aは、基準軸線Axを中心とする環状曲面に沿って形成されている。その際、この環状曲面は、その基準軸線Axを含む断面形状が、灯具前方へ向けて基準軸線Axから離れる方向へ延びる凸曲線形状に設定されている。そして、この本体部14Aの外周縁形状は、基準軸線Axを中心とする円形形状に設定されている。
【0039】
一方、支持部14Bは、本体部14Aの外周縁から後方へ向けて円筒状に延びるように形成されている。この支持部14Bの後端面は、基準軸線Axと直交する平面で構成されている。そして、この支持部14Bの後端面において、透光カバー14が第1反射部材24の前面に固定支持されている。
【0040】
次に、透光カバー14の本体部14Aの具体的な構成について説明する。
【0041】
この本体部14の外周縁は、基準軸線Axと直交する平面に対して、灯具右側から灯具左側へ向けて(車両としては左側から右側へ向けて)灯具後方側へ傾斜した平面上に位置している。
【0042】
この本体部14Aにおける素通し部14d(これについて後述する)以外の領域は、その基準軸線Axを含む断面形状が、略円弧形状に設定されている。その際、この略円弧形状の曲率は、本体部14の外周縁が傾斜していることから、灯具右側から灯具左側へ向けて徐々に大きくなるように設定されている。
【0043】
この本体部14Aの前面14aには、灯具正面視において基準軸線Axを中心にして放射状に延びる複数のリブ状突起部14bが形成されている。そして、これら各リブ状突起部14bの先端面には、該先端面に到達した8個の発光素子18からの光を、基準軸線Axに関して径方向へ拡散させる複数の拡散レンズ素子14s1が形成されている。
【0044】
また、この本体部14Aの前面14aにおける各リブ状突起部14b相互間に位置する各扇形領域14cには、8個の発光素子18からの光を基準軸線Axに関して周方向(正確には周方向の接線方向)へ拡散させる複数の拡散レンズ素子14s2が形成されている。
【0045】
この本体部14Aにおける基準軸線Ax近傍の中心領域は、基準軸線Axと直交する平面に沿って平板状に延びる素通し部14dとして構成されている。
【0046】
この素通し部14dは、灯具正面視において円形の外形形状を有しており、その外周縁は、第2反射部材26における第2反射面26aの外周縁よりもやや外周側に位置している。
【0047】
そして、本実施形態に係る車両用灯具10においては、第1反射部材24の各第1反射面24aで反射して第2反射部材26の第2反射面26aで灯具前方へ向けて反射した各発光素子18からの光を、この素通し部18dを介して、そのまま基準軸線Axと略平行な光として灯具前方へ向けて出射させるようになっている。
【0048】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0049】
本実施形態に係る車両用灯具10は、その透光カバー14の本体部14Aが、灯具前後方向に延びる基準軸線Axを中心とする環状曲面に沿って形成されており、この環状曲面の基準軸線Axを含む断面形状が、灯具前方へ向けて基準軸線Axから離れる方向へ延びる凸曲線形状に設定されており、その上で、この本体部14Aの前面14aには、灯具正面視において基準軸線Axを中心にして放射状に延びる複数のリブ状突起部14bが形成されており、そして、これら各リブ状突起部14bの先端面には、該先端面に到達した各発光素子18からの光を拡散させる複数の拡散レンズ素子14s1が形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0050】
すなわち、各リブ状突起部14bの先端面に複数の拡散レンズ素子14s1が形成されていることにより、灯具点灯時、これら各リブ状突起部14bの先端面が複数箇所において光って見えることとなる。その際、これら各リブ状突起部14bは、上記凸曲線形状の断面形状を有する環状曲面に沿って形成された本体部14Aの前面14aに、灯具正面視において基準軸線Axを中心にして放射状に延びるように形成されているので、灯具正面方向から透光カバー14を観察したときには、その本体部14Aにおける各リブ状突起部14bの先端面が放射状に光って見える一方、灯具正面方向から外れた斜め方向から透光カバー14を観察したときには、その本体部14Aにおける各リブ状突起部14bの先端面が、放射状ではあるものの、その周方向の位置によって互いに異なる曲線に沿って光って見えることとなる。このため、車両用灯具10の見え方に奥行感を持たせることができ、これにより灯具意匠の斬新性を高めることができる。
【0051】
このように本実施形態によれば、ランプボディ12と透光カバー14とで形成される灯室16内に、透光カバー14から灯具前方へ向けて光を出射させるための光源が配置されてなる車両用灯具10において、灯具意匠の斬新性を高めることができる。
【0052】
しかも、本実施形態に係る車両用灯具10は、その透光カバー14の本体部14Aが、上記凸曲線形状の断面形状を有する環状曲面に沿って形成されているので、これを灯具正面方向から外れた斜め方向から観察したときであっても、その発光面積を十分に確保することができ、これにより車両用灯具10の被視認性を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る車両用灯具10は、各リブ状突起部14bの先端面に形成された複数の拡散レンズ素子14s1の各々が、各発光素子18からの光を基準軸線Axに関して径方向へ拡散させるように形成されており、一方、本体部14Aの前面14aにおける各リブ状突起部14b相互間に位置する各扇形領域14cには、各発光素子18からの光を基準軸線Axに関して周方向へ拡散させる複数の拡散レンズ素子14s2が形成されているので、透光カバー14の本体部14Aの見え方を、各リブ状突起部14bと各扇形領域14cとで全く異なったものとすることができ、これにより灯具意匠の斬新性をより高めることができる。
【0054】
そして、本実施形態に係る車両用灯具10は、その光源として8個の発光素子18を備えた構成となっており、その上で、これら8個の発光素子18が、基準軸線Axの周囲に、該基準軸線Axに関して周方向に等間隔をおいて灯具前方へ向けて配置されているので、各発光素子18からの出射光の多くを透光カバー14に到達させることができる。そしてこれにより、透光カバー14を明るく光って見えるようにすることができるとともに、光源光束を有効に利用することができる。
【0055】
さらに、本実施形態に係る車両用灯具10は、その透光カバー14の本体部14Aにおける基準軸線Ax近傍の中心領域が、素通し部14dとして構成されており、その上で、ランプボディ12における各発光素子18の外周側に位置する部分には、該発光素子18からの光を基準軸線Ax近傍へ向けて反射させる第1反射面24aがそれぞれ形成されるとともに、ランプボディ12における基準軸線Ax近傍に位置する部分には、各第1反射面24aで反射した各発光素子18からの光を透光カバー14の素通し部14dへ向けて反射させる第2反射面26aが形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0056】
すなわち、各発光素子18から透光カバー14以外の方向へ向かう出射光についても、そのうちの何割かを、各第1反射面24aおよび各第2反射面26aを介して透光カバー14の中心領域に到達させることができ、これにより光源光束を有効に利用することができる。しかもその際、透光カバー14の中心領域は素通し部14dとして構成されているので、灯具正面視において複数の第2反射面26aがこの素通し部14dに明るく映り込んで見えるようにすることができ、これにより奥行感をさらに強調して灯具意匠の斬新性を一層高めることができる。
【0057】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0058】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0059】
図4は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、図3と同様の図である。
【0060】
同図に示すように、この車両用灯具110の基本的な構成は、上記実施形態に係る車両用灯具10の場合と同様であるが、その透光カバー114における本体部114Aの構成が、上記実施形態の場合と異なっている。
【0061】
すなわち、本変形例の透光カバー114においては、その本体部114Aの後面114eに複数のリブ状突起部114bが形成されており、また、この後面114eにおける各扇形領域114cに拡散レンズ素子114s2が形成されている。
【0062】
その際、各リブ状突起部114bの先端面に、各発光素子18からの光を基準軸線Axに関して径方向へ拡散させる複数の拡散レンズ素子114s1が形成されている点は、上記実施形態の場合と同様である。また、各扇形領域114cに形成された各拡散レンズ素子114s2が、各発光素子18からの光を基準軸線Axに関して周方向へ拡散させるように構成されている点も、上記実施形態の場合と同様である。
【0063】
なお、本変形例の透光カバー114における支持部114Bの構成および本体部114Aの素通し部114dの構成は、上記実施形態の場合と同様である。
【0064】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
すなわち、灯具正面方向から透光カバー114を観察したときには、その本体部14Aにおける各リブ状突起部114bの先端面が放射状に光って見える一方、灯具正面方向から外れた斜め方向から透光カバー114を観察したときには、その本体部14Aにおける各リブ状突起部114bの先端面が、放射状ではあるものの、その周方向の位置によって互いに異なる曲線に沿って光って見えることとなる。このため、車両用灯具110の見え方に奥行感を持たせることができ、これにより灯具意匠の斬新性を高めることができる。
【0066】
また、透光カバー114の本体部14Aの見え方を、各リブ状突起部114bと各扇形領域114cとで全く異なったものとすることができるので、これにより灯具意匠の斬新性をより高めることができる。
【0067】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0068】
図5は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、図1と同様の図である。
【0069】
同図に示すように、この車両用灯具210の基本的な構成は、上記実施形態に係る車両用灯具10の場合と同様であるが、その透光カバー214の構成が上記実施形態の場合と異なっている。
【0070】
すなわち、本変形例の透光カバー214においても、その本体部214Aの前面214aに複数のリブ状突起部214bが形成されるとともに、各リブ状突起部214bの先端面に複数の拡散レンズ素子214s1が形成されており、また、その本体部214Aの前面214aにおける各リブ状突起部214b相互間に位置する各扇形領域214cに複数の拡散レンズ素子214s2が形成されている点は、上記実施形態の場合と同様である。
【0071】
しかしながら、本変形例の透光カバー214においては、各リブ状突起部214bの先端面に形成された各拡散レンズ素子214s1が、各発光素子18からの光を、基準軸線Axに関して径方向のみならず周方向にも拡散させるように構成されており、また、各扇形領域214cに形成された各拡散レンズ素子214s2が、各発光素子18からの光を、基準軸線Axに関して周方向のみならず径方向にも拡散させるように構成されている点で、上記実施形態の場合と異なっている。
【0072】
なお、本変形例の透光カバー214における支持部214Bの構成および本体部214Aの素通し部214dの構成は、上記実施形態の場合と同様である。
【0073】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
上記実施形態および第2変形例においては、各リブ状突起部14b、214bの先端面に形成された各拡散レンズ素子14s1、214s1と、各扇形領域14c、214cに形成された各拡散レンズ素子14s2、214s2とが、いずれも透光カバー14、214の本体部14A、214Aにおける前面14a、214aに形成されており、一方、上記第1変形例においては、各リブ状突起部114bの先端面に形成された各拡散レンズ素子114s1と、各扇形領域114cに形成された各拡散レンズ素子114s2とが、いずれも透光カバー114の本体部114Aにおける後面114eに形成されているものとして説明したが、これらが本体部14A、114A、214Aの前後両面に振り分けて形成された構成とすることも可能である。
【0075】
上記実施形態および各変形例においては、基準軸線Axの周囲に8個の発光素子18が配置されているものとして説明したが、基準軸線Axの周囲に7個以下または9個以上の発光素子18が配置された構成とすることももちろん可能である。
【0076】
上記実施形態および各変形例においては、基準軸線Axの周囲に配置された8個の発光素子18の各々の外周側に第1反射面24aがそれぞれ形成されるとともに、基準軸線Ax近傍に位置する部分に第2反射面26aが形成された構成について説明したが、これら第1反射面24aおよび第2反射面26aの代わりに、基準軸線Ax近傍に、単一または複数の発光素子18が灯具前方へ向けて配置された構成とすることも可能である。
【0077】
上記実施形態および各変形例においては、透光カバー14、114、214における基準軸線Ax近傍の中心領域が素通し部14d、114d、214dとして構成されているものとして説明したが、このような素通し部14d、114d、214dが存在しない構成とすることも可能である。
【0078】
なお、上記実施形態および各変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0079】
10、110、210 車両用灯具
12 ランプボディ
14、114、214 透光カバー
14A、114A、214A 本体部
14B、114B、214B 支持部
14a、214a 前面
14b、114b、214b リブ状突起部
14c、114c、214c 扇形領域
14d、114d、214d 素通し部
14s1、14s2、114s1、114s2、214s1、214s2 拡散レンズ素子
16 灯室
18 発光素子
22 光源支持プレート
24 第1反射部材
24a 第1反射面
26 第2反射部材
26a 第2反射面
114e 後面
Ax 基準軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディとこのランプボディの前方側に配置された透光カバーとで形成される灯室内に、上記透光カバーから灯具前方へ向けて光を出射させるための光源が配置されてなる車両用灯具において、
上記透光カバーが、灯具前後方向に延びる基準軸線を中心とする環状曲面に沿って形成されており、
上記環状曲面の上記基準軸線を含む断面形状が、灯具前方へ向けて該基準軸線から離れる方向へ延びる凸曲線形状に設定されており、
上記透光カバーの前面または後面に、灯具正面視において上記基準軸線を中心にして放射状に延びる複数のリブ状突起部が形成されており、
上記各リブ状突起部の先端面に、該先端面に到達した上記光源からの光を拡散させる複数の拡散レンズ素子が形成されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記各拡散レンズ素子が、上記光源からの光を上記基準軸線に関して径方向へ拡散させるように形成されており、
上記透光カバーの前面または後面における上記各リブ状突起部相互間に位置する各扇形領域に、上記光源からの光を上記基準軸線に関して周方向へ拡散させる複数の拡散レンズ素子が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記光源として、複数の発光素子を備えており、
これら複数の発光素子が、上記基準軸線の周囲に、該基準軸線に関して周方向に所定間隔をおいて灯具前方へ向けて配置されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記透光カバーにおける上記基準軸線近傍の中心領域が、素通し部として構成されており、
上記ランプボディにおける上記各発光素子の外周側に位置する部分に、該発光素子からの光を上記基準軸線近傍へ向けて反射させる第1反射面がそれぞれ形成されており、
上記ランプボディにおける上記基準軸線近傍に位置する部分に、上記各第1反射面で反射した上記各発光素子からの光を上記透光カバーの素通し部へ向けて反射させる第2反射面が形成されている、ことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate