説明

車両用灯具

【課題】異なる発光機能を有する複数の光源を同一基板上に配置することにより、部品実装や組立工数を減らして、コスト低減と省スペース化を図ることができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具10は、第1ランプ部21の第1LED13と、第2ランプ部22の第2LED14と、該第1LED13及び第2LED14を点灯制御するための第1制御回路部26及び第2制御回路部27とが、同一バスバー20上に配置されると共に、該バスバー20の第1LED13と第2LED14との間の所定位置に第1折り曲げ部23が形成され、第1LED13と第2LED14からの光が各々異なる照射方向へ出射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)等の発光素子を光源とする自動二輪車等の車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体後部に取り付けられるLEDを光源とするテールランプに、同じくLEDを光源とするライセンスプレートランプが一体的に取り付けられており、テールランプの位置を変えずにライセンスプレートランプの位置を調整できる車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−126708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記車両用灯具では、テールランプ用のLEDとライセンスプレートランプ用のLEDとが同一基板上に配置されていないため、組立工数が多くなると共に、灯室内のスペースが大きくなり、灯具の小型化を図ることが難しい。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、異なる発光機能を有する複数の光源を同一基板上に配置することにより、部品実装や組立工数を減らして、コスト低減と省スペース化を図ることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、車体後方を照射する第1ランプと、該第1ランプとは異なる方向を照射する第2ランプと、を一体的に構成した車両用灯具において、前記第1ランプの第1光源と、前記第2ランプの第2光源と、前記第1光源及び前記第2光源を点灯制御するための制御回路部とが、同一バスバー上に配置されると共に、該バスバーの前記第1光源と前記第2光源との間の所定位置に折り曲げ部が形成され、前記第1光源と前記第2光源からの光が各々異なる照射方向に出射されることを特徴とする車両用灯具により達成される。
【0007】
上記構成の車両用灯具によれば、第1光源と第2光源を同一バスバー上に配置することにより、部品実装や組立工数を減らすことができ、コスト低減と省スペース化を図ることができる。
【0008】
また、上記構成の車両用灯具において、前記バスバーは、その一部を前記折り曲げ部の形成と同時に折り曲げることで接続用端子部が形成されることが望ましい。
【0009】
このような構成の車両用灯具によれば、折り曲げ部を形成する一工程の中で接続用端子部も形成することができるので、コスト低減と省スペース化を一層図ることができる。
【0010】
また、上記構成の車両用灯具において、前記制御回路部の少なくとも一部は、前記折り曲げ部により灯具前後方向に沿って形成される前記バスバーの搭載面上に形成されることが望ましい。
【0011】
このような構成の車両用灯具によれば、電子部品等を含む制御回路部が灯具前後方向に沿って配置される搭載面上に形成されるので、正面視で見え難い位置に制御回路部が配置されることになり見栄えの向上を図ることができる。
【0012】
また、上記構成の車両用灯具において、前記バスバーを保持する樹脂製のハウジングには、前記第1光源と前記第2光源との間に介在して少なくとも一方の光を遮光する遮光リブが一体形成されていることが望ましい。
【0013】
このような構成の車両用灯具によれば、遮光リブにより第1光源の出射光と第2光源の出射光とが混ざらないように分離することができる。
【0014】
また、上記構成の車両用灯具において、前記ハウジングには、前記接続用端子部を囲うコネクタハウジングが一体形成されていることが望ましい。
【0015】
このような構成の車両用灯具によれば、相手コネクタの組付け性の向上と共に、コスト低減と省スペース化を一層図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用灯具によれば、第1光源と第2光源を同一バスバー上に配置することにより、部品実装や組立工数を減らすことができ、コスト低減と省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る第1実施形態を示す車両用灯具10の正面図である。
【図2】図1のA−A線縦断面図である。
【図3】図2のバスバー20の折り曲げ前の平板状態の詳細図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態を示す車両用灯具40の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用灯具の第1〜第2実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。先ず、本発明に係る車両用灯具の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の車両用灯具10は、車両後方側が開口された形状で車体後尾に固定されるランプハウジング11と、このランプハウジング11の開口周縁に取り付けられる赤色透明の前面カバー12とを備えている自動二輪車用のテールアンドストップランプに適用したものである。
【0020】
車両用灯具10は、ランプハウジング11と前面カバー12とで画成された灯室内に、車体後方を照射する第1ランプであるテールアンドストップランプ用の複数の第1光源(以下、第1LEDと云う)13を備えている。
【0021】
また、車体本体1の後尾に取り付けられるライセンスプレートP(図2参照)を上方から照射する第2ランプであるライセンスプレートランプ用の第2光源(以下、第2LEDと云う)14を備えている。この第1LED13と第2LED14は、白色光を発光する白色LEDであり、点灯制御用の抵抗やダイオード等の電子部品35(図3参照)と電気的に接続する導電性のバスバー20上の所定位置に搭載されている。
【0022】
図2に示すように、車両用灯具10は、車両本体1から後方側(図中左側)に突出しており、ライセンスプレートPの略上部に配置されている。
【0023】
ランプハウジング11は、ABS樹脂製であり、略L字状のバスバー取付部15と、その周囲に環状のカバー取付部16を有している。第1LED13が配置されるバスバー取付部15上には複数のかしめ部(不図示)が突設されており、第2LED14が配置されるバスバー取付部15の近傍下部にはバスバー保持部19が突設されている。
【0024】
また、ランプハウジング11の裏面側には、後述する接続用端子部24を囲うコネクタハウジング17が一体成形されている。また、ランプハウジング11の表面側には、第1LED13と第2LED14との間に介在して互いの光を遮光する平板状の遮光リブ18が一体成形されている。
【0025】
第1LED13及び第2LED14が搭載されたバスバー20は、第1折り曲げ部23から車体本体1側にL字状に折り曲げられている。
【0026】
バスバー20は、この第1折り曲げ部23により第1LED13を搭載してバスバー取付部15の垂直面上に配置される第1ランプ部21と、第2LED14を搭載して灯具前後方向に沿ったバスバー取付部15の水平面上に配置される第2ランプ部22とに分割される。また、ランプハウジング11のコネクタハウジング17内に対応するバスバー20の所定箇所には、電源供給用の接続用端子部24が切り起されている。
【0027】
前面カバー12は、第1LED13の光が透過する赤色透明の第1透光カバー31と、第2LED14の近傍下方で第2LED14の光が透過する白色の第2透光カバー32とから形成されている。この場合、前面カバー12は二色成形により第1透光カバー31と第2透光カバー32が一体成形される。また、第1LED13の前方で第1透光カバー31の裏面側には、第1LED13の光を表面側から拡散出射させる拡散ステップ34が形成されている。
【0028】
このように第1透光カバー31に拡散ステップ34を設けることで、バスバー20の第1ランプ部21を見えないようにすることができ、ランプハウジング11とバスバー20上の第1LED13や電子部品35を見えないようにすることができる。
【0029】
なお、第1透光カバー31は、無色透明としても良い。この場合、第1LED13を赤色LEDにすることにより、前面カバー12全体を無色透明で成形することができ、コスト低減を図ることができる。
【0030】
図3に示すように、平板状態のバスバー20は、打ち抜き成形により形成され、複数の小バスバーがLED13,14や電子部品35の近傍に一体形成された連結部材37によって連結されている。この連結部材37は、ランプハウジング11への組み付け時には切断され、小バスバーに分割される。第1LED13及び第2LED14が隣接する小バスバー間を架け渡すようにスリット36上に搭載されている。また、電子部品35をバスバー20に搭載する際は、隣接する小バスバー間に架け渡され、双方の小バスバーの板厚の略中心ラインを結ぶ線上に配置される(図2参照)。
【0031】
バスバー20の第1ランプ部21が第1LED13と該第1LED13を点灯制御する第1制御回路部26を備えている。また、第2ランプ部22が第2LED14と該第2LED14を点灯制御する第2制御回路部27を備えている。
【0032】
なお、第1制御回路部26は、第2ランプ部22側に配置することも可能である。この場合、第1ランプ部21側に複数の第1LED13のみが搭載され、第2ランプ部22側に第2LED14と第1制御回路部26及び第2制御回路部27が配置される。
【0033】
また、バスバー20の一部を折り曲げてヒートシンクを設けることも可能である。このヒートシンクによりLED13,14や制御回路部26,27から発生する熱を効率良く放熱することができる。
【0034】
次に、上記車両用灯具10の組み立て手順を説明する。
先ず、平板状態のバスバー20上に、LED13,14や他の抵抗やダイオード等の電子部品35が所定位置に実装され、その後に折り曲げ部23,25が一括で略直角に折り曲げられる(本実施形態では山折り)。このとき、一方の第2折り曲げ部25が折り曲げられることで、接続用端子部24が切り起される。
【0035】
次に、折り曲げ加工されたバスバー20は、ランプハウジング11のバスバー取付部15に取り付けられる。このとき、第1ランプ部21がバスバー取付部15上に突設された複数のかしめ部により位置決めされる。また、第2ランプ部22がその先端部38をバスバー取付部15の下面とバスバー保持部19との間に挟持させることで保持される。
【0036】
このとき、遮光リブ18が第1ランプ部21の下端部に形成された貫通スペース39を貫通して、第1LED13と第2LED14の間に突出する。その後、かしめ部が熱溶着されることで、バスバー20がランプハウジング11のバスバー取付部15に固定される。最後に、前面カバー12の前端部がランプハウジング11のカバー取付部16に不図示のねじ等による固定や、接着・溶着等により固定することで、車両用灯具10の組立作業が完了する。
【0037】
上述した本実施形態の車両用灯具10によれば、第1ランプ部21の第1LED13と、第2ランプ部22の第2LED14と、第1LED13及び第2LED14を点灯制御するための第1制御回路部26及び第2制御回路部27とが、同一バスバー20上に配置される。
【0038】
加えて、バスバー20の第1LED13と第2LED14との間の所定位置に第1折り曲げ部23が形成され、第1LED13と第2LED14からの光が各々異なる照射方向に出射される。これにより、第1LED13と第2LED14を同一バスバー20上に配置することで、部品実装や組立工数を減らすことができ、コスト低減と省スペース化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態のバスバー20は、その一部を第1折り曲げ部23の形成と同時に第2折り曲げ部25を折り曲げることによって接続用端子部24が形成される。これにより、第1折り曲げ部23を形成する一工程の中で接続用端子部24を形成することができるので、コスト低減と省スペース化を一層図ることができる。
【0040】
また、本実施形態の第2LED14の点灯制御をする第2制御回路部27は、第1折り曲げ部23により灯具前後方向に沿って形成される第2ランプ部22上に形成される。これにより、電子部品35等を含む第2制御回路部27が灯具前後方向に沿って配置される第2ランプ部22上に形成されるので、正面視で見え難い位置に第2制御回路部27が配置されることになり見栄えの向上を図ることができる。
【0041】
なお、第1LED13の第1制御回路部26を第2制御回路部27と共に第2ランプ部22上に形成することも可能であり、場合によってはスペースを取る第1制御回路部26のみを第2ランプ部22上に形成することも可能である。
【0042】
また、本実施形態のランプハウジング11は、第1LED13と第2LED14との間に介在して互いの光を遮光する遮光リブ18が一体形成されている。これにより、遮光リブ18によって第1LED13の出射光と第2LED14の出射光とが混ざらないように分離することができる。
【0043】
また、本実施形態のランプハウジング11は、接続用端子部24を囲うコネクタハウジング17が一体形成されている。これにより、相手コネクタの組付け性の向上と共に、コスト低減と省スペース化を一層図ることができる。
【0044】
次に、本発明に係る第2実施形態の車両用灯具40を図4に基づいて説明する。なお、上記第1実施形態と同一構成の箇所については同一符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0045】
図4に示すように、本実施形態の車両用灯具40は、上記第1実施形態の車両用灯具10のバスバー20と異なり、バスバー50の第1折り曲げ部53が前面カバー12の第1透光カバー31側である第1LED13の照射方向に折り曲げられている(本実施形態では谷折り)。これにより、バスバー50の第2ランプ部22を遮光リブ18の下面に配置させることが可能となり、遮光リブ18の下面をバスバー取付部として有効利用することができる。
【0046】
また、ランプハウジング11をコンパクトに形成できると共に、前面カバー12内の灯室を広く取ることができるので、良好な放熱性を確保することができる。
【0047】
また、バスバー50の平板状態において、第1LED13を含む第1ランプ部21がバスバー50の表面側に形成されると共に、第2LED14を含む第2ランプ部22がバスバー50の裏面側に形成される。したがって、LED13,14や電子部品35等の実装時は、第1LED13や電子部品35等の第1ランプ部21への実装後に、バスバー50を反転させてから第2LED14や電子部品35等の第2ランプ部22への実装を行うことになる。なお、バスバー50の一方の面に第1LED13を実装し、他方の面に第2LED14を実装するが、LED13,14を点灯制御する電子部品35等は、バスバー50の一方の面に搭載しても構わない。
【0048】
前述した本実施形態の車両用灯具40によれば、バスバー50の第1折り曲げ部53が遮光リブ18の延出方向に沿って折り曲げられているので、バスバー50の第2ランプ部22を遮光リブ18の下面に配置させることができる。これにより、遮光リブ18の下面をバスバー取付部として有効利用することができると共に、灯室内を広く取ることができ、良好な放熱性を確保することができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0050】
例えば、上記第1、第2実施形態の車両用灯具10,40では、第1ランプが自動二輪車のテールアンドストップランプ、第2ランプがライセンスプレートランプの場合を一例にして説明したが、第1ランプと第2ランプが異なる2方向へ照射される形態であれば良く、自動車用のターンシグナルランプやサイドマーカランプ、或いはそれら複数のランプユニットが一体化されたリアコンビネーションランプにも適用することができる。
【0051】
具体的には、第1ランプが自動車用のターンシグナルランプ、第2ランプがコーナリングランプである場合にも本発明の構成を適用することができる。
【0052】
また、上記第1、第2実施形態の車両用灯具10,40では、1枚のバスバー20,40上にLED13,14や電子部品35等を実装したが、LEDの数が多い場合は、LEDユニット用と制御回路ユニット用の専用バスバーを別々に設けると共に、ランプハウジング11とは別体のバスバー取付部を設けて、前記LEDユニットと制御回路ユニットを別々に配置することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
10,40…車両用灯具、11…ランプハウジング、12…前面カバー、13…第1LED(第1光源)、14…第2LED(第2光源)、15…バスバー取付部、17…コネクタハウジング、18…遮光リブ、20,50…バスバー、21…第1ランプ部、22…第2ランプ部、23,53…第1折り曲げ部、24…接続用端子部、25…第2折り曲げ部、26…第1制御回路部、27…第2制御回路部、31…第1透光カバー、32…第2透光カバー、34…拡散ステップ、P…ライセンスプレート



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後方を照射する第1ランプと、
該第1ランプとは異なる方向を照射する第2ランプと、を一体的に構成した車両用灯具において、
前記第1ランプの第1光源と、前記第2ランプの第2光源と、前記第1光源及び前記第2光源を点灯制御するための制御回路部とが、同一バスバー上に配置されると共に、該バスバーの前記第1光源と前記第2光源との間の所定位置に折り曲げ部が形成され、前記第1光源と前記第2光源からの光が各々異なる照射方向に出射されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記バスバーには、その一部を前記折り曲げ部の形成と同時に折り曲げて接続用端子部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記制御回路部の少なくとも一部は、前記折り曲げ部により灯具前後方向に沿って形成される前記バスバーの搭載面上に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記バスバーを保持する樹脂製のハウジングには、前記第1光源と前記第2光源との間に介在して少なくとも一方の光を遮光する遮光リブが一体形成されていることを特徴とする請求項1〜3の少なくともいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記接続用端子部を囲うコネクタハウジングが一体形成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−94380(P2012−94380A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240906(P2010−240906)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】