説明

車両用灯具

【課題】発光領域の境界部分を明確にすることで、見栄えの向上を図ることができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】第1光源8と、第2光源9と、第1,2光源8,9からの光を灯具前方へ出射する光学部材10と、を備えた車両用灯具であって、光学部材10は、第1光源8からの光を透過させる透光部6と、第2光源9からの光が導光される導光部7とを有し、導光部8は、少なくとも一方の端面に設けられ第2光源8からの光が入射する入射要素15a,15bと、後面側に設けられ入射要素15a,15bから入射した光を灯具前方へ内面反射させる反射ステップ要素17と、前面側に設けられ反射ステップ要素17で反射された光を灯具前方へ出射させる発光要素16と、を有し、導光部7は透光部6と隣接して形成され、第2光源9からの光を透光部7の外縁に沿って導光させる車両用灯具により上記目的が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両用灯具に関し、特にインナーレンズなどの光学部材によって配光制御して灯具前方へ出射する車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ターンシグナルランプとテールアンドストップランプとが一体化されたリヤコンビネーションランプの内側に隣接して第2のストップランプが配置された車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1)。
この第2のストップランプは、ランプボディと、ランプボディの前面開口部に組み付けられたアウターレンズにより灯室が形成され、灯室内に光源である複数の発光ダイオードと、この発光ダイオードの前方側にインナーレンズが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−50211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記車両用灯具は、灯具が複数の発光領域に区分けされており、発光領域ごとに、例えばターンシグナルランプとテールアンドストップランプとして機能するように構成されている。しかし、上記車両用灯具のそれぞれの発光領域の外縁部分が明確でなく、意匠性に向上の余地が残されていた。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、発光領域の境界部分を明確にすることで、発光領域の外縁が明確な意匠性に優れた車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
第1光源と、第2光源と、これら第1光源及び第2光源の前方に配置され、前記第1光源及び前記第2光源からの光を配光制御して灯具前方へ出射する光学部材と、を備えた車両用灯具であって、
前記光学部材は、前記第1光源からの光を透過させる透光部と、前記第2光源からの光が導光される導光部とを有し、
前記導光部は、
少なくとも一方の端面に設けられ、前記第2光源からの光が入射する入射要素と、
後面側に設けられ、前記入射要素から入射した光を灯具前方へ内面反射させる反射ステップ要素と、
前面側に設けられ、前記反射ステップ要素で反射された光を灯具前方へ出射させる発光要素と、を有し、
前記導光部は前記透光部と隣接して形成され、前記第2光源からの光を前記透光部の外縁に沿って導光させることを特徴とする車両用灯具が提供される。
【0007】
本発明に係る車両用灯具によれば、第1光源により発光する透光部とは別に、透光部と隣接して形成された導光部が第2光源からの光を透光部の外縁に沿って導光するので、透光部の外縁が導光部によって明確になるように強調された意匠性に優れた車両用灯具を提供することができる。
なお、ここで云う光学部材とは、第1光源及び第2光源からの光を配光制御して灯具前方へ出射するために灯室内に配置されたレンズ部材であり、発光領域の配光制御を行う種々のインナーレンズを含んでいる。
【0008】
上記構成の車両用灯具において、前記第2光源は、半導体発光素子であり、該第2光源と前記入射要素との間に、前記第2光源からの光を導光して前記入射要素へ入射させる導光要素を備えていてもよい。
【0009】
このような構成の車両用灯具によれば、第2光源と入射要素との間に導光要素を介することで、第2光源の配置位置の自由度を高めることができるとともに、第2光源からの光を効率良く入射部へ入射させることができる。
【0010】
また、上記構成の車両用灯具において、前記第2光源及び前記導光要素の少なくとも一方は、エクステンションにより正面視において隠蔽されていてもよい。
【0011】
このような構成の車両用灯具によれば、車両用灯具の正面視における見栄えの向上を一層図ることができる。
【0012】
また、上記構成の車両用灯具において、前記第1光源は、複数の半導体発光素子であり、これら前記第1光源と前記第2光源は、同一の基板上に搭載されていてもよい。
【0013】
このような構成の車両用灯具によれば、第2光源を第1光源と同じ基板上に配置するので、組付け性の向上を図ることができる。
【0014】
また、上記構成の車両用灯具において、前記導光部の後方には、前記反射ステップ要素と対向するようにリフレクタが配置されていてもよい。
【0015】
このような構成の車両用灯具によれば、反射ステップ要素から後方に漏れた光をリフレクタにより前方に反射させることができるので、車両用灯具の光の利用効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用灯具によれば、第1光源により発光する透光部とは別に、透光部と隣接して形成された導光部が第2光源からの光を透光部の外縁に沿って導光するので、透光部の外縁が導光部によって強調された意匠性に優れた車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す車両用灯具の正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1の第1のインナーレンズを示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】第2のLEDの光の経路を示す図2の要部拡大図である。
【図6】第1のLEDの光の経路を示す図である。
【図7】第2のLEDの光の経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の実施形態に係る車両用灯具の正面図であり、図2は図1のII−II線断面図である。図1,2に示すように、車両用灯具は、灯具前方側に開口し車体側に固定される樹脂製のランプボディ2と、ランプボディ2の開口部を覆うように取り付けられた無色透明のアウターカバー3と、を備えている。ランプボディ2とアウターカバー3とにより灯室が形成され、単一のLED基板11と、光学部材10と、エクステンション4が灯室内に配置されている。
【0020】
光学部材10はアクリル樹脂等の透明樹脂製の部材であり、アウターカバー3の後面に配置されている。この光学部材10は、第1のインナーレンズ5と、第1のインナーレンズ5とLED基板11との間に配置された第2のインナーレンズ12とを備えている。第1のインナーレンズ5と第2のインナーレンズ12とはそれぞれ別体に形成されている。
【0021】
この第1のインナーレンズ5は略平板状の一体成形された部材であり、左右方向に延在する透光部6と、この透光部6と隣接するライン状の導光部7とを備えている。この導光部7の後面には、ライン状に形成されたリフレクタ13が配置されている。また、第2のインナーレンズ12も略平板状の一体成形された部材であり、第1のインナーレンズ5と対向するように設けられている。
【0022】
LED基板11には、複数の第1のLED(第1光源)8及び複数の第2のLED(第2光源)9が灯具正面を向いて搭載されている。第1のLED8は透光部6の後面に、第2のLED9は導光部7の側方端部近傍にそれぞれ配置されている。
【0023】
光学部材10の側方端部近傍の前方とアウターカバー3との間には、エクステンション4が設けられている。エクステンション4の前面には金属蒸着等により加飾処理が施され、正面視した場合に、第2のLED9及び光学部材10の側方端部近傍を隠蔽する。
【0024】
以下、第1のインナーレンズ5及び第2のインナーレンズ12を詳細に説明する。
(第1のインナーレンズ5)
図3は第1のインナーレンズ5の背面図である。平板状の第1のインナーレンズ5には、上下方向に幅広の透光部6と、透光部6より幅狭の導光部7とが一体的に形成されている。
【0025】
透光部6は左右方向に延在する平板状の領域である。また、透光部6の後面には、上下方向に延在する複数のシリンドリカルレンズからなる第1拡散要素22が形成されている。これにより、透光部6は後方に配置された第1のLED8からの光を拡散させて前方に透過させる。
【0026】
導光部7は透光部6の外縁に沿って左右方向に延びるライン状に形成されている。これにより車両用灯具は、上下に複数(図示の例では2つ)設けられた透光部6が導光部7によって区分けされた外観を呈する。また、導光部7の側方端部にはそれぞれ第2のLED9からの光が入射される第1入射面(入射要素)15a,15bが形成されている。
【0027】
図4は図3のIV−IV線断面図であり、第1のインナーレンズ5の断面を示す。導光部7の前面には平坦な発光面(発光要素)16が形成され、発光面16の後面には反射ステップ(反射ステップ要素)17が形成されている。この反射ステップ17は、図2に示すように三角形状の複数のステップからなり、所定方向に傾斜した複数の反射面を有している。
【0028】
また、透光部6の前面である発光面16及び導光部7の前面は互いに連続する平坦面とされ、第1のインナーレンズ5の前面全体が平坦面とされている。また、導光部7は第1のインナーレンズ5の前面から後方に突出するように形成されている。導光部7の肉厚(灯具前後方向の厚み)は、板状に形成された透光部6よりも厚く形成されている。これにより、導光部7は透光部6よりも奥行き感のある外観を呈する。
【0029】
このように第1のインナーレンズ5に形成された透光部6は、その後方に配置された第1のLED8からの光を灯具前方に透過させる。また、第2のLED9からの光は第1入射面15a,15bに入射し、反射ステップ17により反射され、発光面16から灯具前方に投射される。これにより、導光部7は第2のLED9からの光を透光部6の外縁に沿ってライン状に導光させる。
【0030】
(第2のインナーレンズ12)
図5は、図2の第1のインナーレンズ5及び第2のインナーレンズ12の要部拡大図であり、図6は図1のVI−VI線断面図である。
第2のインナーレンズ12は透明樹脂により一体形成された平板状の部材である。この第2のインナーレンズ12は、第2のLED9の前方に設けられた導光要素14と、LED基板11の前方に設けられた平板状の素通し要素12aとを備えている。この素通し要素12aには、第1のLED8と対応する位置に第2拡散要素23が形成されている。
【0031】
導光要素14は、素通し要素12aの側方端部に、灯具前方に向かって突出するように形成された部材である。またこの導光要素14は、第2のLED9と第1のインナーレンズ5の第1入射面15a,15bとの間に配置され、第2のLED9からの光を効率良く導光部7の第1入射面15a,15bへ入射させる。
【0032】
導光要素14は、第2のLED9の光が入射する凸面状の第2入射面18と、入射した光を第1のインナーレンズ5側に反射させる反射面19と、第1のインナーレンズ5へ向けて出射する出射面21とを有している。この反射面19は、第2のLED9の光を内面反射させるため、第2のLED9からの光の入射角が臨界角以上となるように傾斜した面である。
【0033】
図6に示すように、第2拡散要素23は素通し要素12a上の第1のLED8の対応する位置に設けられている。この第2拡散要素23は、第1のLED8からの光を拡散させて前方へ投射させる凸レンズとして形成されている。なお、この第2拡散要素23は凸面の頂部が第1のLED8に対向するように配置されている。
【0034】
(第2のLED9の光の経路)
次に、図5,7を参照して第2のLED9から出射される光α1〜α3の経路について説明する。図5は図3に示す左側の第1入射面15aに入射する第2のLED9の光の経路を示す図である。図7は図3に示す右側の第1入射面15bに入射する第2のLED9の光の経路を示す図である。
【0035】
図5に示すように、図3の左側の第1入射面15aに第2のLED9からの光を入射させる導光要素14は、その前方端部が第1のインナーレンズ5の発光面16まで前方に突出されて形成されている。この導光要素14の前方端部には、傾斜した平面状の反射面19が形成されている。
【0036】
第2のLED9から出射される光のうち、第2のLED9の出射軸Ax上に沿って出射された光α1は、導光要素14に対して第2入射面18の中心から入射して、反射面19へ向かって直進する。そして、光α1は、反射面19で内面反射して出射面21から出射される。その後、光α1は、導光部7に対して第1入射面15aから入射して、発光面16で内面反射しながら光α4として導光部7の延在方向に沿って導光される。
【0037】
また、第2のLED9から出射される光のうち、第2入射面18の外周部分から入射した出射角の大きい光α2,α3は、反射面19へ向かって直進する。そして、光α2,α3は、反射面19で内面反射して出射面21から出射される。その後、光α2は、導光部7に対して第1入射面15aから入射して、反射ステップ17で内面反射して光α5として発光面16から出射される。また、光α3は、第1入射面15aから入射して、発光面16で内面反射してから、反射ステップ17で再び内面反射して光α6として発光面16から出射される。これにより、第1のインナーレンズ5の細長い導光部7の発光面16をライン状に発光させることができる。
【0038】
なお、反射ステップ17の後方にリフレクタ13が設けられているので、反射ステップ17から後方に漏れ出した光は灯具前方に反射される。これにより、車両用灯具の光の利用効率を高め、導光部7を明るく発光させることができる。
【0039】
図7に示すように、図3の右側の第1入射面15bに第2のLED9からの光を入射させる導光要素14は、その前方端部が第1のインナーレンズ5の発光面16の後面まで延出されている。この導光要素14の前方端部には、傾斜した凹面形状の反射面19aが形成されている。
【0040】
また、第1のインナーレンズ5には、導光部7から側方に延出された延出部5aが形成されている。延出部5aは、正面視した場合に反射面19aを覆う位置まで側方に延出されている。また延出部5aの後面には反射ステップ17が設けられ、灯具前方から第2のLED9が視認できないようにされている。このように延出部5aにより反射面19a及び第2のLED9を正面側から覆うことにより、エクステンション4を省略することができる。さらに、第1のインナーレンズ5の延出部5aの前後方向の肉厚を薄くすることにより第1入射面15bが形成され、導光部7の最外端ではない側面に第1入射面15bが形成されている。
【0041】
また、反射面19aは回転放物面に形成されている。反射面19aの焦点は第1入射面15b近傍となるように設定されている。これにより、反射面19aで反射された光は第1入射面15b近傍で集光されてから導光部7に入射される。そのため、効率よく第2のLED9からの光を導光部7に入射させることができる。
【0042】
第2のLED9から出射される光のうち、第2のLED9の出射軸Ax上に沿って出射された光α1は、導光要素14に対して第2入射面18の中心から入射して、反射面19aへ向かって直進する。そして、光α1は、反射面19aで内面反射して出射面21から出射される。その後、光α1は、導光部7に対して第1入射面15bから入射して、発光面16で内面反射しながら光α4として導光部7の延在方向に沿って導光される。
【0043】
また、第2のLED9から出射される光のうち、第2入射面18の外周部分から入射した出射角の大きい光α2,α3は、反射面19aへ向かって直進する。そして、光α2,α3は、反射面19aで内面反射して出射面21から出射される。その後、光α2は、導光部7に対して第1入射面15bから入射して、反射ステップ17で内面反射して光α5として発光面16から出射される。また、光α3は、第1入射面15bから入射し、発光面16で内面反射してから、反射ステップ17で再び内面反射して光α6として発光面16から出射される。これにより、第1のインナーレンズ5の細長い導光部7の発光面16をライン状に発光させることができる。
【0044】
(第1のLED8の光の経路)
次に、図6を参照して第1のLED8から出射される光α7,α8の経路について説明する。
【0045】
第1のLED8から出射される光のうち、第1のLED8の出射軸Ax上に沿って出射された光α7は、第2のインナーレンズ12の対応する第2拡散要素23の中心を直進する。また、第1のLED8から出射される光のうち、第1のLED8の出射軸Axから外れた出射角の大きい光α8は、第2拡散要素23に入射して拡散される。
【0046】
また、光α7,α8はさらに透光部6の複数のシリンドリカルレンズからなる第1拡散要素22により更に灯具の左右に拡散されて灯具前方へ出射される。これにより、第1のインナーレンズ5の平板状の透光部6を均一に発光させることができる。
【0047】
このように、本実施形態に係る車両用灯具によれば、第1のLED8と第2のLED9とを同時に点灯することにより、透光部6を第1のLED8によって均一に発光させ、透光部6と隣接して形成された導光部7を第2のLED9からの光によってライン状に導光させることができる。これにより、透光部6の境界部分が強調された意匠性に優れた車両用灯具が提供される。
【0048】
また、本実施形態に係る車両用灯具によれば、導光要素14によって第2のLED9からの光を入射面15a,15bに導光している。これにより、第2のLED9と導光部7の第1入射面15a,15bとの相対位置が変化したとしても、導光要素14により確実に第2のLED9からの光を入射面15a,15bに導光させることができる。したがって、車両用灯具の設計の自由度を高めることができる。なお、上述の実施形態では導光要素14は第2のLED9から前方に真っ直ぐ延びる形状としたが、入射面15a,15bまで第2のLED9の光の導光できれば、その形状は自在に設定できる。
【0049】
また、本実施形態に係る車両用灯具によれば、エクステンション4により正面視で第2のLED9及び導光要素14を隠蔽している。これにより、外部から第2のLED9及び導光要素14が直接視認されることなく、第2のLED9からの光はライン状に発光する導光部7としてのみ視認される。これにより、更に車両用灯具の意匠性を向上させることができる。もっとも、導光要素14と第2のLED9との位置関係や、導光要素14の形状によって、導光要素14と第2のLED9のいずれか一方のみを遮蔽するようにエクステンション4を配置してもよい。
【0050】
また、本実施形態に係る車両用灯具によれば、第1のLED8と第2のLED9は同一のLED基板11に搭載されている。それぞれのLED8,9が単一のLED基板11に搭載されてから車両用灯具に取り付けられるため、容易に車両用灯具を組み立てることができる。
【0051】
また、導光部7の後方に、反射ステップ17と対向するようにリフレクタ13が配置されている。このため、反射ステップ17から後方に漏れ出した光をリフレクタ13により灯具前方に反射させ、導光部7を明るく発光させることができる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0053】
例えば上述した実施形態では、第1入射面15a,15bを凹面形状としているが、本発明はこの例に限られない。第2のLED9の光の出射方向と平行な平面や、当該出射方向に対して傾斜した平面、或いは断面が鋸歯状の連続したプリズム面等の任意の形状に第1入射面15a,15bを形成することができる。
【0054】
また上述した実施形態では、左右で異なる形状の第1入射面15a,15bを第1のインナーレンズ5に形成した例を示したが、本発明はこの例に限られない。例えば、左右の第1入射面15a,15bを同じ形状としてもよいし、右側あるいは左側の一方のみに第1入射面15a,15bを形成してもよい。
【0055】
なお、第1のインナーレンズ5の一方の側のみに第1入射面15a,15bを形成した場合は、他方の側の第2のLED9を省略することができる。この場合に他方の側に入射面ではなく、反射面を形成してもよい。この反射面は、蒸着面や全反射面、微小三角錐を多数配置したリフレックス・リフレクタによって形成することができる。また、3本の導光部7のうち、互い違いに第1入射面15a,15bの左右の位置を変えても良い。
【0056】
なお、この反射面19,19aの傾斜角度が灯具のデザイン上の要請等で全反射しない条件となる場合は、反射面19,19aにAl蒸着などの反射面処理を施しても良い。さらに、上述の実施形態では反射面19を平面、反射面19aを回転放物面にそれぞれ形成した例を挙げて説明したが、両方の反射面19,19aを平面あるいは回転放物面に形成してもよい。
【0057】
また上述した本実施形態では、第1拡散要素22として、灯具の上下方向(図3の上下方向)に延在する複数のシリンドリカルレンズが形成された例を挙げて説明したが、本発明はこの例に限られない。第1のLED8からの光を集光したり、あるいは、屈折させて前方へ投射するように様々なレンズ形状で第1拡散要素22を構成してもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では第2拡散要素23を、第1のLED8からの光を拡散させて前方へ投射させる凸レンズとしているが、本発明はこの例に限られない。第1のLED8からの光を集光したり、あるいは、屈折させて前方へ投射するようにシリンドリカルレンズ等、様々なレンズ形状で第2拡散要素23を構成してもよい。
【0059】
更に、上述の実施形態では第1のインナーレンズ5の透光部6を平面状に形成した例を挙げて説明したが、灯具を取り付ける車両の形状に応じて、第1のインナーレンズ5の形状は様々に変形させることができる。例えば、車両の上部が下部よりも後退した、いわゆるスラント形状に合わせて、第1のインナーレンズ5を上方が下方よりも後方に位置するように鉛直方向に湾曲した曲面形状とすることができる。あるいは、車両の側方部が中央部よりも後退した車両のコーナー部の形状に合わせて、第1のインナーレンズ5の側方を後方に突出させるように水平方向に湾曲した曲面形状とすることができる。
【0060】
また、上述の実施形態では、透光部6が左右方向に延在し、上下に2つ配置された透光部6の上端部と下端部及び境界部に、透光部6と隣接するように導光部7を設けた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、透光部6を上下方向あるいは斜め方向に延在させ、この透光部6と隣接して上下方向あるいは斜め方向に延びるようにライン状の導光部7を形成してもよい。また、透光部6の外縁を曲線で形成し、導光部7を曲線形状としてもよい。また、導光部7を正面視で一様な幅を有するライン状に形成した例を挙げて説明したが、導光部7を局部的に線幅が変化するような形状としてもよい。
【0061】
また、導光部7を透光部6よりも細幅に形成することにより、透光部6の外縁をシャープに見せ、さらに車両用灯具の意匠性を向上させることができる。また、発光面16の発光面積を小さくして導光部7の輝度を高め、透光部6の外縁をより強調するように導光部7を発光させ、意匠性を高めることもできる。
【0062】
また、本発明に係る車両用灯具を、発光色や発光パターンの異なる複数の透光部6を有する車両用灯具に適用すると好適である。導光部7により、色や発光パターンの異なる透光部6の境界を強調させることにより、更に意匠性に優れた車両用灯具を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
3…アウターカバー、4…エクステンション、5…第1のインナーレンズ、6…透光部、7…導光部、8…第1のLED(第1光源)、9…第2のLED(第2光源)、10…光学部材、11…LED基板、12…第2のインナーレンズ、13…リフレクタ、14…導光要素、15a,15b…第1入射面(入射要素)、16…発光面(発光要素)、17…反射ステップ(反射ステップ要素)、18…第2入射面、19,19a…反射面、22…第1拡散要素、23…第2拡散要素


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源と、第2光源と、これら第1光源及び第2光源の前方に配置され、前記第1光源及び前記第2光源からの光を配光制御して灯具前方へ出射する光学部材と、を備えた車両用灯具であって、
前記光学部材は、前記第1光源からの光を透過させる透光部と、前記第2光源からの光が導光される導光部とを有し、
前記導光部は、
少なくとも一方の端面に設けられ、前記第2光源からの光が入射する入射要素と、
後面側に設けられ、前記入射要素から入射した光を灯具前方へ内面反射させる反射ステップ要素と、
前面側に設けられ、前記反射ステップ要素で反射された光を灯具前方へ出射させる発光要素と、を有し、
前記導光部は前記透光部と隣接して形成され、前記第2光源からの光を前記透光部の外縁に沿って導光させることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第2光源は、半導体発光素子であり、該第2光源と前記入射要素との間に、前記第2光源からの光を導光して前記入射要素へ入射させる導光要素を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2光源及び前記導光要素の少なくとも一方は、エクステンションにより正面視において隠蔽されることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1光源は、複数の半導体発光素子であり、これら前記第1光源と前記第2光源は、同一の基板上に搭載されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記導光部の後方には、前記反射ステップ要素と対向するようにリフレクタが配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−58325(P2013−58325A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194839(P2011−194839)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】