説明

車両用灯具

【課題】本発明の課題は、ターミナルをハウジングに固定する一方で部品点数及び作業工程を削減した車両用灯具を提供する。
【解決手段】基板10のターミナル板11はベースハウジング12に固定され、その固定のためにベースハウジング12には係止突起12aが形成される。ターミナル板11は係止突起12aに係合する被係止穴11aと、被係止穴11aの開口縁11bを基点として形成された複数の切込み11cとを備える。ターミナル板11の被係止穴11aはベースハウジング12の係止突起12aの高さ方向の少なくとも一部における外形寸法と干渉する大きさで形成され、その干渉に拘らずターミナル板11が係止突起12aの基部に向けて強制的に押し込まれる。被係止穴11aの開口縁11bの周囲が複数の切込み11cにより係止突起12aの先端側へ変形した状態で係止突起12aに係止され、ターミナル板11の係止突起12aからの抜けが阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアミラーに例えば方向指示用の灯具が装着されるとき、その灯具を車両に取付けるベースとなるベースハウジングには光源を実装した基板が装着され、基板の端部を介して外部コネクタが接続され、基板を通電する(特許文献1)。ここで、基板の端部にターミナルを設けて、ターミナルを外部コネクタに接続する場合、ターミナルが外部コネクタに押圧されてターミナルの位置がずれることがある。
【0003】
従来、ターミナルの位置ずれを防止するために、ネジや溶着によりターミナルをベースハウジングに固定していたが、別途ネジや溶着機を用意して、ターミナルをベースハウジングに固定する必要があり、非常に面倒な作業を伴っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−137590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ターミナルをハウジングに固定する一方で部品点数及び作業工程を削減した車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用灯具は、
車両に対する取付けのベースとなるベースハウジングと、
そのベースハウジングに装着され、複数の発光体及びその駆動のための配線部及び回路部が実装されるとともに端部に発光体に通電するための金属板状のターミナル板を備えた基板と、
発光体の光を拡散して外側に投光する、ベースハウジングに保持されるレンズカバーと、を備え、
基板のターミナル板はベースハウジングに固定され、その固定のためにベースハウジングには係止突起が形成され、ターミナル板はその係止突起に係合する被係止穴と、その被係止穴の開口縁を基点として形成された複数の切込みとを備え、
ターミナル板の被係止穴はベースハウジングの係止突起の高さ方向の少なくとも一部における外形寸法と干渉する大きさで形成され、その干渉に拘らずターミナル板が係止突起の基部に向けて強制的に押し込まれることにより、被係止穴の開口縁の周囲が複数の切込みにより係止突起の先端側へ変形した状態で係止突起に係止され、その状態でターミナル板の係止突起からの抜けが阻止されることを特徴とする。
【0007】
本発明の構成によれば、ベースハウジングにはターミナルを固定する係止突起が形成される一方、ターミナル板には係止突起に係合する被係止穴が形成される。ターミナル板の被係止穴にベースハウジングの係止突起を押し込むと、被係止穴は係止突起と干渉しつつも係止突起に係止されて、ターミナル板がベースハウジングの係止突起から抜けなくなる。よって、ターミナル板をベースハウジングに固定できる。他方、ターミナル板とベースハウジングによりターミナル板を固定できるので、ネジや溶着機を用いる必要がない。
【0008】
そして、ターミナル板は先端部が外延に向かって突出し、発光体を通電する外部コネクタに接続する突起を有し、
ベースハウジングの底面には、係止突起と、外部コネクタを収容し、係止突起に隣接して配置される収容段部と、を備え、
係止突起と対向する収容段部の対向壁には、突起の位置を規制しながら、突起を突出させる挿入口を有し、
係止突起の上方から挿入口に向けて突起を差し込み、挿入口により突起の位置を規制し、規制された突起を基点としてターミナル板を底面に向けて回転させることで被係止穴が係止突起に係止されることができる。
【0009】
よって、挿入口により突起の位置が規制されて、位置が規制された突起を基点としてターミナル板を回転させて係止突起を被係止穴に押し込むので、被係止穴に係止突起を押し込む押し込み位置のズレを防止できる。
【0010】
また、ターミナル板は、発光体を通電する外部コネクタに接続する突起を有し、
ベースハウジングの底面には、係止突起と、突起の位置を規制しながら突起を突出させる挿入口を有し、
ターミナル板が係止突起の基部に向けて押し込まれる押し込み方向に突起が突出して形成されることで、
ベースハウジングの上方から被係止穴に係止突起を押し込むことにより被係止穴が係止突起に係止される一方、突起が挿入口に差し込まれることができる。
【0011】
よって、ターミナル板の突起を挿入口に差し込む動作と、ターミナル板の被係止穴をベースハウジングの基部に向けて押し込む動作とを一括して行え、ターミナル板をベースハウジングに装着する装着作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の車両用灯具を用いた車両用ドアミラーの斜視図。
【図2】図1の車両用ドアミラーの分解斜視図。
【図3】図2の車両用灯具を示す斜視図。
【図4】図3の車両用灯具の分解斜視図。
【図5】図4のターミナル板の拡大図。
【図6】図4のベースハウジングの部分拡大図。
【図7】図4のターミナル板をベースハウジングに固定した状態を示す斜視図、上面図及び断面図。
【図8】ターミナル板をベースハウジングに装着する過程を示す図。
【図9】従来の車両用灯具を示す分解斜視図。
【図10】図9のターミナル板をベースハウジングに固定した状態を示す斜視図、上面図及び断面図。
【図11】溶着によりターミナル板をベースハウジングに固定する従来の過程を示す図。
【図12】ターミナル板の変形例1を示す断面図。
【図13】ターミナル板の被係止穴とベースハウジングの係止突起との変形例2〜4を示す断面図。
【図14】ターミナル板の変形例5〜7を示す斜視図。
【図15】本発明の車両用灯具を用いた車両の斜視図。
【図16】ターミナル板をベースハウジングに装着する過程の変形例8を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の車両用灯具1の実施例を説明する。
図1は、本発明の車両用灯具1を車両用ドアミラー2に用いた状態を示す斜視図であり、図2は、図1の車両用ドアミラー2の分解斜視図である。図1及び図2を用いて本発明の車両用灯具1の概要を説明する。
図1に示すように車両用ドアミラー2は、外面を構成する凸曲面状のハウジングカバー3と、そのハウジングカバー3の一部に装着されて光源を外から覆いその光を外部へ投光するレンズ機能を有する透光性のあるレンズカバー4を含む車両用灯具1と、を備える。
【0014】
車両用ドアミラー2は、大きく分けて、車両用ドアミラー2の内装である内装体6(車両用灯具1、ミラー部5、駆動機構、配線)を収容するハウジング本体部7と、収容した内装体6を覆うハウジングカバー3とを有する。
【0015】
ハウジングカバー3は、外面を凸曲面状に構成し、ハウジングカバー3の内外を連通させる切欠8を有する。当該切欠8は一部が開放された輪郭で形成され、具体的には、略U字状の切欠8が形成されて切欠8から車両用灯具1の一部が突出している。
図2は、車両用ドアミラー2からハウジングカバー3を取外した分解斜視図を示したものである。図1及び図2に示すように、車両用灯具1は自身の一部が切欠8から外部に露出し、また他の一部がハウジングカバー3の裏側に隠れ、ハウジングカバー3の裏面3aに対向するようにハウジング本体部7に固定される。具体的には、ハウジングカバー3の切欠8とその切欠8の内縁8aを含むハウジングカバー3の裏面3aと対向するように、車両用灯具1がハウジング本体部7に装着される。
ハウジング本体部7は端部にミラー部5、他端部に車両用灯具1を有し、図2には、車両用灯具1以外の内装体6である駆動機構や配線やミラー部5などは、図示されていない。
【0016】
図3は、図2のハウジング本体部7から取出された車両用灯具1を示した斜視図であり、図4は、図3の車両用灯具1の分解図である。図3及び図4を用いて、車両用灯具1の概要を説明する。図4に示すように車両用灯具1は、外側から内側に向かって、レンズカバー4、リフレクタ9、基板10、ベースハウジング12を備える。
【0017】
レンズカバー4は、基板10に実装された発光体10aの光を拡散して外側に投光するレンズ機能を有し、図3及び図4に示すように、ハウジングカバー3の切欠8から自身の一部が突出する突出面となる中央部4aとその中央部4aの囲うように形成される外周部4bとを有して、ベースハウジング12に保持されて一体的に固定される。
【0018】
リフレクタ9はレンズカバー4の裏側に配置され、リフレタク9の表面側(レンズカバー4側)が反射面となり、基板10に実装された発光体10aから光を導く透過窓9aを有する。当該リフレクタ9は基板10を外側から被い、透過窓9aから基板10の発光体10aを透過させるように、ベースハウジング12に保持される。
【0019】
基板10は柔軟性を有し、当該基板10の背面に固着されたバックプレート10pをベースハウジング12の取付部12pに挿入して、ベースハウジング12に基板10が装着される。つまり、ベースハウジング12内部の凹凸形状に合わせてベースハウジング12内部に基板10が装着される。当該基板10は、具体的には、複数の発光体10aと、該発光体10aを駆動する配線部10bと回路部10cが実装され、基板10の端部10dに発光体10aに通電する金属板状のターミナル板11を備える。
【0020】
図5は、図4の基板10のターミナル板11を拡大した拡大図を示す。
ターミナル板11は、被係止穴11aとその被係止穴11aの開口縁11bを基点として形成された複数の切込み11cとを備え、先端部11dが外延に向かって突出する突起11eを有する金属板状の板部材である。
【0021】
被係止穴11aは、ターミナル板11の表面に形成される。当該被係止穴11aに向かうに連れてターミナル板11の表面が次第に隆起して隆起部11rが形成されて、ターミナル板11の隆起部11rの上面に閉じた輪郭の開口縁11bが形成される。具体的には、環状の開口縁11bが形成される。ここで、閉じた輪郭の開口縁11bは、環状の開口縁11bに限らず、閉じた輪郭の開口縁11bであれば、多角形状の開口縁11bでも、楕円状の開口縁11bでも、波線又はジグザグ線により形成され閉じた開口縁11bでもよい。
【0022】
かかる開口縁11bを基点として形成された複数の切込み11cは、開口縁11bを基点として開口縁11bから放射状に形成される。具体的には、開口縁11bを基点として放射状に等間隔に複数の切込み11cが、隆起部11rの表面に沿って形成される。ここで、開口縁11bを基点として放射状に形成される切込み11cは、不等間隔でもよい。
【0023】
次に、図6は、図4の車両用灯具1におけるベースハウジング12の一部を拡大した拡大図を示すものである。ベースハウジング12は、ターミナル板11を固定する一方、車両に対する取付けのベースとなり、ベースハウジング12は、レンズカバー3とともに車両用灯具1の外面を形成する。
図2及び図3に示すように、ベースハウジング12は、レンズカバー3を一体的に固定して、車両用ドアミラー2のハウジング本体部7に装着される。
【0024】
図4及び図6に示すように、ベースハウジング12は、ベースハウジング12内部に基板10のバックプレート10pを挿入する複数の取付部12pと、ターミナル板11をベースハウジング12に固定するための係止突起12aと、ターミナル板11の突起11eの位置を規制しながら突起11eを突出させる挿入口12bと、該挿入口12bから突出した突起11eを介して基板10を通電する外部コネクタ13を収容し、係止突起12aに隣接して配置される収容段部12cと、を備える。なお、図4及び図6においては、外部コネクタ13は図示されておらず、ベースハウジング12に基板10及びターミナル板11が装着された状態を示す図7(C)に図示される。
【0025】
図4のベースハウジング12の一部を拡大した図6に示すように、係止突起12aは、高さ方向の少なくとも一部における外形寸法がターミナル板11の被係止穴11aと干渉する大きさで形成される。
具体的には、係止突起12aは先端が先端面となっており、かかる先端面がターミナル板11の被係止穴11aと干渉するように、当該先端面はターミナル板11の隆起部11rの外縁により形成される領域よりも小さく、ターミナル板11の被係止穴11aの開口縁11bの領域よりも大きく形成される。図6では、係止突起12aは円柱状の柱部材であるが、角柱状や楕円柱状や、先端面が破線又はジグザグ線により形成される閉じた先端面である柱部材であってもよい。
【0026】
ベースハウジング12の底面に備わる収容段部12cは係止突起12aに隣接して配置され、係止突起12aと対向する収容段部12cの対向壁12dに挿入口12bを有し、該挿入口12bは突起11eの位置を規制しながら、突起11eを突出させる。
【0027】
図7は、ベースハウジング12に基板10及びターミナル板11が装着された状態を示す、部分斜視図、上面図、断図面である。
具体的には、図7(A)は、ベースハウジング12に基板10及びターミナル板11が装着された状態を示す斜視図の一部を示すものである。図7(B)は、ベースハウジング12に基板10及びターミナル板11が装着された状態を示す上面図を示すものである。図7(C)は、ベースハウジング12に基板10及びターミナル板11が装着された状態を示す図7(B)のZ−Z断面図を示すものである。
【0028】
ターミナル板11がベースハウジング12に装着されるに際して、図5に示す開口縁11bが分断され、分断された開口縁11bが係止突起12aの周囲に各々引っ掛かり、隆起部11rの隆起を高くする形で係止突起12aに係止する。その結果、ターミナル板11が係止突起12aから抜けるのを阻止して、ターミナル板11がベースハウジング12に固定される。より詳細には、図7(C)に示すようにターミナル板11の突起11eがベースハウジング12の挿入口12bに突出した状態でターミナル板11の被係止穴11aにベースハウジング12の係止突起12aが押し込まれており、被係止穴11aの開口縁11bの周囲が複数の切込み11cが係止突起12aの先端側へ変形した状態で係止突起12aに係止される。また、ターミナル板11の突起11eはベースハウジング12の挿入口12bから突出して、外部コネクタ13が装着され、当該外部コネクタ13によりターミナル板11を介して基板10に電気が通電される。
【0029】
図8は、ベースハウジング12にターミナル板11を装着する過程を示した図である。具体的には、図7(C)に示す断面図において、ベースハウジング12にターミナル板11を装着する一連の過程を示したものである。以下、ベースハウジング12にターミナル板11を装着する動作を説明する。
図8(A)は、ターミナル板11をベースハウジング12に装着するために、ターミナル板11を斜めにしてベースハウジング12の収容段部12cの対向壁12dに形成された挿入口12bにターミナル板11の突起11eを挿入して、該突起11eを突出させた状態を示すものである。そして、図8(B)は、図8(A)の状態において、挿入口12bを基点として、ターミナル板11を半時計周りに回転させた状態を示す図である。ターミナル板11を半時計周りに回転させることで、ターミナル板11の被係止穴11aにベースハウジング12の係止突起12aが押し込まれる。よって、被係止穴11aの開口縁11bの周囲が複数の切込み11cにより係止突起12aの先端側へ変形した状態となり、変形した切込み11cが係止突起12aに係止される。
なお、図8においては、外部コネクタ13は、図示されていないが、通常、ベースハウジング12にターミナル板11を装着した後に、外部コネクタ13が装着されるので、ターミナル板11の突起11eを挿入口12bに突出させた場合においても、ターミナル板11の突起11eの動きが外部コネクタ13に遮られることはなく、ターミナル板11の動作を許容することができる。
【0030】
上記構成とすることで、本実施例の車両用灯具1は、ターミナル板11の被係止穴11aにベースハウジング12の係止突起12aを押し込むことで、係止突起12aに被係止穴11aが係止されて、ターミナル板11をベースハウジング12に固定できる。
【0031】
ここで、図9及び図10は従来の車両用灯具1を示す参考図であり、ネジ11fによりターミナル板11をベースハウジング12に固定する車両用灯具1を示す。図9は、図4のターミナル板11において、被係止穴11aの代わりにネジ11fを挿通する挿通穴11gを設け、図4のベースハウジング12において、係止突起12aの代わりにネジ11fを嵌合する嵌合穴12fを設け、別途、ネジ11fを設けた車両用灯具1であり、その他の構成は、図4と同一である。図10は、図9のターミナル板11をベースハウジング12に固定した状態を示す斜視図、上面図及び断面図である。
【0032】
図9及び図10に示すように、従来は、別途、ネジ11fを用いてターミナル板11をベースハウジング12に固定していたが、本発明においては、ターミナル板11とベースハウジング12によりターミナル板11をベースハウジング12に固定するのでネジ11fを用いる必要がない。
【0033】
また、図11は、溶着によりターミナル板11をベースハウジング12に固定する従来の過程を示す図である。図11(A)は、図7(C)のターミナル板11において、被係止穴11aの代わりに挿通穴11gを設け、図7(C)のベースハウジング12において、係止突起12aの代わりに、挿通穴11gに挿通して、熱溶着によりターミナルを固定するボス12Bを設けたものである。そして、別途、熱溶着機によりベースハウジング12のボス12Bを熱溶着することでターミナル板11をベースハウジング12に固定する車両用灯具1である。よって、別途、熱溶着機を用いて、ターミナル板11をベースハウジング12に固定しているが、本発明はターミナル板11とベースハウジング12によりターミナル板11をベースハウジング12に固定するので、熱溶着機を用いてボス12Bを熱溶着する必要がない。
【0034】
また、図8に示すように本発明の車両用灯具1のベースハウジング12は、底面に係止突起12aを有し、当該係止突起12aに隣接して収容段部12cが配置され、係止突起12aに対抗する当該収容段部12cの対向壁12dに挿入口12bを有する。該挿入口12bはターミナル板11の突起11eの位置を規制しながら突起11eを突出させるので、係止突起12aの上方から挿入口12bに向けてターミナル板11の突起11eを斜めに差し込み、挿入口12bにより突起11eの位置を規制し、規制された突起11eを基点として、ターミナル板11をベースハウジング12の内部の底面に向けて回転させることで被係止穴11aをベースハウジング12の係止突起12aに係止できる。
したがって、挿入口12bにより突起11eの位置が規制されて、位置が規制された突起11eを基点としてターミナル板11を回転させて係止突起12aを被係止穴11aに押し込むので、被係止穴11aに係止突起12aを押し込む押し込み位置のズレを防止できる。
なお、係止突起12aの先端を先端面として、挿入口12bを基点として回転するターミナル板11と先端面が当接するように係止突起12aの先端面を傾斜させることで、係止突起12aと被係止穴11aとが、当接する面積を大きくでき、被係止穴11aに係止突起12aを容易に押し込むことができる。
【0035】
ターミナル板11は、図5に示すように、被係止穴11aに向かうに連れてターミナル板11の表面が次第に隆起する隆起部11rが形成されて、ターミナル板11の隆起部11rの上面に隆起して閉じた輪郭の開口縁11bが形成される。よって、ターミナル板11がベースハウジング12の係止突起12aの基部に向けて押し込まれる際、ターミナル板11の隆起部11rが係止突起12aの押し込み方向をガイドするので、隆起部11rが係止突起12aの押し込みを補助できる。
【0036】
また、被係止穴11aの開口縁11bを基点として形成される切込み11cが、隆起部11rの表面に沿って形成されるので、ターミナル板11がベースハウジング12の係止突起12aの基部に向けて押し込まれる際に、係止突起12aの先端側へ切込み11cが変形するのを補助して、変形した切込み11cが確実に係止突起12aに係止される。
つまり、隆起部11rの盛り上がりが、係止突起12aの押し込み方向に形成されることで、隆起部11rに形成される切込み11cが係止突起12aの押し込みにより係止突起12aの側面に引っ掛かり易くなり、ターミナル板11が係止突起12aに容易に係止できる。
【0037】
そして、開口縁11bを基点として開口縁11bから放射状に、切込み11cを形成することで、被係止穴11aに係止突起12aが押し込まれることで、開口縁11bが分断されて、分断された開口縁11bにより係止突起12aに放射状に係止される。よって、放射状に係止されることでターミナル板11を安定してベースハウジング12に固定できる。また、開口縁11bを基点として放射状に等間隔に切込み11cが形成される場合には、ターミナル板11がベースハウジング12の係止突起12aの基部に向けて押し込まれる際、被係止穴11aに押し込む係止突起12aの位置がズレても、変形したいずれかの切込み11cは、確実に係止突起12aに係止されることができる。
【0038】
また、ベースハウジング12は、ベースハウジング12内部に基板10のバックプレート10pを挿入する複数の取付部12pを有するので、当該取付部12pにより基板10を固定する一方で、基板10の端部10dに備わるターミナル板11をベースハウジング12の係止突起12aにより固定する。そして、ターミナル板11の突起11eの位置をベースハウジング12に形成された挿入口12bにより規制する。つまり、ターミナル板11は係止突起12aと、挿入口12bと、基板10(基板10を固定する取付部12p)との3つの部材により固定される。したがって、ターミナル板11の突起11eが外部コネクタ13により押圧された場合でも、ターミナル板11の位置がずれることなく、ベースハウジング12にターミナル板11を固定できる。
【0039】
次に、本発明の車両用灯具1の変形例を説明する。実施例と同様の構成は、実施例と同様の符号を付して、実施例の説明を流用して説明を省略する。図12に示す断面図は、図7(C)のベースハウジング12に基板10及びターミナル板11が装着された状態を示す断面図において、ターミナル板111とベースハウジング112の形状の変形例を示したものである。図12を用いて変形例を説明する。
【0040】
図7(C)に示す実施例のベースハウジング12は、ベースハウジング12内部の底面には、係止突起12aと、収容段部12cを有し、対向面12dに挿入口12bを有する。そして、ターミナル板11は先端部11dが外延に向かって突出する突起11eを有する。
しかし、変形例1である図12では、ベースハウジング112内部の底面に係止突起12aと、挿入口112bを有する。そして、当該挿入口112bは、ターミナル板111の突起11eの位置を規制しながら突起11eを突出させる。かかる突起11eは、ターミナル板111の一部を屈曲して形成され、ターミナル板111がベースハウジング112の係止突起12aの基部に向けて押し込まれる押し込み方向に、突起11eを突出して形成される。よって、ターミナル板111をベースハウジング112に固定するためには、ベースハウジング112の上方から挿入口112bに向けてターミナル板111の突起11eを差し込むとともに、ターミナル板111の被係止穴11aをベースハウジング112の係止突起12aに押し込むことにより、被係止穴11aがベースハウジング112の係止突起12aに係止される。
したがって、図8に示すターミナル板11をベースハウジング12に装着する過程と異なり、ターミナル板111の突起11eを挿入口112bに差し込む動作と、ターミナル板111の被係止穴111aをベースハウジング112の基部に向けて押し込む動作とが、一括して行われる。そのため、ターミナル板111をベースハウジング112に装着する装着作業が容易となる。
【0041】
次に、図13は、ベースハウジング212、312、412の係止突起212a、312a、412aの変形例2〜4を示すものである。
図13(A)は、図7(C)のターミナル板11の被係止穴11aにベースハウジング12の係止突起12aが押し込まれてターミナル板11がベースハウジング12に固定された状態を示す実施例における被係止穴11aと係止突起12aの部分拡大図である。図13(B)〜(D)は、係止突起212a、312a、412aの変形例2〜4を示すものである。
【0042】
変形例2である図13(B)及び変形例3である図13(C)に示す係止突起212a、312aは柱部材である。当該柱部材の基部がベースハウジング12の底面に備わり、柱部材の先端から柱部材の基部に向かうに連れて柱部材の幅が連続的又は段階的に拡大する形状である。よって、ターミナル板11の被係止穴11aをベースハウジング12の基部に向けて押し込まれると、係止突起212a、312aである柱部材の幅が連続的又は段階的に拡大するため、ターミナル板11がベースハウジング12の係止突起212a、312aの基部に向けて押し込まれるにつれて、ターミナル板11の被係止穴11aがベースハウジング12の係止突起212a、312aとの干渉を増す。よって、連続的又は段階的に干渉を増すため、連続的又は段階的に切込み11cを変形させることで、変形した切込み11cと柱部材との側面との係止を次第に強固できる。
【0043】
変形例4である図13(D)に示す係止突起412aも柱部材であり、当該柱部材の側面に凹部が形成されることにより被係止穴11aの開口縁11bの周囲が凹部により係止され、ターミナル板11が柱部材の基部に向けて移動するのを阻止することができる。
【0044】
次に、図14は、ターミナル板111、211、311の変形例5、6、7を示すものである。図5に示すターミナル板111の被係止穴11aは、ターミナル板11の表面に形成される。当該被係止穴11aに向かうに連れてターミナル板11の表面が次第に隆起する隆起部11rが形成される。
しかし、図14(A)に示す変形例5では隆起部11rが形成されず、被係止穴11aはターミナル板11と同一平面上に形成される。そのため、ターミナル板11の表裏関係なく、ベースハウジング12にターミナル板11を固定することができる。
【0045】
また、図14(B)に示す変形例6では、ターミナル板211はその係止突起12aに係合する被係止部211aと、その被係止部211aの中央を基点として放射状に複数の切込み211cが形成される。そのため、ターミナル板211が係止突起12aの基部に向けて強制的に押し込まれることにより、被係止部211aの中央を基点として放射状に形成された複数の切込み211cが係止突起12aの先端側へ変形した状態で係止突起12aに係止され、その状態でターミナル板211の係止突起12aからの抜けが阻止される。つまり、被係止穴11aを形成する場合に比べて、被係止部211aは開口を有しないので、ターミナル板211が係止突起12aの基部に向けて押し込まれることにより、確実に係止突起12aと被係止部212aとが当接するので、被係止部212aと係止突起12aとの係止を確実にすることができる。
【0046】
そして、図14(C)に示す変形例7では、ターミナル板311は係止突起12aに貫通されて係合する被貫通係止部311aが形成される。そのため、被貫通係止部311aは、係止突起12aにより貫通されることで、当該係止突起12aに係止するので、別途、被貫通係止部311aに切込み11cを入れる必要がなく、ターミナル板311の加工を容易にできる。
【0047】
なお、上記図1ないし図14において、車両用灯具1として、車両用ドアミラー2に使用するサイドターンランプとしていたが、図15に示すように、車両の頭部と後部に備わるフロントターンランプ用又はリアターンランプ用の車両用灯具1でもよい。
【0048】
また、図16は、ターミナル板11をベースハウジング412に装着する過程の変形例8を示す。図8に示す実施例では、ターミナル板11の突起11eの位置を規制しながら突起11eを突出させる挿入口12bを基点としてターミナル板11を回転させるものである。
しかし、図16に示す変形例8では、ベースハウジング412の挿入口412bは、ターミナル板11の突起11eの位置を規制しながら突起11eを突出させるとともに、ターミナル板11の隆起部11rの少なくとも一部がベースハウジング412の係止突起412aと摺動し、係止突起412aが開口縁12bに向かって相対的に移動するものである。そして、規制された突起11eを基点としてターミナル板11をベースハウジング412の底面に向けて回転させることで被係止穴11aが係止突起412aに係止される。なお、図8に示すターミナル板11をベースハウジング12に装着する過程との違いを明確にするために、図16に示すベースハウジング412は、係止突起412aが、図8に示すベースハウジング12の係止突起12aよりも低く形成される。また、図16に示すベースハウジング412は、挿入口412bが、図8に示すベースハウジング12の挿入口12bよりも小さく形成される。
【0049】
具体的には、図16(A)は、ターミナル板11をベースハウジング412に装着するために、ターミナル板11を斜めにしてベースハウジング412の収容段部412cの対向壁412dに形成された挿入口412bにターミナル板11の突起11eを挿入した状態を示す。図16(B)は、図16(A)の状態において、ターミナル板11の隆起部11rの外縁から開口縁11bに向けて、係止突起412aが隆起部11rの内面を相対的に摺動する状態を示す。そして、図16(C)は、図16(B)の状態において、突起11eを基点としてターミナル板11を半時計周りに回転させ、ターミナル板11の被係止穴11aにベースハウジング12の係止突起12aが押し込まれた状態を示す。
よって、隆起部11rの外縁から開口縁11bに向けて、係止突起412aが相対的に移動した後に、ターミナル板11を回転させるため、図8に示す実施例に比べてターミナル板11を回転させる角度を少なくできる。そのため、狭いスペースでもコンパクトにターミナル板11をベースハウジング412に装着できる。
【0050】
以上、本発明の実施例及び変形例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、実施例及び変形例を組み合わせるなど、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両用灯具 2 車両用ドアミラー
3 ハウジングカバー 4 レンズカバー
5 ミラー部 6 内装体
7 ハウジング本体部 8 切欠
9 リフレクタ 10 基板
11 ターミナル板 11a 被係止穴
11b 開口縁 11c 切込み
11d 先端部 11e 突起
11r 隆起部 12 ベースハウジング
12a 係止突起 12b 挿入口
12c 収容段部 12d 対向壁
13 外部コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対する取付けのベースとなるベースハウジングと、
そのベースハウジングに装着され、複数の発光体及びその駆動のための配線部及び回路部が実装されるとともに端部に前記発光体に通電するための金属板状のターミナル板を備えた基板と、
前記発光体の光を拡散して外側に投光する、前記ベースハウジングに保持されるレンズカバーと、を備え、
前記基板の前記ターミナル板は前記ベースハウジングに固定され、その固定のために前記ベースハウジングには係止突起が形成され、前記ターミナル板はその係止突起に係合する被係止穴と、その被係止穴の開口縁を基点として形成された複数の切込みとを備え、
前記ターミナル板の前記被係止穴は前記ベースハウジングの前記係止突起の高さ方向の少なくとも一部における外形寸法と干渉する大きさで形成され、その干渉に拘らず前記ターミナル板が前記係止突起の基部に向けて強制的に押し込まれることにより、前記被係止穴の前記開口縁の周囲が前記複数の切込みにより前記係止突起の先端側へ変形した状態で前記係止突起に係止され、その状態で前記ターミナル板の前記係止突起からの抜けが阻止されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ターミナル板は先端部が外延に向かって突出し、前記発光体を通電する外部コネクタに接続する突起を有し、
前記ベースハウジングの底面には、前記係止突起と、前記外部コネクタを収容し、前記係止突起に隣接して配置される収容段部と、を備え、
前記係止突起と対向する前記収容段部の対向壁には、前記突起の位置を規制しながら、前記突起を突出させる挿入口を有し、
前記係止突起の上方から前記挿入口に向けて前記突起を差し込み、前記挿入口により前記突起の位置を規制し、規制された前記突起を基点として前記ターミナル板を前記底面に向けて回転させることで前記被係止穴が前記係止突起に係止されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ターミナル板は、前記発光体を通電する外部コネクタに接続する突起を有し、
前記ベースハウジングの底面には、前記係止突起と、前記突起の位置を規制しながら前記突起を突出させる挿入口を有し、
前記ターミナル板が前記係止突起の基部に向けて押し込まれる押し込み方向に前記突起が突出して形成されることで、
前記ベースハウジングの上方から前記被係止穴に前記係止突起を押し込むことにより前記被係止穴が前記係止突起に係止される一方、前記突起が前記挿入口に差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−67261(P2013−67261A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207151(P2011−207151)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000105925)サカエ理研工業株式会社 (110)
【Fターム(参考)】