説明

車両用無線タグ、無線タグ情報読み取り装置、無線タグ発行機

【課題】運搬対象をなるべく早く運搬するための円滑な車両運行を行うことができる車両用無線タグ、無線タグ情報読み取り装置、無線タグ発行機を提供する。
【解決手段】情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うアンテナとを備えた無線タグ回路素子を有し、乗客を運搬するタクシーをガイドするための無線タグチケットであって、無線タグ回路素子のIC回路部は、乗客の乗車場所情報を記憶可能な記憶領域であるメモリブロック02と、乗客の降車場所情報を記憶可能な記憶領域であるメモリブロック03〜0aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うアンテナとを備えた無線タグ回路素子を有し、運搬対象を運搬する車両をガイドするための車両用無線タグ、この車両用無線タグに対し無線通信を介して情報送受信可能な無線タグ情報読み取り装置、及び車両用無線タグを発行する無線タグ発行機に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用化されつつある。
【0003】
例えばこのRFIDシステムをタクシーの料金決済システムとして用いた従来技術として、特許文献1に記載のものがある。この従来技術では、タクシーチケットに備えられた無線タグ回路素子に記憶されたIDと利用者(又は利用会社)が関連付けられてデータベースに登録されている。これにより、タクシーチケットが利用された際に、当該タクシーチケットの無線タグ回路素子から読み取ったIDに基づきデータベースを参照することにより、関連付けられた利用者(又は利用会社)を特定できる。この結果、料金の請求処理を自動化することを可能としている。
【特許文献1】特開2006−72780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、タクシーを利用する場合、利用者が行き先を運転者に告げねばならないが、例えばタクシーの運転者が目的地周辺の道に詳しくない場合には、利用者が地図を用いて説明する必要がある等、行き先や道順を伝えるのに手間がかかる場合がある。また運転者が道に詳しくても、利用者側が道に詳しくない高齢者であったり言語障害者等であるような場合には、運転者に行き先や道順をうまく伝えられない場合がある。このような場合には、円滑なタクシーの運行の妨げになる。
【0005】
上記従来技術では、利用者の情報が関連付けられた無線タグ情報を記憶したタクシーチケットを用いることにより料金請求の自動化を図り、これにより円滑な料金精算を可能としているが、上述したような運転者に対する行き先や道順の円滑な伝達については何ら考慮されていなかった。したがって、乗客をなるべく早く運搬するための円滑なタクシー運行を行うことについて、改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、運搬対象をなるべく早く運搬するための円滑な車両運行を行うことができる車両用無線タグ、無線タグ情報読み取り装置、無線タグ発行機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備えた無線タグ回路素子を有し、運搬対象を運搬する車両をガイドするための車両用無線タグであって、前記無線タグ回路素子の前記IC回路部は、前記運搬対象の運搬開始位置情報を記憶可能な運搬開始位置情報記憶領域と、前記運搬対象の運搬終了位置情報を記憶可能な運搬終了位置情報記憶領域とを備えることを特徴とする。
【0008】
本願第1発明の無線タグにおいては、無線タグ回路素子のIC回路部に運搬開始位置情報記憶領域及び運搬終了位置情報記憶領域を備えており、それぞれ、運搬開始位置情報及び運搬終了位置情報が記憶可能となっている。これにより、この無線タグに対し無線通信を介して情報読み取りを行うことで、運搬開始位置情報や運搬終了位置情報を取得することができる。したがって、運搬終了位置情報を用いて運転者に対し、運搬終了位置までの運搬経路を地図情報と関連づけて表示することが可能となる。すなわち、運転者が無線タグに対し情報読み取りを行うだけで運搬経路が地図上に表示されるので、運搬対象をなるべく早く運搬するための円滑な車両運行を行うことができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1発明において、前記運搬開始位置情報記憶領域は、前記運搬開始位置情報として、タクシー乗客の乗車地情報を記憶可能な乗車地情報記憶領域であり、前記運搬終了位置情報記憶領域は、前記運搬終了位置情報として、前記タクシー乗客の目的地情報を記憶可能な目的地情報記憶領域であることを特徴とする。
【0010】
本願第2発明の無線タグにおいては、無線タグ回路素子のIC回路部に乗車地情報記憶領域及び目的地情報記憶領域を備えており、それぞれ、乗車地情報及び目的地情報が記憶可能となっている。これにより、この無線タグに対し無線通信を介して情報読み取りを行うことで、乗車地情報や目的地情報を取得することができる。したがって、目的地情報を用いて運転者に対し目的地までの走行経路を地図情報と関連づけて表示することが可能となる。すなわち、タクシーの運転手が無線タグに対し情報読み取りを行うだけで走行経路が地図上に表示されるので、乗客をなるべく早く運搬するための円滑なタクシー運行を行うことができる。さらに、乗客にとっては、目的地やそこまでの経路をその都度運転手に説明する手間がなくなり、利便性が向上する。
【0011】
第3の発明は、上記第2発明において、前記IC回路部は、前記乗車地情報記憶領域及び前記目的地情報記憶領域のうち少なくとも前記目的地情報記憶領域に対し、前記乗車地情報及び前記目的地情報のうち少なくとも1つの前記目的地情報を含む複数の位置情報を記憶保持することを特徴とする。
【0012】
これにより、無線通信を介して情報読み取りを行うことで、少なくとも1つの目的地情報を取得することができるので、この目的地情報を用いて運転者に対し目的地までの走行経路を地図上に表示することができる。目的地情報を複数記憶している場合にはそれら複数の目的地から乗客が選択した1つの目的地に対する走行経路を表示することが可能であり、乗車地情報と目的地情報とを記憶している場合には、予め設定された乗車地から目的地までの走行経路を表示することができる。
【0013】
第4の発明は、上記第3発明において、前記IC回路部は、前記乗車地情報記憶領域に少なくとも1つの前記乗車地情報を記憶保持し、前記目的地情報記憶領域に1つの前記目的地情報を記憶保持することを特徴とする。
【0014】
これにより、無線通信を介して情報読み取りを行うことで、少なくとも1つの乗車地情報と1つの目的地情報を取得することができるので、これらを用いて、予め定められた複数の乗車地それぞれから、共通の1つの目的地までの走行経路をそれぞれ地図上に表示することができる。
【0015】
第5の発明は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記IC回路部は、少なくとも前記目的地情報記憶領域に記憶された前記目的地情報に基づき算出された、タクシー料金見積もり情報を記憶可能な料金見積もり情報記憶領域を備えることを特徴とする。
【0016】
目的地までの走行経路が表示されるとともに、当該目的地までタクシー料金見積もりが行われた場合、実際に目的地に到達する前に、概ね必要なタクシー料金を乗客が知ることができるので、利便性が向上する。そしてこの料金見積もりを料金見積もり情報記憶領域に記憶させることにより、その後の実際に発生した料金実績情報と比較したり、同一区間・距離の場合に料金見積もりの算出手順を省略したりする等、種々の活用が可能となる。
【0017】
第6の発明は、上記第2乃至第5発明のいずれかにおいて、前記IC回路部は、前記乗客が乗車したときの実際の乗車地実績情報を記憶可能な乗車地実績情報記憶領域、及び、前記乗客が降車したときの実際の降車地実績情報を記憶可能な降車地実績情報記憶領域のうち、少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0018】
これにより、表示された目的地までの走行経路に沿って走行する(あるいは走行した)際、実際の乗車地実績情報や降車地実績情報を乗車地実績情報記憶領域や降車地実績情報記憶領域に記憶させることが可能となる。この結果、これらの乗降区間実績を蓄積格納して一元管理したり、それぞれ実際に発生した料金実績情報と対比したりする等、種々の活用が可能となる。
【0019】
第7の発明は、上記第6発明において、前記IC回路部は、前記乗車地実績情報又は前記降車地実績情報の頻度情報を記憶可能な頻度情報記憶領域を備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、実際の乗車地実績情報や降車地実績情報に基づく頻度情報を頻度情報記憶領域に記憶させることが可能となる。この結果、各乗車地実績や降車地実績を頻度別に表示させたり、分類して管理する等、種々の活用が可能となる。
【0021】
第8の発明は、上記第2乃至第7発明のいずれかにおいて、前記IC回路部は、前記乗客が降車するときに算出された、タクシー料金実績情報を記憶可能な料金実績情報記憶領域を備えることを特徴とする。
【0022】
これにより、表示された目的地までの走行経路に沿って走行した際、降車時までに生じた実際のタクシー料金実績情報を料金実績情報記憶領域に記憶させることが可能となる。この結果、これら料金実績を蓄積格納して一元管理したり、それぞれ実際の乗車区間実績と対比したり、走行前の料金見積もり情報と比較したり、同一区間の場合における期日、時刻、運転手、タクシー会社ごとのばらつきを分析したりする等、種々の活用が可能となる。
【0023】
第9の発明は、上記第2乃至第8発明のいずれかにおいて、前記IC回路部は、前記乗客が降車するときに算出された、タクシー料金実績情報に基づく金銭精算を実行するための精算金額情報を記憶可能な精算金額情報記憶領域を備えることを特徴とする。
【0024】
これにより、乗車ごとに生じるタクシー料金実績を精算金額情報記憶領域に積算していくことで、所定のタイミングで集計して口座引き落とし・請求書発行等の処理を行うことが可能となる。あるいは、予めプリペイド額として精算金額情報記憶領域に記憶された金額を、乗車時のタクシー料金実績ごとに減額処理することも可能である。
【0025】
上記目的を達成するために、第10の発明は、車両の運搬対象の運搬開始位置情報及び運搬終了位置情報のうち、少なくとも前記運搬終了位置情報を記憶した車両用無線タグと無線通信を介して情報送受信可能な第1通信手段と、前記第1通信手段を介し少なくとも前記運搬終了位置情報を取得する第1情報取得手段と、前記第1情報取得手段で取得した情報に基づき、運搬終了位置までの経路を地図情報と関連づけて表示するための経路表示用の制御信号を出力する第1信号出力手段とを有することを特徴とする。
【0026】
本願第10発明においては、車両用無線タグに運搬開始位置情報及び運搬終了位置情報のうち少なくとも運搬終了位置情報が記憶されている。この車両用無線タグに対し第1通信手段を介して情報読み取りを行い、第1情報取得手段で少なくとも運搬終了位置情報を取得する。そして、この取得した情報に基づき、第1信号出力手段で経路表示用の制御信号を出力する。これにより、運転者に対し、運搬終了位置までの運搬経路を地図情報と関連づけて表示することが可能となる。すなわち、運転者が車両用無線タグに対し情報読み取りを行うだけで運搬経路が地図上に表示されるので、運搬対象をなるべく早く運搬するための円滑な車両運行を行うことができる。
【0027】
第11の発明は、上記第10発明において、前記第1通信手段は、前記運搬開始位置情報としてタクシー乗客の乗車地情報を記憶するか、若しくは、前記運搬終了位置情報として前記タクシー乗客の目的地情報を記憶した前記車両用無線タグと情報送受信可能であり、前記第1情報取得手段は、前記第1通信手段を介し少なくとも前記目的地情報を取得し、前記第1信号出力手段は、前記第1情報取得手段で取得した情報に基づき、前記タクシー乗客の目的地までの経路を地図情報と関連づけて表示するための前記経路表示用制御信号を出力することを特徴とする。
【0028】
本願第11発明においては、車両用無線タグに乗車地情報及び目的地情報のうち少なくとも目的地情報が記憶されている。この車両用無線タグに対し第1通信手段を介して情報読み取りを行い、第1情報取得手段で少なくとも目的地情報を取得する。そして、この取得した情報に基づき、第1信号出力手段で経路表示用の制御信号を出力する。これにより、タクシー運転手に対し、目的地までの走行経路を地図情報と関連づけて表示することが可能となる。すなわち、運転手が車両用無線タグに対し情報読み取りを行うだけでタクシー走行経路が地図上に表示されるので、タクシーの乗客がなるべく早く目的地へ到達するための円滑なタクシー運行を行うことができる。
【0029】
第12の発明は、上記第11発明において、少なくとも、前記第1情報取得手段で取得された前記目的地情報に基づき、タクシー料金見積もり情報を生成する料金見積もり情報生成手段を有することを特徴とする。
【0030】
目的地までの走行経路が表示されるとともに、料金見積もり情報生成手段で当該目的地までのタクシー料金見積もりを行うことにより、実際に目的地に到達する前に、概ね必要なタクシー料金を乗客が知ることができ、利便性が向上する。
【0031】
第13の発明は、上記第12発明において、前記料金見積もり情報生成手段で生成された前記タクシー料金見積もり情報を、前記第1通信手段を介し、前記車両用無線タグに書き込む料金見積もり情報書き込み手段を有することを特徴とする。
【0032】
料金見積もりを料金見積もり情報書き込み手段で車両用無線タグに書き込み記憶させることにより、その後の実際に発生した料金実績情報と比較したり、同一区間・距離の場合に料金見積もりの算出手順を省略したりする等、種々の活用が可能となる。
【0033】
第14の発明は、第11乃至第13発明のいずれかにおいて、前記乗客が乗車したときの実際の乗車地実績情報、及び、前記乗客が降車したときの実際の降車地実績情報のうち、少なくとも一方を、前記第1通信手段を介し前記車両用無線タグに書き込む乗降実績情報書き込み手段を有することを特徴とする。
【0034】
表示された目的地までの走行経路に沿って走行する(あるいは走行した)際、実際の乗車地実績情報や降車地実績情報を乗降実績情報書き込み手段で車両用無線タグに書き込み記憶させる。これにより、これらの乗降区間実績を蓄積格納して一元管理したり、それぞれ実際に発生した料金実績情報と対比したりする等、種々の活用が可能となる。
【0035】
第15の発明は、上記第14発明において、前記乗降実績情報書き込み手段により前記車両用無線タグに書き込んだ前記乗車地実績情報及び前記降車地実績情報の少なくとも一方を、前記第1通信手段を介し無効化処理する無効化処理手段を有することを特徴とする。
【0036】
タクシー乗客側にとって個人情報であり他人に知られたくない等の場合には、車両用無線タグに書き込んだ乗車地実績や降車地実績を無効化することにより、プライバシーを守ることが可能となる。
【0037】
第16の発明は、上記第14又は第15発明のいずれかにおいて、前記乗車地実績情報又は前記降車地実績情報の頻度情報を生成し、前記第1通信手段を介し前記車両用無線タグに書き込む頻度情報書き込み手段を有することを特徴とする。
【0038】
実際の乗車地実績情報や降車地実績情報に基づく頻度情報を頻度情報書き込み手段で車両用無線タグに書き込み記憶させることにより、各乗車地実績や降車地実績を頻度別に表示させたり、分類して管理する等、種々の活用が可能となる。
【0039】
第17の発明は、上記第11乃至第16発明のいずれかにおいて、前記乗客が降車するときに算出されたタクシー料金実績情報を、前記第1通信手段を介し前記車両用無線タグに書き込む料金実績情報書き込み手段を有することを特徴とする。
【0040】
表示された目的地までの走行経路に沿って走行した際、降車時までに生じた実際のタクシー料金実績情報を料金実績情報書き込み手段で車両用無線タグに書き込んで記憶させることができる。これにより、これら料金実績を蓄積格納して一元管理したり、それぞれ実際の乗車区間実績と対比したり、走行前の料金見積もり情報と比較したり、同一区間の場合における期日、時刻、運転手、タクシー会社ごとのばらつきを分析したりする等、種々の活用が可能となる。
【0041】
第18の発明は、上記第17発明において、前記第1通信手段は、金銭精算を実行するための精算金額情報を記憶した前記車両用無線タグと情報送受信可能であり、前記第1情報取得手段は、前記第1通信手段を介し前記精算金額情報を取得し、前記乗客が降車するときに算出された、タクシー料金実績情報に基づき、前記第1情報取得手段で取得した前記精算金額情報に対し精算処理を行う精算処理手段と、前記精算処理手段で精算処理後の前記精算金額情報を、前記第1通信手段を介し前記車両用無線タグに書き込む精算金額情報更新手段とを設けたことを特徴とする。
【0042】
これにより、乗車ごとに生じるタクシー料金実績を精算金額情報更新手段で車両用無線タグ内に対し積算していくことで、所定のタイミングで集計して口座引き落とし・請求書発行等の処理を行うことが可能となる。あるいは、予めプリペイド額として車両用無線タグに記憶させた金額を、精算金額情報更新手段で乗車時のタクシー料金実績ごとに減額処理することも可能である。
【0043】
上記目的を達成するために、第19の発明は、タクシー乗客の目的地情報を記憶した車両用無線タグと無線通信を介して情報送受信可能な第2通信手段と、前記第2通信手段を介し前記目的地情報を取得する第2情報取得手段と、前記第2情報取得手段で取得した前記目的地情報に基づき、複数のタクシーを管理する管理者に対し、対応する報知信号を出力する第2信号出力手段とを有することを特徴とする。
【0044】
本願第19発明においては、車両用無線タグに目的地情報が記憶されている。この車両用無線タグに対し第2通信手段を介して情報読み取りを行い、第2情報取得手段で目的地情報を取得する。そして、この取得した情報に基づき、第2信号出力手段でタクシー管理者に対し報知信号を出力する。これにより、タクシー管理者は、読み取られた車両用無線タグに係わる乗客を当該目的地へ運ぶのに最も適したタクシーに対し、無線タグ情報読み取り装置の設置箇所へ直ちに向かうよう指示する(=配車する)ことが可能となる。すなわち、タクシー乗客が車両用無線タグを読み取らせるだけで、対応する空車タクシーが素早く配車される。この結果、乗客がなるべく早く目的地へ到達するための円滑なタクシー運行を行うことができる。
【0045】
上記目的を達成するために、第20の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備えた無線タグ回路素子に対し、情報送受信可能な第3通信手段と、車両の運搬対象の運搬開始位置情報のうち、少なくとも前記運搬終了位置情報を、前記第3通信手段を介し書き込んだ前記無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を用いて、無線タグの発行処理を行う発行処理手段とを有することを特徴とする。
【0046】
本願第20発明においては、第3通信手段を介し、無線タグ回路素子に対し、運搬対象に係わる少なくとも運搬終了位置情報が書き込まれ、記憶される。この情報書き込み後の無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を用いて無線タグの発行処理が行われる。これにより、このようにした発行された無線タグに対し、無線通信を介して情報読み取りを行うことで、運搬終了位置情報を取得することができる。この結果、これを用いて運転者に対し、運搬終了位置までの運搬経路を地図情報と関連づけて表示することが可能となる。すなわち、運転者が無線タグに対し情報読み取りを行うだけで運搬経路が地図上に表示されるので、運搬対象をなるべく早く運搬するための円滑な車両運行を行うことができる。
【0047】
第21の発明は、上記第20発明において、前記発行処理手段は、前記タグ媒体を搬送する搬送手段と、前記第3通信手段を介し、少なくとも前記運搬終了位置情報を前記無線タグ回路素子に書き込む情報書き込み手段と、前記タグ媒体又はこれに貼り合わされる被印字媒体に対し、所定の印字を行う印字手段とを備えることを特徴とする。
【0048】
発行処理において、搬送手段で無線タグ回路素子を備えたタグ媒体が搬送され、このタグ媒体に備えられる無線タグ回路素子に対し、情報書き込み手段で少なくとも運搬終了位置情報が書き込まれて記憶される。またタグ媒体(又は被印字媒体)に印字手段で所定の印字が行われる。このようにして、所定の情報が書き込まれた無線タグ回路素子をタグ媒体に備え、かつタグ媒体(又は被印字媒体)に印字を備えた印字付き無線タグを発行することができる。
【0049】
第22の発明は、第21発明において、前記情報書き込み手段は、前記第3通信手段を介し、前記無線タグの使用者情報を前記無線タグ回路素子に書き込むことを特徴とする。
【0050】
これにより、使用者を明確にした形で、無線タグを発行することができる。
【0051】
第23の発明は、上記第21又は第22発明のいずれかにおいて、前記情報書き込み手段は、前記第3通信手段を介し、金銭精算を実行するための精算金額情報を前記無線タグ回路素子に書き込むことを特徴とする。
【0052】
無線タグ発行時に精算金額情報を書き込むようにすることにより、予めプリペイド額として所定の金額を無線タグ回路素子に記憶させ、その金額を、乗車時のタクシー料金実績ごとに減額処理することが可能となる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、運搬対象をなるべく早く運搬するための円滑な車両運行を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の車両用無線タグをタクシーチケットに適用したものであり、例えば会社に設置されたチケット発行機で社員がタクシーチケットを発行し、それを用いて会社から社用で外出するような場合に好適な例である。
【0055】
図1は、本実施形態の無線タグ発行機300を含む無線タグ発行システム全体を表すシステム構成図である。
【0056】
図1に示す無線タグ発行システム10は、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されるアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子To(後述の図5等参照)を有し、運搬対象である乗客を運搬する車両(この例ではタクシー)をガイドするための車両用無線タグとしての無線タグチケット1(この例ではタクシーチケット)を作成するための上記無線タグ発行機300と、この無線タグ発行機300と例えばUSBケーブル等の接続手段2を介して接続され、表示部101及び操作部102等を有するPC端末(又は汎用コンピュータ。以下、「PC」と記載)100とを備えている。
【0057】
図2は、上記無線タグ発行システム10を構成するPC100及び無線タグ発行機300の詳細機能を表す機能ブロック図である。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0058】
この図2において、PC100は、各種操作画面等の表示を行うための上記表示部101と、操作者が操作入力を行うための適宜のボタン、キー、マウス等を備えた上記操作部102と、上記無線タグ発行機300との間で接続手段2を介して行われる通信の制御を行う通信制御部104と、これら表示部101、操作部102、及び通信制御部104を含むPC100全体の動作を制御する制御回路105とを有する。
【0059】
一方、無線タグ発行機300は、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられたタグテープ303(タグ媒体)を巻回したタグテープロール304(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)を着脱可能な(又はタグテープロール304を備えたカートリッジを着脱可能な)タグテープロールホルダ部310と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303のうち上記無線タグ回路素子Toに対応した印字領域S(後述の図4参照)に所定の印字を行う印字ヘッド305(印字手段)と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ306(第3通信手段)と、高周波回路301及び制御回路302と、上記PC100との間で接続手段2を介して行われる通信の制御を行う通信制御部308と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定の長さに切断して無線タグチケット1とするカッタ307と、印字ヘッド305に対向して設けられ、制御回路302により制御されてタグテープロール304を搬送する搬送装置309(搬送手段)とを有する。
【0060】
高周波回路301及び制御回路302は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報を生成し、アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ情報書き込みを行う。また制御回路302は上記接続手段2を介してPC100と接続されており、このPC100と情報の送受信が可能となっている。
【0061】
このような構成において、上記無線タグ発行機300で無線タグチケット1を作成する際には、操作者はPC100の上記操作部102を用いてタクシーの降車場所の選択入力を行う(なお、乗車場所については、本例では予め会社の場所が乗車場所として設定されているため入力の必要はない)。これにより、無線タグ発行機300の制御回路302の制御によって、乗車場所情報及び上記入力された降車場所情報に基づいた印字ヘッド305による適宜の印字が行われると共に、高周波回路301により乗車場所情報及び上記入力された降車場所情報に基づいたアクセス情報が生成され装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信される。これにより、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ上記乗車場所情報及び降車場所情報等の書き込みが行われ、無線タグチケット1が作成される。
【0062】
なお、以上のように本実施形態では無線タグ発行機300にPC100を接続し、操作者はPC100の表示部101及び操作部102を用いて場所情報等の入力を行うようにしたが、これに限られず、無線タグ発行機300に表示部及び操作部を設け、それらを用いて操作者が必要な操作入力を行うようにしてもよい。
【0063】
図3は、無線タグ発行機300で上記無線タグ回路素子Toを備えた無線タグチケット1を作成するときに上記制御回路302によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0064】
図3において、まずステップS5において、通信制御部308、接続手段2、及び通信制御部104を介し、PC100の制御回路105に制御信号を送信し、表示部101に降車場所の表示方法の選択画面を表示させ、操作者に選択入力を促す。
【0065】
次のステップS10では、操作者が降車場所の表示方法として地図又は一覧のいずれを選択したかを、PC100の操作部102から通信制御部104、接続手段2、及び通信制御部308を介して入力された操作信号に基づき、判定する。表示方法として地図が選択されている場合には、次のステップS15に移る。
【0066】
ステップS15では、通信制御部308、接続手段2、及び通信制御部104を介し、PC100の制御回路105に制御信号を送信し、表示部101に地図を表示させる。このとき、予め設定された地域周辺(例えば会社周辺)の地図が表示されるようにしてもよいし、県全域や日本全域等広い地域を表示させて、そこから操作者が所望の地域を選択して徐々に地図を拡大していけるようにしてもよい。また、予め選択された複数の場所の地図を一画面に表示させるようにしてもよい。
【0067】
一方、上記ステップS10で表示方法として一覧が選択されている場合には、ステップS20に移る。
【0068】
ステップS20では、通信制御部308、接続手段2、及び通信制御部104を介し、PC100の制御回路105に制御信号を送信し、表示部101に降車場所の一覧を表示させる。このとき表示される降車場所は予め記憶されており、例えば会社から外出する際によく使用される最寄り駅や空港等が含まれる。また、社員の自宅の場所を全て記憶させておき、それらを表示するようにしてもよい。さらに、一覧に載っていない場所を入力(又は検索)するための入力部(又は検索部)を一覧と共に表示させるようにしてもよい。
【0069】
ステップS25では、上記地図又は一覧として表示された降車場所の選択画面を参照しつつ、操作者がいずれの降車場所を選択したかを、PC100の操作部102から通信制御部104、接続手段2、及び通信制御部308を介して入力する。
【0070】
次のステップS30では、降車場所の選択が完了したか否かを判定する。すなわち、操作者は自分がタクシーを利用して降車する可能性がある場所を複数選択することが可能であり、それら全ての降車場所の選択が完了したか否かを判定する。この判定は、PC100の操作部102から通信制御部104、接続手段2、及び通信制御部308を介して選択が完了した旨の信号が入力されたか否かを検出することにより行う。選択が完了していない場合には、判定が満たされずに上記ステップS25に戻り、再度降車場所の入力を行う。一方、選択が完了している場合には、判定が満たされて次のステップS33に移る。
【0071】
次のステップS33では、乗車場所に関する乗車場所情報(上述したように、本例では会社の場所が予め乗車場所として適宜のメモリ等に記憶されている)、及び上記操作者により入力された降車場所に関する降車場所情報に基づいた適宜の印字を印字ヘッド305によって行う(後述の図4参照)。
【0072】
次のステップS35では、高周波回路301により、上記乗車場所情報、上記降車場所情報、及び作成するチケットがタクシーチケットであることを証明するタクシーチケット証明情報に基づくアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150へこれら乗車場所情報、降車場所情報、及びタクシーチケット証明情報の書き込みを行う。なお、ここで無線タグ回路素子Toに対し書き込まれる乗車場所情報及び降車場所情報には、場所名及びそのマップコード(登録商標)が含まれる。なお、ここでは場所情報にマップコードを含めるようにしたが、これに限られず、例えばGPSコード等、場所を特定できる情報(好適にはカーナビで使用できるもの)であれば他のものを用いてもよい。
【0073】
次のステップS40では、上記ステップS35で行った無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが正常に完了したか否かを判定する。具体的には、高周波回路31により無線タグ回路素子ToのIC回路部150の内容を確認する確認信号に応じたアクセス情報を生成して、装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、それに対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号に基づき、上記乗車場所情報、降車場所情報、及びタクシーチケット証明情報の書き込みが正常に完了したか否かの判定を行う。情報書き込みが正常に完了している場合には、判定が満たされて次のステップS45に移る。
【0074】
ステップS45では、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を、カッタ307で所定の長さに切断し、無線タグ回路素子Toを備えた無線タグチケット1を生成する。
【0075】
一方、上記ステップS40において、情報書き込みが正常に完了していない場合には、判定が満たされずに次のステップS50に移る。このステップS50では、通信制御部308、接続手段2、及び通信制御部104を介し、PC100の制御回路105に制御信号を送信し、表示部101にタグへの情報書き込みが正常に完了しなかった旨を表すエラー表示を行わせる。以上により、このフローを終了する。
【0076】
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。例えば、上記ステップS33で行った印字は必ずしも必要ではなく、ステップS33を削除して印字を行わないようにしてもよい。
【0077】
また、上記において、無線タグ発行機300の制御回路302によって実行されるステップS35の手順は、特許請求の範囲各項記載の第3通信手段を介し、少なくとも運搬終了位置情報を無線タグ回路素子に書き込む情報書き込み手段を構成する。また、上記ステップS35の手順を実行する制御回路302と、搬送装置309、及び印字ヘッド305とが、車両の運搬対象の運搬開始位置情報及び運搬終了位置情報のうち、少なくとも運搬終了位置情報を、第3通信手段を介し書き込んだ無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を用いて、無線タグの発行処理を行う発行処理手段を構成する。
【0078】
図4は、上記制御により無線タグ発行機300で作成された無線タグチケット1の全体概略構造の一例を表す上面図である。
【0079】
この図4において、無線タグチケット1はカード状に形成されており、略長方形形状の基材1Aと、この基材1A内に配置された、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されるアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子Toとから構成されている。
【0080】
この図4に示す例では、無線タグチケット1の表側(上面)に、この無線タグチケット1がタクシーチケットであることを示す表示H1と、乗車場所名(ここでは会社名)を示す表示H2、及び降車場所名を示す表示H3が上記印字領域Sに印字されている。なお、上述したようにこれら印字領域Sへの印字は必ずしも行われる必要はなく、印字を行わないようにしてもよい。また、上記表示H1,H2,H3のうちの少なくとも1つを印字するようにしてもよいし、これらの他にもチケット使用者の氏名等の識別表示を印字するようにしてもよい。また、操作者が降車場所を1つだけ選択した場合のみ降車場所の印字を行い、複数選択した場合には降車場所名の印字を行わないようにしてもよい(又は複数の場所を全部印字してもよい)。さらに、文字だけでなく図形や符号、あるいは背景に色塗りや模様等を印字してもよい。なお、無線タグチケット1の大きさは、例えば名刺大等各種サイズのものとして構成できる。通常のA4版又はB5版等の紙(印刷してもしなくてもよい)に、無線タグ回路素子Toを取り付けた(例えばラベル状のものを貼付した)ものとしてもよい。
【0081】
図5は、上記無線タグチケット1に備えられた上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0082】
図5において、無線タグ回路素子Toは、上記無線タグ発行機300のアンテナ306や後述するタクシーに備えられ無線タグ回路素子Toの読み取り機能を備えたリーダ・ライタ200のアンテナ210とUHF帯等を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
【0083】
IC回路部150は、アンテナ151により受信された質問波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
【0084】
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記無線タグ発行機300のアンテナ306やタクシーに備えられる後述するリーダ・ライタ200のアンテナ210からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、上記アンテナ306,210より受信した質問波を変調し、アンテナ151より応答波として再送信する。
【0085】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0086】
クロック抽出部156は、受信した信号からクロック成分を抽出して制御部155にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部155に供給する。
【0087】
図6は、上記のようにして無線タグ発行機300で作成された無線タグチケット1が有する無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記メモリ部155のデータ構成の一例を表す図である。
【0088】
この図6において、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155は、各情報をそれぞれ格納可能な複数のメモリブロック(以下「ブロック」と記載する)を有している。ブロック00には、無線タグ回路素子Toの固有の識別情報としての、予め記憶された書き換え不能なUID(Unique Identifier)が記憶されている。またブロック01には、無線タグ発行機300におけるチケット発行の際に書き込まれたタクシーチケット証明情報が記憶されている。
【0089】
さらにブロック02には、無線タグ発行機300におけるチケット発行の際に書き込まれた乗車場所情報(運搬開始位置情報又は乗車地情報。ここでは会社名とそのマップコード)が記憶されており、ブロック03〜0aの各ブロックには、無線タグ発行機300におけるチケット発行の際に操作者によって選択され書き込まれた(この例では複数の)降車場所情報(運搬終了位置情報又は目的地情報。ここでは場所名とそのマップコード)がそれぞれ記憶されている。また、ブロック0bは、操作者が乗客としてタクシーを利用し、降車するときに算出されたタクシー利用料金を請求金額情報(タクシー料金実績情報)として記憶可能な記憶領域(料金実績情報記憶領域、精算金額情報記憶領域)であり、タクシーを降車する際にタクシーに備えられたリーダ・ライタ200により利用料金に応じた請求金額情報が書き込まれる。したがって、チケット発行後タクシーを利用する前には請求金額情報は記憶されていない(又は0円に対応する請求金額情報が記憶されている)。
【0090】
なお、上記ブロック02は、特許請求の範囲各項記載の運搬対象の運搬開始位置情報を記憶可能な運搬開始位置情報記憶領域を構成すると共に、運搬開始位置情報として、タクシー乗客の乗車地情報を記憶可能な乗車地情報記憶領域を構成する。また、ブロック03〜0aは、運搬対象の運搬終了位置情報を記憶可能な運搬終了位置情報記憶領域を構成すると共に、運搬終了位置情報として、タクシー乗客の目的地情報を記憶可能な目的地情報記憶領域を構成する。
【0091】
図7は、上記操作者(以下、適宜「乗客M」と記載する)が発行した無線タグチケット1をタクシー1000(車両)で利用する様子を表す図であり、併せて本実施形態のリーダ・ライタ200を含みタクシー1000に搭載された無線タグ情報読み取りシステムの全体構成を表している。
【0092】
この図7において、タクシー1000に搭載された無線タグ情報読み取りシステム20は、乗客M(運搬対象)が所持する無線タグチケット1に対し無線タグ情報の読み取り及び書き込みを行う機能を有するリーダ・ライタ200と、このリーダ・ライタ200と例えばUSBケーブル等の接続手段3を介して情報送受信可能に接続された公知のカーナビゲーションシステム220(以下、適宜「カーナビ220」と記載する)及びタクシー料金の表示等を行うメーター230とを有している。
【0093】
図8は、上記リーダ・ライタ200の詳細機能を表す機能ブロック図である。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0094】
この図8において、リーダ・ライタ200(無線タグ情報読み取り装置)は、上記無線タグチケット1に備えられる無線タグ回路素子Toのアンテナ151との間で無線通信により信号の授受を行う上記アンテナ210(第1通信手段)と、このアンテナ210を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスする(この例では読み取り及び書き込みを行う)とともに、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路201と、高周波回路201を介し無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、リーダ200全体の動作を制御する制御回路202と、操作者が操作可能な適宜のボタン、キー等を備えた操作部203と、上記カーナビ220及びメーター230との間で接続手段3を介して行われる通信の制御を行う通信制御部204と、各種操作画面等の表示を行うための表示部205とを有する。
【0095】
このような構成において、乗客Mがタクシー1000を利用する際に無線タグチケット1をリーダ・ライタ200に近接させると、リーダ・ライタ200は無線タグチケット1の無線タグ情報を読み取る。そして、読み取った降車場所情報に基づき、降車場所の一覧を表示する。乗客Mが降車場所を選択すると、その場所に対応するマップコードがタクシー1000のカーナビ220に送信され、乗車場所から降車場所までの経路情報が表示される。運行終了後には、算出されたタクシー料金を請求金額情報として無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toに書き込み、必要に応じてカーナビの履歴から降車場所のマップコードを消去する。
【0096】
図9は、上記乗客Mがタクシー1000を利用する際にリーダ・ライタ200の制御回路202によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0097】
この図9において、まずステップS105において、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記ブロック01(図6参照)に記憶されたタクシーチケット証明情報を読み取るための信号を送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから返信されたリプライ信号に基づき、タクシーチケット証明情報を取得する。
【0098】
次のステップS110では、上記ステップS105で取得したタクシーチケット証明情報が正規のものであるか否かを判定する。タクシーチケット証明情報が正規のものでない、若しくはタクシーチケット証明情報が記憶されていない場合には、判定が満たされずにステップS115に移り、表示部205に制御信号を送信して正規のタクシーチケットでない旨を表すエラー表示を行わせ、後述のステップS180に移る。一方、タクシーチケット証明情報が正規のものである場合には、判定が満たされて次のステップS120に移る。
【0099】
ステップS120では、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記ブロック02(図6参照)に記憶された乗車場所情報(ここでは会社名及びそのマップコード)を読み取るための信号を送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから返信されたリプライ信号に基づき、乗車場所情報を取得する。
【0100】
次のステップS125では、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記ブロック03〜0a(図6参照)に記憶された降車場所情報(ここでは場所名のみ。マップコードは含まれない)を読み取るための信号を送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから返信されたリプライ信号に基づき、降車場所情報を取得する。
【0101】
次のステップS130では、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された全ての降車場所情報(ここでは場所名のみ。マップコードは含まれない)の読み取りが完了したか否かを判定する。例えば前述の図6に示す例では、ブロック03〜0aに記憶された全ての降車場所情報の読み取りが完了していない場合には、判定が満たされずに上記ステップS125に戻る。全降車場所情報について読み取りが完了した場合には、判定が満たされて次のステップS135に移る。
【0102】
次のステップS135では、表示部205に制御信号を送信し、上記ステップS125及びステップS130で読み取った全降車場所情報(ここでは場所名)についての一覧表示を行い、乗客Mの選択を促す。
【0103】
次のステップS140では、上記一覧として表示された降車場所の選択画面を参照しつつ、乗客Mがいずれの降車場所を選択したかを、操作部203から入力する。
【0104】
次のステップS145では、上記降車場所の選択が完了したか否かを判定する。この判定は、操作部203から選択が完了した旨の信号が入力されたか否かを検出することにより行う。選択が完了していない場合には判定が満たされず、上記ステップS140に戻る。一方、選択が完了している場合には、判定が満たされて次のステップS150に移る。
【0105】
ステップS150では、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された、上記ステップS140及びステップS145で選択された降車場所に対応するマップコードを読み取るための信号を送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから返信されたリプライ信号に基づき、選択された降車場所に対応するマップコードを取得する。
【0106】
なお、上記ステップS125及びステップS130で降車場所情報の読み取りを行う際に、場所名のみでなくマップコードについても取得し適宜の記憶手段(リーダ・ライタ200の図示しないメモリ等)に記憶させておき、そのメモリから上記選択された降車場所のマップコードを読み出すようにしてもよい。
【0107】
ステップS155では、上記ステップS120で取得した乗車場所に対応するマップコード、及び上記ステップS150で取得した降車場所に対応するマップコードを、通信制御部204及び接続手段3を介してカーナビ220に送信する。これにより、カーナビ220においては、乗客Mの乗車場所から降車場所までの経路情報が表示され、運転者はこの案内を参照しつつタクシー1000の運行をすることが可能となる。
【0108】
ステップS160では、乗客Mの運行が終了したか否かを判定する。この判定は、例えばカーナビ220から降車場所に対応する目的地に到着した旨の信号が接続手段3及び通信制御部204を介して入力されたか否かを検出することにより行われる。運行が終了するまで本ステップを繰り返し、終了した場合には判定が満たされて次のステップS165に移る。
【0109】
ステップS165では、メーター230により算出されたタクシー料金を接続手段3及び通信制御部204を介して受信し、取得する。
【0110】
次のステップS166では、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記ブロック0b(図6参照)の記憶内容を読み取るための信号を送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから返信されたリプライ信号を受信する。
【0111】
次のステップS167では、上記ステップS166で取得したリプライ信号に基づき、ブロック0bに請求金額情報が記憶されているか否かを判定する。例えば当該無線タグチケット1を最初に利用する場合には前述したように請求金額情報は書き込まれていないので、判定が満たされずに後述するステップS169に直接移動する。一方、以前に無線タグチケット1を利用したことがある場合には、請求金額情報が書き込まれているので、判定が満たされて次のステップS168に移動する。
【0112】
ステップS168では、上記ステップS166でブロック0bから読み取った請求金額に先のステップS165で受信した今回のタクシー利用料金を積算し、新たな請求金額情報(タクシー料金実績に基づく金銭精算を実行するための精算金額情報)とする。
【0113】
次のステップS169では、上記積算した請求金額情報(最初のチケット利用の場合には先のステップS165で取得した利用料金情報)に基づくアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150の上記ブロック0b(前述の図6参照)へ請求金額情報の書き込みを行う。
【0114】
なお、上記は最初のチケット利用時にブロック0bに請求金額情報が記憶されていないことを前提にしているが、前述したように最初の利用時にはブロック0bに0円に対応する請求金額情報が記憶されている場合には、上記ステップS167の判定は不要であり、ステップS166においてブロック0bから読み取った請求金額情報に、ステップS165で取得した利用料金情報を常に積算するようにすればよい。
【0115】
次のステップS170では、表示部205に制御信号を送信し、カーナビ220の履歴から今回の降車場所に関わる情報の消去を行うか否かを確認する表示を行い、乗客Mの入力を促す。乗客Mによって操作部203から消去しない旨の信号が入力された場合には、判定が満たされずに後述のステップS180に直接移る。一方、乗客Mによって操作部203から消去する旨の信号が入力された場合には、判定が満たされて次のステップS175に移る。
【0116】
ステップS175では、通信制御部204及び接続手段3を介してカーナビ220に制御信号を送信し、カーナビ220のマップコード履歴から今回の降車場所に係るマップコードを消去させる。なおこのとき、リーダ・ライタ200においても降車場所に関わる情報の履歴が残るような場合には、リーダ・ライタ200に対しても当該情報について消去させるようにしてもよい。また、カーナビ220の履歴から今回の降車場所に係る情報を消去する代わりに、当該情報に要秘密の個人情報として扱う旨の情報(フラグ等)を付加するようにしてもよい。
【0117】
次のステップS180では、表示部205に制御信号を送信し、無線タグチケット1に関する処理が終了した旨の表示を行い、本フローを終了する。
【0118】
なお、タクシー利用後には、社員は無線タグチケット1を例えば会社の経理課等に提出する。これにより、経理課では無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された請求金額情報を用いて、所定のタイミング(月末等)で集計して口座引き落とし等によりタクシー会社に支払いをすることができるようになっている。
【0119】
また、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。例えば、上記ステップS105において、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された全情報(タクシーチケット証明情報、乗車場所情報、降車場所情報等を含む)について読み取り適宜の記憶手段に記憶させておき、ステップS120〜ステップS130、ステップS150及びステップS166の手順を省略するようにしてもよい。
【0120】
なお、上記フローにおいて、リーダ・ライタ200の制御回路202によって実行されるステップS125の手順は、特許請求の範囲各項記載の第1通信手段を介し少なくとも運搬終了位置情報を取得する第1情報取得手段を構成し、ステップS155の手順は、第1情報取得手段で取得した情報に基づき、運搬終了位置までの経路を地図情報と関連づけて表示するための経路表示用の制御信号を出力する第1信号出力手段を構成する。また、ステップS155においてカーナビ220に送信される降車場所に対応したマップコードが、運搬終了位置までの経路を地図情報と関連づけて表示するための経路表示用の制御信号に相当すると共に、タクシー乗客の目的地までの経路を地図情報と関連づけて表示するための経路表示用制御信号に相当する。
【0121】
また、ステップS168の手順は、乗客が降車するときに算出された、タクシー料金実績情報に基づき、第1情報取得手段で取得した精算金額情報に対し精算処理を行う精算処理手段を構成し、ステップS169の手順は、乗客が降車するときに算出されたタクシー料金実績情報を、第1通信手段を介し車両用無線タグに書き込む料金実績情報書き込み手段を構成すると共に、精算処理手段で精算処理後の精算金額情報を、第1通信手段を介し車両用無線タグに書き込む精算金額情報更新手段を構成する。
【0122】
以上説明した実施形態の無線タグチケット1においては、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に乗車場所情報を記憶させるための記憶領域(本実施形態ではメモリブロック02)及び降車場所情報を記憶させるための記憶領域(本実施形態ではメモリブロック03〜0a)を備えている。これにより、この無線タグチケット1に対し無線通信を介して情報読み取りを行うことで、乗客Mの降車場所情報を取得することができる。したがって、タクシー1000の運転者に対し、カーナビ220により降車場所までの走行経路を地図と関連づけて表示することができる。すなわち、運転者が無線タグチケット1に対し情報読み取りを行うだけで走行経路が地図上に表示されるので、乗客Mをなるべく早く運搬するための円滑なタクシー運行を行うことができる。さらに、乗客Mにとっては、降車場所(目的地)やそこまでの経路をその都度運転手に説明する手間がなくなり、利便性が向上する。
【0123】
また、本実施形態では特に、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部に、乗車場所情報と、複数の降車場所情報を記憶保持させる。このように複数の降車場所情報を記憶させることにより、乗客Mはタクシー1000に乗車した際にそれら複数の降車場所から1つの降車場所(目的地)を選択することが可能となり、例えばタクシー1000に乗るまでの間に状況が変わり目的地を変更する必要が生じたような場合等であっても、同じ無線タグチケット1を利用することが可能となり、乗客の利便性を向上できる。また乗車場所情報を記憶させることにより、予め設定された乗車場所(本実施形態では会社の場所)から目的地までの走行経路を表示することができる。
【0124】
また、本実施形態では特に、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150が、乗客Mが降車するときに算出されたタクシー利用料金を請求金額情報として記憶可能な記憶領域(本実施形態ではメモリブロック0b)を備える。これにより、表示された目的地までの走行経路に沿って走行した際、降車時までに生じた実際のタクシー料金を請求金額情報としてメモリブロック0bに記憶させることができる。この結果、これら料金実績を蓄積格納して一元管理したり、それぞれ実際の乗車区間実績と対比したり、走行前の料金見積もり情報と比較したり、同一区間の場合における期日、時刻、運転手、タクシー会社ごとのばらつきを分析したりする等、種々の活用が可能となる。
【0125】
また、本実施形態では特に、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリブロック0bに既に以前の金額情報が記憶されている場合には、当該ブロック0bの記憶内容が、その金額に今回の利用料金を積算した請求金額情報に更新される。これにより、乗車ごとに生じるタクシー料金実績をブロック0bに積算していくことで、所定のタイミングで集計して口座引き落とし・請求書発行等の処理を行うことができる。
【0126】
また、本実施形態では特に、無線タグ発行機300で無線タグチケット1を発行する際に、タグテープ303の印字領域Sに対し、印字ヘッド305により乗車場所情報及び降車場所情報に基づく適宜の印字を行う。これにより、所定の情報が書き込まれた無線タグ回路素子Toを備え、かつ表面に印字を備えた印字付き無線タグチケット1を発行することができる。
【0127】
なお、本発明は、上記の一実施形態に限られず、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲で更に種々の変形が可能である。以下その変形例を説明する。
【0128】
(1)プリペイド形式でタクシー利用ごとに順次減額される場合
上記実施形態では、タクシーを利用するごとに無線タグチケット1の請求金額情報を積算して更新しておき、所定のタイミング(月末等)で集計して口座引き落とし等によりタクシー会社に支払いをするようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば無線タグチケット1発行の際に所定の金額の入金処理をしておき、タクシーを利用するごとにその入金金額から順次減額されるようなプリペイド形式の無線タグチケット1としてもよい。
【0129】
以下に説明する変形例は、例えば旅行会社に設置されたチケット発行機で客がタクシーチケットを発行し、それを用いて所望の乗車地(本例では自宅又は別荘)から所望の目的地(本例では野球場、ゴルフ場等)へ外出するような場合に好適な例である。
【0130】
本変形例の無線タグ発行機300を含む無線タグ発行システム10の構成は、前述の図1及び図2に示した構成と同等であるので、説明を省略する。
【0131】
図10は、本変形例において、無線タグ発行機300で上記無線タグ回路素子Toを備えた無線タグチケット1を作成するときに、制御回路302によって実行される制御手順を表すフローチャートであり、前述の図3に対応する図である。
【0132】
この図10において、ステップS5及びステップS10は前述の図3と同様であり、表示部101に乗車場所及び降車場所の表示方法の選択画面を表示させ、操作者が乗車場所及び降車場所の表示方法として地図又は一覧のいずれを選択したかを判定する。地図が選択されている場合には次のステップS15Aに移り、表示部101に乗車場所及び降車場所の地図を表示させる。一方、一覧が選択されている場合には次のステップS20Aに移り、表示部101に乗車場所及び降車場所の一覧を表示させる。
【0133】
次のステップS23では、上記地図又は一覧として表示された乗車場所の選択画面を参照しつつ、操作者がいずれの乗車場所を選択したかを、PC100の操作部102から通信制御部104、接続手段2、及び通信制御部308を介して入力する。
【0134】
次のステップS25は前述の図3と同様であり、上記地図又は一覧として表示された降車場所の選択画面を参照しつつ、操作者がいずれの降車場所を選択したかを入力する。
【0135】
次のステップS30Aでは、乗車場所及び降車場所の選択が完了したか否かを判定する。すなわち、本変形例では操作者は自分がタクシーに乗車する可能性がある場所及び降車する可能性がある場所を複数選択することが可能であり、それら全ての乗車場所及び降車場所の選択が完了したか否かを判定する。選択が完了していない場合には、判定が満たされずに上記ステップS23に戻り、再度乗車場所の入力を行う。一方、選択が完了している場合には、判定が満たされて次のステップS33に移る。
【0136】
ステップS33〜ステップS40は前述の図3と同様であり、上記操作者により入力された乗車場所及び降車場所に関する情報に基づく適宜の印字を印字ヘッド305によって行うと共に、高周波回路301により、上記乗車場所情報、降車場所情報、及びタクシーチケット証明情報に基づくアクセス情報を生成してIC回路部150へ書き込みを行う。そして、この無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが正常に完了したか否かを判定する。情報書き込みが正常に完了している場合には、判定が満たされて次のステップS41に移る。
【0137】
ステップS41では、通信制御部308、接続手段2、及び通信制御部104を介し、PC100の制御回路105に制御信号を送信し、表示部101に入金画面を表示させ、操作者に入金金額の入力を促す。そして、操作者が入金金額を入力することにより入金処理を行うと、その金額情報をPC100の操作部102から通信制御部104、接続手段2、及び通信制御部308を介して取得する。
【0138】
次のステップS42では、高周波回路301により、上記ステップS41で取得した入金金額情報に基づくアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150(のブロック0b)に残金情報として書き込みを行う。
【0139】
次のステップS43では、上記ステップS40と同様にして、この無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが正常に完了したか否かを判定する。情報書き込みが正常に完了していない場合には、ステップS50に移りエラー表示を行わせる。一方、情報書き込みが正常に完了している場合には、判定が満たされて次のステップS45に移る。
【0140】
ステップS45は前述の図3と同様であり、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を、カッタ307で所定の長さに切断し、無線タグ回路素子Toを備えた無線タグチケット1を生成する。以上で本フローを終了する。
【0141】
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。例えば、上記ステップS41の入金処理をステップS35の前に行っておき、ステップS35において場所情報及び証明情報と一緒に入金金額情報についても無線タグ回路素子Toに併せて書き込むようにしてもよい。この場合、ステップS42及びステップS43が不要となる。
【0142】
また、上記において、無線タグ発行機300の制御回路302によって実行されるステップS42の手順は、特許請求の範囲各項記載の第3通信手段を介し、金銭精算を実行するための精算金額情報を無線タグ回路素子に書き込む情報書き込み手段を構成する。
【0143】
図11は、上記のようにして無線タグ発行機300で作成された無線タグチケット1が有する無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記メモリ部155のデータ構成の一例を表す図であり、前述の図6に対応する図である。図6と同等の部分は説明を省略する。
【0144】
この図11に示す例では、無線タグ発行機300におけるチケット発行の際に、操作者により乗車場所が2つ、降車情報が少なくとも3つ選択されている。すなわち、この例では操作者は自宅から野球場又は名古屋城等までタクシーを利用しようと考えており、また軽井沢別荘に行った際にはその別荘から軽井沢のゴルフ場までタクシーを利用しようと考えている。
【0145】
図11において、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリブロック02には、乗車場所の1つである操作者の自宅に関する乗車場所情報(名称とマップコード)が記憶されており、ブロック03にはもう一方の乗車場所である軽井沢別荘に関する乗車場所情報が記憶されている。また、ブロック04から0aの各ブロックには、操作者によって選択された複数の降車場所情報(ここでは野球場、名古屋城、軽井沢ゴルフ場等の場所名とそのマップコード)がそれぞれ記憶されている。また、ブロック0bは、操作者がチケット発行の際に入金した金額(又はタクシーを利用した際にはその利用料金を減額した残りの金額)を残金情報(精算金額情報)として記憶可能な記憶領域(精算金額情報記憶領域)であり、操作者が入金した金額(又はタクシーの利用料金を減額した残りの金額)が記憶されている。
【0146】
図12は、本変形例において乗客Mがタクシー1000を利用する際にリーダ・ライタ200の制御回路202によって実行される制御手順を表すフローチャートであり、前述の図9に対応する図である。
【0147】
この図12において、ステップS105〜ステップS115は前述の図9と同様であり、無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toに記憶されたタクシーチケット証明情報を読み取り、正規のものであるか否かを判定し、タクシーチケット証明情報が正規のものでないか記憶されていない場合にはエラー表示を行わせる。一方、タクシーチケット証明情報が正規のものである場合には、判定が満たされて次のステップS116に移る。
【0148】
ステップS116では、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記ブロック0b(図11参照)に記憶された残金情報を読み取るための信号を送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから返信されたリプライ信号に基づき、残金情報を取得する。
【0149】
次のステップS117では、表示部205に制御信号を送信して上記ステップS116で取得した残金情報を表す表示(例えば「残金は×××円です」)を行う。
【0150】
次のステップS120及びステップS125は前述の図9と同様であり、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150の上記ブロック02及び03(図11参照)に記憶された乗車場所情報を読み取って取得し、さらに上記ブロック04〜0a(図11参照)に記憶された降車場所情報を読み取って取得する。
【0151】
次のステップS130Aでは、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された全ての乗車場所情報及び降車場所情報(ここでは場所名のみ。マップコードは含まれない)の読み取りが完了したか否かを判定する。例えば前述の図11に示す例では、ブロック02及び03に記憶された全ての乗車場所情報、及びブロック04〜0aに記憶された全ての降車場所情報の読み取りが完了していない場合には、判定が満たされずに上記ステップS120に戻る。全乗車場所情報及び降車場所情報について読み取りが完了した場合には、判定が満たされて次のステップS135Aに移る。
【0152】
次のステップS135Aでは、上記ステップS120〜ステップS130Aで読み取った全乗車場所及び全降車場所情報(ここでは場所名)についての一覧表示を行い、乗客Mの選択を促す。
【0153】
次のステップS140Aでは、上記一覧として表示された乗車場所及び降車場所の選択画面を参照しつつ、乗客Mがいずれの乗車場所及び降車場所を選択したかを、操作部203から入力する。
【0154】
次のステップS145〜ステップS165は前述の図9と同様であり、上記乗車場所及び降車場所の選択が完了すると、当該選択された乗車場所及び降車場所に対応するマップコードを無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toから読み取り取得する。そして、これら取得した乗車場所及び降車場所に対応するマップコードをカーナビ220に送信する。これにより、カーナビ220においては、乗客Mの乗車場所から降車場所までの経路情報が表示され、運転者はこの案内を参照しつつタクシー1000の運行をすることが可能となる。そしてタクシーの運行が終了した場合には、メーター230により算出されたタクシー料金を受信し取得する。
【0155】
次のステップS166Aでは、先のステップS116で取得した無線タグチケット1の残金情報と、上記ステップS165で取得したタクシー利用金額とを比較し、残金が不足しているか否かを判定する。残金が足りている場合には判定が満たされず、後述するステップS168Aに直接移る。一方、残金が不足している場合には、判定が満たされて次のステップS167Aに移る。
【0156】
ステップS167Aでは、表示部205に制御信号を送信して上記不足金額を表す表示(例えば「あと×××円お支払いください」)を行う。なおこの場合、乗客Mは不足金額を現金で支払えばよい。
【0157】
次のステップS168Aでは、先のステップS116で取得した無線タグチケット1の残金額から上記ステップS165で取得したタクシー利用金額を減額し、新たな残金情報(精算金額情報)とする。
【0158】
次のステップS169Aでは、上記減額した残金情報(残金不足の場合には0円に対応する情報)に基づくアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150の上記ブロック0b(前述の図11参照)へ残金情報の書き込みを行う。
【0159】
その後のステップS170〜ステップS180は前述の図9と同等であるので説明を省略する。
【0160】
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0161】
以上説明した変形例においては、無線タグ発行機300で無線タグチケット1を発行する際に、無線タグ回路素子ToのIC回路部に(入金処理により)残金情報を書き込むようにすることにより、予めプリペイド額として所定の金額を無線タグ回路素子Toに記憶させ、その金額を、乗車時のタクシー料金実績ごとに減額処理することができる。
【0162】
(2)タクシー料金の見積もりを行う場合
本変形例は、タクシー1000の運行前にリーダ・ライタ200において乗車場所情報と降車場所情報とに基づき利用料金の見積もりを行うものである。
【0163】
図13は、本変形例において乗客Mがタクシー1000を利用する際にリーダ・ライタ200の制御回路202によって実行される制御手順を表すフローチャートであり、前述の図9に対応する図である。
【0164】
この図13において、ステップS105〜ステップS155は前述の図9と同等であるので説明を省略する。
【0165】
次のステップS156では、先のステップS120及びステップS125で取得した乗車場所情報及び降車場所情報に基づき、タクシー利用料金の見積もりを行う。なお、この見積もりの算出は、リーダ・ライタ200で行ってもよいし、例えばメーター230(又はカーナビ220)に乗車場所と降車場所のマップコードを送信して見積もりの算出を行わせ、その結果を受信して取得するようにしてもよい。
【0166】
次のステップS157では、表示部205に制御信号を送信し、上記ステップS156で見積もりした金額の表示(例えば「見積金額は×××円です」)を行う。
【0167】
次のステップS158では、上記見積金額情報に基づくアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150のブロック0c(後述の図14参照)へ見積金額情報の書き込みを行う。
【0168】
その後のステップS160〜ステップS180は前述の図9と同等であるので説明を省略する。
【0169】
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。例えば、ステップS158で見積金額情報の書き込みを行わずに適宜のメモリ手段に記憶させておき、ステップS169で見積金額と請求金額の両方の書き込みを行うようにしてもよい。
【0170】
また、上記において、リーダ・ライタ200の制御回路202によって実行されるステップS156の手順は、特許請求の範囲各項記載の少なくとも、第1情報取得手段で取得された目的地情報に基づき、タクシー料金見積もり情報を生成する料金見積もり情報生成手段を構成し、ステップS158の手順は、料金見積もり情報生成手段で生成されたタクシー料金見積もり情報を、第1通信手段を介し、車両用無線タグに書き込む料金見積もり情報書き込み手段を構成する。
【0171】
図14は、上記のようにしてタクシー1000のリーダ・ライタ200により見積金額の書き込みが行われた無線タグチケット1が有する無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155のデータ構成の一例を表す図であり、前述の図6に対応する図である。図6と同等の部分は説明を省略する。
【0172】
この図14に示すように、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリブロック0cには、乗車場所から降車場所までの見積金額情報(タクシー料金見積もり情報)が記憶されている。なお、上記では特に記載しなかったが、この見積金額情報について、上記ステップS166〜ステップS169で示したように金額情報が既に記憶されている場合にはタクシーを利用する度に積算して更新するようにしてもよいし、積算せずにタクシー利用毎に個別に記憶させるようにしてもよい。または積算金額と利用毎の金額を共に記憶させるようにしてもよい。さらに請求金額情報についても、積算金額のみでなくタクシー利用毎の個別の金額を記憶させるようにしてもよいし、積算金額と利用毎の金額を共に記憶させるようにしてもよい。
【0173】
なお、上記ブロック0cは、特許請求の範囲各項記載の少なくとも目的地情報記憶領域に記憶された目的地情報に基づき算出された、タクシー料金見積もり情報を記憶可能な料金見積もり情報記憶領域を構成する。
【0174】
以上説明した変形例においては、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150が、少なくとも降車場所情報に基づき算出された見積金額情報を記憶させるための記憶領域であるメモリブロック0cを備える。これにより、目的地までの走行経路が表示されるとともに、当該目的地までタクシー料金見積もりが行われた場合、実際に目的地に到達する前に、概ね必要なタクシー料金を乗客Mが知ることができるので、利便性が向上する。そしてこの見積料金情報をブロック0cに記憶させることにより、その後の実際に発生した請求金額情報と比較したり、同一区間・距離の場合に料金見積もりの算出手順を省略したりする等、種々の活用が可能となる。
【0175】
なお、上記変形例では、乗車場所情報及び降車場所情報の両方に基づきタクシー利用料金の見積もりを行うようにしたが、これに限られない。すなわち、乗車場所情報の代わりにカーナビ220より受信した現在地情報を用い、これと降車場所情報に基づいて利用料金の見積もりを行うようにしてもよい。
【0176】
また、上記では特に記載しなかったが、見積金額情報と請求金額情報とを比較し、その差が所定のしきい値以上である場合には、(例えば道路工事による通行禁止区域が介在して実際の経路が長くなる、又は交通渋滞がひどい地域であるため乗車時間が長くなる等が考えられ)見積金額情報があまり意味を成さないとみなせるため、見積金額情報を無線タグ回路素子Toに書き込まずに請求金額情報のみを無線タグ回路素子Toに書き込むようにし、その差が所定のしきい値未満である場合には、上記のような要因がなく見積金額と請求金額とが比較的近いことから、見積金額情報が意味を成すとみなせるため、見積金額情報のみを(あるいは請求金額情報とともに)無線タグ回路素子Toに書き込むようにしてもよい。
【0177】
(3)乗客が実際に乗車・降車した情報を記憶させる場合
本変形例は、乗客Mが実際にタクシー1000に乗車した場所情報及び運行が終了して実際にタクシー1000から降車した場所情報を、無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toに記憶させるものである。
【0178】
図15は、本変形例において乗客Mがタクシー1000を利用する際にリーダ・ライタ200の制御回路202によって実行される制御手順を表すフローチャートであり、前述の図9に対応する図である。
【0179】
この図15において、ステップS105〜ステップS155は前述の図9と同等であるので説明を省略する。
【0180】
次のステップS156Aでは、タクシー1000の現在地情報(乗車地実績情報)をカーナビ220から接続手段3及び通信制御部204を介して受信し、取得する。
【0181】
次のステップS158Aでは、上記取得した現在地情報に基づくアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150のブロック0c(後述の図16参照)へ乗車地実績情報として書き込みを行う。
【0182】
次のステップS160では、乗客Mの運行が終了したか否かを判定し、終了した場合には判定が満たされて次のステップS161に移る。
【0183】
ステップS161では、タクシー1000の現在地情報(降車地実績情報)をカーナビ220から接続手段3及び通信制御部204を介して受信し、取得する。
【0184】
次のステップS162では、上記取得した現在地情報に基づくアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150のブロック0d(後述の図16参照)へ降車地実績情報として書き込みを行う。
【0185】
次のステップS165〜ステップS169は、前述の図9と同等であるので説明を省略する。
【0186】
次のステップS170Aでは、表示部205に制御信号を送信し、無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toから今回の実際の乗車場所及び降車場所に関わる情報の消去を行うか否かを確認する表示を行い、乗客Mの入力を促す。乗客Mによって操作部203から消去しない旨の信号が入力された場合には、判定が満たされずに後述のステップS180に直接移る。一方、乗客Mによって操作部203から消去する旨の信号が入力された場合には、判定が満たされて次のステップS175Aに移る。
【0187】
ステップS175Aでは、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込まれた上記乗車地実績情報及び降車地実績情報の消去(あるいは読み取り不可とするロック等の無効化処理でもよい)に対応するアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150のブロック0c及び0d(後述の図16参照)の乗車地実績情報及び降車地実績情報の消去(又はロック等)を行う。なお、ここでは乗車地実績情報及び降車地実績情報の両方を消去するようにしたが、これに限られず、どちらか一方(例えば降車地実績情報)のみを消去するようにしてもよい。この場合、上記ステップS170Aでどちらの情報を消去するか指定できるようにしてもよい。
【0188】
そして、次のステップS180で表示部205に終了表示を行わせ、本フローを終了する。
【0189】
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0190】
また、上記において、リーダ・ライタ200の制御回路202によって実行されるステップS158A及びステップS162の手順は、特許請求の範囲各項記載の乗客が乗車したときの実際の乗車地実績情報、及び、乗客が降車したときの実際の降車地実績情報のうち、少なくとも一方を、第1通信手段を介し車両用無線タグに書き込む乗降実績情報書き込み手段を構成し、ステップS175Aは、乗降実績情報書き込み手段により車両用無線タグに書き込んだ乗車地実績情報及び降車地実績情報の少なくとも一方を、第1通信手段を介し無効化処理する無効化処理手段を構成する。
【0191】
また、上記において、例えばデータのやりとりにおいてタクシー会社と乗客Mとの間にサービス会社(旅行会社等)が介在するような場合も考えられる。このような場合、リーダ・ライタ200で乗車地実績情報及び降車地実績情報を無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toに書き込むと共に当該情報を遠隔地であるサービス会社に送信するようにしておき、乗客Mが上記ステップS170Aで場所情報の消去を望んだ場合には無線タグ回路素子Toの情報を消去するが、上記サービス会社に送信した情報はそのまま残すようにしてもよい。また、乗客がタグとサービス会社の両方の情報を消すことを望む場合には、両方を消去するようにしてもよい。
【0192】
図16は、上記のようにしてタクシー1000のリーダ・ライタ200により乗客Mの実際の乗車場所及び降車場所に関する情報の書き込みが行われた無線タグチケット1が有する無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155のデータ構成の一例を表す図であり、前述の図6に対応する図である。図6と同等の部分は説明を省略する。
【0193】
この図16に示すように、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリブロック0c(乗車地実績情報記憶領域)には、乗客Mが実際にタクシー1000に乗車した場所情報である乗車地実績情報が記憶されており、ブロック0d(降車地実績情報記憶領域)には、運行が終了して乗客Mが実際にタクシー1000から降車した場所情報である降車地実績情報が記憶されている。なお、ここでは乗車地実績情報と降車地実績情報の両方を無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶させるようにしたが、どちらか一方でもよい。
【0194】
以上説明した変形例においては、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150が、乗客Mがタクシー1000に乗車したときの実際の乗車地実績情報を記憶可能な記憶領域であるメモリブロック0c、及び、乗客Mが降車したときの実際の降車地実績情報を記憶可能な記憶領域であるメモリブロック0dのうち、少なくとも一方を備える。これにより、表示された目的地までの走行経路に沿って走行する(あるいは走行した)際、実際の乗車地実績情報や降車地実績情報をブロック0cやブロック0dに記憶させることができる。この結果、これらの乗降区間実績を蓄積格納して一元管理したり、それぞれ実際に発生した料金実績情報と対比したりする等、種々の活用が可能となる。
【0195】
また、本変形例では特に、乗客Mが所望する場合に、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込んだ乗車地実績情報及び降車地実績情報の少なくとも一方を消去(又はロック等)する。これにより、タクシー乗客側にとって個人情報であり他人に知られたくない等の場合には、無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toに書き込んだ乗車地実績や降車地実績を無効化することにより、プライバシーを守ることができる。
【0196】
(4)降車場所が選択された回数(頻度情報)を記憶させる場合
図17は、本変形例において乗客Mがタクシー1000を利用する際にリーダ・ライタ200の制御回路202によって実行される制御手順を表すフローチャートであり、前述の図9に対応する図である。
【0197】
この図17において、ステップS105〜ステップS120は前述の図9と同等であるので説明を省略する。
【0198】
次のステップS125Aでは、高周波回路201及びアンテナ210を介し、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150のブロック03〜0a(後述の図18参照)に記憶された降車場所情報(ここでは場所名及び頻度情報を含む。マップコードは含まれない)を読み取るための信号を送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから返信されたリプライ信号に基づき、降車場所情報を取得する。なお、上記頻度情報とは、当該降車場所が乗客Mによって選択された回数であり、ブロック03〜0aにマップコード及び場所名と共にそれぞれ記憶保持されている(後述の図18参照)。
【0199】
次のステップS130Aでは、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された全ての降車場所情報(ここでは場所名及び頻度情報を含む。マップコードは含まれない)の読み取りが完了したか否かを判定する。全ての降車場所情報の読み取りが完了していない場合には、判定が満たされずに上記ステップS125Aに戻る。全降車場所情報について読み取りが完了した場合には、判定が満たされて次のステップS135Aに移る。
【0200】
次のステップS135Aでは、表示部205に制御信号を送信し、上記ステップS125A及びステップS130Aで読み取った全降車場所情報(ここでは場所名)について、頻度情報が大きい順に一覧表示を行い、乗客Mの選択を促す。
【0201】
次のステップS140及びステップS145は前述の図9と同様であり、乗客Mがいずれの降車場所を選択したかを操作部203から入力し、さらに降車場所の選択が完了したか否かを判定する。選択が完了している場合には、判定が満たされて次のステップS146に移る。
【0202】
ステップS146では、上記ステップS140及びステップS145で選択された降車場所に対応する頻度情報に1を加え、この1を加えた頻度情報に基づくアクセス情報を生成して装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150の対応するブロックへ書き込みを行って、上記選択された降車場所に対応する頻度情報を更新する。
【0203】
この後のステップS150〜ステップS180については、前述の図9と同様であるので説明を省略する。
【0204】
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0205】
また、上記において、リーダ・ライタ200の制御回路202によって実行されるステップS146の手順は、特許請求の範囲各項記載の乗車地実績情報又は降車地実績情報の頻度情報を生成し、第1通信手段を介し車両用無線タグに書き込む頻度情報書き込み手段を構成する。
【0206】
図18は、上記のようにしてタクシー1000のリーダ・ライタ200により選択された降車場所情報の頻度情報の更新が行われた無線タグチケット1が有する無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155のデータ構成の一例を表す図であり、前述の図6に対応する図である。図6と同等の部分は説明を省略する。
【0207】
この図18に示すように、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリブロック03〜0a(頻度情報記憶領域)には、降車場所情報として、場所名、マップコード及び頻度情報がそれぞれ記憶されている。なお、ここでは降車場所情報のみ頻度情報を記憶させるようにしたが、例えば前述した変形例(1)の場合のように複数の乗車場所情報を選択して記憶させるような場合には、乗車場所情報についても頻度情報を記憶させるようにしてもよい。
【0208】
以上説明した変形例においては、無線タグチケット1の無線タグ回路素子ToのIC回路部150が、乗車場所情報又は降車場所情報が選択された回数を表す頻度情報を記憶可能な記憶領域であるメモリブロック03〜0aを備える。これにより、本変形例のようにその頻度情報を用いて降車場所情報を頻度別に(頻度が高い順に)表示させたりすることができ、乗客の利便性を向上できる。またその他にも頻度情報を用いて分類して管理する等、種々の活用が可能となる。
【0209】
なお、本変形例の頻度情報は、図17で説明したようにタクシー運行前に乗客Mによって一覧表示から選択された際に1を加算して更新するものであるので、詳細にはタクシー運行後の降車地実績情報(前述の図15、図16参照)の頻度情報ではないが、通常一覧表示から選択された降車場所と実際に運行される場所とは一致し、その頻度も同等となると考えられるため、本変形例の頻度情報は降車地実績情報の頻度情報に略相当するものである。乗車場所の頻度情報を記憶させる場合も同様である。
【0210】
(5)予め目的地が指定されている場合
上記実施形態では、予めタクシー乗車場所が会社の場所に設定されており、降車場所について操作者が選択して無線タグチケット1を発行するようにしたが、これに限られない。例えば、イベント会場、モデルルームの展示場、病院、別荘販売地等に客や患者が向かう場合や、複数の事業場を有する会社の社員が各事業場から特定の駅に向かう場合等、特定の目的地に不特定多数の人が各地から向かうような場合には、予めタクシー降車場所が上記したような特定の場所に設定されており、乗車場所(例えば各人の自宅、目的地周辺の複数の駅、又は各社員の事業場等)についてのみ各操作者が選択して無線タグチケット1を発行するようにしてもよい。このようにして発行した無線タグチケット1を用いることにより、タクシー利用の際に、操作者が選択した各々の乗車地から共通の1つの目的地までの走行経路をそれぞれ地図上に表示することができる。
【0211】
(6)無線タグをタクシーの配車に利用する場合
本変形例は、本発明の車両用無線タグをタクシーの配車に利用する場合の例である。
【0212】
図19は、本変形例の車両配車システム30の全体構成を表すシステム構成図である。この図19において、車両配車システム30は、タクシー乗場に設置され、乗客Mが所持する無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toから無線通信により情報の読み取りを行う(前述したリーダ・ライタ200とほぼ同等のリーダ機能を有する)リーダ400と、このリーダ400と有線(又は無線でもよい)の通信手段4を介して情報送受信可能に接続され、複数のタクシー1000に対しアンテナ501を介して無線指示を送信することにより配車管理を行う配車センタ500とを有している。
【0213】
図20は、上記リーダ400の詳細機能を表す機能ブロック図である。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0214】
この図20において、リーダ400(無線タグ情報読み取り装置)は、上記無線タグチケット1に備えられる無線タグ回路素子ToのIC回路部150(図示せず)との間で無線通信により信号の授受を行う上記アンテナ410(第2通信手段)と、このアンテナ410を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスする(この例では読み取りを行う)とともに、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路401と、高周波回路401を介し無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、リーダ400全体の動作を制御する制御回路402(第2情報取得手段、第2信号出力手段)と、操作者が操作可能な適宜のボタン、キー等を備えた操作部403と、上記配車センタ500との間で通信手段4を介して行われる通信の制御を行う通信制御部404と、各種操作画面等の表示を行うための表示部405とを有する。
【0215】
本変形例の無線タグチケット1が有する無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155のデータ構成は、前述の図6と同等であるので説明を省略する。
【0216】
このような構成である車両配車システム30においては、タクシー乗場にいる乗客Mの無線タグチケット1に対し、リーダ400のアンテナ410を介して情報読み取りを行い、高周波回路401を介して制御回路402で降車場所情報を取得する。そして、この取得した情報に基づき、制御回路402で通信制御部404及び通信手段4を介して配車センタ500に対し報知信号を出力する。これにより、配車センタ500は、読み取られた無線タグチケット1に係わる乗客Mを当該降車場所情報に対応する目的地へ運ぶのに最も適したタクシー1000に対し、リーダ400の設置箇所であるタクシー乗場へ直ちに向かうよう、アンテナ501を介して無線で指示する。これにより、タクシー乗客Mが無線タグチケット1をリーダ400に読み取らせるだけで、対応する空車タクシーが素早く配車される。この結果、乗客Mがなるべく早く目的地へ到達するための円滑なタクシー運行を行うことができる。
【0217】
(7)その他
なお、以上においては、利用する際に無線タグチケット1をタクシー1000の運転手に渡すのではなく、乗客Mが所持しながら課金されつつ使用する場合(いわゆるクレジットカード方式)又は入金した金額から減額されつつ使用する場合(いわゆるプリペイドカード方式)を例にとって説明したが、これに限られず、通常のタクシーチケットと同様に利用の際にタクシー1000の運転手に渡すようにしてもよい。この場合において、乗客Mがタクシー1000を利用する際にリーダ・ライタ200の制御回路202によって実行される制御手順は、前述の図9に示すフローチャートと同様にすれば足りる。これにより、請求金額情報が書き込まれた無線タグチケット1が運転手により回収され、タクシー会社側で無線タグチケット1から請求金額情報を読み出し所定のタイミング(月末等)で集計して請求書の発行等を行われる。
【0218】
また、以上においては特に記載しなかったが、無線タグチケット1が有する無線タグ回路素子ToのIC回路部150に、使用者の識別情報である個人IDを書き込むようにしてもよい。これにより、無線タグチケット1の使用者を明確にした形でチケット発行をすることができる。また、例えば会社側ではその個人IDを用いて労務管理を行う等、種々の活用が可能である。さらには、利用するタクシー会社名や、利用した日付等を書き込むようにしてもよい。これにより、例えば同区間について会社ごとに料金を比較する等、種々多様な情報の活用が可能となる。
【0219】
また、以上においては、無線タグチケット1の無線タグ回路素子Toとタグ発行機300のアンテナ306(又はリーダ・ライタ200のアンテナ210)との間でUHF帯を用いた電波通信により情報送受信を行う場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば上記タグ発行機側のアンテナ306(リーダ・ライタ200側のアンテナ210)及び無線タグ回路素子To側のアンテナ151としてコイル状のループアンテナを用い、HF帯を用いて磁気誘導(電磁誘導、磁気結合、その他電磁界を介して行われる非接触方式を含む)により情報送受信を行うようにしてもよい。
【0220】
また、以上においては、印字及び無線タグ回路素子Toへのアクセスの終了した印字済みタグラベル用テープ303をカッタ307で切断して無線タグチケット1を作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッタ307で切断しなくても、テープが排出口から排出されてきた後にラベル台紙(アクセス済みの無線タグ回路素子Toが備えられかつ対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がして無線タグチケット1を作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
【0221】
さらに、以上は、タグテープがリール部材の周りに巻回されてロールを構成し、タグテープロールホルダ部310内にそのロールが配置されてタグテープが繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、無線タグ回路素子Toが少なくとも一つ配置された長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックして(例えばトレイ状のものに平積み積層して)カートリッジ化し、このカートリッジを無線タグ発行機側のタグテープロールホルダ部に装着して、上記収納部から移送、搬送して印字及び書き込みを行い無線タグチケット1を作成するようにしてもよい。
【0222】
さらには長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートを無線タグ発行機外より1枚ずつ所定のフィーダ機構によって移送し無線タグ発行機内へ供給する構成も考えられる。この場合も同様の効果を得る。
【0223】
また、以上においては、タグテープ303(に備えられた図示しない被印字テープ層)に印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)であったが、無線タグ回路素子Toを備えた基材テープ303とは別のカバーフィルムに印字を行ってこれらを貼り合わせる方式に本発明を適用してもよい。
【0224】
また、以上では、本発明の車両用無線タグを、タクシーを利用する際に用いるタクシーチケットに適用した場合を一例として示したが、本発明はこれ以外にも、例えば運送会社のトラックにより配送する荷物の荷札等にも適用可能である。この場合、各荷物の荷札にはその荷物の集荷地点、配達地点が記憶された無線タグが備えられており、運転手はトラックに備えられたリーダ・ライタで各荷物の無線タグ情報を読み取ることで、その配送ルートをカーナビに自動的に表示させることができ、道に不慣れな運転手でも容易且つ正確に荷物の配達を行うことが可能である。
【0225】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0226】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1】本実施形態の無線タグ発行機を含む無線タグ発行システム全体を表すシステム構成図である。
【図2】無線タグ発行システムを構成するPC及び無線タグ発行機の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図3】無線タグ発行機で無線タグ回路素子を備えた無線タグチケットを作成するときに制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図4】無線タグ発行機で作成された無線タグチケットの全体概略構造の一例を表す上面図である。
【図5】無線タグチケットに備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図6】無線タグ発行機で作成された無線タグチケットが有する無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部のデータ構成の一例を表す図である。
【図7】本実施形態のリーダ・ライタを含みタクシーに搭載された無線タグ情報読み取りシステムの全体構成を表す図である。
【図8】リーダ・ライタの詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図9】乗客がタクシーを利用する際にリーダ・ライタの制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図10】プリペイド形式でタクシー利用ごとに順次減額される場合の変形例において、無線タグ発行機で無線タグ回路素子を備えた無線タグチケットを作成するときに、制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】無線タグ発行機で作成された無線タグチケットが有する無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部のデータ構成の一例を表す図である。
【図12】乗客がタクシーを利用する際にリーダ・ライタの制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図13】タクシー料金の見積もりを行う場合の変形例において、乗客がタクシーを利用する際にリーダ・ライタの制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図14】タクシーのリーダ・ライタにより見積金額の書き込みが行われた無線タグチケットが有する無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部のデータ構成の一例を表す図である。
【図15】乗客が実際に乗車・降車した情報を記憶させる場合の変形例において、乗客がタクシーを利用する際にリーダ・ライタの制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図16】タクシーのリーダ・ライタにより乗客の実際の乗車場所及び降車場所に関する情報の書き込みが行われた無線タグチケットが有する無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部のデータ構成の一例を表す図である。
【図17】降車場所が選択された回数を記憶させる場合の変形例において、乗客がタクシーを利用する際にリーダ・ライタの制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図18】タクシーのリーダ・ライタにより選択された降車場所情報の頻度情報の更新が行われた無線タグチケットが有する無線タグ回路素子のIC回路部のメモリ部のデータ構成の一例を表す図である。
【図19】無線タグをタクシーの配車に利用する場合の変形例において、車両配車システムの全体構成を表すシステム構成図である。
【図20】リーダの詳細機能を表す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0228】
1 無線タグチケット(車両用無線タグ)
150 IC回路部
151 アンテナ(タグ側アンテナ)
200 リーダ・ライタ(無線タグ情報読み取り装置)
202 制御回路
210 アンテナ(第1通信手段)
300 無線タグ発行機
303 タグテープ(タグ媒体)
305 印字ヘッド(印字手段)
306 アンテナ(第3通信手段)
309 搬送装置(搬送手段)
400 リーダ(無線タグ情報読み取り装置)
402 制御回路(第2情報取得手段、第2信号出力手段)
410 アンテナ(第2通信手段)
1000 タクシー(車両)
M 乗客(運搬対象)
To 無線タグ回路素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備えた無線タグ回路素子を有し、運搬対象を運搬する車両をガイドするための車両用無線タグであって、
前記無線タグ回路素子の前記IC回路部は、
前記運搬対象の運搬開始位置情報を記憶可能な運搬開始位置情報記憶領域と、
前記運搬対象の運搬終了位置情報を記憶可能な運搬終了位置情報記憶領域と
を備える
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項2】
請求項1記載の車両用無線タグにおいて、
前記運搬開始位置情報記憶領域は、
前記運搬開始位置情報として、タクシー乗客の乗車地情報を記憶可能な乗車地情報記憶領域であり、
前記運搬終了位置情報記憶領域は、
前記運搬終了位置情報として、前記タクシー乗客の目的地情報を記憶可能な目的地情報記憶領域である
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項3】
請求項2記載の車両用無線タグにおいて、
前記IC回路部は、
前記乗車地情報記憶領域及び前記目的地情報記憶領域のうち少なくとも前記目的地情報記憶領域に対し、
前記乗車地情報及び前記目的地情報のうち少なくとも1つの前記目的地情報を含む複数の位置情報を記憶保持する
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項4】
請求項3記載の車両用無線タグにおいて、
前記IC回路部は、
前記乗車地情報記憶領域に少なくとも1つの前記乗車地情報を記憶保持し、
前記目的地情報記憶領域に1つの前記目的地情報を記憶保持する
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の車両用無線タグにおいて、
前記IC回路部は、
少なくとも前記目的地情報記憶領域に記憶された前記目的地情報に基づき算出された、タクシー料金見積もり情報を記憶可能な料金見積もり情報記憶領域を備える
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載の車両用無線タグにおいて、
前記IC回路部は、
前記乗客が乗車したときの実際の乗車地実績情報を記憶可能な乗車地実績情報記憶領域、及び、前記乗客が降車したときの実際の降車地実績情報を記憶可能な降車地実績情報記憶領域のうち、少なくとも一方を備える
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項7】
請求項6記載の車両用無線タグにおいて、
前記IC回路部は、
前記乗車地実績情報又は前記降車地実績情報の頻度情報を記憶可能な頻度情報記憶領域を備える
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項8】
請求項2乃至請求項7のいずれか1項記載の車両用無線タグにおいて、
前記IC回路部は、
前記乗客が降車するときに算出された、タクシー料金実績情報を記憶可能な料金実績情報記憶領域を備える
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項9】
請求項2乃至請求項8のいずれか1項記載の車両用無線タグにおいて、
前記IC回路部は、
前記乗客が降車するときに算出された、タクシー料金実績情報に基づく金銭精算を実行するための精算金額情報を記憶可能な精算金額情報記憶領域を備える
ことを特徴とする車両用無線タグ。
【請求項10】
車両の運搬対象の運搬開始位置情報及び運搬終了位置情報のうち、少なくとも前記運搬終了位置情報を記憶した車両用無線タグと無線通信を介して情報送受信可能な第1通信手段と、
前記第1通信手段を介し少なくとも前記運搬終了位置情報を取得する第1情報取得手段と、
前記第1情報取得手段で取得した情報に基づき、運搬終了位置までの経路を地図情報と関連づけて表示するための経路表示用の制御信号を出力する第1信号出力手段と
を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項11】
請求項10記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記第1通信手段は、
前記運搬開始位置情報としてタクシー乗客の乗車地情報を記憶するか、若しくは、前記運搬終了位置情報として前記タクシー乗客の目的地情報を記憶した前記車両用無線タグと情報送受信可能であり、
前記第1情報取得手段は、前記第1通信手段を介し少なくとも前記目的地情報を取得し、
前記第1信号出力手段は、前記第1情報取得手段で取得した情報に基づき、前記タクシー乗客の目的地までの経路を地図情報と関連づけて表示するための前記経路表示用制御信号を出力する
ことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項12】
請求項11記載の無線タグ情報読み取り装置において、
少なくとも、前記第1情報取得手段で取得された前記目的地情報に基づき、タクシー料金見積もり情報を生成する料金見積もり情報生成手段を有する
ことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項13】
請求項12記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記料金見積もり情報生成手段で生成された前記タクシー料金見積もり情報を、前記第1通信手段を介し、前記車両用無線タグに書き込む料金見積もり情報書き込み手段を有する
ことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか1項記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記乗客が乗車したときの実際の乗車地実績情報、及び、前記乗客が降車したときの実際の降車地実績情報のうち、少なくとも一方を、前記第1通信手段を介し前記車両用無線タグに書き込む乗降実績情報書き込み手段を有する
ことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項15】
請求項14記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記乗降実績情報書き込み手段により前記車両用無線タグに書き込んだ前記乗車地実績情報及び前記降車地実績情報の少なくとも一方を、前記第1通信手段を介し無効化処理する無効化処理手段を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項16】
請求項14又は請求項15記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記乗車地実績情報又は前記降車地実績情報の頻度情報を生成し、前記第1通信手段を介し前記車両用無線タグに書き込む頻度情報書き込み手段を有する
ことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項17】
請求項11乃至請求項16のいずれか1項記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記乗客が降車するときに算出されたタクシー料金実績情報を、前記第1通信手段を介し前記車両用無線タグに書き込む料金実績情報書き込み手段を有する
ことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項18】
請求項17記載の無線タグ情報読み取り装置において、
前記第1通信手段は、金銭精算を実行するための精算金額情報を記憶した前記車両用無線タグと情報送受信可能であり、
前記第1情報取得手段は、前記第1通信手段を介し前記精算金額情報を取得し、
前記乗客が降車するときに算出された、タクシー料金実績情報に基づき、前記第1情報取得手段で取得した前記精算金額情報に対し精算処理を行う精算処理手段と、
前記精算処理手段で精算処理後の前記精算金額情報を、前記第1通信手段を介し前記車両用無線タグに書き込む精算金額情報更新手段とを設けた
ことを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項19】
タクシー乗客の目的地情報を記憶した車両用無線タグと無線通信を介して情報送受信可能な第2通信手段と、
前記第2通信手段を介し前記目的地情報を取得する第2情報取得手段と、
前記第2情報取得手段で取得した前記目的地情報に基づき、複数のタクシーを管理する管理者に対し、対応する報知信号を出力する第2信号出力手段と
を有することを特徴とする無線タグ情報読み取り装置。
【請求項20】
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグ側アンテナとを備えた無線タグ回路素子に対し、情報送受信可能な第3通信手段と、
車両の運搬対象の運搬開始位置情報のうち、少なくとも前記運搬終了位置情報を、前記第3通信手段を介し書き込んだ前記無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を用いて、無線タグの発行処理を行う発行処理手段と
を有することを特徴とする無線タグ発行機。
【請求項21】
請求項20記載の無線タグ発行機において、
前記発行処理手段は、
前記タグ媒体を搬送する搬送手段と、
前記第3通信手段を介し、少なくとも前記運搬終了位置情報を前記無線タグ回路素子に書き込む情報書き込み手段と、
前記タグ媒体又はこれに貼り合わされる被印字媒体に対し、所定の印字を行う印字手段と
を備えることを特徴とする無線タグ発行機。
【請求項22】
請求項21記載の無線タグ発行機において、
前記情報書き込み手段は、
前記第3通信手段を介し、前記無線タグの使用者情報を前記無線タグ回路素子に書き込む
ことを特徴とする無線タグ発行機。
【請求項23】
請求項21又は請求項22記載の無線タグ発行機において、
前記情報書き込み手段は、
前記第3通信手段を介し、金銭精算を実行するための精算金額情報を前記無線タグ回路素子に書き込む
ことを特徴とする無線タグ発行機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−242858(P2008−242858A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82860(P2007−82860)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】