説明

車両用照明装置及び車両用シート

【課題】照明の点灯操作を容易に行うことが可能で使い勝手がよく、しかも点灯操作の場所が容易に理解できる車両用照明装置を提供すること。
【解決手段】本発明の車両用照明装置10は、回転プレート・ドア20の外形を形成する該回転プレート・ドア20の外面には、該回転プレート・ドア20が回動する際の軸となる回動軸41が形成され、収容室Rを形成する内面には、回転プレート・ドア20の回動軸41を回動可能に支持する軸受け47が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間などに車両用シート周辺のドライバの足元などを照明することができる車両用照明装置及びこれを備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両にあっては、ドライバの足元の視認性向上などを目的とした各種照明装置が各種提案されており、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダル等の各ペダルをドライバに容易に認識させることを目的などとして、LED等の発光体を埋設したペダルカバーを各ペダルに装着したものなどが提案されている。
【0003】
ところが、このような発光体を備えたペダルカバーをペダル毎に個別に装着することは、照明装置全体としての部品点数が増加し構造が複雑化する。また、一般に、運転中と乗降時とでは、ドライバが照明を必要とする領域(照射位置及び照射面積等)が異なるため、上述のように、単に操作用のペダルを照明するだけでは、十分な足元照明を実現することが困難な場合がある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に記載のような照明装置が提案されている。図11に示すように、この照明装置100は、図示外の光源ユニットと、光源ユニットからの照明光を出射させるために運転席側のインストルメントパネル101下部に設けた出射口102,103と、各ペダル104〜106に照明光を投光させる第1の位置と各ペダル104〜106後方の床面107に照明光を投光させる第2の位置との間で投光位置を切換可能な操作つまみ108などを備えている。
【特許文献1】特開2007−302126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の照明装置は、通常、ドアの開動作や前照灯などの点灯動作に連動して点灯するが、例えばこれ以外に乗車人が落し物を探したりその他の理由で点灯させたい場合にも点灯させるには、前述の切換えのための操作つまみなどとは別に手動操作用の点灯スイッチが必要となる。
【0006】
ところが、そのスイッチを、例えば照明装置の近傍に設置させると、乗車人の手が届き難く使い勝手が悪い。また、そのスイッチの設置場所によっては、スイッチの設置場所がわかり難い場合もある。例えば、そのスイッチをコンソールボックスなどに設置すると、点灯させるときにどこにそのスイッチがあるのか設置場所を理解しにくい。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、照明の点灯操作を容易に行うことが可能で使い勝手がよく、しかも点灯操作の場所が容易に理解できる車両用照明装置及びこれを備えた車両用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用照明装置は、下記(1)から(5)を特徴としている。
(1) 車両用シートの外形を形成する該車両用シートの外面のうちの、該車両用シートに乗車人が着席した場合の該乗車人の足元に臨む部分に、開口部を有し且つ該車両用シートの内部に向かって窪んで形成された収容室と、
前記収容室の開口部を開閉するように該収容室にヒンジ機構を介して揺動自在に設けられた回転プレート・ドアと、
前記回転プレート・ドアに前記足元側を照射するように設けられた光源部と、
を備え、
前記ヒンジ機構による前記回転プレート・ドアの揺動に伴って前記光源部の照射位置が変位する、
こと。
(2) 上記(1)の構成の車両用照明装置であって、
前記光源部は、前記回転プレート・ドアが前記収容室に収容されている状態では消灯し、そして前記回転プレート・ドアが前記収容室に収容されている状態から所定角度以上回動すると点灯する、
こと。
(3) 上記(1)または(2)の構成の車両用照明装置であって、
前記回転プレート・ドアが閉じた状態で前記収容室内には小物を離脱不能に収容する収容空間が形成される、
こと。
(4) 上記(1)から(3)のいずれか一つの構成の車両用照明装置であって、
前記光源部は、車両前方照射用ライトの照灯動作、または室内灯の点灯動作、若しくは車両用ドアの開動作に連動して点灯すること。
(5) 上記(1)から(3)のいずれか一つの構成の車両用照明装置であって、
前記光源部は、前記車両用シートが乗車口に向けて回動された際に、該車両用シートの回動動作に連動して点灯すること。
【0009】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用シートは、下記(6)を特徴としている。
(6) 上記(1)から(5)の構成の車両用照明装置を備えること。
【0010】
上記(1)の構成の車両用照明装置及び上記(6)の構成の車両用シートによれば、回転プレート・ドアを回動するだけ乗車人の足元を照射することができるため、照明の点灯操作を容易に行うことが可能で使い勝手がよく、しかも点灯操作を行うべき場所を暗闇の中でも容易に特定することができる。さらに、乗車人が落し物などを探すときに、照明領域を自由にかつ容易に変更させることができる。
また、上記(2)の構成の車両用照明装置及び上記(6)の構成の車両用シートによれば、回転プレート・ドアの開閉のによって、光源部の点灯と消灯を切り替えることができるため、容易に点灯、消灯を切り替えることができる。
また、上記(3)の構成の車両用照明装置及び上記(6)の構成の車両用シートによれば、小物入れなどとして使用できるので、手元の近くの収納部分を増やすことができる。
また、上記(4)の構成の車両用照明装置及び上記(6)の構成の車両用シートによれば、自動的な点灯動作が行えるので、例えば荷物を持った夜間などには便宜である。
また、上記(5)の構成の車両用照明装置及び上記(6)の構成の車両用シートによれば、シート周辺の屋外を照明するので、身障者や老人を夜間などでも安全に乗降させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用照明装置および車両用シートによれば、車両内のシートに設置した、足元付近を照明する車両用照明装置であって、回動可能な回転プレート・ドアを前記シートに備え、前記回転プレート・ドアを回動させることで、前記照明用の光源が点灯動作するように構成したので、照明の点灯操作を容易に行うことが可能で使い勝手がよく、しかも点灯操作の場所が容易に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両用照明装置を設置したシートを示す斜視図であり、図2は、その要部を示す拡大図であり、図3は、第1の実施形態に係る車両用照明装置を示す構成図であり、図4は、その車両用照明装置を設けた回転プレート・ドアの回動状態を示す説明図であり、図5は、その車両用照明装置の電気的構成を示すブロック図であり、図6は、(A)が第1の実施形態に係る車両用照明装置の光源部の構成を示す説明図、(B)がその光源部の変形例を示す説明図であり、図7は、本発明の第1の実施形態に係る車両用照明装置の作用を示す斜視図である。
【0014】
図1及び図2は本発明の一実施形態に係る車両用シートSを示すものである。この車両用シートSは、乗用車などの車両の運転席(助手席或いは後部座席などでもよい)に用いる固定式の(またはスライド可能な)シートであり、本発明の車両用照明装置10が座部シートS1の前面側に設置してある。なお、図1中符号Lは、車両用照明装置10によって光源からの照明光が投光される照明領域を示す。
【0015】
この車両用照明装置10は、足元付近などを照明するものであって、座部シートS1の前面足元側に設けた小物などの収納ケースとなる空間(以下、収納室Rとよぶ)の開口部に設置しており、該開口部を開閉する蓋としての機能を有する回転プレート・ドア20に、光源部30を備えているとともに、回転プレート・ドア20と収納室Rとの間にヒンジ機構40(図3参照)を設けている。なお、本発明の実施の形態では、回転プレート・ドア20と収納室Rの底壁との間に空隙が形成される場合について説明するが、収容室Rを形成する空間と略同一体積を有する回転プレート・ドア20が、閉動作時に収容室Rを占めるようにしてもよい。また、回転プレート・ドア20が、開口部を隙間無く閉じるようにしてもよいし、開口部との間に多少の隙間(収容室R内に収容される小物が該収容室Rから離脱しない程度の隙間)がある状態で閉じるようにしてもよい。
【0016】
回転プレート・ドア20は、図3、図4に示すように、座部シートS1の前方下部に設けた収納室Rを開閉させるために収納室Rに対して、後述する回動軸41を中心として回動可能に設置されている。また、回転プレート・ドア20は、回動させることで、具体的には図3に示す起立した状態から開いて引き出すことで、後述する光源が点灯動作する。
【0017】
さらに、この回転プレート・ドア20は、図3に示すように、後述する光源部30の光源であるLED31が故障などの際に、容易に取り外して新しいものと交換できるようにするため、裏蓋21が取り外し可能に設置されている。また、この回転プレート・ドア20には、後述するロック穴20Aと、操作者が掴んで回転プレート・ドア20を回動操作するためのつまみ20Bとを設けている。
【0018】
本実施形態の光源部30は、図1に示すように、車両用のバッテリを電源B(図5参照)として用いてシートSの足元近くの前方空間を照明するようになっており、この光源部30が回転プレート・ドア20内部に設けた図示外のランプハウス内に設置されている。
【0019】
光源部30は、光源であるLED(発光ダイオード)31と、このLED31の周辺に設置した反射鏡32と、透明カバー33とを備えており、マイクロスイッチ34で点灯動作させる。LED31は、回転プレート・ドア20を回動させて座部シートS1から開いて引き出すとマイクロスイッチ34がONして点灯し、閉じて収納させるとマイクロスイッチ34がOFFして消灯する。
【0020】
なお、本実施形態では、回転プレート・ドア20の開閉動作に連動してON/OFFする構成のマイクロスイッチ34でLED31の点灯/消灯動作を行うように構成したが、例えば車両前方照射用ライトの照灯動作、スモールランプ、または室内灯の点灯動作、若しくは車両用ドアの開動作に連動して点灯するように構成してもよい。このように構成すれば、自動点灯動作が行えるので、荷物を持った夜間などには便宜である。
【0021】
なお、本実施形態の光源であるLED31は、図1及び図6に示すように、複数個(本実施形態では3個)のものを水平方向にアレイ状に配置した構成とした。なお、この場合、本実施形態では、光源であるLED31とともに反射鏡32を周囲に設置し、所望の照射パターンを設定するように構成したが、特にこれに限定されるものではない。例えば図6(A)、(B)に示すように互いに連接するような状態で或いは一定間隔だけ離間して、LED31の各光軸上に投光レンズ、例えばコリメートレンズ35などを設置して平行光を形成してもよい。
【0022】
ヒンジ機構40は、回転プレート・ドア20の傾斜角度を変更させて照射方向を変更可能にするものであり、本実施形態では図3に示すように、回転プレート・ドア20と一体に回動する回動軸41と、この回動軸41の外周面の一部に当接する押当部材42と、この押当部材42に弾性力を付勢する圧縮ばね43と、押当部材42をスライド可能にガイドするとともに圧縮ばね43を収容するために一端面が開口した略箱状のガイド部材44と、回転プレート・ドア20から固設させたピン45と、回転プレート・ドア20の回動角度の範囲を規制するために収納室Rの側壁に設けた、ピン45が入り込む円弧状の規制溝46などを備えている。
【0023】
回動軸41は、摩擦係数が大きくかつ耐摩耗性の良好な適宜に材質、例えば適宜の樹脂材料で、一部にフラット面41Aを有する断面略D形に形成されており、回転プレート・ドア20に固着されているとともに、収納室R内の側壁に設けられた軸受け47に回動可能に軸支されている。即ち、この回動軸41は、回転プレート・ドア20で収納室Rを閉じた状態、つまり図3に示すように回転プレート・ドア20が直立した状態のときに、押当部材42で接触押圧する部分の外周がフラット面41Aとなるような配置で回転プレート・ドア20に固設されている。この回動軸41には、摩擦係数を高めて回転プレート・ドア20を途中の所望の傾斜角度で一時的に保持させる際の保持力を増大させるために、例えばエンボス加工や梨地加工などを施すようにしてもよい。
【0024】
押当部材42も、回動軸41と同様の摩擦係数が大きくかつ耐摩耗性の良好な適宜に材質、例えば適宜の樹脂材料で形成されている。
【0025】
圧縮ばね43は、圧縮量に応じてばね力が増大するため、回転プレート・ドア20が垂直に起立した状態(以下、「閉じ状態」とよぶ。また、この状態を「ロック状態」と呼ぶ場合もある。)のときに圧縮量が最小でばね力が小さいが、前述のマイクロスイッチ34がロック穴20Aに侵入することで閉じ(ロック)状態が保持される。一方、回転プレート・ドア20及びこれと一体の回動軸41が所定角度以上回動し、横臥する(水平)方向に向けて一定角度以上に傾斜した状態(以下、「開き状態」とよぶ)になると、回動軸41のフラット面41との接触(ロック)状態から外れ、押当部材42が円周面に当接するので、閉じ状態のときに比べて後退する(図4参照)。この結果、圧縮ばね43が圧縮され、増大するばね力で回動軸41のそのときの傾斜角度を保持可能となる。
【0026】
ピン45は、回転プレート・ドア20を閉じ状態から回動させるときの回動範囲を制限するものであり、換言すれば傾斜角度を制限するためのものであり、回転プレート・ドア20が回動すると収納室Rの側壁に設けた規制溝46内部を移動する。
【0027】
従って、本実施形態によれば、例えば図3の状態から、操作者がつまみ20Bを掴んで回転させると、図4に示すように回転プレート・ドア20が閉じ状態から開放され、マイクロスイッチ34がONしてLED31が点灯する。また、操作者がつまみ20Bを掴んで回転プレート・ドア20を閉じると、LEDが消灯する。これにより、LEDの点灯操作及び消灯操作を容易に行うことができ、使い勝手がよい。LEDの点灯及び消灯操作を行うスイッチを大きく構成することができるとともに、すっきりとした外観の照明装置のスイッチを実現することができる。
【0028】
そして、規制溝46で許容される角度の範囲内で所望の傾斜角度の開き状態に回転プレート・ドア20を回動させることで、図7に示すように照明領域を連続的に無段階に変更させることができる。つまり、回動角度を大きくする(傾斜角度を緩くする)につれて、照明領域を足元寄りに徐々に近づけることができる。従って、例えば運転手が落し物などを探すときに、自由にかつ容易に照明領域を変更させることができる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。図8は、本発明の第2の実施形態に係る車両用照明装置を示す構成図であり、図9は、その車両用照明装置を設けた回転プレート・ドアの回動状態を示す説明図である。
【0030】
本実施形態が第1の実施形態と異なるのは、略D形の回動軸41を有する無段階連続傾斜動作が可能なヒンジ機構40の替わりに、図8、図9に示す多段階傾斜動作を行うヒンジ機構50を備えている点である。なお、これらの図では、光源部を有する照明装置10が第1の実施形態のものと同様の構成であるので省略してある。
【0031】
ヒンジ機構50は、図8、図9において、収納室R側に形成した多段のロック部材51と、このロック部材51との間に確動カム溝52Aを設け、収納室R側に一体に形成した偏心カム部52と、回転プレート・ドア20の開閉動作によってロック部材51の3つのロック溝51Aと確動カム溝52Aとに沿った反時計方向の周回動作を行う、回転プレート・ドア20に固設した係合ピン53と、回転プレート・ドア20に固設するとともに収納室Rの側壁に設けられた軸受け59に回転自在に軸支された回動軸54と、係合ピン53に対して回動軸54へ向けて接近する方向のばね力を与える、回転プレート・ドア20に設けた圧縮ばね55と、圧縮ばね55の端部に固着し係合ピン53に当接する、回転プレート・ドア20に設けた押動部材56と、係合ピン53、圧縮ばね55、及び押動部材56の移動動作を規制する、回転プレート・ドア20に設けたガイド溝57と、回動軸54及びこれと一体の回転プレート・ドア20に反時計方向のばね力を付与するために、先端が回動軸54に基端が収納室R側にそれぞれ固着されたトーションばね58とを備える。
【0032】
ロック部材51の3つのロック溝51Aは、係合ピン53が反時計周りの回転のみを許容するように、一方向、つまり、ラチェット機構を有するワンウエイ構造を構成するような固有形状を有しており、時計回りに逆周回するのを阻止している。
【0033】
本実施形態の圧縮ばね55は、図8に示すように、トーションばね58の回転力で回転プレート・ドア20の閉じ状態が解除されないようにするため、閉じ状態のときに、トーションばね58の回転力に抗してこれより大きなばね力で係合ピン53を回動軸54方向に向けて押出す弾性力を有している。
【0034】
確動カム溝52Aは、図9に示す状態からさらに開いて回転プレート・ドア20が最大開き状態まで傾斜すると、係合ピン53が落ち込むとともにその後はトーションばね58の回転力に抗した圧縮ばね55の押出し力で図8に示す閉じ状態の位置(初期位置)まで戻るように、回動軸54との間の距離(半径)が徐々に小さくなるように設置されている。
【0035】
従って、本実施形態によれば、操作者がつまみ20Bを掴んで回転プレート・ドア20を開いて引き出していくと、回転プレート・ドア20が図8に示す閉じ状態から図9に示すように開放され、マイクロスイッチがONしてLEDが点灯する。即ち、圧縮ばね55の押込み力を上回る開放力で回転プレート・ドア20を手で開いて引き出していくと、係合ピン53が、閉じ状態のときの位置(初期位置)、つまり確動カム溝52Aの最右端部、(つまり中立点を越えた直後の位置)から脱出し、ロック部材51の外周に沿って反時計周りに回動していく。
【0036】
そして、圧縮ばね55の押込み力によって、第1番目のロック溝51Aに係合ピン53が嵌入する。なお、トーションばね58の回転力は圧縮ばね55の押込み力を上回らないように設定されているので、操作者がさらに開放方向に操作しない限り、ロック溝51Aでの係合ピン53のロック状態が維持される。また、圧縮ばね55の押込み力によって係合ピン53が脱出して閉じ方向に逆戻りすることも、ロック溝51Aのラチェット機能により阻止している。これによって、回転プレート・ドア20は第1番目の傾斜角度でのロック状態が保持される。従って、図示外のLEDからの照明光が座部シートS1の足元からやや離れた領域に向けて投光され照明される。
【0037】
さらに、操作者がつまみ20Bを掴んで回転プレート・ドア20を開いていくと、第2番目のロック溝51Aに係合ピン53が嵌入する。これによって、回転プレート・ドア20は、第1番目の傾斜角度よりも緩い第2番目の傾斜角度でのロック状態が保持される。従って、図示外のLEDからの照明光が第1番目の照明領域よりも座部シートS1の足元に近づいた領域に向けて投光される。
【0038】
同様にして、回転プレート・ドア20をさらに開いていくと、第3番目のロック溝51Aに係合ピン53に嵌入し、図示外のLEDからの照明光が第2番目の照明領域よりも座部シートS1の足元にさらに近づいた領域に向けて投光される。
【0039】
また、これからさらに回転プレート・ドア20を開いていくと、前述したように、係合ピン53が確動カム溝52Aに落ち込んで圧縮ばね55のばね力で図8に示す初期位置まで戻る。このため、回転プレート・ドア20も自動的に図8に示す閉じ状態に復帰する。その結果、マイクロスイッチ34がオン状態からオフ状態に戻り、LEDが自動消灯する。
【0040】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図10を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。図10は、本発明の第3の実施形態に係るシートを有する自動車における照明状態を説明する斜視図である。
【0041】
本実施形態のシートには、第1の実施形態に用いた固定式の(またはスライド可能な)シートの替わりに回転式のシートS´を用いており、これに車両用照明装置10を設置してある。
【0042】
従って、本実施形態によれば、例えば乗降の際に回転式のシートS´を回転させるとともに回転プレート・ドアを引き出せば、車両用照明装置10からの照明光をシートS´の前方向に投光できる。つまり、ドアを開いた車両の出入口から屋外に向けて照明光を投光できる。これにより、ドア付近の車両外に待機する搭乗者の足元などを明るく照明できるので、夜間などには便宜である。
【0043】
さらに、本実施形態では、図示外の回転プレート・ドアの引き出し動作で光源が点灯するだけではなく、例えばドアを開けてシートS´を回転させ降下させる(ドアから外にシートS´を引き出す)だけで、つまり回転プレート・ドアを引き出さなくても(ドアから外に向けて)照明光を点灯させる構成なども可能である。その場合、前述の回転プレート・ドアを引き出して下方へ傾斜させる場合とは異なり、回転プレート・ドアが直立したままなので、上部寄りの方向、つまり路面などの下方向よりも上側の車外を照明させることが可能となる。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用照明装置を設置したシートを示す斜視図である。
【図2】その要部を示す拡大図である。
【図3】第1の実施形態に係る車両用照明装置を示す構成図である。
【図4】その車両用照明装置を設けた回転プレート・ドアの回動状態を示す説明図である。
【図5】その車両用照明装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】(A)は第1の実施形態に係る車両用照明装置の光源部の構成を示す説明図、(B)はその光源部の変形例を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る車両用照明装置の作用を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る車両用照明装置を示す構成図である。
【図9】その車両用照明装置を設けた回転プレート・ドアの回動状態を示す説明図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るシートを有する自動車における照明状態を説明する斜視図である。
【図11】従来の車両用照明装置を設置した車内を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
10 車両用照明装置
20 回転プレート・ドア
30 光源部
31 光源(LED;発光ダイオード)
32 反射鏡
34 マイクロスイッチ
40 ヒンジ機構
41 回動軸
43 圧縮ばね
45 ピン
46 規制溝
47 軸受け
50 ヒンジ機構
51 ロック部材
51A ロック溝
52 偏心カム部
52A 確動カム溝
53 係合ピン
54 回動軸
55 圧縮ばね
57 ガイド溝
58 トーションばね
59 軸受け
L 照明領域
R 収納室
S 車両用シート
S´ 回転式のシート
S1 座部シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートの外形を形成する該車両用シートの外面のうちの、該車両用シートに乗車人が着席した場合の該乗車人の足元に臨む部分に、開口部を有し且つ該車両用シートの内部に向かって窪んで形成された収容室と、
前記収容室の開口部を開閉するように該収容室にヒンジ機構を介して揺動自在に設けられた回転プレート・ドアと、
前記回転プレート・ドアに前記足元側を照射するように設けられた光源部と、
を備え、
前記ヒンジ機構による前記回転プレート・ドアの揺動に伴って前記光源部の照射位置が変位する、
ことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記回転プレート・ドアが前記収容室に収容されている状態では消灯し、そして前記回転プレート・ドアが前記収容室に収容されている状態から所定角度以上回動すると点灯する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記回転プレート・ドアが閉じた状態で前記収容室内には小物を離脱不能に収容する収容空間が形成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記光源部は、車両前方照射用ライトの照灯動作、または室内灯の点灯動作、若しくは車両用ドアの開動作に連動して点灯することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記光源部は、前記車両用シートが乗車口に向けて回動された際に、該車両用シートの回動動作に連動して点灯することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用照明装置を備える車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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